説明

ネイルプリント装置およびネイルプリント方法

【課題】多種多様なデザインを各爪領域に印刷することができるネイルプリント装置を提供すること。
【解決手段】ネイルプリント装置1において、デザイン設定部51aによって、片手又は両手の複数の指別に、ネイル印刷すべき文字、絵柄等のデザインを割り当て設定し、この割り当て設定されたデザインを、印刷制御部51bの制御によって、複数の指別に独立して印刷させる。または実際の複数の指の種類を検出し、この検出された複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当て、この割り当てられたデザインを、検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる。これによって、多種多様なデザインを各爪に別個独立して印刷したいという使用者の要望に沿うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置およびネイルプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネイルプリント装置は、印刷しようとする爪の指である印刷指を、装置本体に設けた載置台上に載置し、この印刷指の爪に印刷するプリンタ装置である。このネイルプリント装置として、使用者が、表示部に表示された複数のデザインの中から所望する1つのデザインを選択し、この選択された1つのデザインを複数の指の各爪に印刷するように構成されているものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のネイルプリント装置によれば、1つのデザインを複数の指の各爪領域に印刷するため、装飾上の統一感を付与することができる。しかし、多種多様なデザインを各爪に印刷したいという使用者の要望には沿わないものとなっている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、多種多様なデザインを各爪に印刷することができるネイルプリント装置およびネイルプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のネイルプリント装置は、
ネイル印刷を行う印刷手段を備えるネイルプリント装置において、
複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当て設定するデザイン設定手段と、
前記デザイン設定手段によって複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを実際の複数の指別に独立して印刷させる印刷制御手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のネイルプリント装置は、請求項1に記載のネイルプリント装置であって、
表示手段を備え、
前記デザイン設定手段は、複数の指の種類別にネイル印刷可能なデザインを前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示制御手段の制御による前記表示手段の表示に基いて使用者が選択した複数の指の種類別のネイル印刷すべきデザインを割り当て設定する設定手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のネイルプリント装置は、請求項1又は2に記載のネイルプリント装置であって、
実際の複数の指を検出可能な検出手段を備え、
前記印刷制御手段は、前記デザイン設定手段によって複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを前記検出手段によって検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷制御手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のネイルプリント装置は、請求項1に記載のネイルプリント装置であって、
表示手段と、
予め定められている複数の指の種類とネイル印刷可能なデザインとを対応付けて記憶する記憶手段とを備え、
前記デザイン設定手段は、
前記記憶手段に記憶されている複数の指の種類に対応付けられたデザインを前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示制御手段の制御により前記表示手段に表示された複数の指の種類に対応付けられたデザインの中で複数の指の種類別に割り当てられたデザインを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載のネイルプリント装置は、請求項1に記載のネイルプリント装置であって、
実際の複数の指を検出する検出手段を備え、
前記デザイン設定手段は、この検出手段により検出された前記複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当てる割り当て制御手段を備え、
前記印刷制御手段は、前記割り当て制御手段によって前記複数の指の種類別に割り当てられたデザインを、前記検出手段により検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷制御手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載のネイルプリント方法は、
ネイル印刷を行う印刷手段を備えるネイルプリント装置によって実行されるネイルプリント方法であって、
複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当て設定するデザイン設定工程と、
前記デザイン設定工程で複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを実際の複数の指別に独立して印刷する印刷工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載のネイルプリント方法は、請求項6に記載のネイルプリント方法であって、
前記デザイン設定工程は、複数の指の種類別にネイル印刷可能なデザインを表示する表示工程と、
前記表示工程により表示されている複数の指の種類別に、ネイル印刷すべきデザインを割り当て設定する割り当て工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載のネイルプリント方法は、請求項6又は7に記載のネイルプリント方法であって、
実際の複数の指を検出する検出工程を備え、
前記印刷工程は、前記デザイン設定工程で複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを前記検出工程で検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷工程を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載のネイルプリント方法は、請求項6に記載のネイルプリント方法であって、
前記デザイン設定工程は、
予め定められている複数の指の種類とネイル印刷可能なデザインとを対応付けて記憶している記憶手段をアクセスし、この記憶手段に記憶されている複数の指の種類に対応付けられたデザインを表示する表示工程と、
前記表示工程により表示された複数の指の種類に対応付けられたデザインの中で複数の指の種類別に割り当てられたデザインを記憶させる記憶工程とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載のネイルプリント方法は、請求項6に記載のネイルプリント方法であって、
実際の複数の指を検出する検出工程を備え、
前記デザイン設定工程は、この検出工程で検出された前記複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当てる割り当て工程を備え、
前記印刷工程は、前記割り当て工程で前記複数の指の種類別に割り当てられたデザインを、前記検出工程で検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の指の種類別にネイル印刷したいデザインを割り当て設定しておき、この割り当て設定されたデザインを複数の指の種類別に独立して印刷することができる。したがって、多種多様なデザインを各爪に別個独立して印刷したいという使用者の要望に沿うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態を概念的に示した斜視図で、蓋体を開いた状態を示している。
【図2】図1のネイルプリント装置の装置本体を概念的に示した斜視図である。
【図3】図1のネイルプリント装置の要部である印刷指固定部を示した断面図で、印刷指として親指を除く4本の指を印刷指挿入部に挿入した際の固定態様を示している。
【図4】図1のネイルプリント装置の要部である印刷指固定部を示した断面図で、印刷指として親指を印刷指挿入部に挿入した際の固定態様を示している。
【図5】図1のネイルプリント装置の要部である印刷指固定部を示した断面図で、印刷指として親指を印刷指挿入部に挿入した際の他の固定態様を示している。
【図6】図2における装置本体を正面側から見た場合の断面図である。
【図7】図2における装置本体を右側から右側面側から見た場合の断面図である。
【図8】図1のネイルプリント装置を示したブロック図である。
【図9】ROMのメモリ構成図である。
【図10】RAMのメモリ構成図である。
【図11】操作盤と表示部の初期画面とを示す図である。
【図12】ネイル印刷処理のフローチャートである。
【図13】操作盤と表示部のデザイン選択画面とを示す図である。
【図14】ネイル印刷処理の結果の一例を示す図である。
【図15】ネイル印刷処理の結果の他例を示す図である。
【図16】ネイル印刷処理の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るネイルプリント装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。このケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
【0020】
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2の前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。このケース本体2の前面が開放された状態で、ネイルプリント装置1は使用される。また、ケース本体2の天板2fには後述する操作盤52が設置されている。さらに、蓋体4の内面には表示部60が設置されている。
【0021】
また、図2に示すように、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。この装置本体10は、印刷指固定手段を構成している印刷指固定部20、撮影手段を構成している撮影部30、印刷手段を構成している印刷部40及び制御手段を構成している制御部50(図8参照)及び表示部60を備えている。これらのうち印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御部50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bから構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置されている。一方、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0022】
上記印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この印刷指固定部20は、下部機枠11aに設けられた印刷指挿入部20a、非印刷指挿入部20b及び掴み部20cによって構成されている。
ここで、印刷指挿入部20aは、図3に示すように、印刷しようとする爪Tに対応する印刷指U1を挿入するめための指挿入部である。なお、図3では、親指を除く4本の印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入した状態を示しているが、この印刷指挿入部20aは、片手の指全部を印刷指U1として挿入可能な開口面積を有していてもよい。さらには、この印刷指挿入部20aは、両手の指全部を印刷指U1として挿入可能な開口面積を有していてもよい。要は、印刷挿入部20aは、複数の指が印刷指として挿入可能な開口面積を有することである。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指以外の非印刷指U2を挿入するための指挿入部である。
また、掴み部20cは、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで挟持可能な部分である。この掴み部20cは印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
なお、上記非印刷指挿入部20b及び上記掴み部20cを設けなくてもよいが、これらを設けることは、印刷指U1を固定するためには極めて有効である。
【0023】
上記隔壁21の上面は平坦な印刷指載置面を構成している。この印刷指載置面は印刷指を載置するためのものである。この印刷指載置面は、上記非印刷指挿入部20b及び上記掴み部20cを設けない場合には、上記印刷指挿入部20aの床面によって構成されることになる。
この隔壁21の指挿入側端部には膨出部22が形成されている。この膨出部22は、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bに印刷指U1及び非印刷指U2を振り分けて深く挿入した際に、印刷指U1及び非印刷指U2の付け根が当接する部分に形成されている。この膨出部22は、印刷指U1と非印刷指U2とで隔壁21(掴み部20c)を挟持する際に、印刷指U1と非印刷指U2との付け根で包持されるものである。ここで「包持」とは、印刷指U1と非印刷指U2との付け根が当接し、膨出部22を掴めることである。この膨出部22の包持によって、手首の左右の振れや上下の振れが抑制されて、手先を安定させることができる。この膨出部22は、図3から図5に示すように、指の挿入方向に沿った断面で見た場合(側面視で)、隔壁21の下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,断面多角形等の非円形であってもよい。要は、印刷指U1と非印刷指U2との付け根で包持される形状であればよい。 なお、膨出部22の大きさ、すなわち、隔壁21の厚み方向の厚みは、印刷指U1と非印刷指U2との付け根が膨出部22に十分に当接するように、1〜2cm程度が好ましく、隔壁21の厚みは、指先の腹が隔壁21にしっかりと圧接できるように、膨出部22の厚みよりも0.5〜1cm程度小さいことが好ましい。
【0024】
図3には複数の指を印刷指とする場合の固定態様の一例が示されている。
例えば、親指以外の4本の指を印刷指U1とする場合、親指以外の4本の印刷指U1が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され、非印刷指U2である親指が非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1が掴み部20cに強固に固定される。この場合、人差し指と親指との付け根或いは手のひらで膨出部22を抱持すれば、手先が安定するので、印刷指U1の固定がより確実となる。
【0025】
また、図4には1本の指を印刷指とする場合の固定態様の一例が示されている。
例えば、親指を印刷指U1aとする場合、印刷指U1aである親指が印刷指挿入部20aに挿入され、親指以外の4本の非印刷指U2aが平面的に並んだ状態で非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1aと非印刷指U2aとで掴み部20cを挟持することで印刷指U1aが固定される。この場合も、人差し指と親指との付け根で膨出部22を抱持すれば、手先が安定するので、印刷指U1aの固定がより確実となる。
また、図5には親指を印刷指U1aとする場合の固定態様の他例が示されている。
ここでは、印刷指U1aである親指が印刷指挿入部20aに挿入され、親指以外の4本の非印刷指U2aが上下方向に重ね合わさった状態で非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1aと非印刷指U2aである人差し指とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1aが固定される。この場合も、人差し指と親指との付け根部分で膨出部22を抱持すれば、手先が安定するので、印刷指U1aの固定がより確実となる。
なお、図4及び図5では、1本の指を印刷指とする例として、印刷指U1aである親指を1本だけ印刷指挿入部20aに挿入する場合を示したが、人差し指、中指又は薬指の中の1本を印刷指挿入部20aに挿入してもよい。また、図4及び図5の説明では印刷指をU1a、非印刷指をU2aとしているが、印刷指及び非印刷指を総称する場合には符号U1及びU2を用いるものとする。
【0026】
次に、撮影部30について説明する。この撮影部30は、図2、図6及び図7に示すように、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有するカメラ32が設置されている。また、基板31には、カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。この撮影部30は、このカメラ32及び照明灯33を含んで構成されている。この撮影部30は、照明灯33によって印刷指U1を照明し、カメラ32によってその印刷指U1を撮影し、指画像データを取り込むためのものである。この撮影部30は、後述する制御部50の制御装置51に接続され、該制御装置51によって制御される。
この撮影部30は複数の指を検出可能な検出手段を構成している。
【0027】
また、印刷部40は、図2、図6及び図7に示すように、機枠11に設けられている。
すなわち、上部機枠11bの両側板に2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、主キャリッジ42の前壁42aおよび後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部に印刷ヘッド46が搭載されている。
そして、主キャリッジ42は動力伝達部(図示せず)を介してモータ43に連結され、モータ43の正逆回転によって、ガイドロッド41に沿って左右方向に移動する。また、副キャリッジ45は動力伝達部(図示せず)を介してモータ47に連結され、モータ47の正逆回転によって、ガイドロッド44に沿って前後方向に移動する。この主キャリッジ42及び副キャリッジ45の移動と、印刷反吐46からのインクの吐出とによって、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1の爪Tへの印刷が可能となる。
なお、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48は下部機枠11aに設けられている。
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モータ43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モータ47及びインクカートリッジ48等を含んで構成されている。
【0028】
また、制御部50は上部機枠11bに設けられている。この制御部50は、図8に示すように、基板31に設置された制御装置51によって構成されている。
この制御装置51は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM51C−1(Read Only Memory)、RAM51C−2(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。
【0029】
この制御装置51は、機能的に見た場合、指別にネイル印刷すべき文字または絵柄等(ネイル画像を含む)の一つ、またはこれらの組み合わせからなるデザイン(以下単に「デザイン」という。)を割り当て設定するデザイン設定部51aと、デザイン設定部51aによって割り当て設定されたデザインを指別に独立して印刷させる印刷制御部51bとを備える。このデザイン設定部51a及び印刷制御部51bとしての機能は、CPUとROM51C−1に記憶されたプログラムとの共働によって実現される。ここで、デザイン設定部51aは、後述する制御盤52等とともにデザイン設定手段を構成している。また、印刷制御部51bは印刷制御手段を構成している。
また、制御装置51は、機能的に見た場合、指の種類と、印刷可能なデザインとを記憶するとともに、デザイン設定部50aによって割り当て設定されたデザインを指と対応付けて記憶する記憶手段としての記憶部51cを備える。この記憶部51cとしての機能はROM51C−1やRAM51C−2によって実現される。
なお、デザイン設定部51aは、各指に対応付け可能なデザインを後述の表示手段としての表示部60に表示させる表示制御手段としての表示制御部51a−1を備え、表示部60の表示内容に基づいて使用者が選択したデザインを割り当て設定する。この表示制御部51a−1としての機能はCPUとROM51C−1に記憶されたプログラムとの共働によって実現される。
【0030】
続いて、制御装置51が備えるROM51C−1及びRAM51C−2について説明する。
ROM51C−1には印刷処理プログラム等のプログラムが格納され、このプログラムが制御装置51によって実行されることによって、ネイルプリンタ装置1の各部が統括制御される。
また、ROM51C−1には印刷可能なデザインに対応するデータが記憶されている。
例えば、図9に示すように、ROM51C−1の記憶領域511は、指種類エリア511A、指番号エリア511B、各指に印刷可能な文字エリア511C、及び、絵柄等エリア511Dを備えており、これらのエリアに、指種類、指番号、文字及び絵柄等の各データが記憶されている。このうち指種類と指番号とのデータは1対1で対応している。ここでは、右手について、親指が指番号1、人差し指が指番号2、中指が指番号3、薬指が指番号4、小指が指番号5に設定されている。なお、ここでは図示されていないが、左手については、親指が指番号6、人差し指が指番号7、中指が指番号8、薬指が指番号9、小指が指番号10に設定されている。
同図の上覧511aは、指別任意デザインのデータを示している。この指別任意デザインのデータとして、ここでは、各指について各種の文字及び絵柄のデータが用意されている。具体的には、各種の文字のデータとして、ひらがな、カタカナ、漢字、記号のデータが用意され、また、各種の絵柄のデータとして、各種絵柄等に対応するD1からDnのネイル画像のデータが用意されている。また、同図の下覧511bは、指別固定デザインのデータを示している。この指別固定デザインとして、ここではD1からD4の絵柄等のデータが用意されている。具体的には、指番号1の親指にD1(ハート)のデータ、指番号2の人差し指にD2(顔)のデータ、指番号3の中指にD3(太陽)のデータ、指番号4の薬指にD4(月)のデータ、指番号5の小指にD1(ハート)のデータが予め対応付けられた状態で用意されている。
【0031】
上記RAM51C−2の記憶領域512には、図10に示すように、操作盤52から入力された情報に基づいて、ROM51C−1の記憶領域511に予め記憶されている印刷可能なデザインデータの中から印刷すべきデザインデータが選択されて記憶される。
RAM51C−2の記憶領域512には、図10に示すように、指種類、指番号、文字、絵柄等、爪領域画像及び座標が対応付けられて記憶される。このRAM51C−2の記憶領域512の第1欄512a、第2欄512b、第3欄512c、第4欄512dには、過去に、選択されたデザイン情報も含まれている。
図10の第1欄512aおよび第2欄512bに限り説明を行えば、図10の第1欄512aには、指番号1の親指に「ド」のデータ、指番号2の人差し指に「レ」のデータ、指番号3の中指に「ミ」のデータ、指番号4の薬指に「ファ」のデータ、指番号5の小指に「ソ」のデータが記憶されている例を示す。
また、図10の第2欄512bには、指番号1の親指にD1(ハート)のデータ、指番号2の人差し指にD2(顔)のデータ、指番号3の中指にD3(太陽)のデータ、指番号4の薬指にD4(月)のデータ、指番号5の小指にD1(ハート)の画像が記憶されている例を示す。
なお、RAM51C−2の記憶領域512には、ROM51C−1の記憶領域511に記憶されたデザインデータから選択されたデザインデータのみならず、後に、使用者によって追加された新たなデザインデータを記憶しておいてもよい。
【0032】
次に、操作盤52及び表示部60を図11に基づいて説明する。
操作盤52は、ケース本体2の天板2fに設けられている。この操作盤52には、文字入力キー52a、選択キー52b、印刷キー52c、停止キー52d、両手キー52e、カーソルキー52f及び決定キー52gが設けられている。
ここで、文字入力キー52a、選択キー52b又はカーソルキー52fは、印刷すべきデザインの選択等に使用されるキーである。また、決定キー52gは、文字入力キー52a、選択キー52b又はカーソルキー52fによって選択されたデザインを確定等するためのキーである。また、印刷キー52cは、印刷処理の開始のためのトリガとなるキーである。また、停止キー52dは、印刷処理を停止させる際に使用されるキーである。また、両手キー52eは、印刷すべき印刷指が両手に亘る場合に使用されるキーである。この両手キー52eが操作された後印刷キー52cが操作されると、タイマーが作動して、所定時間経過後に印刷処理が開始される。
また、表示部60は、印刷処理を行う際に各種表示を行うものである。この表示部60は特に限定はされないが液晶パネルによって構成されている。図11の表示部60には印刷処理の初期画面が表示されている。この初期画面は、図示しない電源スイッチをONとした後に印刷キー52c又は両手キー52dを操作した際に表れる。なお、この表示部60は液晶タッチパネルによって構成されていてもよい。
【0033】
次に、上記ネイルプリント装置1における印刷処理の流れを制御装置51の働きを中心に図12のフローチャート及び図16の工程図に基づいて説明する。
電源スイッチがONの状態で印刷キー52cが操作されると、制御装置51は、デザインモード選択画面を表示部60に表示させる。このデザインモード選択画面には、図11に示すように、指別任意デザインモードと指別固定デザインとを選択させるためのプッシュボタンP1,P2が表示される。この状態で、使用者がカーソルキー52fの操作し、これらプッシュボタンP1,P2のうちの1つにポインタを合わせ、決定キー52gを操作することによってデザインモードを選択する。
制御装置51は、指別任意デザインモードか否かを判断する(ステップS1)。
この場合、制御装置51は、指別任意デザインモードであると判断すると(ステップS1でYESの場合)、ROM51C−1の記憶領域511から一覧データを読み出して、図13に示すように、指種類、指番号、デザイン(文字及び絵柄等)の一覧画面を表示させるとともに、印刷したいデザインの選択を催促する画面を表示部60に表示させ、さらに手形画像を表示部60に表示させる(ステップS2)。このステップS2までの工程は図16の表示工程K1である。
次に、使用者はカーソルキー52f及び決定キー52gを操作し、指種類、指番号及びデザインを選択する。制御装置51は、このカーソルキー52f及び決定キー52gの操作がなされたと判断すると(ステップS3でYESの場合)、選択された指種類、指番号及びデザインをRAM51C−2に記憶する(ステップS4)。すなわち、指の種類毎にデザインが割り当てられる。このステップS3及びS4の工程が図16の割り当て工程K2である。なお、制御装置51は、ステップS3でNOの場合にはステップS2の処理に戻る。
ステップS1からステップS5までの工程が図16のデザイン設定工程Kである。
次に、制御装置51は、印刷指挿入部20aへの右手の全指の挿入を催促する画面を表示部60に表示させる(ステップS5)。使用者は、この挿入催促に従って、印刷指挿入部20aに右手の全指を挿入する。
すると、制御装置51は撮影部30に右手の全指を撮影させ(図16の検出工程K3)、この撮影部30を通じて得られた画像テータに基づき該右手の各指の種類を検出し、該各指の情報(爪領域画像及び座標等)をRAM51C−2の記憶領域512に記憶するとともに、各指の爪部の爪領域を検出し、爪領域の情報をRAM51C−2の記憶領域512に記憶する(図16の記憶工程K4:ステップS6)。
次に、制御装置51は、右手の全指について指の種類と爪領域の情報とをRAM51C−2の記憶領域512に記憶したら(ステップS7でYESの場合)、図14に示すように、指別に割り当てられたデザインを各指の爪領域に印刷させ(図16の印刷工程K5:ステップS8)、ネイル印刷処理を終了する。
ここで、図14に示すデザインはピアノ等の鍵盤楽器に対応した音階であり、指番号1の親指U1に「ド」のデータ、指番号2の人差し指に「レ」の文字データ、指番号3の中指に「ミ」の文字データ、指番号4の薬指に「ファ」の文字データ、指番号5の小指に「ソ」の文字データが音階として印刷された例を示す。このように、音階を爪に印刷しておくことで、ピアノなどの鍵盤楽器の演奏を楽に行うことができる。
なお、制御装置51は、ステップS7でNOの場合にはステップS6の処理に戻る。
【0034】
一方、制御装置51は、上記ステップS1で指別固定デザインモードでない場合(ステップS1でNOの場合)、指別固定デザインモードとなり(図16のデザイン設定工程)、右手の全指を指挿入部内に挿入催促の画面を表示部60に表示させる(ステップS11)。使用者は、この挿入催促に従って、印刷指挿入部20aに右手の全指を挿入する。
すると、制御装置51は撮影部30に右手の全指を撮影させ(図16の検出工程K3)、この撮影部30を通じて得られた指画像の外形形状等に基づき該片手の各指の種類を検出し、各指の情報をRAM51C−2の記憶領域512に記憶するとともに、各指の爪部の爪領域を検出し、爪領域の情報(爪領域画像及び座標等)をRAM51C−2の記憶領域512に記憶する(図16の記憶工程K4:ステップS12)。
次に、制御装置1は、片手の全指について指の種類と爪領域の情報とをRAM51C−2の記憶領域512に記憶したら(ステップS13でYESの場合)、図15に示すように、予め指別に割り当てられたデザインを各指の爪領域に印刷させ(図16の印刷工程K5:ステップS14)、ネイル印刷処理を終了する。
図15に示すデザインは、指番号1の親指にD1(ハート)のデータ、指番号2の人差し指にD2(顔)のデータ、指番号3の中指にD3(太陽)のデータ、指番号4の薬指にD4(月)のデータ、指番号5の小指にD1(ハート)の画像が印刷された例を示す。このように、各種の画像を独立した各爪に印刷しておくことで、特徴のある指先を楽しむことができる。
なお、制御装置51は、ステップS3でNOの場合にはステップS2の処理に戻る。
【0035】
以上が、右手のネイル印刷処理であるが、左手も同様にしてネイル印刷処理される。なお、両手を印刷指挿入部20aに挿入する場合には、両手キー52cを押した後に印刷キー52gを押すと、10秒後にステップS1からの処理が開始される。
【0036】
以上のネイルプリント装置1によれば次のような効果が得られる。
複数の指の種類別にネイル印刷したいデザインを割り当て設定しておき、この割り当て設定されたデザインを複数の指の種類別に独立して印刷させることができる。したがって、多種多様なデザインを各爪に別個独立して印刷したいという使用者の要望に沿うことができる。
また、実際の複数の指の種類を検出し、この検出された複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当て、この割り当てられたデザインを、検出された実際の複数の指別に独立して印刷させることができる。したがって、多種多様なデザインを各爪に別個独立して印刷したいという使用者の要望に沿うことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、デザイン設定工程の後に検出工程が実行されているが、検出工程を先にし、実際に検出した指別にデザインを設定してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 ネイルプリント装置
2 ケース本体
4 蓋体
20a 印刷指挿入部
20b 非印刷指挿入部
20c 掴み部(隔壁)
20 印刷指固定部
30 撮影部
32 カメラ
33 照明灯(LED)
40 印刷部
50 制御部
51 制御装置
51a デザイン設定部
51a−1 表示制御部
51b 印刷制御部
51c 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイル印刷を行う印刷手段を備えるネイルプリント装置において、
複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当て設定するデザイン設定手段と、
前記デザイン設定手段によって複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを実際の複数の指別に独立して印刷させる印刷制御手段と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
表示手段を備え、
前記デザイン設定手段は、複数の指の種類別にネイル印刷可能なデザインを前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示制御手段の制御による前記表示手段の表示に基いて使用者が選択した複数の指の種類別のネイル印刷すべきデザインを割り当て設定する設定手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項3】
実際の複数の指を検出可能な検出手段を備え、
前記印刷制御手段は、前記デザイン設定手段によって複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを前記検出手段によって検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷制御手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のネイルプリント装置。
【請求項4】
表示手段と、
予め定められている複数の指の種類とネイル印刷可能なデザインとを対応付けて記憶する記憶手段とを備え、
前記デザイン設定手段は、
前記記憶手段に記憶されている複数の指の種類に対応付けられたデザインを前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示制御手段の制御により前記表示手段に表示された複数の指の種類に対応付けられたデザインの中で複数の指の種類別に割り当てられたデザインを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項5】
実際の複数の指を検出する検出手段を備え、
前記デザイン設定手段は、この検出手段により検出された前記複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当てる割り当て制御手段を備え、
前記印刷制御手段は、前記割り当て制御手段によって前記複数の指の種類別に割り当てられたデザインを、前記検出手段により検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項6】
ネイル印刷を行う印刷手段を備えるネイルプリント装置によって実行されるネイルプリント方法において、
複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当て設定するデザイン設定工程と、
前記デザイン設定工程で複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを実際の複数の指別に独立して印刷する印刷工程と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント方法。
【請求項7】
前記デザイン設定工程は、複数の指の種類別にネイル印刷可能なデザインを表示する表示工程と、前記表示工程により表示されている複数の指の種類別に、ネイル印刷すべきデザインを割り当て設定する割り当て工程とを備えることを特徴とする請求項6に記載のネイルプリント方法。
【請求項8】
実際の複数の指を検出する検出工程を備え、
前記印刷工程は、前記デザイン設定工程で複数の指の種類別に割り当て設定されたデザインを前記検出工程で検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷工程を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のネイルプリント方法。
【請求項9】
前記デザイン設定工程は、
予め定められている複数の指の種類とネイル印刷可能なデザインとを対応付けて記憶している記憶手段をアクセスし、この記憶手段に記憶されている複数の指の種類に対応付けられたデザインを表示する表示工程と、
前記表示工程により表示された複数の指の種類に対応付けられたデザインの中で複数の指の種類別に割り当てられたデザインを記憶させる記憶工程とを備えることを特徴とする請求項6に記載のネイルプリント方法。
【請求項10】
実際の複数の指を検出する検出工程を備え、
前記デザイン設定工程は、この検出工程で検出された前記複数の指の種類別にネイル印刷すべきデザインを割り当てる割り当て工程を備え、
前記印刷工程は、前記割り当て工程で前記複数の指の種類別に割り当てられたデザインを、前記検出工程で検出された実際の複数の指別に独立して印刷させる独立印刷工程を備えることを特徴とする請求項6に記載のネイルプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−10848(P2012−10848A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148829(P2010−148829)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】