ニット製衣服のパーツ
【課題】ゴム編みの衿等を一般のシャツカラー、スタンドカラー等の布帛と同じ扱いができるような機能を有する部分とし、横編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にし、かつファッション性や着用感の良いニット製パーツの提供。
【解決手段】袋編み部を有し、袋編み部内部に芯地を接着させたことを特徴とするニット製品の横編みパーツであり、好ましくは、衿腰部分に芯地を内包する袋編み部を有するニット製品の横編みパーツ、袖口の一部に芯地を内包する袋編み部を有するニット製品の横編みパーツ、前立て部が芯地を内包する袋編み部を有するニット製品の横編みパーツ、及びそれらを有するニット製衣服。
【解決手段】袋編み部を有し、袋編み部内部に芯地を接着させたことを特徴とするニット製品の横編みパーツであり、好ましくは、衿腰部分に芯地を内包する袋編み部を有するニット製品の横編みパーツ、袖口の一部に芯地を内包する袋編み部を有するニット製品の横編みパーツ、前立て部が芯地を内包する袋編み部を有するニット製品の横編みパーツ、及びそれらを有するニット製衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、新規なニット製品の横編みパーツ及びそれを用いたニット製衣服に関し、詳しくは、ゴム（リブ）編み等のパーツに袋編み部を設け、その内部に芯地を接着させた型崩れのない、衿、袖口、前立て等の横編みパーツおよびそれを用いたニット製衣服に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、横編機を使用して編成されるポロシャツ、セーター、スポーツウエア等のニット製衣服の衿、袖口、裾口、前立て、ポケット等のパーツの編地の編組織は、ゴム編み、またはリブ編みと平編みが交互に繰り返すような編み方をするようにしてそれぞれの端部が身頃部分にリンキング又は縫製されて、衣服が形成されている。
このようなゴム（リブ）編みで形成されているパーツ部分は、編み地部分が略均一の厚さの編み組織になっており、商品としてディスプレイしたり、箱詰めしたり、需要者が着用する時にはその着用者が、必要に応じて、編み地部分の中間部分を適当に折って使用するようにしている。特に、衿、袖口等は、着用者の体形に合わせて適当に折って使用できる点で好ましい面もあるが、体に沿う面、例えば、衿における衿腰部分とエリの外回り部分においては、それぞれの部分における必要とされる伸び率が異なり、型崩れの原因となる等の問題があった。また、従来のゴム編みの１枚ものは、腰がなく、伸びるためデザインは限られていた。
このようなゴム編みが最も多く使用されているパーツとしては、ポロシャツの衿が挙げられ、ニットのポロシャツ自体、平面な物作りのため、衿部分はゴム編みで良かった。しかしながら、例えば、ポロシャツ等の衿の内側の衿腰部分と外側の衿外回りは、一枚のゴム編みで形成されており、衿腰部分では伸びすぎると首にフィットしなくなり、外回り部分では衿腰部分より伸びる必要があった。
このような問題点を解決するものとして、セーター及びシャツ等と一体に編成されるニット製衿であって、衣類側編地部分と折り返されて衿を形成する衿側編地部分からなり、衣類側編地部分と衿側編地部分との折り返し境界部分を円弧状若しくは台形状にする提案がなされている（例えば、特許文献１参照。）。しかしながら、このような形態にしても依然として型崩れの防止効果は十分とはいえなかった。
【特許文献１】特開２００１−１１７１７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ゴム編みの衿等を一般のシャツカラー、スタンドカラー等の布帛と同じ扱いができるような機能を有する部分とし、横編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にし、かつファッション性や着用感の良いニット製パーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、横編みパーツ部分に袋編み部分を設け、袋編み部の内部に芯地を接着加工することにより、型崩れ等が起きにくく、かつファッション性等が維持できるパーツが得られることを見出し本発明を完成した。
【０００５】
すなわち、本発明の第１の発明によれば、袋編み部を有し、袋編み部内部に芯地を接着させたことを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００６】
また、本発明の第２の発明によれば、第１の発明において、パーツが、衿であって、衿腰部分に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００７】
また、本発明の第３の発明によれば、第１の発明において、パーツが袖口であって、袖口の一部に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００８】
また、本発明の第４の発明によれば、第１の発明において、パーツが、前立てであって、全前立て部が芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００９】
また、本発明の第５の発明によれば、第１〜４のいずれかの発明のニット製品の横編みパーツを有することを特徴とするニット製衣服が提供される。
【００１０】
また、本発明の第６の発明によれば、第５の発明において、衣服がポロシャツであることを特徴とするのニット製衣服が提供される。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、ニット製パーツにおいて、ゴム編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にすることができ、さらに、シャツカラーのように衿腰部分が首にそって衿ぐりの伸びを止める機能が必要だが、１枚で編まれたゴム編みでは、不可能であったものを改良し、伸び止め等の機能を必要とする部分を袋状に編みこみ、その箇所に芯地を挿入し接着することににより不可能であったアイテム、デザインを広げることができる。その結果、該パーツが一体に編成されるスポーツウエア、シャツ等のニット製衣類は、ファッション性や良い着用感が保たれたニット製衣服とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下本発明のニット製パーツ及びそれらを用いた衣服について詳細に説明する。
本発明のニット製パーツは、スポーツウエア、セータ及びシャツ等のニット製衣類に付設されるゴム編みで形成されるパーツにおいて、その一部または全部を袋編みにして形成し、かつ該袋編み内部に接着芯地を入れ熱プレスして得られるパーツである。
【００１３】
本発明のニット製パーツとしては、特に限定されないが、例えば、通常ゴム（リブ）編み部で形成される衿、袖口、裾口、前立て部分等が挙げられる。これらのパーツの一部または全部のゴム（リブ）編み部を袋編みにする必要がある。
具体的な例を図で説明する。例えば、図１においては、（ａ）に示すようなポロカラーは、（ｂ）に示すような長方形の衿部分１から構成されており、その半楕円形状の衿腰部分１１に袋編み部を設ける。この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、衿腰の機能を高めることができる。図２においては、（ａ）に示すようなショールカラーは、（ｂ）に示すような台形状の衿部分２から構成されており、その半楕円形状の衿腰部分２１に袋編み部を設ける。この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、衿腰の機能を高めることができる。図３においては、（ａ）に示すようなシャツカラーは、（ｂ）に示すような台形状の衿部３と細長長方形の衿腰部３１から構成されており、その衿腰部３１を袋編み部にし、この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、衿腰の機能を高めることができる。また、（ｃ）に示すような衿先部３２に袋編み部を設け、この袋編み部に後述の接着芯地の剣先芯等を挿入して融合し、衿の形状維持の機能を高めることができる。図４においては、（ａ）に示すような前立て部４は、（ｂ）に示すような部分４１に袋編み部を設け、この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、前立ての形状維持の機能を高めることができる。図５においては、（ａ）に示すような袖口５は、（ｂ）に示すような長方形状の袖口５の半分５１のみを袋編み部とすると、（ｃ）に示すような袖口の半分に接着芯地等を挿入し、種々の機能を付与することができ、（ｃ）に示すような長方形状の袖口５の全部５１を袋編み部とすると、（ｃ）に示すような袖口の全部に接着芯地等を挿入し、種々の機能を付与することができる。
さらに、ポケット口、裾ベルト等にも用いることができ、袋編み部の大きさ、形状は、必要に応じて、大きくも小さくもすることができ、衣服全体のバランスから適宜選択できる。
【００１４】
横編機により形成されるゴム（リブ）編み部は、通常公知の方法で得られるゴム編み部であり、使用されるゲージは、特に限定されず、太番手より、１．５Ｇ、３Ｇ、４Ｇ、５Ｇ、６Ｇ、７Ｇ、８Ｇ、１０Ｇ、１２Ｇ、１４Ｇ、１５Ｇ、１６Ｇ、１８Ｇ、２０Ｇ、２２Ｇ等を用いることができる。本発明においては、通常公知の方法で、ゴム編み部の途中からまたは一部又は全部の必要とする箇所を袋編みにして用いる。
なお、ニット製パーツの材料としては、特に制限はなく、例えば、ウール、綿、アクリル、ポリエステル、ポリエステルと綿の複合繊維等を用いることができる。
【００１５】
本発明のニット製パーツは、ゴム（リブ）編み等の一部または全部を袋編みした部分に、接着性芯地を挿入して、熱プレスして形状を整える必要がある。
例えば、図１〜５で説明した袋編み部の形状にカットした両面に接着剤を付与された接着芯地を袋編み部内に挿入し、熱プレスして形状を整える。
ここで、接着芯地としては、芯地の両面に接着剤層を付与した接着性芯地が好ましい。接着性芯地用の芯地としては、不織布、織物、フィルム等の通常の外形を保つように用いる芯地が挙げられる。
なお、芯地に用いられる不織布の材料としては、特に制限はなく、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン等の材料を用いることができる。また、不織布の製法は、特に制限はなく、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法等によって製造されたものを用いることができる。さらに、不織布の目付についても特に制限はなく、例えば、１０〜１００ｇ／ｍ２であるものが好ましい。
【００１６】
本発明で用いる接着性芯地の接着剤層は、接着剤が芯地の表面にドット状に付与、塗布された層である。本発明の接着性芯地を袋編み部に挿入させて接着させると、ドット状に付着された接着剤により袋編み内部で点接合で一体化され、これにより表面の動きの過度の拘束や接着剤の硬化等による風合いの悪化や透湿性の低下を回避することができる。
【００１７】
接着剤を芯地表面にドット状に付着させる場合は、表面の風合いおよび伸張回復性を損なわぬよう、接着剤が適度の密度間隔でドット状に置かれ、不織布芯地を例にあげれば、芯地上のどの部分をとっても一様に配置されていることが好ましく、ドットの配置密度および一個のドットの大きさは、表地の風合いや伸張回復性をそこなわないように袋編み地と芯地である不織布を接着一体化するように適宜選択される。
特に、芯地不織布の片面においては、個々のドットの直径は、０．１〜３．０ｍｍが好ましく、不織布面上のドットの密度は、５０〜１，５００個／ｉｎ２が好ましく、不織布面に対するドットの付着量は２〜６０ｇ／ｍ２が好ましい。ドットの直径、密度、付着量がこの範囲未満であると表地との良好な接着強度が保証されず、この範囲を超えると接着加熱加圧時に裏面にしみだし、外観風合いを損なう。
【００１８】
芯地上への接着剤のドット状の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、ディスパージョンドット塗布法、パウダードット塗布法、ダブルドットコーティング法等を用いることができる。
また、ドット状の付着パターンとしては、特に限定されず、例えば、図５に示すランダム・パターン、図６に示す格子状パターン（またはレギュラーパターン）を挙げることができる。これらのパターンは、用途、表地の生地厚み、風合いなどに応じて使い分けることができる。
【００１９】
本発明で用いる接着性芯地における接着剤としては、ホットメルト系の接着剤が用いられる。その材質としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等であるが、特に好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン系のホットメルト樹脂である。
【００２０】
本発明で用いる接着性芯地は、種々の基材、例えば表地等の生地に貼りあわせることにより基材に透湿性、防風性、吸水発熱性、吸水涼感性を付与することができる。また、消臭効果、芳香効果、抗菌効果、蓄熱効果、医療用磁気効果等を付与するために用いる芯地も用いることができる。
【００２１】
本発明のニット製衣服のパーツは、ゴム（リブ）編み等の一部又は全部に形成された袋編み部に接着性芯地が挿入され、熱融着されているため、形状維持、機能性向上等の効果を有する。
【００２２】
本発明のニット製衣服は、上記横編み部からなるパーツを有するため、形状維持の機能に優れた衣服となり、動きのある素材に対しても形崩れすることなく、また着用時の機能を損なわずに着用感のよいものとなる利点を有する。
【実施例】
【００２３】
以下に本発明を実施例で説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
（実施例１）
ポリエステル製のブラウスの身頃部分にポリエステルローンの布帛を用い、図２（ａ）に示すようなショールカラー衿部分を形成させ、該衿部分を、図２（ｂ）に示すような衿腰部分に袋編み部分を設け、その中にポリエステル不織布からなる接着性芯地（倉敷繊維加工製ダブルフェィス）を挿入し、熱プレスした。得られたブラウスを着用したところ、着まわりの快適感が得られた。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
本発明によれば、ニット製パーツにおいて、ゴム（リブ）編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にすることができ、該パーツが一体に編成されるスポーツウエア、シャツ等のニット製衣類は、ファッション性や良い着用感が保たれたニット製衣服が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】ポロカラーの袋編み部を説明する図である。
【図２】ショールカラーの袋編み部を説明する図である。
【図３】シャツカラーの袋編み部を説明する図である。
【図４】前立ての袋編み部を説明する図である。
【図５】袖口の袋編み部を説明する図である。
【図６】接着剤のドットのランダムパターン配置の１例を示す図である。
【図７】接着剤のドットのランダムパターン配置の１例を示す図である。
【符号の説明】
【００２６】
１、２、３ 衿
４ 前立て
５ 袖口
１１、２１、３１ 衿腰
３２ 衿先
【技術分野】
【０００１】
本発明は、新規なニット製品の横編みパーツ及びそれを用いたニット製衣服に関し、詳しくは、ゴム（リブ）編み等のパーツに袋編み部を設け、その内部に芯地を接着させた型崩れのない、衿、袖口、前立て等の横編みパーツおよびそれを用いたニット製衣服に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、横編機を使用して編成されるポロシャツ、セーター、スポーツウエア等のニット製衣服の衿、袖口、裾口、前立て、ポケット等のパーツの編地の編組織は、ゴム編み、またはリブ編みと平編みが交互に繰り返すような編み方をするようにしてそれぞれの端部が身頃部分にリンキング又は縫製されて、衣服が形成されている。
このようなゴム（リブ）編みで形成されているパーツ部分は、編み地部分が略均一の厚さの編み組織になっており、商品としてディスプレイしたり、箱詰めしたり、需要者が着用する時にはその着用者が、必要に応じて、編み地部分の中間部分を適当に折って使用するようにしている。特に、衿、袖口等は、着用者の体形に合わせて適当に折って使用できる点で好ましい面もあるが、体に沿う面、例えば、衿における衿腰部分とエリの外回り部分においては、それぞれの部分における必要とされる伸び率が異なり、型崩れの原因となる等の問題があった。また、従来のゴム編みの１枚ものは、腰がなく、伸びるためデザインは限られていた。
このようなゴム編みが最も多く使用されているパーツとしては、ポロシャツの衿が挙げられ、ニットのポロシャツ自体、平面な物作りのため、衿部分はゴム編みで良かった。しかしながら、例えば、ポロシャツ等の衿の内側の衿腰部分と外側の衿外回りは、一枚のゴム編みで形成されており、衿腰部分では伸びすぎると首にフィットしなくなり、外回り部分では衿腰部分より伸びる必要があった。
このような問題点を解決するものとして、セーター及びシャツ等と一体に編成されるニット製衿であって、衣類側編地部分と折り返されて衿を形成する衿側編地部分からなり、衣類側編地部分と衿側編地部分との折り返し境界部分を円弧状若しくは台形状にする提案がなされている（例えば、特許文献１参照。）。しかしながら、このような形態にしても依然として型崩れの防止効果は十分とはいえなかった。
【特許文献１】特開２００１−１１７１７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ゴム編みの衿等を一般のシャツカラー、スタンドカラー等の布帛と同じ扱いができるような機能を有する部分とし、横編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にし、かつファッション性や着用感の良いニット製パーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、横編みパーツ部分に袋編み部分を設け、袋編み部の内部に芯地を接着加工することにより、型崩れ等が起きにくく、かつファッション性等が維持できるパーツが得られることを見出し本発明を完成した。
【０００５】
すなわち、本発明の第１の発明によれば、袋編み部を有し、袋編み部内部に芯地を接着させたことを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００６】
また、本発明の第２の発明によれば、第１の発明において、パーツが、衿であって、衿腰部分に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００７】
また、本発明の第３の発明によれば、第１の発明において、パーツが袖口であって、袖口の一部に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００８】
また、本発明の第４の発明によれば、第１の発明において、パーツが、前立てであって、全前立て部が芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とするニット製品の横編みパーツが提供される。
【０００９】
また、本発明の第５の発明によれば、第１〜４のいずれかの発明のニット製品の横編みパーツを有することを特徴とするニット製衣服が提供される。
【００１０】
また、本発明の第６の発明によれば、第５の発明において、衣服がポロシャツであることを特徴とするのニット製衣服が提供される。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、ニット製パーツにおいて、ゴム編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にすることができ、さらに、シャツカラーのように衿腰部分が首にそって衿ぐりの伸びを止める機能が必要だが、１枚で編まれたゴム編みでは、不可能であったものを改良し、伸び止め等の機能を必要とする部分を袋状に編みこみ、その箇所に芯地を挿入し接着することににより不可能であったアイテム、デザインを広げることができる。その結果、該パーツが一体に編成されるスポーツウエア、シャツ等のニット製衣類は、ファッション性や良い着用感が保たれたニット製衣服とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下本発明のニット製パーツ及びそれらを用いた衣服について詳細に説明する。
本発明のニット製パーツは、スポーツウエア、セータ及びシャツ等のニット製衣類に付設されるゴム編みで形成されるパーツにおいて、その一部または全部を袋編みにして形成し、かつ該袋編み内部に接着芯地を入れ熱プレスして得られるパーツである。
【００１３】
本発明のニット製パーツとしては、特に限定されないが、例えば、通常ゴム（リブ）編み部で形成される衿、袖口、裾口、前立て部分等が挙げられる。これらのパーツの一部または全部のゴム（リブ）編み部を袋編みにする必要がある。
具体的な例を図で説明する。例えば、図１においては、（ａ）に示すようなポロカラーは、（ｂ）に示すような長方形の衿部分１から構成されており、その半楕円形状の衿腰部分１１に袋編み部を設ける。この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、衿腰の機能を高めることができる。図２においては、（ａ）に示すようなショールカラーは、（ｂ）に示すような台形状の衿部分２から構成されており、その半楕円形状の衿腰部分２１に袋編み部を設ける。この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、衿腰の機能を高めることができる。図３においては、（ａ）に示すようなシャツカラーは、（ｂ）に示すような台形状の衿部３と細長長方形の衿腰部３１から構成されており、その衿腰部３１を袋編み部にし、この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、衿腰の機能を高めることができる。また、（ｃ）に示すような衿先部３２に袋編み部を設け、この袋編み部に後述の接着芯地の剣先芯等を挿入して融合し、衿の形状維持の機能を高めることができる。図４においては、（ａ）に示すような前立て部４は、（ｂ）に示すような部分４１に袋編み部を設け、この袋編み部に後述の接着芯地等を挿入して融合し、前立ての形状維持の機能を高めることができる。図５においては、（ａ）に示すような袖口５は、（ｂ）に示すような長方形状の袖口５の半分５１のみを袋編み部とすると、（ｃ）に示すような袖口の半分に接着芯地等を挿入し、種々の機能を付与することができ、（ｃ）に示すような長方形状の袖口５の全部５１を袋編み部とすると、（ｃ）に示すような袖口の全部に接着芯地等を挿入し、種々の機能を付与することができる。
さらに、ポケット口、裾ベルト等にも用いることができ、袋編み部の大きさ、形状は、必要に応じて、大きくも小さくもすることができ、衣服全体のバランスから適宜選択できる。
【００１４】
横編機により形成されるゴム（リブ）編み部は、通常公知の方法で得られるゴム編み部であり、使用されるゲージは、特に限定されず、太番手より、１．５Ｇ、３Ｇ、４Ｇ、５Ｇ、６Ｇ、７Ｇ、８Ｇ、１０Ｇ、１２Ｇ、１４Ｇ、１５Ｇ、１６Ｇ、１８Ｇ、２０Ｇ、２２Ｇ等を用いることができる。本発明においては、通常公知の方法で、ゴム編み部の途中からまたは一部又は全部の必要とする箇所を袋編みにして用いる。
なお、ニット製パーツの材料としては、特に制限はなく、例えば、ウール、綿、アクリル、ポリエステル、ポリエステルと綿の複合繊維等を用いることができる。
【００１５】
本発明のニット製パーツは、ゴム（リブ）編み等の一部または全部を袋編みした部分に、接着性芯地を挿入して、熱プレスして形状を整える必要がある。
例えば、図１〜５で説明した袋編み部の形状にカットした両面に接着剤を付与された接着芯地を袋編み部内に挿入し、熱プレスして形状を整える。
ここで、接着芯地としては、芯地の両面に接着剤層を付与した接着性芯地が好ましい。接着性芯地用の芯地としては、不織布、織物、フィルム等の通常の外形を保つように用いる芯地が挙げられる。
なお、芯地に用いられる不織布の材料としては、特に制限はなく、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン等の材料を用いることができる。また、不織布の製法は、特に制限はなく、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法等によって製造されたものを用いることができる。さらに、不織布の目付についても特に制限はなく、例えば、１０〜１００ｇ／ｍ２であるものが好ましい。
【００１６】
本発明で用いる接着性芯地の接着剤層は、接着剤が芯地の表面にドット状に付与、塗布された層である。本発明の接着性芯地を袋編み部に挿入させて接着させると、ドット状に付着された接着剤により袋編み内部で点接合で一体化され、これにより表面の動きの過度の拘束や接着剤の硬化等による風合いの悪化や透湿性の低下を回避することができる。
【００１７】
接着剤を芯地表面にドット状に付着させる場合は、表面の風合いおよび伸張回復性を損なわぬよう、接着剤が適度の密度間隔でドット状に置かれ、不織布芯地を例にあげれば、芯地上のどの部分をとっても一様に配置されていることが好ましく、ドットの配置密度および一個のドットの大きさは、表地の風合いや伸張回復性をそこなわないように袋編み地と芯地である不織布を接着一体化するように適宜選択される。
特に、芯地不織布の片面においては、個々のドットの直径は、０．１〜３．０ｍｍが好ましく、不織布面上のドットの密度は、５０〜１，５００個／ｉｎ２が好ましく、不織布面に対するドットの付着量は２〜６０ｇ／ｍ２が好ましい。ドットの直径、密度、付着量がこの範囲未満であると表地との良好な接着強度が保証されず、この範囲を超えると接着加熱加圧時に裏面にしみだし、外観風合いを損なう。
【００１８】
芯地上への接着剤のドット状の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、ディスパージョンドット塗布法、パウダードット塗布法、ダブルドットコーティング法等を用いることができる。
また、ドット状の付着パターンとしては、特に限定されず、例えば、図５に示すランダム・パターン、図６に示す格子状パターン（またはレギュラーパターン）を挙げることができる。これらのパターンは、用途、表地の生地厚み、風合いなどに応じて使い分けることができる。
【００１９】
本発明で用いる接着性芯地における接着剤としては、ホットメルト系の接着剤が用いられる。その材質としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等であるが、特に好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン系のホットメルト樹脂である。
【００２０】
本発明で用いる接着性芯地は、種々の基材、例えば表地等の生地に貼りあわせることにより基材に透湿性、防風性、吸水発熱性、吸水涼感性を付与することができる。また、消臭効果、芳香効果、抗菌効果、蓄熱効果、医療用磁気効果等を付与するために用いる芯地も用いることができる。
【００２１】
本発明のニット製衣服のパーツは、ゴム（リブ）編み等の一部又は全部に形成された袋編み部に接着性芯地が挿入され、熱融着されているため、形状維持、機能性向上等の効果を有する。
【００２２】
本発明のニット製衣服は、上記横編み部からなるパーツを有するため、形状維持の機能に優れた衣服となり、動きのある素材に対しても形崩れすることなく、また着用時の機能を損なわずに着用感のよいものとなる利点を有する。
【実施例】
【００２３】
以下に本発明を実施例で説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
（実施例１）
ポリエステル製のブラウスの身頃部分にポリエステルローンの布帛を用い、図２（ａ）に示すようなショールカラー衿部分を形成させ、該衿部分を、図２（ｂ）に示すような衿腰部分に袋編み部分を設け、その中にポリエステル不織布からなる接着性芯地（倉敷繊維加工製ダブルフェィス）を挿入し、熱プレスした。得られたブラウスを着用したところ、着まわりの快適感が得られた。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
本発明によれば、ニット製パーツにおいて、ゴム（リブ）編みパーツ部分を型崩れ等が起きにくい形状にすることができ、該パーツが一体に編成されるスポーツウエア、シャツ等のニット製衣類は、ファッション性や良い着用感が保たれたニット製衣服が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】ポロカラーの袋編み部を説明する図である。
【図２】ショールカラーの袋編み部を説明する図である。
【図３】シャツカラーの袋編み部を説明する図である。
【図４】前立ての袋編み部を説明する図である。
【図５】袖口の袋編み部を説明する図である。
【図６】接着剤のドットのランダムパターン配置の１例を示す図である。
【図７】接着剤のドットのランダムパターン配置の１例を示す図である。
【符号の説明】
【００２６】
１、２、３ 衿
４ 前立て
５ 袖口
１１、２１、３１ 衿腰
３２ 衿先
【特許請求の範囲】
【請求項１】
袋編み部を有し、袋編み部内部に芯地を接着させたことを特徴とするニット製品の横編みパーツ。
【請求項２】
パーツが、衿であって、衿腰部分に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とする請求項１に記載のニット製品の横編みパーツ。
【請求項３】
パーツが袖口であって、袖口の一部に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とする請求項１に記載のニット製品の横編みパーツ。
【請求項４】
パーツが、前立てであって、全前立て部が芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とする請求項１に記載のニット製品の横編みパーツ。
【請求項５】
請求項１〜４のいずれか１項に記載のニット製品の横編みパーツを有することを特徴とするニット製衣服。
【請求項６】
衣服がポロシャツであることを特徴とする請求項５に記載のニット製衣服。
【請求項１】
袋編み部を有し、袋編み部内部に芯地を接着させたことを特徴とするニット製品の横編みパーツ。
【請求項２】
パーツが、衿であって、衿腰部分に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とする請求項１に記載のニット製品の横編みパーツ。
【請求項３】
パーツが袖口であって、袖口の一部に芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とする請求項１に記載のニット製品の横編みパーツ。
【請求項４】
パーツが、前立てであって、全前立て部が芯地を内包する袋編み部を有することを特徴とする請求項１に記載のニット製品の横編みパーツ。
【請求項５】
請求項１〜４のいずれか１項に記載のニット製品の横編みパーツを有することを特徴とするニット製衣服。
【請求項６】
衣服がポロシャツであることを特徴とする請求項５に記載のニット製衣服。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００６−２５７５５８（Ｐ２００６−２５７５５８Ａ）
【公開日】平成１８年９月２８日（２００６．９．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−７２２２７（Ｐ２００５−７２２２７）
【出願日】平成１７年３月１５日（２００５．３．１５）
【出願人】（５０５０９５００６）日和株式会社 (1)
【出願人】（０００２０１８８１）倉敷繊維加工株式会社 (41)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年９月２８日（２００６．９．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年３月１５日（２００５．３．１５）
【出願人】（５０５０９５００６）日和株式会社 (1)
【出願人】（０００２０１８８１）倉敷繊維加工株式会社 (41)
【Ｆターム（参考）】
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