説明

ニンニク

【課題】
需要者に対する訴求力を有し、また調理時の利便性にも優れ、さらにトレーサビリティの確保も可能なニンニクを提供すること。
【解決手段】
球根2から延びる茎5の切断位置を調整して、球根2の下端面から茎5の上端面までの長さを80mmから120mmとすることで、ニンニク1が従来にはない特異な形状になり、訴求力が向上して、需要者の購買意欲を高めることができる。また球根2から延びる茎5を摘んでねじりを加えながら屈曲させていくと、やがて茎5が破断する。その際、茎5からの外力で球根2の外皮4が引き裂かれていき、中の粒を簡単に取り出すことができ、利便性に優れる。さらに、各種情報を表示したシート8を茎5に巻き付けることで、包装を解かれてニンニク1が小分けされた後も、生産地などを把握可能で、トレーサビリティにも優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球根を食用に供するニンニクに関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニクはネギ科の多年草で、その中には、ギョウジャニンニクのように、主に葉茎を食用とする品種も存在するが、多くの品種は球根部分を食用とする。通常、ニンニクと言えば、球根部分を意味しており、特有の臭いがあるものの強壮作用などから根強い需要があり、また海外からの輸入も豊富で、小売店で安価に販売されている。国内では、安価な輸入品に対抗するため、味覚などを重視した付加価値の高いニンニクを生産しており、その代表的な品種としては、寒冷地での栽培に適したホワイト六片が挙げられる。
【0003】
収穫されたニンニクは、そのままの状態で二十日程度乾燥させた後、球根の下面から延びるヒゲ状の根を切り落とし、また球根の先端から延びる茎を切り落とし、さらに圧縮空気で土などの異物を取り除く。一個の球根は、先細りとなった特有の形状で、薄い外皮の中には六片程度の粒が包み込まれている。なおニンニクに関する先行技術の例としては、ギョウジャニンニクの鮮度を保つことを目的として、次の考案が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第314528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニンニクに限らず食料品を販売する際は、需要者の購買意欲を喚起する必要があり、その形状や包装に独自性を持たせることがある。また調理時の利便性についても、十分に配慮すべきである。さらに近年は、食料品の安全性についての関心が高まっており、生産地や収穫日などの情報を公開して、トレーサビリティを確保する必要がある。
【0006】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、需要者に対する訴求力を有し、また調理時の利便性にも優れ、さらにトレーサビリティの確保も可能なニンニクの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、球根の先端から延びる茎を切断して、球根の下端面から茎の上端面までの長さを80mmから120mmとしたことを特徴とするニンニクである。
【0008】
本発明は、ホワイト六片など、球根部分を食用とするニンニクにおいて、茎を切断する位置を高くして、球根から茎が突出していることを特徴とする。ニンニクを収穫して乾燥させた後、球根の下面から延びる根を切断すると同時に、球根の先端から延びる茎も切断する。その際、通常は、体積の削減や、包装用袋からの飛び出しを防止するため、球根上部の先細りとなった箇所で茎を切断する。しかし本発明では、あえて球根から茎を延ばして、球根の下端面から茎の上端面までの長さを100mm程度としている。そのため球根の先端には、断面径がほぼ一定となった茎が延びている。なお、断面径がほぼ一定となった茎の長さは、球根との兼ね合いで変動するが、50mmから80mmとなる。
【0009】
このように茎を残すことで、従来とは明らかに外見が異なり、店頭で特有の存在感を示し、需要者に対する訴求力が高まる。また調理に先立ち、球根を握った上、茎を指で摘んでねじりながら屈曲させていくと、やがて球根と茎との境界付近で茎が破断する。その際の外力で球根の外皮が引き裂かれていき、刃物を使用することなく、中の粒を取り出すことができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のニンニクに関するもので、各種情報を表示可能なシートを茎の外周に巻き付けたことを特徴とする。シートは、合成樹脂フィルムや耐水性を持たせた紙などを用いており、生産地や収穫日や品種などを表示するもので、球根から延びる茎を軸として、旗状に取り付ける。そのためシートの側端部に粘着性を持たせて、その箇所を茎の外周に巻き付ける。
【0011】
シートを個々のニンニクに巻き付けることで、包装を取り外して小分けした後も、食材として使用する直前までトレーサビリティを確保でき、信頼性に優れている。また茎を軸として、シートを旗状に取り付けることで、単純にシートを貼り付ける場合に比べて、シートの存在感が増大して、陳列時の訴求力が高まる。なおシートには、トレーサビリティを確保する各種情報のほか、観光用の土産として扱うことを考慮して、いわゆるご当地キャラクターなどを表示することもできる。
【0012】
シートの巻き付け方法は自在で、通常は、シート側端部の粘着面を半周程度だけ茎に巻き付けて、粘着面同士を貼り合わせる。また、より単純な方法として、シートを渦巻き状に巻き付けても構わない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明のように、球根から延びる茎の切断位置を調整して、全長を100mm程度とすることで、ニンニクの形状が従来とは一線を画す特異なものとなり、店頭に並んだ際の訴求力が高まり、需要者の購買意欲を喚起することができる。また球根から延びる茎を指で摘んでねじりながら屈曲させていくと、球根と茎との境界付近で茎が破断するが、その際の外力で球根の外皮が引き裂かれていき、中の粒を簡単に取り出すことができ、利便性に優れる。しかも茎を利用して粒を取り出すことで、従来よりも球根部分との接触が少なくなり、特有の臭いが手に付着しにくく、調理時の快適性も向上する。
【0014】
請求項2記載の発明のように、各種情報を表示するシートを茎の外周に巻き付けることで、包装を解かれてニンニクが小分けされた後も、調理される直前まで、生産地や品種などを把握でき、トレーサビリティの面で優れている。またシートは、旗状に取り付けられ目立つため、訴求力の向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるニンニクの形状を示している。
【図2】内部の粒を取り出す際の手順を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明によるニンニク1の形状を示している。この図のニンニク1は、収穫の後に乾燥させて、さらに異物を除去して出荷する段階である。この時点で球根2の下面から延びるヒゲ状の根が除去されており、また球根2の先端から茎5が延びている。従来、茎5は、球根2の先細りが収束した位置で切断していた。しかし本発明では、断面径がほぼ一定になった茎5をあえて残してあり、球根2の下端から茎5の上端までの長さを80mmから120mmとしてある。そのため、球根2と茎5が一体となった自然な雰囲気を醸し出し、需要者に対する訴求力が高まる。なおニンニク1全体を覆う外皮4は、乾燥によって柔軟性を喪失しており、破断しやすくなっている。
【0017】
上方の図のように、茎5を延ばしただけの状態で小売りすることもできるが、下方の図のように、茎5にシート8を巻き付けることもできる。シート8には、生産地や品種や収穫日や価格など、各種情報を表示することで、トレーサビリティを確保できるほか、土産物の場合、ご当地キャラクターなどを表示することもできる。
【0018】
シート8は、左端部だけを粘着面として茎5に巻き付けている。そのためシート8は、茎5を軸として旗状に取り付けられている。ただし巻き付けは一周未満としてあり、シート8をはがすと、茎5の外皮も一体ではがれていく。
【0019】
図2は、内部の粒3を取り出す際の手順を示している。粒3を取り出す際は、上方の図のように、茎5の外周を指で摘んで、ねじりを加えると同時に折るように屈曲させていく。そうすると下方の図のように、球根2と茎5との境界付近で茎5が破断する。その際、外力が球根2にも伝達して、外皮4が繊維に沿って上下方向に引き裂かれていき、やがて球根2全体が分割されて、内部の粒3が露出する。
【符号の説明】
【0020】
1 ニンニク
2 球根
3 粒
4 外皮
5 茎
8 シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
球根(2)の先端から延びる茎(5)を切断して、球根(2)の下端面から茎(5)の上端面までの長さを80mmから120mmとしたことを特徴とするニンニク。
【請求項2】
各種情報を表示可能なシート(8)を前記茎(5)の外周に巻き付けたことを特徴とする請求項1記載のニンニク。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−34420(P2013−34420A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172130(P2011−172130)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(399086931)有限会社 オリジナル (1)
【Fターム(参考)】