説明

ネットワーク制御装置、及び、パス選択方法

【課題】ネットワークにおけるボトルネックを回避する。
【解決手段】MPLSを用いる通信装置は、相互に物理経路によって接続され、ネットワーク制御装置は、二つの通信装置を接続し、第1の物理経路に収容される第1の論理経路と、二つの通信装置を接続し、第1の物理経路とは異なる第2の物理経路に収容される第2の論理経路とを、複数の通信装置に割り当てるためのテーブルを保持し、各物理経路を通過するトラフィックの帯域の上限値と、第1の論理経路を通過するトラフィックの最大制限帯域量と、最低保証帯域量とを保持し、各第1の物理経路に収容される複数の第1の論理経路の、最大制限帯域量又は最低保障帯域量の各物理経路の総和と、各物理経路の帯域上限値とによって、指標値を算出し、算出された指標値に従って、物理経路の割り当てを変更する第1の論理経路の候補を抽出し、抽出された第1の論理経路の候補をテーブルに保持。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク制御装置に関し、MPLSによって通信経路を制御するネットワーク制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信キャリアのバックボーンネットワークにおいて、フルIP−Ethernet(登録商標、以下同じ)の導入が進展している。そして、IP−Ethernet網にも、キャリアグレードの信頼性(すなわち、非常に高い可用性)が要求されている。
【0003】
この要求に対応するための方法には、論理パス(LSP:Label Switch Path)を物理的な光伝送路上に静的に割り当て、疎通状態の監視と制御とを行うT−MPLS(Transport−MPLS)、又は、MPLS−TP(MPLS−Transport Profile)等が規定される。このような方法は、MPLS(Multi−Protocol Label Switching)として規定されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、及び、非特許文献3参照)。
【0004】
MPLSにおいて、信頼性を向上させるため、1+1プロテクション方法及び1対1プロテクション方法が用いられる。1+1プロテクション方法及び1対1プロテクション方法は、End to Endを接続するための異なる物理的な伝送路に、2本のLSPを静的に割り当てる。そして割り当てられた2本のLSPを、それぞれ現用LSP及び予備LSPとし、その現用LSP及び予備LSPを制御する。
【0005】
ここで、2本のLSPの現用LSP及び予備LSPへの割り当ては、多重化と呼ばれる。また、現用LSP及び予備LSPは、冗長パス又は二重化パスと呼ばれる。現用LSPは、通常の状態においてトラフィックが通過するLSPである。また、予備LSPは、現用LSPが異常である場合に、現用LSPの代わりにトラフィックを通過させるLSPである。
【0006】
MPLSを用いるシステムには、この二重化パスを生成するため、各End to Endの論理経路ごとに、経由する物理経路が異なる二つのLSPが割り当てられる。このため、多数の物理経路が存在するネットワークにおいて二重化パスを生成した場合、ある物理経路には、現用LSP及び予備LSPの両方が混在する状態となる。
【0007】
また、MPLSには、QoS(Quality of Service)機能が規定される。MPLSにおけるQoS機能によると、MPLSを用いるシステムは、物理経路の総トラフィック量が多く、トラフィックが混雑している状態において、物理経路を通過するLSPに、最低保証帯域が割り当てられる。最低保証帯域とは、最低限保証される帯域である。
【0008】
また、MPLSを用いるシステムは、物理経路の総トラフィック量が少ない状態において、物理経路を通過するLSPに、最大制限帯域が割り当てられる。最大制限帯域とは、物理経路の帯域上限値の範囲において、最大限利用可能な帯域である。
【0009】
MPLSを用いるシステムは、前述の通り、多くの物理経路上にLSPを割り当てるため、MPLSを用いる一つの物理経路には、複数のLSPが混在する。このため、MPLSを用いるシステムにおいて、物理経路ごとに、その物理経路を経由するすべてのLSPの最低保証帯域の合計帯域が、物理回線の帯域を超えないよう、設計する必要がある。
【0010】
また、MPLSにおける1対1プロテクション方法の二重化パスにおいて、トラフィックが通過するLSPを、現用LSPから予備LSPに切替えた結果、予備LSPにトラフィックが流れる。この時、予備LSPをトラフィックが通過する場合にも、現用LSPをトラフィックが通過する場合と同等のQoS制御を保証するため、予備LSPにも、予備LSPに割り当てられるすべての物理経路において、現用LSPにおける保証帯域と同等の最低保証帯域を割り当てるように、設計する必要がある。
【0011】
なお、現用LSP及び予備LSPを各物理経路に割り当てることを、系選択と記載し、トラフィックが通過するLSPを切替えることを、系選択を変化させると記載する。
【0012】
但し、1対1プロテクション方法を用いた二重化パスを通過するトラフィックは、通常時は現用LSPのみを通過し、予備LSPを通過しない。このため、トラフィックが流れるパスに現用LSPが選択されている場合、ある物理経路に割り当てられている予備LSP用の帯域は、使用されない。
【0013】
このため、一つの物理経路の区間において多重化されている一つの現用LSPは、同物理経路の区間に割り当てられている他の現用LSPの最低保証帯域のうち、未使用の帯域と、どのLSPにも予約されていない帯域と、予備LSPのために予約される帯域とを共有することができる。これによって、最低保証帯域を超えて、より最大制限帯域に近い帯域をエンドユーザに提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ITU−T Y.1370.1
【非特許文献2】ITU−T Y.1382
【非特許文献3】ITU−T Y.1720
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
MPLSを用いるネットワークシステムにおいて、同じ物理経路の区間(物理回線区間)上に現用LSPと予備LSPとが多重化されており、一つの現用LSPにトラフィックが流れる場合、その現用LSPに割り当てられる最低保証帯域と、同一物理回線区間においてトラフィックが流れていない帯域とを、トラフィックを流すための帯域として使うことが可能である。トラフィックが流れていない帯域とは、同一物理回線区間上の他の現用LSPに割り当てられた未使用の帯域と、同一物理回線区間上の予備LSPに割り当てられた未使用の帯域と、物理回線区間においてどのLSPにも割り当てられていない帯域と、を含む帯域である。
【0016】
同一物理回線区間においてトラフィックが流れていない帯域を使うことによって、通信システムは、最低保証帯域を超えたスループットを提供できる。そして、上限となる物理回線速度、又は最大制限帯域が設定されている場合、最大制限帯域に近い帯域を、エンドユーザに提供することが可能となる。
【0017】
しかし、例えば、ある同一物理回線区間に割り当てられる二重化パスが、すべて現用LSPであり、予備LSPが存在しない場合、同一物理回線区間において現用LSPが使用可能な前述の「予備LSP用に割り当てられた未使用の帯域」が存在しない。このため、その物理回線区間は、帯域上限値まで現用LSPの帯域が割り当てられている状態である。
【0018】
そして、この状態において、各現用LSPの最低保証帯域を使いきるようなトラフィックが流れた場合、その物理回線区間に割り当てられるLSPに、最低保証帯域以上のスループットを提供できなくなる。この結果、その物理回線区間がネットワークの中におけるボトルネックとなる可能性がある。
【0019】
一方、ある同一物理回線区間に割り当てられるLSPが、すべて予備LSPであり、現用LSPが存在しない状態において、同一物理回線区間において実際にトラフィックが流れない場合、この同一物理回線区間における「予備LSPに割り当てられた未使用の帯域」は、常に未使用帯域である。この結果、その物理回線区間は、無駄となってしまう。
【0020】
よって、各物理回線区間に割り当てられる現用LSPに、同一物理回線区間に割り当てられる予備LSPの帯域を割り当てることによって、トラフィックを流すための帯域を最大限に利用できるように回線を設計するためには、各物理回線区間上に可能な限り均一に現用LSPと予備LSPとを混在させる必要がある。そして、ある特定の物理回線区間に各現用LSPの最低保証帯域を超えてトラフィックを流した場合においても、その物理回線区間がネットワーク上のボトルネックとならず、かつ、各物理回線区間において無駄な未使用帯域を発生させないような、論理冗長パスを設計する必要がある。
【0021】
ここで、ネットワーク管理者等がこのような設計をするために、専用の設計用のシステムを導入するなどが求められ、保守面、及び、コスト面での負担が大きかった。
【0022】
また一旦設計され、ネットワークの各物理回線区間上に均一に、現用LSPと予備LSPとを混在させ、また帯域のボトルネック及び無駄のないようなシステムを構築しても、ネットワーク内において障害が発生した場合に、系選択が変化することによってボトルネックが発生する場合があった。
【0023】
すなわち、ある物理回線区間における障害発生などによって、その物理回線区間に割り当てられる現用LSPが一斉に予備LSPに切り替わった場合、又は、別物理回線区間において障害が発生し系選択が変化した場合に、ネットワークにおける各LSPの物理経路は、変化する。また、障害発生後の障害区間の復旧において、LSPに割り当てられる物理経路も、各区間毎に変化する。
【0024】
このため、障害時などにおいて、ネットワークの物理回線区間における現用LSPと予備LSPとのバランスが崩れ、物理回線区間に割り当てられる各現用LSPの最低保証帯域を超えて、トラフィックが流れた場合、その物理回線区間は、ネットワークにおいてボトルネックとなる課題があった。
【0025】
本発明は、このようなネットワークのボトルネックを回避することを目的とし、現用LSPと予備LSPとを、ネットワークにおいて均一化するための方法を提供するものである。また、ネットワークにおける帯域を有効に利用するための方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の代表的な一形態によると、MPLSを用いて通信をする複数の通信装置に接続されるネットワーク制御装置であって、前記複数の通信装置は、相互に複数の物理経路によって接続され、前記ネットワーク制御装置は、前記複数の通信装置のうち二つの前記通信装置を接続し、少なくとも一つの第1の物理経路に収容される第1の論理経路と、前記二つの通信装置を接続し、前記第1の物理経路とは異なる第2の物理経路に収容される第2の論理経路とを、前記複数の通信装置に割り当てるためのテーブルを保持し、前記各物理経路を通過するトラフィックの帯域の上限値を保持し、前記第1の論理経路を通過するトラフィックの最大制限帯域量と、最低保証帯域量とを保持し、前記各第1の物理経路に収容される複数の第1の論理経路の、前記最大制限帯域量又は前記最低保障帯域量の前記各物理経路の総和と、前記各物理経路の帯域上限値とによって、指標値を算出し、前記算出された指標値に従って、前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路のうち、前記第1の物理経路を前記第2の論理経路に割り当て、前記第2の物理経路を前記第1の論理経路に割り当てることによって前記物理経路の割り当てを変更する前記第1の論理経路の候補を抽出し、前記抽出された第1の論理経路の候補を前記テーブルに保持する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態によると、ネットワークにおける帯域を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パスの第1の例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パスの第2の例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パスの第3の例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パスの第4の例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のネットワーク制御部の論理的な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のネットワーク制御部の物理的な構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の二重化パスを最適化するための全体処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態のトポロジテーブルを示す説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態のLSPテーブルを示す説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の二重化パステーブルを示す説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の指標値管理テーブルを示す説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の二重化パスの系選択を変更する処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施形態の二重化パスを抽出する処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態のLSPテーブルを示す説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の指標値管理テーブルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パス201の第1の例を示すブロック図である。
【0031】
本実施形態の通信システムは、ネットワーク制御部1、及び、通信装置10(10#1〜10#7)を備える。
【0032】
ネットワーク制御部1は、プロセッサ及びメモリを備える計算機によって実装される。ネットワーク制御部1は、監視制御網30を介して、各通信装置10と接続される。
【0033】
ネットワーク制御部1は、通信装置10を通過するトラフィックの経路を制御し、通信装置10を通過するトラフィック量を監視する。
【0034】
通信装置10は、スイッチ又はルータなどのネットワーク装置であり、プロセッサ及びメモリを備える計算機によって実装される。本実施形態の各通信装置10は、通信インタフェース101(101#1〜101#4)を備える。通信装置10は、通信インタフェース101を介して、物理回線区間20と接続する。
【0035】
なお、第1の実施形態の通信インタフェース101は、各通信装置10に四つ備えられるが、本発明の通信インタフェース101は、いくつでもよい。
【0036】
また、各通信装置10(10#1〜10#7)は、物理回線区間20(20#1〜20#9)を介して接続される。物理回線区間20は、本実施形態の通信システムにおける物理回線(物理経路)である。
【0037】
ネットワーク制御部1は、通信装置10によって、LSPを示すラベルを各物理回線区間20に割り当てることが可能である。また、二つの通信装置10をピアツーピアによって静的に結ぶLSP202を、通信装置10に割り当てさせる。LSP202は、MPLSを用いたシステムにおける論理パスである。また、ネットワーク制御部1は、二つのLSP202を含む二重化パス201を、通信装置10に割り当てさせる。
【0038】
図1のネットワーク制御部1は、LSP202#1及びLSP202#2を各通信装置10に割り当てさせる。LSP202#1は、通信装置10#1と通信装置10#6との間の物理回線区間20#1及び物理回線区間20#5に割り当てられる。LSP202#2は、通信装置10#1と通信装置10#6との間の物理回線区間20#2及び物理回線区間20#6に割り当てられる。
【0039】
LSP202#1及びLSP202#2は、二重化パス201#1である。LSP202#1は、現用パスであり、LSP202#2は、予備パスである。
【0040】
図2は、本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パス201の第2の例を示すブロック図である。
【0041】
図2のネットワーク制御部1、通信装置10及び物理回線区間20は、図1のネットワーク制御部1、通信装置10及び物理回線区間20と同じである。
【0042】
図2のネットワーク制御部1は、LSP202#3及びLSP202#4を各通信装置10に割り当てさせる。LSP202#3は、通信装置10#1と通信装置10#7との間の物理回線区間20#1、物理回線区間20#5及び物理回線区間20#9に割り当てられる。LSP202#4は、通信装置10#1と通信装置10#6との間の物理回線区間20#2及び物理回線区間20#7に割り当てられる。
【0043】
LSP202#3及びLSP202#4は、二重化パス201#2である。LSP202#3は、現用パスであり、LSP202#4は、予備パスである。
【0044】
図3は、本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パス201の第3の例を示すブロック図である。
【0045】
図3のネットワーク制御部1、通信装置10及び物理回線区間20は、図1のネットワーク制御部1、通信装置10及び物理回線区間20と同じである。
【0046】
図3のネットワーク制御部1は、LSP202#5及びLSP202#6を各通信装置10に割り当てさせる。LSP202#5は、通信装置10#2と通信装置10#7との間の物理回線区間20#3及び物理回線区間20#7に割り当てられる。LSP202#6は、通信装置10#2と通信装置10#7との間の物理回線区間20#4及び物理回線区間20#8に割り当てられる。
【0047】
LSP202#5及びLSP202#6は、二重化パス201#3である。LSP202#5は、現用パスであり、LSP202#6は、予備パスである。
【0048】
図4は、本発明の第1の実施形態の通信システムの二重化パス201の第4の例を示すブロック図である。
【0049】
図4のネットワーク制御部1、通信装置10及び物理回線区間20は、図1のネットワーク制御部1、通信装置10及び物理回線区間20と同じである。
【0050】
図4のネットワーク制御部1は、LSP202#7及びLSP202#8を各通信装置10に割り当てる。LSP202#7は、通信装置10#2と通信装置10#6との間の物理回線区間20#3及び物理回線区間20#6に割り当てられる。LSP202#8は、通信装置10#2と通信装置10#6との間の物理回線区間20#4、物理回線区間20#8及び物理回線区間20#9に割り当てられる。
【0051】
LSP202#7及びLSP202#8は、二重化パス201#4である。LSP202#7は、現用パスであり、LSP202#8は、予備パスである。
【0052】
なお、図1〜図4に示すネットワークは本実施形態の例であり、物理的なネットワークトポロジの形式はどのような構成を用いてもよい。例えば、リング状のトポロジ、線形トポロジ、ツリー型のトポロジ、又は、メッシュトポロジを用いてもよい。また、監視制御網30も、前述に示す各種のトポロジを用いてもよい。
【0053】
以下において、前述の図1〜4に示す、二重化パス201及びLSP202の割り当てを示す設計が、既にネットワーク設計者等によって設計済みである場合について説明する。しかし、二重化パス201等の設計は、図1〜4に示す設計に限るものではない。また多重化されていない、一重の現用LSPのみのLSPも、予備LSPがないLSPとして扱うことによって、本発明を適用することができる。
【0054】
図5は、本発明の第1の実施形態のネットワーク制御部1の論理的な構成を示すブロック図である。
【0055】
ネットワーク制御部1は、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等の一般的な計算機に備わる。二重化パス201を管理するための機能等を含むソフトウェアが、計算機等にインストールされ、ユーザ又はオペレータ等によって起動されることによって、ネットワーク制御部1は実装される。
【0056】
ネットワーク制御部1を備える計算機は、入力部40、出力部41、演算部42、データベース部43とを保持する。
【0057】
入力部40は、オペレータ等によって送信された値を、ネットワーク制御部1に入力するための機能である。出力部41は、処理結果の表示等を行うための機能である。
【0058】
演算部42は、通信装置10を監視するための処理、及び、通信装置10にLSPを割り当てさせるための処理等を実行する機能である。また演算部42は、処理を実行する際、データベース部43に保持されるテーブルを参照することによって、通信装置10への指示を生成する。また、処理を実行した結果生成されたデータを、データベース部43に格納する。
【0059】
本実施形態の演算部42は、画面表示部421、データ入力処理部422、予約帯域調整部423、装置制御処理部424を保持する。
【0060】
画面表示部は、演算部42における処理の結果を出力部41に表示させる機能である。データ入力処理部422は、入力部40から入力された値を、演算部42における処理に入力する機能である。
【0061】
予約帯域調整部423は、通信帯域を平準化させる必要がある物理回線区間20を抽出するための機能である。予約帯域調整部423は、冗長パス選出部4231を保持する。冗長パス選出部4231は、系選択を変化させる二重化パス201を抽出するための機能である。
【0062】
装置制御処理部424は、予約帯域調整部423による処理結果に基づいて、通信装置10にLSPを割り当てる指示を送信するための機能である。
【0063】
前述の図1〜図4に示すLSP202及び二重化パス201の割り当てを示す設計情報(以降、論理パス設計情報と記載)は、まず、オペレータ等が入力部40及び出力部41を介して、演算部42に論理パス設計情報を入力することによって、通信装置10に指示される。オペレータ等によって入力された論理パス設計情報は、演算部42によってデータベース部43に格納される。
【0064】
この際、演算部42は、論理パス設計情報を、データベース部43が保持するテーブル(後述するトポロジテーブルT00、LSPテーブルT10、及び二重化パステーブルT20)に格納する。
【0065】
なお、論理パス設計情報は、オペレータ等によってネットワーク制御部1に直接入力されてもよいし、他の装置を介して入力されてもよい。
【0066】
図6は、本発明の第1の実施形態のネットワーク制御部1の物理的な構成を示すブロック図である。
【0067】
ネットワーク制御部1は、中央演算処理装置(CPU)50、主記憶装置(メインメモリ)51、ネットワークカード(NIC:Network Interface Card)52、補助記憶装置53、入出力部54、入力部55、出力部56、及びコンピュータ内部伝送路57を備える。
【0068】
CPU50は、メインメモリ51においてプログラム等を実行することによって、演算部42における機能を実装する。NIC52は、通信装置10を実装する。補助記憶装置53は、データベース部43を実装する。
【0069】
入力部55は、キーボード又はマウス等の装置であり、入力部40を実装する。出力部56は、ディスプレイ又はプリンタ等の装置であり、出力部41を実装する。入出力部54は、入力部55から入力されたデータをメインメモリ51等に送信し、出力部56に出力するデータを出力部56に送る装置である。
【0070】
コンピュータ内部伝送路57は、バス等であり、ネットワーク制御部1の各部を接続する。
【0071】
図7は、本発明の第1の実施形態の二重化パス201を最適化するための全体処理を示すフローチャートである。
【0072】
ネットワーク制御部1は、オペレータ等又は他の装置から、論理パス設計情報を入力された場合、二重化パス201の最適化処理を開始する(A01)。
【0073】
ネットワーク制御部1の演算部42は、入力された論理パス設計情報をデータベース部43の後述するテーブルに格納する(A02)。
【0074】
A02の後、ネットワーク制御部1の予約帯域調整部423は、データベース部43に格納された情報に基づいて、一つの二重化パス201を抽出する。そして、抽出された二重化パス201の現用LSPが経由する各物理回線区間20を抽出し、抽出された物理回線区間20の帯域を共有する他の現用LSPを抽出する。ここで、予約帯域調整部423は、抽出された他の現用LSPに収容可能な帯域を拡張するため、抽出された二重化パス201の系選択を変更し、変更された後の二重化パス201によってデータベース部43を更新する(A03)。
【0075】
なお、本実施形態の系選択の変更は、具体的には、現用LSPに割り当てられていた物理回線区間20を、予備LSPに割り当て、予備LSPに割り当てられていた物理回線区間20を、現用LSPに割り当てることである。
【0076】
予約帯域調整部423の処理の詳細については後述する。
【0077】
A03の後、予約帯域調整部423は、データベース部43に格納された情報が所定の条件を示すか否かを判定する(A04)。A04において所定の条件が満たされた場合、最適化処理を終了する(A05)。A04において所定の条件が満たされていない場合、A03を繰り返す。
【0078】
A04において予約帯域調整部423は、例えば、すべての二重化パス201を最適化したか否かを判定する。そして、これ以上最適化する二重化パス201がない場合、A05において最適化処理を終了する。また、他に最適化する二重化パス201がある場合、A03を繰り返す。
【0079】
また、A04において予約帯域調整部423は、例えば、A03をn回(nは任意の整数値)実行したか否かを判定する。そして、n回A03を実行した場合、A05において最適化処理を終了する。また、n回A03を実行していない場合、n回A03を実行するまでA03を繰り返す。
【0080】
また、例えば、予約帯域調整部423は、A04において、各物理回線区間20を経由する現用LSPの最低保証帯域の総和がmMbps(mは任意の値であり、帯域として取り得る値)以下に減少したか否かを判定する。そして、すべての物理回線区間20を経由する現用LSPの最低保証帯域の総和がmMbps以下である場合、A05において最適化処理を終了する。また、すべての物理回線区間20を経由する現用LSPの最低保証帯域の総和がmMbpsを超える場合、A03を繰り返す。
【0081】
なお、本実施形態の最適化とは、本実施形態の通信システム全体において、通信帯域が均一化(平準化)されることを示す。
【0082】
前述のA02において、オペレータ等または他の装置によって入力された論理パス設計情報が格納される、データベース部43の各テーブルを以下に示す。
【0083】
図8は、本発明の第1の実施形態のトポロジテーブルT00を示す説明図である。
【0084】
トポロジテーブルT00は、データベース部43に保持される。また、トポロジテーブルT00は、物理回線区間識別番号T01、A点装置識別番号T02、Z点装置識別番号T03、及び、物理回線の帯域上限値T04を含む。
【0085】
ここで、本実施形態において、物理回線区間20によって接続される二つの通信装置10のうち、識別番号が小さい通信装置10をA点装置、大きい通信装置10をZ点装置と記載する。また、本実施形態において、通信装置10の識別子を、通信装置10#1の"#"以降の数値によって示す。本実施形態の識別子は、数字によって示されるが、一意に識別できるのであれば、どのような識別子でもよい。
【0086】
また、後述するトポロジテーブルT00、LSPテーブルT10、二重化パステーブルT20に格納される情報は、図7のA02においてオペレータ又は他の装置から入力された論理パス設計情報である。論理パス設計情報は、あらかじめネットワーク設計者等によって設計されたLSPに関する情報である。ネットワーク設計者等は、オペレータ又は他の装置を介してネットワーク制御部1に論理パス設計情報を送る。
【0087】
物理回線区間識別番号T01は、物理回線区間20を一意に識別するための識別子を示す。図8に示す物理回線区間識別番号T01には、図1〜図4の物理回線区間20#1〜20#9に相当する識別子が格納される。
【0088】
A点装置識別番号T02は、物理回線区間10によって接続されるA点装置の通信インタフェース101を一意に識別するための識別子を示す。図8に示すA点装置識別番号T02には、図1〜図4の通信装置10#1〜10#6に相当する識別子と、各通信装置10の通信インタフェース101#1〜101#4に相当する識別子とが格納される。
【0089】
Z点装置識別番号T03は、物理回線区間10によって接続されるZ点装置の通信インタフェース101を一意に識別するための識別子を示す。図8に示すZ点装置識別番号T03には、図1〜図4の通信装置10#1〜10#6に相当する識別子と、各通信装置10の通信インタフェース101#1〜101#4に相当する識別子とが格納される。
【0090】
物理回線の帯域上限値T04は、物理回線区間20を接続する物理回線の帯域上限値を示す。図8に示す物理回線の帯域上限値T04の単位は、Mbpsである。
【0091】
図9は、本発明の第1の実施形態のLSPテーブルT10を示す説明図である。
【0092】
LSPテーブルT10は、データベース部43に保持される。LSPテーブルT10は、LSP識別番号T11、最低保証帯域T12、最大制限帯域T13、及び、経由する物理回線区間T14を含む。
【0093】
LSP識別番号T11は、LSP202を一意に識別するための識別番号を示す。図9のLSP識別番号T11には、図1〜図4のLSP202#1〜202#8に相当する識別子が格納される。
【0094】
最低保証帯域T12は、LSP202に割り当てられた最低保証帯域を示す。最大制限帯域T13は、LSP202に割り当てられた最大制限帯域を示す。図9の最低保証帯域T12及び最大制限帯域T13の単位は、Mbpsである。
【0095】
経由する物理回線区間T14は、各LSP202が経由する物理回線区間20の識別子を示す。経由する物理回線区間T14に格納された値は、トポロジテーブルT00の物理回線区間識別番号T01に格納された値に対応する。
【0096】
第1の実施形態の最低保証帯域T12の値は、各物理回線区間20を経由するLSP202の最低保証帯域の総和が、各物理回線区間20の帯域上限値を超えないように、あらかじめ設計者等によって設計された値である。また、第1の実施形態の最大制限帯域T13の値は、通信システム全体における現用LSPの最大制限帯域の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和よりも小さくなるように、あらかじめ設計者等によって設計された値である。
【0097】
図10は、本発明の第1の実施形態の二重化パステーブルT20を示す説明図である。
【0098】
二重化パステーブルT20は、データベース部43に保持される。二重化パステーブルT20は、二重化パス識別番号T21、現用LSP識別番号T22、及び、予備LSP識別番号T23を含む。
【0099】
二重化パス識別番号T21は、二重化パス201を一意に識別するための識別子を示す。図10の二重化パス識別番号T21には、図1〜図4の二重化パス201#1〜201#4に相当する識別子が格納される。
【0100】
現用LSP識別番号T22は、二重化パス201に含まれる現用LSPを一意に識別するための識別子を示す。図10の現用LSP識別番号T22には、図1〜図4のLSP202#1〜LSP202#8のうち、現用LSPの識別子が格納される。
【0101】
予備LSP識別番号T23は、二重化パス201に含まれる予備LSPを識別するための識別子を示す。図10の予備LSP識別番号T23には、図1〜図4のLSP202#1〜LSP202#8のうち、予備LSPの識別子が格納される。
【0102】
現用LSP識別番号T22及び予備LSP識別番号T23に格納される値は、LSPテーブルT10のLSP識別番号T11に対応する。
【0103】
ここで、例えば、物理回線区間20#1を経由するすべての現用LSPの最大制限帯域T13の総和が、物理回線区間20#1に対応する物理回線の帯域上限値T04を超える場合において、物理回線区間20#1を経由するすべての現用LSPが、各最大制限帯域T13までトラフィックを収容する場合、物理回線区間20#1の物理回線の帯域上限値T04以上のトラフィックが、物理回線から溢れる。この時、溢れるトラフィックの量を、溢れトラフィック量と記載する。
【0104】
第1の実施形態の通信システム全体における、すべての現用LSPの最大制限帯域T13の総和が、すべての物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T04の総和よりも小さい場合において、すべての現用LSPに最大制限帯域T13が示すトラフィックを収容させた場合、いずれかの物理回線区間20において、トラフィックを流すための帯域に余裕が出る。
【0105】
このため、ネットワーク制御部1が、二重化パス201のうち、溢れトラフィック量が0より大きい物理回線区間20を現用LSPが経由し、かつ、溢れトラフィック量が0である物理回線区間20を予備LSPが経由する二重化パス201を抽出し、抽出された二重化パスの系選択を変更した場合、通信システム全体の溢れトラフィック量の総和が削減される可能性がある。
【0106】
そこで、第1の実施形態のネットワーク制御部1は、物理回線区間20毎に溢れトラフィック量を算出し、算出された溢れトラフィック量を用いて各物理回線区間20を比較する。比較の結果によって、システム全体の中から最も、ボトルネックとなる物理回線区間20を抽出する。
【0107】
ここで、通信システムにおいて溢れトラフィック量の比較をする場合、各物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T04が異なる場合がある。このため、各物理回線区間20の溢れトラフィック量を、各物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T04によって除算した結果を、第1の実施形態の指標値とする。この指標値を用いることによって、第1の実施形態のネットワーク制御部1は、いずれの物理回線区間20がトラフィックを多く溢れさせているかを判定できる。
【0108】
前述のように二重化パス201を変更することによって、すべての現用LSPが最大制限帯域までトラフィックを収容できる状態、つまりシステム全体における、溢れトラフィック量の総和が0の状態に近づく。このため、通信システム全体のスループットを、各現用LSPの最低保証帯域以上に向上させることができる。
【0109】
また、通信システム全体において溢れトラフィック量の増減を判定する場合、前述の指標値を通信システム全体において合計し、合計された値を第1の実施形態のシステム全体の指標値とする。第1の実施形態のシステム全体の指標値を用いることによって、ネットワーク制御部1は、通信システム全体の溢れトラフィック量が減少したか否かを判定でき、一部の溢れトラフィック量が増えることを回避することができる。
【0110】
図11において、システム全体における、すべての現用LSPの最大制限帯域T13の総和が、すべての物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T04の総和よりも小さい場合において生成される、指標値管理テーブルT30を示す。
【0111】
図11は、本発明の第1の実施形態の指標値管理テーブルT30を示す説明図である。
【0112】
指標値管理テーブルT30は、データベース部43に保持される。指標値管理テーブルT30は、物理回線区間識別番号T31、物理回線の帯域上限値T32、物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33、現用LSPの最大制限帯域の総和T34、溢れトラフィック量T35、及び、帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36を含む。
【0113】
物理回線区間識別番号T31は、物理回線区間20を一意に識別するための識別番号を示す。物理回線区間識別番号T31は、トポロジテーブルT00の物理回線区間識別番号T01に対応する。
【0114】
物理回線の帯域上限値T32は、物理回線区間20を接続する物理回線の帯域上限値である。物理回線の帯域上限値T32は、トポロジテーブルT00の物理回線の帯域上限値T04に対応する。
【0115】
物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33は、物理回線区間20を経由する現用LSPを一意に識別するための識別子を示す。物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33は、二重化パステーブルT20の現用LSP識別番号T22に対応する。
【0116】
現用LSPの最大制限帯域の総和T34は、一つの物理回線区間20を経由するすべての現用LSPの最大制限帯域T13の総和を示す。現用LSPの最大制限帯域の総和T34の単位は、本実施形態においてMbpsである。
【0117】
溢れトラフィック量T35は、物理回線区間20を経由するすべての現用LSPが最大制限帯域までトラフィックを収容した場合における、物理回線区間20から溢れるトラフィックの量である。溢れトラフィック量T35の単位は、本実施形態においてMbpsである。
【0118】
帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36は、物理回線の帯域上限値T32に対する溢れトラフィック量T35の比率を示す。帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36は、前述の第1の実施形態の指標値である。
【0119】
指標値管理テーブルT30には、全物理回線区間20ごとに算出された第1の実施形態の指標値が格納される。
【0120】
図12は、本発明の第1の実施形態の二重化パス201の系選択を変更する処理を示すフローチャートである。
【0121】
図12は、図7のA03における予約帯域調整部423の処理を示す。図7のA02の後、ネットワーク制御部1の予約帯域調整部423は、図12に示す処理を開始する(A11)。
【0122】
A11の後、予約帯域調整部423は、論理パス設計情報を格納された、トポロジテーブルT00、LSPテーブルT10、及び、二重化パステーブルT20に基づいて、物理回線区間20毎に、指標値管理テーブルT30を生成する(A12)。
【0123】
具体的には、予約帯域調整部423は、A12において、トポロジテーブルT00の物理回線区間識別番号T01及び物理回線の帯域上限値T04と同じ値を、指標値管理テーブルT30の物理回線区間識別番号T31及び物理回線の帯域上限値T32に格納する。
【0124】
また、予約帯域調整部423は、A12において、トポロジテーブルT00の物理回線区間識別番号T01と同じ値を、経由する物理回線区間T14に含むLSPテーブルT10の列のLSP識別番号T11を抽出する。そして、抽出されたLSP識別番号T11のうち、現用LSP識別番号T22に含まれる現用LSPの識別子を抽出する。そして、抽出された現用LSPの識別子を、対応する物理回線区間識別番号T31が含まれる列の物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33に格納する。
【0125】
また、予約帯域調整部423は、A12において、物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33に格納された値と同じ値をLSP識別番号T11に含むLSPテーブルT10の列の最大制限帯域T13の値を抽出する。物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33に格納された識別子が複数である場合、識別子毎に最大制限帯域T13の値を抽出する。そして、抽出された最大制限帯域T13のすべての値を合計し、合計された値を、対応する物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33を含む列の現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納する。
【0126】
また、予約帯域調整部423は、A12において、現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値が物理回線の帯域上限値T32以下である場合、対応する溢れトラフィック量T35に"0"を格納する。現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値が物理回線の帯域上限値T32よりも大きい場合、予約帯域調整部423は、現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値から物理回線の帯域上限値T32に格納された値を減算し、減算された結果を溢れトラフィック量T35に格納する。
【0127】
また、予約帯域調整部423は、A12において、溢れトラフィック量T35に格納された値を物理回線の帯域上限値T32に格納された値によって除算し、除算された結果を帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36に格納する。前述の通り、帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36は、第1の実施形態の指標値である。
【0128】
なお、A12において予約帯域調整部423は、指標値管理テーブルT30のすべての列(すなわち、すべての物理回線区間20)の、現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値の総和と、物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T32の値の総和とを比較し、現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値の総和が物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T32の値の総和以下であると判定した場合、溢れトラフィック量T35及び帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36に値を格納してよい。そして、A12以降の第1の実施形態の処理を続けてもよい。
【0129】
A12において、現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値の総和が物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T32の値の総和より大きいと判定した場合、予約帯域調整部423は、後述の第2の実施形態を実行してよい。
【0130】
A12の後、予約帯域調整部423は、最適化可能な物理回線区間20があるか否かを、所定の条件に基づいて判定する(A13)。最適化可能な物理回線区間20が存在しない場合、予約帯域調整部423は、図12に示す処理を終了する(A18)。最適化可能な物理回線区間20が存在した場合、A14に移行する。
【0131】
A13において予約帯域調整部423は、例えば、物理回線区間識別番号T31に格納されるすべての物理回線区間20が、A16において"no"と判定されたか否かを、A16において値を格納された一時的な記憶領域(メインメモリ51)を参照することによって、判定する。そして、すべての物理回線区間20が、A16において"no"と判定された場合、最適化可能な物理回線区間20が存在しないため、図12に示す処理を終了する(A18)。また、A16において"no"と判定されていない物理回線区間20が存在する場合、最適化可能な物理回線区間20が存在するため、A14に移行する。
【0132】
また、例えば、予約帯域調整部423は、A13において、A16においてn回(nは正の整数)"no"と判定されたか否かを、A16において更新された変数を参照することによって判定する。そして、A16においてn回"no"と判定された場合、最適化可能な物理回線区間20が存在しないため、図12に示す処理を終了する(A18)。また、A16において"no"と判定された回数がnより小さい場合、最適化可能な物理回線区間20が存在するため、A14に移行する。
【0133】
また、例えば、予約帯域調整部423は、A13において、すべての第1の実施形態の指標値、すなわち、帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36の値が"0"となったか否かを判定する。第1の実施形態の指標値が"0"となった場合、最適化可能な物理回線区間20が存在しないため、図12に示す処理を終了する(A18)。また、第1の実施形態の指標値が"0"ではない物理回線区間20が存在する場合、最適化可能な物理回線区間20が存在するため、A14に移行する。
【0134】
A13の判定によって、最適化可能な二重化パスの探索を無限に繰り返すことを防止する。
【0135】
A13の後、予約帯域調整部423は、指標値管理テーブルT30の中から第1の実施形態の指標値(すなわち、帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36)の値が最も大きい物理回線区間20を抽出する(A14)。ここで最も値が大きい物理回線区間20が複数抽出された場合、一つの物理回線区間20を抽出するため、予約帯域調整部423は、物理回線区間20の識別番号が小さい物理回線区間20を抽出してもよい。
【0136】
A14の後、予約帯域調整部423は、A14において抽出された物理回線区間20を、冗長パス選出部4231に入力する。そして、冗長パス選出部4231は、抽出された物理回線区間20を入力された後、抽出された物理回線区間20を経由する現用LSPを抽出する。そして、抽出された現用LSPを含む二重化パス201の中から、系選択を変更する二重化パス201を抽出する(A15)。A15において抽出される二重化パス201は、二重化パス201が経由する物理回線区間20の使用帯域を均一化することができる二重化パス201である。A15における処理の詳細は、後述する。
【0137】
A15の後、予約帯域調整部423は、冗長パス選出部4231によって二重化パス201が抽出されたか否かを判定する(A16)。二重化パス201が抽出された場合、予約帯域調整部423は、A17に移行する。
【0138】
A16において、二重化パス201が抽出されなかったと判定された場合、予約帯域調整部423は、さらに最適化可能な物理回線区間20を抽出するため、A13に戻る。なお、A16において予約帯域調整部423は、A14において既に抽出された物理回線区間20を示す識別子を、最適化できない物理回線区間20として、一時的な記憶領域(メインメモリ51)に格納し、A13に戻ってもよい。又は、一時的な記憶領域にあらかじめ保持された変数nに、"1"を加算し、A13に戻ってもよい。
【0139】
A16において予約帯域調整部423は、例えば、メインメモリ51又はデータベース部43等に、抽出された二重化パスが格納されているか否かを判定してもよい。そして、メインメモリ51又はデータベース部43等に、抽出された二重化パスが格納されている場合、予約帯域調整部423は、A17に移行する。また、メインメモリ51又はデータベース部43等に、抽出された二重化パスが格納されていない場合、予約帯域調整部423は、さらに最適化可能な物理回線区間20を抽出するため、A13に戻る。
【0140】
また、A16において予約帯域調整部423は、例えば、A15の処理結果が、"成功"であるか否かを判定してもよい。そして、A15の処理結果が"成功"である場合、予約帯域調整部423は、A17に移行する。また、A15の処理結果が"成功"でない場合、予約帯域調整部423は、さらに最適化可能な物理回線区間20を抽出するため、A13に戻る。
【0141】
A16の後、予約帯域調整部423は、A15において抽出された二重化パス201が示す識別子と同じ二重化パス識別番号T21の値を含む二重化パステーブルT20の列を抽出する。そして、抽出された列の現用LSP識別番号T22に格納された値と予備LSP識別番号T23に格納されていた値とを交換する。これによって、予約帯域調整部423は、二重化パス201の現用LSPと予備LSPとの系選択を変更し、二重化パステーブルT20を更新する(A17)。
【0142】
A13又はA17の後、予約帯域調整部423は、図12に示す処理を終了する(A18)。
【0143】
図13は、本発明の第1の実施形態の二重化パス201を抽出する処理を示すフローチャートである。
【0144】
図13に示す処理は、図12のA15の処理に相当する。
【0145】
予約帯域調整部423が、A14において抽出された物理回線区間20を、冗長パス選出部4231に入力することによって、冗長パス選出部4231が起動する(A21)
A21の後、冗長パス選出部4231は、LSPテーブルT10と二重化パステーブルT20とに基づいて、A14において抽出された物理回線区間20を現用LSPが経由する二重化パス201をすべて抽出する(A22)。
【0146】
具体的には、A22において冗長パス選出部4231は、A14において抽出された物理回線区間20の物理回線区間識別番号T31の値と同じ値を経由する物理回線区間T14に含む、LSPテーブルT10の列をすべて抽出する。そして、抽出されたLSPテーブルT10の列のLSP識別番号T11の値と同じ値を現用LSP識別番号T22に含む、二重化パステーブルT20の列をすべて抽出する。そして、抽出された二重化パステーブルT20の列に含まれる二重化パス識別番号T21をすべて抽出する。これによって、A14において抽出された物理回線区間20に現用LSPが割り当てられている二重化パス201の識別子をすべて抽出する。
【0147】
A22の後、冗長パス選出部4231は、A22において抽出された各二重化パス201の系選択を変更した場合の、第1の実施形態の指標値を算出する(A23)。
【0148】
具体的には、A23において冗長パス選出部4231は、A22において抽出された二重化パス201に対応する二重化パス識別番号T21の列の現用LSP識別番号T22及び予備LSP識別番号T23を抽出する。そして、抽出された現用LSP識別番号T22及び予備LSP識別番号T23の値と同じ値を、物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33に含む、指標値管理テーブルT30の列を抽出する。
【0149】
そして、A23において冗長パス選出部4231は、抽出された列の、物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33に含まれた現用LSP識別番号T22に対応する値を、A22において抽出された二重化パス201に対応する予備LSP識別番号T23に格納された値に更新した指標値管理テーブルを、一時的な記憶領域に生成する。
【0150】
さらに、A23において冗長パス選出部4231は、一時的な記憶領域に生成された指標値管理テーブルと、LSPテーブルT10の最大制限帯域T13とに基づいて、現用LSPの最大制限帯域の総和T34、溢れトラフィック量T35及び帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36を算出する。そして、算出された現用LSPの最大制限帯域の総和T34、溢れトラフィック量T35及び帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36を、一時的な記憶領域に生成された指標値管理テーブルに格納する。
【0151】
冗長パス選出部4231は、A23において、A22において抽出された各二重化パス201に前述の処理を行い、各々異なる指標値管理テーブルを一時的な記憶領域に生成する。
【0152】
A23又はA26の後、冗長パス選出部4231は、選択を変更することによって、通信システム全体の溢れトラフィック量を低くする二重化パス201があるか否かを判定する。
【0153】
具体的には、A23後のA24において冗長パス選出部4231は、一時的な記憶領域に生成された各指標値管理テーブルにおける第1の実施形態の指標値を合計する。すなわち、帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36に相当する値の合計値を、一時的な記憶領域に保持された指標値管理テーブルごとに算出する。
【0154】
これによって、冗長パス選出部4231は、系選択を変更した後の第1の実施形態のシステム全体の指標値を算出する。また、データベース43に保持された指標値管理テーブルT30の帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36の値を合計し、系選択を変更する前の第1の実施形態のシステム全体の指標値を算出する。
【0155】
そして、冗長パス選出部4231は、A23後のA24において系選択を変更した後の第1の実施形態のシステム全体の指標値のうち、系選択を変更する前の第1の実施形態のシステム全体の指標値よりも第1の実施形態のシステム全体の指標値を小さくできる二重化パス201があるか否かを判定する(A24)。これによって、冗長パス選出部4231は、系選択を変更することによって、通信システム全体の溢れトラフィック量を低くする二重化パス201があるか否かを判定する。
【0156】
また、A23後のA24において、冗長パス選出部4231は、例えば、第1の実施形態の指標値が、すべて0となったか否かを判定してもよい。そして、すべて0となった場合、冗長パス選出部4231は、図13の処理を終了する。
【0157】
また、A26後のA24において、冗長パス選出部4231は、例えば、A26における判定においてn回(nは整数)noとなった(すなわち、系選択を変更した後の第1の実施形態の指標値の最大値が、大きくなる二重化パスがある場合がn回あった)か否かを、A26において更新された変数nを参照することによって、判定してもよい。そして、系選択を変更した後の第1の実施形態の指標値の最大値が、大きくなる二重化パスがある場合がn回あった場合、これ以上、第1の実施形態のシステム全体の指標値を小さくできる二重化パス201はないと判定し、冗長パス選出部4231は、図13の処理を終了する。
【0158】
A24によって、系選択を変更する二重化パスの探索を無限に繰り返すことを防止する。
【0159】
A22において抽出された二重化パス201のうち、第1の実施形態のシステム全体の指標値を小さくできる二重化パス201が存在しない場合、冗長パス選出部4231は、図13に示す処理を終了する(A28)。また、第1の実施形態のシステム全体の指標値を小さくする二重化パス201が存在する場合、冗長パス選出部4231は、A25に移行する。
【0160】
A24の後、冗長パス選出部4231は、A24において算出された各第1の実施形態のシステム全体の指標値を比較し、A22において抽出された二重化パス201の中から、系選択を変更した後に最も、第1の実施形態のシステム全体の指標値を低くすることができる二重化パス201を抽出する(A25)。なお、複数の二重化パス201における、系選択を変更した後の第1の実施形態のシステム全体の指標値が同じであった場合、一つの二重化パス201を抽出するため、二重化パス201の識別子が小さい方を抽出してもよい。
【0161】
A25の後、冗長パス選出部4231は、A25において抽出された二重化パス201に対応する、系選択を変更した後の指標値管理テーブルと、系選択を変更する前の指標値管理テーブルT30とにおいて、第1の実施形態の指標値(帯域上限値と溢れトラフィック量との比率T36)の最大値を比較し、系選択を変更した後、第1の実施形態の指標値の最大値が大きくなる二重化パスがあるか否かを各々判定する(A26)。
【0162】
A26において、系選択をした後第1の実施形態の指標値の最大値が大きくなると判定された二重化パス201は、系選択をされた場合、物理回線区間20の使用帯域を増やし、帯域量を平準化できない。このため、A26において、系選択をした後第1の実施形態の指標値の最大値が大きくなると判定された場合、系選択をした後第1の実施形態の指標値の最大値が大きくなる二重化パス201に対応する指標値管理テーブルを、一時的な記憶領域から削除する。
【0163】
これによって、冗長パス選出部4231は、物理回線区間20の使用帯域を平準化できない二重化パス201を、A24において、第1の実施形態のシステム全体の指標値を判定される対象から除外する。そして、冗長パス選出部4231は、A24に戻る。なお、冗長パス選出部4231は、一時的な記憶領域に変数nをあらかじめ生成し、系選択をした後第1の実施形態の指標値の最大値が大きくなる場合、変数nに"1"を加算し、A24に戻ってもよい。
【0164】
A26において、第1の実施形態の指標値の最大値が大きくなる二重化パスがないと判定された場合、冗長パス選出部4231は、A27に移行する。
【0165】
A26の後、冗長パス選出部4231は、A25において抽出された二重化パス201を、予約帯域調整部423に出力するため、メインメモリ51又はデータベース部43等に格納する。また、冗長パス選出部4231は、図13に示す処理(すなわち、A15の処理)が成功である旨を、予約帯域調整部423に送ってもよい。
【0166】
A27の後、冗長パス選出部4231は、図13に示す処理を終了する(A28)。
【0167】
前述の通り、図7に示す処理によって、最適化された論理パス設計情報がデータベース部43に格納される。このため、ネットワーク制御部1は、データベース部43の情報に基づいて、ネットワーク制御部1の装置制御処理部424を介して、各通信装置10に論理パスを割り当てさせる。
【0168】
これによって、各物理回線区間20におけるすべての現用LSPが予約する帯域の総和と、すべての予備LSPが予約する帯域の総和と、空き帯域とのバランスがとられる。そして、最低保証帯域を超えた、より最大制限帯域に近い帯域を、エンドユーザに提供できる論理パスを、ネットワーク上に構築する事が可能である。
【0169】
また、図7に示す処理において、論理パス設計情報を、通信システムにおいて運用されているパス情報を、各通信装置10から受信することによって取得してもよく、これによって、運用中の通信システムを最適化することができる。さらに、A11に示す処理の実行前後の、運用中のパス情報を比較することによって、系選択の変更をすべき二重化パス201を抽出することができ、抽出された二重化パス201の系選択を変化させることによって、最低保証帯域を超えた、より最大制限帯域に近い帯域をエンドユーザに提供できる。
【0170】
なお、トポロジテーブルT00、LSPテーブルT10、二重化パステーブルT20は、指標値管理テーブルT30を生成するために必要な情報を含んでいれば、テーブル構成が異なってもよい。
【0171】
(第2の実施形態)
第2の実施形態による論理パス設計は、すべての現用LSPの最大制限帯域の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和よりも大きい場合の論理パス設計である。
【0172】
第2の実施形態のトポロジテーブルT00及び二重化パステーブルT20は、第1の実施形態のトポロジテーブルT00及び二重化パステーブルT20と同じである。また、第2の実施形態のトポロジテーブルT00、LSPテーブルT10及び二重化パステーブルT20に格納される値は、第1の実施形態と同じく、物理回線設計者等によって生成され論理パス情報、又は、他の装置から送信された論理パス情報に基づいて、A02においてオペレータ等によって入力された値が格納される。
【0173】
図14は、本発明の第2の実施形態のLSPテーブルT10を示す説明図である。
【0174】
第2の実施形態のLSPテーブルT10は、第1の実施形態のLSPテーブルT10と同じく、LSP識別番号T11、最低保証帯域T12、最大制限帯域T13、及び、物理回線区間T14を含む。また、第2の実施形態のLSPテーブルT10も、第1の実施形態のLSPテーブルT10と同じく、物理回線設計者又は他の装置によって生成された論理パス情報に基づいて、A02においてオペレータ等によって入力された値が格納される。
【0175】
第2の実施形態の最低保証帯域T12には、各物理回線区間20における、現用LSPの最低保証帯域T12の総和が、各物理回線区間20の帯域上限値を超えないような値が格納される。また、第2の実施形態の最大制限帯域T13には、通信システム全体における、現用LSPの最大制限帯域T13の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和(すなわち、トポロジテーブルT00の物理回線の帯域上限値T04の総和)よりも大きくなるような値が格納される。
【0176】
例えば、各現用LSPにそれぞれ、物理回線の帯域制限を最大制限帯域として割り当てられているような場合を以下に説明する。この場合、通信システム全体において、すべての現用LSPの最大制限帯域の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和よりも大きい。また、各物理回線区間20に一つの現用LSPのトラフィックが収容されている状態において、その物理回線区間20が、他の現用LSPのトラフィックを収容する場合、必ず溢れトラフィック量が発生する。すなわち、一つの物理回線区間20において発生した溢れトラフィック量を、他の物理回線区間20に移動しても帯域を有効に利用するという効果を得られない。
【0177】
具体的には、第2の実施形態において二重化パス201の系選択を変更しても、溢れトラフィック量についてはある物理回線区間20から、ある物理回線区間20への単純移動になるため、物理回線区間20における溢れトラフィック量の総和は変化しない。
【0178】
このため、第2の実施形態において、すなわち、すべての現用LSPの最大制限帯域の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和よりも十分に大きい場合、第1の実施形態とは異なる指標値を用いる。
【0179】
また、第2の実施形態において、通信システム全体における溢れトラフィック量を減らすことはできないため、現用LSPの最低保証帯域の総和を、各物理回線区間20において、平準化させることによって、物理回線区間20のボトルネックを解消する。
【0180】
具体的には、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、各物理回線区間20における現用LSPの最低保証帯域の総和を算出し、算出された総和を各物理回線区間20の帯域上限値によって除算する。これによって、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、第2の実施形態の第2の実施形態の指標値を算出する。なお、第2の実施形態の指標値は、図12のA12と図13のA23とにおいて算出される。
【0181】
また、第2の実施形態において、通信システム全体の溢れトラフィック量をすべて0にすることはできない。このため、第2の実施形態における通信システム全体の最適な状態は、物理回線区間20の帯域上限値(物理回線の帯域上限値T04)に対する現用LSPの最低保証帯域の総和の割合が、ある物理回線区間20において偏って高くならず、通信システム全体で平準化された状態である。
【0182】
このため、図13のA24及びA25において用いられる第2の実施形態のシステム全体の指標値(第2の実施形態のシステム全体の指標値)は、全物理回線区間20の第2の実施形態の指標値(すなわち、各物理回線区間20の現用LSPの最低保証帯域の総和を、各物理回線区間20の物理回線の帯域上限値T04によって除算した値)の標本分散値によって算出される。
【0183】
第2の実施形態の予約帯域調整部423は、第1の実施形態の予約帯域調整部423と同様に、図10、図7、及び図12に示す処理を行う。以下に、図7及び図12の処理において、第1の実施形態と相違する処理について説明する。
【0184】
第2の実施形態の予約帯域調整部423は、図12のA11を開始した後、A12において第2の実施形態の指標値管理テーブルT30を生成する。
【0185】
図15は、本発明の第2の実施形態の指標値管理テーブルT30を示す説明図である。
【0186】
図15を参照し、すべての現用LSPの最大制限帯域の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和よりも十分に大きい場合の、図12のA12および、図13のA23において生成される指標値管理テーブルT30を説明する。
【0187】
第2の実施形態の指標値管理テーブルT30は、第1の実施形態の指標値管理テーブルT30と同じく、物理回線区間識別番号T31、物理回線の帯域上限値T32、及び、物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33を含む。また、第2の実施形態の指標値管理テーブルT30は、現用LSPの最低保証帯域の総和T37、及び、帯域上限値と現用LSPの最低保証帯域の総和との比率T38を含む。
【0188】
現用LSPの最低保証帯域の総和T37は、各物理回線区間20を経由するすべての現用LSPの最低保証帯域の合計である。帯域上限値と現用LSPの最低保証帯域の総和との比率T38は、現用LSPの最低保証帯域の総和T37に格納された値を、物理回線の帯域上限値T32に格納された値によって、除算した値である。
【0189】
第2の実施形態の指標値管理テーブルT30も、全物理回線区間20に対する第2の実施形態のシステム全体の指標値が格納される。また、第2の実施形態の物理回線区間識別番号T31、物理回線の帯域上限値T32、及び物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33には、図12のA12において、第1の実施形態と同じ手順によって、値が格納される。
【0190】
第2の実施形態の予約帯域調整部423は、図12のA12において、物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33に含まれる値と同じ値をLSP識別番号T11に含むLSPテーブルT10の列を抽出し、抽出された列の最低保証帯域T12をすべて抽出する。そして、抽出された最低保証帯域T12に格納された値の合計を算出し、算出された値を現用LSPの最低保証帯域の総和T37に格納する。
【0191】
また、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、図12のA12において、現用LSPの最低保証帯域の総和T37を物理回線区間を経由する現用LSP識別番号T33によって除算した値を、物理回線区間識別番号T31毎に帯域上限値と現用LSPの最低保証帯域の総和との比率T38に格納する。
【0192】
なお、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、第1の実施形態のA12において現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値のすべての列の総和と、物理回線の帯域上限値T32に格納された値のすべての列の総和とを比較し、現用LSPの最大制限帯域の総和T34に格納された値のすべての列の総和が大きいと判定した後に、第2の実施形態におけるA12を実行してもよい。
【0193】
A12の後、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、第1の実施形態と同じくA13を行う。そして、A13の後、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、A14において、第2の実施形態の指標値(現用LSPの最低保証帯域の総和T37)が最も大きい物理回線区間20を、指標値管理テーブルT30から抽出する。第2の実施形態の指標値(現用LSPの最低保証帯域の総和T37)が最も大きい物理回線区間20は、最もトラフィックが流れにくい物理回線区間20である。
【0194】
A14の後A15において、第2の実施形態の予約帯域調整部423は、冗長パス選出部4231を起動する。A15において起動された後、第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、第1の実施形態と同じく図13のA22を行う。
【0195】
A22の後A23において、第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、A14において抽出された物理回線区間20を経由する二重化パス201の系選択を変更する。そして、変更した後の、第2の実施形態の指標値を算出する。
【0196】
そして、A23の後、第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、A24においてシステム全体の指標値(第2の実施形態のシステム全体の指標値)を算出する。
【0197】
第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、図13のA24及びA25において、数1によって、第2の実施形態のシステム全体の指標値を算出する。数1は、全物理回線区間20における帯域上限値と現用LSPの最低保証帯域の総和との比率T38の標本分散である。
【0198】
【数1】

【0199】
なお、全物理回線区間20における帯域上限値と現用LSPの最低保証帯域の総和との比率T38は、数1に限らず、他の方法によって算出されてもよい。
【0200】
第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、A24において、系選択を変更する前と系選択を変更した後において、第2の実施形態のシステム全体の指標値が小さくなる二重化パス201があるか否かを判定する。
【0201】
そして、第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、A24において第2の実施形態のシステム全体の指標値が小さくなる二重化パス201が存在すると判定された場合、第2の実施形態のシステム全体の指標値を最も小さくできる二重化パス201をA25において抽出する。
【0202】
A25の後、第2の実施形態の冗長パス選出部4231は、A25において抽出された二重化パス201の系選択を変更した後、第2の実施形態の指標値が大きくなる二重化パスがないか否かを判定する。第2の実施形態の指標値が大きくなる場合、いずれかの物理回線区間20のトラフィックが流れにくくなるため、A25において抽出された二重化パス201の系選択を変更しない。
【0203】
以上によって、第2の実施形態の予約帯域調整部423及び冗長パス選出部4231は、通信システムを最適化できる二重化パス201を抽出し、各通信装置10に系選択を変更させた後の二重化パス201を割り当てさせる。
【0204】
第2の実施形態におけるネットワーク制御部1は、すべての現用LSPの最大制限帯域の総和が、すべての物理回線区間20の帯域上限値の総和よりも大きい場合において、各物理回線区間20における最低保証帯域の総和を、全通信システムにおいて平準化する。これによって、各物理回線区間20において、物理回線の帯域上限と各現用パスが最低保証帯域の総和との差が、一定となり、いずれかの物理回線区間20がボトルネックになることを回避できる。そして、第2の実施形態によれば、各物理回線区間20の帯域を有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0205】
1 ネットワーク制御部
10、10#1〜10#7 通信装置
30 監視制御網
101、101#1〜101#4 通信インタフェース
20 物理回線区間
40 入力部
41 出力部
42 演算部
43 データベース部
10 通信装置
421 画面表示部
422 データ入力処理部
423 予約帯域調整部
4231 冗長パス選出部
424 装置制御処理部
202 LSP
201 LSP
T00 トポロジテーブル
T10 LSPテーブル
T20 二重化パステーブル
T30 指標値管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MPLSを用いて通信をする複数の通信装置に接続されるネットワーク制御装置であって、
前記複数の通信装置は、相互に複数の物理経路によって接続され、
前記ネットワーク制御装置は、
前記複数の通信装置のうち二つの前記通信装置を接続し、少なくとも一つの第1の物理経路に収容される第1の論理経路と、前記二つの通信装置を接続し、前記第1の物理経路とは異なる第2の物理経路に収容される第2の論理経路とを、前記複数の通信装置に割り当てるためのテーブルを保持し、
前記各物理経路を通過するトラフィックの帯域の上限値を保持し、
前記第1の論理経路を通過するトラフィックの最大制限帯域量と、最低保証帯域量とを保持し、
前記各第1の物理経路に収容される複数の第1の論理経路の、前記最大制限帯域量又は前記最低保障帯域量の前記各物理経路の総和と、前記各物理経路の帯域上限値とによって、指標値を算出し、
前記算出された指標値に従って、前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路のうち、前記第1の物理経路を前記第2の論理経路に割り当て、前記第2の物理経路を前記第1の論理経路に割り当てることによって前記物理経路の割り当てを変更する前記第1の論理経路の候補を抽出し、
前記抽出された第1の論理経路の候補を前記テーブルに保持することを特徴とするネットワーク制御装置。
【請求項2】
前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路の前記最大帯域量の総和から、当該物理経路の帯域上限値を減算した値を、前記各物理経路の帯域上限値によって除算した第1の指標値と、
前記複数の物理経路における第1の指標値の総和である第2の指標値と、を定義し、
前記ネットワーク制御装置は、
前記各物理経路における前記第1の指標値と、前記第1の指標値が最も大きい物理経路を抽出し、
前記抽出された物理経路に収容される各第1の論理経路に、前記物理経路の割当変更前における前記第2の指標値と、前記物理経路の割当変更後における前記第2の指標値と、を算出し、
前記算出された割当変更前における第2の指標値と、前記割当変更後における第2の指標値とを比較し、
前記割当変更後における第2の指標値が小さい場合、当該第1の論理経路を割当変更する候補として抽出することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク制御装置。
【請求項3】
前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路の前記最低保証帯域量の総和である第3の指標値と、
前記複数の物理経路における第3の指標値の分散値である第4の指標値と、を定義し、
前記ネットワーク制御装置は、
前記第3の指標値が最も大きい物理経路を抽出し、
前記抽出された物理経路に収容される各第1の論理経路に、前記割当変更前における前記第4の指標値と、前記割当変更後における前記第4の指標値と、を算出し、
前記算出された割当変更前における第4の指標値と、前記割当変更後における第4の指標値とを比較し、
前記比較の結果、前記割当変更後における第4の指標値が小さい場合、当該各第1の論理経路を割当変更する候補として抽出することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク制御装置。
【請求項4】
前記ネットワーク制御装置は、
前記物理経路に収容される各第1の論理経路の、前記割当変更前における前記第1の指標値の最大値と、前記割当変更後における前記第1の指標値の最大値と、を抽出し、
前記割当変更前における第1の指標値の最大値と、前記割当変更後における第1の指標値の最大値とを比較し、
前記比較の結果、前記割当変更後における第1の指標値の最大値が大きい場合、当該各第1の論理経路を割当変更する候補として抽出しないことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク制御装置。
【請求項5】
前記ネットワーク制御装置は、
前記複数の第1の論理経路の最大制限帯域量の総和を算出し、
前記複数の物理経路の帯域上限値の総和を算出し、
前記算出された複数の第1の論理経路の最大制限帯域量の総和と、前記算出された複数の物理経路の帯域上限値の総和とを比較し、
前記比較の結果、前記複数の物理経路の帯域上限値の総和が大きい場合、前記第1の指標値を算出することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク制御装置。
【請求項6】
MPLSを用いて通信をする複数の通信装置に接続されるネットワーク制御装置によるパス選択方法であって、
前記複数の通信装置は、相互に複数の物理経路によって接続され、
前記ネットワーク制御装置は、
前記各物理経路を通過するトラフィックの帯域の上限値を保持し、
前記第1の論理経路を通過するトラフィックの最大制限帯域量と、最低保証帯域量とを保持し、
前記パス選択方法は、
前記ネットワーク制御装置が、前記複数の通信装置のうち二つの前記通信装置を接続し、少なくとも一つの第1の物理経路に収容される第1の論理経路と、前記二つの通信装置を接続し、前記第1の物理経路とは異なる第2の物理経路に収容される第2の論理経路とを、前記複数の通信装置に割り当てる手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記各第1の物理経路に収容される複数の第1の論理経路の、前記最大制限帯域量又は前記最低保障帯域量の前記各物理経路の総和と、前記各物理経路の帯域上限値とによって、指標値を算出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記算出された指標値に従って、前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路のうち、前記第1の物理経路を前記第2の論理経路に割り当て、前記第2の物理経路を前記第1の論理経路に割り当てることによって前記物理経路の割り当てを変更する前記第1の論理経路の候補を抽出する手順と、を含むことを特徴とするパス選択方法。
【請求項7】
前記指標値を算出する手順は、
前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路の前記最大帯域量の総和から、当該物理経路の帯域上限値を減算した値を、前記各物理経路の帯域上限値によって除算した第1の指標値と、前記複数の物理経路における第1の指標値の総和である第2の指標値と、が定義されており、
前記物理経路の割り当てを変更する第1の論理経路の候補を抽出する手順は、
前記ネットワーク制御装置が、前記各物理経路における前記第1の指標値と、前記第1の指標値が最も大きい物理経路を抽出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記抽出された物理経路に収容される各第1の論理経路に、前記物理経路の割当変更前における前記第2の指標値と、前記物理経路の割当変更後における前記第2の指標値と、を算出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記算出された割当変更前における第2の指標値と、前記割当変更後における第2の指標値とを比較する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記割当変更後における第2の指標値が小さい場合、当該第1の論理経路を割当変更する候補として抽出する手順とを含むことを特徴とする請求項6に記載のパス選択方法。
【請求項8】
前記指標値を算出する手順は、
前記各物理経路に収容される複数の第1の論理経路の前記最低保証帯域量の総和である第3の指標値と、前記ネットワーク制御装置が、前記複数の物理経路における第3の指標値の分散値である第4の指標値と、が定義されており、
前記物理経路の割り当てを変更する第1の論理経路の候補を抽出する手順は、
前記ネットワーク制御装置が、前記第3の指標値が最も大きい物理経路を抽出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記抽出された物理経路に収容される各第1の論理経路に、前記割当変更前における前記第4の指標値と、前記割当変更後における前記第4の指標値と、を算出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記算出された割当変更前における第4の指標値と、前記割当変更後における第4の指標値とを比較する手順と、
前記比較の結果、前記割当変更後における第4の指標値が小さい場合、前記ネットワーク制御装置が、当該第1の論理経路を割当変更する候補として抽出する手順とを含むことを特徴とする請求項6に記載のパス選択方法。
【請求項9】
前記物理経路の割り当てを変更する第1の論理経路の候補を抽出する手順は、
前記ネットワーク制御装置が、前記物理経路に収容される各第1の論理経路の、前記割当変更前における前記第1の指標値の最大値と、前記割当変更後における前記第1の指標値の最大値と、を抽出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記割当変更前における第1の指標値の最大値と、前記割当変更後における第1の指標値の最大値とを比較する手順と、
前記比較の結果、前記割当変更後における第1の指標値の最大値が大きい場合、前記ネットワーク制御装置が、当該第1の論理経路を割当変更する候補として抽出しない手順とを含むことを特徴とする請求項7に記載のパス選択方法。
【請求項10】
前記指標値を算出する手順は、
前記ネットワーク制御装置が、前記複数の第1の論理経路の最大制限帯域量の総和を算出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記複数の物理経路の帯域上限値の総和を算出する手順と、
前記ネットワーク制御装置が、前記算出された複数の第1の論理経路の最大制限帯域量の総和と、前記算出された複数の物理経路の帯域上限値の総和とを比較する手順と、
前記比較の結果、前記複数の物理経路の帯域上限値の総和が大きい場合、前記ネットワーク制御装置が、前記第1の指標値を算出する手順とを含むことを特徴とする請求項7に記載のパス選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−114647(P2012−114647A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261384(P2010−261384)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】