説明

ネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計プログラム

【課題】ユーザにとって分かりやすい設計結果を得ること。
【解決手段】入力部110は、光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および各ノード間のパス情報が入力される。設計部120は、入力部110によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて各ノードの波長分散設計を行う。出力部130は、設計部120による設計結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク設計を行うネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ネットワーク分野においては、光信号のまま波長単位での分岐挿入、経路切替などを実現する光分岐挿入(OADM:Optical Add−Drop Multiplexer)装置や、光ハブとも称される波長クロスコネクト(WXC:Wavelength Cross Connect)装置などの実現により、リング相互接続、メッシュなどの複雑なトポロジを持つ光ネットワークの構築が進んでいる。このように複雑化するネットワークの光伝送設計や機器配置などの最適設計に対する要求が高まってきている(たとえば、下記特許文献1,2参照。)。
【0003】
たとえばDCM(Dispersion Compensator Module:分散補償モジュール)の配置を設計する波長分散設計がある。波長分散設計においては、たとえば、光ネットワークの各ノード(サイト)をいくつかのセグメントに分け、それぞれのセグメントについてセグメント内のあらゆる二つのノードを結ぶパス(たとえば波長パス)の全てが伝送可となるように設計を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/006604号パンフレット
【特許文献2】特開2005−166698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、たとえばセグメントをまたぐパスについて、伝送可のパスよりスパン数が少ないパスが伝送不可となる不自然な設計となる場合がある。このような設計は、ユーザにとって分かりにくく、納得感を得にくいという問題がある。
【0006】
開示のネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計プログラムは、上述した問題点を解消するものであり、ユーザにとって分かりやすい設計結果を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力手段と、前記入力手段によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計手段と、前記設計手段による設計結果を出力する出力手段と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示のネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計プログラムによれば、ユーザにとって分かりやすい設計結果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態にかかるネットワーク設計装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ネットワークの設計例を示す図(その1)である。
【図3】ネットワークの設計例を示す図(その2)である。
【図4】図1に示したネットワーク設計装置の動作を示すフローチャートである。
【図5−1】図4に示した動作による設計例を示す図(その1)である。
【図5−2】図4に示した動作による設計例を示す図(その2)である。
【図5−3】図4に示した動作による設計例を示す図(その3)である。
【図5−4】図4に示した動作による設計例を示す図(その4)である。
【図5−5】図4に示した動作による設計例を示す図(その5)である。
【図5−6】図4に示した動作による設計例を示す図(その6)である。
【図6−1】セグメント内の重複部分の処理を示す図(その1)である。
【図6−2】セグメント内の重複部分の処理を示す図(その2)である。
【図7−1】スパン設計が未終了の部分の処理を示す図(その1)である。
【図7−2】スパン設計が未終了の部分の処理を示す図(その2)である。
【図8】ネットワーク情報が示すネットワークトポロジの一例を示す図である。
【図9】ネットワーク情報が示す各スパンの分散値の一例を示す図である。
【図10】スパン数に対する分散トレランスを示す図である。
【図11】図8〜図10に示した条件におけるセグメントの決定例を示す図である。
【図12】第一設計部による設計結果の一例を示す図である。
【図13】第二設計部による設計結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、開示のネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(ネットワーク設計装置の構成)
図1は、実施の形態にかかるネットワーク設計装置の構成を示すブロック図である。実施の形態にかかるネットワーク設計装置100は、ネットワークの波長分散設計を行う装置である。図1に示すように、ネットワーク設計装置100は、入力部110と、設計部120と、出力部130と、を備えている。入力部110には、光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報と、ネットワーク情報が示す各ノード間のパス(デマンド)を示すパス情報と、が入力される。
【0012】
ノードは、OADMやWXCなどの通信装置が設置される局舎(サイト)である。パスは、ノード同士をつなぐ経路である。たとえばネットワーク200がWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)ネットワークである場合は、パスはWDMの波長パスである。入力部110は、入力されたネットワーク情報およびパス情報を設計部120へ出力する。
【0013】
設計部120は、入力部110から出力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、所定の条件を用いて各ノードの波長分散設計を行う。波長分散設計は、たとえば、各ノード間の各スパンに適用するDCMの組み合わせの設計である。設計部120は、波長分散設計をたとえば線形計画法によって行う。これにより、伝送条件および制約条件を満たす波長分散設計を効率よく行うことができる。設計部120は、具体的には、第一設計部121と、第二設計部122と、を備えている。
【0014】
第一設計部121は、入力部110から出力されたネットワーク情報が示す各ノードを、互いに重複部を有する各セグメントに分類する。このとき、第一設計部121は、各ノードの波長分散設計を行いながら各セグメントの決定を行い、各セグメント内の各パスが伝送条件を満たす波長分散設計が存在するようにする。
【0015】
そして、第一設計部121は、セグメントの決定において行った波長分散設計を設計結果として得る。したがって、第一設計部121によって得られる設計結果は、各セグメント内の各パスが伝送条件を満たす設計結果である。第一設計部121は、ネットワーク情報、パス情報および設計結果を第二設計部122へ出力する。また、第一設計部121は、決定した各セグメントの重複部分を第二設計部122へ通知する。
【0016】
第二設計部122は、第一設計部121から出力された設計結果に対して、第一設計部121から通知された重複部分の波長分散設計を、所定の制約条件を用いて再度行う。第二設計部122において用いる所定の制約条件は、伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件である。第二設計部122は、重複部分の波長分散設計を再度行った設計結果を出力部130へ出力する。
【0017】
出力部130は、第二設計部122から出力された設計結果を出力する。出力部130から出力される設計結果は、たとえば、ネットワーク設計装置100へ入力されたネットワーク情報が示す各ノード間の各スパンに適用するDCMの組み合わせである。ユーザは、出力された設計結果に従って、各スパンに適用するDCMをスパンの終点ノードに設置することで、伝送条件および制約条件を満たすネットワークを構築することができる。
【0018】
上述した入力部110は、たとえば、キーボードやマウスなどのユーザインターフェースや、ネットワーク情報やパス情報が記憶された外部記憶装置との間の通信インターフェースなどの各種のインターフェースによって実現することができる。設計部120は、たとえばDSP(Digital Signal Processor)などの演算手段によって実現される。出力部130は、たとえば、ディスプレイなどのユーザインターフェースや、設計結果を記憶するための外部記憶装置やプリンタとの間の通信インターフェースなどの、各種のインターフェースによって実現することができる。
【0019】
ネットワーク設計装置100はメモリを備えており、入力部110は、入力されたネットワーク情報やパス情報をネットワーク設計装置100のメモリに記憶する。設計部120は、ネットワーク設計装置100のメモリに記憶されたネットワーク情報やパス情報を読み出し、読み出したネットワーク情報やパス情報に基づいて波長分散設計を行う。設計部120は、設計結果をネットワーク設計装置100のメモリに記憶する。出力部130は、ネットワーク設計装置100のメモリに記憶された設計結果を読み出して出力する。
【0020】
(ネットワークの設計例)
図2は、ネットワークの設計例を示す図(その1)である。ここでは、入力部110から入力されたネットワーク情報が、ノードA〜Mを含むネットワーク200を示しているとする。ネットワーク200においては、ノードA〜Lがリング状に接続され、さらにノードA,M,Gが直列に接続されている。この場合は、ノードAおよびノードGは、3つ以上のノードに接続されたハブノードである。第一設計部121は、ノードA〜Mを、セグメント内の各パスが伝送条件を満たすセグメントに分類する。
【0021】
たとえば、第一設計部121は、ノードA〜Mからハブノードを選択する。ここでは、ハブノードであるノードA,GのうちのノードAが選択されたとする。第一設計部121は、選択したノードAからスパン数N(N=1,2,3,…)以内に含まれる各ノードをセグメントとして仮決めする。そして、第一設計部121は、セグメント内の各パスが波長分散の伝送条件を満たす波長分散設計が存在する限りノード数Nを1,2,3,…と増加させていき、ノード数Nが最大となるセグメントを決定する。
【0022】
ここでは、ノードAを中心とするセグメントとしてスパン数N=4におけるセグメントが決定されたとする。ノードAを中心とするセグメントは、ノードA〜Eからなる経路211と、ノードA,M,G,F,Eからなる経路212と、ノードA,M,G,H,Jからなる経路213と、ノードA,L,K,J,Hからなる経路214と、を含むセグメントである。この場合は、ノードAを中心とするセグメントはノードA〜Mのすべてを含んでいるため、ノードA〜Mにおける各パスが伝送可となる設計結果を得ることができる。
【0023】
第一設計部121による波長分散設計の設計結果は第二設計部122へ出力される。ここでは、ノードA〜Mのすべてのパスが伝送可となっているため、第一設計部121においては再度の波長分散設計を行わなくてもよい。この場合は、第一設計部121の設計結果がそのまま出力部130から出力される。
【0024】
図3は、ネットワークの設計例を示す図(その2)である。図3に示すように、ネットワーク200において、ノードAを中心としてスパン数N=3におけるセグメントが決定されたとする。このノードAを中心とするセグメントは、ノードA〜Dからなる経路311と、ノードA,M,G,Fからなる経路312と、ノードA,M,G,Hからなる経路313と、ノードA,L,K,Jからなる経路314と、を含むセグメントである。
【0025】
このノードAを中心とするセグメントは、ノードA〜MのうちのノードEを含んでいない。この場合は、第一設計部121は、ノードEを中心とするセグメントを決定する。ここでは、ノードEを中心としてスパン数N=3におけるセグメントが決定されたとする。このノードEを中心とするセグメントは、ノードE,D,C,Bからなる経路321と、ノードE,F,G,Mからなる経路322と、ノードE,F,G,Hからなる経路323と、を含むセグメントである。
【0026】
また、ノードA,Eを中心とする各セグメントは、ノードJとノードHとの間のスパンを含んでいない。この場合は、たとえば、ノードJを中心とするセグメントを決定する。ここでは、ノードJを中心としてスパン数N=3におけるセグメントが決定されたとする。このノードJを中心とするセグメントは、ノードJ,K,L,Aからなる経路331と、ノードJ,H,G,Fからなる経路332と、ノードJ,H,G,Mからなる経路333と、を含むセグメントである。
【0027】
このように、第一設計部121は、1つのセグメント(ノードAを中心とするセグメント)内ですべてのパスが伝送可とならない場合は、ネットワーク200のノードA〜Mを、重複部分を有する複数のセグメントに分類する。そして、第一設計部121は、分類した各セグメント内においては各パスが伝送要件を満たすようにする。
【0028】
以上説明した第一設計部121による波長分散設計の設計結果は第二設計部122へ出力される。第二設計部122は、各セグメントの重複部分について、第一設計部121による波長分散設計の設計結果に対して再度波長分散を行う。第二設計部122による波長分散設計については後述する。
【0029】
(ネットワーク設計装置の動作)
図4は、図1に示したネットワーク設計装置の動作を示すフローチャートである。図1に示したネットワーク設計装置100は、ネットワーク情報およびパス情報が入力部110から入力された場合に、たとえば以下の各ステップを行う。まず、ネットワーク情報が示す各ノードに含まれる各ハブノードのうちの、決定済みのセグメントに含まれていないハブノードが存在するか否かを判断する(ステップS401)。
【0030】
ステップS401において、セグメントに含まれていないハブノードが存在する場合(ステップS401:Yes)は、セグメントに含まれていないハブノードのいずれかを選択する(ステップS402)。つぎに、ステップS402によって選択されたハブノードを中心とするセグメントを決定し(ステップS403)、ステップS401へ戻る。
【0031】
ステップS401において、セグメントに含まれていないハブノードが存在しない場合(ステップS401:No)は、ネットワーク情報が示す各ノードのうちの、決定済みのセグメントに含まれていないノードが存在するか否かを判断する(ステップS404)。セグメントに含まれていないノードが存在する場合(ステップS404:Yes)は、セグメントに含まれていないノードのいずれかを選択する(ステップS405)。
【0032】
つぎに、ステップS405によって選択されたノードを中心とするセグメントを決定し(ステップS406)、ステップS404へ戻る。ステップS401〜S406は、たとえば図1の第一設計部121によって行われる。ステップS401〜S406により、ネットワーク情報が示す各ノードが複数のセグメントに分類される。
【0033】
ステップS404において、セグメントに含まれていないノードが存在しない場合(ステップS404:No)は、決定された各セグメントの重複部分のうちの重複処理(ステップS408,S409の処理)が未終了の重複部分が存在するか否かを判断する(ステップS407)。重複処理が未終了の重複部分が存在する場合(ステップS407:Yes)は、重複処理が未終了の重複部分のいずれかを選択する(ステップS408)。
【0034】
つぎに、ステップS408によって選択された重複部分について波長分散設計を行い(ステップS409)、ステップS407へ戻る。ステップS409における波長分散設計においては、伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を設ける。ステップS407〜S409は、たとえば図1の第二設計部122によって行われる。
【0035】
ステップS407において重複処理が未終了の重複部分が存在しない場合(ステップS407:No)は、ステップS403,S406,S409による設計結果を出力部130により出力し(ステップS410)、一連の動作を終了する。以上の各ステップにより、ネットワーク情報が示すネットワークの波長分散設計の設計結果を得ることができる。
【0036】
(ネットワークの具体的な設計例)
図5−1は、図4に示した動作による設計例を示す図(その1)である。ここでは、入力部110から入力されたネットワーク情報がネットワーク500を示しているとする。ネットワーク500の各ノードには、ハブノード501〜506が含まれている。まず、図4のステップS402において、ハブノード501が選択されたとする。
【0037】
この場合は、図4のステップS403においては、ハブノード501からスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが波長分散の伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出する。そして、ハブノード501から最大のスパン数Nの範囲の各ノードを、ハブノード501を中心とするセグメントとして決定する。伝送条件を満たすか否かは、伝送条件を満たす各スパンのDCMの組み合わせが存在するか否かによって判断する。
【0038】
ここでは、ハブノード501からスパン数N≦5の範囲内の各パスは伝送条件を満たし、ハブノード501からスパン数N=6の範囲内の各パスの少なくともいずれかが伝送条件を満たさなかったとする。この場合は、ハブノード501からスパン数5以内の範囲に含まれる各ノードをセグメント510として決定する。
【0039】
つぎに、図4の2周目のステップS402においては、決定済みのセグメント510に含まれていないハブノード(ハブノード503〜506)のいずれかを選択する。このとき、たとえば、ハブノード503〜506のうちの、決定済みのセグメント510からのスパン数(たとえば最小スパン数)が最も小さいハブノードを選択するとよい。
【0040】
ハブノード503〜506のセグメント510からの最小スパン数は、それぞれ1,2,2,8である。したがって、セグメント510からの最小スパン数が最も小さいハブノード503を選択する。そして、図4のステップS403においては、選択したハブノード503を中心とする範囲の各ノードをセグメントとして決定する(図5−2参照)。
【0041】
図5−2は、図4に示した動作による設計例を示す図(その2)である。図4の2周目のステップS403においては、ハブノード503からスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが波長分散の伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出する。そして、ハブノード503から最大のスパン数Nの範囲の各ノードを、ハブノード503を中心とするセグメントとして決定する。
【0042】
ここでは、ハブノード503からスパン数N≦5の範囲内の各パスは伝送条件を満たし、ハブノード503からスパン数N=6の範囲内の各パスの少なくともいずれかが伝送条件を満たさなかったとする。この場合は、ハブノード503からスパン数5以内の範囲に含まれる各ノードをセグメント520として決定する。
【0043】
つぎに、図4の3周目のステップS402においては、決定済みのセグメント510,520に含まれていないハブノード(ハブノード505,506)のいずれかを選択する。ここでは、ハブノード505,506のセグメント510,520からの最小スパン数がともに2であるためハブノード505,506のどちらを選択してもよい。ここではハブノード505を選択したとする。図4のステップS403においては、選択したハブノード505を中心とする範囲の各ノードをセグメントとして決定する(図5−3参照)。
【0044】
図5−3は、図4に示した動作による設計例を示す図(その3)である。図4の3周目のステップS403においては、ハブノード505からスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが波長分散の伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出する。そして、ハブノード505から最大のスパン数Nの範囲の各ノードを、ハブノード505を中心とするセグメントとして決定する。
【0045】
ここでは、ハブノード505からスパン数N≦5の範囲内の各パスは伝送条件を満たし、ハブノード505からスパン数N=6の範囲内の各パスの少なくともいずれかが伝送条件を満たさなかったとする。この場合は、ハブノード505からスパン数5以内の範囲に含まれる各ノードをセグメント530として決定する。
【0046】
つぎに、図4の4周目のステップS402においては、決定済みのセグメント510,520,530に含まれていないハブノード(ハブノード506)を選択する。そして、図4のステップS403においては、選択したハブノード506を中心とする範囲の各ノードをセグメントとして決定する(図5−4参照)。
【0047】
図5−4は、図4に示した動作による設計例を示す図(その4)である。図4の4周目のステップS403においては、ハブノード506からスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが波長分散の伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出する。そして、ハブノード506から最大のスパン数Nの範囲の各ノードを、ハブノード506を中心とするセグメントとして決定する。
【0048】
ここでは、ハブノード506からスパン数N≦5の範囲内の各パスは伝送条件を満たし、ハブノード506からスパン数N=6の範囲内の各パスの少なくともいずれかが伝送条件を満たさなかったとする。この場合は、ハブノード506からスパン数5以内の範囲に含まれる各ノードをセグメント540として決定する。
【0049】
これにより、決定済みのセグメント510,520,530,540に含まれていないハブノードが存在しなくなる。つぎに、図4のステップS405において、決定済みのセグメント510,520,530,540に含まれていないノード(ノード551〜554)のいずれかを選択する。このとき、ノード551〜554のうちの、決定済みのセグメント510,520,530,540からのスパン数(たとえば最小スパン数)が最も大きいノードを選択するとよい。
【0050】
ノード551〜554のセグメント510,520,530,540からの最小スパン数は、それぞれ1,2,2,1である。したがって、最小スパン数が最も大きいノード552,553のいずれを選択してもよい。ここではノード552を選択したとする。図4のステップS406においては、選択したノード552を中心とする範囲の各ノードをセグメントとして決定する(図5−5参照)。
【0051】
図5−5は、図4に示した動作による設計例を示す図(その5)である。図4のステップS406においては、ノード552からスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが波長分散の伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出する。そして、ノード552から最大のスパン数Nの範囲の各ノードを、ノード552を中心とするセグメントとして決定する。
【0052】
ここでは、ノード552からスパン数N≦5の範囲内の各パスは伝送条件を満たし、ノード552からスパン数N=6の範囲内の各パスの少なくともいずれかが伝送条件を満たさなかったとする。この場合は、ノード552からスパン数5以内の範囲に含まれる各ノードをセグメント550として決定する。これにより、決定済みのセグメント510,520,530,540,550に含まれていないノードが存在しなくなる。つぎに、図4のステップS409において、セグメント510,520,530,540,550の重複部分の波長分散設計が再度行われる(図5−6参照)。
【0053】
図5−6は、図4に示した動作による設計例を示す図(その6)である。図5−6においては、図5−5に示したセグメント510,520,530,540,550に代えて、各セグメントの重複部分561〜566および境界部分567,568を図示している。重複部分561は、セグメント510とセグメント520との重複部分である。重複部分562は、セグメント510とセグメント530との重複部分である。重複部分563は、セグメント520とセグメント540との重複部分である。
【0054】
重複部分564は、セグメント530とセグメント540との重複部分である。重複部分565は、セグメント530とセグメント550との重複部分である。重複部分566は、セグメント540とセグメント550との重複部分である。境界部分567は、セグメント510とセグメント520との境界部分である。境界部分568は、セグメント520とセグメント530との境界部分である。
【0055】
図4のステップS408においては、重複部分561〜566が順次選択され、ステップS409においては、選択された重複部分について波長分散設計が再度行われる。ステップS409においては、伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件により波長分散設計が行われる。たとえば、重複部分561の波長分散設計においては、上記の制約条件を満たすように、重複部分561に含まれる5つのノードのDCMの組み合わせが再度選択される。
【0056】
図6−1は、セグメント内の重複部分の処理を示す図(その1)である。図6−2は、セグメント内の重複部分の処理を示す図(その2)である。図6−1に示すネットワーク600において、第一設計部121は、ハブノード601からスパン数4以内の範囲に含まれる各ノードを1つのセグメントとして決定したとする。
【0057】
この場合は、ハブノード601を中心とするセグメント内で、ハブノード601およびノード602〜605を含む経路611と、ハブノード601およびノード604〜607を含む経路612と、の重複部分613が生じている。このように、1つのセグメント内で重複部分が生じた場合は、第一設計部121は、図6−2の経路620に示すように、経路611,612を統合して1つのネットワークとみなして波長分散設計を行う。
【0058】
図7−1は、スパン設計が未終了の部分の処理を示す図(その1)である。図7−2は、スパン設計が未終了の部分の処理を示す図(その2)である。図7−1および図7−2において、図6−1および図6−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図7−1に示すネットワーク600において、第一設計部121は、ハブノード601からスパン数3以内の範囲に含まれる各ノードを1つのセグメントとして決定したとする。この場合は、ハブノード601およびノード602〜604を含む経路711と、ハブノード601およびノード605〜607を含む経路712と、における波長分散設計が行われる。これに対して、ノード604とノード605との間のスパン701はセグメントに含まれていないため、スパン701の波長分散設計が行われない。
【0060】
この場合は、第一設計部121は、図7−2に示すように、ノード604とノード605のいずれかを選択する。ここでは、第一設計部121は、ノード604を選択し、ノード604を中心とするセグメントを決定したとする。そして、第一設計部121は、ハブノード601からスパン数3以内の範囲に含まれる各ノードを1つのセグメントとして決定したとする。この場合は、ハブノード601およびノード602〜604を含む経路713と、ノード604〜607を含む経路714と、における波長分散設計が行われる。
【0061】
このときも、第一設計部121は、ノード604を中心とするセグメント内の各パスが波長分散の伝送要件を満たすようにする。このように、決定済みのセグメントに含まれていないスパンがある場合は、決定済みのセグメントに含まれていないパスの両端の各ノードのいずれかを選択し、選択したノードを中心とするセグメントを決定する。これにより、すべてのスパンの波長分散を考慮して波長分散設計を行うことができる。
【0062】
(線形計画法によるセグメントの決定)
図4のステップS403,S406において、第一設計部121は、ネットワーク情報が示す各ノード間の各スパンのDCMの組み合わせを変数とし、下記(1)式を目的関数とし、下記(2)〜(5)式を制約条件とする線形計画法によりセグメントを決定する。
【0063】
【数1】

【0064】
【数2】

【0065】
【数3】

【0066】
【数4】

【0067】
【数5】

【0068】
上記(1)式において、S[k]は、スパン数がkであるすべてのパスが伝送可(伝送条件を満たす)か否かを示す識別子である。S[k]=0は伝送可を示し、S[k]=1は伝送不可を示す。SpanNoは、現在のスパン数であり、上述したスパン数Nである。上記(1)式は、N(SpanNo)以下の各スパン数のうちの、各パスが伝送可となるスパン数の個数が最大になることを示している。また、上記(1)式の計算結果が0の場合は、N以下の各スパン数においてすべてのパスが伝送可であることを示す。
【0069】
上記(2)式において、y[k][l]は、スパン数がkであるl番目のパスが伝送可か否かを示す識別子である。y[k][l]=0は伝送可を示し、y[k][l]=1は伝送不可を示す。MSNは、スパン数Nの最大値であり、たとえばOSNRの観点から決定される。N[k]は、ネットワーク情報が示す各パスのうちのスパン数がkであるパスの個数である。上記(2)式は、スパン数がkである各パスの少なくともいずれかが伝送不可の場合は、識別子S[k]を1とする制約条件を示している。
【0070】
上記(3)〜(5)式は、波長分散設計のモデルを示す式である。上記(3)〜(5)式において、yup[k][l]は、スパン数がkであるl番目のパスの残留分散の上限が分散トレランスの範囲内か否かを示す識別子である。yup[k][l]=0は分散トレランスの範囲内であることを示し、yup[k][l]=1は分散トレランスの範囲外であることを示す。
【0071】
low[k][l]は、スパン数がkであるl番目のパスの残留分散の下限が分散トレランスの範囲内か否かを示す識別子である。ylow[k][l]=0は分散トレランスの範囲内であることを示し、ylow[k][l]=1は分散トレランスの範囲外であることを示す。上記(3)式は、スパン数がkであるl番目のパスの残留分散の上限および下限の少なくともいずれかが分散トレランスの範囲外である場合は、スパン数がkであるl番目のパスは伝送不可とする制約条件を示している。
【0072】
上記(4)式および(5)式において、RD[d,λn,DCM]は、デマンドdの波長パスλnにおいてDCMを選択した場合の残留分散値を示している。また、devLower[d,λn,DCM]は、デマンドdの波長パスλnにおいて分散補償モジュールDCMを選択した場合の仕様値と設計値との分散値誤差の下限を示している。
【0073】
また、LowerTolerance[d,λn]は、デマンドdの波長パスλnにおける分散トレランスの下限を示している。また、devUpper[d,λn,DCM]は、デマンドdの波長パスλnにおいて分散補償モジュールDCMを選択した場合の仕様値と設計値との分散値誤差の上限を示している。UpperTolerance[d,λn,DCM]はデマンドdの波長パスλnにおける分散トレランスの上限を示している。
【0074】
第一設計部121は、スパン数Nを1,2,3,…と増加させながら上記(1)式を計算する。そして、第一設計部121は、計算結果(Minimize)が0にならなくなると、その時のスパン数Nより1少ないスパン数N−1の範囲をセグメントとして決定する。また、第一設計部121は、計算結果(Minimize)が0にならずにスパン数N=MSNとなると、スパン数N=MSNの範囲をセグメントとして決定する。第一設計部121は、スパン数N−1における各スパンのDCMの組み合わせを、決定したセグメント内における各スパンの設計結果とする。
【0075】
図4のステップS409において、第二設計部122は、重複部分の各ノード間の各スパンのDCMの組み合わせを変数とし、上記(1)式を目的関数とし、上記(2)〜(5)式および下記(6)式を制約条件とする線形計画法によってセグメントを決定する。
【0076】
【数6】

【0077】
上記(6)式は、M(M=1,2,3,…)以下の各スパン数において少なくともいずれかのパスが伝送不可となる(伝送条件を満たさない)場合は、M+1以上の各スパンにおける各パスは伝送不可とみなす制約条件を示している。これにより、第二設計部122は、セグメントの重複部分について、伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多い他のパスは伝送条件を満たさないように波長分散設計を行うことができる。このため、伝送可のパスよりスパン数が少ないパスが伝送不可となる不自然な設計を回避し、ユーザにとって分かりやすい設計結果を得ることができる。
【0078】
つぎに、線形計画法によるセグメントの決定の変形例について説明する。図4のステップS403,S406において、第一設計部121は、たとえば下記(7)式を目的関数とする線形計画法によってセグメントを決定してもよい。
【0079】
【数7】

【0080】
上記(7)式は、スパン数の最大値(MSN)以下の各スパン数のうちの、各パスが伝送可となるスパン数の個数が最大になることを示している。第一設計部121は、上記(7)式の計算結果(Minimize)が0である場合は、スパン数NがMSNの範囲をセグメントとして決定する。そして、第一設計部121は、スパン数NがMSNの各スパンのDCMの組み合わせを、決定したセグメント内における各スパンの設計結果とする。
【0081】
一方、第一設計部121は、上記(7)式の計算結果(Minimize)が0でない場合は、スパン数NがMSN−Minimizeの範囲をセグメントとして決定する。そして、第一設計部121は、スパン数NがMSN−Minimizeの各スパンのDCMの組み合わせを、決定したセグメント内における各スパンの設計結果とする。同様に、第二設計部122が行う線形計画法においても、上記(7)式を目的関数としてもよい。上記(7)式を目的関数とすることで、1回の線形計画法の計算によってセグメントを決定することができるため、計算量を低減することができる。
【0082】
(ネットワーク設計の具体例)
図8は、ネットワーク情報が示すネットワークトポロジの一例を示す図である。入力部110へ入力されたネットワーク情報が、図8に示すネットワーク800のネットワークトポロジを示しているとする。ネットワーク800にはノード「0」〜「7」が含まれている。ノード「0」〜「7」の各スパンには、波長分散の補償量が−35のDCMと、波長分散の補償量が−45のDCMと、の2種類のDCMを選択して配置できるとする。
【0083】
図9は、ネットワーク情報が示す各スパンの分散値の一例を示す図である。入力部110へ入力されたネットワーク情報は、たとえば、図9に示すテーブル900を含んでいる。テーブル900は、図8に示したノード「0」〜「7」の各スパンにおいて発生する波長分散の値(分散値)を示している。テーブル900において、Span[x−y]は、ノード「x」からノード「y」までのスパンを示している。図9に示すように、ここでは、各スパンの分散値が50であるとする。
【0084】
図10は、スパン数に対する分散トレランスを示す図である。入力部110へ入力されたネットワーク情報は、たとえば、図10に示すテーブル1000を含んでいる。テーブル1000は、各スパン数における分散トレランスを示している。ネットワーク設計装置100において、ToleranceUpperは、分散トレランスの上限を示している。ToleranceLowerは、分散トレランスの下限を示している。
【0085】
テーブル1000に示すように、ここでは、パスのスパン数が1増えるごとに、ToleranceUpperが5だけ低下し、ToleranceLowerが5増加する。このように、パスのスパン数が増えるほど分散トレランスが狭くなっていく。
【0086】
図11は、図8〜図10に示した条件におけるセグメントの決定例を示す図である。図8〜図10に示した条件において、まず、第一設計部121は、ノード「0」を中心とするセグメント「1」を決定する。このとき、ノード「0」からスパン数3までの範囲のセグメントにおいては各パスが伝送可となり、ノード「0」からスパン数4までの範囲のセグメントにおいては各パスが伝送不可となったとする。この場合は、ノード「0」〜「6」が、ノード「0」を中心とするセグメント「1」として決定される(符号1110)。
【0087】
つぎに、ノード「3」とノード「7」との間のスパンの波長分散設計が終わっていないため、ノード「3」とノード「7」とのいずれかを選択し、選択したノードを中心とするセグメントを決定する。ここでは、ノード「3」を選択したとする。このとき、ノード「3」からスパン数3までの範囲のセグメントにおいては各パスが伝送可となり、ノード「3」からスパン数4までの範囲のセグメントにおいては各パスが伝送不可となったとする。この場合は、ノード「0」〜「5」,「7」が、ノード「3」を中心とするセグメント「2」として決定される(符号1120)。
【0088】
図12は、第一設計部による設計結果の一例を示す図である。図12に示すテーブル1200は、第一設計部121による設計結果の一例を示している。具体的には、テーブル1200の列1210は、セグメント「1」の決定において設計された各スパンにおけるDCMを示している。また、テーブル1200の列1220は、セグメント「2」の決定において設計された各スパンにおけるDCMと、を示している。
【0089】
列1210に示すように、セグメント「1」においては、ノード「0」からノード「1」までのスパン(Span[0−1])については補償量が−45のDCMが選択されている。また、列1220に示すように、セグメント「2」においても、ノード「0」からノード「1」までのスパン(Span[0−1])については補償量が−45のDCMが選択されている。
【0090】
なお、ノード「3」からノード「7」までのスパン(Span[3−7])はセグメント「1」に含まれていないため、スパン(Span[3−7])のDCMは選択されていない。また、ノード「0」からノード「6」までのスパン(Span[0−6])はセグメント「2」に含まれていないため、セグメント「2」においてはスパン(Span[0−6])のDCMが選択されていない。
【0091】
図13は、第二設計部による設計結果の一例を示す図である。図13に示すテーブル1300は、図12のテーブル1200に示した設計結果に基づいて第二設計部122が波長分散設計を行った結果の一例を示している。具体的には、テーブル1300の列1310は、第二設計部122によって設計された各スパンにおけるDCMを示している。第二設計部122は、セグメント「1」とセグメント「2」の重複部分(ノード「0」〜ノード「5」)について波長分散設計を行う。
【0092】
すなわち、第二設計部122は、ノード「0」〜ノード「5」の間の各スパン(Span[0−1],Span[1−2],Span[2−3],Span[3−4],Span[4−5],Span[5−0])における各DCMを選択する。ただし、ここでは、重複部分においてセグメント「1」とセグメント「2」で設計結果が等しいため、セグメント「1」とセグメント「2」の設計結果を重複部分の波長分散設計として採用する。
【0093】
テーブル1300の列1310に示すように、設計部120から出力される設計結果は、Span[0−1]、Span[2−3]およびSpan[4−5]の各スパンについては補償量が−45のDCMを選択することを示している。また、設計部120から出力される設計結果は、Span[1−2]、Span[3−4]、Span[5−0]、Span[0−6]およびSpan[3−7]の各スパンについては補償量が−35のDCMを選択することを示している。
【0094】
このように、実施の形態にかかるネットワーク設計装置100は、ネットワーク情報およびパス情報に基づいて、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて各ノードの波長分散設計を行う。これにより、伝送可のパスよりスパン数が少ないパスが伝送不可となる不自然な設計を回避し、ユーザにとって分かりやすい設計結果を得ることができる。
【0095】
また、ネットワーク設計装置100は、セグメント内で各パスが伝送条件を満たす波長分散設計が存在する各セグメントに各ノードを分類し、セグメントの分類における波長分散設計を設計結果として得る。そして、ネットワーク設計装置100は、得られた設計結果に対して、セグメントの重複部分の波長分散設計を、上記の制約条件を用いて再度行う。これにより、セグメント内の各パスが伝送条件を満たすとともに、セグメントの重複部分における不自然な設計を回避することができる。
【0096】
また、ネットワーク設計装置100は、決定済みのセグメントに含まれていないハブノードを選択し、選択したハブノードを中心とする範囲の各ノードをセグメントとして決定する処理を、セグメントに含まれていないハブノードがなくなるまで行う。これにより、各セグメントがハブノードを中心とするセグメントになり、デマンドが集中するハブノードの周辺のスパンの伝送条件を優先的に満たす設計が可能になる。
【0097】
たとえば、ネットワーク設計装置100は、選択したハブノードからスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出し、選択したハブノードから最大のスパン数Nの範囲の各ノードをセグメントとして決定する。これにより、決定する各セグメントを、セグメント内の各パスが伝送条件を満たすとともに、互いに重複部分を有するセグメントとすることができる。
【0098】
また、ネットワーク設計装置100は、決定済みのセグメントに含まれていないハブノードのうちの、決定済みのセグメントからのスパン数が最も小さいハブノードを選択する。これにより、決定する各セグメントのうちの、ハブノードを中心とするセグメントの数を多くすることができる。これにより、デマンドが集中するハブノードの周辺のスパンの伝送条件を優先的に満たす設計が可能になる。
【0099】
また、ネットワーク設計装置100は、決定済みのセグメントに含まれていないハブノードがなくなると、セグメントに含まれていないノードを選択し、選択したノードを中心とする範囲の各ノードをセグメントとして決定する処理を行う。そして、ネットワーク設計装置100は、セグメントに含まれていないノードがなくなるまでこの処理を行う。これにより、ハブノードを中心とする各セグメントに含まれなかったノードについてもセグメントに分類し、すべてのノードについて波長分散設計を行うことができる。
【0100】
たとえば、ネットワーク設計装置100は、選択したノードからスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出し、選択したノードから最大のスパン数Nの範囲の各ノードをセグメントとして決定する。これにより、決定する各セグメントを、セグメント内の各パスが伝送条件を満たすとともに、互いに重複部分を有するセグメントとすることができる。
【0101】
また、ネットワーク設計装置100は、決定済みのセグメントに含まれていない各ノードのうちの、決定済みのセグメントからのスパン数が最も大きいノードを選択する。これにより、決定済みのセグメントに含まれていない各ノードを効率よくセグメントに分類し、計算量を低減することができる。
【0102】
また、ネットワーク設計装置100は、決定済みのセグメントに含まれていないスパンがある場合は、決定済みのセグメントに含まれていないパスの両端の各ノードのいずれかを選択し、選択したノードを中心とするセグメントを決定する。これにより、すべてのスパンの波長分散を考慮して波長分散設計を行うことができる。
【0103】
また、ネットワーク設計装置100は、上述した波長分散設計を線形計画法により行う。これにより、伝送条件を満たす波長分散設計を効率よく行うことができる。ただし、上述した波長分散設計を線形計画法によらずに行うこともできる。たとえば、各スパンのDCMの組み合わせをすべて計算し、上記(1)式の目的関数を満たすDCMの組み合わせを得ることによって波長分散設計を行うこともできる。
【0104】
以上説明したように、ネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計プログラムによれば、伝送不可のパスよりスパン数が多いパスは伝送不可とみなして波長分散設計を行うことで不自然な設計を回避することができる。このため、ユーザにとって分かりやすい設計結果を得ることができる。
【0105】
なお、本実施の形態で説明したネットワーク設計方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0106】
(付記1)光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力手段と、
前記入力手段によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計手段と、
前記設計手段による設計結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするネットワーク設計装置。
【0107】
(付記2)前記設計手段は、
互いに重複部分を有する各セグメントであって、セグメント内で各パスが伝送条件を満たす波長分散設計が存在する各セグメントに前記各ノードを分類し、前記波長分散設計を設計結果として得る第一設計手段と、
前記第一設計手段によって得られた設計結果に対して、前記重複部分の波長分散設計を前記制約条件を用いて再度行う第二設計手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第二設計手段によって前記重複部分の波長分散設計が再度行われた前記設計結果を出力することを特徴とする付記1に記載のネットワーク設計装置。
【0108】
(付記3)前記第一設計手段は、前記各ノードに含まれるハブノードのうちの決定済みのセグメントに含まれていないハブノードを選択し、選択したハブノードを中心とする範囲の各ノードを前記セグメントとして決定する処理を、前記含まれていないハブノードがなくなるまで行うことを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0109】
(付記4)前記第一設計手段は、前記選択したハブノードからスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出し、前記選択したハブノードから前記最大のスパン数Nの範囲の各ノードを前記セグメントとして決定することを特徴とする付記3に記載のネットワーク設計装置。
【0110】
(付記5)前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていないハブノードのうちの、前記決定済みのセグメントからのスパン数が最も小さいハブノードを選択することを特徴とする付記3または4に記載のネットワーク設計装置。
【0111】
(付記6)前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていないハブノードがなくなると、前記各ノードのうちの決定済みのセグメントに含まれていないノードを選択し、選択したノードを中心とする範囲の各ノードを前記セグメントとして決定する処理を、前記含まれていないノードがなくなるまで行うことを特徴とする付記3〜5のいずれか一つに記載のネットワーク設計装置。
【0112】
(付記7)前記第一設計手段は、前記選択したノードからスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出し、前記選択したノードから前記最大のスパン数Nの範囲の各ノードを前記セグメントとして決定することを特徴とする付記6に記載のネットワーク設計装置。
【0113】
(付記8)前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていない各ノードのうちの、前記決定済みのセグメントからのスパン数が最も大きいノードを選択することを特徴とする付記6または7に記載のネットワーク設計装置。
【0114】
(付記9)前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていないスパンがある場合は、前記含まれていないパスの両端の各ノードのいずれかを選択し、選択したノードを中心とする範囲の各ノードを前記セグメントとして決定することを特徴とする付記6〜8のいずれか一つに記載のネットワーク設計装置。
【0115】
(付記10)前記設計手段は、前記波長分散設計を線形計画法により行うことを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載のネットワーク設計装置。
【0116】
(付記11)前記設計手段は、伝送条件を満たすパスの個数を最大にする目的関数による前記線形計画法を行うことを特徴とする付記10に記載のネットワーク設計装置。
【0117】
(付記12)光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力工程と、
前記入力工程によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計工程と、
前記設計工程による設計結果を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とするネットワーク設計方法。
【0118】
(付記13)コンピュータを、
光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力手段、
前記入力手段によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計手段、
前記設計手段による設計結果を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とするネットワーク設計プログラム。
【符号の説明】
【0119】
200,500,600,800 ネットワーク
211〜214,311〜314,321〜323,331〜333,611,612,620,711〜714 経路
501〜506,601 ハブノード
510,520,530,540,550 セグメント
551〜554,602〜607 ノード
561〜566,613 重複部分
567,568 境界部分
701 スパン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力手段と、
前記入力手段によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計手段と、
前記設計手段による設計結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするネットワーク設計装置。
【請求項2】
前記設計手段は、
互いに重複部分を有する各セグメントであって、セグメント内で各パスが伝送条件を満たす波長分散設計が存在する各セグメントに前記各ノードを分類し、前記波長分散設計を設計結果として得る第一設計手段と、
前記第一設計手段によって得られた設計結果に対して、前記重複部分の波長分散設計を前記制約条件を用いて再度行う第二設計手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第二設計手段によって前記重複部分の波長分散設計が再度行われた前記設計結果を出力することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク設計装置。
【請求項3】
前記第一設計手段は、前記各ノードに含まれるハブノードのうちの決定済みのセグメントに含まれていないハブノードを選択し、選択したハブノードを中心とする範囲の各ノードを前記セグメントとして決定する処理を、前記含まれていないハブノードがなくなるまで行うことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項4】
前記第一設計手段は、前記選択したハブノードからスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出し、前記選択したハブノードから前記最大のスパン数Nの範囲の各ノードを前記セグメントとして決定することを特徴とする請求項3に記載のネットワーク設計装置。
【請求項5】
前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていないハブノードのうちの、前記決定済みのセグメントからのスパン数が最も小さいハブノードを選択することを特徴とする請求項3または4に記載のネットワーク設計装置。
【請求項6】
前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていないハブノードがなくなると、前記各ノードのうちの決定済みのセグメントに含まれていないノードを選択し、選択したノードを中心とする範囲の各ノードを前記セグメントとして決定する処理を、前記含まれていないノードがなくなるまで行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載のネットワーク設計装置。
【請求項7】
前記第一設計手段は、前記選択したノードからスパン数N(N=1,2,3,…)の範囲内の各パスが伝送条件を満たす最大のスパン数Nを算出し、前記選択したノードから前記最大のスパン数Nの範囲の各ノードを前記セグメントとして決定することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク設計装置。
【請求項8】
前記第一設計手段は、前記決定済みのセグメントに含まれていない各ノードのうちの、前記決定済みのセグメントからのスパン数が最も大きいノードを選択することを特徴とする請求項6または7に記載のネットワーク設計装置。
【請求項9】
光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力工程と、
前記入力工程によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計工程と、
前記設計工程による設計結果を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とするネットワーク設計方法。
【請求項10】
コンピュータを、
光伝送路により接続される各ノードを示すネットワーク情報および前記各ノード間のパスを示すパス情報が入力される入力手段、
前記入力手段によって入力されたネットワーク情報およびパス情報に基づいて、前記各ノードの波長分散設計を、波長分散の伝送条件を満たさないパスよりスパン数が多いパスは伝送条件を満たさないとみなす制約条件を用いて行う設計手段、
前記設計手段による設計結果を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とするネットワーク設計プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−49637(P2011−49637A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194103(P2009−194103)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】