説明

ナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、ナノ結晶膜被覆基板及びその製造方法

【課題】ナノ結晶を基板上に配列させる新規なナノ結晶の配列方法を提供する。
【解決手段】本発明のナノ結晶の配列方法は、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用して上澄み液を基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させる第3の工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、ナノ結晶膜被覆基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ結晶(ナノクリスタル)は、サイズに起因した特徴的な物性を発現し、新規材料としての応用が期待されている。特に、強誘電体であるチタン酸バリウム(BaTiO、BT)と常誘電体であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO、ST)とのヘテロ界面を有するBT/ST人工超格子薄膜では非常に大きな誘電特性を発現することが報告されており(非特許文献1)、これらの界面を三次元的にボトムアップすることができれば、さらなる巨大物性の発現が期待できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】T. Tsurumi et al., Sci. Technol. Adv. Mat., 5, 425-429 (2004)
【非特許文献2】S. Adireddy, C. Lin, B. Cao, W. Zhou, and G. Caruntu, Chem. Mater., 22, 1946-1948 (2010)
【非特許文献3】K. Fujinami, K. Katagiri, J. Kamiya, T. Hamanaka, and K. Koumoto, 2, 2080-2083 (2010)
【非特許文献4】永山国昭著、「自己集積の自然と科学」、丸善、1997年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献2に、チタン酸バリウムナノ結晶を合成する方法が報告されている。また、非特許文献3に、チタン酸ストロンチウムナノ結晶を合成する方法が報告されている。
【0005】
それらのナノキューブを含むナノ結晶を電子デバイス等に応用するには、基板上にナノ結晶を整列する技術の確立が望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ナノ結晶を基板上に配列させる新規なナノ結晶の配列方法、ナノ結晶からなる膜を基板上に作製する新規なナノ結晶膜の作製方法、基板がナノ結晶からなる膜で被覆されたナノ結晶膜被覆基板、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行なった結果、チタン酸バリウムナノ結晶、チタン酸ストロンチウムナノ結晶、又は、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶を非極性溶媒に分散させた溶液を遠心分離して得た上澄み液に、主に分子や非角型の粒子に対して用いられてきた移流集積法(非特許文献4参照)を適用することで、基板上にナノ結晶が二次元的に配列することを見出し、本発明に想到した。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1)チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、前記容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、前記上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用して前記上澄み液を前記基板の上方に濡れ拡がらせることによって前記ナノ結晶を前記基板上に配列させる第3の工程と、を有することを特徴とするナノ結晶の配列方法。
(2)前記第2の工程において、前記上澄み液は前記容器を遠心分離に供して得たものであることを特徴とする(1)に記載のナノ結晶の配列方法。
(3)前記チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶は溶液中で合成した後に、該溶液を第1の回転速度で遠心分離して沈殿物を回収することにより得られたものであり、前記容器の前記遠心分離の回転速度(第2の回転速度)は前記第1の回転速度よりも小さいことを特徴とする(2)に記載のナノ結晶の配列方法。
(4)前記チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶は前記容器に入れる前はその表面に有機カルボン酸が付着していることを特徴とする(1)から(3)のいずれか一つに記載のナノ結晶の配列方法。
(5)前記非極性溶媒はトルエン又はヘキサンであることを特徴とする(1)から(4)のいずれか一つに記載のナノ結晶の配列方法。
(6)前記非極性溶媒はトルエンとヘキサンの混合溶媒であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか一つに記載のナノ結晶の配列方法。
(7)前記混合溶媒はトルエンとヘキサンが2:1〜1:2の体積比で混合されていることを特徴とする(6)に記載のナノ結晶の配列方法。
(8)(1)から(7)のいずれか一項に記載のナノ結晶の配列方法によりナノ結晶を配列させた前記基板に対して、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すことを特徴とするナノ結晶の配列方法。
(9)チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、前記容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、前記上澄み液に基板の一端を浸漬させ、前記上澄み液が前記基板の上方に濡れ拡がる毛管現象を利用して、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜を前記基板上に作製する第3の工程と、を有することを特徴とするナノ結晶膜の作製方法。
(10)前記第2の工程において、前記上澄み液は前記容器を遠心分離に供して得たものであることを特徴とする(9)に記載のナノ結晶の作製方法。
(11)(9)又は(10)のいずれかに記載のナノ結晶膜の作製方法によりナノ結晶膜を作製した前記基板に対して、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すことを特徴とするナノ結晶膜の作製方法。
(12)(9)から(11)のいずれか一つに記載のナノ結晶膜の作製方法によって基板上にナノ結晶膜を作製することを特徴とするナノ結晶膜被覆基板の製造方法。
(13)前記基板が、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたことを特徴とする(12)に記載のナノ結晶膜被覆基板の製造方法。
(14)基板と、該基板上にチタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶が配列したナノ結晶膜と、を備えたことを特徴とするナノ結晶膜被覆基板。
【0009】
本発明において「ナノ結晶」とは、六面体状の結晶である、いわゆるナノキューブの他、ナノキューブの合成若しくは作製工程において同時に生成される、六面体の頂点が面取りされた不完全な六面体状の結晶をも含む。なお、この六面体の頂点が面取りされた不完全な六面体状の結晶は六面体状の結晶になる途上のものである。また、そのサイズとしてはチタン酸バリウム及び/又はチタン酸ストロンチウムが六面体状になりえるナノメートルサイズであれば、サイズは限定しないが、例えば、1〜20nm程度である。
【0010】
本発明の「ナノ結晶膜」は隙間がなく緻密な膜だけでなく、一部に隙間を有するものも含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用して上澄み液を前記基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させる第3の工程と、を有する構成を採用したので、非極性溶媒によってナノ結晶が凝集せずに分散した状態の溶液を遠心分離して得た上澄み液を用いて、基板上に、二次元的にナノ結晶(チタン酸バリウムナノ結晶、チタン酸ストロンチウムナノ結晶、又は、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶)を配列させることができる。すなわち、チタン酸バリウムナノ結晶、チタン酸ストロンチウムナノ結晶、又は、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶を用いることにより、三次元的なランダムな凝集をすることなく、二次元的に配列が可能となる。これは、ナノ結晶が集合したときに、結晶固有の結晶面を表面に露出していると、結晶面同士を併せて基板の表面に二次元的に並ぶと最も安定になることに起因する。ここで、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶について、それぞれのナノ結晶が別々の配列領域を形成することなく、個別に混合するように配列させることができる。また、二次元的にナノ結晶を配列させることができるので、ナノ結晶からなる単層膜を形成することができる。さらに、上澄み液に含まれるチタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶の量を増加したり、基板の固定角度(鉛直方向に対する傾斜角度)をより低めに設定したり、毛管現象を利用して上澄み液を濡れ拡がらせる時間(もしくは、上澄み液が蒸発するまでの時間)を長くしたり等の調整を行うことにより、二次元的にナノ結晶を配列させると共に、そのナノ結晶からなる配列膜上にさらにナノ結晶を配列させて層状の配列膜を積層することもできる。
【0012】
また、本発明のナノ結晶の配列方法によれば、上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用して上澄み液を前記基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させる第3の工程と、を有する構成を採用したので、基板の固定角度を変えるだけで毛管現象による上澄み液の濡れ拡がり速度を変えて、容易に配列速度を制御することができる。
【0013】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、第2の工程において、上澄み液を容器を遠心分離に供して得たものとすることにより、サイズがより均一なナノ結晶を配列させることができる。
【0014】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶は溶液中で合成した後に、該溶液を第1の回転速度で遠心分離して沈殿物を回収することにより得られたものであり、容器の前記遠心分離の回転速度(第2の回転速度)を第1の回転速度よりも小さいものとすることにより、第1の回転速度で沈殿しかつ第2の回転速度で沈殿しないナノ結晶だけが上澄み液の中に残るので、サイズがより均一なナノ結晶だけで配列を行うことができ、配列させやすい。このようにサイズが均一なナノ結晶を用いて配列させることにより、ナノ結晶同士のサイズの違いによって導かれるランダムな並び方や隙間などの配列欠陥をある程度防ぐことができる。
【0015】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶として容器に入れる前にその表面に有機カルボン酸が付着しているものを用いることにより、完全な六面体状のナノ結晶(すなわち、ナノキューブ)が多い上澄み液を用いることができるので、ナノ結晶が基板上に配列しやすい。すなわち、チタン酸バリウムナノ結晶又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶は成長初期において、表面エネルギーの一番小さな(111)面で囲まれた正八面体になるが、その八面体状のナノ結晶になる途中段階では(111)面のほかに、八面体状の頂点が面取りされた(100)面を最大6個有する形状の状態がある。この際、(111)面よりも(100)面の方が表面エネルギーが大きいために、オレイン酸等の有機カルボン酸の分子は(111)面よりも(100)面に吸着し易い。そのため、チタン酸バリウムナノ結晶又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶の合成において、オレイン酸等の有機カルボン酸が(100)面に付着した状態で結晶成長が進むことになる。この結果、(100)面は結晶成長が進みにくくなるのに対して、(111)面の結晶成長は有機カルボン酸分子に邪魔されずに進み、8個全ての(111)面の成長が進んで頂点を形成し、全体として立方形状になって完全な六面体状のナノ結晶となりやすい。このように固有の結晶面を露出し、形状を任意に整えたナノ結晶は、結晶面の表面エネルギーの相対的な関係を利用して、表面エネルギーを最小にするようにナノ結晶が作用するため、ナノ結晶の形状を利用して構造を組み立て(ボトムアップ)することが可能になる。
【0016】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、非極性溶媒をトルエン又はヘキサンとすることにより、トルエンを用いた場合には結晶を配列しやすく、また、ヘキサンを用いた場合には毛管現象が均一に展開しやすい。このように非極性溶媒のトルエン又はヘキサンを用いることにより、炭化水素化合物のような有機材料との親和性を付与することができる。表面を有機カルボン酸で覆われたナノ結晶は、当該非極性溶媒の中で、ひとつひとつが独立して安定して分散していることができる。
【0017】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、非極性溶媒をトルエンとヘキサンの混合溶媒とすることにより、結晶を配列しやすく、かつ、毛管現象が均一に展開しやすい。特に、トルエンとヘキサンが2:1〜1:2の体積比で混合されているのが好ましく、1:1の体積で混合されているのが最も好ましい。このように混合溶媒を用いて、その体積比を調節することにより、ナノ結晶の配列の程度や領域を調節することができる。
【0018】
本発明のナノ結晶の配列方法によれば、(1)から(7)のいずれか一つに記載のナノ結晶の配列方法によりナノ結晶を配列させた前記基板に対して、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すことにより、ナノ結晶を多層に積層することができる。すなわち、ナノ結晶が配列した単層(膜)上に、さらにナノ結晶を配列させて2層目、3層目・・のナノ結晶が配列した層(膜)を積層することができる。また、第1層目のナノ結晶の配列した膜に隙間がある場合に、その隙間を埋めること、もしくはその隙間を埋めつつ2層目、3層目等のナノ結晶が配列した層(膜)を積層することができる。
(1)から(7)のいずれか一つに記載のナノ結晶の配列方法では、ナノ結晶を二次元的に配列させることができるので、このように単層(膜)を積層して多層構造を形成することができる。
【0019】
ナノ結晶膜の作製方法によれば、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、前記上澄み液に基板の一端を浸漬させ、前記上澄み液が前記基板の上方に濡れ拡がる毛管現象を利用して、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜を前記基板上に作製する第3の工程と、を有する構成を採用したので、非極性溶媒によってナノ結晶が凝集せずに分散した状態の溶液を遠心分離して得た上澄み液を用いて、基板上に、三次元的な凝集をさせずに、二次元的にナノ結晶(チタン酸バリウムナノ結晶、チタン酸ストロンチウムナノ結晶、又は、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶)が配列した膜を作製することができる。
【0020】
また、本発明のナノ結晶膜の作製方法によれば、上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用して上澄み液を前記基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させる第3の工程と、を有する構成を採用したので、基板の固定角度(鉛直方向に対する傾斜角度)を変えるだけで毛管現象による上澄み液の濡れ拡がり速度を変えて、容易に配列速度を制御して配列が良好なナノ結晶膜を作製することができる。
【0021】
本発明のナノ結晶の作製方法によれば、第2の工程において、上澄み液を容器を遠心分離に供して得たものとすることにより、サイズがより均一なナノ結晶を配列させることができる。
【0022】
本発明のナノ結晶膜の作製方法によれば、(9)又は(10)のいずれかに記載のナノ結晶膜の作製方法によりナノ結晶膜を作製した前記基板に対して、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すことにより、ナノ結晶膜(層)を多層に積層することができる。すなわち、単層のナノ結晶膜(層)上に、さらに2層目、3層目等のナノ結晶膜(層)を積層することができる。また、第1層目のナノ結晶膜に隙間がある場合に、その隙間を埋めること、もしくはその隙間を埋めつつ2層目、3層目等のナノ結晶膜(層)を積層することができる。このようにして作製した膜の膜厚を積層回数で調節することが可能である。また、一層毎に膜の化学組成を制御できるので、チタン酸バリウムの層と、チタン酸ストロンチウムの層と、任意の組成比のチタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムの層とを任意の比でかつ任意の順序で混合した混合積層膜を作製することもできる。
【0023】
本発明のナノ結晶膜被覆基板の製造方法によれば、(9)から(11)のいずれか一つに記載のナノ結晶膜の作製方法によって基板上にナノ結晶膜を作製する構成を採用したので、ナノ結晶膜はナノ結晶が良好に配列しているので、ナノ結晶一つ一つの性質や、ナノ結晶間の界面が導く機能を有効に発現させることができ、様々な電子デバイス等への応用が可能なナノ結晶膜被覆基板を製造することができる。このようにしてナノ結晶から構成されたナノ結晶膜では、面内のナノ結晶の配列と膜厚方向のナノ結晶の配列を利用した電子デバイス等への応用が可能である。
【0024】
本発明のナノ結晶膜被覆基板の製造方法によれば、前記基板を、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材、の群から選択することにより、用途に応じて、ナノ結晶一つ一つの性質や、ナノ結晶間の界面が導く機能を有効に発現させることができ、様々な電子デバイス等への応用が可能なナノ結晶膜被覆基板を製造することができる。
【0025】
本発明のナノ結晶膜被覆基板によれば、基板と、該基板上にチタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶が配列したナノ結晶膜と、を備えた構成を採用したので、備えているナノ結晶膜はナノ結晶が良好に配列しており、その結果、ナノ結晶一つ一つの性質や、ナノ結晶間の界面が導く機能を有効に発現させることができ、様々な電子デバイス等への応用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】水熱合成で得られたチタン酸バリウムナノ結晶のTEM像である。
【図1B】水熱合成で得られたチタン酸バリウムナノ結晶の超高分解能TEM像である。
【図2】水熱合成で得られたチタン酸ストロンチウムナノ結晶のTEM像である。
【図3A】本発明の方法で得られたチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図3B】本発明の方法で得られたチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図4A】Pt/Ti/Si基板のSEM像である。
【図4B】Pt/Ir/Ti/Si基板のSEM像である。
【図5】本発明の方法で得られたチタン酸ストロンチウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図6A】本発明の方法で得られたチタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜のTEM像であって、Pt/Ti/Si基板を用いた場合のものである。
【図6B】本発明の方法で得られたチタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜のTEM像であって、Si基板を用いた場合のものである。
【図7】図6Bで示したナノ結晶膜についてX線回折を行った結果を示すデータである。
【図8】図3A、図5及び図6Bで示したナノ結晶膜についてX線回折を行った結果を示すデータである。
【図9A】図7で示したナノ結晶の混合膜の断面STEM像である。
【図9B】図9Aの元素マッピング像である。
【図10A】図7で示したナノ結晶の混合膜の平面STEM像である。
【図10B】図10Aの元素マッピング像である。
【図11】本発明の方法において第3の工程を1回行った後のチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図12】図11で示したサンプルについて第3の工程をさらに行った後のチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図13】図12で示したサンプルについて第3の工程をさらに行った後のチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図14】図13で示したサンプルについて第3の工程をさらに行った後のチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【図15】本発明の方法において第3の工程を連続2回行った後のチタン酸バリウムナノ結晶膜のTEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した一実施形態であるナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、ナノ結晶膜被覆基板及びその製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
〔チタン酸バリウムナノ結晶の合成〕
チタン酸バリウムナノ結晶は以下のように、合成することができる。
水酸化バリウム水溶液と、水溶性チタン錯体の水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液と、アミン化合物と、有機カルボン酸とを混合して溶液を得て、その溶液を加熱して合成することにより、チタン酸バリウムナノ結晶を得ることができる。
この合成は、上記加熱を、容器を密閉する等により加圧した状態で行う水熱合成により行うのが好ましい。
【0029】
図1(A)及び図1(B)でTEM像を示したチタン酸バリウムナノ結晶は以下の条件で合成した。
0.05mol/L(0.05M)の水酸化バリウム水溶液(Ba(OH))24mlと、TALH(水溶性チタン錯体)0.72mlと、オレイン酸(OLA)(有機カルボン酸)3.8mlと、tert−ブチルアミン(アミン化合物)1.28mlと、1mol/L(1M)の水酸化ナトリウム(Na(OH))水溶液6mlとをオートクレーブに入れて混合した。ここで、水酸化バリウム水溶液とTALHはBa:Ti=1:1に、また、Ba:OLA:tert−ブチルアミン=1:8:8になるように混合した。密閉したオートクレーブを200℃で72時間加熱した後、室温まで冷却して、チタン酸バリウムナノ結晶を合成した。
【0030】
ここで、水酸化ナトリウム(Na(OH))水溶液はpH調整剤として添加している。水熱合成においてpH調整剤としてよく用いられるアンモニアでは合成が進みやすい十分な強塩基条件になりにくいが(pH14の条件にさらにアンモニアを加えてもより強塩基にはならないが)、水酸化ナトリウム(Na(OH))を用いれば十分な強塩基条件になり、チタン酸バリウムナノ結晶の合成が進みやすい。
【0031】
有機カルボン酸としては、デカン酸(カプリン酸)CH(CHCOOH等の炭素鎖が長いカルボン酸であれば、二重結合を含まなくても用いることができる。
【0032】
図1(A)及び図1(B)は、上述の例で示した条件により合成したチタン酸バリウムナノ結晶のTEM像である。
図1(A)及び図1(B)は日本電子株式会社製JEOL-2100(300kV)を用いて得たものである。
チタン酸バリウムナノ結晶のTEM像観察用のサンプルは、オートクレーブ内の上澄み液を濾紙上に配置したTEMグリッド(基板)上に滴下し、滴下した上澄み液中の溶媒を濾紙に吸収させて除去して作製した。TEMグリッドはカーボンで被覆した銅(メッシュをコロジオン膜で支持した構造)からなる。
【0033】
図1(B)の電子回折スポット像の各点のスポットの位置からそのナノ結晶の格子面間隔を決定し、チタン酸バリウム単結晶の(100)面、(001)面に対応する4.04Å、2.85Åのスポットが得られた。
図1(A)及び図1(B)のTEM像及びその電子回折スポット像から、上述の合成方法により、チタン酸バリウムのナノ結晶が合成されていることが確認された。
また、X線粉末回折法により、(100)回折線が22°付近に、また、(200)回折線が44°付近に現れることによってもチタン酸バリウムであることを同定した。
【0034】
〔チタン酸バリウムナノ結晶の回収〕
次いで、オートクレーブからチタン酸ストロンチウムナノ結晶含有溶液を専用の容器に移して、その容器を遠心分離(5300rpm(第1の回転速度)、3分間)し、容器の底に沈殿したチタン酸バリウムナノ結晶を回収した。遠心分離機は株式会社コクサン製のH9RH型を用いた。
【0035】
〔チタン酸ストロンチウムナノ結晶の合成〕
チタン酸ストロンチウムナノ結晶は、非特許文献1で開示されている方法に、さらに、水酸化ナトリウム(Na(OH))水溶液を添加することにより合成した。
具体的には、0.05mol/L(0.05M)の水酸化ストロンチウム水溶液(Sr(OH))24mlと、TALH(水溶性チタン錯体)を0.72mlと、オレイン酸(OLA)(有機カルボン酸)0.95mlと、ヒドラジン0.28mlと、1mol/L(1M)の水酸化ナトリウム(Na(OH))水溶液6mlとをオートクレーブに入れて混合した。ここで、水酸化ストロンチウム水溶液とTALHはSr:Ti=1:1に、また、Sr:OLA:ヒドラジン=1:2:4になるように混合した。密閉したオートクレーブを200℃で72時間加熱した後、室温まで冷却して、チタン酸ストロンチウムナノ結晶を合成した。
【0036】
ここで、水酸化ナトリウム(Na(OH))水溶液はpH調整剤として添加している。水熱合成においてpH調整剤としてよく用いられるアンモニアでは合成が進みやすい十分な強塩基条件になりにくいが(pH14の条件にさらにアンモニアを加えてもより強塩基にはならないが)、水酸化ナトリウム(Na(OH))を用いれば十分な強塩基条件になり、チタン酸ストロンチウムナノ結晶の合成が進みやすい。
【0037】
有機カルボン酸としては、デカン酸(カプリン酸)CH(CHCOOH等の炭素鎖が長いカルボン酸であれば、二重結合を含まなくても用いることができる。
【0038】
図2は、上述の例で示した条件により合成したチタン酸ストロンチウムナノ結晶のTEM像である。
【0039】
図2の電子回折スポット像の各点のスポットの位置からそのナノ結晶の格子面間隔を決定し、チタン酸ストロンチウム単結晶の(100)面、(110)面に対応する3.90Å、2.76Å、のスポットが得られた。
図2のTEM像及びその電子回折スポット像から、上述の合成方法により、チタン酸ストロンチウムのナノ結晶が合成されていることが確認された。
【0040】
〔チタン酸ストロンチウムナノ結晶の回収〕
次いで、オートクレーブからチタン酸ストロンチウムナノ結晶含有溶液を専用の容器に移して、その容器を遠心分離(5300rpm(第1の回転速度)、3分間)し、容器の底に沈殿したチタン酸ストロンチウムナノ結晶を回収した。遠心分離機は株式会社コクサン製のH9RH型を用いた。
【0041】
〔ナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、ナノ結晶膜被覆基板の製造方法、ナノ結晶膜被覆基板〕
本発明に係るナノ結晶の配列方法、又は、ナノ結晶膜の作製方法は、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れ(第1の工程)、その容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取し(第2の工程)、その上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用してその上澄み液を基板の上方に濡れ拡がらせることによって、ナノ結晶を基板上に配列させ、又は、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜を基板上に作製させる(第3の工程)ことを特徴とするものである。
また、本発明に係るナノ結晶膜被覆基板の製造方法は、そのナノ結晶膜の作製方法によってその基板上にナノ結晶膜を作製することを特徴とするものである。
また、本発明に係るナノ結晶膜被覆基板は、基板と、その基板上にチタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶が配列したナノ結晶膜と、を備えたことを特徴とするものである。
【0042】
本発明のナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、及び、ナノ結晶膜被覆基板の製造方法において用いる、チタン酸バリウムナノ結晶、及び、チタン酸ストロンチウムナノ結晶は上述の合成及び回収方法によって得られたものを用いることができるが、その方法によって得られたものに限定されない。
【0043】
本発明において、非極性溶媒と共に、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶とを容器に入れる際は、チタン酸バリウムナノ結晶を非極性溶媒に入れたものとチタン酸ストロンチウムナノ結晶を非極性溶媒に入れたものとを容器で混合するのではなく、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶を非極性溶媒と共に容器に入れる。
前者ではチタン酸バリウムナノ結晶とチタン酸ストロンチウムナノ結晶の組成比を正確に制御することが困難であるが、後者では、固体重量を基に組成比を調節するため、組成制御が正確であるためである。
【0044】
本発明において、非極性溶媒は、上記の合成及び回収の方法によって得たチタン酸バリウムナノ結晶の表面には有機カルボン酸が付着しているので、この有機カルボン酸が付着したチタン酸バリウムナノ結晶を分散させることができる。
非極性溶媒としては、トルエン若しくはヘキサンのいずれか、又は、トルエンとヘキサンの混合溶媒であるのが好ましい。トルエンを用いた場合には結晶を配列しやすく、また、ヘキサンを用いた場合には毛管現象が均一に展開しやすいからであり、トルエンとヘキサンの混合溶媒ではその両方の効果を奏するからである。
【0045】
本発明において、上澄み液に浸漬する基板の固定角度(鉛直方向に対する傾斜角度)は、25℃で6〜24時間保持することにより、基板の上方に上澄み液が十分に濡れ拡がる角度として30〜60°であるのが好ましい。0°(鉛直)やそれに近い角度0〜15°では毛管現象が十分に作用せず、基板の上方に上澄み液が濡れ拡がらないので、適していない。
【0046】
本発明において、基板としては、溶媒に対して安定でかつ吸湿性がないものであれば適用可能であり、平坦な表面を有するものが好ましく、例えば、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたものを用いることができる。
溶媒に対して安定である必要があるので溶媒に溶解する材料は用いることができず、また、吸湿性のある基板例えば、多孔性基板では毛管現象によりナノ結晶が十分に配列する前に基板が吸ってしまうので用いることができない。
【0047】
本発明において、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶が溶液中で合成した後に、該溶液を第1の回転速度で遠心分離して沈殿物を回収することにより得られたものである場合、第2工程で遠心分離を行う際の回転速度(第2の回転速度)は第1の回転速度より低いのが好ましい。第1の回転速度では沈殿するが、第2の回転速度では沈殿しないナノ結晶だけが上澄み液の中に残るので、より均一なサイズのナノ結晶だけで配列を行うことができ、配列させやすいからである。
具体的には、その第1の回転速度は通常5300rpm以上であるが、第2の回転速度としては3000〜4500rpmであるのが好ましい。4500rmp以上では第1の回転速度の下限との差が小さ過ぎて、上澄み液中に残るナノ結晶の量が少なくなり過ぎるからであり、3000rmp以下ではナノ結晶を沈殿させることが困難だからである。
【0048】
本発明において、ナノ結晶の配列方法、又は、ナノ結晶膜の作製方法において、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すこともできる。これにより、ナノ結晶を多層に積層することができる。または、第1層目のナノ結晶膜に隙間がある場合に、その隙間を埋めること、もしくはその隙間を埋めつつ2層目、3層目等のナノ結晶膜(層)を積層することができる。
第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施す方法としては例えば、最初の第3の工程が終わった後に、引き続き、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施してもよいし、最初の第3の工程が終わった後に、一旦、基板上の配列状態や膜の隙間等を電子顕微鏡(SEM)等で観察した後に、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施してもよい。
【実施例】
【0049】
〔チタン酸バリウムナノ結晶(実施例1、2)〕
図3(A)及び図3(B)は、本発明を適用した一実施形態の一実施例であるチタン酸バリウムナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、又はナノ結晶膜被覆基板の製造方法を用いて基板上にそのナノ結晶を配列した状態を示す電子顕微鏡(SEM(日本電子株式会社製JEOL, JSM-6335FM、10kV))像である。
SEM観察に際しては測定前処理として、基板に紫外線照射2時間を行った後、インキュベータ内において200℃で1.5時間保持して、表面の清浄化を行った。
【0050】
図3(A)のSEM像を得た実施例1は、上記の合成及び回収の方法によって得たチタン酸バリウムナノ結晶の粉末0.01gとトルエン及びヘキサン(非極性溶媒)の混合溶媒(体積比1:1)12mlとを容器に入れ、その容器を超音波に10分間かけて結晶の分散の促進を図った後、その容器を遠心分離(回転速度:4500rpm)に5分間供して得た、チタン酸バリウムナノ結晶を含む上澄み液を1ml採取し、その上澄み液1mlを入れた直径16mm、高さ40mmの円柱状容器にPt/Ti/Si基板(10mm×15mm)の一端を浸漬させた状態でインキュベータ内において25℃で24時間保持して、毛管現象を利用して上澄み液をその基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させたものである。SEM像は、基板の上澄み液に浸漬した一端の反対側の端の近傍の領域について得たものである。遠心分離機は株式会社コクサン製のH9RH型を用いた。
【0051】
この実施例では、トルエン及びヘキサンの混合溶媒12mlに対してチタン酸バリウムナノ結晶の仕込み量0.01gの濃度で行ったが、この溶媒の量に対してはチタン酸バリウムナノ結晶の仕込み量0.001〜0.05gの濃度で行うのが好ましい。0.001g以下では上澄み液中に含まれるチタン酸バリウムナノ結晶の量が少な過ぎてナノ結晶膜を作製するのに十分ではなく、0.05g以上では上澄み液中に含まれるチタン酸バリウムナノ結晶の量が多過ぎて、単層のナノ結晶膜を作製するのが困難になる。
【0052】
また、図3(B)のSEM像を得た実施例2は、実施例1と比較すると、基板としてPt/Ir/Ti/Si基板を用いた点と、円柱状容器に入れた上澄み液が0.25mlであった点が異なる。
【0053】
図4(A)は、図3(A)のSEM像を得た実施例の基板として用いたPt/Ti/Si基板の表面のSEM像である。
Pt/Ti/Si基板は、超高真空中で脱ガス処理によって清浄化したSi(100)面に、Ti及びPtを順に10nm、100nmスパッタリングして作製した。
この基板は結晶粒が凝集した粒状構造を有するが、粒状構造の表面は平坦であり、ナノ結晶の配列に適している。
【0054】
図4(B)は、図3(B)のSEM像を得た実施例の基板として用いたPt/Ir/Ti/Si基板の表面のSEM像である。
Pt/Ir/Ti/Si基板は、超高真空中で脱ガス処理によって清浄化したSi(100)面に、Ti、Ir及びPtを順に10nm、10nm、1000nmスパッタリングして作製した。
図4(A)で示したPt/Ti/Si基板と比較すると、表面は同様に、結晶粒が凝集した粒状構造を有するが、その粒のサイズは4(a)で示したPt/Ti/Si基板表面の粒のサイズの数倍以上のものが多い。
【0055】
図3(A)で示したSEM像から、実施例1のナノ結晶膜で、チタン酸バリウムナノ結晶が二次元的に隙間なくその側面を合わせて整列した複数の領域で構成されていることがわかる。
X線回折を行った結果、(200)の回折強度が非常に強く、基板に垂直な方向に対して高い優先配向をしていることが確認された。
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による測定により、AFM像の80%以上の領域で単層(モノレイヤー)であることがわかった。
【0056】
図3(B)で示したSEM像から、実施例2のナノ結晶膜も、チタン酸バリウムナノ結晶が二次元的に隙間なくその側面を合わせて整列した複数の領域で構成されているが、各領域のサイズは実施例1のナノ結晶膜よりも大きいことがわかる。
X線回折を行った結果、(200)の回折強度が非常に強く、基板に垂直な方向に対して高い優先配向をしていることが確認された。
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による測定により、AFM像の90%以上の領域で単層(モノレイヤー)であることがわかった。
【0057】
〔チタン酸ストロンチウムナノ結晶(実施例3)〕
図5は、本発明を適用した一実施形態であるチタン酸ストロンチウムナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、又はナノ結晶膜被覆基板の製造方法によって基板上にそのナノ結晶を配列した状態を示す電子顕微鏡(SEM)像である。
SEM観察に際しては測定前処理として、基板に紫外線照射2時間を行った後、インキュベータ内において200℃で1.5時間保持して、表面の清浄化を行った。
【0058】
図5のSEM像を得た実施例3は、チタン酸ストロンチウムナノ結晶の粉末0.008gとトルエン及びヘキサンの混合溶媒(体積比2:1)12mlとを容器に入れ、その容器を超音波に10分間かけて結晶の分散の促進を図った後、その容器を遠心分離(回転速度:4500rpm)に5分間供して得た、チタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を0.25ml採取し、その上澄み液0.25mlを直径16mm、高さ40mmの円柱状容器にPt/Ir/Ti/Si基板(10mm×20mm)の一端を浸漬させた状態でインキュベータ内において25℃で6時間保持して、毛管現象を利用して上澄み液をその基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させたものである。SEM像は、基板の長手方向の中間部の領域について得たものである。遠心分離機は株式会社コクサン製のH9RH型を用いた。
【0059】
図5で示したSEM像から、実施例3のナノ結晶膜では、チタン酸バリウムナノ結晶に比べると隙間なく良好に配列した領域は少ないものの、多くの部分でチタン酸ストロンチウムナノ結晶が単層で配列していることがわかる。チタン酸バリウムのナノ結晶膜との違いは、トルエンリッチの混合溶媒を用いたため、毛管現象の展開が均一に生じにくかったことも一因と考えられる。
X線回折を行った結果、(200)の回折強度が非常に強く、基板に垂直な方向に対して高い優先配向をしていることが確認された。
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による測定により、AFM像の60%以上の領域で単層(モノレイヤー)の配列膜であることがわかった。
【0060】
〔チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶(実施例4、5)〕
図6(A)及び図6(B)は、本発明を適用した一実施形態であるチタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、又はナノ結晶膜被覆基板の製造方法によって基板上にそのナノ結晶を配列した状態を示す電子顕微鏡(SEM)像である。図6(A)がPt/Ti/Si基板を用いた実施例4のSEM像であり、図6(B)がSi基板を用いた実施例5のSEM像である。
SEM観察に際しては測定前処理として、基板に紫外線照射2時間を行った後、インキュベータ内において200℃で1.5時間保持して、表面の清浄化を行った。
【0061】
図6(A)及び図6(B)のSEM像を得た実施例4、5は、チタン酸バリウムナノ結晶の粉末0.01g、チタン酸ストロンチウムナノ結晶の粉末0.008gとトルエン及びヘキサンの混合溶媒(体積比1:1)12mlとを容器に入れ、その容器を超音波に10分間かけて結晶の分散の促進を図った後、その容器を遠心分離(回転速度:4500rpm)に5分間供して得た、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を1ml採取し、その上澄み液1mlを直径16mm、高さ40mmの円柱状容器にPt/Ti/Si基板(10mm×15mm)又はSi基板(10mm×15mm)の一端を浸漬させた状態でインキュベータ内において25℃で24時間保持して、毛管現象を利用して上澄み液をその基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させたものである。SEM像は、基板の長手方向の中間部の領域について得たものである。遠心分離機は株式会社コクサン製のH9RH型を用いた。
【0062】
実施例4のPt/Ti/Si基板は図4(A)で示したものと同様のものである。実施例5のSi基板はSi(100)面を用いた。
【0063】
図6(A)で示したSEM像から、このナノ結晶膜では、ナノ結晶は隙間なく配列しているものの、図3で示したチタン酸バリウムナノ結晶と比べると、側面を合わせて整列した領域は小さくかつ少ないことがわかる。また、図5で示したチタン酸ストロンチウムナノ結晶と比べると、同程度の秩序の整列と言える。
【0064】
一方、図6(B)で示したSEM像から、このナノ結晶膜では、図6(A)で示したPt/Ti/Si基板を用いたものに比べて、側面をほぼ合わせて整列した領域が多く、かつその領域のサイズは大きく、図3で示したチタン酸バリウムナノ結晶よりも大きい。Si(100)面の平坦性がPt/Ti/Si基板よりも高いことが主因と考えられる。
【0065】
図7は、図6(B)で示したナノ結晶膜被覆基板について、X線回折を行った結果である。
図7には、チタン酸バリウムナノ結晶の(100)、(200)、(110)のピーク、及び、チタン酸ストロンチウムナノ結晶の(200)、(110)のピークが出ており、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムの両方が膜を構成していることがわかる。すなわち、毛管現象により、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶の両方が基板上を濡れ拡がっていることが確認された。
また、いずれも(200)の回折強度が非常に強く、基板に垂直な方向に対して高い優先配向をしていることが確認された。
【0066】
図8は、図7で示したチタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶のナノ結晶膜被覆基板のX線回折(c)と共に、図3(A)で示したチタン酸バリウムナノ結晶のナノ結晶膜被覆基板のX線回折(a)、及び、図5で示したチタン酸ストロンチウムナノ結晶のナノ結晶膜被覆基板のX線回折(b)の結果を示すものである。
図8(a)及び(b)のいずれも(200)の回折強度が非常に強く、基板に垂直な方向に対して高い優先配向をしていることが確認された。
【0067】
図9(A)は、図7で示したナノ結晶の混合膜の走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)(日本電子株式会社製HR-TEM-EDX, JEOL, JEM2100F and JED-2300T(300kV))で得た断面像であり、図9(B)はその元素マッピング像である。なお、図9(B)のオリジナルデータはカラーであり、チタン酸バリウム(BT)のチタン(Ti)を示す青色(Blue)の部分と、チタン酸ストロンチウム(ST)のストロンチウム(Sr)を示す赤色(Red)の部分とが明確であるが、図9(B)の白黒の濃淡像ではそのカラー像を十分に再現できないのでそれを補うために摸式図を濃淡像と併せて示した。
図9(A)から、白丸(1)及び白丸(2)で示したナノ結晶が、基板に対して(100)面を平行に配向していること、及び、ナノ結晶が良好な六面体状をしていることがわかった。
また、図9(B)の元素マッピング像から、図9(A)中の白丸(1)で示したナノ結晶はチタン酸バリウムナノ結晶であり、図9(A)中の白丸(2)で示したナノ結晶はチタン酸ストロンチウムナノ結晶であることがわかった。
【0068】
図10(A)は、図7で示したナノ結晶の混合膜の走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)(日本電子株式会社製HR-TEM-EDX, JEOL, JEM2100F and JED-2300T(300kV))で得た平面像であり、図10(B)はその元素マッピング像である。なお、図10(B)においても図9(B)と同様に摸式図を濃淡像と併せて示した。
【0069】
図10(A)及び図10(B)から、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶が混在して膜を形成していることがわかる。
【0070】
図9及び図10の結果から、毛管現象によりチタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶の両方が基板上を濡れ拡がっているだけでなく、それらのナノ結晶が混在して濡れ拡がっていること、及び、その混在がナノ結晶1個1個のレベルであることが確認された。
【0071】
また、走査型圧電応答顕微鏡(PFM:Piezoresponse Force Microscopy)により、チタン酸バリウムナノ結晶からなる膜、チタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる混合膜の表面の圧電特性(d33曲線)を測定した。
チタン酸バリウムナノ結晶からなる膜はチタン酸バリウムが強誘電体であることを反映してヒステリシス性を示し、チタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜はチタン酸ストロンチウムが常誘電体であることを反映して直線性を示したが、チタン酸バリウムナノ結晶及びチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる混合膜では非線形的な挙動を示した。この特徴的な挙動は、図9及び図10のSTEM像を踏まえると、チタン酸ストロンチウムナノ結晶とチタン酸ストロンチウムナノ結晶とがヘテロ界面を有して配列している領域を有することを示していると考えられる。
【0072】
〔ナノ結晶膜の積層構造(実施例6)〕
図11〜図14は順に、本発明のナノ結晶の配列方法、又は、ナノ結晶膜の作製方法において、第3の工程を1回行った後の状態、2回行った後の状態、3回行った後の状態、4回行った後の状態を示す電子顕微鏡(SEM)像である。
SEM観察は、それぞれの第3の工程の後に、基板に紫外線照射2時間を行った後、インキュベータ内において200℃で1.5時間保持して表面の清浄化を行った後に行ったものである。
なお、図11〜図14は基板上の同じ場所を観察したものではない。
【0073】
図11のSEM像を得た実施例6は、上記の合成及び回収の方法によって得たチタン酸バリウムナノ結晶の粉末0.01gとトルエン及びヘキサン(非極性溶媒)の混合溶媒(体積比1:1)12mlとを容器に入れ、その容器を超音波に10分間かけて結晶の分散の促進を図った後、その容器を遠心分離(回転速度:4500rpm)に5分間供して得た、チタン酸バリウムナノ結晶を含む上澄み液を1ml採取し、その上澄み液1mlを直径16mm、高さ40mmの円柱状容器にPt/Ti/Si基板(10mm×15mm)の一端を浸漬させた状態でインキュベータ内において25℃で24時間保持して、毛管現象を利用して上澄み液をその基板の上方に濡れ拡がらせることによってナノ結晶を基板上に配列させたものである。SEM像は、基板の長手方向の中間部の領域について得たものである。
【0074】
図11で示したSEM像から、このナノ結晶膜では隙間がかなりあるものの、チタン酸バリウムナノ結晶は二次元的にその側面を合わせて整列した複数の領域を有することがわかる。
【0075】
図12は、上述の測定前処理を行った後に図11で示したSEM観察を行い、その後、2回目の第3の工程を行った基板について、基板の長手方向の中間部の領域について得たSEM像である。
図11において見られた多数の隙間が埋まり、ナノ結晶膜はチタン酸バリウムナノ結晶が二次元的に隙間なくその側面を合わせて整列した複数の領域で構成されていることがわかる。
本実施例においては、2回目の第3の工程を行った段階で、広い範囲で単層(モノレイヤー)のチタン酸バリウムナノ結晶膜が形成されていることがわかる。
【0076】
図13は、上述の測定前処理を行った後に図12で示したSEM観察を行い、その後、3回目の第3の工程を行った基板について、基板の長手方向の中間部の領域について得たSEM像である。
図12において見られた単層(モノレイヤー)上に、チタン酸バリウムナノ結晶が二次元的にその側面を合わせて整列した複数の領域(図中の黒枠内参照)が形成されていることがわかる。
この段階では、チタン酸バリウムナノ結晶が二次元的にその側面を合わせて整列した複数の領域があるだけでそれらはつながっておらず、2層目は連続膜となっていないことがわかる。
【0077】
図14は、上述の測定前処理を行った後に図13で示したSEM観察を行い、その後、4回目の第3の工程を行った基板について、基板の長手方向の中間部の領域について得たSEM像である。
図13において見られた単層(モノレイヤー)上のチタン酸バリウムナノ結晶が二次元的にその側面を合わせて整列した複数の領域はつながり、2層目が連続膜になっていることがわかる。
【0078】
以上の通り、本実施例では、本発明のナノ結晶の配列方法、又は、ナノ結晶膜の作製方法における第3の工程を4回行うことによって、ナノ結晶が緻密に並んだ連続膜の多層構造のナノ結晶膜が形成できた。
【0079】
〔ナノ結晶膜の積層構造(実施例6)〕
図15は、図11で示したSEM像を得たサンプルと同じ条件で最初の第3の工程までを行った基板について、引き続き、2回目の第3の工程を行った基板の長手方向の中間部の領域について得たSEM像である。SEM像観察の際には同じ測定前処理を行った。
ナノ結晶膜はチタン酸バリウムナノ結晶が二次元的に隙間なくその側面を合わせて整列した複数の領域で構成された単層(モノレイヤー)であった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のナノ結晶の配列方法、ナノ結晶膜の作製方法、ナノ結晶膜被覆基板及びその製造方法は、電子デバイス等の製造に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、
前記容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、
前記上澄み液に基板の一端を浸漬させ、毛管現象を利用して前記上澄み液を前記基板の上方に濡れ拡がらせることによって前記ナノ結晶を前記基板上に配列させる第3の工程と、を有することを特徴とするナノ結晶の配列方法。
【請求項2】
前記第2の工程において、前記上澄み液は前記容器を遠心分離に供して得たものであることを特徴とする請求項1に記載のナノ結晶の配列方法。
【請求項3】
前記チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶は溶液中で合成した後に、該溶液を第1の回転速度で遠心分離して沈殿物を回収することにより得られたものであり、前記容器の前記遠心分離の回転速度(第2の回転速度)は前記第1の回転速度よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載のナノ結晶の配列方法。
【請求項4】
前記チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶は前記容器に入れる前はその表面に有機カルボン酸が付着していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のナノ結晶の配列方法。
【請求項5】
前記非極性溶媒はトルエン又はヘキサンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のナノ結晶の配列方法。
【請求項6】
前記非極性溶媒はトルエンとヘキサンの混合溶媒であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のナノ結晶の配列方法。
【請求項7】
前記混合溶媒はトルエンとヘキサンが2:1〜1:2の体積比で混合されていることを特徴とする請求項6に記載のナノ結晶の配列方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のナノ結晶の配列方法によりナノ結晶を配列させた前記基板に対して、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すことを特徴とするナノ結晶の配列方法。
【請求項9】
チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶と非極性溶媒とを容器に入れる第1の工程と、
前記容器内から、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶を含む上澄み液を採取する第2の工程と、
前記上澄み液に基板の一端を浸漬させ、前記上澄み液が前記基板の上方に濡れ拡がる毛管現象を利用して、チタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶からなる膜を前記基板上に作製する第3の工程と、を有することを特徴とするナノ結晶膜の作製方法。
【請求項10】
前記第2の工程において、前記上澄み液は前記容器を遠心分離に供して得たものであることを特徴とする請求項9に記載のナノ結晶膜の作製方法。
【請求項11】
請求項9又は10のいずれかに記載のナノ結晶膜の作製方法によりナノ結晶膜を作製した前記基板に対して、第3の工程をさらに1回又は複数回繰り返して施すことを特徴とするナノ結晶膜の作製方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載のナノ結晶膜の作製方法によって基板上にナノ結晶膜を作製することを特徴とするナノ結晶膜被覆基板の製造方法。
【請求項13】
前記基板が、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたことを特徴とする請求項12に記載のナノ結晶膜被覆基板の製造方法。
【請求項14】
基板と、
該基板上にチタン酸バリウムナノ結晶及び/又はチタン酸ストロンチウムナノ結晶が配列したナノ結晶膜と、を備えたことを特徴とするナノ結晶膜被覆基板。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−188335(P2012−188335A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55501(P2011−55501)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】