説明

ネットワーク装置、通信端末、ネットワークシステム、及びプログラム

【課題】節電状態でネットワークインターフェースの省電力化を実現すると共に、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ必要に応じて自動的に復帰することが可能なネットワーク装置を提供する。
【解決手段】ネットワーク複合機3が有するLAN I/F20は、パケットを検出する検出部24を含むPHY回路23と、MAC回路22と、制御部21とを備える。制御部21は、通信端末5がパケットを自機へ送信することが可能な状態か否かを判定する判定部25と、通信端末5がパケットを自機へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、検出部24を除くPHY回路23、MAC回路22、及び制御部21に対する電力の供給を停止する電力制御部26とを有する。検出部24は、節電状態において、通信端末5から送信されたパケットを検出した場合に、電力の供給を復帰させる制御信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置、通信端末、ネットワークシステム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークプリンタなどのネットワーク装置が知られている。ネットワーク装置は、パーソナルコンピュータなどの通信端末とネットワークを介して接続され、通信端末から出力される要求に応じて処理を実行する。近年、この種のネットワーク装置について、省電力化を目的とする技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、通信端末の通電状態を検知し、全ての通信端末の電源がOFFになると、自機の電源をOFFにするネットワークプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−63006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のネットワークプリンタは、電源がOFFになるので、通信端末が再び起動して処理要求を送信しても、ネットワークプリンタは処理要求を受け付けることができない。そこで、通信端末から送信される処理要求に応答できるように、ネットワークインターフェースに電力を供給し、その他の部分には電力を供給しないことで、ネットワークプリンタの省電力化を図ることが考えられる。しかし、この場合は、ネットワークインターフェースに対して常に電力を供給するので、ネットワークインターフェースにおける省電力化を実現することはできない。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、節電状態でネットワークインターフェースの省電力化を実現すると共に、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ必要に応じて自動的に復帰することが可能なネットワーク装置を提供することを目的とする。また、本発明に係るネットワーク装置と共に用いられる通信端末、本発明に係るネットワーク装置及び通信端末を有するネットワークシステム、コンピュータを本発明に係る通信端末として機能させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るネットワーク装置は、ネットワークを介して通信端末との間でパケットの送受信を行うネットワークインターフェースを有するネットワーク装置であって、ネットワークインターフェースは、通信端末から送信されたパケットを検出する検出手段を含むPHY回路と、PHY回路と接続されたMAC回路と、MAC回路と接続された制御手段とを備え、制御手段は、パケットに対する応答処理を行う応答処理手段と、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給を停止する電力制御手段とを有し、検出手段は、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給が停止された節電状態において、通信端末から送信されたパケットを検出した場合に、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給を復帰させる制御信号を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るネットワーク装置によれば、ネットワークインターフェースが、PHY(Physical Layer)回路、MAC(Media Access Control)回路、及び制御手段を有する。そして、電力制御手段が、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給を停止した場合、節電状態となり、ネットワークインターフェースの省電力化を実現することが可能となる。
【0008】
また、ネットワークインターフェースが節電状態である場合に、通信端末が起動し、ネットワーク装置へパケットを送信すると、送信されたパケットが、PHY回路の検出手段によって検出される。そして、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給を復帰させる制御信号が出力される。この制御信号によって、MAC回路及び制御手段を起動させることができるので、通信端末からパケットが送信されると、節電状態から処理要求に応じることが可能な状態に復帰することができる。すなわち、節電状態でネットワークインターフェースの省電力化を実現すると共に、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ必要に応じて自動的に復帰することが可能となる。
【0009】
本発明に係るネットワーク装置では、制御手段は、通信端末がパケットを自機へ送信することが可能な状態か否かを判定する判定手段を有し、電力制御手段は、判定手段によって通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給を停止することが好ましい。
【0010】
この好ましい構成によれば、通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態になると、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給が停止される。これにより、ネットワークを介して接続された通信端末が、例えば、電源OFFになった場合等に、節電状態へ移行することができる。
【0011】
本発明に係るネットワーク装置では、電力制御手段が、判定手段によって通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、MAC回路及び制御手段に対する電力の供給を停止すると共に、検出手段を除くPHY回路に対する電力の供給を停止することが好ましい。
【0012】
この好ましい構成によれば、MAC回路及び制御手段に加えて、検出手段を除くPHY回路に対する電力の供給が停止されるので、PHY回路の省電力化を実現することができる。従って、ネットワークインターフェースの更なる省電力化を実現することができる。また、PHY回路の省電力化を実現した状態で、通信端末から送信されたパケットを検出手段によって検出することができる。
【0013】
本発明に係るネットワーク装置では、検出手段が、ネットワークから入力されたパケットをシリアル信号からパラレル信号に変換して出力する変換手段と、変換手段によって変換されたパケットを復号化して出力する復号化手段と、復号化手段によって出力されたパケットを監視することにより、通信端末から送信されたパケットを検出する監視手段とを有することが好ましい。
【0014】
この好ましい構成によれば、復号化手段によって復号化されたパケットを監視することにより、通信端末から送信されたパケットを検出するので、復号化される前のパケットを監視する場合と比較して、監視手段の構成を簡単にすることができる。
【0015】
本発明に係るネットワーク装置では、検出手段が、ネットワークから入力されたパケットをシリアル信号からパラレル信号に変換して出力する変換手段と、変換手段によって出力されたパケットを監視することにより、通信端末から送信されたパケットを検出する監視手段とを有することが好ましい。
【0016】
この好ましい構成によれば、変換手段から出力されるパケットを監視することにより、通信端末から送信されたパケットを検出するので、変換手段より下流側の構成に電力を供給する必要がなくなる。従って、更なる省電力化を実現することができる。
【0017】
本発明に係るネットワーク装置では、検出手段が、特定の端末のMACアドレスを記憶する記憶手段を備え、判定手段は、特定の端末を除く全ての通信端末がパケットを自機へ送信することが可能な状態か否かを判定し、検出手段は、節電状態において、検出したパケットに含まれる送信元のMACアドレスが、記憶手段に記憶されているMACアドレス以外のMACアドレスである場合に、制御信号を出力することが好ましい。
【0018】
この好ましい構成によれば、記憶手段にMACアドレスが記憶されている特定の端末以外の全ての通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態となった場合に、節電状態に移行することができる。例えば、24時間起動している特定の端末のMACアドレスを記憶手段に記憶しておくことで、該端末以外の通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態となったときに、節電状態に移行することができる。また、節電状態では、記憶手段にMACアドレスが記憶された特定の端末以外の通信端末からパケットが送信された場合に、MAC回路及び制御手段を起動させることができる。一方、特定の端末からパケットが送信された場合は、節電状態を保つことができる。
【0019】
本発明に係るネットワーク装置は、通信端末から送信される印刷データを用紙に印刷するプリンタを備えることが好ましい。
【0020】
この場合、ネットワーク装置は、通信端末から送信される印刷データを用紙に印刷するネットワークプリンタとして機能する。そして、通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態になると節電状態へ移行し、通信端末が再び起動してパケットをネットワーク装置へ送信すると、ネットワーク装置は、通信端末から送信される印刷要求に応じることが可能な状態に復帰することができる。
【0021】
本発明に係る通信端末は、上記いずれかのネットワーク装置とネットワークを介してパケットの送受信を行う通信端末であって、起動した際に、ネットワーク装置から応答が得られるまで、応答を要求するパケットを所定時間内に複数回送信する通信手段と、所定時間内にネットワーク装置から応答が得られなかった場合に、通信エラーを通知する通知手段とを備えることを特徴とする通信端末。
【0022】
本発明に係る通信端末によれば、起動した際に、応答を要求するパケットがネットワーク装置に送信される。これにより、ネットワーク装置が節電状態である場合、送信されたパケットによって、MAC回路及び制御手段を起動させ、ネットワーク応答が可能な状態にネットワーク装置を復帰させることができる。従って、通信端末が起動すると、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ自動的にネットワーク装置を復帰させることができる。そして、応答を要求するパケットが複数回送信されるので、ネットワーク装置が節電状態で1回目のパケットに対して応答できない場合であっても、ネットワーク装置が応答できる状態に復帰してから送信されたパケットに対して応答することが可能となる。
【0023】
また、一般的な処理では、応答を要求するパケットに対して応答がないとエラー通知を行うので、ネットワーク装置がパケットに対して応答できない節電状態となっている場合は、必ずエラー通知がなされることになる。この場合、ネットワーク装置が自動的に復帰するにもかかわらず、エラーを通知するので、不具合が発生したとユーザを誤認させてしまうおそれがある。これに対して、本発明では、複数回パケットを送信して所定時間が経過しても応答が得られなかった場合にユーザにエラーが通知されるので、ネットワーク装置が所定時間内に復帰すれば、エラーは通知されない。これにより、ユーザの誤認を防止することができる。
【0024】
本発明に係るネットワークシステムは、上記いずれかのネットワーク装置と、上記通信端末とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るネットワークシステムによれば、上述したように、節電状態において、通信端末が起動すると、処理要求に応じることができる状態へ自動的に復帰することが可能となる。また、ネットワーク装置における節電状態でネットワークインターフェースの省電力化を実現することができるので、ネットワークシステム全体の省電力化を実現することができる。
【0026】
本発明に係るプラグラムは、上記いずれかのネットワーク装置とネットワークを介してパケットの送受信を行うコンピュータを、起動した際に、ネットワーク装置から応答が得られるまで、応答を要求するパケットを所定時間内に複数回送信する通信手段、所定時間内にネットワーク装置から応答が得られなかった場合に、通信エラーを通知する通知手段、として機能させることを特徴とする。
【0027】
本発明に係るプログラムによれば、上記ネットワーク装置とネットワークを介してパケットの送受信を行うコンピュータを上記通信端末として機能させることができる。従って、通信端末の起動によって、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ自動的にネットワーク装置を復帰させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るネットワーク装置によれば、節電状態でネットワークインターフェースの省電力化を実現すると共に、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ必要に応じて自動的に復帰することが可能となる。また、本発明に係る通信端末によれば、通信端末の起動によって、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ自動的に上記ネットワーク装置を復帰させることが可能となる。
【0029】
また、本発明に係るネットワークシステムによれば、ネットワーク装置における節電状態でネットワークインターフェースの省電力化を実現すると共に、通信端末の起動によって、節電状態から処理要求に応じることができる状態へ自動的に上記ネットワーク装置を復帰させることが可能となる。また、本発明に係るプログラムによれば、コンピュータを上記通信端末として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係るネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るMFPが備える待機状態のLAN I/Fを示すブロック図である。
【図3】MFPが備える節電状態のLAN I/Fを示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る通信端末の構成を示すブロック図である。
【図5】MFPが待機状態から節電状態へ移行する処理を示すシーケンス図である。
【図6】MFPがARPパケットによって節電状態から待機状態に復帰する処理を示すシーケンス図である。
【図7】MFPが通信端末のOSの機能によって送信されるパケットによって節電状態から待機状態に復帰する処理を示すシーケンス図である。
【図8】通信端末のエラー処理を示すシーケンス図である。
【図9】本実施形態に係るプログラムを実行するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図10】本実施形態に係るプログラムのモジュール構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。最初に、図1を用いて、本実施形態に係るネットワークシステム1について説明する。図1は、ネットワークシステム1の構成を示すブロック図である。ネットワークシステム1は、本実施形態に係るネットワーク装置としてのネットワーク複合機(以下「MFP(Multifunction Peripheral)」という)3と、本実施形態に係る複数の通信端末5とを備えている。なお、図1には、2台の通信端末5を示しているが、1台であってもよいし、3台以上あってもよい。
【0032】
MFP3は、ネットワーク対応されたプリント、FAX、スキャン機能等を有する複合機であり、LAN(Local Area Network)90を介して通信端末5との間でパケットの送受信を行う。すなわち、MFP3は、通信端末5から送信される印刷データを用紙に印刷するネットワークプリンタとして機能する。
【0033】
このMFP3は、通常状態、待機状態、及び節電状態の3つの電力状態をとり得る。通常状態は、スキャナ12及びプリンタ13等が起動している状態で、MFP3全体に電力が供給されている。待機状態は、LAN I/F(LANインターフェース)20のみに電力が供給され、ネットワーク応答が可能な状態である。節電状態は、LAN I/F20を構成するPHY回路の一部を除いて電力の供給が停止された状態である。待機状態は、スキャナ12及びプリンタ13等に電力が供給されていないので、通常状態より消費電力が小さい。節電状態は、PHY回路の一部を除いて電力の供給が停止されているので、待機状態より消費電力が小さい。
【0034】
このMFP3は、夜間等に全ての通信端末5がシャットダウンするなどして、パケットをMFP3へ送信することが不可能な状態になると、これを検知して、LAN I/F20を構成するPHY回路の一部を除いて電力の供給を停止し、節電状態に移行する。MFP3は、節電状態であるときに、通信端末5が起動してパケットが送信されると、送信されたパケットを検知して、LANインターフェース20を起動させる。これにより、MFP3は、節電状態からネットワーク応答が可能な待機状態に復帰する。
【0035】
ここで、MFP3の概略構成について説明する。MFP3は、操作パネル10、ディスプレイ11、スキャナ12、プリンタ13、IFAX制御部14、NCU15、モデム16、CPU17、ROM18、RAM19、及びLAN I/F20を備えている。IFAX制御部14は、FAXデータが添付された電子メールの送受信を制御する。電子メールは、LAN90に接続されたインターネットを介して送受信が行われる。
【0036】
NCU15は、モデム16と公衆交換電話網(PSTN)91との接続を制御し、FAXの送受信を制御する。また、CPU17、ROM18、及びRAM19等によって、制御部が構成されている。制御部は、ROM18に記憶された制御プログラムを実行することにより、MFP3を構成する上記のハードウエアを統合的に制御する。
【0037】
LAN I/F20は、イーサネット(登録商標)の規格に則って構築されたLAN90を介して通信端末5及びサーバ7等との間でパケット通信を行うためのネットワークインターフェースである。このLAN I/F20の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、MFP3が備えるLAN I/F20の構成を示すブロック図である。図2は待機状態を示し、図3は節電状態を示す。
【0038】
LAN I/F20は、CPU、ROM、及びRAM等によって構成される制御部21と、MAC回路22と、PHY回路23とを備えている。待機状態は、LAN I/F20に電力が供給された状態であり、LAN I/F20によってネットワーク応答を行うことができる。節電状態は、制御部21及びMAC回路22に対する電力の供給が停止され、PHY回路23においては、送信されたパケットを検出する検出部24を除くブロックに対する電力の供給が停止された状態である。すなわち、節電状態では、PHY回路23の検出部24のみに電力が供給されている。以下、制御部21、MAC回路22、PHY回路23について具体的に説明する。
【0039】
制御部21は、ネットワーク制御を行い、送信されたパケットに対する応答処理を行う応答処理部40を備える。また、制御部21は、通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが可能な状態か否かを判定する判定部25と、節電状態に移行する際に、電力の制御を行う電力制御部26を備える。なお、制御部21は、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能し、応答処理部40は応答処理手段として機能し、判定部25は判定手段として機能し、電力制御部26は電力制御手段として機能する。
【0040】
判定部25は、ネットワークに接続された複数の端末のうち、ユーザによって登録された特定の端末を除く全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが可能な状態か否かを判定する。特定の端末は、本実施形態では、24時間稼働しているサーバ7であり、ユーザが任意に設定することができる。
【0041】
この判定部25による判定は、例えば、以下の方法を用いることができる。判定部25は、通信端末5からSNMP(Simple Network Management Protocol)要求、又は、印刷要求等のパケットを受信すると、パケットに含まれる送信元のIPアドレスを記憶する。そして、通信端末5からパケットが送信されない状態が所定時間以上続くと、判定部25は、記憶されたIPアドレスを用いて、通信端末5へMACアドレスの応答を要求するARP(Address Resolution Protocol)パケットを送信する。このARPパケットに対する応答パケットが、いずれの通信端末5からも送信されない場合、判定部25は、全ての通信端末5がMFP3へパケットの送信が不可能な状態であると判定する。
【0042】
また、判定部25は、特定の端末を除く全ての通信端末5に応答を要求するパケットを送信し、正常な応答がいずれの通信端末5からも得られなかった場合に、特定の端末を除く全ての通信端末5がMFP3へパケットの送信が不可能な状態であると判定してもよい。また、判定部25は、特定の端末を除く全ての通信端末5からパケットが送信されない状態が所定時間以上続いた場合に、特定の端末を除く全ての通信端末5がMFP3へパケットの送信が不可能な状態であると判定してもよい。
【0043】
いずれの判定方法によっても、例えば、夜間等に、サーバ7以外の通信端末5が全て電源OFFになり、ネットワーク応答が不能な状態となった場合に、判定部25は、全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると判定することができる。また、例えば、通信端末5内の不具合、又は、通信端末5とMFP3間のネットワーク経路の不具合等により、通信端末5がMFP3へパケットを送信できない状態となった場合に、判定部25は、その通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると判定することができる。
【0044】
電力制御部26は、判定部25によってサーバ7以外の全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、検出部24を除くPHY回路23、MAC回路22、及び制御部21に対する電力の供給を停止するように制御する。これにより、MFP3は、節電状態に移行する。
【0045】
MAC回路22は、待機状態では、イーサネットフレームの生成及び取り出し等を行う。PHY回路23は、待機状態では、論理信号と電気信号との変換を行う。PHY回路23では、待機状態において、以下の処理が行われる。
【0046】
パケットの受信時には、LAN90からPHY回路23に入力されたシリアル信号が、SERDES(シリアライザ/デシリアライザ)回路27及びCDR(Clock Data Recovery)28によってパラレル信号に変換される。このパラレル信号は、復号化部29によって10bitデータから8bitデータに復号化される。復号化された信号は、エラスティックバッファ30を介してエラーチェック部31に入力され、GMII(Gigabit Media Independent Interface)32を介して、MAC回路22へ出力される。なお、SERDES回路27は特許請求の範囲に記載の変換手段として機能し、復号化部29は復号化手段として機能する。
【0047】
また、パケットの送信時には、PHY回路23では、MAC回路22から入力されたデータに、プリアンブル付加部33によってプリアンブルデータが付加され、アイドルデータ付加部34によってアイドルデータが付加される。そして、符号化部35によって8bitデータから10bitデータに符号化され、SERDES回路27によってパラレル信号からシリアル信号に変換されて、LAN90へ出力される。また、PHY回路23は、最適な通信設定を行うオートネゴシエーション部36、ループバックテストを行うループバック部37を有している。
【0048】
節電状態では、検出部24を除くブロックに対する電力が停止され、検出部24のみが機能する。検出部24は、上述したSERDES回路27及び復号化部29に加えて、データ監視部38とレジスタ39とを備えて構成される。なお、レジスタ39は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0049】
データ監視部38は、イーサネットフレームで構成されるパケットのプリアンブルに含まれるSFD(Start Frame Delimiter)値を検出することにより、LAN90から送信されたパケットの検出を行う。データ監視部38は、復号化部29からエラスティックバッファ30へ出力されるデータを監視する。なお、データ監視部38は、特許請求の範囲に記載の監視手段として機能する。
【0050】
SFD値は、パケットの種類に関係なく固定値であるため、SERDES回路27によってパラレル信号に変換された後であれば、PHY回路23内において検知することができる。また、復号化部29によって8bitデータに符号化された後のデータを監視することで、符号化される前の10bitデータを監視する場合より簡易にデータの検出を行うことができる。
【0051】
レジスタ39には、例えば、24時間起動しているサーバ7のMACアドレスが登録されている。すなわち、サーバ7は、特許請求の範囲に記載の特定の端末に相当する。ユーザが操作パネル10を用いて任意の端末を登録することができる。ユーザが入力したMACアドレスは、ストレージに保存され、MFP3が起動する際にCPUによってストレージからPHY回路23のレジスタ39に書き込まれる。
【0052】
データ監視部38は、SFD値を検出した後に、受信データから送信元のMACアドレスを示す部分を特定する。イーサネットフレームでは、1byteで示されるSFD、6bytesで示されるDA(Destination Address)の後に6bytesで示される送信元のMACアドレスが埋め込まれている。このため、PHY回路23内において送信元のMACアドレスを特定することができる。
【0053】
そして、データ監視部38は、特定した送信元のMACアドレスがレジスタ39に登録されたMACアドレスと一致しない場合、制御部21、MAC回路22、PHY回路23全体を起動させるための起動信号を制御部21へ出力する。これにより、レジスタ39にMACアドレスが登録されたサーバ7以外の通信端末5からパケットが送信された場合に、起動信号が制御部21へ出力される。制御部21は、起動信号によって起動し、制御部21、MAC回路22、及びPHY回路23に電力が供給され、待機状態に復帰する。
【0054】
この待機状態は、MFP3において、スキャナ12、プリンタ13等のメイン機能は停止した状態で、LAN I/F20によるネットワーク応答が可能な状態である。また、待機状態で印刷要求を受信した場合には、プリンタ13を起動させて印刷処理を行うことができる。なお、待機状態では、データ監視部38への電力の供給を停止することにより、省電力化を図ることができる。
【0055】
次に、図4を参照して通信端末5について説明する。図4は、本実施形態に係る通信端末5の構成を示すブロック図である。通信端末5は、マウス又はキーボード等の入力部51と、ディスプレイ等の表示部52と、LAN I/F53と、制御部54を備えている。ユーザは、例えば、通信端末5において作成した印刷データを印刷要求と共にLAN I/F53を介してMFP3へ送信し、MFP3において印刷データの印刷を行うことができる。
【0056】
制御部54は、LAN I/F53による通信制御を行う通信制御部56と、MFP3の状態を表示部52へ出力する通知部57とを備える。なお、LAN I/F53と通信制御部56とによって、特許請求の範囲に記載の通信手段としての機能が発揮される。また、表示部52と通知部57とによって、特許請求の範囲に記載の通知手段としての機能が発揮される。
【0057】
通信制御部56は、通信端末5が起動した際に、応答を要求するパケットをMFP3へ送信するように制御を行う。送信するパケットとして、ブロードキャストパケットを用いることにより、MFP3のMACアドレスが分からない起動時においても、MFP3に向けてパケットを送信することができる。また、応答を要求するパケットとして、ARPパケットを用いることができる。なお、ARPパケットの他に、SNMPパケット、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケット等を用いてもよい。
【0058】
通信制御部56は、MFP3から応答が得られるまで、ARPパケットを所定時間内に複数回送信するように通信制御を行う。例えば、通信制御部56は、MFP3から応答が得られるまで、所定の間隔をあけてARPパケットを4回送信するように通信制御を行う。複数回ARPパケットを送信するのは、MFP3が節電状態である場合、1回目のARPパケットに対しては応答できないためである。1回目のARPパケットによって、MFP3のLAN I/F20の起動が開始されるので、通信端末5は、所定時間内にARPパケットに対する応答を得ることができる。
【0059】
通知部57は、通信端末5が起動した際に、MFP3がアイドル状態である旨の通知を表示部52へ出力する。そして、通信制御部56によってARPパケットが所定回数送信され、所定時間内にMFP3からARP応答が得られなかった場合に、通知部57は、通信エラーを表示部52へ出力する。これにより、所定時間内にMFP3からARP応答が得られなかった場合にのみ、通信エラーが表示部52に表示される。
【0060】
引き続いて、MFP3及び通信端末5の動作について説明する。最初に、図5を参照して、MFP3が待機状態から節電状態に移行する処理について説明する。図5は、MFP3が待機状態から節電状態へ移行する処理を示すシーケンス図である。なお、サーバ7のMACアドレスがレジスタ39に登録され、複数の通信端末5のMACアドレスは、登録されていない場合について以下説明する。
【0061】
最初、MFP3は、ネットワーク応答が可能な待機状態にある(ステップS101)。そこで、1台の通信端末5の電源がOFFになり(ステップS102)、他の全ての通信端末5もOFFになり、全ての通信端末5が応答不能な状態となると(ステップS103)、全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると、MFP3の判定部25によって判定される(ステップS104)。全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると判定されると、検出部24を除くPHY回路23、MAC回路22、及び制御部21に対する電力の供給が、電力制御部26によって停止される(ステップS105)。これにより、MFP3は、節電状態に移行する。
【0062】
MFP3が節電状態であるときに、サーバ7からパケットがMFP3へ送信されると(ステップS106)、送信されたパケットのSFD値が、MFP3の検出部24によって検出される(ステップS107)。続いて、パケットに含まれる送信元のMACアドレスが検出部24によって特定され、レジスタ39に登録されたMACアドレスと一致するか否か判断される(ステップS108)。サーバ7のMACアドレスはレジスタに登録されているので、待機状態に復帰する処理は行われずに、節電状態が維持される。
【0063】
次に、図6を参照して、MFP3がARPパケットによって節電状態から待機状態に復帰する処理について説明する。図6は、MFP3がARPパケットによって節電状態から待機状態に復帰する処理を示すシーケンス図である。
【0064】
最初、MFP3は節電状態にある(ステップS111)。一方、1台の通信端末5が起動すると(ステップS112)、MFP3がアイドル状態である旨の表示が、通信端末5の表示部52に表示される(ステップS113)。そして、1回目のARPパケットが、通信端末5によってMFP3へ送信される(ステップS114)。
【0065】
MFP3では、通信端末5によって送信されたARPパケットのSFD値が、検出部24によって検出される(ステップS115)。続いて、パケットに含まれる送信元のMACアドレスが、検出部24によって特定され、レジスタ39に登録されたMACアドレスと一致するか否か判断される。
【0066】
通信端末5のMACアドレスはレジスタ39に登録されていないので、復帰処理が実行される(ステップS116)。復帰処理では、LAN I/F20を起動させるための起動信号が、データ監視部38によって、制御部21へ出力される。これにより、制御部21、MAC回路22、PHY回路23に対する電力の供給が開始される。
【0067】
一方、2回目のARPパケットが、通信端末5によってMFP3へ送信される(ステップS117)。MFP3のLAN I/F20が起動中である場合、MFP3は、通信端末5から送信されたARPパケットに対する応答を行うことができない。そこで、MFP3が待機状態に復帰した後(ステップS118)、再びARPパケットが通信端末5によって送信されると(S119)、ARPパケットがMFP3のLAN I/F20によって認識され、ARP応答が送信される(ステップS120)。送信されたARP応答が、通信端末5によって受信されると、MFP3が印刷可能な状態である旨の表示が、通信端末5の表示部52に表示される(ステップS121)。
【0068】
また、MFP3が待機状態に復帰した後に、他方の通信端末5が起動した場合(ステップS122)、ARPパケットが、他方の通信端末5からMFP3へ送信される(ステップS123)。このときMFP3は、待機状態でLAN I/F20がネットワーク応答可能な状態であるので、通信端末5から送信されたARPパケットに対するARP応答が、LAN I/F20によって送信される(ステップS124)。送信されたARP応答が、通信端末5によって受信されると、MFP3が印刷可能な状態である旨の表示が、通信端末5の表示部52に表示される(ステップS125)。
【0069】
上記では、通信端末5にインストールされたドライバの機能により、起動する際にARPパケットが送信され、ARPパケットによってMFP3が節電状態から待機状態に復帰した。ここで、ドライバの機能によってARPパケットが送信される前に、通信端末5にインストールされたOS(Operating System)によってパケットをMFP3に送信してもよい。この場合について、図7を参照して説明する。図7は、MFP3が通信端末5のOSの機能によって送信されるパケットによって節電状態から待機状態に復帰する処理を示すシーケンス図である。
【0070】
最初、MFP3は節電状態にある(ステップS131)。一方、通信端末5が起動すると(ステップS132)、通信端末5のOSの機能によって、パケットがMFP3へ送信される(ステップS133)。その後、ドライバの機能によって、MFP3がアイドル状態である旨の表示が、通信端末5の表示部52に表示される(ステップS134)。
【0071】
MFP3では、通信端末5によって送信されたパケットのSFD値が、検出部24によって検出される(ステップS135)。続いて、パケットに含まれる送信元のMACアドレスが、検出部24によって特定され、レジスタ39に登録されたMACアドレスと一致するか否か判断される。
【0072】
通信端末5のMACアドレスはレジスタ39に登録されていないので、復帰処理が実行される(ステップS136)。一方、通信端末5のドライバの機能によって、1回目のARPパケットが、MFP3へ送信される(ステップS137)。この時点で、MFP3のLAN I/F20が起動中であるため、MFP3は、通信端末5から送信されたARPパケットに対する応答を行うことができない。
【0073】
MFP3が待機状態に復帰した後(ステップS138)、再びARPパケットが通信端末5によって送信されると(S139)、ARP応答が、MFP3のLAN I/F20によって送信される(ステップS140)。ARP応答が、通信端末5によって受信されると、MFP3が印刷可能な状態である旨の表示が、通信端末5の表示部52に表示される(ステップS141)。
【0074】
なお、通信端末5が起動した際に、MFP3のコンセントが抜けていた等の理由で、通信端末5がパケットを送信してもMFP3が起動できない場合も考えられる。この場合の通信端末5によるエラー処理について、図8を参照して説明する。図8は、通信端末5のエラー処理を示すシーケンス図である。
【0075】
通信端末5が起動すると(ステップS151)、MFP3がアイドル状態である旨の表示が、通信端末5の表示部52に表示される(ステップS152)。そして、1回目のARPパケットが、通信端末5によってMFP3へ送信される(ステップS153)。MFP3の電源が完全にOFFになっており、MFP3からARP応答が得られないので、2回目のARPパケットが、通信端末5によってMFP3へ送信される(ステップS154)。
【0076】
一定の間隔をあけて3回目のARPパケット、4回目のARPパケットが、通信端末5によってMFP3へ送信される(ステップS155,S156)。4回目のARPパケットに対してもARP応答が得られないので、通信端末5では、エラー表示が表示部52に表示される(ステップS157)。このように、MFP3の電源が完全にOFFとなっている等の理由で、通信端末5とMFP3との間で通信の確立ができない場合には、通信エラーが通知される。
【0077】
以上説明した本実施形態に係るMFP3では、全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、検出部24を除くPHY回路23、MAC回路22、及び制御部21に対する電力の供給が停止され、節電状態となる。従って、LAN I/F20の省電力化を実現することが可能となる。これにより、MFP3全体の省電力化を実現することができる。
【0078】
また、MFP3が節電状態である場合に、通信端末5が起動し、MFP3へパケットを送信すると、送信されたパケットが、PHY回路23の検出部24によって検出される。そして、LAN I/F20を起動させるための起動信号が出力される。この起動信号によって、LAN I/F20を起動させることができる。従って、通信端末5からパケットが送信されると、節電状態から処理要求に応じることが可能な待機状態に復帰することができる。すなわち、節電状態でLAN I/F20の省電力化を実現すると共に、節電状態から印刷要求に応じることができる待機状態へ必要に応じて自動的に復帰することが可能となる。
【0079】
節電状態において、データ監視部38は、復号化部29からエラスティックバッファ30へ出力されるデータを監視するので、PHY回路23において、エラスティックバッファ30より下流のブロックに対する電力の供給を停止させることができる。また、節電状態では、入力されたパケットの検出のみを行うので、PHY回路23において、パケットの送信を行うブロックに対する電力の供給を停止させることができる。
【0080】
また、データ監視部38が、復号化部29によって復号化されたパケットを監視することにより、通信端末5から送信されたパケットを検出するので、復号化される前のパケットを監視する場合と比較して、データ監視部38の構成を簡単にすることができる。具体的に説明すると、復号化される前の10Bitデータは、+と−の2つのパターンのRD(ランニングディスパリティ)が存在するので、データ監視部38が復号化される前のデータを監視する場合、2つのパターンを監視するための構成が必要となる。これに対して、復号化された後の8Bitデータは、1つのパターンしかないので、データ監視部38の構成を簡単にすることができる。
【0081】
更に、レジスタ39にサーバ7のMACアドレスが登録され、節電状態でパケットを受信した場合であっても、受信したパケットの送信元のMACアドレスがサーバ7のMACアドレスである場合は、節電状態が維持される。よって、24時間稼働しているサーバ7等のMACアドレスを登録することにより、サーバ7等からパケットが送信された場合でも、節電状態を保つことができる。
【0082】
本実施形態に係る通信端末によれば、起動した際に、ARPパケットがMFP3に送信される。これにより、MFP3が節電状態である場合、送信されたARPパケットによって、LAN I/F20を起動させ、ネットワーク応答が可能な待機状態にMFP3を復帰させることができる。従って、通信端末5が起動すると、節電状態から印刷要求に応じることができる状態へ自動的にMFP3を復帰させることができる。そして、ARPパケットが複数回送信されるので、MFP3が節電状態で1回目のパケットに対して応答できない場合であっても、MFP3が応答できる状態に復帰してから送信されたARPパケットに対して応答することが可能となる。
【0083】
また、一般的な処理では、ARPパケットに対して応答がないとエラー通知を行うので、MFP3がARPパケットに対して応答できない節電状態となっている場合は、必ずエラー通知がなされることになる。この場合、MFP3が自動的に復帰するにもかかわらず、エラーを通知するので、不具合が起こったとユーザを誤認させるおそれがある。これに対して、本実施形態では、複数回ARPパケットを送信して所定時間が経過しても応答が得られなかった場合にエラー通知を行うので、MFP3が所定時間内に復帰すれば、エラー通知が行われない。これにより、ユーザの誤認を防止することができる。
【0084】
本実施形態に係るネットワークシステム1によれば、MFP3と複数の通信端末5とを備えるので、上述したように、節電状態において、通信端末5が起動すると、処理要求に応じることができる状態へ自動的に復帰することが可能となる。また、MFP3における節電状態でLAN I/F20の省電力化を実現することができるので、ネットワークシステム1全体としての省電力化を実現することができる。
【0085】
次に、図9及び図10を参照して、コンピュータ60を通信端末5として機能させるプログラム70について説明する。図9は、本実施形態に係るプログラム70を実行するためのコンピュータ60の構成を示すブロック図である。図10は、プログラム70のモジュール構成を示す図である。
【0086】
コンピュータ60は、プログラム61の実行等を制御する制御部(CPU)62と、プログラム61等が記憶されたハードディスク63と、メモリ(RAM)64と、CD−ROM等の記録媒体に記録されたプログラム等を読み取り可能な読取装置65を備えている。また、コンピュータ60は、入力部66と、表示部67と、LAN I/F68とを備えている。
【0087】
プログラム70は、CD−ROM等の記録媒体に記録されていてもよいし、ネットワークを介してサーバ等からコンピュータに提供されるものであってもよい。プログラム70は、処理を統括するメインモジュール71、通信制御モジュール72、及び通知モジュール73を備える。例えば、読取装置65により読み取られハードディスク63に記憶(インストール)されたプログラム61の各モジュールが実行されることにより、コンピュータ60が、通信端末5を構成する入力部51、表示部52、LAN I/F53、及び通信制御部56と通知部57とを有する制御部54として機能する。
【0088】
本実施形態によれば、プログラム70が実行されることにより、コンピュータ60を上述した通信端末5として機能させることができる。従って、コンピュータ60の起動によって、MFP3を節電状態から処理要求に応じることができる状態へ自動的に復帰させることができる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、節電状態で検出部24を除くPHY回路23に対する電力の供給を停止したが、節電状態では、PHY回路23全体に通電していてもよい。この場合でも、制御部21及びMAC回路22における消費電力を省くことができるので、LAN I/F20における省電力化を実現することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、データ監視部38が、復号化部29からエラスティックバッファ30へ出力されるデータを監視することとしたが、これに限られない。データ監視部38が監視するデータは、SERDES回路27によってパラレル信号に変換された後のデータであって、GMII32へ入力される前のデータであればよい。例えば、データ監視部38が、SERDES回路27から復号化部29へ出力されるパケット(データ)を監視してもよい。この場合、SERDES回路27より下流側の部分に電力を供給する必要がなくなる。従って、更なる省電力化を実現することができる。
【0091】
なお、上記のPHY回路23の構成は、一例であり、通信規格によりPHY回路23の構成は異なってもよい。例えば、上記実施形態では、ギガビットイーサネットの通信規格に対応してGMII32を用いることとしたが、10/100イーサネット、その他のイーサネットの規格に対応した構成であってもよい。また、上記実施形態では、復号化部29及び符号化部35が、8bitデータと10bitデータとの間の復号化及び符号化を行うこととしたが、例えば、4bitデータと5bitデータとの間の復号化及び符号化を行うように構成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、判定部25によって特定の端末を除く全ての通信端末5がパケットをMFP3へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、節電状態へ移行することとしたが、これに限られない。例えば、ユーザの操作により節電状態に移行してもよいし、所定の時刻に節電状態に移行してもよい。また、全ての通信端末5の電源がOFFになったことを検知して、節電状態に移行するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 ネットワークシステム
3 MFP
5 通信端末
7 サーバ
20 LAN I/F
21 制御部
22 MAC回路
23 PHY回路
24 検出部
25 判定部
26 電力制御部
27 SERDES回路
29 復号化部
38 データ監視部
39 レジスタ
40 応答制御部
56 通信制御部
57 通知部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通信端末との間でパケットの送受信を行うネットワークインターフェースを有するネットワーク装置であって、
前記ネットワークインターフェースは、
前記通信端末から送信されたパケットを検出する検出手段を含むPHY回路と、
前記PHY回路と接続されたMAC回路と、
前記MAC回路と接続された制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記パケットに対する応答処理を行う応答処理手段と、
前記MAC回路及び前記制御手段に対する電力の供給を停止する電力制御手段とを有し、
前記検出手段は、前記MAC回路及び前記制御手段に対する電力の供給が停止された節電状態において、前記通信端末から送信されたパケットを検出した場合に、前記MAC回路及び前記制御手段に対する電力の供給を復帰させる制御信号を出力することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記通信端末がパケットを自機へ送信することが可能な状態か否かを判定する判定手段を有し、
前記電力制御手段は、前記判定手段によって前記通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、前記MAC回路及び前記制御手段に対する電力の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
前記電力制御手段は、前記判定手段によって前記通信端末がパケットを自機へ送信することが不可能な状態であると判定された場合に、前記MAC回路及び前記制御手段に対する電力の供給を停止すると共に、前記検出手段を除く前記PHY回路に対する電力の供給を停止することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記ネットワークから入力されたパケットをシリアル信号からパラレル信号に変換して出力する変換手段と、
前記変換手段によって変換されたパケットを復号化して出力する復号化手段と、
前記復号化手段によって出力されたパケットを監視することにより、前記通信端末から送信されたパケットを検出する監視手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記ネットワークから入力されたパケットをシリアル信号からパラレル信号に変換して出力する変換手段と、
前記変換手段によって出力されたパケットを監視することにより、前記通信端末から送信されたパケットを検出する監視手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記検出手段は、特定の端末のMACアドレスを記憶する記憶手段を備え、
前記判定手段は、前記特定の端末を除く全ての前記通信端末がパケットを自機へ送信することが可能な状態か否かを判定し、
前記検出手段は、前記節電状態において、検出した前記パケットに含まれる送信元のMACアドレスが、前記記憶手段に記憶されているMACアドレス以外のMACアドレスである場合に、前記制御信号を出力することを特徴とする請求項2又は3に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
前記通信端末から送信される印刷データを用紙に印刷するプリンタを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のネットワーク装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のネットワーク装置とネットワークを介してパケットの送受信を行う通信端末であって、
起動した際に、前記ネットワーク装置から応答が得られるまで、応答を要求するパケットを所定時間内に複数回送信する通信手段と、
前記所定時間内に前記ネットワーク装置から応答が得られなかった場合に、通信エラーを通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のネットワーク装置と、請求項8に記載の通信端末とを備えることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のネットワーク装置とネットワークを介してパケットの送受信を行うコンピュータを、
起動した際に、前記ネットワーク装置から応答が得られるまで、応答を要求するパケットを所定時間内に複数回送信する通信手段、
前記所定時間内に前記ネットワーク装置から応答が得られなかった場合に、通信エラーを通知する通知手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−199761(P2011−199761A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66654(P2010−66654)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】