説明

ネジ端子台

【課題】構造補強を図りつつ、ネジの締め付け操作の際に仮に異物が発生しても、これを捕捉、回収して周辺への飛散を防止する構造を備えたネジ端子台を提供する。
【解決手段】雌ネジ(14a)を有し、この雌ネジに外部の端子を接続するための雄ネジがねじ込まれる板状の天面部(12)と、この天面部からそれぞれ垂下し、先端に外部の回路基板の差込孔に差し込まれる突起(13p)が設けてある一対の脚部(13,13)とを有している金属製のネジ端子本体(10)と、この一対の脚部間に挟み込まれて前記ネジ端子本体を支える絶縁性の樹脂製ホルダ(20)とを、備えているネジ端子台(1A)で、樹脂製ホルダ(20)は、概ね中空筒状をなし、前記ネジ端子本体の前記雌ネジに対応して設けられ且つ前記雌ネジの内径よりも大きな内径のセンタ孔(26)を有する本体部と、前記センタ孔(26)内に設けられ、このセンタ孔に底を提供する閉塞壁(25)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装されて外部の電子機器等の接続端子(外部の端子)との電気的な接続に供されるネジ端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板などの回路基板に、外部の端子を接続するための電気部品としてネジ端子台が使用されている。このようなネジ端子台としては、例えば特許文献1で開示するように、樹脂などで形成されている端子台本体(樹脂製ホルダ)に、金属製の端子部を取り付けた構造などが知られている。このような端子台は、例えば金属製端子部の下端側が予め準備したプリント基板や装置側のインターフェイス部などに接続される。そして、上端側に設けてあるネジ孔(雌ネジ)に締結ネジ(雄ネジ)を締め込むことで、丸型端子などの外部の端子を固定して電気的な接続を形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−226633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1で例示するネジで外部端子を固定するタイプのネジ端子台は、ネジを締め込むことで種々の形態の端子を固定できるので、従来から広く採用されている。なお、ネジ端子台には種々の形態があって、金属製端子部用の板材に開口を設ける際にバーリングタップ加工を施して、その立ち上がり部に雌ネジを設けてネジ孔とする場合、また別途に準備したナットを所定位置に固定してネジ孔とする場合もある。
ところで、当然のことながら、ネジによる締め付け構造を実現するためには、ネジ孔(雌ネジ部)とそのネジ孔に挿入されるネジ(雄ネジ部)が必要である。そして、上記ネジ孔およびネジが形成された際には、製造時に発生した切り粉やバリ等の不要な金属の残存部が除去された上で製品としてのネジ端子台が提供されている。
【0005】
しかしながら、ネジ端子台を実際に用いて、ネジ孔にネジをセットして締め付け作業を行ったときに、除去し切れなかった残存部や、締め付けに起因して剥離したメッキの粉などの金属の異物がネジ孔又はネジから脱落してしまう場合もある。このような異物は導電性であるので、端子台が固定されたプリント基板の回路上に堆積してしまうと、短絡(ショート)などの事故を誘発する原因となる。
【0006】
本発明は、上記の様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、樹脂製ホルダで構造補強を図りつつ、ネジの締め付け操作の際に仮に異物が脱落しても、これを捕捉、回収して周辺への飛散を防止する構造を備えたネジ端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、雌ネジを有し、この雌ネジに外部の端子を接続するための雄ネジがねじ込まれる板状の天面部と、該天面部からそれぞれ垂下し、先端に外部の回路基板の差込孔に差し込まれる突起が設けてある一対の脚部とを有している金属製のネジ端子本体と、前記一対の脚部間に挟み込まれて前記ネジ端子本体を支える絶縁性の樹脂製ホルダとを、備えているネジ端子台であって、
前記樹脂製ホルダは、概ね中空筒状をなし、前記ネジ端子本体の前記雌ネジに対応して設けられ且つ前記雌ネジの内径よりも大きな内径のセンタ孔を有する本体部と、前記センタ孔内に設けられ、前記センタ孔に底を提供する閉塞壁とを有している、ことを特徴とするネジ端子台により達成できる(請求項1)。
【0008】
そして、前記ネジ端子本体は、前記脚部間にて規定される前記天面部の幅をWとし、前記脚部の脚長さをLとしたとき、脚長さLが幅Wの2倍以上の高背型としてもよい(請求項2)。
また、前記樹脂製ホルダは、前記脚部の途中位置にて外側から該脚部に当接する舌片部を更に備えた構造とするのが望ましい(請求項3)。
【0009】
また、前記雌ネジは、前記ネジ端子本体の前記天面部に設けたバーリング部の内面に形成されている構造を採用できる(請求項4)。
また、前記ネジ端子本体は、前記天面部と前記一対の脚部の間にて折曲して側面視で略コ字状に形成され、前記バーリング部に掛からない位置で、前記折曲部に曲げ加工用の貫通穴を設けた構造体とするのが好ましい(請求項5)。
【0010】
また、上記ネジ端子台は、前記ネジ端子本体が前記天面部の下面に前記雌ネジを有するナットを配置したナット組み込み型に構成されており、前記ナットが前記樹脂製ホルダ内に回転を規制された状態で収納されると共に、該樹脂製ホルダの一部が前記脚部と嵌合している、形態であってもよい(請求項6)。
また、上記ネジ端子台は、前記ネジ端子本体が前記天面部に圧入され、回転を規制されているとともに前記天面部から露出した前記雌ねじを有するナットを備えたナット組み込み型に構成されており、前記ナットは前記樹脂製ホルダにより下から覆われると共に、該樹脂製ホルダの一部が前記脚部と嵌合している、形態であってもよい(請求項7)。
【0011】
前記天面部には、該天面部に接続された前記外部の端子を回り止めする爪部が設けてある構造とするのが望ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のネジ端子台では、一対の脚部間に当接配置されて前記ネジ端子本体を支える絶縁性の樹脂製ホルダが、金属製のネジ端子本体の天面部に設けた雌ネジの下に位置している。樹脂製ホルダは中空筒状体でセンタ孔内(筒内)に閉塞壁を有している。よって、上記雌ネジに、雄ネジが締め込まれたときに金属の異物が発生しても、筒状の樹脂製ホルダ内に、これを収納して周辺への飛散を防止できるので短絡などの事故の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の形態に係るネジ端子台の分解斜視図である。
【図2】図1に示すネジ端子台を、外部回路基板に取付けて、外部端子を取り付ける様子を模式的に示した図である。
【図3】図1に示すネジ端子台を、特に高背型に構成した場合について、そのメリットを説明するために示した図である。
【図4】本発明の第2の形態に係るネジ端子台について示した図である。
【図5】本発明の第3の形態に係るネジ端子台について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、第1の形態に係るネジ端子台1Aの分解斜視図である。
このネジ端子台1Aは、金属製のネジ端子本体10に樹脂製ホルダ20を組付けすることによって形成されている。
上記ネジ端子本体10を形成する材料としては導電性の金属板状材料が採用され、例えば銅及び銅合金の板が好適である。そして、これらの材料で形成されたネジ端子本体10の表面に、必要により錫メッキなどを施してもよい。
図1で上側に図示したネジ端子本体10は、上側の天面部12と、ここから延在する一対の脚部13、13を備えて側面視で略コ字を成している。天面部12には、外部の端子とネジ端子本体10とを接続するための雄ネジ(端子および雄ネジ、共に図示せず)が嵌装される開口11が設けてある。この天面部12の端縁の対向する位置から、一対の脚部13、13がそれぞれ垂下している。これら脚部13、13の先端には、外部の回路基板の差込孔(又は導電性スルーホール)に差し込まれる突起13pが設けてあり、ネジ端子本体10は回路基板の導体パターンに電気的に接続可能である。図1で例示している天面部12は概略形状が矩形(四角形)であり、互いに平行な1組の辺のそれぞれから脚部13、13が垂下している。
【0015】
上記開口11にはバーリングタップ加工が施されており、天面部12から下向きに環状の壁となるバーリング部14が設けられている。このバーリング部14に雄ネジと噛合する雌ネジ14aが形成してある。
前述したネジ端子本体10は、長尺の金属部材を折り曲げ加工して、天面部12と一対の脚部13、13を備えた略コ字形状に形成されている。そのために、バーリング部14に掛からない位置で、コ字状に曲げられたネジ端子本体10を形成するため,金属部材には脚部13の根本部15となる部位に曲げ加工用に貫通させた小穴16が設けてある。このような小穴16を設けて曲げ加工を実行すると、曲げ位置を確実にでき、かつ小穴を設けない場合と比較して円滑な曲げ加工を行って、形状の整ったコ字形状を形成できる。
【0016】
また、図1ではいわゆる、高背型のネジ端子台を例示している。図示したネジ端子本体10は、例えば天面部12の脚部13、13間の幅をWとし、脚部13の脚長さをLとしたとき、脚長さLが幅Wの2倍以上の高背型としてある。このように高背型とした場合のネジ端子台のメリットについては後述する。
【0017】
次に、図1の下側に示している樹脂製ホルダ20について説明する。
樹脂製ホルダ20は、電気的な絶縁性があり更に耐熱性、寸法安定性、成形性などに優れた樹脂材料を金型で所定形状に成形して得ることができる。樹脂材料として、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)をベースとして、必要によりガラス繊維で強化したものなどを好適に採用できる。
【0018】
樹脂製ホルダ20は、前述したネジ端子本体10側の一対の脚部13、13間に挟持されるようにして配置されて、ネジ端子本体を支える補強構造となる。そして、樹脂製ホルダ20は、上下方向に延在するセンタ孔26を有する中空の筒状体に形成されている。より具体的には、例示の場合、脚部13、13に挟持される本体部21は角形の筒状体であり、この本体部の互いに平行な一対の外測面21a、21bは対応する脚部13を受け入れ可能な凹溝状に構成してある。
【0019】
そして、本体部21は、樹脂材料の使用量削減と必要強度の確保の観点から中空となる筒状体が基本形であるが、センタ孔26内に閉塞壁25が設けてある。図1では、閉塞壁25の位置を破線BLで示している。閉塞壁25は、雌ネジ14aに雄ネジがねじ込まれる際に前述の金属の異物が落下し、上方に向けて開放しているセンタ孔26内に上部から進入するとしても異、この異物をセンタ孔26、即ち、本体部21内に留めおく(回収して、保持する)底として機能する。なお、上記センタ孔26は、ネジ端子本体10に樹脂製ホルダ20が組付けられたときに、開口11の真下、つまり、雌ネジ14aと同一の軸線上に位置し、かつ、雌ネジ14aの開口面積よりも大きな開口面積をもって形成してある。それ故、本実施例の場合、本体部21のセンタ孔26はバーリング部14を受け入れ可能となっている。
【0020】
上記閉塞壁25を備えた樹脂製ホルダ20は、成形用の金型を用いて容易に製造できる。例えば、図1で図示する筒状の樹脂製ホルダ20が上下方向に延在して、その中間位置(符号BL参照)に閉塞壁25がある構造とする場合、前後(図1で図示の姿勢では上下)に引き抜くタイプの分割金型を用いればその間に上記閉塞壁25を簡単に形成できる。なお、いったん回収した異物が再び外部へ飛び出さないようにするという観点から、閉塞壁25はある程度の深さをもって(センタ孔26の上端から一定以上の長さをとって)配置するのが望ましい。例えば樹脂製ホルダ20が延在する高さ方向でみて中間位置よりも下側に、閉塞壁25を設定するのが望ましい。
【0021】
更に、採用するのがより好ましい構造について説明しておく。
例示のネジ端子本体10の脚部13には、位置決め用の位置決め孔13hが形成してある。これに対応して樹脂製ホルダ20の外側面21a、21b側には位置決め突起21p(21b側は図示せず)が設けてある。よって、位置決め孔13hに対応する位置決め特機21pが嵌り込むことで、ネジ端子本体10を、樹脂製ホルダ20の所定位置に確実に設定して組付けできる。
また、樹脂製ホルダ20はその外側面21a,21b側に、脚部13、13の長手方向でみてその途中位置に、その外側から対応する脚部13と当接して、この脚部13を押圧する舌片部23を更に備えた構造とするのが望ましい。舌片部23が脚部13を外側から抑えるので、ネジ端子本体10と樹脂製ホルダ20との一体化を図ってより耐性のあるネジ端子台とすることができる。
そして、図示の場合は、突起21pを設けた位置に対応して舌片部23が設けてある。よって、脚部13に設けた位置決め孔13hが、樹脂製ホルダ20の突起21pに嵌合する位置に来たときに上から脚部13、13を抑え込む強固な固定構造が形成される。よって、ここで例示した構造は、樹脂製ホルダ20に対してネジ端子本体10を確実に位置決めし、かつ、樹脂製ホルダでネジ端子本体10を強固に補強した構造を実現する。
また、天面部12には、この天面部12に接続された外部の端子が無用に回転することが無いように規制する回り止め用の爪部17が設けてある。ここでは、四隅それぞれに爪部17を設けた場合を例示しているが、接続される外部端子に応じて、1個としてもよいし、或いは2、3個としてもよい。
【0022】
図2は、組付けられて完成したネジ端子台1Aを、外部の回路基板100に取付けて(セットして)、ネジ端子本体10の天面部12の開口11、即ち、雌ネジ14aに外部端子を取り付ける様子を模式的に示した図である。
この図2の左側は、ネジ端子台1Aの脚部13の突起13pを回路基板100の差込孔(又は導電性スルーホール)に差し込む様子を示している。ただし、図2では、導体パターンの図示は省略して、回路基板100に設けた差込孔110だけを図示してある。
そして、図2の右側は、回路基板100にセットされた後のネジ端子台1Aに、外部の端子として丸型の端子200を雄ネジ(締結ネジ)210で締め付ける様子を示している。
この締め付け作業では、雄ネジ210を開口11の雌ネジ14aに捩じ込む。その際に、仮に、捩じ込みした部分から前述した金属の異物が樹脂製ホルダ20のセンタ孔26内に落下しても、このような落下異物は樹脂製ホルダ20内の閉塞壁25で受け止められ、保持される。よって、落下した異物がネジ端子台1Aの周囲に散乱し、回路基板100を汚染したり、回路基板100を短絡させたりするという事態を防止できる。
【0023】
図3は、前述したように、ネジ端子台1Aを特に高背型に構成した場合について、そのメリットを説明するために示した図である。なお、ネジ端子台1Aに接続される外部の端子として、前述した一般的な丸型端子の他、バスバーなども接続可能である。
また、図3では、右側に本発明に係る高背型のネジ端子台1Aを示し、これと比較のため左側には従来のネジ端子台300を採用した場合を示している。
【0024】
従来のネジ端子台300の場合は、樹脂製ホルダの補助構造が無いので高背とするのに限界があった。そのため回路基板100上に、コンデンサ等の高背部品310があるとバスバー120を、図示のように曲げ加工して対処する必要があった。
これに対して、本発明に係る高背型としたネジ端子台1Aの場合は、図3の右側にて示すように高背部品310を超えた位置にバスバー120を真っ直ぐそのまま配置できるので、従来のような面倒が無く、効率良く接続作業を行える。
以上の説明から明らかなように、図1〜図3に示したネジ端子台1Aは、締め付ける作業を行って金属の異物が落下しても、落下した異物を樹脂製ホルダ20内にて、これを回収保持できるので周辺への散乱を防止して、短絡などの問題を防止できる。そして、更に、脚部13の脚長さをLとしたとき、脚長さLが幅Wの2倍以上であるような高背型としてある場合には、回路基板100上に高背部品があるような場合でも、簡単に外部端子との接続作業を行える。なお、使用する雄ネジのサイズにも依るが、例えば幅Wは一般に10mm程度である。これに対してコ字形状のネジ端子台での脚長さLが20mm以上になると(すなわち、脚長さLが幅Wの2倍以上になると)、規定トルクで締付けた場合に従来のネジ端子台では変形を生ずる可能性があった。しかし、本発明によるネジ端子台では樹脂製ホルダの補助構造を備えるので、脚長さLが幅Wの2倍以上であるような高背型にできる。
【0025】
さらに、図4を参照して、第2の形態に係るネジ端子台1Bについて説明する。この図4で示すネジ端子台1Bも、前述したネジ端子台1Aと同様の基本構造を備えている。すなわち金属製のネジ端子本体30と、これを支える絶縁性の樹脂製ホルダ40とにより構成されており、樹脂製ホルダ40内には異物落下を防止する閉塞壁を備えた構造に構成してあるという特徴点は同様である。よって、外部端子を接続するために雄ネジを締め込む作業をして、仮に、金属の異物が落下しても、ネジ端子台1Aの場合と同様に汚染や短絡などの問題を防止できる。
【0026】
先に説明した第1の形態に係るネジ端子台1Aはバーリング部に雌ネジを形成したが、第2の形態に係るネジ端子台1Bでナットを雌ネジとして用いたナット組み込み型のネジ端子台である。
さて、図4(a)〜(d)は、ネジ端子台1Bを組み上げて、回路基板100に接続するまでの一連の工程を示している。図4(a)は樹脂製ホルダ40内に、このネジ端子台1Bの雌ネジとして機能するナット41が回転を規制された状態で収納される様子を示す。図4(b)はナット41を収納した樹脂製ホルダ40が、ネジ端子本体30の脚部33、33間に嵌合されている様子を示している。このネジ端子本体30の天面部32に設けられる開口31は、雄ネジの貫通を許容するものである。すなわち、この開口31に嵌装される雄ネジ210は、開口31の下に配置しているナット41と噛合することになる。
そして、ネジ端子本体30の脚部33、33間にて挟持される樹脂製ホルダ40の一対の外側面43には嵌合用の突起44がそれぞれ設けてある。これに対応し、脚部33側にはこの突起44と嵌合する切欠34が形成されている。
【0027】
そして、図4(c)、(d)で示すようにネジ端子台1Bも回路基板100にセットされ、開口31を介してナット41に雄ネジ210が捩じ込まれることで、外部の端子(ここでは、図示していな)をネジ端子台1Bに電気的に接続できる。
なお、図4(e)は、このネジ端子台1Bの断面を示しており、概ね筒状体である樹脂製ホルダ40はその下端に閉塞壁45を有している。よって、外部端子を接続するために雄ネジを締め込む作業をして、仮に、金属の異物が落下しても、ネジ端子台1Aの場合と同様に汚染や短絡などの問題を防止できる。
【0028】
さらに、図5を参照して、第3の形態に係るネジ端子台1Cについて説明する。このネジ端子台1Cは、ネジ端子台1Bの変形例となる。すなわち、このネジ端子台1Cもナットを雌ネジとして用いたナット組み込み型のネジ端子台である。
以下、ネジ端子台1Bと異なる点を中心に説明する。図5(a)〜(d)は、ネジ端子台1Cを組み上げて、外部の回路基板に接続するまでの一連の工程を示している。図5(a)、(b)はネジ端子本体50の天面部52に設けられる開口51に雌ネジとして機能するナット61を回転規制して圧入する様子を示す。その後、ナット61を下側から樹脂製ホルダ60で覆ってある。このネジ端子台1Cの場合は、開口51内に位置するナット61が雌ネジとして機能する。
他の構成は、図4で示したネジ端子台1Bと同様である。すなわち、図5(e)は、このネジ端子台1Cの断面を示しており、概ね筒状体である樹脂製ホルダ60も又の下端に閉塞壁65を有している。よって、外部端子を接続するために雄ネジを締め込む作業をして、仮に、金属の異物が落下しても、ネジ端子台1Aの場合と同様に汚染や短絡などの発生を防止できる。
図4、図5で示すネジ端子台1B、1Cは、開口にバーリングタップ加工を施さず、既存のナットを流用して同様に機能する端子台を形成できる。
【0029】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0030】
1(1A、1B、1C) ネジ端子台
10 ネジ端子本体
11 開口
12 天面部
13 脚部
13p 突起
14 バーリング部
14a 雌ネジ
17 爪部
20 樹脂製ホルダ
23 舌片部
25 閉塞壁
26 センタ孔
30、50 ネジ端子本体
40、60 樹脂製ホルダ
41、61 ナット
100 外部回路基板
210 雄ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ネジを有し、この雌ネジに外部の端子を接続するための雄ネジがねじ込まれる板状の天面部と、該天面部からそれぞれ垂下し、先端に外部の回路基板の差込孔に差し込まれる突起が設けてある一対の脚部とを有している金属製のネジ端子本体と、
前記一対の脚部間に挟み込まれて前記ネジ端子本体を支える絶縁性の樹脂製ホルダとを、備えているネジ端子台であって、
前記樹脂製ホルダは、概ね中空筒状をなし、前記ネジ端子本体の前記雌ネジに対応して設けられ且つ前記雌ネジの内径よりも大きな内径のセンタ孔を有する本体部と、前記センタ孔内に設けられ、前記センタ孔に底を提供する閉塞壁とを有している、ことを特徴とするネジ端子台。
【請求項2】
前記ネジ端子本体は、前記脚部間にて規定される前記天面部の幅をWとし、前記脚部の脚長さをLとしたとき、脚長さLが幅Wの2倍以上の高背型である、ことを特徴とする請求項1に記載のネジ端子台。
【請求項3】
前記樹脂製ホルダは、前記脚部の途中位置にて外側から該脚部に当接する舌片部を更に備えている、ことを特徴とする請求項2に記載のネジ端子台。
【請求項4】
前記雌ネジは、前記ネジ端子本体の前記天面部に設けたバーリング部の内面に形成されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれに記載のネジ端子台。
【請求項5】
前記ネジ端子本体は、前記天面部と前記一対の脚部の間にて折曲して側面視で略コ字状に形成され、前記バーリング部に掛からない位置で、前記折曲部に曲げ加工用の貫通穴を設けた構造体である、ことを特徴とする請求項4に記載のネジ端子台。
【請求項6】
前記ネジ端子本体は、前記天面部の下面に前記雌ネジを有するナットを配置したナット組み込み型のネジ端子台に構成されており、
前記ナットが前記樹脂製ホルダ内に回転を規制された状態で収納されると共に、該樹脂製ホルダの一部が前記脚部と嵌合している、ことを特徴とする請求項1に記載のネジ端子台。
【請求項7】
前記ネジ端子本体は、前記天面部に圧入され、回転を規制されているとともに前記天面部から露出した前記雌ねじを有するナットを備えたナット組み込み型のネジ端子台に構成されており、
前記ナットは前記樹脂製ホルダにより下から覆われると共に、該樹脂製ホルダの一部が前記脚部と嵌合している、ことを特徴とする請求項1に記載のネジ端子台。
【請求項8】
前記天面部には、該天面部に接続された前記外部の端子を回り止めする爪部が設けてあることを特徴とする請求項1から7のいずれに記載のネジ端子台。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate