説明

ネットワーク障害対応システム、ネットワーク障害対応制御プログラムおよびネットワーク障害対応方法

【課題】情報処理装置にそれぞれ異なったネットワークを介して2つの装置が1つずつ接続され、一方のネットワークが一時的に障害を発生させた場合に、これが回復した時点で両装置の処理内容を整合できるネットワーク障害対応システム、制御プログラムおよび方法を得ること。
【解決手段】電話機制御サーバは第1のネットワークを介して電話機と、第2のネットワークを介してクライアント端末と接続されている。第2のネットワーク障害が発生すると(ステップS381)、再接続が定期的に試みられ、これが成功すると(ステップS383:Y)、クライアント端末が未完了のイベントを要求し(ステップS386)、この受信したイベントを時間順に実行する(ステップS389)。これにより、電話機とクライアント端末の状態の整合が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置と、これに互いに異なったネットワークを介して接続された第1および第2の装置からなりネットワークの障害に対応したネットワーク障害対応システム、ネットワーク障害対応制御プログラムおよびネットワーク障害対応方法に係わり、たとえばコールセンタにおける業務画面上で電話機操作を行うシステムや、クライアント・サーバ型のPOSレジスタに好適なネットワーク障害対応システム、ネットワーク障害対応制御プログラムおよびネットワーク障害対応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客への電話対応業務を専門に行う部署あるいは事業所として各所にコールセンタが存在している。これらのコールセンタでは、それぞれのオペレータが使用する電話機を第1のネットワークを介して電話機制御サーバに接続し、この電話機制御サーバに第2のネットワークを介して個々のオペレータの使用する入出力デバイスを備えたクライアント端末が接続されるといった情報処理システムを採用することが多い。このような情報処理システムでは、オペレータが電話機の発信要求、保留要求、転送要求といった操作を電話機自体で行うのではなく、クライアント端末のキーボードやタッチパネルといった電話機操作部を用いて行っている。
【0003】
このため、電話機制御サーバとクライアント端末を結ぶ第2のネットワークが切断するような障害が発生したとき、この状態でクライアント端末から電話機制御サーバに対して電話機の操作を要求すると通信エラーが発生する。このため、オペレータは手動によって電話機制御サーバとクライアント端末を結ぶ第2のネットワークを再接続する必要が生じる。
【0004】
そこで、電話機制御サーバとクライアント端末を結ぶ第2のネットワークが切断した場合に、これを自動的に復旧させることが、本発明の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この本発明の関連技術では、クライアント端末側にサーバ装置とのセッションを開設するために用いたユーザ名およびパスワード等の認証情報を保持しておくようにしている。そして、これら保持されている認証情報を用いて、サーバ装置とのセッションを再開させるようにしている。
【特許文献1】特開2005−100344号公報(第0015段落、第0041〜第0042段落、図4)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、先に示した例で第2のネットワークが切断された状態で、電話機と電話機制御サーバを結ぶ第1のネットワークの方は切断されていないものとする。すると、この状態で第1のネットワークが通信に使用されると、電話機は電話機制御サーバによって、その状態を変化させる可能性がある。したがって、単に特許文献1に示した関連技術を使用して第2のネットワークを復旧させても、電話機制御サーバとクライアント端末の処理内容が整合していない可能性があり、この問題まで解決することができない。
【0006】
以上、例を挙げて説明したが、これを一般的な技術分野の問題として説明する。所定の情報処理装置にそれぞれ異なったネットワークを介して第1および第2の装置が接続されているものとし、正常な場合には一方の装置の状態を情報処理装置が他方の装置に通知することで、これら第1および第2の装置の状態の同期が採られているものとする。この場合に、このうちの一方のネットワークに一時的に障害が発生して同期のための通知を受けられない状態が発生すると、これから時間が経過して障害が回復した時点で、両装置の処理内容に不整合が発生するということになる。
【0007】
この不整合に対しては、障害の発生した方のネットワークに接続された装置の状態を、ネットワークの障害復旧後に他方のネットワークに接続された装置の状態に強制的に一致させることが考えられる。ところが、ネットワークの障害中に障害の発生していない方のネットワークに接続された装置が前記した通知によって幾つかの状態変化を生じさせていたような場合、最新の状態のみを第1および第2の装置で一致させても、途中の状態変化が障害の回復した装置側では反映されない。したがって、障害の回復した装置側(先の例ではクライアント端末側)で動作するソフトウェアが正しく動作しない可能性があった。このような不都合の発生を防止するためには、ネットワークの障害が復旧した時点で、オペレータは途中まで行っていた業務の続きを行うのではなく、その業務を再度、最初からやり直さなければならないという問題が生じることになり、煩雑であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、所定の情報処理装置にそれぞれ異なったネットワークを介して第1および第2の装置が接続され、このうちの一方のネットワークに一時的に障害が発生した場合に、この障害が回復した時点で両装置の処理内容を整合することのできるネットワーク障害対応システム、ネットワーク障害対応制御プログラムおよびネットワーク障害対応方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、(イ)それぞれ異なったネットワークとしての第1および第2のネットワークに接続された情報処理装置と、(ロ)前記した第1のネットワークに接続され、前記した情報処理装置から自己の状態変化を生じさせるための通知を時系列で受信して格納する通知格納手段と、要求があったときこの通知格納手段に格納された通知を要求された時点以降の分について前記した第1のネットワークに送出する通知送出手段とを備えた第1の装置と、(ハ)前記した第2のネットワークに接続され、前記した第1の装置が状態変化を生じさせる前記した通知を前記した第2のネットワーク経由で逐次受信する同期手段と、前記した第2のネットワークの障害の発生および復旧を判別する障害判別手段と、前記した第2のネットワークの障害が復旧したと前記した障害判別手段が判別したとき前記した障害が発生した時点以降の前記した情報処理装置から前記した第1の装置に送られた通知の送信を自装置宛に要求する障害時通知要求手段を備えた第2の装置とをネットワーク障害対応システムに具備させる。
【0010】
また、本発明では、情報処理装置と、これにそれぞれ異なった2つのネットワークの1つずつを介して接続された2つの装置とを備えたネットワーク障害を復旧するシステムにおける前記した2つの装置のうちの一方の装置のコンピュータに、ネットワーク障害対応制御プログラムとして、(イ)自装置と前記した情報処理装置を結ぶネットワークの障害の発生を判別する障害発生判別処理と、(ロ)この障害発生判別処理で障害の発生が判別されたとき、この障害が判別された方のネットワークを逐次チェックしてそのネットワークの復旧を判別する復旧判別処理と、(ハ)この復旧判別処理で前記した障害の復旧が判別されたとき前記した2つの装置のうちの他方の装置に対して、障害が判別されてからこの障害が復旧するまでの間に前記した情報処理装置が前記した他方の装置に制御のために送付した一連の通知を要求する通知要求処理と、(ニ)この通知要求処理で要求した一連の通知が送られてきたときこれらの通知を時間の古い方から新しい方向に向かって自装置内で順次処理する通知反映処理とを実行させることを特徴としている。
【0011】
更に、本発明では、ネットワーク障害対応方法として、(イ)情報処理装置と、これにそれぞれ異なった2つのネットワークの1つずつを介して接続された2つの装置とを備えたネットワーク障害を復旧するシステムにおける前記した2つの装置のうちの一方の装置と前記した情報処理装置を結ぶネットワークの障害の発生を判別する障害発生判別ステップと、(ロ)この障害発生判別ステップで障害の発生が判別されたとき、この障害が判別された方のネットワークを逐次チェックしてそのネットワークの復旧を判別する復旧判別ステップと、(ハ)この復旧判別ステップで前記した障害の復旧が判別されたとき前記した2つの装置のうちの他方の装置に対して、障害が判別されてからこの障害が復旧するまでの間に前記した情報処理装置が前記した他方の装置に制御のために送付した一連の通知を要求する通知要求ステップと、(ニ)この通知要求ステップで要求した一連の通知が送られてきたときこれらの通知を時間の古い方から新しい方向に向かって自装置内で順次処理する通知反映ステップとを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明では、1つの情報処理装置にそれぞれ異なったネットワークを介して2つの装置が1つずつ接続され、このうちの一方のネットワークが一時的に障害を発生させた場合に、前記した情報処理装置がネットワークの障害の発生によって一方の装置に通知できなかった情報を時系列で保存しておき、その装置と前記した情報処理装置の間のネットワークの障害が復旧した時点で、この装置に対してこれらの情報を通知することにした。したがって、各通知の行われる順序で装置の状態が異なるような場合でも、ネットワークの復旧後に追加的に送られてきたこれらの通知を時間の経過する順序で順に処理することで前記した2つの装置の整合を完全に採ることができる。したがって、処理のための時間や情報処理装置の負担を軽減することができる。
【0013】
また、ネットワークの障害の復旧を判別できるようにすることで、障害の復旧時に必要な通知がユーザを介することなく行われ、システムの整合性が自動的に採られるようになる。したがって、ユーザはネットワークの障害自体を意識する必要なく、また障害の発生した業務のやり直しを行うことなく、前記した2つの装置の間の整合性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態に基づいて本発明を説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態の電話機操作システムを表わしたものである。この電話機操作システム100は、本発明のネットワーク障害対応システムをコールセンタの業務に適用したものであり、電話機制御サーバ101と、クライアント端末102および電話機103から構成されている。ここで電話機制御サーバ101は、電話機103の状態を管理する端末であり、図では1台のみを示している。電話機103はオペレータが顧客に受け答えするために使用するものであり電話機制御サーバ101に対して第1のネットワーク104を介して接続されている。電話機制御サーバ101は、クライアント端末102と第2のネットワーク105によって接続されている。
【0016】
電話機制御サーバ101は、電話機103の状態に変化があると、これを管理するためにクライアント端末102に通知イベントを送信するようになっている。また、クライアント端末102から電話機制御要求があると、電話機103へ制御要求を行う。クライアント端末102は、オペレータが使用する業務用アプリケーションに基づいた電話機制御要求が発生すると、電話機制御サーバ101に対して要求を行うようになっている。
【0017】
このような電話機操作システム100で、電話機制御サーバ101は、これに接続している電話機103を制御する電話機制御部111を備えている。電話機制御部111は、イベント制御部112を介して電話機状態管理部113およびネットワーク制御部114と接続されている。ここでイベント制御部112は、電話機制御部111やネットワーク制御部114からのイベントを処理するようになっている。電話機状態管理部113は電話機103の状態を管理するものであり、ネットワーク制御部114は、クライアント端末102と第2のネットワーク105を介して通信を行うようになっている。
【0018】
ここで、イベント制御部112は、電話機制御部111と接続されたイベント管理部121と、このイベント管理部121に接続されたイベント実行部122および応答履歴保持部123を備えている。イベント実行部122は電話機制御部111とも接続されている。イベント制御部112内のこれら各部の説明は後に行う。
【0019】
電話機状態管理部113は、イベント制御部112のイベント管理部121と接続された電話機状態更新部131と、これに接続された電話機状態保持部132を備えている。ネットワーク制御部114は、イベント制御部112のイベント管理部121およびイベント実行部122と接続されたクライアント通信部135を備えている。電話機状態管理部113およびネットワーク制御部114内のこれら各部の説明は後に行う。
【0020】
電話機制御サーバ101は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)を備えており、同じく図示しない記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することで、これら各部の制御を行うようになっている。
【0021】
一方、クライアント端末102は、第2のネットワーク105を介してネットワーク制御部114内のクライアント通信部135と接続されて電話機制御サーバ101と通信を行うネットワーク制御部141を備えている。クライアント端末102は、ネットワーク障害時に復旧処理を行うセッション回復処理部142、オペレータが使用する業務用アプリケーションの制御部分としての業務画面制御部143、ネットワーク制御部141や業務画面制御部143からのイベントを処理するイベント制御部144およびクライアント端末102の内部状態としての電話機103の状態を管理する電話機状態管理部145から構成されている。
【0022】
ここで、ネットワーク制御部141は、第2のネットワーク105と接続されたサーバ通信部151と、このサーバ通信部151に接続されたセッション接続部152およびセッション監視部153を備えている。また、セッション回復処理部142は、ネットワーク制御部141内のセッション接続部152およびセッション監視部153と接続されたセッション回復部161を備えている。
【0023】
イベント制御部144は、ネットワーク制御部141内のサーバ通信部151およびセッション回復処理部142内のセッション回復部161と接続されたイベント実行部171を備えている。イベント実行部171は、イベント制御部144内のイベント管理部172およびイベント履歴保持部173と接続されている。イベント管理部172は、イベント履歴保持部173の他に、ネットワーク制御部141内のサーバ通信部151およびセッション回復処理部142内のセッション回復部161とも接続されている。
【0024】
電話機状態管理部145は、イベント制御部144内のイベント管理部172と接続された電話機状態更新部181と、この電話機状態更新部181に接続された電話機状態保持部182を備えている。業務画面制御部143は、イベント制御部144内のイベント管理部172と接続された画面表示部185と、同じくイベント制御部144内のイベント実行部171と接続された電話機操作部186を備えている。ネットワーク制御部141、セッション回復処理部142、業務画面制御部143、イベント制御部144および電話機状態管理部145内のこれら各部の説明は後に行う。
【0025】
また、クライアント端末102は電話機制御サーバ101と同様に、図示しないCPUを備えており、同じく図示しない記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することで、これら各部の制御を行うようになっている。
【0026】
電話機103は、一般のコールセンタで使用されるヘッドセット型の送受話器であるので、この構造の説明は省略する。オペレータは、クライアント端末102の業務画面制御部143の電話機操作部186を操作することで、実際の電話機103を操作することなく、発信要求、保留要求、転送要求等の各種要求を行うことができる。これらの要求が本明細書におけるイベントである。
【0027】
次に、この電話機操作システム100を構成する各部の動作の概要を説明する。まず、電話機制御サーバ101内の電話機状態更新部131は、イベント管理部121からの要求によって、電話機制御部111に接続された管理対象の電話機103の状態を変更するために電話機状態保持部132を更新する。
【0028】
イベント管理部121は、電話機制御部111から、着信した、通話状態になる、あるいは保留状態になるといった電話機103の状態変更が通知されると、電話機状態更新部131に電話機状態変更要求を行う。そして、イベント管理部121は、応答履歴保持部123の保持する内容を更新し、クライアント通信部135を介してクライアント端末102にイベントを通知する。ここで、クライアント通信部135は、電話機制御サーバ101がクライアント端末102とネットワークを介して通信を行うための手段である。また、イベント管理部121は、ネットワーク障害復旧時に障害中にクライアント端末102に通知できなかったイベントの取得要求をこのクライアント端末102から受けると、応答履歴保持部123から通知できなかったイベントを取得する。そして、このイベントをクライアント通信部135から第2のネットワーク105を介してクライアント端末102へ送信する。
【0029】
一方、イベント実行部122は、クライアント端末102から第2のネットワーク105およびクライアント通信部135を介して、発信要求、保留要求、転送要求等の要求イベントを受信すると、電話機制御部111に送って要求する。また、イベント実行部122はネットワーク障害復旧時に、クライアント端末102から障害中に自身に対して通知されなかったイベントの取得要求を受けると、イベント管理部121に対してその要求を実行する。
【0030】
セッション回復部161は、セッション監視部153から電話機制御サーバ101との接続がネットワーク障害によって切断されたことを通知されると、一定時間間隔でセッション接続部152に対して電話機制御サーバ101への再接続要求を行う。セッション回復部161は、再接続が成功した後、イベント管理部172に対して、電話機制御サーバ101から通知を受けていないイベントを取得して、実行させる要求を行う。更にセッション回復部161は、通知イベントの実行完了後、イベント実行部171に対して、ネットワーク障害時に要求のあったイベントの再実行要求を行う。
【0031】
セッション接続部152は、サーバ通信部151を通じて、電話機制御サーバ101との接続を行う。ここで、サーバ通信部151は、クライアント端末102が電話機制御サーバ101と第2のネットワーク105を介して通信を行うための手段である。
【0032】
電話機制御サーバ101とクライアント端末102との接続が第2のネットワーク105のネットワーク障害によって切断されたとき、セッション監視部153はこれを検知すると、セッション回復部161の処理を実行する。
【0033】
クライアント端末102内の電話機状態更新部181は、イベント管理部172からの要求によって電話機状態保持部182の保持する内容を更新する。
【0034】
同じくクライアント端末102内のイベント実行部171は、電話機操作部186から要求された電話機制御要求によってイベント履歴保持部173の保持内容を更新し、サーバ通信部151および第2のネットワーク105を介して電話機制御サーバ101に電話機制御要求を送信する。ネットワーク復旧時は、イベント管理部172からの要求によって、障害中に電話機制御サーバ101から通知できなかった通知イベントを、電話機制御サーバ101に要求する。また、セッション回復部161からの要求によって、イベント履歴保持部173からネットワーク障害中に発生した電話機制御要求を取得して、電話機制御サーバ101へ要求する。
【0035】
同じくクライアント端末102内のイベント管理部172は、サーバ通信部151から通知されたイベントに基づき、イベント履歴保持部173の保持内容を更新し、電話機状態更新部181に電話機103の状態変更を要求する。更に、画面表示部185に発信要求、保留要求、転送要求等のイベントを通知する。ネットワーク復旧時は、セッション回復部161からの要求によって、イベント履歴保持部173の保持するデータをキーとして、障害中に電話機制御サーバ101から通知できなかった通知イベントを、この電話機制御サーバ101に要求する。
【0036】
電話機操作部186は、オペレータが画面表示部185に表示された業務画面から電話機制御要求を実行した場合に、電話機制御要求をイベント実行部171に要求する。画面表示部185は電話機103の状態に変更があったことをイベント管理部172から通知された場合に、その通知内容をオペレータの業務画面に反映させる。
【0037】
図2は、電話機制御サーバ内の応答履歴保持部の構成を表わしたものである。図1と共に説明する。応答履歴保持部123は、セッション識別番号201と、要求イベント名202と、要求識別番号203と、要求イベントパラメータ204と、電話機操作実行イベント名205と、応答識別番号206および電話機操作実行イベントパラメータ207を保持するようになっている。
【0038】
ここで、応答履歴保持部123はイベント管理部121によって更新される。セッション識別番号201は、クライアント端末102と電話機制御サーバ101のセッションID(identifier)を格納する領域である。要求イベント名202は、電話機操作部186から要求された要求イベント名を格納する領域である。要求識別番号203は、電話機操作部186から要求された要求イベントに割り当てる連続した一意な番号を格納する。これは、時系列で昇順になるように採番する。要求イベントパラメータ204は、要求イベントの詳細情報を格納する。詳細情報とは、架電先・架電元電話番号やオペレータIDなどの情報である。
【0039】
電話機操作実行イベント名205は、電話機制御部111によって生成した電話機103の状態変更通知イベントのイベント名を格納する。応答識別番号206は、電話機制御部111によって生成した電話機103の状態変更通知イベントに割り当てる連続した一意な番号を格納する。これは、時系列で昇順になるように採番する。電話機操作実行イベントパラメータ207は、電話機制御部111によって生成した電話機103の状態変更通知イベントの詳細情報を格納する。詳細情報とは、架電先・架電元電話番号やオペレータIDなどの情報である。
【0040】
図3は、クライアント端末内のイベント履歴保持部の構成を表わしたものである。図1と共に説明する。イベント履歴保持部173は、セッション識別番号211と、要求イベント名212と、要求識別番号213と、要求イベントパラメータ214および応答識別番号215を保持するようになっている。このイベント履歴保持部173は、イベント管理部172とイベント実行部171によって更新される。セッション識別番号211、要求イベント名212、要求識別番号213、要求イベントパラメータ214および応答識別番号215は、各々、図2に示したセッション識別番号201、要求イベント名202、要求識別番号203、要求イベントパラメータ204、応答識別番号206と同様の定義のデータを格納するようになっている。
【0041】
以上のような構成の電話機操作システム100の動作を、次の3つのパターンに分けて説明する。
(1)クライアント端末102を利用しているオペレータが業務画面制御部143を利用して電話機103の状態を変更する動作。
(2)電話機103を直接操作することや、電話機103と通話中の図示しない他の電話機が切断することによって発生する電話機103の状態変化のイベントを通知する動作。
(3)電話機制御サーバ101とクライアント端末102間のネットワーク105の障害発生から復旧までの動作
【0042】
図4は、(1)の場合として、オペレータが業務画面制御部を使用して電話機の状態を変更する場合のクライアント端末側の処理の様子を表わしたものである。図1〜図3と共に説明する。
【0043】
まず、オペレータによってクライアント端末102の電話機操作部186が操作されたことによって、イベント実行部171が電話機制御要求(電話機操作のイベント要求)を受信する(ステップS301)。これを基にして、イベント実行部171は、要求識別番号を採番して、イベント履歴保持部173のセッション識別番号211、要求イベント名212、要求識別番号213および要求イベントパラメータ214を更新する(ステップS302)。
【0044】
イベント実行部171は、イベント履歴保持部173にこれらの更新データを格納した後、採番した要求識別番号213を前記した電話機制御要求に付加する。この後、イベント実行部171は、クライアント端末102と電話機制御サーバ101のセッションが確立しているかどうかのチェックを行う(ステップS303)。この結果、セッションが確立しておらず、クライアント端末102と電話機制御サーバ101のセッションが切断状態である場合(N)、イベント実行部171は、電話機操作部186から要求された電話機制御要求を受け付け、エラーを返さない(ステップS304)。
【0045】
これに対してステップS303でセッションが確立しており、クライアント端末102と電話機制御サーバ101が接続状態にあると判別された場合(Y)、イベント実行部171はサーバ通信部151を通じて電話機制御サーバ101に電話機操作イベント要求を送信する(ステップS305)。
【0046】
図5は、この(1)の場合で、電話機制御要求を受信した場合の電話機制御サーバ側の処理を示したものである。図1および図2と共に説明する。電話機制御サーバ101内の電話機制御部111は、クライアント通信部135および第2のネットワーク105を介して電話機制御要求を受信すると(ステップS321:Y)、その電話機制御要求に従って電話機103の制御を行う(ステップS322)。そして、その実行結果をイベント管理部121に通知する(ステップS323)。イベント管理部121は実行結果通知に対応する通知イベントを生成する(ステップS324)。そして、応答識別番号を採番し(ステップS325)、応答履歴保持部123内のセッション識別番号201、要求イベント名202、要求識別番号203、要求イベントパラメータ204、電話機操作実行イベント名205、応答識別番号206および電話機操作実行イベントパラメータ207を更新する(ステップS326)。そしてイベント管理部121は、クライアント通信部135および第2のネットワーク105を介してクライアント端末102に通知イベントを送信する(ステップS327)。
【0047】
図4に戻って説明を続ける。クライアント端末102は、電話機制御部111から電話機操作のイベントが送られてくるのを待機している(ステップS306)。クライアント端末102内のイベント管理部172は、電話機操作のイベントを受信したら(Y)、その要求識別番号に基づいてイベント履歴保持部173のセッション識別番号211と応答識別番号215を更新する(ステップS307)。そして、最後に、業務アプリケーションで動作する画面表示部185にイベント通知としての電話機操作実行イベントを送信して、その内容を表示する(ステップS308)。
【0048】
図6は(2)の場合として、オペレータが電話機を直接操作したり、通話中の電話機が切断することによって発生する電話機の状態変化のイベントを通知する場合の電話機制御サーバ側の処理の様子を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。
【0049】
まず、電話機103の状態が変更すると、電話機制御部111が電話機の状態変更通知イベントを生成して、イベント管理部121に通知する(ステップS341)。イベント管理部121は、状態変更通知イベントを受け取ると、応答識別番号を採番する(ステップS342)。そしてイベント管理部121は、応答履歴保持部123のセッション識別番号201、要求イベント名202、要求識別番号203および要求イベントパラメータ204を更新する(ステップS343)。
【0050】
この後、イベント管理部121は、クライアント端末102と電話機制御サーバ101のセッションが確立しているかどうかのチェックを行う(ステップS344)。この結果、セッションが確立しておらず、クライアント端末102と電話機制御サーバ101のセッションが切断状態である場合(N)、イベント管理部121は、クライアント端末102にイベントを通知することができない。そこで、この場合には何も行わずに処理を終了させる(エンド)。
【0051】
一方、クライアント端末102と電話機制御サーバ101のセッションが確立している場合(ステップS344:Y)、イベント管理部121は、クライアント端末102に対してクライアント通信部135および第2のネットワーク105を介してクライアント端末102に発信要求、保留要求、転送要求等の電話機103の状態の変更に対応したイベント(電話機操作実行イベント)を通知する(ステップS345)。
【0052】
図7はこの(2)の場合で、電話機操作実行イベントを受信したクライアント端末側の処理の様子を表わしたものである。図1および図3と共に説明する。
【0053】
クライアント端末102では、第2のネットワーク105およびサーバ通信部151を介して、イベント管理部172が通知イベントとしての電話機操作実行イベントを受信するのを待機している(ステップS361)。電話機操作実行イベントを受信すると(Y)、イベント管理部172が要求識別番号に基づいて、イベント履歴保持部173のセッション識別番号211と応答識別番号215を更新する(ステップS362)。そして、最後に、画面表示部185にイベント通知としての電話機操作実行イベントを送信して、その内容を表示する(ステップS363)。
【0054】
図8は、(3)の場合として、ネットワーク障害の発生から復旧までのクライアント端末側の処理の流れを表わしたものである。クライアント端末102内のセッション監視部153が、電話機制御サーバ101とクライアント端末102間のネットワーク105の障害の発生を監視している(ステップS381)。セッション監視部153は第2のネットワーク105の障害の発生を判別すると(Y)、セッション回復部161の処理を開始させ、電話機制御サーバ101に再接続を試みる(ステップS382)。
【0055】
この結果として再接続が成功しなかった場合には(ステップS383:N)、所定の時間tが経過すると(ステップS384:Y)、再接続処理を再び実施する(ステップS382)。このようにして再接続が成功すると(ステップS383:Y)、セッション回復部161は、イベント管理部172に処理を移行させる。イベント管理部172は、イベント履歴保持部173から、応答識別番号の一番大きいデータを取得し、イベント実行部171の処理を開始させる(ステップS385)。
【0056】
イベント実行部171は、取得した応答識別番号を基にして、電話機制御サーバ101に、クライアント端末102に通知していないイベント通知の要求を、未完了の電話機操作実行イベントとして要求する(ステップS386)。
【0057】
図9は(3)の場合として、未完了の電話機操作実行イベントの要求を受信した電話機制御サーバ側の処理を表わしたものである。未完了の電話機操作実行イベントとして、クライアント端末102に通知していないイベント通知要求を受けると(ステップS401:Y)、電話機制御サーバ101のイベント実行部122は、イベント管理部121にこれを通知する。イベント管理部121は、応答履歴保持部123から、要求された応答識別番号より大きい応答識別番号を取得して、クライアント端末102へ通知する(ステップS402)。
【0058】
図8に戻って説明を続ける。イベント管理部172は、イベント管理部121から送られてきた応答識別番号を受信したら(ステップS387:Y)、応答識別番号の小さい順にイベント履歴保持部173を更新し、画面表示部185に電話機操作実行イベントを通知する(ステップS388)。この更新処理が完了したら、セッション回復部161は、ネットワーク障害時に図4のステップS304で受け付けを行ったが未処理の要求イベントを、イベント実行部171で実行する(ステップS389)。すなわち、イベント実行部171は、イベント履歴保持部173から要求識別番号は入力されているが応答識別番号が入力されていないデータを取得して、要求識別番号の小さい順にこれらを実行することになる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態の電話機操作システム100によれば、電話機制御サーバ101とクライアント端末102の間の第2のネットワーク105に障害が発生しても業務の継続が可能である。これは、クライアント端末102と電話機制御サーバ101が協調して動作し、ネットワーク障害時に管理していたイベントを、障害が復旧した時点でクライアント端末102が順番に実行することによって、電話機制御サーバ101とクライアント端末102の管理する電話機状態を一致させるようにしているからである。
【0060】
また、ネットワーク障害中にクライアント端末102で電話機制御要求を行った場合でも、要求を一旦受け付け、エラーとしないようにしている。このためネットワーク障害の発生を電話機103のオペレータに意識させることはない。
【0061】
以上説明した本発明の実施の形態では、電話機制御サーバ101が電話機103という該当装置の状態を管理して制御を行う構成となっている。これとは異なり、クライアント端末が装置の状態を管理して制御を行う構成となっていてもよい。このような構成のシステムの一例としては、クライアント・サーバ型のPOS(Point of sale)レジスタ・システムを挙げることができる。この場合の該当する装置、クライアント端末およびサーバは、それぞれバーコードリーダ、レジスタ、在庫売上管理サーバが対応する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施の形態の電話機操作システムのシステム構成図である。
【図2】本実施の形態で電話機制御サーバ内の応答履歴保持部の構成を表わした説明図である。
【図3】本実施の形態でクライアント端末内のイベント履歴保持部の構成を表わした説明図である。
【図4】本実施の形態でオペレータが業務画面制御部を利用して電話機の状態を変更する場合のクライアント端末側の処理を示す流れ図である。
【図5】本実施の形態で電話機制御要求を受信した場合の電話機制御サーバ側の処理を示した流れ図である。
【図6】本実施の形態で電話機の状態変化のイベントを通知する場合の電話機制御サーバ側の処理の様子を表わした流れ図である。
【図7】本実施の形態で電話機操作実行イベントを受信したクライアント端末側の処理の様子を表わした流れ図である。
【図8】本実施の形態でネットワーク障害の発生から復旧までのクライアント端末側の処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】本実施の形態で未完了の電話機操作実行イベントの要求を受信した電話機制御サーバ側の処理の様子を表わした流れ図である。
【符号の説明】
【0063】
100 電話機操作システム
101 電話機制御サーバ
102 クライアント端末
103 電話機
105 第2のネットワーク
111 電話機制御部
121、172 イベント管理部
122、171 イベント実行部
123 応答履歴保持部
151 サーバ通信部
152 セッション接続部
153 セッション監視部
161 セッション回復部
173 イベント履歴保持部
185 画面表示部
186 電話機操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なったネットワークとしての第1および第2のネットワークに接続された情報処理装置と、
前記第1のネットワークに接続され、前記情報処理装置から自己の状態変化を生じさせるための通知を時系列で受信して格納する通知格納手段と、要求があったときこの通知格納手段に格納された通知を要求された時点以降の分について前記第1のネットワークに送出する通知送出手段とを備えた第1の装置と、
前記第2のネットワークに接続され、前記第1の装置が状態変化を生じさせる前記通知を前記第2のネットワーク経由で逐次受信する同期手段と、前記第2のネットワークの障害の発生および復旧を判別する障害判別手段と、前記第2のネットワークの障害が復旧したと前記障害判別手段が判別したとき前記障害が発生した時点以降の前記情報処理装置から前記第1の装置に送られた通知の送信を自装置宛に要求する障害時通知要求手段を備えた第2の装置
とを具備することを特徴とするネットワーク障害対応システム。
【請求項2】
前記第2の装置は、前記第1の装置から送られてくる前記通知を順次受信して実行することで前記第1の装置の状態と整合を採る制御手順としてのソフトウェアを具備することを特徴とする請求項1記載のネットワーク障害対応システム。
【請求項3】
前記障害判別手段は、前記第2のネットワークの障害の発生後、その復旧の有無を所定の時間間隔でチェックする復旧時点判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載のネットワーク障害対応システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は電話機制御サーバであり、前記第1の装置はコールセンタの各オペレータが使用する電話機であり、前記第2の装置は前記オペレータが前記電話機の状態変化を生じさせる操作を行うためのクライアント端末であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のネットワーク障害対応システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は在庫売上管理サーバであり、前記第1の装置は店舗で商品の情報を読み取るためのバーコードリーダであり、前記第2の装置は前記バーコードリーダの読み取った商品の販売情報を収集し分析するレジスタであることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のネットワーク障害対応システム。
【請求項6】
情報処理装置と、これにそれぞれ異なった2つのネットワークの1つずつを介して接続された2つの装置とを備えたネットワーク障害を復旧するシステムにおける前記2つの装置のうちの一方の装置のコンピュータに、
自装置と前記情報処理装置を結ぶネットワークの障害の発生を判別する障害発生判別処理と、
この障害発生判別処理で障害の発生が判別されたとき、この障害が判別された方のネットワークを逐次チェックしてそのネットワークの復旧を判別する復旧判別処理と、
この復旧判別処理で前記障害の復旧が判別されたとき前記2つの装置のうちの他方の装置に対して、障害が判別されてからこの障害が復旧するまでの間に前記情報処理装置が前記他方の装置に制御のために送付した一連の通知を要求する通知要求処理と、
この通知要求処理で要求した一連の通知が送られてきたときこれらの通知を時間の古い方から新しい方向に向かって自装置内で順次処理する通知反映処理
とを実行させることを特徴とするネットワーク障害対応制御プログラム。
【請求項7】
情報処理装置と、これにそれぞれ異なった2つのネットワークの1つずつを介して接続された2つの装置とを備えたネットワーク障害を復旧するシステムにおける前記2つの装置のうちの一方の装置と前記情報処理装置を結ぶネットワークの障害の発生を判別する障害発生判別ステップと、
この障害発生判別ステップで障害の発生が判別されたとき、この障害が判別された方のネットワークを逐次チェックしてそのネットワークの復旧を判別する復旧判別ステップと、
この復旧判別ステップで前記障害の復旧が判別されたとき前記2つの装置のうちの他方の装置に対して、障害が判別されてからこの障害が復旧するまでの間に前記情報処理装置が前記他方の装置に制御のために送付した一連の通知を要求する通知要求ステップと、
この通知要求ステップで要求した一連の通知が送られてきたときこれらの通知を時間の古い方から新しい方向に向かって自装置内で順次処理する通知反映ステップ
とを実行させることを特徴とするネットワーク障害対応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−105778(P2009−105778A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277058(P2007−277058)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】