説明

ネットワーク接続方法、ネットワークゲートウェイ

【課題】HTTP以外のプロトコルを利用した機器において、接続エラーの原因を調査することができるネットワーク接続方法を提供する。
【解決手段】互いに異なるプロトコルを有する複数のネットワークを接続可能なネットワーク接続方法であって、第1のネットワークから第2のネットワークへ第1のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第1のプロトコルでの接続が失敗した場合、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第2のプロトコルでの接続が成功した場合は、利用者に対して所定の報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイを経由したネットワーク接続方法に関する。また、ネットワークゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットへの接続は、ユーザーの自宅のパソコンからに限らず、例えばホテル等の外出先から接続することが可能になってきた。このようなインターネットに接続可能なホテル等では、客室にLAN(Local Area Network)ケーブルなどのネットワークケーブルを接続可能なネットワーク端子が備わる。ネットワーク端子は、ゲートウェイに接続されている。ゲートウェイは、インターネットに接続されている。すなわち、客室のネットワーク端子にネットワーク接続機能を備えたパソコンを接続することにより、ゲートウェイを介して、インターネットに接続することができる。
【0003】
図3は、従来のネットワーク構成を示すブロック図である。図3は、ネットワーク端末101とFTP(File Transfer Protocol)サーバ104とを、インターネット103を経由して接続する例である。図3に示すネットワーク構成の場合、ゲートウェイ102を経由する必要があり、インターネット接続に先立ってHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)によりゲートウェイ102の認証手続きが必要になる。
【0004】
具体的には、ネットワーク端末101をFTPサーバ104に接続する場合、まずゲートウェイ102に対して接続要求111を発行する。ゲートウェイ102は、接続要求111を受け取ると、ネットワーク端末101との間での認証処理を実行する。ゲートウェイ102は、認証が成立すれば、FTPサーバ104への接続要求113を発行する。一方、認証が成立しなければ、ゲートウェイ102はネットワーク端末101に対してエラー通知112を発行する。
【0005】
FTPサーバ104は、接続要求113を受け取ると、認証処理を実行する。ゲートウェイ102とFTPサーバ104との間で認証が成立すれば、ネットワーク端末101とFTPサーバ104との間でファイル転送等のデータ通信を行うことができる。しかし、ゲートウェイ102とFTPサーバ104との間で認証が成立しなければ、ゲートウェイ102は、ネットワーク端末101に対してエラー通知112を発行する。ネットワーク端末101では、エラー通知112を受け取ると、例えば表示部にエラーメッセージを表示する。
【0006】
特許文献1及び2は、ゲートウェイを経由したネットワーク接続の構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−104040号公報
【特許文献2】特開2004−247839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えばFTPのようにHTTP以外のプロトコルを用いる場合、HTTPによる認証を行わずにFTPサーバ104への接続要求を発行すると、単純な接続エラーが返されるのみである。したがって、インターネット103上での接続要求がエラーとなったのか、HTTPによる認証手続きが行われていないためエラーとなったのかを、区別することが困難であるという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、HTTP以外のプロトコルを利用した機器において、接続エラーの原因を調査することができるネットワーク接続方法およびネットワークゲートウェイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のネットワーク接続方法は、互いに異なるプロトコルを有する複数のネットワークを接続可能なネットワーク接続方法であって、第1のネットワークから第2のネットワークへ第1のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第1のプロトコルでの接続が失敗した場合、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第2のプロトコルでの接続が成功した場合は、利用者に対して所定の報知を行う方法である。
【0011】
本発明のネットワークゲートウェイは、互いに異なるプロトコルを有する複数のネットワークを接続可能なネットワークゲートウェイであって、第1のネットワークに接続された端末において、第1のプロトコルを用いた接続要求が入力されると、前記第2のネットワークに対して接続要求を発行し、前記第1のプロトコルを用いた前記第2のネットワークとの接続が失敗した場合、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第2のプロトコルを用いて前記第2のネットワークとの接続が成功した場合は、利用者に対して所定の報知を行うものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、HTTP以外のプロトコルを利用した機器において、接続エラーの原因を調査する手段を提供し、ユーザーインターフェースを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態にかかるネットワーク接続方法を適用したネットワークシステムを示すブロック図
【図2】ネットワーク接続方法の流れを示すフローチャート
【図3】従来のネットワーク接続方法の概念を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のネットワーク接続方法は、互いに異なるプロトコルを有する複数のネットワークを接続可能なネットワーク接続方法であって、第1のネットワークから第2のネットワークへ第1のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第1のプロトコルでの接続が失敗した場合、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルを用いて接続要求を発行し、前記第2のプロトコルでの接続が成功した場合は、利用者に対して所定の報知を行うことを特徴としている。
【0015】
本発明のネットワーク接続方法によれば、HTTP以外のプロトコルで通信を行った際にエラーが発生した場合は、HTTPでの通信を試みるようにする。返信元のアドレスが、送信要求先のアドレスと異なるにもかかわらず正常終了の返信が得られた場合にはリダイレクションが行われたと見なして、ユーザーに未認証の旨を通知したり、認証手続きに必要なブラウザを自動起動させるといった動作が可能になる。
【0016】
本発明のネットワーク接続方法は、上記構成を基本として以下のような態様をとることができる。
【0017】
本発明のネットワーク接続方法において、前記第1のプロトコルは、FTP(File Transfer Protocol)である方法とすることができる。
【0018】
本発明のネットワーク接続方法において、前記第2のプロトコルは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)である方法とすることができる。
【0019】
本発明のネットワーク接続方法は、前記第1のプロトコルでの接続において、接続要求した接続先と、接続が成功した接続先とが異なる場合に、前記第2のプロトコルにおいて特定の手順が必要であると判定する方法とすることができる。
【0020】
本発明のネットワーク接続方法は、前記第1のプロトコルでの接続が成功した場合に、前記第2のプロトコルでの接続に必要な情報を利用者に通知する方法とすることができる。
【0021】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるネットワーク接続構成である。本実施の形態では、ホテルの各客室からインターネットへ接続可能なネットワーク環境を一例として挙げているが、少なくともLAN等の小規模ネットワークと外部ネットワークとを接続可能なネットワーク環境であればよい。
【0022】
図1において、ホテル1の各客室2には、ネットワークコネクタ4が備わる。ネットワークコネクタ4は、LANケーブルなどのネットワークケーブルを接続可能である。ネットワークコネクタ4に接続されたネットワークケーブルの他端には、ネットワーク端末3を接続可能である。なお、ネットワーク端末3とネットワークコネクタ4とは、無線LANなどの無線通信により接続されていてもよい。ネットワーク端末3は、例えばLANボードなどの通信デバイスを内蔵したパソコンで実現することができる。ネットワーク端末3は、少なくともユーザーによる各種操作を受け付けるキーボード等の操作部と、各種情報を表示可能な表示部とを備えている。
【0023】
各客室2におけるネットワークコネクタ4は、ゲートウェイ5に接続されている。ゲートウェイ5は、ホテル1内のネットワークとインターネット6等の外部ネットワークとを中継するものである。FTPサーバ7は、インターネット6に接続されている。ゲートウェイ5は、ホテル1内のネットワークとインターネット6とを接続可能とするために、認証処理を実行する。認証処理は、例えば予めゲートウェイ5において設定されているID及びパスワードと、ネットワーク端末3においてユーザーにより入力されたID及びパスワードとを、照合する処理とすることができる。FTPサーバ7は、各種ファイルを蓄積可能なサーバである。FTPサーバ7は、インターネット6に接続されている。
【0024】
図2は、ネットワーク端末3からFTPサーバ7へアクセスする際の動作フローを示す。以下、図1及び図2を参照して、ネットワーク端末3からFTPサーバ7へアクセスする動作について説明する。
【0025】
ユーザーが、ネットワーク端末3においてFTPサーバ7への接続するための操作を行うと、ネットワーク端末3はFTPによる接続要求11を発行する(S1)。
【0026】
ゲートウェイ5は、FTPによる接続要求11の内容を確認し、ネットワーク端末3に対する認証が既に完了していると判断、もしくはネットワーク端末3に対する認証が不要で直ちにインターネット6への接続を認めると判断すると(S2におけるYES判断)、インターネット6へ接続する。一方、ゲートウェイ5は、接続要求11の内容を確認し、ネットワーク端末3に対する認証が成立していないと判断、もしくはインターネット6への接続を認めないと判断すると(S2におけるNO判断)、ネットワーク端末3へエラー通知を返す。
【0027】
ネットワーク端末3は、ゲートウェイ5からエラー通知を受け取ると、HTTPによる接続要求11を発行する(S3)。なお、FTPによる接続要求の後のHTTPによる接続要求は、ブラウザなどのアプリケーションを起動するのではなく、エラー処理の一環として通信処理のみを行う。
【0028】
ゲートウェイ5は、ネットワーク端末3から送られるHTTPによる接続要求11を確認し、認証処理を実行する(S4)。ゲートウェイ5は、認証が成立すれば、ネットワーク端末3との接続を確立し(S4におけるYES判断)、接続成功通知をネットワーク端末3へ返す(S6)。一方、ゲートウェイ5は、認証が成立しなければネットワーク端末3との接続を確立せず(S4におけるNO判断)、エラー通知をネットワーク端末3へ返す(S5)。
【0029】
ゲートウェイ5は、FTPもしくはHTTPによるネットワーク端末3との接続が完了すると、インターネット6を介してFTPサーバ7へ接続しようとする。インターネット6上に所望のFTPサーバ7が見つかり、認証処理が完了すれば(S7におけるYES判断)、FTPサーバ7への接続が完了する(S9)。一方、インターネット6上に所望のFTPサーバが見つからなかった場合、もしくはFTPサーバ7との間で認証が成立しなかった場合は、エラー通知をネットワーク端末3へ返す(S5)。
【0030】
なお、本実施の形態では、ゲートウェイ5は、認証成功通知をネットワーク端末3へ発行する構成としたが、認証が成功した旨を記載したページ情報をネットワーク端末3へ送る構成としてもよい。ネットワーク端末3は、ゲートウェイ5から送られるページ情報に基づき、表示部にページを表示する。
【0031】
上記処理において、ネットワーク端末3においては、エラー通知が行われた場合(S5)、そのエラーがFTPでの接続要求に対するエラー(S2におけるNO判断)であるか、FTP以外(本実施の形態ではHTTP)の接続要求に対するエラー(S4におけるNO判断)であるかを判別することができない。本実施の形態では、FTP接続エラーの原因が「接続先が存在しない」であれば、HTTPでの接続要求の際にも接続エラーが返ることになるが、FTP接続エラーの原因が「FTPにおける認証が成立していない」であれば、HTTPによる接続要求11に対して、接続要求先と異なる端末であるゲートウェイ5から接続成功の返信(リダイレクション)が行われる。ネットワーク端末3は、リダイレクションの返信が得られた場合、例えばユーザーインターフェースにより認証手続きが行われていない旨を通知したり、ブラウザを起動して認証手続きを促したりする、といった処理が可能になる。すなわち、ユーザーは、表示部に認証画面が表示されるか否かにより、FTP接続エラーの原因を特定することができる。
【0032】
本実施の形態によれば、HTTP以外(例えばFTP)による接続が失敗した場合、HTTPのプロトコルで接続要求を行い、FTP接続要求とHTTP接続要求の両方において接続が失敗した場合はエラー通知を行い、HTTP接続要求に対して接続が成功した場合は認証画面を表示するよう制御することにより、接続失敗の原因や対処方法をより詳細にユーザーに伝えることが可能となる。
【0033】
なお、ゲートウェイ5から接続成功通知が発行された後(図2におけるS6)、接続が成功した接続先をユーザーに確認させる構成とすることが好ましい。確認の方法は、例えば、接続が成功した接続先の名称やアドレス等の情報、およびその接続先が正しいか否かを選択可能な選択画面を、ネットワーク端末3の表示部に表示させ、接続先が正しいか否かをユーザーに対して選択入力を促す方法がある。すなわち、図2におけるS6とS7との間に、接続先の正誤判断のステップを追加する。
【0034】
また、本実施の形態では、HTTP以外の通信プロトコルとしてFTPを用いたが、他のプロトコルを用いても同様な効果が得られる。また、本実施の形態では、認証用のプロトコルとしてHTTPを用いているが、他のプロトコルの場合でも同様な効果が得られる。HTTP以外のプロトコルとしては、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol over Secure Socket Layer)、SSH(Secure SHell)、SFTP(Secure File Tranfer Protocol)などがある。
【0035】
また、本実施の形態では、ホテル内のLANと外部ネットワーク(インターネット)とを接続するネットワークシステムを例として挙げたが、少なくともゲートウェイを中継して複数のネットワークを接続するネットワークシステムであればよい。
【0036】
また、本実施の形態では、ネットワーク端末3は、パソコンで実現したが、少なくともLANに接続できる端末であればよい。パソコンの他、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機などがある。
【0037】
また、本実施の形態におけるホテル内のLANは、本発明の第1のネットワークの一例である。本実施の形態におけるインターネット6は、本発明の第2のネットワークの一例である。本実施の形態におけるFTPは、本発明の第1のプロトコルの一例である。本実施の形態におけるHTTPは、本発明の第2のプロトコルの一例である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかるネットワーク接続方式は、HTTP以外のプロトコルを用いてインターネットに接続する際に、接続失敗の理由をユーザーに通知することが出来るので、特にパソコン以外でHTTP以外のプロトコルを用いてインターネットに接続する機器への用途に有用である。
【符号の説明】
【0039】
3 ネットワーク端末
5 ゲートウェイ
6 インターネット
7 FTPサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるプロトコルを有する複数のネットワークを接続可能なネットワーク接続方法であって、
第1のネットワークから第2のネットワークへ第1のプロトコルを用いて接続要求を発行し、
前記第1のプロトコルでの接続が失敗した場合、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルを用いて接続要求を発行し、
前記第2のプロトコルでの接続が成功した場合は、利用者に対して所定の報知を行う、ネットワーク接続方法。
【請求項2】
前記第1のプロトコルは、FTP(File Transfer Protocol)である、請求項1記載のネットワーク接続方法。
【請求項3】
前記第2のプロトコルは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)である、請求項1記載のネットワーク接続方法。
【請求項4】
前記第1のプロトコルでの接続において、接続要求した接続先と、接続が成功した接続先とが異なる場合に、前記第2のプロトコルにおいて特定の手順が必要であると判定する、請求項1記載のネットワーク接続方法。
【請求項5】
前記第1のプロトコルでの接続が成功した場合に、前記第2のプロトコルでの接続に必要な情報を利用者に通知する、請求項1記載のネットワーク接続方法。
【請求項6】
互いに異なるプロトコルを有する複数のネットワークを接続可能なネットワークゲートウェイであって、
第1のネットワークに接続された端末において、第1のプロトコルを用いた接続要求が入力されると、前記第2のネットワークに対して接続要求を発行し、
前記第1のプロトコルを用いた前記第2のネットワークとの接続が失敗した場合、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルを用いて接続要求を発行し、
前記第2のプロトコルを用いて前記第2のネットワークとの接続が成功した場合は、利用者に対して所定の報知を行う、ネットワークゲートウェイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−23878(P2011−23878A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165809(P2009−165809)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】