説明

ノズル型容器

【課題】 内容物の液垂れを防止でき、かつ部品点数が少ない、低コストのノズル型容器。
【解決手段】
内容物を収納する胴部と、該胴部の先端に設けられる肩部と、肩部に連続する口部とを備え、胴部には薄肉部が形成してある容器であって、口部から上方にノズル部が形成されたことを特徴とするノズル型容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル型容器に関し、さらに詳しくは内容物の液垂れを防止でき、かつ内容物を最後まで抽出できる、部品点数が少ない、低コストのノズル型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なノズル型容器60は、図5に示すように、ノズル部64を有する口部63、肩部62及び胴部61が一体成形で造られており、内容物を注出した後、ノズル容器61を元の垂直な位置に戻すと、ノズル部64の先端から内容物65が、ノズル部64の外周面を伝って下方に垂れてくる欠点があった。これは、ボトル容器、チューブ容器等の容器から内容物を絞り出し、又は押し出した後に、容器内の残圧が内容物の液垂れを誘発するためである。特に内容物が低粘度の物質である場合に、液垂れが顕著である。そこで、これを解決する従来の容器として、図4に示す容器が提案された。従来の内容物の液垂れを防止する一般的なノズル型容器50は、アルミニウム又は合成樹脂で造られ、内容物を収納する胴部51と、胴部51の先端に設けられる肩部52と、肩部52から上方へ一様に傾斜した口部53及び口部53から連続するノズル部54とから構成され、ノズル部54を有する口部53、肩部52及び胴部51が一体成形で造られている。ノズル部54は、吸入口55と、突出口56を有する弁室57と、この弁室57内を往復運動する弁体58と、この弁体58の外周面と接する弁座59を有している。そして、内容物を収納する胴部51は、均一な肉厚で構成されている。このような従来の液垂れ防止用のノズル型容器50は、手で容器を保持し容器を傾斜させて、内容物を絞り出し、又は押し出すことにより抽出し、その後容器を元の垂直位置に戻すと、弁体58が速やかに弁室57内において、上部から弁座59まで落下して、突出口56内に残留した内容物の一部を、弁室57内に吸引し液垂れを防止するものである。
【特許文献1】特許第3137850号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の従来例においては、ノズル部54の先端に突出口56を設け、ノズル部54内に弁室57を形成し、この弁室57内に弁体58を挿入し、かつ弁室57の下に弁座59を形成する必要があり、構造が複雑になり部品点数が多くなるため、製造コストが高くなるという欠点がある。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、内容物の液垂れを防止できると共に、容器内の内容物をすべて絞り出すことができる、部品点数が少ない、低コストのノズル型容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の解決手段は、内容物を収納する胴部と、この胴部の先端に設けられる肩部と、この肩部に連続する口部とを備え、胴部には薄肉部が形成してある容器であって、口部から上方にノズル部が形成されたことを特徴とするノズル型容器である。胴部を部分的に厚肉とすることにより、容器の厚肉に形成した胴部に復元力をもたせて、エアーの吸い込み機能を発生させて、液だれを防止することにより、液の切れを良くすることができる。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、肩部の直下付近の胴部は薄肉部に形成され、その下方の胴部は厚肉部に形成してあることを特徴とするノズル型容器である。肩部直下付近の薄肉部の肉厚より、胴部の厚肉部を10〜40%厚く形成したから、チューブ容器の厚肉部に復元力をもたせることができる。そして、エアーの吸い込み機能を発生させて、液だれを防止することができる。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、容器が、チューブ容器であることを特徴とするノズル型容器である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、内容物の液垂れを防止できると共に、内容物をチューブ容器内に残存するのを防止できる効果がある。又、本発明によれば、部品点数が少なくかつ低コストで製造できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び図2は、本発明の実施例1を示すチューブ容器1であり、上方に、内容物を出し入れするためのノズル部2を形成した口部3と、口部3から下方へ一様に傾斜したテーパ状の肩部4と、肩部4の下方に続く内容物を収容する胴部5とから構成されている。ノズル部2、口部3及び胴部5は円筒形状をなしており、口部3の外周壁にはキャップ(図示せず)と螺合する雄ネジ6が形成されている。下端部分は偏平状に潰して口部3に向けて二重又は三重に折り曲げることにより封鎖されている。また、肩部4の直下付近、即ち胴部5の上端位置には、肉厚の薄い薄肉部7が形成されている。薄肉部7は、肩部4から
下方に10〜50mm、好ましくは20mm程度の長さで形成されるのが好ましい。薄肉部7は、t=0.07〜0.15mmであり、好ましくはt=0.09〜0.13mmが適する。又胴部5の厚肉部8は、T=0.09〜0.17mmであり、好ましくはT=0.11〜0.15mmが好ましい。厚肉部8は薄肉部7より10〜40%厚く構成されることが好ましい。胴部5の薄肉部7及び厚肉部8の肉厚は、内容物の種類、特に粘度によって、適宜に設計変更することができる。すなわち、チューブ容器1は、容器内に充填する内容物によって様々な寸法の肉厚のものが考えられる。胴部5の厚肉部8は、薄肉部7より若干厚くするだけで、液垂れ防止効果がある。又、薄肉部7の肉厚に関しては、胴部5を折り畳んだ際に胴部5に破損を生じさせない強度を有するように設計されなければならない。
【0010】
薄肉部7は、外周壁が段差状になるように形成されているが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、内周壁が段差状になるように薄肉に形成してもよい。このように構成することにより、チューブ容器の厚肉に形成した胴部に復元力をもたせて、エアーの吸い込み機能を発生させて、液だれを防止することができる。又胴部5内の内容物を絞り出す場合、肩部4の直下付近の薄肉部7を、肩部4内に容易に折り畳むことが可能であるため、肩部4内の内容物を、完全に絞り出すことが可能となり、チューブ容器1内に内容物が残存されることを確実に防ぐことができる。
【0011】
この実施例1のチューブ容器1は、金属チューブ、ラミネートチューブ、単層又は多層の樹脂で造られる。素材がアルミニウム等の金属チューブ容器の場合においては、内容物による金属の腐食を防止するために、チューブ容器1の内周面には、内面塗料を塗装することが望ましい。内面塗料としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ディスパージョン型塗料又は低温硬化型塗料が挙げられ、そのうち1種類又は2種類の内面塗料をチューブ容器の内周面に塗装することで、金属の腐食をより一層効果的に防止することができる。熱硬化性樹脂としてはエポキシフェノール、熱可塑性樹脂としてはビニルオルガノゾル、ディスパージョン型塗料としては酸変性ポリエチレン又は酸変性ポリプロピレン、低温硬化型塗料としてはエポキシメラミンを使用することが非常に効果的であり望ましい。
【実施例2】
【0012】
図3は、本発明の実施例2を示すボトル容器11であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の単層又は多層の樹脂チューブで造られる。上方に、内容物を出し入れするためのノズル部12を形成した口部13と、該口部13から下方へ一様に傾斜したテーパ状の肩部14と、該肩部14の下方に続く内容物を収容する胴部15とから構成されている。ノズル部12、口部13及び胴部15は円筒形状をなしており、口部13の外周壁にはキャップ(図示せず)と螺合する雄ネジ16が形成されている。肩部14の直下付近、即ち胴部15の上端位置には、肉厚の薄い薄肉部17が形成されている。薄肉部17は、肩部14から下方に10〜50mm、好ましくは20mm程度の長さで形成されるのが好ましい。
薄肉部17は、t=0.05〜0.3mmであり、好ましくはt=0.09〜0.2mmが適する。又胴部15の厚肉部18の肉厚は、T=0.08〜1.0mmであり、好ましくはT=0.11〜0.6mmが好ましい。厚肉部18は、薄肉部17より10〜40%厚く構成されるのが好ましい。胴部15の薄肉部17及び厚肉部18の肉厚は、内容物の種類、特に粘度によって適宜に設計変更することができる。
【0013】
薄肉部17は、外周壁が段差状になるように形成されているが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、内周壁が段差状になるように薄肉に形成してもよい。このように構成することにより、ボトル容器11の厚肉に形成した胴部に復元力をもたせて、エアーの吸い込み機能を発生させて、液だれを防止することができる。又胴部15内の内容物を絞り出す場合、肩部14の直下付近の胴部15を肩部14内に容易に折り畳むことが可能であるため、肩部14内の内容物をも完全に絞り出すことが可能となり、ボトル容器11内に内容物が残存されることを確実に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の活用例として、液垂れ防止用のボトル容器又はチューブ容器として、広く活用することができる。内容物が粘度の低い物質であっても、効果的に液垂れを防止することができるので、薬剤、食品、接着剤、化粧品等の内容物容器として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1を示すチューブ容器の断面図である。
【図2】本発明の実施例1を示すチューブ容器の断面図である。
【図3】本発明の実施例2を示すボトル容器の断面図である。
【図4】従来の液垂れを防止したボトル容器の断面図である
【図5】従来の液垂れが発生するボトル容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 11 チューブ容器
2 12 ノズル部
3 13 口部
4 14 肩部
5 15 胴部
6 16 雄ネジ
7 17 薄肉部
8 18 厚肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納する胴部と、該胴部の先端に設けられる肩部と、該肩部に連続する口部とを備え、前記胴部には薄肉部が形成してある容器であって、前記口部から上方にノズル部が形成されたことを特徴とするノズル型容器。
【請求項2】
前記肩部の直下付近の胴部は薄肉部に形成され、その下方の胴部は厚肉部に形成してあることを特徴とする請求項1記載のノズル型容器。
【請求項3】
前記容器が、チューブ容器であることを特徴とする請求項1又は2記載のノズル型容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−119023(P2007−119023A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315833(P2005−315833)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】