説明

ナフタロシアニンの調製方法

ナフタロシアニンの調製方法を提供している。その方法は、(i)テトラヒドロナフタル酸無水物を提供するステップと、(ii)前記テトラヒドロナフタル酸無水物をベンズイソインドレニンに変換するステップと、(iii)前記ベンズイソインドレニンを大環状化して、ナフタロシアニンを形成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本出願は一般に、改良されたナフタロシアニンの合成方法に関する。この方法は、主に既存のナフタロシアニン合成のコストを低下させ、これらの化合物の大規模な調製を容易にするために開発されている。
【0002】
[発明の背景]
本発明者らは以前に、IR−吸収性色素としてのナフタロシアニン(naphthalocyanines)の使用について記述している。ナフタロシアニン及び特にガリウムナフタロシアニンは,可視領域における低い吸収、及び近−IR領域(750〜810nm)における強い吸収を有する。したがってナフタロシアニンは、不可視インク(invisible ink)における使用のため魅力的な化合物である。本出願人の米国特許第7148345号明細書及び第7122076号明細書(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれている)は、基板上に不可視(又はほんの僅か可視)の符号化データ(coded data)を印刷するのに適したインクの配合物における、ナフタロシアニン色素の使用を詳細に記述している。光学的感知デバイスによる符号化データの検出を利用して、遠隔コンピュータシステムにおける応答を呼び出すことができる。したがって、基板の上に印刷される符号化データのおかげで、相互に対話できる(interactive)。
【0003】
符号化データを印刷する対話型基板を利用した本出願人のネットページ及びハイパーラベル(Hyperlabel)(登録商標)システムは、相互参照特許及び上記の特許出願(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれている)において広範に記述されている。
【0004】
ネットページ及びハイパーラベル(登録商標)技術の広く一般にわたる採用が予想される中で、符号化データを印刷するインクにおいて使用するのに適した色素の効率的な合成法を開発するかなりの必要性が存在する。上記において予示したように、ナフタロシアニン及び特にガリウムナフタロシアニンは、このような色素の卓越した候補であり、その結果として、効率的に且つ大規模に高収率でナフタロシアニンを合成する必要性が益々高くなっている。
【0005】
ナフタロシアニンは、大規模に合成することが難しい化合物である。米国特許第7148345号明細書及び第7122076号明細書において、本発明者らは、ナフタレン−2,3−ジカルボニトリルの大環状化によるナフタロシアニンへの効率的な経路を記述している。米国特許第7148345号明細書において記述するように、スキーム1は、ナフタレン−2,3−ジカルボニトリル2から、スルホン化ガリウムナフタロシアニン1への経路を示す。
【化1】

【0006】
しかし、このナフタロシアニンへの経路についての問題は、出発材料2が高価である点である。その上、ナフタレン−2,3−ジカルボニトリル2は、2つの高価なビルディングブロック:テトラブロモ−o−キシレン3及びフマロニトリル4から調製され、そのいずれもが、多重キログラムの量で容易に調製することができるものではない。
【化2】

【0007】
したがって、ナフタロシアニンを規模の大きい用途において使用しようとする場合、既存の合成について改良する必要性が存在する。
【0008】
[発明の概要]
第1の態様において、
(i)テトラヒドロナフタル酸無水物を提供するステップと、
(ii)前記テトラヒドロナフタル酸無水物をベンズイソインドレニンに変換するステップと、
(iii)前記ベンズイソインドレニンを大環状化して、ナフタロシアニンを形成するステップと
を含むナフタロシアニンの調製方法を提供している。
【0009】
場合によってテトラヒドロナフタル酸無水物は、式(I):
【化3】


(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択される)を有する。
【0010】
場合によって、R、R、R及びRは、全て水素である。
【0011】
場合によって、ステップ(ii)は、テトラヒドロナフタル酸無水物からベンズイソインドレニン塩へのワンポット変換を含む。このワンポット変換により、上述の経路によるナフタロシアニンの合成が促進され、収率及び規模拡大性が大いに改良される。
【0012】
場合によって、ベンズイソインドレニン塩は硝酸塩である。しかし、他の塩(例えばベンゼンスルホン酸塩)が、もちろん本発明の範囲内にある。
【0013】
場合によって、このワンポット変換は、硝酸アンモニウムを含む試薬混合物と一緒に加熱するステップにより行われる。
【0014】
場合によって、この試薬混合物は、テトラヒドロナフタル酸無水物に対して少なくとも2当量の硝酸アンモニウムを含む。
【0015】
場合によって、この試薬混合物は、尿素を含む。
【0016】
場合によって、この試薬混合物は、少なくとも1種のさらなるアンモニウム塩を含む。
【0017】
場合によって、このさらなるアンモニウム塩は:硫酸アンモニウム及びベンゼンスルホン酸アンモニウムから選択される。
【0018】
場合によって、この試薬混合物は、触媒量のモリブデン酸アンモニウムを含む。
【0019】
場合によって、この加熱するステップは、150〜200℃の温度範囲内におけるものである。
【0020】
この反応は、溶媒の存在下で、又は溶媒の不存在下で行うことができる。場合によって、加熱するステップは、芳香族溶媒の存在下におけるものである。適切な溶媒の例は、ニトロベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、メシチレン、アニソール、フェネトール、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン及びこれらの混合物である。
【0021】
場合によって、塩基を使用してベンズイソインドレニン塩からベンズイソインドレニンが放出される。ナトリウムメトキシドは、適切な塩基の一例である。しかし、当業者は容易に他の適切な塩基に気付くであろう。
【0022】
場合によって、ベンズイソインドレニンは式(II):
【化4】


(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択される)を有する。
【0023】
場合によって、ナフタロシアニンは式(III):
【化5】


(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択され;
Mは、存在せず、又はSi(A)(A)、Ge(A)(A)、Ga(A)、Mg、Al(A)、TiO、Ti(A)(A)、ZrO、Zr(A)(A)、VO、V(A)(A)、Mn、Mn(A)、Fe、Fe(A)、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Sn(A)(A)、Pb、Pb(A)(A)、Pd及びPtから選択され;
及びAは、同一でも異なってもよいアキシアルリガンドであり、−OH、ハロゲン又は−ORから選択され;
は、C1〜16アルキル、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル又はSi(R)(R)(R)から選択され;
、R及びRは、同一でも異なってもよく、C1〜20アルキル、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C1〜20アルコキシ、C5〜20アリールオキシ又はC5〜20アリールアルコキシから選択される)を有する。
【0024】
場合によって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、全て水素である。
【0025】
場合によって、Mは、Ga(OCHCHOCHCHOCHCHOMe)などのGa(A)であり;すなわちRがCHCHOCHCHOCHCHOMeである場合である。疑わしさを避けるため、CHCHOCHCHOCHCHOMeなどのエーテルは、本明細書において以下に示されるアルキル基の定義の中に含まれる。ガリウム化合物は、優れた耐光性、近−IR領域における強い吸収を有し、頁上に印刷された場合事実上、人の目には不可視であるため、好ましいものである。
【0026】
場合によって、ステップ(iii)は、AlCl若しくはGaCl又は対応する金属アルコキシドなどの金属化合物の存在下でベンズイソインドレニンを加熱するステップを含む。この反応は、トルエン、ニトロベンゼンなどの適切な溶媒の不存在下、若しくは存在下で行うことができる。金属アルコキシドを使用する場合、この反応は、ナトリウムメトキシドなどの適切な塩基により触媒作用させることができる。ナフタロシアニン形成を助けるため、トリエチレングリコールモノメチルエーテル若しくはグリコールなどのアルコールも存在することができる。これらのアルコールは、最後にナフタロシアニンのアキシアルリガンドとなることができ、又は反応条件下において金属から分裂させることができる。当業者は、ベンズイソインドレニンからナフタロシアニンを形成する条件を容易に最適化することができるであろう。
【0027】
場合によって、本方法は、前記ナフタロシアニンをスルホン化するステップをさらに含む。本発明者らの先の米国特許第7148345号明細書及び第7122076号明細書において記述するように、スルホネート基は、インク配合物においてナフタロシアニンを可溶化するのに有用である。
【0028】
第2の態様において、テトラヒドロナフタル酸無水物のベンズイソインドレニン塩へのワンポット変換を行う方法であって、前記テトラヒドロナフタル酸無水物を、硝酸アンモニウムを含む試薬混合物と一緒に加熱するステップを含む方法を提供している。
【0029】
この変換は、ナフタレン環系を形成する、別個の脱水素ステップを有利に回避している。硝酸アンモニウムは、酸化(脱水素)及びイソインドレニン形成の二重機能を果たす。
【0030】
第2の態様により生成されるイソインドレニン塩を、ナフタロシアニンの合成において使用することができる。したがって、この重要な反応は、ナフタロシアニンへの経路における重要な改良をもたらす。
【0031】
一般に、この第2の態様の、場合による特徴は、第1の態様について上述した、場合による特徴の引き写しである。
【0032】
第3の態様において、式(IV)のジハロゲノ化合物から式(V)のスルタイン(sultine)を調製する方法であって、
【化6】


スルタイン(V):
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択され;
XはCl、Br又はIである)を調製するように、ジハロゲノ化合物(IV)を、DMSO溶媒中においてヒドロキシメタンスルフィン酸塩と反応させるステップを含む方法を提供している。
【0033】
第3の態様による方法は驚くべきことに、溶媒としてDMFを使用するこの反応のための文献方法と比較した場合、ポリマー質副生成物を最小とし、収率を向上させる。これらの利点は、反応が大規模に行われる場合(例えば、少なくとも0.3モル、少なくとも0.4モル又は少なくとも0.5モル規模)、増幅される。
【0034】
場合によって、XがCl又はBrである場合、このカップリング反応の触媒作用を行わせるためNaIを使用する。
【0035】
場合によって、金属炭酸塩塩基(例えばNaCO、KCO、CsCOなど)を存在させる。
【0036】
場合によって、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩は、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガライト(Rongalite)(商標))である。
【0037】
場合によって、R、R、R及びRは、全て水素である。
【0038】
場合によって、この方法は、スルタイン(V)を高温(例えば約80℃)でオレフィンと反応させて、ディールス−アルダー付加化合物を生成させるさらなるステップを含む。
【0039】
場合によって、このオレフィンはマレイン酸無水物であり、前記ディールス−アルダー付加化合物はテトラヒドロナフタル酸無水物である。
【0040】
場合によって、本明細書において記述するように、テトラヒドロナフタル酸無水物は、ナフタロシアニン合成の前駆体として使用される。
【0041】
場合によって、本明細書において記述するように、ナフタロシアニン合成は、テトラヒドロナフタル酸無水物のベンズイソインドレニンへの変換により進行する。
【0042】
本発明は、下記の図面を参照してここで詳細に記述されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】d−DMSO中における粗スルタイン10のH NMRスペクトルの図である。
【図2】d−DMSO中における酸無水物8のH NMRスペクトルの図である。
【図3】d−DMSO中における粗ベンズイソインドレニン塩12のHNMRスペクトルの図である。
【図4】図3に示したH NMRスペクトルの芳香族領域の拡大図である。
【図5】d−DMSO中におけるベンズイソインドレニン7のH NMRスペクトルの図である。
【図6】図5に示したH NMRスペクトルの芳香族領域の拡大図である。
【図7】NMP中におけるナフタロシアナトガリウムメトキシトリエチレンオキシドのUV−VISスペクトルのグラフである。
【0044】
[詳細な説明]
ジカルボニトリルへの代替物として、イソインドレニンから一般的な部類のフタロシアニンが調製されることが知られている。米国特許第7148345号明細書において、本発明者らは、ナフタロシアニンへの可能な前駆体としてベンズイソインドレニン5を提示した。
【化7】

【0045】
しかし、ベンズイソインドレニン5の効率的な合成は、文献において未知であり、ナフタレン−2,3−ジカルボニトリル2などのジカルボニトリルが、ナフタロシアニンへの唯一の実行可能な経路であると、これまで理解されていた。
【0046】
しかし、ナフタレン−2,3−ジカルボニトリル2が、法外に高いコストの可能性を秘めているため、本発明者らは、スキーム2において概説するベンズイソインドレニン5への新たな経路を開拓しようと努めた。
【化8】

【0047】
テトラヒドロナフタル酸無水物6は、スキーム3において示した経路により合成することができる、知られているディールス−アルダー付加化合物であるので、この化合物は魅力的な出発点であった。
【化9】

【0048】
スキーム2を参照すると、ナフタル酸無水物7のベンズイソインドレニン5への変換が、国際公開第98/31667号パンフレット中に記載されたイソインドレニン8へのフタル酸無水物の知られている変換と類似して進行すると期待された。
【化10】

【0049】
しかし、スキーム2において概説した経路についていくつかの問題が残った。第一に、テトラヒドロナフタル酸無水物6の脱水素には、通例高温触媒作用を要する。これらの条件下で、テトラヒドロナフタル酸無水物6は昇華し易く、非常に悪い収率をもたらす。第二に、大規模なテトラヒドロナフタル酸無水物6の調製は知られていなかった。この化合物へのいくつかの小規模な経路は文献中で知られていたが、これらは概して収率が悪い点若しくは規模拡大性いずれかの問題を欠点としていた。
【0050】
ジエン前駆体としてのスルタインの使用はよく知られ、小規模で6を合成する場合、1,4−ジヒドロ−2,3−ベンゾキサチイン−3−オキシド10が使用されている(Hoey,M.D.;Dittmer,D.A.、J.Org.Chem.1991、56、1947〜1948)。スキーム4に示すように、この経路は比較的安価なジクロロ−o−キシレン11で始まるが、この反応シーケンスを規模拡大する実現性は、スルタイン生成ステップにおける望ましくないポリマー質副生成物の生成によって制約される。これらの副生成物の生成により、高純度及び高収率における6の再現性のある生産が困難になる。
【化11】

【0051】
しかし、スキーム4において概説される経路は、ジクロロ−o−キシレン11及びマレイン酸無水物が共に安価な材料であるので、コストの見地から、魅力的である可能性がある。
【0052】
スキーム4及び2に示した反応シーケンスは、非常な合成の難問題を提示しているが、本発明者らは、驚くべきことに、改良された反応条件を使用して、大規模及び高収率でベンズイソインドレニン5を生成させ得ることを見出している。したがって、本発明により、安価な出発材料からのナフタロシアニンの生産が可能になり、ナフタレン−2,3−ジカルボニトリル2から出発する知られている合成に優る著しいコスト改善を示している。
【0053】
スキーム5を参照すると、ベンズイソインドレニン5への経路が示され、その経路は、本発明に従った2つの合成上の改良を備えている。
【化12】

【0054】
思いがけず、11を10に変換する場合の反応溶媒としてDMSOを使用することにより、スルタイン10形成の反応速度及び選択性が著しく高まることが見出された。それは、特に大規模の場合、望ましくないポリマー質副生成物を形成することが主問題である、溶媒としてDMFを使用した知られている状況(Hoey,M.D.;Dittmer,D.A.、J.Org.Chem.1991、56、1947〜1948)と異なっている。したがって、本発明は、テトラヒドロナフタル酸無水物6の合成における注目に値する改良を提供する。
【0055】
本発明は又、テトラヒドロナフタル酸無水物6のベンズイソインドレニン5への変換における注目に値する改良をも提供する。驚くべきことに、このステップに使用した硝酸アンモニウムが、飽和環系の酸化並びに酸無水物のイソインドレニンへの変換を容易にもたらすことが見出された。国際公開第98/31667号パンフレット中に記載されたイソインドレニン類似系に従って、テトラヒドロイソインドレニンへの変換が円滑に進行することが期待された。しかし、これらの反応条件下における付随的脱水素化が、テトラヒドロナフタル酸無水物6のベンズイソインドレニン塩12への直接的ワンポット経路を提供する。これにより、分離ステップにおけるテトラヒドロナフタル酸無水物6の問題のある又低収率の脱水素化が避けられる。ナトリウムメトキシドなどの適切な塩基による、その後の塩12の処理によって、ベンズイソインドレニン5が放出される。これらの改良の結果として、11から5への全体の反応シーケンスが非常に好都合に行われ、安価な出発材料及び試薬を用いている(スキーム5)。
【0056】
ベンズイソインドレニン5は、知られている条件を使用して、任意の所要のナフタロシアニンに変換することができる。例えば、ベンズイソインドレニン5からのガリウムナフタロシアニンの調製が、本明細書において例示される。ナフタロシアニンマクロ環のその後の操作を、知られているプロトコルに従って行うこともできる。例えば、米国特許第7148345号明細書及び第7122076号明細書において記述されるように、発煙硫酸を使用してスルホン化を行うことができる。
【0057】
これまで、ナフタロシアニン合成用のビルディングブロックとしてのテトラヒドロナフタル酸無水物6の使用は以前には報告されていなかった。しかし、これらの重要な化合物の合成においてテトラヒドロナフタル酸無水物6が実行可能な中間体であることがここに示されている。その上、本発明者らにより、スキーム5において示した経路が、最も費用有効性が高いベンズイソインドレニン5の合成を示すものであると理解される。
【0058】
用語「アリール」は、本明細書において、フェニル、ナフチル又はトリプチセニル(triptycenyl)などの芳香族基を指すために使用される。例えばC6〜12アリールは、置換基を一切除いた炭素原子6〜12個を有する芳香族基を指す。用語「アリーレン」は、もちろん、上述の一価アリール基に対応する二価基を指す。妥当な場合、任意にアリールを参照すると暗にアリーレンが含まれる。
【0059】
用語「ヘテロアリール」は、N、O又はSから選択されるヘテロ原子によって、炭素原子1、2、3若しくは4個が置き換えられているアリール基を指す。ヘテロアリール基(又はヘテロ芳香族基)の例には、ピリジル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリニル、イソインドリニル、インドリル、イソインドリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾロニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾピリミジニル、ベンゾトリアゾール、キノキサリニル、ピリダジル、クマリニルなどが含まれる。用語「ヘテロアリーレン」は、もちろん、上述の一価ヘテロアリール基に対応する二価基を指す。妥当な場合、任意にヘテロアリールを参照すると暗にヘテロアリーレンが含まれる。
【0060】
具体的に他に指示されない限り、アリール及びヘテロアリール基は、場合によって以下に記述する1、2、3、4若しくは5個の置換基で置換されていてもよい。
【0061】
場合によって置換された基に言及する場合(例えば、アリール若しくはヘテロアリール基に関連して)、場合による置換基(複数可)は、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、−(OCHCHOR(dは2〜5000の整数であり、RはH、C1〜8アルキル又はC(O)C1〜8アルキルである)、シアノ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、チオール、−SR、−NR、ニトロ、フェニル、フェノキシ、−CO、−C(O)R、−OCOR、−SO、−OSO、−SOOR、−NHC(O)R、−CONR、−CONR、−SONRから選択され、R及びRは、独立に水素、C1〜20アルキル、フェニル又はフェニル−C1〜8アルキル(例えばベンジル)から選択される。例えば、ある基が2個以上の置換基を含む場合、異なった置換基は異なったR又はR基を有することができる。
【0062】
用語「アルキル」は、本明細書において、直鎖形態及び分岐形態両方のアルキル基を指すために使用される。他に指示されない限り、アルキル基は、O、NH又はSから選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子により中断され得る。他に指示されない限り、アルキル基は、1、2若しくは3個の二重及び/若しくは三重結合によっても中断され得る。しかし、用語「アルキル」は、通常二重若しくは三重結合による中断を有するアルキル基を指す。特に「アルケニル」基に言及する場合に、それが上記の「アルキル」の定義を制約するものと解釈されることは意図していない。
【0063】
例えばC1〜20アルキルに言及する場合、それはこのアルキル基が1個と20個の間の任意の数の炭素原子を含有することができるという意味である。具体的に他に指示されない限り、任意に「アルキル」に言及する場合、それはC1〜20アルキル、好ましくはC1〜12アルキル又はC1〜6アルキルを意味する。
【0064】
用語「アルキル」には、シクロアルキル基も含まれる。本明細書で使用される用語「シクロアルキル」にはシクロアルキル、ポリシクロアルキル及びシクロアルケニル基、並びに、シクロアルキルアルキル基などの直鎖アルキル基とのこれらの組合せが含まれる。シクロアルキル基は、O、N又はSから選択される1、2、若しくは3個のヘテロ原子により中断され得る。しかし、用語「シクロアルキル」は通常、ヘテロ原子による中断を有しないシクロアルキル基を指す。シクロアルキル基の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキシルメチル及びアダマンチル基が含まれる。
【0065】
用語「アリールアルキル」は、ベンジル、フェニルエチル及びナフチルメチルなどの基を指す。
【0066】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、本明細書において、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素のいずれを指すためにも使用される。しかし通常、ハロゲンは塩素又はフッ素置換基を指す。
【0067】
本明細書において、「ナフタロシアニン(a naphthalocyanine)」「ベンズイソインドレニン(a benzisoindolenine)」「テトラヒドロナフタル酸無水物(a tetrahydronaphthalic anhydride)」などに言及する場合、これは、これらの一般名により表現される一般的な化合物群への言及であり、何か1つの特定の化合物を指す意図のものではないと理解される。特定の化合物に言及する場合は、参照番号を伴っている。
【0068】
本明細書において記述されるキラル化合物には、立体の記述子を示していない。しかし、化合物が立体異性体の形態で存在できる場合、全ての可能な立体異性体及びそれらの混合物が含まれる(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー及び、ラセミ混合物を含む全ての組合せなど)。
【0069】
同様に、化合物がいくつかの位置異性体若しくは互変異性体の形態で存在することができる場合、全ての可能な位置異性体、互変異性体及びそれらの混合物が含まれる。
【0070】
疑わしさを避けるため、「含む(comprising a)」などの表現における用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)は、「少なくとも1つ(at least one)」を意味し、「1つ及び唯一(one and only one)」を意味するものではない。用語「少なくとも1つ(at least one)」を特に使用する場合、これは「1つの(a)」の定義への制約を有すると解釈されるべきではない。
【0071】
本明細書全体にわたって、用語「含む(comprising)」、又は「含む(comprise)」若しくは「含む(comprises)」などの変形形態は、言及した要素、完全体(integer)又はステップを含み、しかし何らかの他の要素、完全体又はステップを排除するものではないと解釈すべきである。
【0072】
本発明はここに、下記の図面及び実施例を参照して記述されるであろう。しかし、もちろん本発明が、添付する特許請求範囲において定義される本発明の範囲を逸脱せずに、多くの他の形態で体現され得るものと理解されるであろう。
【0073】
実施例1
1,4−ジヒドロ−2,3−ベンゾキサチイン−3−オキシド10
ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガライト(商標))(180g、1,17モル)をDMSO(400mL)中に懸濁させ、10分間撹拌するままとし、その後ジクロロ−o−キシレン(102.5g、0.59モル)、炭酸カリウム(121.4g、0.88モル)及びヨウ化ナトリウム(1.1g、7ミリモル)を連続して添加した。さらにDMSO(112mL)を使用して残った材料をすすいで反応混合物に入れた後、全体を室温でそのまま撹拌した。最初の吸熱反応が、約1時間後穏やかに発熱反応となり、そのため内部温度がおよそ32〜33℃まで上昇した。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン50:50)により追跡し、3時間後に完結することが見出された。反応混合物をメタノール/酢酸エチル(20:80、400mL)で希釈し、固形分を濾去し、さらなるメタノール/酢酸エチル(20:80、100mL、2×50mL)で洗浄した。濾液を分離漏斗に移し、食塩水(1L)を添加した。このため、生成物混合物からさらなる塩化ナトリウムが析出することになった。水(200mL)の添加により、塩化ナトリウムを再溶解させた。混合物を振盪し、有機層を分離し、次いで水層からさらにメタノール/酢酸エチル(20:80、200mL、150mL、250mL)で抽出を行った。合わせた抽出液を乾燥し(NaSO)、回転蒸発させた(37〜38℃浴)。高真空下でさらなる溶媒を除去して、淡橙色液体(126g)としてスルタイン10を生じ、それはH NMR分光法により比較的副生成物を含まず、しかし残留DMSO及び酢酸エチルを含有することが見出された(図1)。
【0074】
実施例2
テトラヒドロナフタル酸無水物6
上記からの粗スルタイン(126g)を、トリフルオロトルエン(100mL)中に希釈し、次いで、トリフルオロトルエン(450mL)中のマレイン酸無水物(86g、0.88モル)の予熱された(80℃浴)懸濁液に添加した。さらなるトリフルオロトルエンで残ったスルタインを洗浄して、反応混合物に入れ、次いで最終体積を970mLとした。反応混合物を80℃で15時間加熱し、さらなるマレイン酸無水物(28.7g、0.29モル)を添加し、次いで、TLCによりスルタインが消費されたことが示されるまで、さらに8時間加熱を継続した。まだ80℃にあるとき、水アスピレータによる蒸発によって溶媒を除去し、次いで高真空下で残った溶媒を除去した。湿った固体をメタノール(200mL)と共に粉砕し、濾過し切り、さらなるメタノールで洗浄した(3×100mL)。60〜70℃で4時間高真空下において乾燥した後、微細白色結晶質固体(75.4g、64%(10から))としてテトラヒドロナフタル酸無水物6が得られた。
【0075】
実施例3
実施例2において記述したように、ジクロロ−o−キシレン(31.9g、0.182モル)からスルタインを調製し、次いで上述のように、トルエン(300mL合計体積)中においてマレイン酸無水物(26.8g、0.273モル)と反応させた。これにより、白色結晶質固体(23.5g、64%)としてテトラヒドロナフタル酸無水物6がもたらされた。
【0076】
実施例4
1−アミノ−3−イミノベンズ[f]イソインドレニン硝酸塩12
尿素(467g、7.78モル)を、硫酸アンモニウム(38.6g、0.29モル)、モリブデン酸アンモニウム(1.8g)及びニトロベンゼン(75mL)の機械的に撹拌した混合物に添加した。この全体を加熱マントルで約130℃(内部温度)まで1時間加熱して、尿素を融解させた。この時点で直ちに、酸無水物6(98.4g、0.49モル)を固体として添加した。15分後、撹拌をしながら(内部温度140℃)硝酸アンモニウム(126.4g、1.58モル)を添加すると、かなりのガス発生を伴った。45分にわたって反応温度を170〜175℃まで上昇させ、そこで2時間20分間保持した。粘稠な褐色混合物を約100℃まで冷却させ、次いで撹拌しながらメタノール(400mL)をゆっくり導入した。得られた懸濁液を、焼結ガラス漏斗上に注ぎ、さらなるメタノール(100mL)を使用して、反応フラスコを完全にすすいだ。重力濾過により大部分のメタノールを除去した後、褐色固体を吸引乾燥し、次いでさらなるメタノールで洗浄し(3×200mL、50mL)、1晩空気乾燥し、温水浴中の高真空下で1.5時間乾燥した。微細褐色粉末(154.6g)としてベンズイソインドレニン塩12が得られ,NMR解析により尿素(5.43ppm)及び他の塩(6.80ppm)を含有することが見出された。この材料は、さらに精製することなく、次のステップにおいて直接使用した。
【0077】
実施例5
1−アミノ−3−イミノベンズ[f]イソインドレニン7
0℃まで氷/水浴内で冷却しながら粗硝酸塩12(154.6g)をアセトン(400mL)中に懸濁させた。0〜5℃の内部温度を保持するような速度で滴下漏斗を介して、ナトリウムメトキシド(メタノール中25%、284ml、1.3モル)をゆっくり1滴ずつ添加した。添加が終わると、反応混合物は、2つの2L三角フラスコ内の冷水(2×2L)に注入した。次いでこの混合物は焼結ガラス漏斗上で濾過し、固形分を水で完全に洗浄した(それぞれの漏斗について250mL、200mL)。微細な褐色固体は2日にわたって空気乾燥し、次いで高真空下でさらに乾燥して、微細褐色粉末(69.1g、73%)としてベンズイソインドレニン5を得た。
【0078】
実施例6
ナフタロシアナトガリウムメトキシトリエチレンオキシド
【化13】


機械的撹拌機、加熱マントル、温度計及び蒸留出口を取り付けた3首フラスコ(1L)内において、塩化ガリウム(15.7g、0.089モル)を無水トルエン(230mL)中に溶解した。得られた溶液を、10℃まで氷/水浴内で冷却し、次いで、内部温度を25℃未満に保持し、それにより白色沈殿を生じるように撹拌しながら、メタノール中のナトリウムメトキシド(25%、63ml)をゆっくり添加した。次いで、この混合物をトリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGMME、190mL)で処理し、次いでその全体を加熱して、全てのメタノール及びトルエンを蒸留除去した(3時間)。次いで加熱マントルを取り外すことにより、この混合物を90〜100℃(内部温度)まで冷却し、次いでジエチルエーテル(30mL)により、最後の痕跡量まで洗浄して反応容器に入れると直ぐに、先行ステップからのベンズイソインドレニン5(69.0g、0.35モル)を添加した。次いで反応混合物を、20分後に内部温度が170℃に達するように予熱した加熱用マントル内に入れた。次いで175〜180℃でさらに3時間撹拌を継続し、この時間の間に暗緑/褐色が現れ、アンモニアの発生が起こった。反応混合物を約100℃まで冷却させ、その後DMF(100mL)で希釈し、重力下で1晩焼結ガラス漏斗を通して濾過した。湿ったフィルターケーキを吸引乾燥し、吸引してDMF(80mL)、アセトン(2×100mL)、水(2×100mL)、DMF(50mL)、アセトン(2×50mL、100mL)及びジエチルエーテル(100mL)で連続して洗浄した。簡単に空気乾燥した後、生成物を60〜70℃で高真空下において一定重量まで乾燥した。微結晶質暗青/緑色固体(60.7g、76%)としてナフタロシアナトガリウムメトキシトリエチレンオキシドが得られた。λmax(NMP)771nm(図7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)テトラヒドロナフタル酸無水物を提供するステップと、
(ii)前記テトラヒドロナフタル酸無水物をベンズイソインドレニンに変換するステップと、
(iii)前記ベンズイソインドレニンを大環状化して、ナフタロシアニンを形成するステップと
を含む、ナフタロシアニンの調製方法。
【請求項2】
前記テトラヒドロナフタル酸無水物が、式(I):
【化1】


(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択される)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R、R及びRが、全て水素である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(ii)が、前記テトラヒドロナフタル酸無水物からベンズイソインドレニン塩へのワンポット変換を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塩が硝酸塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ワンポット変換が、硝酸アンモニウムを含む試薬混合物と一緒に加熱するステップにより行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記試薬混合物が、前記テトラヒドロナフタル酸無水物に対して少なくとも2当量の硝酸アンモニウムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試薬混合物が、尿素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記試薬混合物が、少なくとも1種のさらなるアンモニウム塩を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種のさらなるアンモニウム塩が、硫酸アンモニウム及びベンゼンスルホン酸アンモニウムから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試薬混合物が、触媒量のモリブデン酸アンモニウムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱するステップが、150〜200℃の温度範囲内におけるものである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱するステップが、ニトロベンゼン、ジフェニル、ジフェニルエーテル、メシチレン、アニソール、フェネトール、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン及びこれらの混合物を含む群から選択される溶媒の存在下におけるものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベンズイソインドレニン塩から、塩基を使用してベンズイソインドレニンが放出される、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記ベンズイソインドレニンが、式(II):
【化2】


(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択される)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ナフタロシアニンが、式(III):
【化3】


(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、ジ(C1〜20アルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜20アルキルチオ、ニトロ、C1〜20アルキルカルボキシ、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル、C1〜20アルキルカルボニルオキシ、C1〜20アルキルカルボニルアミノ、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C5〜20アリールオキシ、C5〜20アリールアルコキシ、C5〜20ヘテロアリール、C5〜20ヘテロアリールオキシ、C5〜20ヘテロアリールアルコキシ又はC5〜20ヘテロアリールアルキルから選択され;
Mは、存在せず、又はSi(A)(A)、Ge(A)(A)、Ga(A)、Mg、Al(A)、TiO、Ti(A)(A)、ZrO、Zr(A)(A)、VO、V(A)(A)、Mn、Mn(A)、Fe、Fe(A)、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Sn(A)(A)、Pb、Pb(A)(A)、Pd及びPtから選択され;
及びAは、同一でも異なってもよいアキシアルリガンドであり、−OH、ハロゲン又は−ORから選択され;
は、C1〜16アルキル、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C1〜20アルキルカルボニル、C1〜20アルコキシカルボニル又はSi(R)(R)(R)から選択され;
、R及びRは、同一でも異なってもよく、C1〜20アルキル、C5〜20アリール、C5〜20アリールアルキル、C1〜20アルコキシ、C5〜20アリールオキシ又はC5〜20アリールアルコキシから選択される)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16が、全て水素である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
MがGa(A)である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(iii)が、金属化合物の存在下で前記ベンズイソインドレニンを加熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
(iv)前記ナフタロシアニンをスルホン化するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−533653(P2010−533653A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516325(P2010−516325)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001067
【国際公開番号】WO2009/015407
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】