説明

ノズル装置とそれを使用した衛生洗浄装置

【課題】複数の洗浄機能を備え、清潔性が高いノズル装置をより簡単な構成で提供する。
【解決手段】複数の噴出口27と噴出口27に連通する複数の流路32を備えたノズル本体22と、ノズル本体22の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバー23を備え、ノズル本体22とノズルカバー23は相互に摺動可能な構成とし、ノズルカバー23には1個の噴出開口29を有し、複数の噴出口27に噴出開口29を対向させるようにノズルカバー23を摺動させ、噴出開口29を介して噴出する構成とすることにより、複数の噴出口27を有するノズル本体22であっても噴出開口29は1個で済み、汚れの付着しやすい箇所が最小限となるので、清潔性が向上する。また、使用していない噴出口27に対応する噴出開口29がないため、見栄えもすっきりとし、ノズルカバーも簡単な構成となるため低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の局部を洗浄する洗浄水を噴出するノズル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のノズル装置は、洗浄水を噴出する複数の噴出口1と前記噴出口に洗浄水を供給する流路(図示せず)を備えたノズル本体2と、前記ノズル本体2の少なくとも一部を覆うノズルカバー3を備え、前記ノズル本体2とノズルカバー3は相互に摺動可能な構成とし、前記ノズルカバー3には前記ノズル本体2の少なくとも1個の噴出口1に対応する開口4を有し、前記噴出口1から噴出する洗浄水は前記開口4を介して噴出する構成としている(例えば、特許文献1参照)。 また、ノズル本体3に設けた別の噴出口はノズルカバー3の先端部より突出し、開口4を介さずに洗浄水を直接噴出する構成である。図37は、特許文献1に記載された従来のノズル装置を示すものである。図37に示すように、ノズルカバー4にはおしり洗浄噴出口1に対応して洗浄開口4が、ノズル本体3の先端部に設けたビデノズル部5は上面に別の噴出口(図示せず)を有し、ノズルカバー3の先端に設けたビデノズル出入用の開口6より突出し洗浄水を直接使用者の局部に向けて噴出するものである。
【特許文献1】特開2007−297813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、おしり洗浄とビデ洗浄という複数の洗浄に対応する場合、それに対応して複数の開口を有するため、非洗浄状態の開口には汚れが付着しやすく、ノズルカバーの外観も開口箇所が増えるにしたがって見栄えが悪いものとなり、加工性が悪くなりコストが高くなるという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数の洗浄機能を備え、清潔性が高いノズル装置をより簡単な構成で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明のノズル装置は、複数の噴出口とそれぞれの噴出口に連通する複数の流路を備えたノズル本体と、ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーを備え、ノズル本体とノズルカバーは相互に摺動可能な構成とし、ノズルカバーには1個の噴出開口を有し、複数の噴出口に噴出開口を対向させるようにノズルカバーを摺動させ、噴出開口を介して噴出する構成としたものである。
【0006】
これによって、複数の噴出口を有するノズル本体であっても噴出開口は1個で済み、汚れの付着しやすい箇所が最小限となるので、清潔性が向上する。また、使用していない噴出口に対応する噴出開口がないため、見栄えもすっきりとし、ノズルカバーも簡単な構成となるため低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によれば、複数の洗浄機能を備え、清潔性が高いノズル装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、複数の噴出口と、前記複数の噴出口に連通する複数の流路を備えたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーと、前記ノズル本
体とノズルカバーを連結する連結手段と、前記ノズル本体とノズルカバーと連結手段を収納するノズルガイドと、前記ノズルカバーの進退を駆動する駆動手段とを備え、前記ノズルカバーの略全体をノズルガイド内に収納した収納位置と、ノズルカバーの一部がノズルガイドより進出した複数の洗浄位置との間を前記駆動手段により摺動可能とし、前記ノズル本体は収納位置と少なくとも一つの洗浄位置の間を、前記連結手段を介してノズルカバーと連動し、前記ノズル本体と前記ノズルカバーは相互に摺動可能な構成とし、前記ノズルカバーには1個の噴出開口を有し、前記複数の噴出口に前記噴出開口を対向させるように前記ノズル本体もしくは前記ノズルカバーを摺動させ、前記噴出開口を介して噴出することにより、複数の噴出口を有するノズル本体であっても噴出開口は1個で済み、汚れの付着しやすい箇所が最小限となるので、清潔性が向上する。また、使用していない噴出口に対応する噴出開口がないため、見栄えもすっきりとし衛生的で清潔感を感じることができる。しかも、ノズルカバーのみを駆動手段で駆動することにより、ノズル本体とノズルカバーを連動するとともに、一部範囲ではノズルカバーのみを単独で摺動することができることとなり、1個の駆動手段で2個の駆動対象をそれぞれの最適位置まで駆動できるため、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、特に第1の発明の複数の噴出口は、おしりを洗浄する洗浄水が噴出するおしり洗浄噴出口と、女性の局部を洗浄する洗浄水が噴出するビデ洗浄噴出口を備えたことにより、おしり洗浄とビデ洗浄を1つのノズルユニットで実現することができるので、小型で省スペースのノズル装置が実現できるとともに、洗浄対象の真下からの洗浄を実現することにより高い洗浄効果を得ることが可能である。さらに1個の噴出開口を切り替えて使うので、汚れが付着しやすい非洗浄状態の噴出開口がなく、衛生的なノズル装置を提供することができる。
【0010】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、複数の噴出口として、局部を乾燥する空気を噴出する乾燥風噴出口を備えたことにより、局部の乾燥機能も1つのノズル本体で実現するため省スペースで、かつ洗浄機能および乾燥機能を備えた衛生的なノズル装置を提供することができる。
【0011】
第4の発明は、特に第1〜3のいずれか1つの発明において、ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態で、噴出開口およびその周辺を十分に覆う洗浄拡大部と、前記洗浄拡大部の上部にノズル洗浄噴出口を備えたことにより、ノズルの使用前後にノズル洗浄噴出口よりノズルカバーへ洗浄水を噴出させることで、ノズルカバーを常に清潔に保つことができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれとも対向しない位置に噴出開口を構成したもので、収納時にすべての噴出口が確実にノズルカバーにより覆われているため、トイレットペーパー屑に代表される粉塵等が入ることがなく、複数の噴出口を清潔に保つことができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれかひとつと対向する位置に噴出開口を構成したもので、収納状態において噴出開口がどの噴出口とも対向しない待機位置を作らずにすむため、ノズル本体とノズルカバーとの相対位置関係の数が最小限で済むため、構成が簡単なものとなり、低コスト化および省スペース化を図ることができる。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明において、ノズルカバーを、耐食性を備えた金属材料で形成することで、ノズルカバーに汚染物が付着し難くなるとともに付着した汚染物の除去がし易くなり、ノズルカバーを清潔の保つことができる。
【0015】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明のノズル装置と、前記ノズル装置に洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、前記ノズル装置と前記洗浄水供給手段を制御する制御手段と、便器の上面に載置する便座を備えた衛生洗浄装置とすることにより、1つの噴出開口で複数の噴出口を切り替えて使用するノズル装置を使用することとなり、局部の洗浄もしくは乾燥により汚れた洗浄水でノズル本体が汚染されることが少なく、しかも小型で簡単な構成の衛生洗浄装置となり、衛生的で使い勝手のよい衛生洗浄装置を提供することができる。
【0016】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照にしながら説明する。なお、本実施の形態によって発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるノズル装置を使用した衛生洗浄装置の斜視図を示すものであり、図2はノズルが収納位置にあるノズル装置全体の外観の斜視図を示すものであり、図3はノズルが収納位置において、上ケースを外した状態の斜視図を示し、図4はノズル装置のビデ洗浄位置での斜視図を示し、図5はノズル装置のお尻洗浄位置での斜視図を示し、図6はノズル装置の先端部の詳細断面図を示すものである。
【0018】
図1に示すように便器(図示せず)の上面に設置して使用する衛生洗浄装置は、後部に配設した本体10の前面には便座11と便蓋12が回動自在に枢支してあり、本体12の前部には本発明のノズル装置13が設置してあり、本体10の内部にはノズル装置13に洗浄水を供給する洗浄水供給手段(図示せず)やノズル装置13と洗浄水供給手段を制御する制御手段(図示せず)等が配設してある。また、トイレルーム内には、使用者の入室を検知する人体検知リモコン14や衛生洗浄装置を操作する操作リモコン15が設置されている。
【0019】
ノズル装置13は、図2に示すように、樹脂材料で成型したケーシング16は上下に分離可能な上ケース17と下ケース18を組み合わせた構成であり、ケーシング16の中央部には略円筒形のノズルガイド19が形成してあり、ノズルガイド19の一端には先端開口20が設けてある。
【0020】
ノズルガイド19内には円筒形のノズルユニット21が摺動自在に設置してあり、図2に示すように、ノズルユニット21をノズルガイド19内に収容した収納位置と、図4および図5に示すように、ノズルユニット21が先端開口20より突出した洗浄位置間を進退可能となっている。
【0021】
ノズルユニット21は略円筒形のノズル本体22と、ノズル本体22を収容する略円筒形状のノズルカバー23と、ノズルカバー23でノズル本体22を牽引する連結手段24で構成している。
【0022】
ノズルカバー23はノズルカバー本体25とノズルラックブロック26とが一体となって構成されている。ノズルカバー本体25はステンレスの薄板を円筒状に形成したものであり、先端面は閉塞面をなし、後端面は開放面となっており、後端面よりノズル本体22が挿入可能な形状をなしている。ノズルカバー本体25の上面には、ノズル本体22およびノズルカバー23をケーシング16内に収容した状態で、ノズル本体22のビデ洗浄噴出口27に対向する位置に噴出開口29が1個設けてある。ノズルカバー本体25の下面後方には、ノズルラックブロック26と嵌合するスリット状のラック開口30が設けてあり、下面前方にはノズルカバー本体25内の洗浄水を排出する排水口31が設けてある。また、ノズルラックブロック26の下面には略全長に亘って歯型状のラック26aを形成
してある。
【0023】
ノズル本体22はノズルカバー23の内径より僅かに小さい外径であり、ノズル本体22とノズルカバー23が互いにスムーズに摺動可能な寸法関係となっている。
【0024】
図7は図6(a)のB−B断面を、図8は図6(a)のC−C断面を、図9は図6(b)のD−D断面を示すものである。
【0025】
図7に示すように、ノズル本体22の内部には、お尻直噴洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の3本の流路が形成してある。
【0026】
お尻直噴洗浄流路32はノズル本体22後端部から先端部まで配置してあり、図6(b)に示すように先端部において略同内径のままノズル本体22上面方向へ流路を屈曲させ、お尻洗浄噴出口28に連通している。お尻旋回洗浄流路33はノズル本体22後端部から先端部まで配置してあり、先端部においてノズル本体22上面方向へ屈曲したお尻直噴洗浄流路32の軸心に対して偏心させ、接線方向から洗浄水に軸心周りの旋回成分を付与するように連通させている。ビデ洗浄流路34はノズル本体22後端部から途中の流路径をφ1.0〜1.5mm程度まで絞ったイジェクタ35を経由して先端部まで配置してあり、ビデ洗浄噴出口27の下方に配置された水室にビデへの吐出方向の軸心に対して偏心させて連通し、洗浄水に軸心周りの旋回成分を付与する構成となっている。また、イジェクタ35近傍にはφ1.0mm程度の空気混入孔36を開けてある。
【0027】
お尻直噴洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の後端の部分には、いずれも洗浄水を供給する洗浄水供給口32a、33a、34aが設置してあり、洗浄水供給手段から流路切替弁37を経由しホース(図示せず)を介して連通してある。また、お尻直噴洗浄流路32に関しては、流路切替弁37と洗浄水供給口32aとの間にT字管(図示せず)を設け、洗浄水に空気混入するための空気ポンプ(図示せず)を間に併設してある。
【0028】
図10はノズル装置の上面図を示すものであり、図11および図12は図10における要部断面図を示すものである。ノズル本体22とノズルカバー23と連結手段24からなるノズルユニット21を収容するケーシング16のノズルガイド19は、その後部はノズルカバー本体25の外径より僅かに大きい内径となっており、ノズルカバー本体25とノズルガイド19がスムーズに摺動可能な寸法関係となっている。
【0029】
ノズルガイド19の先端開口20の近傍には内径の大きい洗浄拡大部38が設置してあり、洗浄拡大部38はノズルユニット21の収納位置においてノズルカバー本体25上面の噴出開口29およびその周辺を十分にカバーする奥行きとなっている。洗浄拡大部38の上部横向き接線方向へノズル洗浄噴出口39が開口しており、ケーシング16の外側にノズル洗浄噴出口39と連通する洗浄水供給口39aが設置してあり、洗浄水供給手段とホース(図示せず)を介して連通してある。洗浄拡大部38の内径はノズルカバー本体25の外面と略全周に亘り僅かな隙間を形成する寸法となっており、前記隙間にノズル洗浄用の洗浄水が流通可能な構成となっている。
【0030】
ノズル洗浄噴出口39はノズルガイド19の横向き接線方向へ洗浄水を噴出する構成のため、洗浄水はノズルカバー本体25の周囲を旋回するように流れるため、ノズルカバー本体25裏側まで効率よく洗浄できる。また、洗浄拡大部38の下部には洗浄水を排出する排水口31が設置してある。
【0031】
また、ノズルガイド19の先端開口20の上部に枢支し上下に回動自在なノズルシャタ
40が設けてあり、ノズルユニット21をノズルガイド19に収納した状態で先端開口20を閉塞することができる。ノズルシャタ40はノズルユニット21が洗浄位置に進出するときは、ノズルユニット21の先端で押進することにより上方に開成し、ノズルユニット21を収納位置に収納したときはノズルシャタ40の自重で下方に回動し閉塞する構成である。
【0032】
図13〜18はノズル装置の駆動の状態を示す縦断面図であり、図13は収納状態を示し、図14はビデ洗浄状態を示し、図15はノズルユニットが前ストッパに当接し連結位置が切替る前の状態を示し、図16はノズルユニットが前ストッパに当接し連結位置が切替った後の状態を示し、図17はお尻洗浄状態を示し、図18ノズルユニットが後ストッパに当接し連結位置が切替る前の状態を示すものである。図19〜24はノズル装置の各駆動状態におけるノズルユニット21と上ケース17との位置関係を示した上面図を示し、図25〜30は同下面図を示すものである。
【0033】
図に示すように、ケーシング16の下部にはノズル駆動手段41が設置してある。ノズル駆動手段41は駆動モータ42とウォームギア(図示せず)と変速ギア43とピニオンギア44を備え、ピニオンギア44はノズルカバー23を構成するノズルラックブロック26の下面に設置したラック26aと噛合する位置に設置してある。駆動モータ42の回転はウォームギアと変速ギア43を介して回転数を落としてピニオンギア44に伝達され、ピニオンギア44が回転することにより、ラック26aを有するノズルカバー23が摺動可能な構成となっている。駆動モータ42は制御手段(図示せず)に接続してあり、制御手段により運転が制御される。また、駆動モータ42の後部には駆動モータ42の回転数を検知する回転検知センサ45が設置してある。
【0034】
図31、図32はそれぞれビデ洗浄時およびお尻洗浄時の連結手段近傍の拡大図である。ノズルカバー23にはノズルカバー23の移動によりノズル本体22を牽引移動させる連結手段24が設置してある。連結手段24はノズル本体22の側面に設置した連結受部46と、ノズルカバー23の後端部に設置した連結片47で構成している。
【0035】
図31、図32に示すように、樹脂材料で成型した連結受部46はノズル本体22後端の一方の側面にノズル本体22と平行に設置してある。連結受部46は前後に間隔を開けて2ヶ所に前凹陥部46aと後凹陥部46bを、円周方向に同一断面形状となるように設けており、前凹陥部46aと後凹陥部46bの間隔はノズル本体22のビデ洗浄噴出口27とお尻洗浄噴出口28との間隔と略等しい寸法となっている。
【0036】
連結片47はノズルカバー23の後端部の側面に連結受部46と対向するように設けてある。連結片47は弾性を有する金属材料で形成し、連結片保持部48に保持され、両端を固定された両端支持梁で、略中央部に連結突起47aを形成した構成となっており、連結突起47aは前記連結受部46の前凹陥部46aと後凹陥部46bに嵌入する形状となっている。連結突起47aが前凹陥部46aまたは後凹陥部46bに嵌入することにより連結片47と連結受部46が連結し、ノズル本体22とノズルカバー23が連動可能となる。
【0037】
前後凹陥部46a、46bの断面形状はV字形状であり、連結突起47aは前後凹陥部46a、46bの断面形状よりも角度の小さいV字形状である。連結時においてもノズル本体22方向に荷重が加わるようにバネ定数を調整することで、常に前後凹陥部46a、46bのV字断面の頂点と連結突起47aのV字形状の頂点が略一致し、ノズル本体22とノズルカバー23の連結手段24に起因するズレが最小となる。
【0038】
また、ノズル本体22には位置決め突起49が設けてあり、位置決め突起49はケーシ
ング16のノズルガイド19前部に設けた前ストッパ50に当接することでノズルの前進方向の摺動範囲を、後ストッパ51にノズル本体22後端を当接することによりノズル本体22の後退方向の摺動範囲を規制する手段となっている。
【0039】
以上のように構成されたノズル装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0040】
まず、図13、図19、図25にて示すノズルを使用しない収納状態においては、ノズルカバー23はノズルガイド19の最も後部に位置し、ノズル本体22も摺動範囲の最も後部に位置しており、ノズル本体22後端はノズルガイド19後部に設けた後ストッパ51に当接した状態であり、ノズル本体22、ノズルカバー23ともに最も後退した位置に配置されおり、この位置を収納位置と称し、この状態を収納状態と称する。この時、連結片47の連結突起47aは図19に示すように連結受部46の後凹陥部46bに嵌入した状態になっている。
【0041】
収納状態から洗浄を開始する際には、まず、使用者が操作手段を操作することにより、制御手段が制御を開始し、駆動モータ42の回転がピニオンギア44に伝えられることによりピニオンギア44と噛み合ったラック26aを有するノズルカバー23を後方に移動させようとするが、ノズルカバー23はこれ以上後方に移動できないため、その前後方向の位置は変化しない。この位置を原点としてこれ以降のノズルカバー23の位置は駆動モータ42の回転数を回転数検知センサ45で検知することで、ノズルカバー23の移動量を推定しながら位置制御することが可能となる。
【0042】
次に駆動モータ42を逆回転させてノズルカバー23を前方に移動させる。このときノズル本体22は連結片47の連結突起47aが連結受部46の後凹陥部46bに嵌入した状態が保たれていることによってノズルカバー23に牽引され一体化した状態で前方に移動する。
【0043】
使用者の操作がビデ洗浄の操作であった場合は図14、図20、図26に示すように、前方に移動したノズル本体22およびノズルカバー23は、あらかじめ設定しておいた制御シーケンスに従い、原点状態からの駆動モータ42の回転数が設定値に達すると停止する。このとき、ノズル本体22に設けた位置決め突起49はノズルガイド19の前部に設けた前ストッパ50に接触する手前で停止した状態であり、この位置がビデ洗浄の標準位置となる。
【0044】
この状態で、制御手段は洗浄水供給手段を制御し、ビデ洗浄流路34に通水することでビデ洗浄が開始される。ビデ洗浄噴出口27から噴出した洗浄水は噴出開口29を通過して噴射される。流量の調節は洗浄水供給手段によってなされ、通水流路の切替は流路切替弁37によって行われる。イジェクタ35を経由した直後の洗浄水は流速が高いため、イジェクタ35近傍が負圧となり、空気混入孔36から微細な空気を巻き込んだ洗浄水となり、より柔らかな洗浄感を提供できる。
【0045】
この時、お尻洗浄噴出口28はノズルカバー本体25によって覆われている状態であり、ビデ洗浄によって生じた汚水が直接かからないため、清潔に保たれる。
【0046】
また流路切替弁37のシール性が不十分である場合、お尻直噴洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34との流量切替が完全に行われずビデ洗浄中にもお尻洗浄噴出口28から微小量の水が噴出してしまうが、お尻洗浄噴出口28の上部がノズルカバー本体25で覆われているため、その水が使用者に向かって噴出される恐れがない。
【0047】
ビデ洗浄を行っている状態で駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動
させると、ノズル本体22とノズルカバー23は標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は人体の局所のより広い範囲を洗浄できる。
【0048】
ビデ洗浄の停止を操作すると、駆動モータ42は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー23は後方へ移動し、元の収納位置に戻る。なお、今回の構成では空気混入をさせるため、イジェクタ35近傍に空気混入孔36を開けているが、この孔はなくてもよい。その場合、空気は混入されないが、流路断面積を一部狭めることにより、洗浄水供給手段の脈動感を低減させることができ、デリケートなビデに過度の負荷をかけることのない快適な洗浄が実現できる。
【0049】
次にお尻洗浄を選択した場合、ビデ洗浄と同様にノズルカバー23の原点位置を確認した後、前方へ移動するように駆動モータ42が回転し、ノズル本体22とノズルカバー23を前方に移動させるのはビデ洗浄の場合と同じであるが、お尻洗浄の場合はビデ洗浄位置を越えてさらにノズルカバー23を前方に移動させてゆく。
【0050】
このとき、図15、図21、図27に示すようにノズル本体22に設けた位置決め突起49はノズルガイド19の前部に設けた前ストッパ50に当接し、ノズル本体22はこれ以上前に移動することを規制する。さらにノズルカバー23を前方に移動させると連結片47の連結突起47aが後凹陥部46bから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起47aを外すのに要する荷重値よりもノズルを前後方向に移動させる駆動モータ42の駆動トルクが大きいことが条件となる。
【0051】
連結突起47aが後凹陥部46bから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、前ストッパ50によって移動が規制されたノズル本体22に対して、ノズルカバー23だけが前方に移動し、連結突起47aは前凹陥部46aにはまり込んでゆく。連結突起47aが前凹陥部46aに完全に嵌入すると、図16、図22、図28に示すように噴出開口29がお尻洗浄噴出口28と対向する状態となる。この時点でノズルカバー23の前方移動が終了するように、上ケース17には、ノズル本体22とは接触せずにノズルカバー23と当接するノズルカバー前ストッパ52が設けられている。なお、ノズルカバー前ストッパ52を設けずに、あらかじめ制御シーケンスによって駆動モータ42の回転数による位置制御が行われる形としてもよい。
【0052】
このように連結突起47aが前凹陥部46aに嵌入した状態で駆動モータ42をわずかに逆回転させることでノズルカバー23を後方に移動させ、お尻洗浄の標準位置まで移動させた時点で駆動モータ42を停止させる。この状態が図18に示すお尻洗浄の標準位置となる。
【0053】
上記お尻洗浄の標準位置にノズルカバー23が到達した時点で、制御手段は洗浄水供給手段を制御し、お尻直噴洗浄流路32もしくはお尻旋回洗浄流路33に通水を開始することでお尻洗浄が開始される。お尻洗浄噴出口28から噴出した洗浄水は噴出開口29に直接接触することなく通過して噴射される。流量の調節は洗浄水供給手段によってなされ、通水流路の切替は流路切替弁37によって行われる。お尻直噴洗浄流路32とお尻旋回洗浄流路33へ流れる流量比は流路切替弁37の開度で調節することができる。
【0054】
制御部による流路切替弁37の切替えにより、お尻直噴洗浄流路32にのみ洗浄水を供給すると、お尻洗浄噴出口28の口径と略同等の集中した洗浄水流となって噴出し、ピンポイントで強い洗浄水で洗浄することができる。一方、お尻旋回洗浄流路33にのみ洗浄水を供給すると、洗浄水に軸心周りの旋回成分が付与されるため、お尻洗浄噴出口28から拡散した洗浄水流となって噴出し、広範囲を柔らかな洗浄水で洗浄することができる。また、お尻直噴洗浄流路32とお尻旋回洗浄流路33ともに所定の流量比で洗浄水を供給
すると、お尻洗浄水流形状を上記集中状態から拡散状態にまで流量比に応じたかたちで制御することができる。
【0055】
また、お尻直噴洗浄流路32に通水している際、空気ポンプを駆動させることで、洗浄水に圧縮された空気を混入することができる。空気が混入された洗浄水はお尻洗浄噴出口28から噴出する際、空気が膨張することで洗浄水は運動エネルギーを付加され、集まって塊となって肛門に着水するため、より強い洗浄力を生じさせる。また、洗浄水供給手段による洗浄水の圧力変動の周波数と空気ポンプのダイヤフラムの周波数を変えることで、空気の混入タイミングが不規則なものとなり、肛門に着水する洗浄水が不規則で間欠的なものとなり、断続的な洗浄と比較してボリュームを感じる洗浄となる。
【0056】
この時、ビデ洗浄噴出口27の上部はノズルカバー本体25によって覆われている状態であり、お尻洗浄によって生じた汚水がビデ洗浄噴出口27に直接かからないため、ビデ洗浄噴出口27は清潔に保たれる。
【0057】
また流量切替弁37のシール性が不十分である場合、お尻直噴洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の流量切替が完全に行われずお尻洗浄中にもビデ洗浄噴出口27から微小量の水が噴出してしまうが、ビデ洗浄噴出口27の上部がノズルカバー本体25で覆われているため、その水がノズルの外部に噴出される恐れがない。
【0058】
お尻洗浄を行っている状態で駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させると、ノズル本体22とノズルカバー23は標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は人体の局所のより広い範囲を洗浄できる。
【0059】
お尻洗浄の停止を操作すると、駆動モータ42は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー23は後方へ移動を開始する。収納のために後方へ移動する途中過程において、ノズル本体22後端はノズルガイド19の後部に設けた後ストッパ51に当接し、ノズル本体22はこれ以上後に移動することが規制される。さらにノズルカバー23を後方に移動させると連結片47の連結突起47aが前凹陥部46aから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起47a解除に要する荷重値よりもノズルカバー23を前後方向に移動させる駆動モータ42の駆動トルクが大きいことが条件となる。
【0060】
連結突起47aが前凹陥部46aから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、後ストッパ51によって移動を規制されたノズル本体22に対して、ノズルカバー23だけが後方に移動することで、連結突起47aは後凹陥部46bにはまり込んでゆく。連結突起47aが後凹陥部46bに完全に嵌入すると、噴出開口29がビデ洗浄噴出口27と対向する状態となる。この時点でノズルカバー23はノズルガイド19のノズルカバー後ストッパ53に当接し、これ以上後方へ移動できない。なおノズルカバー後ストッパ53に当接することで、ノズル後退終了とみなして駆動モータ42の回転を停止させてもよいし、あらかじめ設定された制御シーケンスに基づき、駆動モータ42の回転数による位置制御によって停止させてもよい。
【0061】
上記お尻洗浄が終了し、ノズルカバー23が後退しノズル本体22後端が後ストッパ51に当接し停止した時点、またはビデ洗浄が終了し、ノズルカバー23が後退しノズル本体22後端が後ストッパ51に当接し停止した時点で、制御手段はノズル洗浄の制御を開始する。制御手段は洗浄水供給手段を制御し、洗浄水供給口39aへ通水を開始することでノズル洗浄が開始される。流量の調節は洗浄水供給手段によってなされ、通水流路の切替は流路切替弁37によって行われる。
【0062】
ノズル洗浄噴出口39から噴出した洗浄水は、洗浄拡大部38内径上部横向き接線方向
へノズル洗浄噴出口39が開口しているため、噴出した洗浄水はノズルガイド19の内壁に沿って、ノズルカバー本体25との隙間を円周方向に旋回循環する旋回流となり、ノズルカバー23の外周壁およびビデ洗浄噴出口27の汚れを効果的に除去することができる。なお、ノズル洗浄水噴出口37は噴出開口29と略対向する位置に複数個設けるような構成としてもよい。こうすることで、比較的汚れの貯まりやすい噴出開口29近傍を集中的に洗浄することができ、より清潔な局部洗浄を実現できる。また、ノズル洗浄水噴出口39の口径を小さくすることでより高水圧の水流が噴出することとなり、洗浄力が向上する。また、孔数を増やすことで、効果的に広範囲を洗浄することもできる。
【0063】
以上のように、本実施の形態においては、洗浄水を噴出するお尻洗浄噴出口28とビデ洗浄噴出口27とそれぞれの噴出口に洗浄水を供給する流路を備えたノズル本体22と、ノズル本体22を覆い噴出開口29を1個有する筒状のノズルカバー23と、ノズル本体22とノズルカバー23を連結する連結手段24と、ノズル本体22とノズルカバー23とを収納するノズルガイド19と、ノズル本体22の進退を駆動するノズル駆動手段41とを備え、ノズル本体22とノズルカバー23は相互に摺動可能な構成とし、使用する噴出口に噴出開口29を対向させるようにノズルカバー23を摺動させ、噴出開口29を介して噴出する構成とすることにより、複数の噴出口を有するノズル本体22であっても噴出開口29は1個で済み、汚れの付着しやすい箇所が最小限となるので、清潔性が向上する。また、未使用側の噴出口はノズルカバー23により覆われているため、洗浄により汚れた洗浄水でノズル本体22が汚染されることがなく衛生的である。
【0064】
しかも、噴出開口29が必要最小限のため、見栄えもすっきりとし、ノズルカバー23も簡単な構成となるため低コスト化を図ることができる。
【0065】
また、ノズル本体22とノズルカバー23は連結手段24を介して連動し、相対位置を切り替えることができる構成となっているため、1個のノズル駆動手段41で2個の駆動対象をそれぞれの最適位置まで駆動でき、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0066】
なお、本実施の形態においてはノズル駆動手段41としては駆動モータ42とウォームギアと変速ギア43とピニオンギア44を備えたギアを介した伝達機構を採用したが、これに限るものではなく、ベルトやチェーン等の伝達機構を使用してもよい。
【0067】
また、本実施の形態においてはノズルカバー本体25をステンレスで形成したが、材料はこれに限るものではなく、他の耐食性を備えた金属材料やセラミック等の無機材料あるいは樹脂材料でもよい、特にこれらの材料に抗菌あるいは殺菌性能や撥水性能等を付加したものを使用することにより、より清潔性を高めることができる。
【0068】
また、本実施の形態においては、連結手段24の連結片は弾性を有する金属材料で形成したが、これに限るものではなく、弾性を有する樹脂材料でもよい。樹脂材料を使用した場合、連結手段24の連結部材を一体で成型することが可能となり安価に作ることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態においては、洗浄流路として、お尻直噴洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の3流路を形成したが、他にもケーシング16のノズルガイド19に設置したノズル洗浄噴出口39の換わりにノズル洗浄流路を設けたり、洗浄により濡れた人体を乾燥させるために乾燥風を吹き出す乾燥風流路を設けてもよい。
【0070】
また、本実施の形態においては、ノズルカバー23を構成するノズルラックブロック26にピニオンギア44と嵌合するラック26aが構成され、ノズルカバー23が駆動し、
連結されたノズル本体22が牽引移動する構成であるが、逆にノズル本体22にラックを構成し、ノズル本体22が駆動し、連結されたノズルカバー23を牽引移動する構成としてもよい。
【0071】
また、本実施の形態においては、ノズルカバー23に開けた噴出開口29は、ノズル本体22およびノズルカバー23が収容時にビデ洗浄噴出口27に対向する位置に設けてあるが、お尻洗浄噴出口28に対向する位置に設けてもよい。また、連結手段24における連結受部を3ヶ所に増やし、いずれの洗浄噴出口とも対向しない位置に設けてもよい。こうすることで、収納時、すべての洗浄噴出口がノズルカバーにより覆われ、トイレットペーパー屑に代表される粉塵が洗浄口に入ってくることがなく、清潔に保つことができる。
【0072】
また、本実施の形態のおいては、ノズル洗浄噴出口を洗浄拡大部の上部横向き接線方向へ開口させているが、ノズルカバー収納時に噴出開口と略対向する位置に複数のノズル洗浄噴出口を開口させてもよい。こうすることで、局部の洗浄水が噴出する噴出開口を集中して洗浄することができる。
【0073】
また、本実施の形態においては、毎回原点位置を確認した後、洗浄を開始するシーケンスとなっているが、本体電源投入時にのみ原点位置を確認し、その位置情報を制御手段に記憶させておいてもよい。こうすることで、洗浄開始の信号を受けてから実際にノズルが駆動し洗浄するまでの時間が短縮される。他にも、決められたタイミングを制御手段に設定しておき、そのタイミングに従って定期的に原点位置を確認する形でも良い。これにより、洗浄開始までの時間が短縮されつつも、ノズルの原点位置がずれたときには自動的に修正される。
【0074】
(実施の形態2)
図33は本発明の第2の実施の形態におけるノズル装置全体の外観の斜視図を、図34はノズル本体の噴出開口29における断面図を示す。
【0075】
本実施の形態が実施の形態1と異なるのは、ノズル本体22に連結配置された回動駆動手段54で、他については実施の形態1と同様であり、同作用をする構成については同一の符号を付し、詳細な説明は実施例1のものを援用する。
【0076】
ノズル本体22とノズルカバー23とを連結している連結受部46は円周方向に同一断面形状となるように設けられているので、ノズル本体22が回動しても連結受部46と連結突起47aとの嵌合関係は変わらずに同一の位置関係で連結し続ける。また、ノズルカバー本体25にあけてある噴出開口29は円周方向に長い長穴となっている。この長穴の開口角度をαとする。
【0077】
お尻洗浄やビデ洗浄を行っている状態で、制御手段で回動駆動手段54を動作させ、ノズル本体22をお尻洗浄噴出口28あるいはビデ洗浄噴出口27が鉛直上方向位置にある状態を基準位置とし、左右円周方向に回動させる。回動角度を基準位置より左右に前記開口角度αの1/2より小さくすることで、ノズルカバー本体25に干渉せず洗浄水が噴出し、噴出した洗浄水は振動し、広い範囲を洗浄できるとともに、噴流がばらけるため、ボリュームを感じる洗浄となる。このとき、回動速度や回動範囲を制御することで、洗浄範囲やボリューム感を調節することができる。
【0078】
また、回動駆動手段54と共にノズル駆動手段41も駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させることで、より広い範囲の洗浄を実現することが出来る。
【0079】
(実施の形態3)
図35は本発明の第3の実施の形態におけるノズル本体22の噴出開口29における断面図を、図36は回動させた状態における断面図を示す。
【0080】
本実施の形態が実施の形態2と異なるのは、ノズル本体22に構成された乾燥風流路55、乾燥風噴出口56および乾燥風供給口(図示せず)と乾燥風供給手段(図示せず)で、他については実施の形態2と同様であり、同作用をする構成については同一の符号を付し、詳細な説明は実施例1および2のものを援用する。
【0081】
乾燥風供給手段は乾燥ファンと乾燥ヒータと乾燥風洞で構成され、乾燥風洞は乾燥風供給口と連通している。乾燥ファンと乾燥ヒータは制御手段により設定された温度の温風が吹き出すようになっている。乾燥風噴出口56はノズル本体22の駆動方向に対してビデ洗浄噴出口27と同じ位置で、かつノズル本体22を角度βだけ回動させたときに鉛直上方向に孔が向くような方向に開いている。βを長孔の開口角度αの1/2より大きい角度とすることで、乾燥風噴出口56はビデ洗浄時にはノズルカバー23に覆われており、ビデ洗浄によって生じた汚水が直接かからないため、清潔に保たれる。また、ビデ洗浄噴出口27と同じ位置であるため、連結手段24における連結受部の数を増やす必要がないため簡単な構成となり、さらに乾燥風噴出口56をノズル本体22のより前方に構成することができるため、その分ノズルカバー23の突出距離が少なくて済み、省スペース化・低コスト化を図ることが出来る。
【0082】
乾燥を選択した場合、ビデ洗浄と同様にノズルカバー23の原点位置を確認した後、前方へ移動するように駆動モータ42が回転し、ノズル本体22とノズルカバー23を前方に移動させるのはビデ洗浄の場合と同じであるが、乾燥の場合は乾燥標準位置まで移動させ駆動モータ42を停止させた後、図36に示すように、回動駆動手段54によりノズル本体を角度β回動させ、その位置を乾燥の標準位置とする。
【0083】
上記乾燥の標準位置にノズルカバー23が到達した時点で、制御手段は乾燥風供給手段を制御し、温風送風が開始される。通常、お尻およびビデ洗浄後、洗浄水は局部のみではなく、その周辺にまで飛び散っている。そのため、回動駆動手段54と共にノズル駆動手段41も駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させることで、より広い範囲に乾燥風を吹き付けることができる。また、ノズル本体22の回動と乾燥風の送風の制御を連動させ、乾燥風噴出し口が外側から中央部へ回動するときのみ送風するようにすることで、お尻についた水滴を中央部に集めることができ、最後にまとめて中央部に乾燥風を吹き付けることで、効率的な乾燥を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかるノズル装置は、複数の噴出孔を備えたノズル装置を小型で簡単な構成とすることが可能となるため、局部洗浄以外のあらゆる洗浄装置などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1におけるノズル装置を使用した衛生洗浄装置の斜視図
【図2】同実施の形態1におけるノズル装置の収納状態における斜視図
【図3】同実施の形態1におけるノズル装置の上ケースを外した状態の斜視図
【図4】同実施の形態1におけるノズル装置のビデ洗浄状態を示す斜視図
【図5】同実施の形態1におけるノズル装置のおしり洗浄状態を示す斜視図
【図6】(a)はノズルユニットの上面図、(b)は(a)のAA断面図
【図7】図6のBB断面図
【図8】図7のCC断面図
【図9】図6(b)のDD断面図
【図10】同実施の形態1におけるノズル装置の上面図
【図11】図10のEE断面図
【図12】図10のFF断面図
【図13】同実施の形態1におけるノズル装置の収納状態を示す断面図
【図14】同実施の形態1におけるノズル装置のビデ洗浄状態を示す断面図
【図15】同実施の形態1におけるノズル装置の伸長方向への連結位置切替前の状態を示す断面図
【図16】同実施の形態1におけるノズル装置の伸長方向への連結位置切替後の状態を示す断面図
【図17】同実施の形態1におけるノズル装置のお尻洗浄状態を示す断面図
【図18】同実施の形態1におけるノズル装置の後退方向への連結位置切替前の状態を示す縦断面図
【図19】同実施の形態1におけるノズルユニットの収納状態を示す上面図
【図20】同実施の形態1におけるノズルユニットのビデ洗浄状態を示す上面図
【図21】同実施の形態1におけるノズルユニットの伸長方向への連結位置切替前の状態を示す上面図
【図22】同実施の形態1におけるノズルユニットの伸長方向への連結位置切替後の状態を示す上面図
【図23】同実施の形態1におけるノズルユニットのお尻洗浄状態を示す上面図
【図24】同実施の形態1におけるノズルユニットの後退方向への連結位置切替前の状態を示す上面図
【図25】同実施の形態1におけるノズルユニットの収納状態を示す下面図
【図26】同実施の形態1におけるノズルユニットのビデ洗浄状態を示す下面図
【図27】同実施の形態1におけるノズルユニットの伸長方向への連結位置切替前の状態を示す下面図
【図28】同実施の形態1におけるノズルユニットの伸長方向への連結位置切替後の状態を示す下面図
【図29】同実施の形態1におけるノズルユニットのお尻洗浄状態を示す下面図
【図30】同実施の形態1におけるノズルユニットの後退方向への連結位置切替前の状態を示す下面図
【図31】同実施の形態1におけるビデ洗浄時の連結手段の詳細を示す上面図
【図32】同実施の形態1におけるお尻洗浄時の連結手段の詳細を示す上面図
【図33】本発明の実施の形態2におけるノズル装置の収納状態における斜視図
【図34】同実施の形態2におけるノズル装置のノズルユニットの要部断面図
【図35】本発明の実施の形態3におけるノズル装置のノズルユニットの要部断面図
【図36】同実施の形態3におけるノズル装置のノズルユニットの要部断面図
【図37】従来のノズル装置の斜視図
【符号の説明】
【0086】
13 ノズル装置
19 ノズルガイド
22 ノズル本体
23 ノズルカバー
24 連結手段
27 ビデ洗浄噴出口(噴出口)
28 お尻洗浄噴出口(噴出口)
29 噴出開口
32 お尻直噴洗浄流路(流路)
33 お尻旋回洗浄流路(流路)
34 ビデ洗浄流路(流路)
38 洗浄拡大部
39 ノズル洗浄噴出口
41 ノズル駆動手段(駆動手段)
55 乾燥風流路(流路)
56 乾燥風噴出口(噴出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の噴出口と、前記複数の噴出口に連通する複数の流路を備えたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーと、前記ノズル本体とノズルカバーを連結しノズルカバー内に構成される連結手段と、前記ノズル本体とノズルカバーと連結手段を収納するノズルガイドと、前記ノズルカバーの進退を駆動する駆動手段とを備え、前記ノズルカバーの略全体をノズルガイド内に収納した収納位置と、ノズルカバーの一部がノズルガイドより進出した複数の洗浄位置との間を前記駆動手段により摺動可能とし、前記ノズル本体は収納位置と少なくとも一つの洗浄位置の間を、前記連結手段を介してノズルカバーと連動し、前記ノズル本体と前記ノズルカバーは相互に摺動可能な構成とし、前記ノズルカバーには1個の噴出開口を有し、前記複数の噴出口に前記噴出開口を対向させるように前記ノズル本体もしくは前記ノズルカバーを摺動させ、前記噴出開口を介して噴出するノズル装置。
【請求項2】
複数の噴出口は、おしりを洗浄する洗浄水が噴出するおしり洗浄噴出口と、女性の局部を洗浄する洗浄水が噴出するビデ洗浄噴出口を備えた請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
複数の噴出口は、局部を乾燥する空気を噴出する乾燥風噴出口を備えた請求項1または2に記載のノズル装置。
【請求項4】
ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態で、噴出開口およびその周辺を十分に覆う洗浄拡大部と、前記洗浄拡大部の上部にノズル洗浄噴出口を備えた請求項1〜3いずれか1項に記載のノズル装置。
【請求項5】
ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれとも対向しない位置に噴出開口を構成した請求項1〜4に記載のノズル装置。
【請求項6】
ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれかひとつと対向する位置に噴出開口を構成した請求項1〜4に記載のノズル装置。
【請求項7】
ノズルカバーを耐食性を備えた金属材料で形成した請求項1〜6に記載のノズル装置。
【請求項8】
請求項1〜7に記載のノズル装置と、前記ノズル装置に洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、前記ノズル装置と前記洗浄水供給手段を制御する制御手段と、便器の上面に載置する便座を備えた衛生洗浄装置。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−275393(P2009−275393A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126776(P2008−126776)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】