説明

ナノ多孔質半透膜及びその製造方法

【課題】 フィルタ、フィルタ・システム、及びフィルタのためのナノ多孔質メンブレンを製造するための方法を提供すること。
【解決手段】 フィルタは、複数のナノチャネルが中に形成されたメンブレンを含む。ナノチャネルを定める表面上に、メンブレンの最終直径を小さくするように、官能化ナノ粒子が自己組織化によって堆積される。フィルタを作製する方法及び使用する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透膜に関し、より具体的には、ナノ多孔質メンブレン、並びに脱塩及び他のプロセスのためにこれを作製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水の脱塩は、2つの手法の観点から考えることができる。水の脱塩のための2つの基本的な手法としては、逆浸透及び蒸留が挙げられる。蒸留手法は、流体の水を蒸気相に変換し、蒸気から水に凝縮することを必要とする。この手法は、かなり高い費用がかかり、著しいエネルギー使用量を必要とする。逆浸透手法は、塩分を含む液体に圧力をかけて、水分子に半透膜を通過させるというものである。この手法は、エネルギー消費率が比較的低い。
【0003】
逆浸透を用いた脱塩の比(生成される飲料水の単位当たり)エネルギーは、1980年代における10kWh/m超から4kWh/mを下回るまで小さくなっており、理論的最小必要エネルギーである0.7kWh/mに近づいてきている。逆浸透手法の技術的現状を改善するために、均一な細孔分布及びより透過性の分離層を有する新規なメンブレンは、逆浸透法における流束を増大させる一方で、脱塩率を維持又は改善することができる可能性がある。効果的な脱塩のためのメンブレンの孔径は、10ナノメートル以下のオーダーである。このような寸法を達成するための現在のプロセスは、どちらかと言えば、複雑で費用がかかり、時間がかかるものである。1つの方法は、10nmから200nmまで又はそれより大きい直径を有するナノチャネルの平行なアレイを有する、市販の陽極酸化アルミニウム酸化物膜を用いる。孔径を狭めるために、表面が荷電した材料が、化学気相堆積、原子層堆積又は物理気相堆積によりナノチャネルの開口部に堆積される。或いは、酸化物層が、原子層堆積により入口開口部に形成される。所望の厚さ及び細孔直径を得るためには、多数回の操作が必要である。これらのプロセスは、脱塩に適した所望の直径を得るには、時間がかかり、複雑であり、比較的費用がかかる。さらに、現在のプロセスは、単にナノチャネルの入口開口部を狭めるだけである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Wang他、「Nanowire and Nanotube Syntheses Trough Self−assembled Nanoporous AAO Templates」、Mat.Res.Soc.(Materials Research Society)Sympo.Proc.2003年、第775;(c)巻、4.8.1−4.8.6頁
【非特許文献2】O.Jessensky他、「Self−organized formation of hexagonal pore arrays in anodic alumina」、1998年、Appl.Phys.Lett、第72巻、1173頁
【非特許文献3】G.Sklar他、「Pulsed deposition into AAO templates for CVD growth of carbon nanotube arrays」、2005年、Nanotechnology、第16巻、1265−1271頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、プロセスが効率的、製造目的にとって経済的に実用性がある、10nm未満の開口部を有する改良されたメンブレンが、当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、フィルタ、フィルタ・システム、及びフィルタのためのナノ多孔質メンブレンを製造するための方法が開示される。一実施形態において、フィルタは、複数のナノチャネルが内部に形成された多孔質メンブレンであって、ナノチャネルが酸化物表面を含み、かつ第1の直径を有する、多孔質メンブレンと、官能化ナノ粒子の自己組織化膜であって、官能化ナノ粒子が、ナノ粒子と、該ナノ粒子の上に配置された、酸化物表面に対して反応性の少なくとも1つの官能基を有する有機リガンドとを含む、自己組織化膜とを含み、自己組織化膜が、第1の直径を第2の直径まで減少させる。
【0007】
フィルタ・システムは、ある圧力で電解液を受け入れるように構成された第1の容積と、第1の容積から、第1の直径を含む複数のナノチャネルが内部に形成されたメンブレン、及びナノチャネルの表面に付着したナノ粒子の自己組織化単分子層で分離された、第2の容積とを含み、自己組織化単分子層は、フィルタ・システムに第1の直径よりも小さい第2の直径を提供し、第2の直径は、メンブレンを通じた電解液中のイオンの輸送を防ぐのに有効である。
【0008】
フィルタを作製するための方法は、官能化ナノ粒子の自己組織化単分子層を各ナノチャネルの内面に付着させることを含む、多孔質メンブレン材料内の各ナノチャネルの直径を狭めることを含み、官能化ナノ粒子の各々は、ナノ粒子と、内面と反応して内面上にナノ粒子の自己組織化単分子層を形成するのに有効な少なくとも1つの官能基を含む、ナノ粒子に付着した有機リガンドとを含む。
【0009】
本開示は、以下の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明において詳細に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの例証的な実施形態によるナノチャネルを示す、メンブレンを貫通するナノチューブ又はナノチャネルの長軸に沿って描かれた断面図である。
【図2】1つの例証的な実施形態によるナノチャネルを示す、図1のメンブレンの平面図である。
【図3】例証的な実施形態による脱塩システムを示す、例証的なブロック図である。
【図4】電解液からイオンをろ過するための例示的なプロセス・フローを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明により、新規な半透性のナノ多孔質メンブレン及びそのメンブレンを形成するためのプロセスが説明される。半透膜(半透性メンブレン)は、定められた直径の平行なナノチャネルのアレイを有する多孔質メンブレンを含み、ナノチャネルの流体通路を定める内面は、自己組織化によって官能化ナノ粒子と反応し、直径をさらに狭める。一実施形態において、官能化ナノ粒子のサイズは、流体通路を通るイオンの輸送をブロックし、それによりイオンフィルタとして機能するのに有効な寸法まで、多孔質メンブレンのナノチャネルの直径を狭めるように選択される。従来技術のプロセスとは異なり、メンブレンを製造するための本発明のプロセスは、簡単で効率的であり、商業的に実行可能である。
【0012】
半透膜は、一般に約20nmから約300nmまでの直径を有するナノチャネルの平行アレイを含む多孔質メンブレン材料から形成される。多孔質メンブレン材料は、周知のプロセスを用いて、金属膜の電解不動態化、例えば陽極酸化によって製造することができる。例えば、様々な厚さの多孔質の陽極酸化アルミニウム酸化物膜は、市販されており、又は当技術分野において周知の種々の反応条件下でシュウ酸、硫酸、クロム酸及び/又はリン酸中でアルミニウム膜を陽極酸化することによって調製することができる。陽極酸化−エッチングのサイクルを繰り返すことで、自己組織化により、非常に規則正しい直線状のナノチャネルを調製することができる。例示的なプロセスは、非特許文献1、非特許文献2及び非特許文献3の論文に開示されている。これらのプロセスを用いて、陽極酸化プロセスにより、アルミニウム膜内に高アスペクト比の平行なナノチャネルを形成することができる。特に陽極酸化アルミニウム酸化物について言及したが、本発明は、それに限定することを意図するものではない。他のメンブレン材料も考えられる。
【0013】
多孔質メンブレン材料は、シート状に形成して所定サイズに切断することもでき、又は予め所定サイズにされたパネルの中で形成するか若しくはその中に組み入れることもできる。脱塩用途のためには、多孔質メンブレン材料は、20nmから30nmまでのナノチャネル直径を有する多孔質メンブレンである。多孔質メンブレン材料は、官能化ナノ粒子の特定の官能基が酸化物表面と反応するように選択された、官能化ナノ粒子の溶液で処理される。このようにすることで、ナノチャネルの内面上で官能化ナノ粒子の単一の単分子層の自己組織化を形成することができ、従来技術とは異なり、入口開口部から出口開口部までの表面全体を被覆することができる。多孔質メンブレン材料の開始直径に応じて、官能化ナノ粒子は、ナノチャネルを定める内面の修飾後に、対向するナノ粒子間の距離が、幾つかの実施形態においては20nm未満に、他の実施形態においては10nm未満に、さらに別の実施形態においては約5nmになるように選択することができる。脱塩のためには、メンブレンが提供する最終孔径は2nmから3nmまでとされる。最終直径は、ナノ粒子の粒径及びリガンドを注意深く選択することによって、効果的に制御することができる。このようにして、メンブレン、及びフィルタとしてのその後の使用を、所定の用途に合うように調整することができる。脱塩プロセスの場合、フィルタは、全てのイオンが有効にブロックされて水だけがナノチャネルを通って流れる逆浸透用途のために利用することができる。しかしながら、他の物理的又は化学的プロセスが本原理を使用することもできる。
【0014】
本明細書で用いられる「ナノ粒子」という用語は、一般に、100nmよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する任意のナノ材料を指す。ナノ粒子は、結晶性であってもよく又は結晶性でなくてもよい。表面多孔質メンブレン材料に対して反応性であり、例えば酸化物表面に対して反応性であり、かつナノ粒子が置かれる環境に対して不活性である末端基を有する有機リガンドを用いてそのナノ粒子を官能化することができる限りにおいて、適切なナノ粒子をいずれかの特定の粒子材料に限定することを意図するものではない。一実施形態において、ナノ粒子材料は、表面電荷を与えない。他の実施形態においては、ナノ粒子は、表面が荷電されている。例示的なナノ粒子は、銅、金、鉄、銀などのような金属、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどのような金属酸化物、及び半導体材料などを含む。半導体ナノ粒子は、一般に、その生来の費用の点から見てあまり好ましくないことに留意すべきである。ナノ粒子の粒径は、多孔質メンブレン材料内のナノチャネルの直径に応じて、一般に2nmから20nmまでの範囲であるが、特定の用途に応じて、より小さい粒径又はより大きい粒径を用いることもできる。
【0015】
ナノ粒子は、ナノ粒子を有機リガンドで被覆することによって官能化される。有機リガンドは、ナノ粒子を最初にメンブレン内に形成されたナノチャネルの内面に付着させる(例えば、共有結合又はイオン結合を形成する)のに十分に反応性の、少なくとも1つの官能基を含む。適切な有機リガンドとしては、限定ではないが、ヒドロキサム酸、カルボン酸、ホスホン酸、ジピリジン、ターピリジン、フタロシアニンのような末端基、又は前記の末端基のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含む化合物が挙げられる。芳香族化合物の具体的な例は、ヒドロキサム酸末端基を有するアリールジアゾニウム塩である。他の例としては、ホスホン酸末端基を有するジアゾニウム塩が挙げられ、酸化物ナノ粒子に対しては、ジホスホン酸、ジヒドロキサム酸又はカルボキシル末端基若しくはヒドロキサム末端基を有するホスホン酸のような、二官能性有機化合物を用いることができる。
【0016】
下記のスキームIは、有機リガンドを金属ナノ粒子に付着させるための例示的なプロセスを提供する。
【化1】

【0017】
このスキームにおいて、Xはアニオンであり、Mは二価の連結であり、nは1から500までの整数であり、Zは、ナノチャネル表面に対して反応性の官能基である。金属ナノ粒子上の1つ又は複数の有機リガンドのうちの1つ又は複数を、幾つかの用途のために所望されることがある二官能性有機分子と交換することができる。
【0018】
図1は、全体が参照番号10によって示される半透膜の断面図を概略的に表す。半透膜10は、平行なナノ細孔又はナノチャネル14のアレイ12を含む多孔質メンブレン材料16を含む。ナノ細孔の直径は、一般に20nmから200nmまでよりも大きい。ナノチャネル14を定める内面は、細孔の直径を10nm未満まで小さくするようにナノ粒子18の単一の単分子層で構成される。脱塩用途の場合には、細孔の直径は、約3nm未満まで小さくされる。こうすることで、ナトリウムイオン及び塩素イオンのような塩水内の大きな電解イオンが、メンブレン10を通じての輸送を有効にブロックされる。
【0019】
図2を参照すると、平行なナノチャネル14のアレイ12をのぞき込むように示す平面図が、例証的に示される。各ナノチャネル14は、官能化ナノ粒子18の自己組織化単分子層を含む。脱塩用途のための装置又はメンブレン10は、約3nmの最終直径を有するように製造することができる。他のサイズも可能であり、用途に応じて用いることができる。
【0020】
例として、メンブレン材料は、約20nmから約30nmまでの細孔直径を有する陽極酸化アルミニウム酸化物である。ナノチャネルの酸化物表面は、溶液内に供給された有機リガンド被覆ナノ粒子の末端基と反応し、対向するナノ粒子の距離が約3nmとなるように最終直径が効果的に狭められる。
【0021】
図3を参照すると、脱塩装置100は、平行なナノチャネルの大きなアレイ及び官能化ナノ粒子の自己組織化単分子層を有する1つ又は複数の半透膜又はフィルタ102を含む。メンブレン102は、強度のために、格子、メッシュ又は他の構造部材110の上に構成することができる。メンブレン102のナノチャネル・アレイは、例えば塩水溶液を収容する第1の貯水槽又は容器104内の流体容積を、ナトリウムイオン及び塩素イオンが浸透しないので脱塩水が形成される第2の容積106から分離する。塩分を含む側に圧力Pをかけて、メンブレン102のナノ細孔/ナノチャネル・アレイを通る水分子の浸透を増大させることができる。混合機又は他の摂動装置120は、容積104内の水を撹拌するのに有用であり得る。
【0022】
脱塩システム100が適正に機能することを保証するために、圧力調節装置112を利用して圧力Pを維持することができる。あるいは、容器は、流体容積若しくはコンテナ104内の水柱の高さを用いるか又は他の手段によって、作動圧力Pを与えるように構成することができる。
【0023】
図3に示された実施形態を、複数のメンブレンを直列に含むように拡張して、ろ過をさらに改良することができる。一実施形態において、各段が効率的に機能することを保証するように各段において圧力が制御される、異なるろ過段を用いることができる。これは、各段において、流体の中間圧力を増大させること又は減少させることを含むことができる。
【0024】
逐次式の実施形態は、異なる寸法でのろ過のための付加的なメンブレン102’及び段116を含むことができる。例えば、第1の容積104内の海水は、最初に、イオンの一部はブロックするが全部はブロックしない中間フィルタ(102)を通過することができる。次に、ナノチャネルに関して異なる直径を有し、それゆえ異なる濃度をブロックすることができる、第2段のフィルタ102’を用いることができる。
【0025】
水の脱塩を例証的な例として説明したが、本原理によって他の流体をろ過することもできる。受動的(電源を必要としない)であり、安価な脱塩システム、緊急時脱塩システム(例えば、救命ボート上での)等として用いることができる脱塩システムを提供することができることが、有利である。
【0026】
図4を参照すると、本原理によるフィルタを用いるための例証的な方法に関するフロー図が示される。ブロック250において、第1の容積は、電解液で満たされる。この容積は、かき混ぜられ又は絶えず補充されることが好ましい。ブロック252において、第1の容積内の電解液に対して、圧力閾値を下回る圧力がかけられる。ブロック254において、電解液の流体は、メンブレンによって第1の容積から分離された第2の容積内へと通される。メンブレンは、上述のように内部に形成された複数のナノチャネルを有する。第2の容積内の流体は、脱塩されているか又は部分的に脱塩されている。付加的な段を追加することができる。
【0027】
脱塩のためのナノ多孔質半透膜の好ましい実施形態を説明したが(これらは例証的であることが意図され、限定を意図するものではない)、当業者であれば上記の教示に照らして修正及び変形を行うことができることに言及しておく。従って、開示された特定の実施形態において、添付の特許請求の範囲によって概要を述べる本発明の範囲内の変更を行うことができることを理解されたい。本発明の態様をこのように特許法が要求する詳細及び具体性をもって説明してきたが、特許請求し、かつ特許による保護が望まれる事項は、添付の特許請求の範囲において記述される。
【符号の説明】
【0028】
10:メンブレン(半透膜)
12:ナノチャネルのアレイ
14:ナノチャネル
16:多孔質メンブレン材料
18:官能化ナノ粒子
100:脱塩装置(脱塩システム)
102、102’:フィルタ
104:容器(第1の流体容積)
106:第2の流体容積
112:圧力調節装置
120:混合機
P:圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノチャネルが内部に形成された多孔質メンブレンであって、前記ナノチャネルが酸化物表面を含み、かつ第1の直径を有する、多孔質メンブレンと、
官能化ナノ粒子の自己組織化膜であって、前記官能化ナノ粒子が、ナノ粒子と、前記ナノ粒子の上に配置された、前記酸化物表面に対して反応性の少なくとも1つの官能基を有する有機リガンドとを含む、自己組織化膜と
を含み、前記自己組織化膜が、前記第1の直径を第2の直径まで減少させる、
フィルタ。
【請求項2】
前記メンブレンは、アルミニウムを含み、前記ナノチャネルは、陽極酸化アルミニウム酸化物を用いることによって形成される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記ナノチャネルは、10nmと200nmとの間の前記第1の直径を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記第2の直径が2nmから3nmまでである、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記ナノ粒子は、陽イオンを反発させるのに有効な表面電荷を有する、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記ナノ粒子は、陰イオンを反発させるのに有効な表面電荷を有する、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記ナノ粒子は、中性電荷を有する、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項8】
電解液は海水を含み、前記第2の直径は、2nmから3nmまでである、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項9】
ある圧力で電解液を受け入れるように構成された第1の容積と、
前記第1の容積から、第1の直径を含む複数のナノチャネルが内部に形成されたメンブレン、及び前記ナノチャネルの表面に付着したナノ粒子の自己組織化単分子層で分離された、第2の容積と
を含む、フィルタ・システムであって、
前記自己組織化単分子層は、前記フィルタ・システムに前記第1の直径よりも小さい第2の直径を提供し、前記第2の直径は、メンブレンを通じた前記電解液中のイオンの輸送を防ぐのに有効である、フィルタ・システム。
【請求項10】
前記第1の容積の圧力を調節するように構成された圧力調節器をさらに含む、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項11】
前記メンブレンを前記圧力に抗して支持するように構成された支持構造体をさらに含む、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項12】
前記第1の容積内の流体をかき混ぜるように構成された混合機をさらに含む、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項13】
前記電解液及びろ過された電解液をろ過するように逐次的に配置された複数のメンブレンをさらに含む、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項14】
前記メンブレンは、アルミニウムを含み、前記ナノチャネルは、陽極酸化によって前記ナノチャネルの表面上に酸化物を形成することにより形成される、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項15】
前記ナノチャネルは、20nmと30nmとの間の前記第1の直径を含み、前記第2の直径は、2nmから3nmまでである、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項16】
前記電解液は海水を含み、前記第2の直径は、2nmから3nmまでである、請求項9に記載のフィルタ・システム。
【請求項17】
フィルタを作製するための方法であって、
官能化ナノ粒子の自己組織化単分子層を各ナノチャネルの内面に付着させることを含む、多孔質メンブレン材料内の各ナノチャネルの直径を狭めることを含み、
前記官能化ナノ粒子の各々は、ナノ粒子と、前記内面と反応して該内面上に前記ナノ粒子の自己組織化単分子層を形成するのに有効な少なくとも1つの官能基を含む、前記ナノ粒子に付着した有機リガンドとを含む、
方法。
【請求項18】
前記多孔質メンブレン材料は、多孔質陽極酸化アルミニウム酸化物材料を含み、前記少なくとも1つの官能基は、前記酸化物に対して反応性である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記多孔質メンブレン材料は、シュウ酸、硫酸、クロム酸、リン酸及びそれらの組み合わせから成る群から選択された酸の中でアルミニウム膜を陽極酸化することによって形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記多孔質メンブレン材料の各ナノチャネルは、20nmから40nmまでの直径を有し、前記ナノチャネルの前記内面に付着した前記官能化ナノ粒子は、フィルタに2nmから3nmまでの直径を与える、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517113(P2013−517113A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548201(P2012−548201)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/020653
【国際公開番号】WO2011/087978
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】