説明

ニワトリ卵白アルブミン遺伝子領域を用いたトリ遺伝子組換え

本発明は、少なくとも1つのトリMARおよび卵白アルブミン転写調節領域をコードするトリ核酸配列を含む、単離組換えトリ核酸分子を提供する。本発明の単離核酸は、卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結されてトリ細胞レシピエントに形質移入された導入遺伝子の転写に対する染色体位置効果を減少させるのに有用である。本発明の組換え核酸分子は、さらに、ポリアデニル化シグナル配列またはトリ3’ドメイン、および所望により、形質移入トリ細胞において作動可能に連結された異種核酸インサートを発現させるための配列内リボソーム進入部位を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願番号60/462,953(2003年4月15日出願)、60/465,215(2003年4月24日出願)、および60/469,488(2003年5月9日出願)から優先権を主張する(これらは全て引用により全体として本明細書に含まれる)。
【0002】
[技術分野]
本発明は、一般的には、トリ卵白アルブミン転写調節制御領域および連鎖したマトリックス結合領域を含む単離核酸分子に関する。本発明はさらに、異種ポリペプチドコード核酸インサートに作動可能に連結されたトリ卵白アルブミン転写調節領域を含む、組換え核酸並びに発現ベクター、遺伝子形質転換細胞、および遺伝子組換えトリに関する。本発明はまた、単離トリ卵白アルブミン転写調節領域の制御下にあるポリペプチドコード核酸分子の発現および作成に関する。
【0003】
[背景]
動物を特定のタンパク質あるいは薬学的に興味深い他の物質を産生するための「バイオリアクター」に転換するための遺伝子組換え技術(Gordon et al., 1987, Biotechnology 5: 1183-1187; Wilmut et al., 1990, Theriogenology 33: 113-123)は、常套的な遺伝子発現によるタンパク質産生方法よりも顕著な利益をもたらす。
【0004】
組換え核酸分子は、発現した異種タンパク質がその遺伝子組換え発現産物の乳汁または尿中への分泌を可能とするタンパク質またはペプチドに結合するように改変されており、その結果そこからタンパク質を回収することができる。これらの方法は、乳汁分泌動物を必要とし、牛、羊、またはヤギのような大型種の動物個体や群れを維持する費用が付随する場合がある。
【0005】
これまで遺伝子組換え動物は、ほとんどもっぱら受精卵の微量注入によって作成されてきた。受精卵の前核が、異質(foreign)な、すなわち別種(xenogeneic)または同種(allogeneic)の異種(heterologous)DNAまたはハイブリッドDNA分子をインビトロで微量注入される。微量注入された受精卵はその後、偽妊娠雌の生殖管に移入される (例えば、Krimpenfort et al., 米国特許第5175384号)。
【0006】
有望な系の1つは、トリ生殖器系である。トリ卵の形成は、メンドリの卵巣における大きな卵黄の形成によって始まる。未受精卵母細胞または卵子は、卵黄嚢の上部に存在する。排卵後、卵子は卵管漏斗へと渡り、そこに精子が存在する場合には受精し、そして卵管筒部へ移動し、管状腺細胞と並ぶ。これらの細胞は、卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、コンアルブミン、およびオボムチンを含む卵白タンパク質を筒部管腔に分泌し、それらタンパク質がトリ胚および卵黄上に蓄積する。
【0007】
メンドリ卵管は、高レベルなタンパク質産生、標的タンパク質の適正な折りたたみと転写後修飾が確実であること、産物回収の容易性、および他の可能性ある動物種と比較してニワトリの発達期間が短いことから、タンパク質バイオリアクターとして卓越した可能性を示す。ニワトリ卵白アルブミン遺伝子は、成熟メンドリ卵管の管状腺に高度に発現しているので、遺伝子組換え鳥類において異種タンパク質を産生するための効率的プロモーターの候補として適する。DNA微量注入により卵管において異種タンパク質を発現する遺伝子組換えニワトリを作成する努力がなされている(PCT公開公報 WO 97/47739)。
【0008】
遺伝子発現は、遺伝子に関連するシス調節エレメントおよびそれらとトランス作用エレメントとの相互作用だけでなく、それらが位置する遺伝子環境に関する視点からも検討しなければならない。染色体位置効果の結果、導入遺伝子の発現のレベルは、レシピエントゲノム内の導入遺伝子の位置の相違に伴い様々となる。導入遺伝子の発現レベルを支配する重要な因子は、導入遺伝子周辺のクロマチン構造、および如何にそれがシス調節エレメントと協働するかということである。遺伝子発現レベルの位置非依存性は、遺伝子組換えリゾチームの遺伝子座からシス調節エレメント欠失させることで十分に減少または排除することができる一方、導入遺伝子を位置非依存性とするためには、タンパク質コード領域および直近のシス転写調節エレメント以外にも数キロベースのDNAを一緒に導入することを必要とするという証拠もある。
【0009】
レトロウィルスの末端反復配列(Long Terminal Repeat、LTR)の特徴と似た短い配列が、ニワトリ卵白アルブミン遺伝子座を含むニワトリ遺伝子全体に散見される。これらエレメントの機能は明らかでないが、遺伝子座のDNA分解酵素高感受性(DHS)領域の決定を補助するようである(Stein et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80: 6485-6489)。このように、各種トリ遺伝子に隣接するのは、マトリックス結合領域 (5’および3’MAR)であり、これは互換的に「足場付着領域(scaffold attachment region)」または「SAR」と呼ばれる。ニワトリリゾチーム遺伝子座の外側の境界は、例えば、MARによって決定されている(Phi-Van et al., 1988, E.M.B.O.J. 7: 655-664; Phi-Van & Stratling., 1996, Biochem. 35: 10735-10742)。それぞれ5’MARの半分を含む1.32 kbまたは1.45 kbの領域を欠失させると、導入遺伝子の発現レベルの位置的多様性が減少する(Phi-Van & Stratling, 前掲)。
【0010】
ニワトリリゾチーム転写開始部位の約−11.7 kb上流に存在する5’マトリックス結合領域 (5’MAR)は、導入遺伝子に対して発揮される染色体位置効果を制限することによって、遺伝子発現レベルを上昇させることができる(Phi-Van et. al., 1988、前述)。少なくとももう一つのMARが、当該タンパク質コード領域の3’下流に存在する。MAR核酸配列は保存されているが、交差ハイブリッド形成はほとんど見られず、全体として配列多様性が顕著であることが示唆される。しかしながら、ニワトリリゾチームのMARが、ニワトリ卵管細胞と同様に植物タバコの核マトリックスと相互作用することができるというように、異なる種のMARが異種の核マトリックスと相互作用することができる(Mlynarona et al., 1994, Cell 6: 417-426; von Kries et al., 1990, Nucleic acids Res. 18: 3881-3885)。ニワトリリゾチームプロモーター領域はまた、マウス繊維芽細胞に形質移入された細菌性クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のようなレポーター遺伝子と連結される場合でも活性を有する。いずれの場合も、5’MARエレメントの存在により転写レベルの位置非依存性が増強された(Stief et al., 1989, Nature 341: 343-345; Sippel et al., pgs. 257 265 in Houdeline L.M. (ed), ”Transgenic animals: Generation and Use”)。
【0011】
導入遺伝子の挿入を、位置効果を制限しつつ動物ゲノム中の部位に指向させることができれば、所望の遺伝子組換え動物の開発中に結果を予測することができ、発現産物の収率が増加する。SippelおよびSteifは、米国特許第5731178号において、足場付着エレメント、特にニワトリリゾチーム遺伝子から単離した5’MARと転写ユニットとを隣接させることによって、真核細胞に導入された遺伝子の発現を増強する方法を開示する。SippelおよびSteifによって開示される転写ユニットは、リゾチーム遺伝子に由来する−6.1 kbのエンハンサーエレメントおよび近位プロモーターエレメントのみを組み合わせた人工コンストラクトであった(塩基位置−579〜+15)。他のプロモーター関連エレメントは含まれていなかった。
【0012】
ニワトリ卵白アルブミン遺伝子に関連する個々のシス転写調節エレメントは、隣接するDNAの短い領域と共に単離されて配列決定されているが、卵白アルブミン遺伝子の5’上流領域を含む全核酸配列は決定されておらず、また異種導入遺伝子の発現を可能とする機能的プロモーターとして用いられていない。
【0013】
しかしながら、トリ細胞において導入遺伝子を発現させることができ、その一方で位置的多様性が減少している効率的な転写プロモーターがさらに必要とされる。
【0014】
また、さらに、トリの卵管細胞において導入遺伝子を発現させることができ、かつ発現系の染色体位置によらず効率的遺伝子発現を可能とする遺伝子発現プロモーターカセットが必要である。
【0015】
[発明の概要]
簡単に説明すると、本発明は、トリ卵白アルブミン転写調節領域および少なくとも1つのマトリックス結合領域エレメントを含む新規な単離組換え核酸分子に関する。
本発明の単離組換え核酸分子は、マトリックス結合領域が少なくとも1つ存在するため、卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結されレシピエント細胞に形質移入された導入遺伝子に対する染色体位置効果を減少させるのに有用である。ニワトリゲノムの卵白アルブミン遺伝子座の上流の領域を含む約195 kbの領域を単離すれば、組織特異的に遺伝子発現を可能とするであろうシスエレメントもまた確実に含まれる。それゆえ本発明の卵白アルブミンプロモーター領域は、作動可能に連結された異種核酸インサートを、形質移入トリ細胞、例えば体細胞、によって発現させることができるであろう。
【0016】
本発明は、遺伝子座の卵白アルブミンコード領域の5’上流の約135kbの領域および3’下流の約45kbの領域を含む、ニワトリゲノム由来の約195kbの新規な単離核酸分子、およびその切断型変異体を提供する。この新規な単離ニワトリ核酸配列は、卵白アルブミン遺伝子の5’および3’の両方のマトリックス結合領域、およびCR1反復エレメントを含む卵白アルブミン転写調節領域、卵白アルブミン近位プロモーターを含む。前記エレメントの間には、少なくとも前記エレメントを順序よく配列する役割を担うひと続きの核酸が散在する。この新規な単離ニワトリ遺伝子領域はまた、多数のイントロンが散在する卵白アルブミンコード領域を含む。
【0017】
本発明はさらに、形質移入細胞または遺伝子組換え細胞によって発現されるべきポリペプチドをコードする異種核酸分子インサートにトリ卵白アルブミン転写調節領域を作動可能に連結するための組換え核酸分子を提供する。この異種核酸分子は、シグナルペプチド配列とインフレームに配置することができる。翻訳開始は、シグナルペプチドから始まって前記核酸分子を通して続き、所望のアミノ酸配列を有する発現ポリペプチドが産生される。
【0018】
発現する異種核酸インサートの配列は、当業界に周知の方法によって、宿主細胞によるコドン使用頻度について最適化することができる。例えば、コドン使用頻度は、トリ、例えばニワトリ、について最適化してもよい。これは、ニワトリ細胞で発現する少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のタンパク質のコドン使用頻度から決定できるであろう。例えば、コドン使用頻度は、ニワトリの卵白アルブミン、リゾチーム、オボムチンおよびオボトランスフェリンタンパク質をコードする核酸配列から決定できる。
【0019】
本発明の組換え核酸分子はさらに、卵白アルブミン転写調節領域により誘導される転写が所望の異種ポリペプチドをコードする異種核酸を越えて伸長し、かつ3’非翻訳領域およびポリアデニル化末端を含むことを可能にするポリアデニル化シグナル配列を含んでもよい。SV40ポリアデニル化シグナル配列、ウシ成長ホルモンアデニル化配列等を含む、適した機能的ポリアデニル化シグナル配列は、いずれも異種核酸インサートの3’末端に連結することができる。
【0020】
本発明の組換え核酸分子はまた、ニワトリ卵白アルブミン3’ドメインを含んでもよい。この3’ドメインは、卵白アルブミン遺伝子の3’非翻訳領域、ポリアデニル化シグナル、および少なくとも1つのMARを含むことができ、ここでMARは、卵白アルブミン転写調節領域上流のMARと協働して遺伝子組換えトリでの遺伝子発現の位置的多様性を減少することができる。
【0021】
本発明のさらに別の局面は、レシピエント細胞、好ましくはトリ細胞、への送達に適する発現ベクターである。本発明によって提供される発現ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸インサートに作動可能に連結することができるトリ卵白アルブミン転写調節領域、および所望によりポリアデニル化シグナル配列、を含むことができる。本発明の発現ベクターはさらに、卵白アルブミン転写調節領域に隣接し、かつ真核細胞レシピエントのゲノムへのランダムでない発現ベクターの挿入を誘導できる、少なくとも1つ、好ましくは2つ、のMARエレメントを含む。発現ベクターはさらに、適した宿主におけるベクターの複製を可能としうる、細菌プラスミド配列、ウィルス核酸配列、またはそれらの断片もしくは変異体を含むことができる。
【0022】
本発明の別の局面は、発現が所望されるポリペプチドをコードする核酸インサートに作動可能に連結されたトリ卵白アルブミン転写調節領域、および所望によりポリアデニル化シグナル配列、を含む組換え核酸分子を細胞に形質移入し、トリ卵白アルブミン転写調節領域の制御下で前記異種ポリペプチドを発現するのに適した条件のもと前記形質移入細胞を培養することによって、真核細胞で異種ポリペプチドを発現させる方法である。
【0023】
上記の本発明の非天然組換え核酸分子を含む組換え細胞、組織、および動物もまた、本発明の範囲内である。本発明のある態様において、形質移入細胞はニワトリ卵管細胞であり、核酸インサートは、ニワトリ卵白アルブミン転写調節領域、トリ細胞での発現に適したコドンのヒトインターフェロンα2bをコードする核酸インサート、およびSV40ポリアデニル化配列を含む。本発明の別の態様において、核酸インサートは、抗体の重鎖および軽鎖をコードする。
【0024】
本発明の更なる目的および局面は、後述の詳細な説明を、以下で簡単に説明する添付の図とともに参照すれば、より明らかにあるであろう。
【0025】
[好ましい態様の詳細な説明]
本説明では、キュカーバット遺伝学共同体報告書(Cucurbit Genetics Cooperative Report) 18:85 (1995)(本文献は引用により全体として本明細書に含まれる)に掲載されるキュカーバット遺伝学共同体(Cucurbit Genetics Cooperative)によって承認された遺伝子用語を使用する。この遺伝子用語を使用し、遺伝子はイタリック体ローマ字によって表す。変異遺伝子が正常型に対して劣性の場合、変異遺伝子のシンボルおよび名前はイタリック体小文字で表される。
便宜のため、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で用いられる一定の用語の定義をここに集める。
【0026】
定義
本明細書で使用する「トリ(avian)」なる用語は、分類学クラスavaの生物のいずれの種(species)、亜種(subspecies)、または品種(race)をも意味し、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、並びにダチョウ、エミュー、およびヒクイドリを含む走鳥類であるが、これらに限定されない。この用語は、様々な既知のガルス・ガルス(Gallus gallus)またはニワトリ(chicken)の系統(例えば、ホワイトレグホーン(White Leghorn)、ブラウンレグホーン(Brown Leghorn)、バードロック(Barred-Rock)、サセックス(Sussex)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ロードアイランド(Rhode Island)、オーストラロープ(Ausstralorp)、ミノルカ(Minorca)、アムロックス(Amrox)、カリフォルニアグレイ(California Gray)、イタリアンパートリッジカラード(Italian Partidge-colored)、並びにシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウ、および商業的規模で一般的に飼育される他の系統の家禽を含む。それはまた、胚形成期および胎仔期を含む、全ての発育段階の個々のトリ生物を包含する。また、「トリ」なる用語は、「鳥(bird)に関連すること」を、例えば「トリ細胞(鳥細胞)」というように、意味する場合もある。
【0027】
本明細書で用いる「核酸」なる用語は、天然または合成の、ヌクレオチドおよびヌクレオシドの直鎖状または連続的配列、例えばcDNA、ゲノムDNA、mRNA、tRNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、およびそれらの誘導体を意味する。議論を容易にすべく、本明細書において、そのような核酸を一括して「コンストラクト」、「プラスミド」、または「ベクター」と呼ぶ場合がある。「核酸」なる用語はさらに、修飾または誘導体化ヌクレオチドおよびヌクレオシド、例えば限定はされないが、5-ブロモウラシル(これに限らない)のようなハロゲン化ヌクレオチドおよびビオチン標識ヌクレオチドのような誘導体化ヌクレオチド、を包含する。
【0028】
本明細書で用いる「単離核酸分子」なる用語は、天然核酸分子と構造が同一でない核酸分子を意味し、DNA、RNA、またはそれらの誘導体または変異体を包含する。本用語は、限定はされないが、以下にも及ぶ:(a)天然ゲノム分子の一部の配列を有するが、天然種のゲノムではその分子の当該部分に隣接している少なくとも1つのコード配列が隣接していないDNA、(b)ベクターあるいは原核または真核生物のゲノム核酸に組み込まれた核酸であって、得られる分子がいずれのベクターあるいは天然ゲノムDNAとも同一にならないように組み込まれたもの、(c)分離分子、例えば、cDNA、ゲノム断片、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、または化学合成によって生産された断片、または制限酵素消化断片、(d)ハイブリッド遺伝子(融合タンパク質をコードする遺伝子)の一部である組換えヌクレオチド配列、および(e)非天然型ハイブリッド配列の一部である組換えヌクレオチド配列。本発明の単離核酸分子は、例えば、天然型対立遺伝子変異体や、ヌクレオチドの欠失、挿入、反転、または置換によって修飾された核酸分子であって、得られた核酸分子がその後も実質的に本発明の卵白アルブミン転写調節領域またはその変異体をコードするように修飾されたものを包含しうる。
【0029】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸配列」は、本明細書において互換的に用いられ、これらに限定はされないが、コード配列(適当な調節または制御配列の下に置かれた場合に、インビトロまたはインビボで転写されポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチドまたは核酸配列)、制御配列(例えば、翻訳開始および停止コドン、プロモーター配列、リボソーム結合配列、ポリアデニル化シグナル、転写因子結合部位、転写終始配列、上流または下流調節ドメイン、エンハンサー、サイレンサー等)、および調節配列(転写因子が結合し、遺伝子のプロモーターの活性をプラス(誘導)またはマイナス(抑制)のいずれかに変化させるDNA配列)を含む。前記用語は、長さまたは合成起源についての限定を示唆するものではない。
【0030】
本明細書で用いる「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」なる用語は、ペプチド結合を介して連結した、連続的に整列したアミノ酸のポリマーを意味する。「ペプチド」は、典型的には、ペプチド結合により連続的に整列して結合した少なくとも2〜約30個のアミノ酸のポリマーである。「ポリペプチド」なる用語は、タンパク質、タンパク質断片、タンパク質アナログ、オリゴペプチド等を包含する。「ポリペプチド」なる用語は、核酸によってコードされたか、組換え技術により産生された(適当なソース、例えば鳥から単離された)か、あるいは合成された、前記ポリペプチドを含む意味である。「ポリペプチド」なる用語はさらに、化学修飾アミノ酸または標識成分に共有結合または非共有結合したアミノ酸を含む前記ポリペプチドを含む意味である。
【0031】
本明細書で用いる「断片」なる用語は、(例えば化学合成によって)人工的に、または制限酵素や機械的剪断を用いて天然産物を複数の小片に切断することによって構築された対象核酸分子の単離された一部分、あるいはDNAポリメラーゼ(PCRを含む)もしくは当業界で周知の他の重合技術によって合成された、または当業者に周知の組換え核酸技術によって宿主細胞で発現させた核酸の一部分、のいずれをも意味する。本明細書で用いる「断片」なる用語はまた、ポリペプチドの単離部分であって、天然ポリペプチドを少なくとも1つのプロテアーゼを用いて蛋白分解的切断によって切断し得られたポリペプチドの部分であるか、あるいは当業者に周知の化学的または組換え的方法によって合成された天然ポリペプチドの一部分を意味する場合もある。
【0032】
本明細書で用いる「組換え核酸」または「組換えDNA」なる用語は、原核または真核細胞において天然には存在しない、少なくとも2つの核酸配列の組み合わせを意味する。その核酸配列には、限定はされないが、核酸ベクター、遺伝子発現調節エレメント、複製開始点、発現した場合に抗生物質抵抗性を付与するのに適した遺伝子配列、タンパク質コード配列等が含まれうる。「組換えポリペプチド」なる用語は、組換えDNA技術によって産生されたポリペプチドを含む意味である。組換えポリペプチドは、その存在位置、純度、または構造のいずれかの点で、天然ポリペプチドと区別することができる。一般的に、組換えポリペプチドは、通常天然で観察されるものと細胞に存在する量が異なる。
【0033】
本明細書で用いる「遺伝子」なる用語は、RNA全体、タンパク質全体、またはそのようなRNA全体またはタンパク質全体のいずれかの部分を合成するための遺伝情報をコードする核酸配列を意味する。天然界である特定の生物のゲノムの一部ではない遺伝子は、「異質(foreign)遺伝子」「異種(heterologous)遺伝子」または「外来(exogenous)遺伝子」と呼ばれ、天然界である特定の生物のゲノムの一部である遺伝子は、「内在(endogenous)遺伝子」と呼ばれる。「遺伝子産物」なる用語は、前記遺伝子によってコードされるRNAまたはタンパク質を意味する。「内在遺伝子産物」は、内在遺伝子によってコードされるRNAまたはタンパク質である。「異種遺伝子産物」は、「異質、異種、または外来遺伝子」によってコードされ、それゆえ天然ではその細胞に発現していないRNAまたはタンパク質である。
【0034】
本明細書で用いる「発現した」または「発現」なる用語は、遺伝子の核酸二本鎖の一方のある領域と少なくとも部分的に相補的なRNA核酸分子を生じる、遺伝子の転写を意味する。本明細書で用いる「発現した」または「発現」なる用語はまた、タンパク質、ポリペプチド、またはそれらの一部分を生じる、RNA分子の翻訳を意味する場合もある。
【0035】
本明細書で用いる場合、「遺伝子座」なる用語は、染色体上の遺伝子の位置を意味する。2倍体生物では、遺伝子対が遺伝形質を制御し、それらは各々染色体対の同じ位置に存在する。これらの遺伝子対、即ちアレルは、その形質の発現において、両方優性の場合も、両方劣性の場合もある。いずれも場合も、その個体は、その遺伝子対によって制御される形質についてホモ接合性である、と言われる。遺伝対(アレル)が1つの優性形質と1つの劣性形質で構成される場合、その個体は、その遺伝子対によって制御される形質についてヘテロ接合性である、と言われる。
【0036】
「作動可能に連結された」なる用語は、記載された要素がそれらの通常の機能を果たすように構成される、エレメントの配置を意味する。コード配列に作動可能に連結された制御配列は、そのコード配列の発現をもたらすことができる。制御配列は、コード配列の発現を誘導するよう機能する限り、コード配列と連続している必要はない。例えば、プロモーター配列とコード配列の間に転写はされるが翻訳されない介在配列が存在してもよく、その場合でも、プロモーター配列はコード配列に「作動可能に連結された」と言える。
【0037】
本明細書で用いる「転写調節配列」なる用語は、ある遺伝子核酸配列と関連し、その遺伝子の転写的発現を調節するヌクレオチド配列を意味する。典型的な転写調節配列には、エンハンサーエレメント、ホルモン応答エレメント、ステロイド応答エレメント、負調節エレメント等が含まれる。
【0038】
本明細書で用いる「プロモーター」なる用語は、RNAポリメラーゼによる転写開始部位を決定するDNA配列を意味する。「プロモーター近位エレメント」は、通常転写開始部位から約200塩基対以内にある調節配列である。
【0039】
本明細書で用いる「マトリックス結合領域」なる用語は、染色体足場タンパク質に結合することができる、真核生物ゲノムDNAの領域を意味する。マトリックス(足場)結合領域(MAR)は、通常、転写ユニットが染色体ループ内になるように、転写ユニットの間に存在する。このループの塩基は、各塩基においてMARを介して足場タンパク質と接続する。MARおよびMAR様ホモログは、幾つかの認識可能な核酸配列として同定され、例えば限定はされないが、TGリッチ範囲、ATリッチ領域、およびWang et al., J. Biol. Chem. 270:23239-23242 (1995) に記載のコンセンサス配列が含まれる。MARは、例えばMAR-WIZTM (Futuresoft, Michigan, USA)のような、好適なソフトウェアを用いて同定することができる。
【0040】
本明細書で用いる「配列内リボソーム進入部位 (IRES)」なる用語は、核酸、最も典型的にはRNA分子、の一領域を意味し、ここで真核生物のタンパク質合成は、このRNA分子の5’末端のかなり下流から開始される。GTPおよびMet-tRNAiMetに結合したelf2タンパク質、40Sリボソームサブユニット、並びにelf3および3lf1A因子を含む43S開始前複合体は、AUG開始コドンの位置につく前に「IRES」に結合することができる。「IRES」は、第1コード領域の下流にある第2コード領域の翻訳を開始するために用いられる場合もあり、その場合、各コード領域は、はじめの単一の上流プロモーターの制御により個々に発現する。「IRES」は、真核生物細胞mRNAに存在しうる。
【0041】
本明細書で用いる「コード領域」なる用語は、ポリペプチドに翻訳されうる、ヌクレオチドの連続的直線状配列を意味する。完全長コード領域は、完全長タンパク質、すなわち、天然状態で翻訳され転写後修飾されていないような完全タンパク質、に翻訳される。完全長コード領域はまた、リーダータンパク質配列、または翻訳後のタンパク質から自然に切除されうる他のタンパク質領域を含んでも良い。
【0042】
本明細書で用いる「相補的」「相補性」または「相補体」なる用語は、互いに特異的に相互作用して塩基対二重らせんを形成することができる、2つの核酸分子を意味する。
【0043】
本明細書で用いる「プローブ」なる用語は、核酸を意味する場合、相補的配列、または使用したハイブリダイゼーションのストリンジェントシー条件下でハイブリダイゼーションが妨げられない程度にプローブ配列とは異なる相補的配列にアニールまたはハイブリダイズし、それによってその存在を同定するのに用いることができるヌクレオチド配列、を意味する。プローブは、限定はされないが、当業界で周知の放射性基やビオチン等のような標識によって修飾されていてもよい。
【0044】
本明細書で用いる「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、第1の核酸分子が以下に規定するストリンジェントな条件下で第2の核酸分子とアニールすることを意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、ハイブリダイゼーション反応においてプローブとして用いた核酸分子に対して少なくとも70%の核酸配列相補性を有する核酸分子のハイブリダイゼーションを許容するものであり、例えば、非類似のヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを好まない傾向がある高温および/または低塩含量、である。あるいは、第1および第2の核酸のハイブリダイゼーションは、ストリンジェンシーを減少させた条件、例えば、非類似のヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを好む傾向がある低温および/または高塩含量のような条件下で行ってもよい。第1と第2の核酸の結合の選択性を増加させるために、低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の後に、高ストリンジェンシーの条件または中程度のストリンジェンシーの条件を続けてもよい。非類似のヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションをさらに避けるため、ハイブリダイゼーション条件にジメチルスルホキシド(DMSO)またはホルムアミド(これらに限定されない)のような試薬がさらに含まれる場合もある。好適なハイブリダイゼーションプロトコールには、例えば、65℃の6X SSC(1X SSCは、0.015 M クエン酸ナトリウムおよび0.15 M 塩化ナトリウムを含む)水溶液におけるハイブリダイゼーションと、それに続く65℃の1X SSCによる洗浄が含まれる。2つの核酸分子間の30%以下のミスマッチを許容するハイブリダイゼーションを達成する適当なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を計算するための式は、例えばMeinkoth et al., 1984, Anal. Biochem. 138: 267-284(本文献の内容は全て引用により本明細書に含まれる)に開示されている。ハイブリダイゼーション技術のためのプロトコールは、当業者にとって周知であり、標準的な分子生物学的マニュアルを調べることで、過度の実験なしに適したハイブリダイゼーションプロトコールを選択することができる。 例えば、Sambrook et al., 1989, ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press(本文献の内容は全て引用により本明細書に含まれる)を参照のこと。
【0045】
典型的には、ストリンジェントな条件とは、塩濃度がNaイオン(または他の塩)の濃度で約1.5 M未満、典型的には約0.01から1.0 M、pH約7.0から約8.3、かつ短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)については温度が少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50ヌクレオチド以上)については少なくとも約60℃、の条件であろう。ホルムアミドのような脱安定試薬を添加することによっても、ストリンジェントな条件を得ることができる。低ストリンジェンシーの条件の例には、30〜35% ホルムアミド、1 M NaCl、1% SDS (ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液を用いた37℃でのハイブリダイゼーション、および1x〜2x SSCによる50〜55℃での洗浄、が含まれる。中程度のストリンジェンシー条件の例には、40〜45% ホルムアミド、1 M NaCl、1% SDSにおける37℃でのハイブリダイゼーション、および0.5x〜1x SSCによる55〜60℃での洗浄、が含まれる。高ストリンジェンシー条件の例には、50% ホルムアミド、1 M NaCl、1% SDSにおける37℃でのハイブリダイゼーション、および0.1x SSCによる60〜65℃での洗浄、が含まれる。
【0046】
本明細書で用いる「配列同一性%」なる用語は、Karlin & Attschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87: 2264-2268(Karlin & Attschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. 90: 5873-5877にて改変)のアルゴリズムを用いて決定した、2つの核酸配列または2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を意味する。このようなアルゴリズムは、Attschul et al., 1990, J. Mol. Biol. Q15: 403-410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。本発明の核酸分子と相同性のあるヌクレオチド配列を得るには、NBLASTプログラム、スコア=100、語長(wordlength)=12によりBLASTヌクレオチドサーチを行う。参考ポリペプチドと相同性のあるアミノ酸配列を得るには、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3にてBLASTタンパク質サーチを行う。比較目的でギャップ化アライメント(gapped alignment)を得るには、Attschul et al., 1997, Nucl. Acids Res. 25: 3389-3402に記載のようにギャップ化BLASTを利用する。BLASTおよびギャップ化BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用する。他のアルゴリズム、プログラム、およびデフォルト設定、例えば限定はされないが、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列比較のためのプログラムを含む U.K. Human Genome Mapping Project Resource Centre の GCG-Sequence Analysis Package、が適する場合もある。
【0047】
本明細書で用いる「ベクター」または「核酸ベクター」なる用語は、細胞内に形質移入または形質転換され、そして宿主細胞ゲノムと別個に、あるいは当該ゲノム内で、複製することができる、天然または合成の、1本鎖または2本鎖のプラスミドまたはウィルス核酸分子(RNAまたはDNA)を意味する。本明細書で用いる「発現ベクター」なる用語は、転写されるべき(場合により、かつ発現されるべき)ヌクレオチド配列、例えば限定はされないが少なくとも1つのポリペプチドをコードする配列、が挿入された部位、またはされうる部位に作動可能に連結された転写調節領域を含む核酸ベクター、を意味する。
【0048】
本明細書で用いる「形質移入(transfection)」なる用語は、核酸を宿主細胞に挿入する工程を意味する。真核細胞生物への核酸の形質移入を促進する多くの技術が、当業者にとって周知である。これらの方法には、例えば、高濃度の塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩、電場、界面活性剤、またはリポソーム仲介形質移入によって細胞を処理して、宿主細胞に核酸分子取り込み能を与える方法、または前核への微量注入、精子仲介性および制限酵素仲介性組み込み(restriction-mediated integration)等の方法が含まれる。
【0049】
「組換え細胞」および「遺伝子形質転換細胞」なる用語は、天然では互いに1つの細胞では見られない核酸セグメントの組み合わせを含む細胞、を意味する。新しい核酸セグメントの組み合わせは、当業者が利用可能な様々な核酸操作技術を用いて生物に導入することができる。組換え細胞は、真核細胞または原核細胞であってよく、例えば、限定はされないが、トリ細胞である。組換え細胞は、ゲノム外の、すなわち非核(例えばミトコンドリア)ゲノムを含む細胞ゲノムに共有結合で挿入されていないベクターを有していてもよい。組換え細胞はさらに、ゲノム内の、即ち、非核ゲノムを含む組換え細胞のゲノム内に共有結合的に組み込まれたベクターまたはその一部分を有していても良い。
【0050】
本明細書で用いる場合、「遺伝子組換えトリ」は、ニワトリを含む前述のようなトリであって、当該トリの1つまたはそれ以上の細胞が遺伝子導入技術のような操作によって導入された異種核酸を含むもの、である。核酸は、微量注入または組換えウィルスの感染等の計画的な遺伝子操作により直接または間接的に細胞前駆体に導入することによって、細胞に導入することができる。遺伝子操作には、古典的な交雑またはインビトロ受精も含まれる。組換えDNA分子は、染色体内に組み込まれてもよく、あるいは染色体外で複製するDNAであってもよい。
【0051】
本明細書で用いる「キメラ動物」または「モザイク動物」なる用語は、その動物の細胞の全てではないが幾つかにおいて組換え遺伝子が見られる、または組換え遺伝子が発現する動物、を意味する。「組織特異的キメラ動物」なる用語は、組換え遺伝子が一部の組織には存在および/または発現するが他には存在および/または発現しないことを意味する。
【0052】
本明細書で用いる場合、「導入遺伝子」なる用語は、それが導入された遺伝子組換え動物または細胞に対して部分的または全体的に異種、すなわち異質な核酸配列、あるいはそれが導入された遺伝子組換え動物または細胞の内在遺伝子と相同性があるが、それが挿入された細胞のゲノムを変化させるように当該動物のゲノムに挿入されるよう設計されている、または挿入されている(例えば、天然遺伝子とは異なる位置に挿入されているか、あるいはその挿入の結果ノックアウトとなる)核酸配列、を意味する。
【0053】
本明細書で用いる「染色体位置効果」なる用語は、転写される遺伝子座の細胞ゲノム内の位置に応じた遺伝子の転写の程度の多様性を意味する。ランダムな遺伝子導入では、遺伝子導入細胞集団の個々の細胞がそれぞれ相異なる位置に、つまりそれぞれ相異なる遺伝子環境に、それぞれ少なくとも1つの導入遺伝子を有するように、ゲノム内の相異なる位置に導入遺伝子が挿入される可能性がある。それゆえ各細胞は、その特定の細胞に特異的で、かつ導入遺伝子の直近の遺伝子環境に依存するレベルで、導入遺伝子を発現しうる。その結果、遺伝子組換え動物においては、相異なる組織が相異なるレベルで導入遺伝子を発現しうる。本明細書で用いる「染色体位置効果の減少」なる用語は、レシピエント細胞ゲノムへの異種核酸分子の挿入部位の数が減少することによる、遺伝子転写レベルの細胞間多様性の減少、を意味する。結果として、染色体位置効果の減少によって、細胞ゲノム内の導入遺伝子挿入部位についてより均一な、遺伝子形質転換細胞の集団が提供される。遺伝子組換え動物においては、相異なる組織の導入遺伝子発現レベルのばらつきが減少しうる。
【0054】
本明細書で用いる「サイトカイン」なる用語は、細胞の機能に影響を与え、免疫、炎症または造血応答において細胞間相互作用を調節する分泌ポリペプチドを意味する。サイトカインには、限定はされないが、モノカインおよびリンホカインが含まれる。サイトカインの例には、限定はされないが、インターフェロンα2b、インターロイキン-1 (IL-1)、インターロイキン-6 (IL-6)、インターロイキン-8 (IL-8)、腫瘍壊死因子-α (TNF-α)および腫瘍壊死因子-β(TNF-β)が含まれる。
【0055】
本明細書で用いる「抗体」なる用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体並びにそれらの断片およびそれらの免疫学的結合等価物を意味する。抗体には、限定はされないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、1本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記いずれかのエピトープ結合断片が含まれる。
【0056】
本明細書で用いる「イムノグロブリンポリペプチド」なる用語は、抗体の構成ポリペプチドまたはそれら由来のポリペプチドを意味する。「免疫学的ポリペプチド」とは、限定はされないが、免疫学的重鎖または軽鎖であってよく、可変領域、多様性領域(diversity region)、結合領域、および定常領域、またはそれらの組み合わせ、変異体、切断型を含んでよい。「免疫学的ポリペプチド」はさらに、限定はされないが、イムノグロブリン重鎖可変領域、イムノグロブリン軽鎖可変領域、および所望によりペプチドリンカーを含む1本鎖抗体を包含する。
【0057】
本発明の核酸およびタンパク質を単離し特徴決定するのに有用な技術は当業界にて周知であり、標準的な分子生物学および生化学手引き書を参照すれば、過度の実験を行うことなく適したプロトコールを選択することができる。例えば、Sambrook et al , 1989, ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 2nd ed., Cold Spring Harborを参照のこと(その内容は全て引用により本明細書に含まれる)。
【0058】
略語
本明細書で用いる略語には、以下のものが含まれる: aa, アミノ酸; bp, 塩基対; kb, キロベース; cDNA, RNAに相補的なDNA; SSC, 塩化ナトリウム-クエン酸ナトリウム; DMSO, ジメチルスルホキシド; MAR, マトリックス結合領域; CPE, 染色体位置効果; BAC, 細菌人工染色体; YAC, 酵母人工染色体。
【0059】
本発明は、異種核酸分子をトリ細胞レシピエントのゲノムに挿入するためのベクターとして有用な、トリ卵白アルブミン転写調節領域および少なくとも1つのMARエレメントを含む新規な単離組換え核酸分子を提供する。本発明の新規な単離核酸分子は、トリ卵白アルブミン遺伝子プロモーターの転写調節下にある異種核酸がトリ細胞レシピエントのゲノムへ組み込まれるようにするため、また一方で本発明を用いなければレシピエントのトリゲノムへ異種核酸がランダムな分布にて挿入される結果生じるであろう染色体位置効果を減少または回避するために、特に有用である。本発明はさらに、トリ卵白アルブミン転写調節領域の転写調節下にある異種核酸をトリ細胞に送達し、それにより関連するトリ卵白アルブミン遺伝子転写調節エレメントの下での発現が所望される異種核酸をトリ細胞ゲノムに組み込むことができる方法を提供する。本発明は、組換え核酸、ベクターおよびそれらの誘導体を提供すると同時に、形質移入および遺伝子組換えトリ細胞、およびそれらに由来する、異種ポリペプチドを血清または産卵された卵の卵白中に産生する能力のあるトリを提供する。
【0060】
ニワトリ卵白アルブミン遺伝子および5’および3’MARエレメントを含む核酸
本発明の新規な単離組換え核酸分子は、天然ニワトリ卵白アルブミン遺伝子座の卵白アルブミンコード領域の5’上流に位置し下流のポリペプチドコード核酸の発現の調節に必要とされる転写調節エレメントを含むニワトリ卵白アルブミン遺伝子と、少なくとも1つのMARエレメントとを含む。MARエレメント、好ましくは少なくとも2つのMARが、同じ核酸に含まれ卵白アルブミン遺伝子領域に隣接することによって、卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結された形質移入された遺伝子に位置独立性が供与される。いかなる理論にも拘束される意図ではないが、形質移入された本発明の核酸分子の5’および3’MARは、トリ細胞レシピエントのゲノム内に起こり得る導入遺伝子の挿入部位の数を制限し、それによって転写レベルに対する染色体位置効果を減少させると考えられている。従って、本発明の新規な単離核酸分子は、異種導入遺伝子の発現に対して発揮される染色体位置効果を減少させるのに有用である。異種導入遺伝子は、トリ細胞レシピエントに形質移入される新規な組換え核酸分子内の卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結されるであろう。本発明の核酸分子には、卵白アルブミン遺伝子座の上流のMARと、組織特異的な遺伝子発現を可能としうるシス調節エレメントとを含むトリゲノムの領域が含まれる。新規核酸分子の卵白アルブミンプロモーター領域は、形質移入トリ細胞、例えばトリ卵管細胞において、作動可能に連結された異種核酸の発現を誘導するのに特に有用である。
【0061】
卵白アルブミンコード領域または異種ポリペプチドをコードする核酸インサートの3’のニワトリ卵白アルブミン遺伝子座の領域をさらに含む核酸分子もまた、本発明の範囲内である。本発明の核酸分子に含まれる卵白アルブミン3’ドメインは、形質移入された核酸分子が挿入されるトリ細胞ゲノムの部位の数を5’MARと協働して限定する3’MARエレメントをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。いずれの場合も、1またはそれ以上のMARによって誘導される指向挿入は、染色体位置効果を減少または除去することができ、結果として遺伝子形質転換細胞集団における異種核酸インサートの遺伝子発現のレベルがより均一になる。
【0062】
(a)ニワトリ卵白アルブミン遺伝子を含む単離核酸分子
それゆえ、本発明のある局面は、ニワトリゲノムから単離され、かつ卵白アルブミンをコードする転写物の転写または調節を誘導するのに適した近位卵白アルブミンプロモーター、および卵白アルブミン遺伝子領域に隣接する5’および3’MARエレメントを含む核酸分子である。
【0063】
重複するニワトリゲノムの領域を含むBAC 120および77 (ATCCアクセション番号 ________________)をシークエンスし、連続配列である配列番号1としてまとめた。BAC 120は、配列番号1の1〜157354番目のヌクレオチドに由来する配列を含む。BAC 77の配列は、配列番号1の157355番目からはじまり195102番目までである。図1は、195,102 bpのニワトリゲノム領域の核酸配列(配列番号1)(GenBankアクセション番号 __________)を示す。図2は、既知のドメインファミリー、または以前に主にBLAST、GenScan、およびMARWIZソフトウェアにより同定された遺伝子に対して配列同一性または相同性を有する、配列番号1内の同定可能なドメインを示す略図である。以下の実施例1に記載のように構築され、配列番号1より最も5’末端で約11.5kb短い完全核酸インサートを含むBAC 26は、ブダペスト条約に規定の条件の下、2003年9月24日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(10801 University Blvd., Manassas, VA 20110)にATCC番号PTA-5548として寄託された。
【0064】
本発明の配列番号1の核酸分子は、少なくとも4つのMARエレメントを有する。1つのMARエレメントは、卵白アルブミン遺伝子の5’上流で、ヌクレオチド約41701番目と41900番目の間にある。また、MAR様エレメントが、ヌクレオチド位置56001〜56201、56501〜56901、58401〜58701、76251〜76451、および80151〜80451番目の間にある。別のMARエレメントが、約96401〜96800番目の間にある。卵白アルブミン遺伝子の3’下流に存在するMARエレメントは、配列番号1のヌクレオチド位置約144651〜144850、約150601〜151600、約156681〜157181、約157081〜15781、約163701〜164100、約186201〜186590、および約190101〜190800番目にある。ニワトリ卵白アルブミン遺伝子のATG開始コドンは、ヌクレオチド位置133372番目である。
【0065】
配列番号1によって表される核酸分子には、幾つかのセルピンまたはセルピン様コード遺伝子、セルピン様遺伝子および卵白アルブミン遺伝子の両方のシス転写調節エレメント、並びに少なくとも2つの他の推定機能遺伝子XおよびZのような、以下の表2に挙げた同定可能な他のドメインもまた、散見される。各種ドメイン、遺伝子または他のエレメントの間はひと続きのヌクレオチドであり、それらは各エレメントの位置および配置を相互に維持するのに役立ちうる。
【0066】
本発明の単離核酸並びにそれらの誘導体および切断変異体は、細菌または酵母人工染色体のようなベクターに組み込むことができる。BACクローニングシステム(Shizuya et al, Proc. Natl. Acad. Sci (U.S.A.), 89:8794:8797, (1992)は、大腸菌においてゲノムDNAの大きな断片(100〜300 kb)を安定に維持するため開発された。代表的なBACベクターは、Kim et al, Genomics, 34:213:218 (1996)によって記載されるpBeloBAC11ベクターにより構成される。ゲノムDNAは、例えばベクター中のBamH IまたはHind IIIサイトのいずれかにライゲーションできるように、部分的に制限酵素消化することができる。選択したBACベクターにゲノムDNAを組み込むのに有用な、適した制限酵素サイトは、いずれも使用可能と考えられる。これらのクローニングサイトには、RNA転写またはPCR法のいずれかによってエンドプローブを形成するのに使用することができるT7およびSP6 RNAポリメラーゼ転写開始部位が隣接する。BAC DNAは、宿主細胞からスーパーコイル状の環状分子として精製される。これら環状分子を直鎖型に変換した後、大きさを決定し、トリ細胞レシピエントにこのBACを導入する。適したクローニングサイトは、例えば、2つのNot I制限酵素サイトに挟まれていてもよく、この場合クローン化されたセグメントはNot I消化によりベクターから切り出すことが可能である。あるいは、BAC ベクターは、cosN サイトでの切断をもたらす市販のラムダターミナーゼ酵素で処理することによって直鎖化してもよい。しかしながらこの切断方法は、DNAインサートとBACベクター配列の両方を含む完全長BACクローンを生じる。
【0067】
本発明の新規な単離核酸分子のある態様は、それゆえ、卵白アルブミン転写調節領域および5’MARをコードする単離ニワトリ核酸分子である。本発明のある態様において、新規な単離核酸分子はさらに、卵白アルブミン遺伝子の下流の3’MARを含む。本発明の単離核酸分子はまた、転写エンハンサーエレメント、負調節エレメント、ホルモン応答エレメント、トリCR1反復エレメント(全体または一部が一緒になって卵白アルブミン転写調節領域を構成しうる)、近位卵白アルブミンプロモーター、およびシグナルペプチドコード領域(これらに限定されない)のような核酸エレメント、を含んでも良い。これら構成エレメントの間にもまた、各種エレメントを順序よく直線に配列させるひと続きの核酸が存在する。卵白アルブミン転写制御領域の構成エレメントは配列番号1の配列のように並んでいることが好ましいが、卵白アルブミン転写調節領域のシスエレメントが、卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結された核酸インサートの転写物、例えばヌクレオチド配列またはその相補体、の形成を可能とするであろういずれかの直線配置で存在することも、本発明の範囲内である。
【0068】
当業者は、本発明の新規な単離核酸分子により、例えば以下のことが可能である:(a) これら核酸分子のコピーを、例えば限定はされないが、細胞による複製のため細胞へ挿入することによって、化学合成によって、またはPCRまたはLCRのような方法によって作成する、(b)この核酸分子の少なくとも一部を含む核酸分子、例えば完全長遺伝子、完全長コード領域、転写調節配列、切断型コード領域等を得る、(c)他のトリ種、例えば限定はされないが、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、ダチョウ、エミュー、およびヒクイドリを含む走鳥類に見られる卵白アルブミン転写調節領域ホモログを同定し、獲得する、および(d)トリ卵白アルブミン転写調節領域核酸にハイブリダイズでき、かつプローブと標的核酸との間の相補性により核酸関連配列の存在を検出するためのプローブとして使用できる単離核酸を得る。
【0069】
このような核酸ホモログは、様々な方法で、例えば、典型的クローニング技術を用いて適当なライブラリーをスクリーニングすることによって、ポリメラーゼ連鎖反応または他の増幅方法により本発明の新規な核酸分子由来のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて適当なライブラリーまたはDNAを増幅することによって、および遺伝子配列を含む公共および/または民間のデータベースを本発明の核酸配列を用いてスクリーニングして標的を同定することによって、得ることができる。スクリーニングに、またはそこから核酸分子を増幅するのに好ましいライブラリーの例には、限定はされないが、トリBACライブラリー、ゲノムDNAライブラリー、およびcDNAライブラリーが含まれる。同様に、ニワトリ卵白アルブミン転写調節領域に相同性のある配列を他の種において同定するためのスクリーニングに有用な好ましい配列データベースには、限定はされないが、GenBankおよびゲノム研究所(TIGR)の哺乳類Gene Indexデータベースが含まれる。
【0070】
本発明の核酸を構築するために使用されるヌクレオチドは、検出手段としてのシグナルを提供するために、放射活性標識、蛍光化合物、酵素および化学発光部分のような常套的な標識技術により標識されていてもよい。適当な標識を選択し、その標識を合成ヌクレオチドに結合するための結合方法は、当業者に周知である。
【0071】
本発明の単離核酸分子のある態様では、核酸はニワトリから単離される。
【0072】
本発明の単離核酸分子の他の態様では、核酸分子は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列またはその相補体と少なくとも80%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0073】
他の態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含むか、あるいは配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有する。別の態様においては、単離核酸分子は、配列番号1のアレル変異体であり得る。
【0074】
(b)配列番号1の断片および変異体
本発明の単離核酸分子の断片もまた、本発明の範囲内である。本明細書で用いる場合、核酸分子の断片とは、配列番号1のヌクレオチド配列よりヌクレオチド数は少ないが、核酸の転写を誘導し調節できる卵白アルブミン転写調節領域の核酸配列と、少なくとも1つのMARエレメントを含むヌクレオチド配列、を意味する。
【0075】
配列番号1の配列を有する単離核酸分子は、卵白アルブミン転写調節領域の転写制御下に置かれた異種核酸の発現に影響しない領域を切断することによって、サイズを減少させることができる。本発明の核酸分子の切断型変異体は、配列番号1の5’および/または3’末端のいずれかのヌクレオチドが少ない配列番号1の変異体であることは理解される。例えば、1〜約40500番目のいずれかのヌクレオチドは、個々に、部分的に、または全体として、その核酸分子変異体から欠失されてもよいと考えられる。同様に、配列番号1の配列を有する核酸分子のヌクレオチド位置約151700、164200、186690、または190900〜195101番目のヌクレオチドは、ニワトリ卵白アルブミン遺伝子の3’にそれぞれ存在する1、2、3、4、またはそれ以上のMARまたはMAR様エレメントを保持したまま除去することができる。それゆえ配列番号1の有用な切断型変異体には、限定はされないが、以下が含まれる:塩基位置約41000〜約191500番目、〜約187000番目、〜約164500番目、〜約152000番目、または〜約145500番目、および塩基位置約96000〜約191500番目、〜約187000番目、〜約164500番目、〜約152000番目、または〜約145500番目。配列番号1の他の有用な切断型変異体には、ヌクレオチド位置約56000、約58350、約76200、および約80000〜約191500番目、〜約187000番目、〜約164500番目、〜約152000番目、または約145500番目に由来する領域が含まれる。
【0076】
それゆえ、本発明は、染色体位置効果を減少させて、または無しにトリゲノムに異種核酸を挿入するという所望の機能に寄与しない領域を含まない核酸分子を包含する。配列番号1のヌクレオチド位置41701〜41900番目に存在するMARの5’上流の領域は、配列番号1の切断型変異体を生じさせるため切断することができる。例えば、BAC26には存在しない配列番号1のヌクレオチド位置1番目から伸びる約11.5 kbの領域は、欠失してもよい。同様に、表2に挙げられる配列番号1の他の領域、例えばセルピン様タンパク質をコードする領域は、選択的に欠失することができると考えられる。
【0077】
組換え核酸
本発明の別の局面は、少なくとも1つ、好ましくは2つのトリMAR、およびトリ卵白アルブミン転写調節領域(その近位プロモーターを含む)を含む組換え核酸分子である。本発明の組換え核酸分子は、トリ細胞レシピエントに所望の異種核酸を送達すると同時に組み込まれた異種核酸の転写に対する染色体位置効果を減少させるのに、特に有用である。配列番号1のいくつかの領域は、MARエレメントを含まない同様の核酸分子と比較してCPEの減少に実質的に影響を与えずに、本発明の組換え核酸分子から削除することができると考えられる。例えば、以下の表2に挙げられる配列番号1の1またはそれ以上のセルピンコード領域は、含まれなくてもよい。
【0078】
それゆえ、本発明は、少なくとも1つのトリMARとトリ卵白アルブミン転写調節領域とを含む組換え核酸分子であって、前記転写調節領域が所望により選択された異種あるいは内在ポリペプチドコード核酸インサートに作動可能に直線状に連結され、適した宿主細胞、好ましくはトリ細胞、に形質移入された場合にその核酸インサートを発現しうるもの、を提供する。
【0079】
異種核酸のような核酸インサートは、卵白アルブミン近位プロモーターの3’下流に作動可能に連結することができ、それにより形質移入レシピエント細胞によってRNA転写物として発現される。異種核酸は、ペプチドリーダー領域をコードする領域の3’下流に、挿入された核酸によりコードされる異種ポリペプチドがこのリーダー領域を含むことができるように、本発明の組換え核酸に挿入されていてもよい。組換え核酸が、卵白アルブミンコード領域に作動可能に挿入されるか、あるいは卵白アルブミンコード領域の全体または一部と作動可能に置き換わるべき所望のポリペプチドをコードする核酸インサートを有することは、本発明の範囲内である。本発明の卵白アルブミン遺伝子制御領域の転写制御下にある異種核酸を含むBACの形成は、以下の実施例2および3に記載される。
【0080】
異種核酸インサートの発現効率を上昇させるため、この新規な卵白アルブミン転写調節領域によって誘導される転写物が、選択されたポリペプチドをコードする核酸インサートを越え、それにより3’非翻訳領域とポリアデニル化尾部とをさらに含む転写物が提供できるように、挿入された核酸の3’末端にポリアデニル化シグナル領域が含まれていても良い。図4に示す配列番号2のSV40ポリアデニル化シグナル配列、ウシ成長ホルモンアデニル化配列等を含む、いずれの適した機能的ポリアデニル化シグナル配列が、核酸インサートの3’末端に連結していてもよい。さらに、本発明の組換え核酸分子がニワトリ卵白アルブミン3’ドメインまたはその変異体を含んでもよいことが予想される。卵白アルブミン3’ドメインは、配列番号1の卵白アルブミンコード領域の下流に確認される卵白アルブミン3’非翻訳領域、卵白アルブミン遺伝子ポリアデニル化配列および少なくとも1つの3’MARエレメントを含んでも良い。異種核酸が、卵白アルブミンコード領域内に挿入され卵白アルブミン遺伝子と同調する場合、卵白アルブミン遺伝子のポリアデニル化シグナルを使用することができる。
【0081】
本発明の組換え核酸分子のある態様において、組換え核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補体を含む。
【0082】
本発明の別の局面は、MARエレメントおよびトリ卵白アルブミン転写調節領域を含む組換えDNA分子である。ある態様において、卵白アルブミン転写調節領域は、発現が求められるポリペプチドをコードする核酸インサートおよび所望によりそこに作動可能に連結されたポリアデニル化シグナル配列に、直線状に作動可能に連結される。組換え核酸分子がトリ細胞レシピエント内での発現のためその細胞へ送達される場合、挿入された異種核酸配列の配列は、そのコドンが以下に記載のレシピエント種のコドン使用頻度にあわせて最適化されるように改変されていてもよいと考えられる。好ましい態様において、MARエレメントは、卵白アルブミン転写調節領域の5’上流に存在する。適したMARエレメントは、例えば、配列番号1のヌクレオチド位置約41701〜41800番目および約96401〜96800番目に存在する。
【0083】
本発明のある態様において、組換え核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド位置約40750〜195101番目に由来するヌクレオチド配列を含む。本発明の組換え核酸分子の様々な態様は、5’MARおよび/または3’MARおよび卵白アルブミン転写調節領域を含む。ある態様において、組換え核酸はさらにT遺伝子を含む。他の態様では、組換え核酸はさらに、配列番号1由来のUセルピン遺伝子、Vセルピン遺伝子、X遺伝子、Y遺伝子、およびZセルピンよりなる群から選択される少なくとも1つの核酸領域を含む。
【0084】
組換え核酸分子の別の態様は、さらに、核酸インサートの3’下流に少なくとも1つのトリMARを含む。本発明の組換えコンストラクトの卵白アルブミン転写調節領域の3’下流に含まれるのに適したMARエレメントは、配列番号1の配列のヌクレオチド位置約144651〜144850番目、約150800〜151600番目、約163701〜164100番目、約186201〜186590番目、および約190101〜190800番目に見られる。組換え核酸分子のある態様では、卵白アルブミン転写調節領域、トリ5’MAR、およびトリ3’MARは、独立に高ストリンジェンシーな条件下で配列番号1の核酸配列またはその相補体にハイブリダイズする能力がある。
【0085】
本発明の様々な態様において、組換え核酸分子は、例えば限定はされないが、プラスミドまたはウィルスベクターのようなベクターに挿入される。
【0086】
組換え核酸分子の他の態様はさらに、プラスミドまたはウィルス複製起点を含む。ある態様において、組換え核酸分子は、細菌または酵母人工染色体である。
【0087】
本発明の組換え核酸分子のさらに別の態様は、それゆえ、トリ卵白アルブミン転写調節領域、トリ5’MAR、遺伝子改変細胞レシピエントによる発現が所望される異種ポリペプチドをコードする異種核酸、ポリアデニル化シグナル配列、およびトリ3’MARを含む組換え核酸分子であって、トリ卵白アルブミン転写調節領域、5’MARおよび3’MARは各々独立に高ストリンジェンシーな条件下で配列番号1の核酸配列またはその相補体にハイブリダイズする能力があるものである。
【0088】
トリ卵白アルブミンプロモーター制御下におけるポリペプチド発現
新規な単離卵白アルブミン転写調節領域についての本発明の別の局面は、遺伝子導入による鳥(特にニワトリ)に存在する異種タンパク質の量の増加である。典型的には、動物宿主レシピエントに導入された異種ポリペプチドコード核酸インサートは、細胞が遺伝子産物であるタンパク質の産生を開始し継続できるように、卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結されるであろう。本発明の組換えDNA分子は、宿主の染色体外DNAまたはゲノムDNAに導入できる。
【0089】
本発明の新規な単離組換え核酸分子の有用な適用は、遺伝子導入により鳥(特にニワトリ)に存在する異種タンパク質の量を増加させることである。典型的には、鳥宿主レシピエントあるいは鳥由来の単離細胞または細胞株に導入される異種ポリペプチドコード核酸インサートは、細胞が遺伝子タンパク質産物の産生を開始し継続することができるように、卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結されるであろう。
【0090】
配列番号1の単離核酸分子は、転写物あるいは最終的にポリペプチドとして発現することが所望される異種核酸をそれ自身へ挿入するのに有用である。異種核酸は、異種核酸の転写およびコードされた所望のペプチドの合成を可能とするプロモーターの3’下流のいずれの位置において、卵白アルブミン遺伝子の近位プロモーター領域と作動可能に連結していてもよい。本発明の単離または組換え核酸の卵白アルブミンコード領域の一部または全ては、上流の卵白アルブミン遺伝子制御領域の転写制御の下に発現される異種核酸と置き換えられてもよい。異種核酸は、発現した卵白アルブミン由来のアミノ酸配列が発現した異種タンパク質とそのN末またはC末のいずれかで連結しうるように、本発明の単離または組換え核酸に挿入されてもよい。
【0091】
本発明のベクターはまた、所望により、ベクターから発現したタンパク質の、遺伝子導入細胞、例えば卵管の管状腺細胞からの分泌を誘導するシグナルペプチドをコードする配列を含むことができる。この本発明の局面は、本発明の方法を用いてトリ卵に蓄積させることができる外来タンパク質の範囲を効果的に広げる。コード配列を有するベクターは、そのままでは外来タンパク質が分泌されない場合、例えばシグナルペプチドをコードする約60 bpを含むように、改変される。シグナルペプチドをコードするDNA配列は、そのシグナルペプチドがベクターによりコードされるタンパク質のN末に位置するように、ベクターに挿入される。
【0092】
本発明の発現ベクターは、融合または非融合いずれのタンパク質の発現をも誘導できるトリ卵白アルブミン転写調節領域を含む。融合ベクターを用いると、発現した所望の標的遺伝子配列、例えば限定はされないがチオレドキシン(thioredoxin)のタンパク質配列、に通常数多くのアミノ酸が付加される。さらに、蛋白分解的切断部位が、標的組換えタンパク質と融合配列の間の部位に導入されていてもよい。加えて、融合タンパク質の精製のため、固体支持体に結合したニッケルのような金属イオンにその融合タンパク質が結合できるように、ポリヒスチジン領域のようなアミノ酸領域が導入されていてもよい。融合タンパク質を精製した後、前記切断部位により標的組換えタンパク質と融合配列とを分離することができる。蛋白分解的切断部位の切断に用いるのに適した酵素には、限定はされないが、Xa因子およびスロンビンが含まれる。本発明に有用な融合発現ベクターには、標的組換えタンパク質にそれぞれグルタチオンS-トランスフェラーゼ、タンパク質A、またはマルトースE結合タンパク質を融合する、pGex (Amrad Corp., Melbourne, Australia)、pRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)、およびpMAL (New England Biolabs, Beverly, MA)が含まれる。
【0093】
本発明はさらに、ポリペプチドコード領域を含み、第1のポリペプチドコード領域がトリ卵白アルブミンプロモーターに作動可能に連結され、第2のポリペプチドコード領域が配列内リボソーム進入配列(IRES)に作動可能に連結されている核酸ベクター、およびそれに由来する導入遺伝子に関する。本発明の組換えDNAの第1のポリペプチドコード領域、IRES、および第2のポリペプチドコード領域は、直線状に配置することができ、第2のポリペプチドコード領域のすぐ5’側にIRESが作動可能に位置すると考えられる。この核酸コンストラクトは、鳥ゲノムに挿入されてそこで発現すると個々のポリペプチドを生じ、これらポリペプチドは翻訳後修飾を受け、殻の硬い鳥卵の卵白中で一緒にされるであろう。あるいは、これら発現ポリペプチドは、トリ卵から単離してインビトロで混合してもよい。
【0094】
本発明の組換え発現ベクターによる異種核酸の発現は、真核生物宿主細胞、好ましくはトリ細胞、より好ましくはニワトリ細胞、さらに好ましくはニワトリ卵管細胞、特に管状腺細胞、を用いて得ることができる。真核生物宿主細胞を使用すると、部分的または完全な翻訳後修飾、例えば限定はされないが、グリコシル化および/または適切な鎖間または鎖内のジスルフィド結合の形成、が可能になる。ニワトリ・Gallus gallusでの発現に有用なベクターの例には、pYepSecl (Baldari et al., E.M.B.O.J., 6, 229-234 (1987)に記載)およびpYES2 (Invitrogen Corp., San Diego, CA)が含まれる(これら文献は、全体が引用により本明細書に含まれる)。
【0095】
本発明のある局面は、本発明の新規核酸分子を有核トリ細胞の細胞質に送達し、それによって、形質移入および遺伝子形質転換トリ細胞を作成する方法である。このような組み込みは、ベクター/宿主細胞系に依存して、様々な形の形質移入により行うことができる。本発明の組換え核酸分子のレシピエント細胞への組み込みは、例えば限定はされないが、ウィルス導入、エレクトロポレーション、遺伝子銃挿入、卵子への精子仲介導入、微量注入等のいずれかの適した方法で行えばよいと考えられる。
【0096】
これら方法の様々な態様において、トリ細胞は、ニワトリ細胞またはウズラ細胞であってよい。本発明の方法の一部の態様では、トリ細胞は、鳥の卵管組織内に存在するか、単離卵管細胞または初代細胞株か、あるいは維持可能な卵管細胞株である。好ましくは、卵管細胞は、管状腺細胞である。
【0097】
異種ポリペプチドは、本発明の形質移入細胞によって、インビトロ、すなわち生動物の体外の組織培養において、産生することができる。あるいは、本発明の核酸は、ニワトリのような動物に送達してもよく、その後その核酸は細胞に入りそこで発現しうる。本発明の核酸は、レシピエント細胞のゲノムに組み込まれ、コードされた、典型的には異種のポリペプチドをそこで発現しうると予想される。好ましくは、異種核酸は、所望のポリペプチドを合成させ、それを卵白に蓄積させるため、ニワトリ内の卵管細胞に送達される。
【0098】
本発明の他の局面は、本発明の、および上記の発現ベクターを形質移入された真核細胞である。例えばある態様において、形質転換細胞はニワトリ卵管細胞または細胞株(維持可能細胞を含む)であってよく、形質移入された核酸インサートは、ニワトリ卵白アルブミン転写調節領域、5’MARおよび/または3’MAR、ヒトインターフェロンα2bをコードし、コドンがトリ細胞での発現に最適化された核酸インサート、およびSV40 ポリアデニル化配列を含む。別の例では、核酸インサートはイムノグロブリン重鎖およびIRESの転写制御下にある第2の鎖をコードする。
【0099】
本発明の形質移入細胞は、一過性に形質移入されていてもよく、そのため形質移入された組換え核酸、例えばDNAまたは発現ベクター、は、ゲノム核酸に組み込まれなくてもよい。しかしながら、形質移入された組換えDNAまたは発現ベクターは、レシピエント細胞のゲノムに安定に組み込まれてもよく、それによって各娘細胞が形質移入された核酸の1コピーを受け取るように細胞とともに複製する。本発明の組換えDNAまたは発現ベクターが、レシピエント細胞のゲノムDNAに組み込まれて、細胞が遺伝子形質転換される場合、組み込まれた核酸のMARエレメントは、標的ゲノム内の限られた数の組み込み部位での組み込みを誘導し、それによって異種核酸の発現レベルに関してより均一な細胞集団を形成するであろうと予測される。
【0100】
本発明はまた、形質移入された本発明の核酸から発現する異種タンパク質を産生する、遺伝子組換え鳥を含む。遺伝子組換え鳥は、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、走鳥類、装飾用鳥類、または野生鳥類から選択される。好ましい態様において、トリはニワトリであり、本発明のトリ卵白アルブミン転写調節領域の転写制御下に産生される異種タンパク質は、卵白中に産生される。
【0101】
ウィルス性宿主細胞形質転換
核酸配列またはそれらの誘導体もしくは切断型変異体は、アデノウィルスまたはワクシニアウィルスのようなウィルス中に導入してもよい。卵白アルブミンプロモーターの制御下にタンパク質を発現するのに有用なウィルス性組換えベクターを作成する方法は、以下に開示される方法と類似する:米国特許番号4,603,112; 4,769,330; 5,174,993; 5,505,941; 5,338,683; 5,494,807; 4,722,848; Paoletti, E., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 11349-11353; Moss, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 11341-11348; Roizman, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 11307-11302; Frolov et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 11371-11377; Grunhaus et al., 1993, Seminars in Virology 3: 237-252;および米国特許番号5,591,639; 5,589,466; および5,580,859(特にDNA発現ベクターに関して)(これら文献の内容は全体が引用により本明細書に含まれる)。
【0102】
レトロウィルスベクターおよびアデノ随伴ウィルスベクターは、細胞へ遺伝子を送達する効率よい系を提供し、導入された核酸は、宿主の染色体DNAに安定に組み込まれることができる。組換えレトロウィルスを作成し、そのようなウィルスをインビトロまたはインビボで細胞に感染させるためのプロトコールは、Ausubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology §§ 9.10-9.14や、他の標準的実験マニュアルに見ることが出来る。適したレトロウィルスベクターの例には、pLJ、pZIP、pWE、およびpEMが含まれ、これらは当業者に周知である。エコトロピックおよびアンホトロピックなレトロウィルス系の調製に適したパッケージングウィルス株の例には、psiCrip、psiCre、psi2、およびpsiAmが含まれる。
【0103】
さらに、ウィルス粒子表面のウィルスパッケージングタンパク質を改変することによって、レトロウィルス、結果的にはレトロウィルスに基づくベクター、の感染範囲を限定することが可能である(例えば、PCT公開公報 WO 93/25234、WO 94/06920、およびWO 94/11524、Roux et al., 1898, Proc. Natl. Acad. Sci. 86:9079-9083、Julan et al., 1992, J. Gen. Virol. 73:3251-3255、Goud et al., 1983, Virology 163:251-254、Neda et al., 1991, J. Biol. Chem. 266:14143-14146を参照。これらは引用により全体が本明細書に含まれる)。
【0104】
トリゲノムに導入遺伝子を無作為に導入するレトロウィルスの1つは、複製欠損ALVレトロウィルスである。適当なALVレトロウィルスベクターを作成するため、卵白アルブミン転写調節領域の少なくとも一部、MARエレメント、および1またはそれ以上の外来遺伝子を含む領域を、レトロウィルスゲノムの5’および3’長末端反復配列(LTR)の間に挿入して、pNLBベクターを改変してもよい。卵白アルブミンプロモーターは卵白アルブミンタンパク質の高レベルの発現を促進し、かつ卵管管状腺細胞においてのみ活性であるので、卵白アルブミンプロモーターのインフレームかつ下流に位置するコード配列はいずれも、 高レベルで、特に卵管筒部の管状腺細胞において発現するであろう。
【0105】
本発明に有用な他のウィルス遺伝子送達系は、アデノウィルス由来ベクターを利用する(例えば、Berkner et al., 1988, BioTechniques 6:616-629; Rosenfeld et al., 1991, Science 252:431-434; およびRosenfeld et al., 1992, Cell 68:143-155を参照)(これらは全体が引用により本明細書に含まれる)。アデノウィルス株Ad 5型 dl324または他のアデノウィルス株(例えば、Ad2、Ad3、 Ad7等)に由来する適したアデノウィルスベクターは、当業者に周知である。導入されたアデノウィルスDNA(およびそこに含まれる異質DNA)は、宿主細胞のゲノムに組み込まれずにエピソームのままであるが、それにより、(例えばレトロウィルスDNAのように)導入されたDNAが宿主ゲノムに組み込まれた状況で挿入突然変異の結果生じうる問題が回避される。
【0106】
さらに別のウィルスベクター系は、アデノ随伴ウィルス(AAV)である。AAVのわずか300塩基対を含むベクターが、パッケージされ組み込まれることができる。本発明において、異種核酸の少なくとも一部は、トリ卵白アルブミン転写調節領域の作動可能領域およびMARエレメントを含むであろう。Tratschin et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5:3251-3260に記載されるようなAAVベクターが、細胞にDNAを導入するために使用可能である。
【0107】
本発明の方法に適用可能な他のウィルスベクター系は、限定はされないが、ヘルペスウィルス、ワクシニアウィルス、トリ白血病ウィルスおよび幾つかのRNAウィルスに由来している。
【0108】
非ウィルス性発現ベクター
ほとんどの非ウィルス性遺伝子導入方法は、真核細胞が巨大分子の取り込みおよび細胞内輸送のために通常使用する機構に依存する。好ましい態様において、本発明の非ウィルス性遺伝子送達系は、標的細胞による対象の卵白アルブミン転写調節領域および作動可能に連結されたポリペプチドコード核酸の取り込みについて、エンドサイトーシス経路に依存する。このタイプの典型的遺伝子送達系として、リポソーム由来系、ポリリジン結合体、および人工ウィルスエンベロープが例示される。
【0109】
代表的態様において、本発明の新規な組換え核酸を含む核酸は、表面に正電荷を有し(例えば、リポフェクチン)、かつ(場合により)標的組織の細胞表面抗原に対する抗体がついたリポソームに取り込むことが出来る(Mizuno et al., 1992, NO Shinkei Geka 20: 547-551; PCT公開公報 WO91/06309; 日本特許出願 1047381; および欧州特許公開公報 EP-A-43075、これらは全て引用により全体が本明細書に含まれる)。
【0110】
同様にして、本遺伝子送達系は、ポリリジンのような遺伝子結合物質とクロスリンクした抗体または細胞表面リガンドを含む(例えば以下を参照:PCT公開公報 WO93/04701、WO92/22635、WO92/20316、WO92/19749、およびWO92/06180、これらは全て引用により全体が本明細書に含まれる)。対象の核酸コンストラクトの受容体仲介エンドサイトーシスによる効果的な送達が、遺伝子がエンドソーム構造から逃れるのを増強する物質を用いて改善できることも好ましいであろう。例えば、完全アデノウィルスまたはインフルエンザHA遺伝子産物の融合性ペプチドを送達系の一部として使用して、DNA含有エンドソームの効率的な崩壊を誘導することができる(Mulligan et al., 1993, Science 260-926; Wagner et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. 89:7934-7938; およびChristiano et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. 90:2122-2126、これらは全て引用により全体が本明細書に含まれる)。さらに、本発明の組換えDNA分子は、遺伝子銃、微量注入、精子仲介導入等の他の非ウィルス的方法により宿主細胞レシピエントに送達してもよいと考えられる。
【0111】
本発明の別の局面は、上記の本発明の組換え核酸分子を細胞に形質移入し、形質移入細胞をトリ卵白アルブミン転写調節領域の制御下における異種ポリペプチドの発現に適した条件下で培養することによって、真核細胞において異種ポリペプチドを発現する方法である。
【0112】
本局面のある態様では、核酸分子は、トリ細胞レシピエントのゲノムに組み込まれる。一部の態様において、トリ卵管細胞レシピエントはニワトリ細胞であり、好ましくはニワトリ卵管細胞、より好ましくは卵管管状腺細胞である。
【0113】
本発明のタンパク質は、既知の常套的技術により、精製型として産生することができる。例えば、ニワトリ細胞、卵、または卵白をホモジナイズし、遠心すればよい。次いでその上清に連続的硫酸アンモニウム沈殿および熱処理を施しても良い。本発明のタンパク質を含有する分画を、適当な大きさのデキストランまたはポリアクリルアミドカラムでゲルろ過し、タンパク質を分離する。要すれば、本タンパク質画分は、さらにHPLCまたは他のタンパク質精製の業界で周知の方法により精製することができる。
【0114】
形質移入トリ細胞による異種多量体タンパク質の発現
本発明は、第1の発現ベクターと、所望により第2の発現ベクターが形質移入されたトリ細胞を培養する工程を含む、トリ細胞により多量体タンパク質を産生する方法を提供し、ここで各々の発現ベクターは、培養したトリ細胞が第1および第2の異種ポリペプチドを含む多量体タンパク質を産生するように、第1の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、転写プロモーター、および第2の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写ターミネーターを含む転写ユニットを有することができる。
【0115】
本発明の単離核酸およびそれらに由来する組換え核酸コンストラクトは、トリ細胞での発現に最適化されたポリペプチドの核酸配列、並びにそれらの誘導体および断片を発現させるのに有用である。そのような誘導体には、例えば、保守的アミノ酸置換、すなわち側鎖が関連するアミノ酸(通常、酸性、塩基性、非極性、および非荷電極性アミノ酸として知られる)のファミリー内での置換を伴うポリペプチドが含まれる。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族アミノ酸としてまとめて分類される場合があり、また他のグループ化も当業界にて知られている(例えば、”Biochemistry”, 2nd ed, L. Stryer, ed., WH Freeman and Co.,1981を参照)。2つ以上の置換が行われたペプチドは、常套的なポリペプチド活性アッセイ(例えば酵素またはリガンド結合活性)を用いて、1つの置換を有する誘導体と同じ方法で容易に活性を試験することができる。
【0116】
コドン最適化に関して、例えば組換えDNAがニワトリ細胞レシピエントに形質移入される場合、発現すべき核酸インサートの配列はニワトリコドン使用頻度に関して最適化される。これは、周知の原則に従ってニワトリ細胞で発現する少なくとも1、好ましくは2以上のタンパク質のコドン使用頻度から決定することができる。例えばニワトリにおいて、コドン使用頻度は、ニワトリのタンパク質のリゾチーム、卵白アルブミン、オボムチン、およびオボトランスフェリンをコードする核酸配列から決定することができる。コドン使用頻度に関する配列の最適化により、トリ卵における翻訳レベルが上昇する。
【0117】
本発明の組換え核酸のある態様は、ヒトインターフェロンα2bポリペプチドをコードするインサートを含む。配列番号3の例示的な核酸配列(図5)は、ニワトリオボムチン、卵白アルブミン、オボトランスフェリン、およびリゾチームをコードするヌクレオチド配列から決定されたトリ細胞コドン使用頻度に従い、ヒトインターフェロンα2bポリペプチドをコードする。
【0118】
多量体タンパク質を産生する本発明の方法には、イムノグロブリン、例えば抗体およびその抗原結合断片が含まれる。したがって、本発明のある態様において、多量体タンパク質は、第1および第2の異種ポリペプチドがそれぞれイムノグロブリン重鎖および軽鎖であるイムノグロブリンである。この実例およびトリ細胞における異種多量体ポリペプチドの産生に関する本発明の他の局面の実例は、米国特許出願番号09/877,374(2001年6月8日出願、出願人Rapp、2002年8月8日公開(US-2002-0108132-Al))および米国特許出願番号10/251,364(2002年9月18日出願、出願人Rapp)に十分に開示される(これらは引用により全体として本明細書に含まれる)。
【0119】
すなわち、本発明はさらに、本発明の遺伝子組換えトリによって産生されたイムノグロブリンその他の多量体タンパク質を提供する。
【0120】
様々な態様において、少なくとも1つの発現ベクターの転写単位によってコードされるイムノグロブリンポリペプチドは、可変領域を含むイムノグロブリン重鎖ポリペプチドまたはその変異体であってよく、またさらにD領域、J領域、C領域、またはそれらの組み合わせを含んでも良い。発現ベクターによってコードされるイムノグロブリンポリペプチドは、可変領域を含むイムノグロブリン軽鎖ポリペプチドまたはその変異体であってもよく、またさらにJ領域およびC領域を含んでも良い。本発明はまた、同じ動物種、またはヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびニワトリを含む(これらに限定されない)いろいろな種に由来する複数のイムノグロブリン領域を考慮する。好ましい態様において、抗体はヒトのものであるか、またはヒト化されている。
【0121】
他の態様において、少なくとも1つの発現ベクターによってコードされるイムノグロブリンポリペプチドは、イムノグロブリン重鎖可変領域、イムノグロブリン軽鎖可変領域、およびリンカーペプチドを含み、それにより選択的抗原結合能力のある一本鎖抗体を形成する。
【0122】
本発明の他の局面は、選択的抗原結合に適した抗体を形成する能力のある異種タンパク質をトリにおいて産生する方法を提供する。本方法は、少なくとも1つの導入遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えトリを作成する工程を含み、ここでその導入遺伝子は、イムノグロブリン重鎖可変領域、可変領域および定常領域を含むイムノグロブリン重鎖、イムノグロブリン軽鎖可変領域、可変領域および定常領域を含むイムノグロブリン軽鎖、およびイムノグロブリン可変領域を含む二ペプチド連結一本鎖抗体から選択される少なくとも1つの異種ポリペプチドをコードする。
【0123】
本方法のある態様において、単離異種タンパク質は、少なくとも1つのイムノグロブリン重鎖可変領域および少なくとも1つのイムノグロブリン軽鎖可変領域を、好ましくは少なくとも1つのジスルフィド架橋で相互連結して合体させることによって形成できる、選択的抗原結合能力のある抗体である。当業界で周知の抗体再構築のための方法を用いて2つの可変領域を合体することにより、抗原に結合する結合部位が形成される。
【0124】
本発明はまた、イムノグロブリン重鎖および軽鎖またはその変異体もしくは誘導体であって、別々の遺伝子組換えトリにおいて発現し、その後血清または卵を含む別々の媒体から単離され、各単離物が1またはそれ以上の異なる種のイムノグロブリンポリペプチドを含むもの、を包含する。本方法はさらに、複数の単離異種イムノグロブリンポリペプチドを合体し、それによって選択的抗原結合能力のある抗体を産生する工程、を含んでも良い。この態様において、例えば、2またはそれ以上の個別の遺伝子組換えトリを作成してもよく、ここで一方の遺伝子組換えトリは、イムノグロブリン重鎖可変領域またはそれを含むポリペプチドが発現した血清または卵を産生する。第2の導入遺伝子を有する第2の遺伝子組換え動物は、イムノグロブリン軽鎖可変領域またはそれを含むポリペプチドが発現した血清または卵を産生する。2またはそれ以上の遺伝子組換え動物に由来するポリペプチドは、それぞれの血清および卵から単離され、インビトロで合体されて抗原結合能力のある結合部位を形成することができる。
【0125】
本発明の方法において使用可能な治療用抗体の例には、限定はされないが、転移性乳癌患者を処置するためのヒト化抗HER2モノクローナル抗体であるHERCEPTIN(登録商標)(トラスツヅマブ:Trastuzumab) (Genentech, CA);血栓形成を予防するための、血小板上の糖タンパクIIb/IIIa受容体に対するREOPRO(登録商標)(アブシキマブ:abciximab) (Centocor);急性腎同種移植拒絶反応を予防するための、免疫抑制性ヒト化抗CD25モノクローナル抗体であるZENAPAX(登録商標)(ダクリズマブ:daclizumab) (Roche Pharmaceuticals, Switzerland);l7-IA細胞表面抗原に対するマウスIgG2a抗体であるPANOREXTM (Glaxo Wellcome/Centocor);マウス抗イディオタイプ(GD3エピトープ)IgG抗体であるBEC2 (ImClone System);キメラ抗EGFR IgG抗体であるIMC-C225 (ImClone System);ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体であるVITAXINTM (Applied Molecular Evolution/MedImmune);ヒト化抗CD52 IgG1抗体であるCampath 1H/LDP-03 (Leukosite);ヒト化抗CD33 IgG抗体であるSmart M195 (Protein Design Lab/Kanebo);キメラ抗CD2O IgG1抗体であるRITUXANTM (IDEC Pharm/Genentech, Roche/Zettyaku);ヒト化抗CD22 IgG抗体であるLYMPHOCIDETM (Immunomedics);ヒト化抗ICAM3抗体であるICM3 (ICOS Pharm);霊長類化(primatied)抗CD80抗体であるIDEC-114 (IDEC Pharm/Mitsubishi);放射性標識マウス抗CD20抗体であるZEVALINTM (IDEC/Schering AG);ヒト化抗CD40L抗体であるIDEC-13l (IDEC/Eisai);霊長類化抗CD4抗体であるIDEC-151 (IDEC);霊長類化抗CD23抗体であるIDEC-152 (IDEC/Seikagaku);ヒト化抗CD3 IgGであるSMART 抗CD3抗体(Protein Design Lab);ヒト化抗補体因子5 (CS)抗体である5G1.l (Alexion Pharm);ヒト化抗TNF-α抗体であるD2E7 (CATIBASF);ヒト化抗TNF-α Fab断片であるCDP870 (Celltech);霊長類化抗CD4 IgG1抗体であるIDEC-151 (IDEC Pharm/SmithKline Beecham);ヒト抗CD4 IgG抗体であるMDX-CD4 (Medarex/Eisai/Genmab);ヒト化抗TNF-α IgG4抗体であるCDP571 (Celltech);ヒト化抗α4β7抗体であるLDP-02 (LeukoSite/Genentech);ヒト化抗CD4 IgG抗体であるOrthoClone OKT4A (Ortho Biotech);ヒト化抗CD40L IgG抗体であるANTOVATM (Biogen);ヒト化抗VLA-4 IgG抗体であるANTEGRENTM (Elan);および、ヒト抗TGF-β2抗体であるCAT-152 (Cambridge Ab Tech)。
【0126】
遺伝子組換えトリによる外来タンパク質の産生
トリ卵管によって異種タンパク質を産生する方法、および異種タンパク質を含有する卵を産生する方法は、適したベクターを提供し、そのベクターがトリゲノムに組み込まれるようにベクターを胚性胚盤葉細胞に導入することを含む。次の工程は、前工程で作成された遺伝子組換え胚盤葉細胞から成熟型遺伝子組換えトリを得ることを含む。遺伝子組換え胚盤葉細胞から成熟型遺伝子組換えトリを得る場合、所望により、遺伝子組換え胚盤葉細胞を胚へ移植し、その胚を十分に成長させ、胚を成長させることで前記細胞がそのトリに組み込まれるようにすることが含まれる。別の選択肢は、後に接合体へと発達して最終的に成鳥となりうる除核レシピエント細胞に、形質移入核を移すことである。得られた幼鳥は、その後成長して成鳥となる。
【0127】
別の態様において、胚盤葉胚の細胞は、胚内で前記ベクターを直接形質移入または形質導入される。例えば、本発明の組換え核酸分子は、卵管から摘出されたステージXまたはそれ以前の胚にそのDNAを直接微量注入することによって、胚盤葉胚に導入してもよいと考えられる。卵はその後、殻の発達および産卵のため鳥に戻す。得られた胚は成長することができ、幼鳥は成熟することができる。
【0128】
いずれの場合も、遺伝子組換え胚盤葉細胞からそのように作成された遺伝子組換え鳥は、「ファウンダー(founder)」と理解される。例えば微量注入により胚の胚盤葉細胞の全てに核酸分子が送達されなかった場合、一部のファウンダーはキメラまたはモザイク鳥でありうる。一部のファウンダーは、導入遺伝子を卵管筒部の管状腺細胞に有し、卵管で導入遺伝子によりコードされた外来タンパク質を発現するであろう。外来タンパク質は、適切なシグナル配列を含む場合、卵管内腔に、および卵の卵黄上に分泌されるであろう。
【0129】
一部のファウンダーは、生殖系列ファウンダーである。生殖系列ファウンダーは、その生殖系列組織の遺伝物質中に導入遺伝子を有し、かつ卵管筒部管状腺細胞にも外来タンパク質を発現する導入遺伝子を有しうるファウンダ−である。それゆえ、本発明により、この遺伝子組換え鳥は外来タンパク質を発現する管状腺細胞を有するであろうし、またその遺伝子組換え鳥の子孫もまた外来タンパク質を発現する卵管筒部管状腺細胞を有するであろう(あるいは、その子孫は、トリの特定組織における外来遺伝子の発現によって決定される表現型を示す)。
【0130】
本発明は、ヒトおよび動物用医薬品、診断、および家畜飼料添加物として使用されるものも含め、多様な所望のタンパク質を高収率かつ低コストで発現するために使用可能である。成長ホルモン、サイトカイン、構造タンパク質、および酵素のようなタンパク質、例えばヒト成長ホルモン、インターフェロン、リゾチーム、およびβ-カゼインは、本発明により所望のように卵管で発現し、卵内に蓄積するタンパク質の例である。産生される可能性のある他のタンパク質には、限定はされないが、アルブミン、α-1 アンチトリプシン、アンチスロンビンIII、コラーゲン、VIII、IX、X因子等、フィブリノーゲン、ヒアルロン酸、インシュリン、ラクトフェリン、プロテインC、エリスロポエチン (EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 (GM-CSF)、組織型プラスミノーゲン活性化因子 (tPA)、食品添加物酵素、ソマトトロピン、およびキモトリプシンが含まれる。イムノグロブリンおよび遺伝子組換えされた抗体、例えばヒト腫瘍細胞上の表面抗原に結合し腫瘍細胞を破壊するイムノトキシンもまた、医薬品または診断に用いるために発現可能である。
【0131】
それゆえ、本発明のある局面は、遺伝子組換え鳥、例えばニワトリ、であって、本発明の組換え核酸分子を含み、かつ好ましくは(しかし所望により)その動物の1またはそれ以上の細胞において異種遺伝子を発現するものに関する。異種DNAが組み込まれた遺伝子組換えトリを発生させるのに適した方法は、例えば、WO 99/19472(Ivarieら)、WO 00/11151(Ivarieら)、およびWO 00/56932(Harveyら)に記載される(これらは全て引用により全体として本明細書に含まれる)。
【0132】
本発明の遺伝子組換え鳥の様々な態様において、導入遺伝子は、本発明の卵白アルブミン転写調節領域に作用して所望のパターンに遺伝子発現を制御するトランス作用因子を利用するある一部の細胞、組織、または発達段階に限定して発現してもよい。ある空間的パターンに導入遺伝子の発現を制御するため、組織特異的調節配列および条件付き調節配列を使用することができる。さらに、例えば条件付き組換えシステムまたは真核細胞転写調節配列により、一時的発現パターンを得ることができる。本発明の新規核酸分子が5’MAR、および所望により3’MAR領域を含むことにより、異種発現ユニットは、生殖系列細胞を介さない経路で導入遺伝子を受け取った遺伝子組換え組織において、全て、または一部の染色体位置効果を回避し、それゆえより均一なレベルで発現することができる。
【0133】
本発明の様々な態様において、遺伝子組換えトリは、配列番号1、配列番号1の切断型変異体、またはその相補体を含む組換え核酸を含む。
【0134】
本発明のある態様において、遺伝子組換えトリは、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、走鳥類、装飾用鳥類、または野生鳥類よりなる群から選択される。好ましい態様において、トリはニワトリである。
【0135】
様々な態様において、遺伝子組換えトリは、血清もしくは卵白、またはその両方に、異種ポリペプチドを産生する。
【0136】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、それらは例示であり限定と解釈されてはならない。本出願全体で引用される全ての文献、公開特許、および特許の内容は、引用により全体として本明細書に含まれる。
【0137】
本発明の範囲または精神を逸脱することなく、本発明に様々な修飾、組み合わせ、付加、欠失、および変化をもたらしうることは、当業者には明らかであろう。例えば、ある態様の一部として例示または記載される特徴を別に態様において使用して、さらなる態様を生み出すことができる。本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内となるそのような修飾、組み合わせ、付加、欠失、および変化に及ぶことが意図される。
【実施例】
【0138】
実施例1:重複する2つのBACからの完全卵白アルブミン遺伝子座の構築
完全卵白アルブミン遺伝子座BACは、図6に示すように、あわせることで完全卵白アルブミン遺伝子座を含む重複する2つのBACから作成した。BAC 120およびBAC 77のヌクレオチド配列は、ベクター骨格のpECBAC1に関して反対方向である。
【0139】
BAC 120をNot Iにより消化し、145 kbの断片を、Not Iで消化したベクター骨格のpECBAC1に逆の方向で(反転して)再クローン化した。これにより、BAC 120の挿入配列の5’末端から約11.5 kbの、DNase I感受性領域の上流の領域が欠失された。この逆転したBAC 120「反転」およびBAC 77クローンを、Srf Iと、卵白アルブミン内のEcoRIサイトを標的としたオリゴヌクレオチドを使用してRAREとで消化した。5’および3’断片をCHEFゲル電気泳動によって単離し、ライゲートして、完全連続卵白アルブミンゲノム遺伝子座BACを作成した。
【0140】
実施例2:ニワトリ卵白アルブミン遺伝子座BACによる異種遺伝子の発現
図3に示すように、ヒトIgG1 κモノクローナル抗体のイムノグロブリン軽鎖および重鎖をコードするcDNAコンストラクトを、別々の卵白アルブミン遺伝子座含有BACの卵白アルブミン翻訳開始部位とイン・フレ−ムにて挿入した。はじめに、卵白アルブミン遺伝子由来の2.7 kbのEcoRI断片を含み、かつ卵白アルブミン開始部位を含むプラスミドにイムノグロブリン鎖をコードするcDNAを挿入した。次に得られたベクターを制限エンドヌクレアーゼのEcoR1で消化し、Boren et al., 1996, Prot. Sci. 5,: 2479-2484(引用により全体として本明細書に含まれる)に記載のようにEcoR1 recA 補助制限エンドヌクレアーゼ(recA-assisted restriction endonuclease、RARE)で消化した約195 kbの卵白アルブミンBACへクローン化した。
【0141】
遺伝子組換え鳥は、米国特許出願番号10/251,364(引用により全体として本明細書に含まれる)に記載のように、ヒト軽鎖および重鎖BACを一緒に細胞質へ微量注入し(図b)、卵移植することで作成した。
【0142】
これらのコンストラクトを有するメンドリを、性的に成熟するまで成長させた。卵を収集し、Harlow et al., Antibodies: a Laboratory Manual. 1988, Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory. Xiii(引用により全体として本明細書に含まれる)に記載のサンドイッチELISAを用いて、発現したヒトモノクローナル抗体について卵白物質を試験した。ヒトモノクローナル抗体は、ヤギ抗ヒトκ鎖特異的モノクローナル抗体によって捕捉し、アルカリフォスファターゼ結合ヤギ抗ヒトγ検出抗体で定量した。メンドリ# AA698は、ヒトモノクローナル抗体を卵白1mlにつき1025pgまで発現した。
【0143】
実施例3:ニワトリ卵白アルブミン遺伝子座BACによる異種遺伝子の発現
図3に示すように、ホタルルシフェラーゼ遺伝子のオープンリーディングフレームを、卵白アルブミン遺伝子座BACの卵白アルブミン翻訳開始部位に挿入した。ルシフェラーゼ遺伝子は、卵白アルブミン遺伝子由来で、かつ卵白アルブミン開始部位を含む2.7 kbのEcoR1断片を含むプラスミドに挿入した。次いで、得られたベクターをEcoRIで消化し、Boren et al., 1996, Prot. Sci. 5,: 2479-2484(引用により全体として本明細書に含まれる)に記載のようにEcoR1 recA 補助制限エンドヌクレアーゼ(RARE)で消化した約195 kbの卵白アルブミンBACへクローン化した。
【0144】
産卵ウズラの卵管から単離した初代管状腺細胞 (Sanders and McKnight, Endocrinology 116, 398-405(1985))に、卵白アルブミン-ルシフェラーゼコンストラクトまたは陰性対照のCMV-IFNコンストラクトを形質移入し、形質移入2日後に、細胞抽出物中のルシフェラーゼ活性を解析した(表1)。
【表1】

【0145】
実施例4:完全卵白アルブミンプロモーター配列(配列番号1)のBasic Local Alignment Search Tool (BLAST) 解析
約195kbの完全卵白アルブミンプロモーター配列(配列番号1)を、米国国立バイオテクノロジーセンター(NCBI)のデータベース配列によるBLASTアライメントにかけた。さらなる解析には、GenScan および MARWIZ ソフトウェアを用いた。この卵白アルブミン遺伝子領域の配列(配列番号1)と、対応する既知の卵白アルブミンプロモーターの特徴との間の同一性%を、以下の表2に示す。
【表2−1】

【表2−2】

【0146】
本発明の好ましい態様を、具体的な用語、装置、および方法を用いて記載したが、そのような記載は例示目的にすぎない。用いた単語は、限定ではなく説明のための単語である。当業者は当然に、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲を逸脱することなく、修正または変更を行うことができる。さらに当然のことながら、様々な態様の局面は、全体として、あるいは部分的に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、ニワトリ卵白アルブミン転写調節領域、ニワトリ卵白アルブミン遺伝子、並びにそれらの5’上流および3’下流のマトリックス結合領域を含む、ニワトリゲノムの領域の核酸配列(配列番号1)を示す。
【図2】図2は、配列番号1の核酸配列を有するニワトリゲノム領域を図示し、既知のドメインと同一性を有する領域の相対位置および方向を示す。
【図3】図3は、発現用細菌人工染色体の構成を図示し、ここで対象の挿入遺伝子は、ニワトリ卵白アルブミンプロモーターの発現制御下にある。対象の遺伝子は、卵白アルブミン遺伝子の天然の翻訳開始部位に挿入することができる。Lおよびローマ数字:卵白アルブミンエクソン、GOI:対象遺伝子、開始:翻訳開始部位、停止:翻訳停止部位、pA:ポリアデニル化シグナル、E:EcoRlサイト。
【図4】図4は、配列番号2のSV40ポリアデニル化シグナル配列を示す。
【図5】図5は、トリ細胞での発現に最適化された、ヒトインターフェロンのα2bインターフェロンのヌクレオチド配列(配列番号3)を示す。
【図6】図6は、卵白アルブミン遺伝子座を含むニワトリゲノム領域の再構築を示す。
【配列表】

































































































【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】

【図1−12】

【図1−13】

【図1−14】

【図1−15】

【図1−16】

【図1−17】

【図1−18】

【図1−19】

【図1−20】

【図1−21】

【図1−22】

【図1−23】

【図1−24】

【図1−25】

【図1−26】

【図1−27】

【図1−28】

【図1−29】

【図1−30】

【図1−31】

【図1−32】

【図1−33】

【図1−34】

【図1−35】

【図1−36】

【図1−37】

【図1−38】

【図1−39】

【図1−40】

【図1−41】

【図1−42】

【図1−43】

【図1−44】

【図1−45】

【図1−46】

【図1−47】

【図1−48】

【図1−49】

【図1−50】

【図1−51】

【図1−52】

【図1−53】

【図1−54】

【図1−55】

【図1−56】

【図1−57】

【図1−58】

【図1−59】

【図1−60】

【図1−61】

【図1−62】

【図1−63】

【図1−64】

【図1−65】

【図1−66】

【図1−67】

【図1−68】

【図1−69】

【図1−70】

【図1−71】

【図1−72】

【図1−73】

【図1−74】

【図1−75】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリマトリックス結合領域およびトリ卵白アルブミン転写調節領域を含む単離核酸分子。
【請求項2】
さらに第2のマトリックス結合領域を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
トリ5’マトリックス結合領域およびトリ3’マトリックス結合領域を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項4】
ニワトリ細胞から単離される、請求項1記載の核酸分子。
【請求項5】
配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその相補体と少なくとも約80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項6】
配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその相補体と少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項7】
配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその相補体と少なくとも約99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項8】
配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその相補体を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項9】
配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその相補体より成る、請求項7記載の核酸分子。
【請求項10】
配列番号1の少なくとも103キロベースを含む配列番号1の切断型変異体である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項11】
配列番号1のヌクレオチド位置約41000、約56000、約58350、約76200、および約8000番目より成る群から選択される5’末端を有し、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約191500、約187000、約164500、約157600、約157100、約152000、および約145500番目よりなる群から選択される3’末端を有する配列番号1の切断型変異体を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項12】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約41500〜約195101番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項13】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約41500〜約187000番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項14】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約41500〜約164500番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項15】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約41500〜約152000番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項16】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約41500〜約145500番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項17】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約96000〜約195101番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項18】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約96000〜約91500番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項19】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約96000〜約187000番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項20】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約96000〜約164500番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項21】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約96000〜約152000番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項22】
配列番号1の切断型変異体を含み、かつ配列番号1のヌクレオチド位置約96000〜約145500番目の核酸配列を含む核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項23】
請求項1記載の核酸分子が挿入されたベクター。
【請求項24】
人工染色体、プラスミドベクター、およびウィルスベクターより成る群から選択される、請求項23記載のベクター。
【請求項25】
請求項1記載の核酸分子を含むリポソーム組成物。
【請求項26】
組換え核酸分子である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項27】
卵白アルブミン転写調節領域およびマトリックス結合領域が、独立して配列番号1に示す核酸配列またはその相補体に高ストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズする能力を有する、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項28】
独立して配列番号1に示す核酸配列またはその相補体に高ストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズする能力を有する第2のマトリックス結合領域をさらに含む、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項29】
卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結された異種核酸配列をさらに含む、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項30】
卵白アルブミン転写調節領域に作動可能に連結された内在核酸配列をさらに含む、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項31】
卵白アルブミン転写調節領域がトリ卵管細胞による組織特異的転写の能力を有する、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項32】
配列内リボソーム進入部位をさらに含む、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項33】
配列内リボソーム進入部位に作動可能に連結された第2の異種核酸配列をさらに含む、請求項32記載の組換え核酸分子。
【請求項34】
請求項26記載の組換え核酸分子が挿入されたベクター。
【請求項35】
細菌人工染色体、酵母人工染色体、プラスミドベクター、およびウィルスベクターよりなる群から選択される、請求項34記載のベクター。
【請求項36】
ポリアデニル化シグナル配列をさらに含む、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項37】
異種核酸配列が、トリにおけるタンパク質発現について最適化されたコドン相補体を有しポリペプチドをコードする、請求項29記載の組換え核酸分子。
【請求項38】
細菌複製開始点およびウィルス複製開始点よりなる群から選択される複製開始点をさらに含む、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項39】
細菌人工染色体である、請求項26記載の組換え核酸分子。
【請求項40】
(a) トリ卵白アルブミン転写調節領域、
(b) トリ5’マトリックス結合領域、
(c) ポリペプチドをコードする異種核酸、
(d) ポリアデニル化シグナル配列、および
(e) トリ3’マトリックス結合領域
を含む組換え核酸分子であって、トリ卵白アルブミン転写調節制御領域、トリ5’マトリックス結合領域、およびトリ3’マトリックス結合領域が、各々高ストリンジェンシーな条件下で配列番号1の核酸配列またはその相補体にハイブリダイズする核酸分子。
【請求項41】
配列内リボソーム進入部位をさらに含む、請求項40記載の組換え核酸分子。
【請求項42】
遺伝子形質転換トリ細胞が形成される条件下で請求項1記載の核酸分子をトリ細胞に送達することを含む、遺伝子形質転換トリ細胞を作成する方法。
【請求項43】
核酸分子がトリ細胞の核内に入る、請求項42記載の方法。
【請求項44】
核酸分子がトリ細胞の核ゲノムに組み込まれる、請求項42記載の方法。
【請求項45】
核酸分子が、マトリックス結合領域エレメントを有さない組み込まれた分子と比較して、受ける染色体位置効果が減少するように核ゲノムに組み込まれる、請求項42記載の方法。
【請求項46】
トリ細胞がニワトリ細胞およびウズラ細胞よりなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項47】
トリ細胞が卵管細胞である、請求項42記載の方法。
【請求項48】
卵管細胞が管状腺細胞である、請求項45記載の方法。
【請求項49】
トリ細胞が培養トリ細胞である、請求項42記載の方法。
【請求項50】
トリ細胞において異種ポリペプチドを発現させる方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)遺伝子形質転換トリ細胞を形成する条件下で請求項29記載の核酸分子をトリ細胞レシピエントに送達する、および
(b)トリ卵白アルブミン転写調節領域の制御下で異種ポリペプチドが発現する条件のもと該遺伝子形質転換トリ細胞を培養する。
【請求項51】
核酸分子がトリ細胞レシピエントのゲノムに組み込まれる、請求項50記載の方法。
【請求項52】
トリ細胞レシピエントがニワトリ細胞である、請求項50記載の方法。
【請求項53】
トリ細胞レシピエントが卵管細胞である、請求項50記載の方法。
【請求項54】
トリ細胞レシピエントが卵管管状腺細胞である、請求項50記載の方法。
【請求項55】
請求項26記載の核酸分子を含むトリ細胞またはその子孫。
【請求項56】
該トリ細胞またはその子孫が該核酸分子によりコードされる異種ポリペプチドを発現する、請求項55記載のトリ細胞。
【請求項57】
ニワトリ細胞およびウズラ細胞から選択される、請求項55記載のトリ細胞。
【請求項58】
ニワトリ細胞である、請求項55記載のトリ細胞。
【請求項59】
卵管細胞である、請求項55記載のトリ細胞。
【請求項60】
卵管管状腺細胞である、請求項59記載のトリ細胞。
【請求項61】
培養細胞である、請求項55記載のトリ細胞。
【請求項62】
請求項26記載の核酸を含む、遺伝子組換えトリ個体。
【請求項63】
ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、走鳥類、装飾鳥類、または野生鳥類よりなる群から選択される、請求項62記載の遺伝子組換えトリ個体。
【請求項64】
ニワトリである、請求項62記載の遺伝子組換えトリ個体。
【請求項65】
異種ポリペプチドを血清または卵白中に産生する、請求項62記載の遺伝子組換えトリ個体。
【請求項66】
異種ポリペプチドを卵白中に産生する、請求項65記載の遺伝子組換えトリ個体。
【請求項67】
卵白が請求項29記載の組換え核酸分子から発現する異種ポリペプチドを含有するトリ卵。
【請求項68】
請求項67記載のトリ卵の卵白。
【請求項69】
請求項67記載の卵から得られた異種ポリペプチド。
【請求項70】
請求項50記載の卵から得られた異種ポリペプチド。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−523438(P2006−523438A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516764(P2005−516764)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039244
【国際公開番号】WO2004/094640
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(500182460)ユニバーシティ・オブ・ジョージア・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレイテッド (9)
【出願人】(500176090)エイビジェニックス・インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】