説明

ナノ濾過工程を含むアルブミン精製方法、それを含有する治療用途のための溶液及び組成物

【課題】アルブミン精製方法を提供する。
【解決手段】15g/L〜80g/Lの濃度及び7以上のpHを有するアルブミン水溶液を15℃〜55℃の温度範囲におけるナノ濾過に供する工程を含むアルブミンを精製するための方法。ウイルス性安全アルブミン水溶液(ここにおいて、アルブミンの活性のある治療的成分の輸送及び結合のためのサイトが利用可能である);及び臨床用途を目的とするアルブミン溶液を適合することによって得られる治療用途のためのアルブミン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ濾過工程を含むアルブミン精製方法、本発明の方法によって得られ得るそれを含有する治療用途のための溶液及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルブミンは、ヒト又は動物血漿の主要タンパク質である。活性成分としてのアルブミンの臨床用途は、その抽出及び精製を必要とし、これは伝統的に、例えば、Cohn等(J. Am. Chem. Soc., 68, 459, 1946)及びKistler等(Vox Sang., 7, 1962, 414-424)のもの(これらは、さらに産業規模に適用可能である)等の公知の方法によって実
施される。
【0003】
アルブミン所要量は、国によると百万人の住民毎に約100〜300kgに達する;その理由のために、疾患の源である病原性ウイルス及び汚染物質のないアルブミンを、臨床的目的のために、提供することが必要である。従って、輸血伝染性ウイルスに関して、生物学的に適合性のある安定剤(カプリル酸ナトリウム及び/又はトリプトファンナトリウム)の存在下60℃で10時間のアルブミン組成物の液体状態低温殺菌法などのウイルスの不活性化方法によって安全性が保証される。このウイルスセイフティー(viral safety)は、60年以上にわたって確立され、文献はウイルス伝染(例えば、B型、A型若しくはC型肝炎又はHIV)の実績ある事例を報告しない。しかし、何人かの著者は、幾つかの事例が輸血の後のアルブミン誘導体プロダクト又はアルブミン組成物におけるパルボウイルスB19の存在と関連があると言及した。さらに、1つの事例は、肝臓移植をうけた患者においてクロイツフェルト−ヤコブ病に導いたであろうアルブミン組成物の報告もされた(Creange A., 1995)。
【0004】
幾つかの研究は、認可された方法の検出閾値よりも低い量だが多量のアルブミンの灌流に間(例えば、血漿交換)に生じることが可能であるリポ多糖物質(パイロジェン)の存在に起因した、アルブミン輸液後の一連の悪影響を明らかにした。
【0005】
他の副作用は、アルブミン精製、特に上記の低温殺菌工程の間に生じるアルブミンポリマーの存在に関連する。他のものは、特にアレルギーバックグラウンドを有する患者における、低温殺菌に関連した熱変性を防ぐために添加される安定剤の存在と関連する。
【0006】
伝染性感染因子が存在することの危険性を回避するために、米国特許6,210,683によると、いわゆる“組換え”アルブミン、を製造することが提案された:アルブミンの遺伝子が高い増殖能力を有する宿主細胞、酵母又は細菌中に導入される。順に、この宿主細胞は、培養培地又はその細胞質中にアルブミンを産生する。このアルブミンは、次いで抽出によって細胞から分離され、精製される。しかし、宿主細胞タンパク質の存在が多くの場合検出され、従って精製方法は、非常に高い分解能(resolution)を有さなければならない(これは一般的に収率に対して不利益である。次いで、組換えアルブミンの製造コストは、血漿から生成されたアルブミンのものと比較して高すぎることが示され得る。
【0007】
上記の欠点を回避する他の可能性は、種々の多孔度(variable porosity)を有するク
オリファイドフィルター(qualified filter)を用いた、ウイルス及び化学的又は生物学的汚染物質等の保留のために大規模に使用される濾過方法を実行することである。ウイルス除去の他の方法がない場合に時々成長ホルモン(hGH)などの抽出タンパク質の生物学的安全性を保証するために使用された、例えば限外濾過を挙げることができる。その方法
は、接線フローを必要とし、低濃度且つ65kDa以下の分子量を有するタンパク質溶液又はポリペプチドのみを目的とする。これは、濾過膜の製造上の不正確性(imprecision
)によってウイルスが通過する可能性を残す。さらに、フロントオペレーションにおいてフィルターの目詰まりが生じ、結果として濾過フローの遮断を生じる。フィルターの目詰まりは、タンパク質又はポリペプチドの濃度が上昇するに従ってますます速くなる。
【0008】
さらに生物学的溶液のウイルスセイフティーを向上するために、ナノ濾過(約15〜20nm以上のサイズを有する粒子の保持のための好ましい方法)の実施が考えられる。クオリファイドフィルター上におけるこの粒子保持は、約5kDaよりも小さい有機化合物、ミネラルイオン、アミノ酸、ペプチド、小さなサイズの溶質を含有する溶液又は水溶液を用いて大規模に容易に実施される。
【0009】
大きなサイズの溶質のナノ濾過は、例えば、凝血因子、第IX因子及び第XI因子を用いて達成された。Burnouf−Radosevich等による文献(Vox Sang., 67,
p. 132-138, 1994, (Burnouf et al., Vox Sang., 57, p. 225-232, 1989 及びBurnouf-Radosevich et al., Transfusion, 22, p. 861-867, 1992)を参照する)は、1g/L
を超えないタンパク質濃度を有する、第IX因子及び第XI因子濃縮物(3〜4リットル)(各々0.21g/L及び0.75g/L)の小さな量を示唆するナノ濾過方法の作業条件を示す。
【0010】
実際に、ナノ濾過法の間、大きなサイズの溶質はフィルター上に蓄積し、これはフィルターが完全に目詰まりするまで濾液の流れを低下する。
【0011】
接線フローナノ濾過を実行すること、圧力を上げること、及び流れの方向を変えることから成るこの目詰まりに対する技術的解決手段は、目詰まりが漸進的且つ不可逆的であるため、十分であるとは証明されない。従って、産業開発は、それが非常に多数のフィルターの使用及び非常に大量の溶液を濾過することを必要とする(これは、極端に費用がかかり、且つ異常な程に長い製造時間を生じる)ため、大きく妥協される。
【0012】
目詰まり現象を回避するために、解決策は、フィルターを通る汚染物質の通過を回避しながら、溶質の回収率に影響する物理化学的パラメーターを調節することからなる。イオン強度、濾過される溶質の性質、濾過される溶液のpHなどのこれらのパラメーター及びフローレート及び圧力などの濾過の作業条件を変化させることは多くの研究の目的であった。例えば、Willis et al., Ann. Rev. Microbiol., 33, p. 413-437, 1979及びS. Jacob, Methods of Biochemical Analysis, 22, p. 307-350, 1974による科学出版物は、各パラメーターの効果は、個別にウイルスの保持及び溶質の回収率の上昇した又は低下した効率を結果生じ得ること、及び幾つかのパラメーターを組み合わせることが、濾過条件の改善の効果の相乗効果を制度的に与えないことを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
アルブミンの臨床的重要性及びアルブミンの益々増加する必要性を考慮すると、大規模な製造の条件を最適化しながら、現在入手可能なアルブミンのものよりも高い安全性及び許容度を示すアルブミンを患者に提供することが必要であると思われる。従って、その目的のために、本出願人は、これらの目的を満たす濃縮アルブミン溶液をナノ濾過する工程を含むアルブミン精製方法を開発するために努めた。従って、本発明の目的は、2つの基準(ウイルスの保持効率及び/又は患者において疾患または副作用を引き起こすであろう他のマクロ分子、並びにアルブミンの回収率(所望される用途に依存するこれら2つの基準の相対的重要性)の間の優れた折衷(compromise)に対応する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、15g/L〜80g/Lの濃度且つ7以上のpHを有するアルブミン水溶液を15℃〜55℃の温度範囲でナノ濾過に供する工程を含むアルブミンを精製するための方法に関する。
【0015】
このようにして、本出願人は、驚くべきことに、ナノ濾過工程を受けるアルブミン水溶液において、pH、アルブミン濃度及び温度(結果として粘性)の値の賢明な組合せを用いることが、アルブミン回収率、管理当局によって設定された限度よりも高い所望されないウイルス及び他のマクロ分子の削減率の効率的最適化に達することを可能にする(4 log)ことを見出した。本発明の条件下で実施されるナノ濾過が5kgアルブミン/mフィルターよりも多い量を濾過することを可能にすること、従って、タンパク質ロードを明確にすることを可能にし、一方で作動時間及び濾液フローレートを最適化することが明らかとなった。ナノ濾過されたアルブミン溶液は、例えば、非エンベロープ型(non-envelope)ウイルス等のウイルス、プリオン、アルブミン製造工程の間又は60℃における低温殺菌の間に生成されるアルブミンポリマー(四量体〜十量体)、ミセル様リポ多糖、核酸及び凝集タンパク質等の例えば少なくとも約13nmのサイズを有する微粒子汚染物質に関する非常に高度の安全性を示す。このようにして得られるアルブミン水溶液は、臨床用途のための医薬製剤に加工され得る中間プロダクトでもある(以下参照)。
【0016】
本発明のコンテクストにおいて、アルブミン水溶液は、アルブミン製造又は精製の種々の古典的工程の間に使用される任意の試薬、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、エタノール、有機塩(カプリル酸ナトリウムなど)及び無機塩などの無い溶液である。これらの種々の試薬は、例えば、ダイアフィルトレーション、限外濾過、透析などの公知の方法によってアルブミン溶液から除去される。上記に説明されるように、このような試薬の存在又は、サンプル毎のそれら各々の濃度における変化は、ウイルス保持及びアルブミン回収に関して所望されない効率を結果生じ得る。
【0017】
従って、驚くべきことに、本出願人は、低下するイオン強度がより優れたウイルスの削減と相関があることさらに見出した。
【0018】
本発明のコンテクストにおいて、ナノ濾過を受けるアルブミン水溶液は、最大許容塩基性pH値と関連した最大閾値よりも、この場合、低いイオン強度を有し得ることを明確にすべきである。この値は、典型的に約11.5に対応する。該pHは、アルブミン水溶液へのpH制御剤の添加によって引き起こされるイオン強度における変化が非常に小さいだけであるように(無意味でなければ)、特に制御されなければならない。このようなpH制御因子は、好ましくは、例えばNaOH及びKOH等の強アルカリ金属塩基の中、及び例えばHClなどの強酸の中から、上記の基準を考慮しながら選択される。さらに、例えば有機塩基などの有機化合物に基づくpH制御剤を回避することが好ましい。
【0019】
従って、例として、アルブミン水溶液が0.5M NaOHを添加することによって達成される、約11.5の値までのpH調整を必要とする場合、得られる溶液は、従って、0.0032のイオン強度を有する。
【0020】
本発明の方法は、当業者に公知のフロンタル(frontal)又は接線ナノ濾過装置の全て
のタイプ、特に、フロンタルナノ濾過装置を用いて実施され得る。現在使用されるフィルターは、100nmよりも小さい孔サイズを有する。
【0021】
本発明に従ったナノ濾過工程は、好ましくは、少なくとも13nmの多孔度を有するクオリファイドフィルター(qualified filter)、例えば、プリーツ型(pleated)膜、平坦
膜、又は中空糸として商業的に入手可能である、15±2又は20±2nmの多孔度を有するナノメートルフィルターで実施される。15nmの多孔度及び0.01mの表面積を有するPLANOVE(登録商標)(Asahi、日本)又は、20又は50nmの多孔度を有するPALLウイルスフィルター(U.S.A.)などの再生セルロースナノフィルターが例として挙げられ得る。
【0022】
アルブミン出発材料(凍結乾燥された純粋な製品、濃縮物等)の任意の源が、使用され得、特に、Cohn等(J. Am. Chem. Soc., 68, 459, 1946)又はKistler等(Vox Sang., 7, 1962, 414-424)の方法に従ったヒト又は動物血漿の分別から結果的に生じ
るものである。
【0023】
アルブミン水溶液のpHは、好ましくは、約7.8〜約11.5、より好ましくは9〜10.5の範囲である。アルブミンは、約11.5よりも高いpH値によって不可逆的に変化する。
【0024】
本発明の方法は、好ましくは、40〜60g/Lの範囲の濃度及び30〜55℃の温度範囲を有するアルブミン水溶液を用いて実施される。
【0025】
本発明に従って、該方法は、0.0032よりも高い、好ましくは0.01〜0.55の範囲、より好ましくは0.01〜0.3、更により好ましくは0.05〜0.15、特に0.1〜0.13のイオン強度を有する溶液を与えるために、アルブミン水溶液に薬学的に許容される塩又は塩混合物を添加する工程を更に含み得る。アルカリ金属塩が好ましく使用され、特に、アルブミン溶液に0.15のイオン強度を与える量で存在する塩化ナトリウムである。
【0026】
任意のアルブミンが出発材料として好適に使用され得るが、その起源は、それが熱安定剤を含むか、又は熱処理(熱ショック又は低温殺菌)されたかに依存して、ナノ濾過収率に影響する因子であり得る。従って、本発明に従った方法において、上述するCohn等又はKistler等に従ったエタノール抽出によって得られ、イオン交換又はアフィニティークロマトグラフィーよって精製されたアルブミンを使用することは、高いアルブミン回収率及び/又は短縮された濾過時間を結果生じ得る。
【0027】
アルブミン水溶液のナノ濾過は、各々低下する多孔度を有する2つのフィルター上での2つの連続工程において実施され得る。有利なことに、これら2つの連続工程は、各々23〜50nm及び15または20nmの多孔度を有するフィルター上で実施される。
【0028】
15nmの多孔度及び0.01mの表面積を有するPLANOVA(登録商標)フィルターが使用される場合、本発明の方法は、1バールを越えない、好ましくは0.2〜0.8バールの範囲の圧力で実施される。
【0029】
該方法は、欧州薬局方に従った種々の治療用途に適したアルブミン水溶液を作製するための公知の特別なプロセスの後の工程を含み得る(例えば、生理学的pHへの(適切な場合)、静脈注射の場合の等張性への、及び生理学的に許容可能な塩濃度への調整、及び/又は例えば、凍結乾燥又は液体形態におけるコンディショニング)。
【0030】
本発明は、本発明の方法を実施することによって得られ得るウイルス的に安全なアルブミン水溶液(ここにおいて、治療的活性成分の輸送及び結合部位は、アルブミンにおいて利用可能である)にも関する。このアルブミン溶液は、それが、Svedberg Ph.等(”Ultracentrifug”, 7th edition, Ed. Steinkopff, Dresden, 1940)に従った、7S(即ち、約160kDaの分子量)よりも高い沈降係数を有するマクロ分子が無いこ
とを更に特徴とする。特に、このアルブミン溶液は、100nmよりも小さい、好ましくは20nmよりも小さいサイズを有する多くとも1%のアルブミンポリマーを含有する。
【0031】
本発明はさらに、本発明に従った前記アルブミン溶液を臨床的用途に好適にするために処理することによって得られる治療用途のためのアルブミン組成物に関する。
【0032】
治療用途のためのこれらアルブミン組成物を用いて達成された安全性は、低温殺菌工程(上述するように欠点の源である)を抑制し、従って、熱効果に対する通常の保護安定剤を添加すること(これもアルブミン部位上に結合する)を可能にし、従って、アルブミンが関連する分子に結合することを防ぐ。本発明に従ったこれらの組成物のアルブミンは、種々の活性成分のその結合及び輸送能力を保持し、この結合を介して、それらの毒性を低減し、又はデポー効果(depot effect)によってバイオアベイラビリティーを上昇する。
【0033】
本発明に従ったアルブミン組成物が使用され得る他の用途として、以下も挙げられ得る:
−低濃度(1g/L未満)且つ高比活性を有するタンパク質の変性及び酸化に対する安定化、例えば、第VIII因子、フォンビルブラント因子及びそれらの組換え等価物、特定の免疫グロブリン、モノクローナル抗体、ワクチン(ウイルス、細菌、タンパク質、DNAワクチン)、敏感な患者におけるアレルギーの検出のためのアレルゲン、サイトカイン又はペプチドホルモン
−ヒト卵母細胞のin vitro受精のための増殖及びインキュベーション媒体のための賦形剤−臨床試験においてプラシーボとして働くコントロール標準タンパク質。
【0034】
本発明は、添付の図面を参照し、以下の実施例の検討によってより明確になる。
【実施例】
【0035】
実施例1
1.1 ナノ濾過法を実施するための方法(図1)
0.01mの表面積を有するPLANOVA(登録商標)15−nmフィルター(Asahi、日本から)を含む濾過装置1は、未透過物(濾過前の溶液)のアウトレット及び濾過液(濾過後の溶液)のインレットとアウトレットにおいてチューブ10、11を備え、薬学的に適合性のある材料で作製され、約5mmの直径を有し、クランプで閉じられる。該デバイスは、把持装置を用いてスタンド(示されない)上に垂直位置にアレンジされる。
【0036】
15−nmフィルターのインレットは、チューブ10を介して圧力容器12(上流フィルター回路に接続されたディジタル圧力ゲージ13を用いてその圧力が測定される)に接続される。
【0037】
使用の前に、製造者の指示書:“Air leakage test during the integrity pre- and post-filtration test of PLANOVA(登録商標)15, 35, 75-nm filters”に従って15−
nmフィルターについて完全性試験が実施される。
【0038】
次いで、該システムは洗浄される。その目的のために、圧縮空気インレット14は、9g/LのNaCl約100mlの容量で充満された圧力容器12に接続される。フラスコは、15−nmフィルターのインレットにおいて、0.5バールの圧力に達するまで漸進的に加圧される。空気が未濾過物アウトレットにおいて放出される間、15−nmフィルターは、フィルター繊維の外側を充満せずに、充満された。下方のアウトレットは開いており、記録装置16に接続した光学密度測定検出セル15に接続され、頂部濾液アウトレットは締められたままである。洗浄濾液は、濾液重量の増加を記録する(これは、即時濾
過フローレートをモニターすることを可能にする)マイクロコンピューター19に接続し、それによって制御される重量計18上の容器17中に集められる。0.5バールにおいて最低容量40mlを濾過するために必要な時間が測定され、mL/分の平均フローレートは低減される。該システムは、漸進的に減圧され、全てのアウトレットは締められる。ナノ濾過のために必要な温度に依存して、該システムは、室温(約20℃)又は作業温度が25〜60℃であるオーブン中に配置され得る。
【0039】
1.2アルブミン溶液
参照アルブミン水溶液として、9g/L NaClを含む20g/L、pH7の溶液が使用される。以下の実施例6及び9を除いて使用されるアルブミン出発材料(Aと示される)は、Kistler等に従ってヒト血漿の分別によって得られ、アルコール除去工程、ダイアフィルトレーション及び限外濾過による濃縮を受けたものである。血漿の種々の供給源の上記分別は、一般的に出発材料の生物学的性質に起因して変動する特徴を有するアルブミンを結果生じる。従って、このアルブミンは、ナノ濾過の所要時間、収率などに影響し得る。
【0040】
濾過されるアルブミン水溶液は、例えば、濃度、pH及びイオン強度などのその特徴の変更によって上記参照溶液から調製される。それらの容量は、所望のタンパク質ロードを提供するために、調整される。特定の実施例に依存して、アルブミン濃度は、15g/L〜80g/Lに変化する。pHは0.5M NaOH又はHClを添加することによって調整され、イオン強度は塩化ナトリウムを添加することによって調整される。次いで、アルブミン溶液は、商業的に入手可能な0.2−μmのフィルター上で全て予め濾過される。
【0041】
1.3 アルブミン溶液のナノ濾過
アルブミンの予め決定された量の濾過が一度達成されると、フィルターインレットは閉じられる。洗浄のために、1容量の注射用精製水(PWI)が再加圧された容器12中に導入され、フィルターはフラッシュアウトされる。濾液は、記録装置16上でモニターされる光学密度における認知可能な減少まで回収される。下流回路は次いで、完了した濾液を回収するためにフラッシュアウトされる。サンプルは、濾液から採取され、例えば、ポリマーアッセイ、ウイルス滴定等の後の分析試験を受ける。固定タンパク質ロードを提供するために必要とされる1容量のアルブミン溶液の濾過の所要時間も測定され、濾過収率は、濾液と未濾過液中に含まれるアルブミン量の比率として測定される。
【0042】
使用後、製造者の指示書:“Air leakage test during the integrity pre- and post filtration test of PLANOVA(登録商標)15, 35, 75-nm filters”に従って、15−n
mフィルター上で実施された。
【0043】
実施例2
ナノ濾過が、20℃及び0.5バールの圧力下で濾過されたアルブミン溶液A(実施例1)を用いて実施される場合、タンパク質ロード、所要時間及び収率に関してナノ濾過の実行可能性を評価するために、2つの予備試験が実施される。溶液Aの容量は、0.5kg/m及び1kg/mのタンパク質ロードで調製される。結果は表1に示される。
【0044】
【表1】

【0045】
上記の結果は、選択される条件に依存して、アルブミン溶液Aのナノ濾過がフィルターの目詰まりなく、優れた収率で1kg/mのタンパク質ロードを提供することを示す。タンパク質ロードを二倍にすることは、二倍の長さのナノ濾過所要時間を結果として生じないことも分かる。
【0046】
従って、試験結果は、必要であれば幾つかの影響するパラメーターを最適化しながら、より高いタンパク質ロードを提供する目的でアルブミン溶液のアルブミン溶液のナノ濾過を本出願人が検討することを促した。
【0047】
実施例3
4kg/mのタンパク質ロードが提供される方法において、アルブミン溶液のpHに対する濾過所要時間及び収率の依存性が出発材料として1バッチのアルブミンAを使用して測定される。40g/Lの5つのアルブミン溶液、A1〜A5は、9g/LのNaCl溶液中に調製され、HCl又はNaOHの0.5M溶液を用いてpH5、7、9、9.5及び10に各々調整され、ナノ濾過に供される。ナノ濾過試験は、20℃、0.5バールの圧力で実施される。図2は、濾過フローレート(mL/分)対検討される各溶液についてのナノ濾過所要時間のプロットを示す。
【0048】
これらプロットの分析は、溶液A1(pH5)について、フローレートにおける急速な低下及び結果としてフィルターの目詰まりを示す。溶液A2及びA3については、溶液A3についてより早い初期フローレートにおける減少が存在するが、相当許容可能な変動を伴って、25時間よりも長い濾過の後にフィルターの目詰まりは見られなかった。最良の結果は、溶液A4及びA5(即ち、pH9.5及び10)で得られ、溶液A2及びA3よりも各々より高い初期フローレート及び短い濾過所要時間を有し、溶液4は、最も最適な初期フローレートを示す。
【0049】
実施例4
この実施例において、4kg/mのタンパク質ロードを供給するpHと温度の共同効果(joint effect)が実施例3において定義される溶液A3及びA4について20℃及び30℃で試験される。ナノ濾過試験は、0.5バールの圧力で実施される。このようにして得られた濾過所要時間は、表2に列挙される。図3は、検討された溶液各々について、濾過フローレート(mL/分)対ナノ濾過所要時間のプロットをまとめる。
【0050】
【表2】

【0051】
漸進的なフィルターの目詰まりの無い殆ど重ね合わせることのできるフローレートプロット(溶液A3及びA4)を用いて、30℃においてより短い濾過所要時間が見られる。20℃において、濾過フローレートは、30℃よりも僅かに低い。
【0052】
実施例5
この実施例は、8kg/mのタンパク質ロードが供給され、得られる濾過所要時間(表3)及びフローレートプロット(図4)を分析することによる方法において、ナノ濾過に対するアルブミン濃度及び温度の共同影響(joint influence)を示すためである。こ
の一連の試験において、溶液A4(40g/L)、A6(60g/L)及びA7(80g/L)が使用され、その全てが9g/L NaCl(pH9.5)を含有し、0.5バールの圧力でナノ濾過に供される。
【0053】
【表3】

【0054】
表3及び図4からの結果の分析は、目詰まりなくフィルターが8kg/mのロードを保持し得ることを示す。特に、最適な濾過条件は、溶液A4を用いて30℃で得られる。溶液A6について、初期濾過フローレートは、20℃よりも30℃における方が高く、さらにより長い濾過所要時間を有する。従って、これらの結果は、本願出願人に、最も高濃度の溶液A7についての20℃のナノ濾過温度を検討させた。これらの条件下で、濾過所要時間は、観測された最も長い所要時間であり、初期フローレートは、観測された最も低いフローレートである。
【0055】
実施例6
3つのナノ濾過試験が2つの異なるアルブミン出発材料から調製された溶液を用いて実
施される。第一出発材料は、アルブミンAであり、第二のものは、カラムイオン交換クロマトグラフィーによって精製されたアルブミンA(A’と名付けられる)である。この一連の試験において、実施例5からの溶液A4及びA6並びに溶液A’1(60g/L、9g/LのNaCl、pH9.5)(これは、次いで0.5バールの圧力で20及び30℃でナノ濾過に供される)が、8kg/mのタンパク質ロードを供給するために使用される。表4は、濾過所要時間及び収率を示す。図5は、検討された各溶液について、濾過フローレート(mL/分)対ナノ濾過所要時間のプロットを示す。
【0056】
【表4】

【0057】
最も短いナノ濾過所要時間は、A’1について見られるものである。しかし、最も最適な初期フローレートは、溶液A4で見られる。
【0058】
実施例7
濾過所要時間及び収率に対するアルブミン溶液中のイオン強度における変化の影響が、三つのアルブミン溶液A(各々、注射用精製水中に40g/Lで調製された(溶液A8)、9g/LのNaCl溶液中(溶液A2;イオン強度:0.15)、及び30g/LのNaCl溶液中(溶液A9;イオン強度:0.5)、3つ全てはpH7)を用いて研究される。ナノ濾過試験は、4kg/mの一定のタンパク質ロードを供給するために、0.5バールの圧力で20℃で実施される。結果は、表5にまとめられる。
【0059】
【表5】

【0060】
最適化された濾過所要時間及び収率に関する最良の結果は、0.15のイオン強度(等張性に対応するものに近い)で得られる。この結果は、濾液重量の増加をモニターすることによって確認され、これは試験される溶液について、濾過フローレート(mL/分)対ナノ濾過所要時間における変化をプロットすることを可能にする(図6)。この実施例において、30g/LにNaCl濃度を上昇することは、濾過所要時間を短縮しないことが分かる。
【0061】
実施例8
この実施例は、得られるプロダクトにおける収率及び濾過所要時間に対するタンパク質ロード及びナノ濾過圧力における変化の影響を実証するためである。その目的のために、アルブミンA(実施例2)及びA2(pH7)の2つの溶液が使用される。結果は、表6に示される。
【0062】
【表6】

【0063】
これらの結果は、溶液A及びA2を用いて、溶液Aは,溶液A2よりも低濃度であるという事実にも拘らず、圧力の上昇は、より長い濾過所要時間を与えることを実証する。溶液A2を用いて得られる結果は、PLANOVA(登録商標)15−nmフィルターは、4kg/mのタンパク質ロード又はキャパシティーを有し、圧力の上昇は、濾過所要時間を短縮しないことを示す。
【0064】
実施例9
この実施例は、1mの表面積を有するPLANOVA(登録商標)15−nmフィルターを用いることによる産業規模におけるナノ濾過の実施の可能性を実証するためである。使用されるアルブミンは、Kistler等の方法に従った分別によって得られ、欧州薬局方の必要条件に従って、好適な安定剤の存在下で10時間60℃で加熱することによって治療的に活性にされる。このようにして得られるアルブミンBは、次いで0.01M
クエン酸三ナトリウム、0.12M グリシン、0.016M L−リシン、0.001M 塩化カルシウム及び0.17M 塩化ナトリウムを含むpH7〜7.5のバッファーと混合される。アルブミン溶液の終濃度は、20g/Lである。0.2−μmフィルター上で予備濾過された後、このようにして得られる種々の溶液は、室温及び0.5バールの圧力において、実施例1に記載されるようにナノ濾過に供される。フィルターを浸透する溶液Bの容量は、120g/mのタンパク質ロードを提供するように、決定される。同一のナノ濾過試験が0.01mのフィルターを用いて実施される。表7は、3つの試験の平均値として、両フィルターを用いて得られる濾過所要時間及び収率の結果をまとめる。
【0065】
【表7】

【0066】
得られた結果は、1mの表面積を有するフィルターを用いることは、0.01mの表面積を有するフィルターを用いて得られるものと比較して、濾過収率における非常に僅かな減少を伴うが、より短い濾過所要時間を結果的に生じることを示す。
【0067】
実施例10
同一の溶液B及び実施例9における作業条件が、ナノ濾過後のポリマー含有量における減少を測定するために使用される(表8)。
【0068】
【表8】

【0069】
アルブミンの低温殺菌は、パーセントにおけるポリマーを与えるが、これは常に欧州薬局方(4th edition, chapter “solution of human albumin”, page 642)によって推奨される5%限度よりも低くとどまるということに注意すべきである。検討される2つのフィルター表面上で実施されるナノ濾過試験は、両方の場合、ポリマー含有量における約10倍の減少を与える。
【0070】
実施例11
ナノ濾過の作業条件(フィルター表面積、圧力及び温度)及びアルブミン溶液の物理化学的パラメーター(pH、バッファー組成)における変化のウイルス減少率に対する影響を示すために、ウイルスはナノ濾過試験に供されるアルブミンAの異なる溶液(20g/L)中に導入される。試験は、バクテリオファージウイルスPhi−X 174(この懸濁液は、AFNOR Standard NFT 72−181(1989年、12月)に従って得られる)を用いてアルブミン溶液を感染することによって実施される。このウイルスは、そのサイズが25〜30nm(これは、パルボウイルスB19などのヒトに感染する非エンベロープ型ウイルスに対応する)であるため、15−nmフィルターのための優れたマーカーであり、その低温殺菌による不活性化は十分ではない。
【0071】
得られた結果は、表9に示される。
【0072】
【表9】

【0073】
結果の分析は、作業条件における変化とともに、以下を示す:
−検討されるどちらのアルブミン溶液であっても、フィルター表面積及び温度における単独の変化は、ウイルス低減率にほとんど影響を有さない;
−0.5バール〜1.0バールへの圧力の上昇は、ウイルス低減率に対して所望されない影響を有するが、これは高く存続する(>4ログ)。
【0074】
アルブミンA溶液の物理化学的パラメーターにおける変化は、以下を示す:
−界面活性剤(ツイーン(登録商標)80)及び非イオン性化合物(ショ糖)の存在及びpHにおける変化は、ウイルス低減率にほとんど影響を有さない;
−一方で、NaClを二価の塩、硫酸ナトリウムと置換することは、この割合に対してネガティブな影響を有し、これは管理当局によって許容される閾値よりも低くなる。同一の減少が、NaCl濃度が上昇される場合(0.15Mから0.3M)に見られる(低減率は、十分に存続するが)。
【0075】
実施例12
薬剤の輸送及び結合における、安定剤を用いずにナノ濾過されたアルブミンAの性質が、それらをカプリル酸ナトリウムの存在下で低温殺菌された2つの異なるアルブミンAバッチを用いて得られたものと比較することによって調べられる。
【0076】
その目的にために、三つの溶液A4(実施例3)が供給され、その1つは、本発明の条件下でナノ濾過された。これらの溶液は、2.5g/Lの濃度のアルブミン組成物A’4、A’’4及びA’’’4を与えるために、次いで0.07M リン酸バッファー、pH7.4の薬学的製剤に加工される。アルブミン組成物A’’4及びA’’’4(ナノ濾過されない)は、各々カプリル酸ナトリウムの存在下で低温殺菌される。1mlのサンプルが各組成物から採取され、各0.1Mの[14C]ワルファリン及び[14C]ジアゼパム、各クラスの抗凝血剤の2つの活性成分及び神経栄養(neurotropes)の親アルコール
系溶液の10μL〜1000μLの容量が、検討されるアルブミン組成物に添加される(これら活性成分における種々の濃度を提供するためである)。混合物は、次いで均質化される。
【0077】
上記2つの活性成分に結合することにおけるアルブミンの性質の研究は、当業者に公知の平衡透析法の方法に基づき、その原理は、以下にまとめられる。好適な透析膜によって分離される2つのコンパートメントを有するセルを含む透析デバイスが得られる。1容量Vのアルブミン/活性成分混合物がコンパートメント1中に導入され、同じ容量Vの透析バッファー(上記に定義されるリン酸バッファー)がコンパートメント2中に導入される。一度平衡に達すると、数時間後に、コンパートメント1は、アルブミン−結合型及び非結合型活性成分を含み、コンパートメント2は、非結合型活性成分を含む。幾つかのサンプルは、各コンパートメント1及び2にから採取され、液体シンチレーションによって放射能が測定される。これらの測定は、アルブミン−結合型及び非結合型の活性成分における各濃度を測定する。
【0078】
表10は、組成物A’4、A’’4及びA’’’4各々で得られたアルブミン−結合型[14C]ジアゼパムのパーセントを与え、ここにおいて増大する量の活性成分が与えられた。表11は、[14C]ジアゼパムの代わりに[14C]ワルファリンを用いて得られた結果を示す。結果は、5試験の平均値として示される。
【0079】
【表10】

【0080】
結果は、アルブミン組成物A’4における[14C]ジアゼパムの濃度が高いほど、アルブミン−結合型[14C]ジアゼパムのパーセントが低いことを示す。これは、アルブミンにおける1つの飽和性部位又は結合と1つの非飽和性結合の存在を実証する。
【0081】
アルブミン組成物A’’4及びA’’’4における[14C]ジアゼパムの濃度を上昇することは、アルブミン−結合型[14C]ジアゼパムの測定できる程一定のパーセンテージを結果的に生じる。従って、組成物A’4における、安定剤を用いずにナノ濾過されたアルブミンAにおいて同定される結合部位は、それが安定剤によって占められるため、もはや機能的ではない。
【0082】
【表11】

【0083】
この表からの結果は、検討される三つのアルブミン組成物中の[14C]ワルファリン濃度における上昇に伴ってアルブミン−結合型[14C]ワルファリンのパーセンテージが変化することを示す。従って、アルブミンにおける結合部位は、安定剤によって飽和されない。
【0084】
表10及び11に示される結果の比較は、検討される薬剤に関してアルブミンが異なる挙動を示すことを実証する。これは、アルブミン結合部位のコンフィギュレーションと比較した、検討される薬剤の構造に起因し得る。これらの研究は、表12に示されるように、異なるアルブミンA’4、A’’4及びA’’’4における両方の薬剤の種々の結合定数(Ka)も測定した。
【0085】
【表12】

【0086】
実施例13
フォンビルブラント因子(vWf)を安定化するためのナノ濾過されたアルブミンのパワーが72時間の80℃におけるvWfのドライヒーティング試験を用いて評価された。予備試験に基づいて、グリシン及びアルギニンなどの賢明に選択された賦形剤の混合物をvWfの溶液に添加することが、ドライヒーティング試験(80℃、72時間)の間、その安定化を与えることが見出された。vWfの活性(vWf:Ag)は保持されたが(非加熱vWfと比較して>82%)、そのマルチメトリックプロフィールは維持されなかった(これは、vWfの治療効果を担う、高分子量(>10)を有する多量体の消失によって現れた)。
【0087】
この欠点を克服するために、vWfの1g/Lの三つの溶液が、治療用途のためのナノ濾過されたアルブミンA、及びグリシン及びアルギニンの存在下で調製された。このようにして得られた溶液、A10、A11及びA12の特徴は、表13に示される。
【0088】
【表13】

【0089】
これらの溶液は次いで凍結乾燥(45±3時間)及び上記に定義されるドライヒーティングに供される。加熱の後、注射用精製水(PWI)の乾燥残渣への添加は、溶液A11〜A12を再構成する。以下のパラメーターが分析された:溶液の外観、溶解時間、vWfの活性及びマルチメトリックプロフィール(電気泳動によって測定される)。表14は、得られた結果を示す。
【0090】
【表14】

*: 目に見える粒子の無く、透明
**: 加熱されたvWf及び非加熱のvWfの活性間の比率
***: オリジナルプロダクトに対するコンフォーム(conform)(加熱前)
【0091】
これらの結果は、一方でアルブミンの存在がvWfの加熱による安定化に対する悪い影響を有さないこと(これは、透明な溶液の外観(目に見える粒子の無い)、非常に短い溶解時間、特にvWf活性の保存によって明らかにされる)を実証するが、他方でこの存在がその高い分子量の多量体の完全性を維持することも実証する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明の方法を実施するためのデバイスを示す。
【図2−6】図2〜6は、種々のパラメータに基づいて得られた、即時濾過フローレート(mL/分)対ナノ濾過時間のバリエーションを示すプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15g/L〜80g/Lの濃度及び7以上のpHを有するアルブミン水溶液を15℃〜55℃の温度範囲におけるナノ濾過に供する工程を含むアルブミンを精製するための方法
【請求項2】
該ナノ濾過が少なくとも13nmの多孔度(porosities)を有するクオリファイドフィルター (qualified filter) 上で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該アルブミン水溶液のpHが、7.8〜11.5、好ましくは、9〜10.5の範囲であることを特徴とする、請求項1及び2の1項に記載の方法。
【請求項4】
0.01〜0.55の範囲のイオン強度を有する溶液を供給するために、該アルブミン水溶液に薬学的に許容される塩又は塩混合物を添加する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
該薬学的に許容される塩がアルカリ金属の塩であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該アルカリ金属の塩が、該アルブミン溶液に0.15のイオン強度を与える量で存在する塩化ナトリウムであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該アルブミン水溶液の濃度が、40g/L〜60g/Lの範囲であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載される方法。
【請求項8】
該アルブミン水溶液の温度が30℃〜55℃であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該アルブミン水溶液の該ナノ濾過が、各々低下する多孔度を有する2つのフィルター上の二つの連続的工程において実施されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該二つの連続的ナノ濾過工程が、各々23〜50nm及び15又は20nmの多孔度を有するフィルター上で実施されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
それが、1バールを越えない圧力において、0.01mの表面積を有する15nmの再生セルロースフィルターを用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該圧力が0.2〜0.8バールの範囲にあることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該アルブミンがエタノール抽出及びイオン交換又はアフィニティークロマトグラフィーによる精製によって得られることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
該アルブミン水溶液を、それが治療用途に適するようにするために処理する後の工程を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
治療的活性のある成分の輸送及び結合部位が該アルブミン中に利用可能である、請求項1〜14のいずれかに記載の方法を実施することによって得られ得るウイルス的に安全なアルブミン水溶液。
【請求項16】
100nmよりも小さいサイズを有するアルブミンポリマーを最大1%含有することを特徴とする、請求項15に記載のアルブミン水溶液。
【請求項17】
20nmよりも小さいサイズを有するアルブミンポリマーを最大1%含有することを特徴とする、請求項15又は16に記載のアルブミン水溶液。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれかに記載のアルブミン水溶液を臨床用途に適するようにするための、請求項14に記載の方法によって得られる治療用途のためのアルブミン組成物。
【請求項19】
高比活性の特定の免疫グロブリン、モノクローナル抗体、ワクチン、アレルゲン、サイトカイン及びペプチドホルモンを有する低濃度のタンパク質から成る群から選択される少なくとも1種の安定化のための、請求項18に記載の治療用途のためのアルブミン組成物の使用。
【請求項20】
該タンパク質が、第VIII因子又はフォンビルブラント因子、及びそれらの組換え等価物であることを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
治療的活性成分の輸送及び結合のための、請求項18に記載の治療用途のためのアルブミン組成物の使用。
【請求項22】
ヒト卵母細胞のin-vitro受精のためのインキュベーション媒体のための賦形剤としての請求項18に記載の治療用途のためのアルブミン組成物の使用。
【請求項23】
コントロール標準タンパク質としての、請求項18に記載の治療用途のためのアルブミン組成物の使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−102115(P2012−102115A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280288(P2011−280288)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2007−500249(P2007−500249)の分割
【原出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(500280870)ラボラトワール、フランセ、デュ、フラクショヌマン、エ、デ、ビオテクノロジ (12)
【氏名又は名称原語表記】LABORATOIRE FRANCAIS DU FRACTIONNEMENT ET DES BIOTECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】