説明

ナノ粒子を含有する経口固体剤形、および魚ゼラチンを使用して同剤形を製剤化する方法

ナノ粒子を含有する経口固体剤形は、(a)魚ゼラチンを含有する溶液中に分散される少なくとも1種の医薬有効成分の粒径を小さくしてナノ懸濁液を生成する工程と、(b)工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して該経口固体剤形を生成する工程とによって作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子を含有する経口固体剤形に関する。本発明は、魚ゼラチンを使用して該経口固体剤形を製剤化する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
経口の薬剤送達には、薬剤が腸壁を通して吸収されて全身に循環されるように胃腸管内で溶液になる薬剤分子を放出する製剤が典型的には必要とされる。製品の有効性および安全性の理由により、薬剤分子の放出は、製品の治療的な必要条件を満たす放出プロファイルを用いて、調節された様式で行われなければならない。大部分の経口製品は、生物学的標的への薬剤分子の最も効率的な送達と共に、速い作用開始を引き起こすための胃腸管内での速く完全な薬剤放出を目的としている。
【0003】
薬剤発見および薬剤開発の分野の専門家は、近年開発中の新しい薬剤分子には難水溶性を有するものが増加していることに注目してきた。新しい薬剤分子のうちの40%を超えるものが難水溶性を示しているという見積りが報告されている。Water Insoluble Drug Formulation、Rong Liu編、CRC Press、第2版、1頁(2008)を参照されたい。難水溶性の薬剤分子の普及により、現実的な経口製剤の開発という重大な課題が生じた。この問題の原因は、薬剤分子が溶液に入ることのできるまたは胃腸管内で溶解することのできる速さおよび程度が難水溶性によって制限されうることである。難水溶性の薬剤を製剤化することについての技術的な課題により、いくつかの薬剤は市販に至るのを実際に制限されることもあり、したがって、患者は新しい製品を与えられない。
【0004】
溶解する薬剤粒子の表面積の増加は、溶解速度の上昇と関連しているので、難水溶性の薬剤分子の溶解性を高めるための証明されたアプローチは、固体薬剤の粒径を小さくすることである。サブミクロンまたはナノ粒子の範囲まで粒径を小さくすることにより、表面積が劇的に増大され、かつしたがって、この機構を介して溶解速度を促進する最大の好機が生じる。したがって、ナノ粒子薬剤送達により、より速い溶解、改良された生物学的利用能および最終的に増強された臨床効力を実現することができる。
【0005】
経口薬剤送達のための、特に、難溶性の薬剤分子を投与するための、ナノ粒子を使用する利点はよく知られており、20年間にわたって報告されてきた。これにもかかわらず、本発明者らは、ナノ粒子を含有すると主張される市販の医薬経口固体投与製剤が米国には約4種のみあると考えており、これにより、安定なナノ粒子状製品の開発に関連した技術的な課題があることが示唆される。知られている市販の経口固体投与製剤は、Rapamune(登録商標)(Wyeth Pharmaceuticals社、Philadelphia、PA)、Emend(登録商標)(Merck & Co.、Whitehouse Station、NJ)、TriCor(登録商標)(Abbott Laboratories、North Chicago、IL)、およびTriglide(商標)(Sciele Pharma社、Atlanta、GA)である。
【0006】
固体ナノ粒子薬剤送達系の開発に関する主な問題は、加工中に急速にまたは長期の保存においてのいずれかで再凝集に向かうナノ粒子の傾向であり、これにより、粒径が増大してしたがって効力が低減するという結果になる。この凝集の問題は、典型的には、立体化学的安定剤(例えば、合成ポリマー)および/または静電気的安定剤(例えば、界面活性剤)に分類される安定化添加剤を使用して克服される。上記の既知の市販製品は全て、湿式粉砕技術を使用してナノ懸濁液を生成し、その後、このナノ懸濁液を、単回単位剤形(例えば、錠剤またはカプセル剤)に加工するのに好適なサイズおよび大きさの固体基質相上に噴霧乾燥させる。噴霧乾燥は、噴霧コーティングまたは噴霧顆粒化などの認められている方法を含みうる一般的な用語であり、これによって、ナノ懸濁液は、その液体成分の急速な揮発および除去を引き起こす条件下で固体基質に噴霧され、固体基質上にコーティングされた乾燥固体相が残る。
【0007】
凍結乾燥は、ナノ懸濁液を固体状態に変えることができる、噴霧乾燥に対する別法であるが、この技術が従来のナノ粒子状製品に使用されたことは知られていない。凍結乾燥法の凍結およびリュフィリゼーションの工程中には強い物理的な力がかかるので、凍結乾燥を行う系では凝集の問題がより重大である。この凝集の問題に対処する従来の解決法は、典型的には、粉砕後ではあるが単位剤形の加工前に、乾燥されたナノ粒子中間体物質の単離および/または添加剤組成の調整を必要とする、複雑な製造プロセスを要する。
【0008】
米国特許第5,932,245号には、ナノ粒子安定剤として作用するゼラチンまたはその誘導体を用いた沈澱法を使用するコロイド状ナノゾルの調製が記載されている。この方法は、ゼラチンと表面に荷電した活性物質粒子との間の(中性電荷に相当する)等イオン点を部分的または完全に設定することにより、コロイド状に分散した活性物質の溶液を安定化することに関する。しかし、ナノ粉砕中のナノ粒子安定剤および/または凍結乾燥中のナノ粒子安定剤として魚ゼラチンを使用することについての開示または示唆はない。
【0009】
米国特許第5,145,684号および第5,510,118号には、粒径をサブミクロンの範囲に維持するために非架橋表面改質剤を使用する、溶解性の低い薬剤のナノ粒子を生成するための湿式粉砕法が記載されている。好ましい表面改質剤としては、非イオン性およびアニオン性の界面活性剤などが挙げられるが、いずれの開示も、表面改質剤がゼラチンを含む医薬添加剤の長いリストから選択されうることを示している。しかし、ナノ粉砕中のナノ粒子安定剤および/または凍結乾燥中のナノ粒子安定剤として魚ゼラチンを使用することについての開示または示唆はない。
【0010】
米国特許出願公開第2005/0031691号には、約2000nm未満の活性剤と、少なくとも1種の表面安定剤と、ゲル化剤とを含有する組成物が開示されており、そこでは、ゼラチンは、剤形内のゲル化を促進するための保水助剤として機能する。この系は、多様な剤形に成形されうる組成物を提供するために請求されている。しかし、ナノ粉砕中のナノ粒子安定剤および/または凍結乾燥中のナノ粒子安定剤として魚ゼラチンを使用することについての開示または示唆はない。
【0011】
液体のナノ懸濁液を、好ましい分散性(互換可能に、速分散性、速溶性、速崩性、急速崩壊性と記載される)を有する固体製品に変えるための凍結乾燥の使用は、WO 99/38496、米国特許第5,302,401号、WO 2004/043440、および米国特許第6,316,029号に開示されている。全ての開示により、ゼラチンを剤形中に含有させてもよいことが示されている。しかし、例えば魚から抽出されるゼラチンのように、1種の供給源のゼラチンに関連した特有の利点についての開示または示唆はない。
【0012】
WO 99/38496には、速溶性マトリックスを生成する可能性のある薬剤の長いリストの中でゼラチンが開示されている;しかし、ナノ懸濁液生成中に、または速溶性マトリックスの製造中のナノ粒子安定剤として、魚ゼラチンを使用することについての開示または示唆はない。
【0013】
米国特許第5,302,401号には、ナノ粒子表面改質剤の安定剤としてのゼラチンの使用が開示されている。しかし、凍結保護剤(米国特許第5,302,401号において、リュフィリゼーションによって引き起こされるナノ粒子の凝集を防ぐ薬剤として定義されている)は、好ましくは炭水化物である、別個の成分として開示されている。さらに、この凍結保護剤分子は、予め生成したナノ懸濁液に添加され、凍結乾燥されたナノ粒子の生成に成功するためには、ナノ粉砕と凍結乾燥との間で配合を変えることが重要であることが示唆される。
【0014】
WO 2004/043440には、リュフィリゼーション法を使用してナノ粒子を含有する速崩性の錠剤を生成するためにプルラン(高分子炭水化物)と組み合わせての、1種または複数の表面安定剤分子、例えばゼラチンなど、の使用も開示されている。プルランは、凍結乾燥前に、予め調製されたナノ懸濁液に添加され、表面安定剤としてまたは他のいかなる作用のためにも、いずれにしても、ナノ懸濁液生成前にプルランを添加することについての記載はない。しかし、ナノ粉砕中のナノ粒子安定剤および/または凍結乾燥中のナノ粒子安定剤として魚ゼラチンを使用することについての開示または示唆はない。
【0015】
米国特許第6,316,029号には、ナノ粒子を含有する急速崩壊性の剤形を生成するように加工された、水溶性または水分散性の添加剤(一例として特定されるゼラチンで)と組み合わせての少なくとも1種の表面安定剤(一例として特定されるゼラチンで)の使用が開示されている。しかし、これは、ナノ粉砕中のナノ粒子安定剤および/または凍結乾燥中のナノ粒子安定剤として魚ゼラチンを使用することを開示も示唆もしていない。さらに、これは、凍結乾燥の間にナノ粒子サイズを確実に維持するための安定化剤の必要性を開示していない。
【0016】
米国特許第6,709,669号には、医薬有効成分と、担体としての魚ゼラチンとを含有する、速分散性の剤形の、凍結乾燥を使用した調製法が開示されている。この方法に魚ゼラチンを使用することの利点は、より速い崩壊時間、より良好な味および口あたり、ならびにより短い製造工程所要時間として確認される。しかし、これは、ナノ粒子を含有する固体剤形を、または粒径を小さくしてナノ粒子を生成する際にもしくはナノ粒子系の凍結乾燥の際に魚ゼラチンを使用することの利点を、開示も示唆もしていない。さらに、ナノ粒子の安定化を含む、魚ゼラチンのいかなる種類の安定化の性質についても開示または示唆はない。
【0017】
本発明者らは、ナノ粉砕中のナノ粒子安定剤および凍結乾燥中のナノ粒子安定剤の双方として魚ゼラチンを使用するナノ粒子状固体経口剤形の生成を教示または示唆するいかなる従来技術も知らない。さらに、質的および量的な添加剤組成をナノ粉砕工程と凍結乾燥工程との間で大きく調整する必要のない、ナノ粒子状固体経口剤形を製造する方法についての既知の開示または示唆はない。例えば、Rapamune(登録商標)の製造方法に関する、パブリックドメインの情報には、医薬有効成分シロリムスを安定剤の存在下で湿式粉砕によってナノメートルの大きさまで小さくすることが記載されている。次いで、このナノ分散液を、糖をコーティングする懸濁液に添加して、予めシェラックでオーバーコーティングした不活性な錠剤コアにコーティングする。もう1つの例は、Emend(登録商標)の製造方法であり、そのために、水、医薬有効成分アプレピタント、ならびにヒドロキシプロピルセルロース(立体化学的安定剤)およびラウリル硫酸ナトリウム(イオン性安定剤)のスラリーを媒体粉砕してコロイド状分散液を生成する。固体剤形に変えるために、この分散液にスクロースを添加して、その後、分散液を微結晶性セルロースビーズ上に噴霧する。双方の方法は、ナノ分散液を生成する工程とナノ粒子を含有する固体剤形を生成する工程との間で、質(すなわち、添加剤の数)および量(すなわち、添加剤の割合)における実質的な変更を明らかに必要とする。http://www.emea.europa.eu/にあるEuropean Medicines Agencyウェブサイトから入手可能な、製品特有の科学的な説明書を参照されたい。理解されうるように、ナノ粒子状製品のための現在の商業的な組成および方法は複雑である。さらに、当業者は、これらの組成物または方法が、全ての医薬有効成分に適切なわけではないことを認識するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,932,245号
【特許文献2】米国特許第5,145,684号
【特許文献3】米国特許第5,510,118号
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0031691号
【特許文献5】WO 99/38496
【特許文献6】米国特許第5,302,401号
【特許文献7】WO 2004/043440
【特許文献8】米国特許第6,316,029号
【特許文献9】米国特許第6,709,669号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Water Insoluble Drug Formulation、Rong Liu編、CRC Press、第2版、1頁(2008)
【非特許文献2】European Medicines Agencyウェブサイト(http://www.emea.europa.eu/)
【非特許文献3】Martindale;The Complete Drug Reference(The Pharmaceutical Press 第35版 2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
現在、複雑な製法を必要としない方法によって作製されるナノ粒子を含有する代替の経口固体剤形に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、ナノ粒子を含有する経口固体剤形を調製する方法を目的としており、該方法は、(a)魚ゼラチンを含有する溶液中に分散される少なくとも1種の医薬有効成分の粒径を小さくしてナノ懸濁液を生成する工程と、(b)工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して該経口固体剤形を生成する工程とを含む。
【0022】
本発明は、(a)魚ゼラチンを含有する溶液中に分散される少なくとも1種の医薬有効成分の粒径を小さくしてナノ懸濁液を生成する工程と、(b)工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して経口固体剤形を生成する工程とを含む方法によって作製される、ナノ粒子を含有する経口固体剤形も目的としている。
【0023】
また、本発明は、少なくとも1種のナノ粒子状有効成分と魚ゼラチンとを含む、凍結乾燥された経口固体剤形も目的としている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、魚ゼラチンとナノ粒子状の形態の医薬有効成分とを含有する経口固体剤形に関する。本発明は、該方法の工程の間に添加剤の組成調整を必要とせずに、こうした形態を作製する効率的な、強力な方法にさらに関する。換言すれば、同添加剤-魚ゼラチン-を、粒径を小さくする工程および凍結乾燥工程を促進するために使用することができる。
【0025】
本発明の第1の実施形態は、ナノ粒子を含有する経口固体剤形を調製する方法を目的としており、該方法は、(a)魚ゼラチンを含有する溶液中に分散される少なくとも1種の医薬有効成分の粒径を小さくしてナノ懸濁液を生成する工程と、(b)工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して該経口固体剤形を生成する工程とを含む。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「ナノ粒子」または「ナノ粒子状」とは、約1ミクロン未満の平均および/または中間の粒径値によって示されるように、主にサブミクロン領域に粒径分布を有する粒子を指す;より好ましくは、「ナノ粒子」または「ナノ粒子状」とは、本発明の目的のために好ましい(下記の)d50を有する粒子を指す。本明細書中で使用される場合、「固体剤形」とは、保存されるとき、取り扱われるときおよび患者に投与されるときに、主として固体状態の物理的性質(すなわち、密な、流れない、ガス状でない)を示す単位用量の医薬製品を指す。本明細書中で使用される場合、「経口」とは、口腔への投与または口腔を通した投与を指す。
【0027】
本発明の方法の第1の工程では、少なくとも1種の医薬有効成分を、魚ゼラチンを含有する溶液中に分散させて、ナノ懸濁液を生成するように処理する。粒径を小さくするために使用されるこの方法は、湿式粉砕またはホモジナイゼーションなどが挙げられるがこれらに限定されない、サイズを小さくする、高エネルギーのあらゆる方法でありうる。湿式粉砕法は、典型的には、きわめて硬く耐久性があり本質的に不活性な材料(例えば、ジルコニウム)から作製されたビーズを入れたチャンバーを通して懸濁液を循環させる、Dyno(登録商標)粉砕機(Glen Mills社、Clifton、NJ)などの媒体粉砕機を使用する。高エネルギーの運動および粉砕媒体と懸濁された医薬有効成分との衝突により、医薬有効成分の粒径を著しく小さくさせることになる。ホモジナイゼーション法では、研究室の高圧ホモジナイザー、例えば、Niro Soavi(Bedford、NH)製のものまたはMicrofluidics International社(Newton、MA)によって製造されるM-110Y Microfluidizer(登録商標)などを使用して達成されうるように、高圧、高剪断力および高ストレスからの複合エネルギーを使用して懸濁相の粒径を小さくする。本明細書中で使用される場合、「ナノ懸濁液」とは、溶液中に分散されて均一に懸濁されたナノ粒子を指す。
【0028】
医薬有効成分が分散される(かつ最終的には、サイズを小さくした後に、ナノ粒子が懸濁される)溶液は、知られているいずれの方法によっても生成することができる。最も典型的には、該魚ゼラチンを、好適な溶媒に添加する。好適な溶媒としては、限定されるものではないが、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール)、グリセリン、ポリエチレングリコール、脂質油(例えば、オリブ油、ピーナッツ油、または、主成分としてモノ-、ジ-および/もしくはトリ-グリセリドを含有するあらゆる脂質混合物)、およびこれらの組合せなどが挙げられる。ナノ粒子としての製剤化に最も受け入れられる医薬有効成分は、典型的には難水溶性であるので、水は好ましい溶媒である。
【0029】
他の医薬添加剤を、魚ゼラチンを含有している溶媒に添加することもできる。一例は、医薬有効成分懸濁液に最適な条件を維持するために、pHを変更または緩衝する成分を入れることである。他の医薬添加剤を、本明細書に記載の方法の間に、ナノ粒子の生成および安定化以外の生成物の特性に影響させる目的で、医薬有効成分を添加する前に該溶液中に含めることもできる。こうした医薬添加剤の例としては、増量剤(例えば、ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、トレハロース、フルクトース、グルコース、マルトース、マンニトール、イソマルト、グリシン、マルトデキストリン、微結晶性セルロース)、化学的安定性促進剤(例えば、抗酸化剤、キレート化剤、イオン交換樹脂、α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリンまたは置換された環状のα-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、加工デンプン)、粘度調整剤(例えば、牛ゼラチン、豚ゼラチン、アルギン酸塩、カラギーナンガム、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、プルラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース)、甘味剤(例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソルビトール、キシリトール、マグナスイート、タウマチン)、人工または天然由来の香味剤、着色剤、およびこれらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。1種または複数のpH調節剤または緩衝剤をさらに添加することもでき、その例としては、無機酸(例えば、塩酸硫酸、リン酸)、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム)、有機酸(例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、ホウ酸、エデト酸、グルクロン酸、グルタル酸、リンゴ酸、ギ酸、グルコン酸、アスコルビン酸または脂肪酸)、および/または有機塩基(例えば、エタノールアミン、トリエタノールアミン)などが挙げられるが、これらに限定されず、これらは全て、対応する対イオン(すなわち、無機酸の塩、有機酸の塩または有機塩基の塩)と共にまたはそれなしのいずれでも使用することができる。当業者は、工程(a)の溶液/ナノ懸濁液中に存在する場合の、他の医薬添加剤の適切な量を容易に決定することができる。
【0030】
本発明における使用に好適な魚ゼラチンは、希釈溶液として調製されるときにゲル化していない、魚から抽出された加水分解されていないあらゆるゼラチンである-換言すれば、一般に、当業者によって、ゲル化しておらず、かつ加水分解されていないとみなされるあらゆる魚ゼラチンである。ゼラチンの説明の文脈において、好ましく希釈するとは、水中で約10%またはそれ未満のゼラチン濃度を指す。本発明において使用される魚ゼラチンは、単一のグレードまたは複数の魚ゼラチングレードの混合物を含んでいてもよく、その全ては、ゲル化しておらず、かつ加水分解されていないものである。本明細書中で使用される場合、「複数」とは、2以上、すなわち、2、3、4、5などを指す。魚ゼラチンは、例えば、2種のグレードの魚ゼラチン:乾燥魚ゼラチン(DFG)および標準分子量(SMW)魚ゼラチンを流通させているNorland Products社(Cranbury、NJ)などの販売業者から入手することができる。工程(a)の溶液中に存在する魚ゼラチンの量は、該溶液の重量に対して、好ましくは約0.1%から約30%まで、より好ましくは約0.5%から約20%まで、最も好ましくは約1.0%から約10%までの範囲に及ぶ。
【0031】
本発明の目的のために、室温において固体状態で存在するあらゆる医薬有効成分を使用することができる。本明細書中で使用される場合、「医薬有効成分」とは、医薬製品としての使用のための、または疾患の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防において使用することができる製剤への、可能性を示すまたは証明された適用例のある、薬理活性を有する化学成分を指す。最も有利には、本発明は、難水溶性を有する医薬有効成分を製剤化するために使用されるであろう。「難溶性」という用語は、当業者に容易に理解され、多くの方法で定義される。「難溶性」の1つの一般的な定義は、溶解度が水相中で約1mg/mL未満である固体状態の医薬有効成分である。<1mg/mLの判定基準は、固有の溶解度データ、すなわち、純粋な水かまたは約1から8までの間の値でpHを調節するための緩衝剤のみを含有する水のいずれかにおける周囲温度で溶解度が決定される、純粋な、安定な形態の医薬有効成分において生成されるデータ、に基づいて特定される。好適な医薬有効成分としては、限定されるものではないが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、ナブメトン)、鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン、フェナセチン)、5-アルファ-レダクターゼ阻害薬、5-アミノサリチラート、5HT3受容体拮抗薬、ステロイド、気管支拡張薬、アルドステロン受容体拮抗薬、アルキル化薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、抗アメーバ薬、アミノグリコシド、アンドロゲンおよびアナボリックステロイド、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンII阻害薬、食欲抑制薬、制酸薬、駆虫薬、抗感染薬、抗アドレナリン作動薬、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗コリン薬、抗凝固薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、止瀉薬、抗真菌薬、抗痛風薬、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、抗高尿酸血症薬、抗マラリア薬、抗代謝薬、抗片頭痛薬、抗パーキンソン薬、抗血小板薬、抗菌薬、抗乾癬薬、抗精神病薬、抗リウマチ薬、防腐薬および殺菌薬、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静薬、および催眠薬、抗痙攣薬、ベータ-アドレナリン遮断薬、胆汁酸捕捉剤、ビスホスホネート、気管支拡張薬、カルシウムチャネル遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、セファロスポリン、キレート薬、ケモカイン受容体作動薬、ケモカイン受容体拮抗薬、クロライドチャネル活性化剤、コレステロール吸収阻害薬、コレステロール低下薬(例えば、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸)、コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬、避妊薬、cox-2阻害薬、鬱血除去薬、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬、利尿薬、ドーパミン作動薬、第Xa因子阻害薬、ガンマ-アミノ酪酸類似体、ガンマ-アミノ酪酸再取り込み阻害薬、胃腸薬、麻酔薬および他の痛みを調節する薬、糖タンパク質血小板阻害薬、ピロリ菌(H.pylori)撲滅薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、ホルモン、免疫薬、免疫抑制薬、インポテンス薬、インクレチン模倣薬、変力薬、ケトライド、緩下薬、ロイコトリエン調節薬、メグリチニド、代謝薬、メチルキサンチン、鉱質コルチコイド、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、mTORキナーゼ阻害薬、筋弛緩薬、ノイラミニダーゼ阻害薬、神経筋遮断薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬、ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NRTI)、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、ペニシリン、末梢オピオイド受容体拮抗薬、末梢血管拡張薬、末梢に作用する肥満防止薬、プロラクチン阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、プロトンポンプ阻害薬、精神療法薬、レニン阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、セロトニン作動性神経腸調節薬(serotoninergic neuroenteric modulators)、スタチン、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、甲状腺薬、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、血管拡張薬、バソプレッシン拮抗薬、ビタミン、抗癲癇薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン薬、抗腫瘍薬、抗原虫薬、抗リウマチ薬、抗甲状腺薬、神経遮断薬、心臓変力薬、鎮咳薬、細胞毒性薬、酵素、脂質調節薬、硝酸塩、栄養剤、経口ワクチン、タンパク質、ペプチド、組換え薬、刺激薬およびこれらの組合せなどが挙げられる。これらのクラスの薬剤に分類される市販の医薬有効成分についての説明は、参照により本明細書にその開示内容全体が組み込まれている、Martindale;The Complete Drug Reference(The Pharmaceutical Press 第35版 2007)の中で見出すことができる。また、これらのクラスのうち多くの特定の実施例の一覧を参照により本明細書にその開示内容全体が組み込まれている、米国特許第6,709,669号の中で見出すこともできる。
【0032】
工程(a)の溶液中に存在する医薬有効成分の量は、該溶液の重量に対して、好ましくは約1%から約50%まで、より好ましくは約2%から約45%まで、最も好ましくは約5%から約40%までの範囲に及ぶ。工程(a)の溶液/ナノ懸濁液中に存在する医薬有効成分の量は、最終製品の経口固体剤形において医薬的有効量の医薬有効成分を提供するのに適切な量である。本明細書中で使用される場合、「医薬的有効量」とは、診断、治癒、緩和、治療または予防において望ましい薬理作用をもたらすために必要とされる量を指す。当業者は、適切な医薬的有効量を容易に決定することができる。
【0033】
本発明の方法の工程(a)の間に、該懸濁液を、必要な場合には再利用することもでき、かつ望ましいナノ粒子サイズの有効成分が得られるまで粒径を小さくする該方法を継続することもできる。ナノ懸濁液中のナノ粒子のサイズは、典型的には、例えば、Malvern Mastersizer 2000粒径分析計(Malvern Instruments、Westborough MA)を使用するレーザー光回折法などの、よく知られた技術を使用して測定される。粒径測定値は、典型的には、体積加重中央値としても知られる、全粒子の体積の50%を見出すもの以上および以下のサイズを表すパラメータである、d50などのパラメータを使用して記載される。したがって、d50は、中央粒径値である。本発明によれば、該溶液を、好ましくは約1nmから約900nmまで、より好ましくは約10nmから約800nmまで、最も好ましくは約50nmから約700nmまでの範囲に及ぶd50が達成されるまで粉砕する。
【0034】
一度ナノ懸濁液を得たら、本発明の方法の工程(b)の前に、特定の任意選択の工程を行うこともできる。例えば、最終製品において特定の用量を達成するなどの目的で、ナノ懸濁液を希釈して望ましい体積にすることもできる。もう1つの例として、少なくとも1種のさらなる医薬添加剤を添加することもできる。本発明の利点のうちの1つは、高分子またはイオン性の安定剤などのいかなるさらなるナノ粒子安定剤も添加する必要なく、工程(a)から工程(b)に進められることであるので、ナノ懸濁液の達成後に添加されるこうしたさらなる医薬添加剤は、ナノ粒子安定化とは無関係な機能性を付与するものであってもよい。したがって、本発明の特定の実施形態では、工程(a)のナノ懸濁液に、または工程(b)の間に、さらなるナノ粒子安定剤を添加しない。しかし、同時に、当業者は、多くの医薬添加剤が二機能性または多機能性であることを容易に理解するであろう。したがって、認識されるナノ粒子安定化の性質を有しうる、医薬添加剤を、他の機能性を提供するために添加することもできる。こうした医薬添加剤の例としては、増量剤(例えば、ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、トレハロース、フルクトース、グルコース、マルトース、マンニトール、イソマルト、グリシン、マルトデキストリン、微結晶性セルロース)、化学的安定性促進剤(例えば、抗酸化剤、キレート化剤、イオン交換樹脂、α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリンまたは置換された環状のα-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、加工デンプン)、粘度調整剤(例えば、牛ゼラチン、豚ゼラチン、アルギン酸塩、カラギーナンガム、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム)、甘味剤(例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソルビトール、キシリトール、マグナスイート、タウマチン)、人工または天然由来の香味剤、着色剤、pH調節剤、およびこれらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、工程(b)の前または間に他の医薬添加剤が工程(a)のナノ懸濁液に添加される場合には、その適切な量を容易に決定することができる。
【0035】
本発明の方法の第2の工程では、工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して経口固体剤形を生成する。本発明の好ましい一実施形態では、工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥の前に単回単位用量に分注する。分注は、懸濁液の既知の体積または質量を正確に分配する、手動または自動のあらゆる方法、例えば、ポジティブディスプレイスメント式ピペットまたはペリスタ式調剤ポンプセットなどを使用して行うことができる。工程(a)のナノ懸濁液は、フリーズドライヤーに移すことができ、凍結乾燥法に耐えうる、例えば、ポケットの有るもしくはないバルクトレイ、単位-用量のバイアルまたは予め形成させた投与装置(例えば、注射器)などの、あらゆる容器内に調剤することができる。最も一般的な例は、凍結乾燥された最終製品に規定の大きさおよび形状を与えることになるブリスターポケットまたはモールドの予め形成させたトレーである。凍結乾燥は、本発明によれば、よく知られた技術を使用する任意の従来方式で達成される。凍結乾燥は、生成物中の溶媒相(典型的には水)を順次に凍結させて固体相(凍結)を生成し、その後、真空下で凍結相を乾燥させて、昇華(リュフィリゼーション)を介して溶媒(典型的には水)を除去させる、任意の方法として定義される。リュフィリゼーションという用語は、凍結乾燥法を記載するためにも使用することができる。凍結工程および乾燥工程の継続時間、ならびにいずれかの工程段階の前または後のいずれかでの保持時間またはアニール時間のさらなる必要性は、所与の生成物の固有の性質によって示されることになり、当業者によって容易に決定されるであろう。当分野において認識されているように、凍結工程および乾燥工程は、必要に応じて、別個の装置または同一の装置を使用して行うことができる。例えば、分注したナノ懸濁液を、静的なフリーザーユニット(例えば、Air Products and Chemicals社、Allentown、PA、製のCryo Freezer CM2000)を使用して凍結させてもよく、または凍結トンネル、例えばAir Products and Chemicals社製のものなどを使用してもよい。フリーザーと予め冷却した凍結乾燥機(lyophilizer)との間で生成物を移すときに、生成物を凍結状態に維持するために必要な取扱い上の注意を払うのであれば、凍結
ナノ懸濁液を、予め冷却した凍結乾燥機に移すことができる。本発明に適した凍結乾燥機の例は、FTS Lyostar II(SP Industries、Warminster、PA)またはUsifroid SMH90(Usifroid、Paris、France)であるが、例えば氷昇華を引き起こすように、時間と共に棚温度およびチャンバー圧力を調節する能力を有するいかなる凍結乾燥機もこの目的に好適であろう。装置が、必要とされる速度で必要とされる温度まで生成物を凍らせる機能性を有する限りは、FTS Lyostar IIまたはUsifroid SMH90などの凍結乾燥機のみを使用して、凍結工程および乾燥工程の双方を行うことも可能である。本発明のために、別個のフリーザーおよび凍結乾燥機の使用または凍結乾燥機単独での使用のいずれの選択も可能である。
【0036】
凍結中の氷形成の速度が凍結乾燥される物質の物理的性質に影響を与えることは、当分野においてよく認識されている。一般に、冷却速度が遅いほど大きな氷晶が生成され、結果として、乾燥後、凍結乾燥された固体の構造内により大きな小管または細孔が開かれることになる。大きな小管が望ましいように思われるかもしれないが、こうした構造は物理的な強さに欠くことが多いので、より速い冷却速度が望ましい場合もある。したがって、現実的な凍結乾燥された製品を生成するためには、凍結条件を注意深く選択しなければならない。凍結乾燥されるナノ懸濁液の場合、凍結現象は、局所的な環境において、すなわち、懸濁されたナノ粒子の表面の内側および周囲に、著しい力学的ストレスおよび熱エネルギーを生じるので、ナノ粒子凝集の最も大きいリスクは凍結に存在することが知られている。凍結に対するナノ粒子の感受性ならびに最終製品の性状を決定する際の凍結の重要性を認識すると、単一の添加剤、魚ゼラチンが、ナノ粒子安定剤として非常に効果的に機能して、好ましい湿潤性および崩壊性を有する凍結乾燥基質を生成しうることは注目すべきことである。
【0037】
理論に拘束されることを望むものではないが、魚ゼラチンは、粉砕工程中および凍結乾燥工程中の双方で安定剤として作用すると考えられている。これらの双方の工程中の実施の助剤としての魚ゼラチンの有効性は、完全に予想外であった。以下の実施例および比較実施例からわかるであろうように、本方法における、他の種類のゼラチン、例えば、牛ゼラチンの使用は、安定化された経口固体剤形を生成しなかった。本明細書中で使用される場合、「安定化された」とは、加工中および長期保存中に医薬的に同等な粒径を維持するナノ粒子を含有する剤形を指す。ナノ粒子に対しての医薬的に同等な粒径の定義は、製品の性質および使用によって異なりうるが、一般的な指針は、d50粒径が参照粒径の±150nmの範囲内に維持され、かつ1ミクロン未満であることである。当業者は、「医薬的に同等」、すなわち、医薬的有効性の点で同等であるという用語を容易に理解するであろう。
【0038】
有利なことには、魚ゼラチンの使用により、他の一般的に使用されるイオン性安定剤、例えばポリソルベート80およびラウリル硫酸ナトリウム(SLS)などに関連する不快な味の問題も回避される。本発明の好ましい一実施形態では、ナノ粒子を含有する固体経口剤形は、ポリソルベート80およびラウリル硫酸ナトリウムなどの従来のイオン性安定剤を実質的に含んでいない。本明細書中で使用される場合、「実質的に含んでいない」とは、本発明の固体経口剤形中のいかなるこうした安定剤も約0.1重量%未満であることを指す。本方法は、途中の過程、例えば、凍結乾燥工程の前に、ナノ懸濁液の著しい変更が必要とされないので、商業効率および簡略化された製造方法も提供する。換言すれば、凍結乾燥工程である工程(b)に特別に必要とされるさらなる添加剤はない。
【0039】
本発明者らは、予め形成させたブリスター中で懸濁液を凍結乾燥する前に、予め形成させたブリスター中にナノ懸濁液を分注する好機があることによって、ナノ粒子を含有する凍結乾燥錠を、薬学的に許容される包装材料の中に直接に調製する効率的な方法が可能となることを見出した。凍結乾燥製品は、保存の上で湿気に影響されやすいことがよく知られているので、予め形成させるブリスターを、湿気から保護する包装材料を使用して作製する好機があると最も有利である。代替的に、ナノ粒子を含有する凍結乾燥錠を、この方法の工程(b)の間に使用されるトレーポケットから取り出すこともでき、さらに加工および梱包して現実的な最終製品を生成することもできる。
【0040】
本発明の第2の実施形態では、上述した本発明の第1の実施形態の方法によって、ナノ粒子を含有する経口固体剤形を生成する。本発明の第3の実施形態は、少なくとも1種のナノ粒子状医薬有効成分と魚ゼラチンとを含む、凍結乾燥された、経口固体剤形を目的としている。魚ゼラチン、医薬有効成分、および任意選択のさらなる添加剤の特定に関する詳細は、第1の実施形態について上述したものと同様である。
【0041】
本発明の固体経口剤形のナノ粒子状医薬有効成分のd50は、好ましくは約1nmから約900nmまで、より好ましくは約10nmから約800nmまで、最も好ましくは約50nmから約700nmまでの範囲に及ぶ。本発明の第2または第3の実施形態の固体経口剤形中に存在する魚ゼラチンの量は、該固体経口剤形の重量に対して、好ましくは約0.5%から約99%まで、より好ましくは約1%から約75%まで、最も好ましくは約5%から約50%までの範囲に及ぶ。本発明の第2または第3の実施形態の固体経口剤形中に存在する医薬有効成分の量は、上に定義したような医薬的有効量であり、該固体経口剤形の重量に対して、好ましくは約0.1%から約90%まで、より好ましくは約1%から約80%まで、最も好ましくは約2%から約75%までの範囲に及ぶ。
【0042】
本発明の固体経口剤形は、速崩性を示してもよい。本明細書中で使用される場合、「速崩性」とは、in vitroの試験条件(例えば、37℃の水性媒体を用いたUSP崩壊装置)を使用して測定された、好ましくは3分間以下、より好ましくは2分間以下、最も好ましくは1分間以下の崩壊時間を指す。この物理的性質の理由は、凍結乾燥およびより詳細にはリュフィリゼーションによって生じる高度に多孔性の固体構造によってその固体の崩壊性が増強されるからである。崩壊は、ナノ粒子の溶解およびin vivoでの医薬有効成分の吸収に必要であるので、最終製品のこの性状は、ナノ粒子を含有する剤形には特に有益である。ナノ粒子状剤形を開発する主な目的が医薬有効成分の溶解の速度および程度を高めることであることを認識すると、速い湿潤および速い崩壊の挙動により、高性能の製品を作製することがさらに可能となるであろう。難溶性の医薬有効成分の大部分は湿潤および崩壊の挙動が弱い傾向にあることは当業者に明らかであろうので、難溶性の物質で急速な崩壊を達成することは、凍結乾燥された本発明の剤形の注目すべき利点である。重要なことに、これらのナノ粒子状剤形の急速な崩壊およびナノ粒子サイズはいずれも、25℃で3ヶ月間またはそれ以上の延長された保存後も維持される。3ヶ月間またはそれ以上熟成させた固体剤形におけるナノ粒子のこの同等性により、魚ゼラチンによって物理的に強力な剤形の生成が可能となることが示される。
【0043】
薬物動態学的な必要性ならびに患者の要求に合った特定の崩壊性を達成するために、本発明を使用して作製された製品を標的とした崩壊時間を操作することができる。こうした操作は、製剤および方法のパラメータ、例えば、薬剤の配合、添加剤の含有量、魚ゼラチンの他に加えた添加剤の種類、およびさらに単位のサイズおよび大きさなどを変更することによって達成されることになる。ナノ粒子を含有する、凍結乾燥された最終製品は、経口崩壊錠、口内分散錠、速放錠、徐放錠、咀嚼錠、舌下錠、バッカル錠、生体接着錠、カプレット剤、舐剤、再構成用の粉末、再構成用の顆粒、または再構成用の錠剤を含むがこれらに限定されない、当業界で定義されている複数の製品カテゴリーに添っていてもよい。患者の期待ばかりではなく、多様な製品カテゴリーが政府規制機関によって示されているが、本発明を使用して生成される可能性がある全ての製品は、少なくとも1種のナノ粒子状医薬有効成分と魚ゼラチンとを含む、凍結乾燥された経口固体剤形を含むであろう。
【0044】
これから、以下の実施例を参照することによって、本発明の特定の実施形態を実証していく。これらの実施例は、本発明を例示するために開示されているものであると理解されるべきであり、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。
【0045】
(実施例)
(実施例1Aおよび1B)
有効成分ナプロキセンと、ナノ安定剤として添加剤魚ゼラチン(Norland Products社製のSMW魚ゼラチングレード-実施例1A;およびNorland Products社製のDFGグレード-実施例1B)と、増量剤としてマンニトールとを含む経口固体剤形を調製した。5%魚ゼラチンおよび3%マンニトールの水溶液を調製した;次いで、ナプロキセンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のナプロキセン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 1(表1)に記載の粒径パラメータを有するナプロキセン粒子を含有していた。この実施例および全ての実施例では、NIST標準をサブミクロン範囲で使用して同じ日に較正を行う、Malvern Mastersizer 2000を使用して粒径データを作製した。全てのナノ懸濁液の解析および固体経口剤形試験のために、水性分散剤を超音波処理様式で使用した。
【0046】
【表1】

【0047】
Table 1(表1)からわかるように、2種の異なるグレードの魚ゼラチンは、ナプロキセンのような酸性難溶性薬剤のナノ粉砕中および凍結乾燥単位のいずれにおいても有効なナノ粒子安定剤であった。
【0048】
(実施例2)
有効成分インドメタシンと、ナノ安定剤として添加剤魚ゼラチン(Norland Products社製のDFGグレード)と、増量剤としてマンニトールとを含む経口固体剤形を調製した。5%魚ゼラチンおよび3%マンニトールの水溶液を調製した;次いで、インドメタシンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のインドメタシン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 2(表2)に記載の粒径パラメータを有するインドメタシン粒子を含有していた。
【0049】
【表2】

【0050】
Table 2(表2)からわかるように、魚ゼラチンは、インドメタシンのような酸性難溶性薬剤のナノ粉砕中および凍結乾燥単位において有効なナノ粒子安定剤であった。
【0051】
(実施例3)
有効成分フェナセチンと、添加剤魚ゼラチン(Norland Products社製のSMW魚ゼラチングレード)と、マンニトールとを含む経口固体剤形を調製した。5%魚ゼラチンおよび3%マンニトールの水溶液を調製した;次いで、フェナセチンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のフェナセチン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 3(表3)に記載の粒径パラメータを有するフェナセチン粒子を含有していた。
【0052】
【表3】

【0053】
Table 3(表3)からわかるように、魚ゼラチンは、フェナセチンのような塩基性の薬剤に対してさえも、粉砕中およびさらに凍結乾燥においても有効なナノ粒子安定剤であった。これらのデータにより、魚ゼラチンによる安定化は、異なる酸/塩基の性質を有する医薬有効成分に実行可能であることが示唆される。
【0054】
(実施例4)
有効成分フェノフィブラートと、ナノ安定剤として魚ゼラチン(Norland Products社製のDFGグレード)とを、さらなる医薬添加剤と共に含む経口固体剤形を調製した。5%魚ゼラチン、3%マンニトール、0.5%スクラロースおよび0.5%ミント香味剤の水溶液を調製した;次いで、インドメタシンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のフェノフィブラート濃度は、14.5重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において2.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 4(表4)に記載の粒径パラメータを有するフェノフィブラート粒子を含有していた。
【0055】
【表4】

【0056】
Table 4(表4)からわかるように、魚ゼラチンは、遊離酸として難水溶性の医薬有効成分である、フェノフィブラートの粉砕および凍結乾燥中に有効なナノ粒子安定剤であった。
【0057】
(実施例5)
有効成分ナプロキセンと、添加剤魚ゼラチン(Norland Products社製のDFGグレード)とを含む経口固体剤形を調製した。5%魚ゼラチンの水溶液を調製した;次いで、ナプロキセンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のナプロキセン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 5(表5)に記載の粒径パラメータを有するナプロキセン粒子を含有していた。
【0058】
【表5】

【0059】
Table 5(表5)からわかるように、魚ゼラチンは、それ自体で、ナノ粉砕中およびさらに凍結乾燥された固体経口剤形中のナノ粒子を安定化するのに十分である。マンニトールは、この製品中のナノ粒子の安定化を達成するのに必要ではない。
【0060】
(実施例6)
有効成分ナプロキセンと、ナノ安定剤として添加剤魚ゼラチン(Norland Products社製のDFGグレード)と、増量剤としてマンニトールとを含む経口固体剤形を調製した。3%魚ゼラチンおよび2%マンニトールの水溶液を調製した;次いで、ナプロキセンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のナプロキセン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 6(表6)に記載の粒径パラメータを有するナプロキセン粒子を含有していた。
【0061】
【表6】

【0062】
Table 6(表6)からわかるように、(実施例1Aおよび1Bから、3%にまで低下させた)魚ゼラチンの濃度の変更は、ナノ粉砕中および凍結乾燥された固体経口剤形中のナノ粒子の安定化に有効であった。
【0063】
(比較実施例1Aおよび1B)
有効成分ナプロキセンと、添加剤牛ゼラチン(Gelitaにより提供された低ブルームグレードの酸性皮ゼラチン-1A;Weishardtから供給された低ブルームグレードの酸性皮ゼラチン-1B)とを含む経口固体剤形を調製した。3%牛ゼラチンおよび2%マンニトールの水溶液を調製した;次いで、ナプロキセンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のナプロキセン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 7(表7)に記載の粒径パラメータを有するナプロキセン粒子を含有していた。
【0064】
【表7】

【0065】
Table 7(表7)からわかるように、牛ゼラチンは、ナノ粉砕におけるナノ粒子の生成を可能にした。しかし、2種の牛ゼラチンのいずれも、凍結乾燥された固体経口剤形中のナノ粒子を安定化しなかった。
【0066】
(比較実施例2)
有効成分インドメタシンと、添加剤牛ゼラチン(Gelitaにより提供された低ブルームグレードの酸性皮ゼラチン)とを含む経口固体剤形を調製した。3%牛ゼラチンおよび2%マンニトールの水溶液を調製した;次いで、ナプロキセンをこの溶液に添加して、懸濁スラリーを生成した。この懸濁スラリーを、ジルコニウム粉砕媒体を含有する、600ccのチャンバーサイズのDyno(登録商標)粉砕機に入れた。粉砕スラリー中のインドメタシン濃度は、15重量%であった。この装置の初期設定の粉砕条件を使用して、再循環させている懸濁液において1.5時間粉砕を行った。結果として生じたバルクのナノ懸濁液を粉砕機から出し、Digispenseユニットを使用して調節されたIVEKポンプを使用して、250mgの単位用量を0.25mL容量のブリスターポケット内に正確に分注した。ブリスターポケットを、冷却剤として液体窒素を使用して3分間の凍結時間でAir Products CM2000フリーザー内で凍結させて、その後、予め冷却したフリーズドライヤーの棚に移すまでフリーザー内に保存した。Lyostar IIフリーズドライヤー内で、500mTorr未満の真空を使用して乾燥を行った。調製した経口固体剤形は、以下のTable 8(表8)に記載の粒径パラメータを有するナプロキセン粒子を含有していた。
【0067】
【表8】

【0068】
Table 8(表8)からわかるように、牛ゼラチンは、ナノ粉砕におけるインドメタシンナノ粒子の生成を可能にした。しかし、ナノ粒子は、凍結乾燥された固体経口剤形中で維持されず、d50は増大して1ミクロンを超えていた。
【0069】
試験
特定の条件下における、本実施例の経口固体剤形の崩壊時間の比較を、以下のTable 9(表9)に記載している。
【0070】
【表9】

【0071】
Table 9(表9)からわかるように、管理された条件下で3ヶ月間またはそれ以上の熟成を行った選択された原型を含め、凍結乾燥された経口固体剤形について11秒以下の崩壊時間が測定された。崩壊時間のデータは、900mLの37℃の水を崩壊試験媒体として使用して、USP in vitro崩壊試験装置を使用して作製した。各データセットについて5単位を試験しており、報告している崩壊時間は、明白な塊または固体が残っていないように5単位全てが崩壊した時間を表す。熟成試験を行ったこれらの原型では、粒径についても再試験しており、d50のデータもTable 9(表9)に示している。繰り返しの粒径データにより、測定した場合では、ナノ粒子のサイズが長期の保存で維持されることが確認される。
【0072】
本発明をその特定の実施形態に関して上に記載してきたが、本明細書に開示の本発明の概念から逸脱することなく、多くの変更、改変、および変形がなされうることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広義の範囲内に入る、こうした変更、改変、および変形を全て包含することが意図される。本明細書中に引用している全ての特許出願、特許、および他の公報は、参照によりその全体が組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を含有する経口固体剤形を調製する方法であって、
(a)魚ゼラチンを含有する溶液中に分散される少なくとも1種の医薬有効成分の粒径を小さくしてナノ懸濁液を生成する工程と、
(b)工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して前記経口固体剤形を生成する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記魚ゼラチンが、ゲル化していない、加水分解されていない魚ゼラチンであるか、またはゲル化していない、加水分解されていない複数の魚ゼラチンの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ懸濁液が、少なくとも1種の医薬添加剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種の前記医薬添加剤が、増量剤、化学的安定性促進剤、崩壊剤、粘度調整剤、甘味剤、香味剤、着色剤、pH調節剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の前記医薬有効成分が、1mg/mL未満の測定された溶解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ナノ粒子を含有する経口固体剤形であって、
(a)魚ゼラチンを含有する溶液中に分散される少なくとも1種の医薬有効成分の粒径を小さくしてナノ懸濁液を生成する工程と、
(b)工程(a)のナノ懸濁液を凍結乾燥して前記経口固体剤形を生成する工程と
を含む方法によって作製される、経口固体剤形。
【請求項7】
前記魚ゼラチンが、ゲル化していない、加水分解されていない魚ゼラチンであるか、またはゲル化していない、加水分解されていない複数の魚ゼラチンの組合せである、請求項6に記載の経口固体剤形。
【請求項8】
前記ナノ懸濁液が、少なくとも1種の医薬添加剤をさらに含む、請求項6に記載の経口固体剤形。
【請求項9】
前記少なくとも1種の医薬添加剤が、増量剤、化学的安定性促進剤、崩壊剤、粘度調整剤、甘味剤、香味剤、着色剤、pH調節剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の経口固体剤形。
【請求項10】
前記少なくとも1種の医薬有効成分が、1mg/mL未満の測定された溶解度を有する、請求項6に記載の経口固体剤形。
【請求項11】
少なくとも1種のナノ粒子状医薬有効成分と魚ゼラチンとを含む、凍結乾燥された経口固体剤形。
【請求項12】
前記魚ゼラチンが、ゲル化していない、加水分解されていない魚ゼラチンであるか、またはゲル化していない、加水分解されていない複数の魚ゼラチンの組合せである、請求項11に記載の凍結乾燥された経口固体剤形。
【請求項13】
少なくとも1種の医薬添加剤をさらに含む、請求項11に記載の凍結乾燥された経口固体剤形。
【請求項14】
前記少なくとも1種の医薬添加剤が、増量剤、化学的安定性促進剤、崩壊剤、粘度調整剤、甘味剤、香味剤、着色剤、pH調節剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の凍結乾燥された経口固体剤形。
【請求項15】
前記少なくとも1種の医薬有効成分が、1mg/mL未満の測定された溶解度を有する、請求項11に記載の凍結乾燥された経口固体剤形。

【公表番号】特表2013−505243(P2013−505243A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529814(P2012−529814)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/048588
【国際公開番号】WO2011/034809
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(501477831)アール.ピー. シェーラー テクノロジーズ エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】