説明

ノズル装置とそれを使用した衛生洗浄装置

【課題】複数の噴出機能を備えた、小型で衛生的なノズル装置を提供すること。
【解決手段】複数の噴出口27と流路32を備えたノズル本体22と、ノズル本体22の一部を覆いうノズルカバー23と、ノズル本体22とノズルカバー23を連結する連結手段24と、それらを収納するノズルガイド19と、ノズルカバー23の進退する駆動手段41と、ノズル本体22を回動させる回動手段54とを備え、ノズルカバー23には噴出開口29を有し、複数の噴出口27に噴出開口29を対向させるようにノズル本体22とノズルカバー23を相互に摺動および回動させ、噴出開口23を介して噴出することにより、衛生的で小型化のノズル装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の局部を洗浄する洗浄水もしくは洗浄後乾燥させるための空気を噴出するノズル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のノズル装置において、人体局部を広範囲に洗浄するものとしては、洗浄ノズルからの洗浄噴流を略環状に回転させるために、洗浄ノズルを縦方向に駆動する縦方向駆動手段と洗浄ノズルを横方向に駆動する横方向駆動手段とで構成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図35は特許文献1に記載された従来のノズル装置を示すものである。図35に示すように、お尻洗浄ノズル101とビデ洗浄ノズル102は支持体であるお尻シリンダー103、ビデシリンダー104、ガイド105、取付台(図示せず)を介して縦駆動モータ106と横駆動モータ107などにより駆動されている。これにより、洗浄時、縦駆動モータ106と横駆動モータ107を動作させることで、お尻洗浄ノズル101もしくはビデ洗浄ノズル102が前後左右に駆動し、局部周辺広範囲を洗浄することができる。
【0004】
また、人体局部を広範囲に乾燥するノズル装置としては、乾燥ノズルに進退駆動手段と進退方向に直交する方向への揺動手段により構成されるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
図36は特許文献2に記載された従来の乾燥ノズル装置を示すものである。図36に示すように、乾燥ノズル111と乾燥ノズル111を進退駆動させる進退駆動手段112と乾燥ノズル111が進出した位置において乾燥ノズル111をその進退方向と直交する方向へ揺動させる揺動手段113などにより構成されており、乾燥スイッチ(図示せず)が投入されると、乾燥ノズル111が局部近傍まで進出し、停止する。同時に、空気加熱手段114によって加熱された空気が送風機115により温風供給路116を経てノズル口117から噴出し、人体局部に噴出す。所定の温風温度に到達した時点で、揺動手段113が駆動され乾燥ノズル111が進退方向に直交する方向に人体局部を中心として所定間隔で揺動し、広範囲に温風を当てることができる。
【0006】
同様に、人体局部を広範囲に乾燥するノズル装置としては、回転軸の異なる噴出方向前後偏向モータと噴出方向左右偏向モータを備え、それらを独立に駆動できるように構成されるものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
図37は特許文献3に記載された従来の乾燥ノズル装置を示すものである。図37に示すように、空気ノズル121の駆動を規制する空気ノズルガイド122と空気ノズル121と連結する噴出方向左右偏向モータ123と空気ノズルガイド122と連結する噴出方向前後偏向モータ124とで構成され、空気の噴出と連動している噴出方向前後偏向モータ124と噴出方向左右偏向モータ123を駆動すれば、噴出方向の前後方向と左右方向の動きが合成され、噴出方向を三次元的に偏向させることができ、より広範囲を乾燥させることができる。
【特許文献1】特開平9−060088号公報
【特許文献2】特許第2867818号公報
【特許文献3】特許第3799850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に記載の構成では、ノズル装置全体を取付台ごと横駆動するため、ノズル装置の設置に広いスペースが必要となる。
また、特許文献2に記載の構成では、進退駆動手段112と揺動手段113が共に乾燥ノズル111と連動しているため、乾燥ノズルを前後(進退方向)左右(揺動方向)に同時に駆動させることが出来ず、単調な動きしかできない。また、別途洗浄用ノズルも必要のため、設置に広いスペースが必要となる。
【0009】
また、特許文献3に記載の構成では、噴出方向前後偏向モータ124と噴出方向左右偏向モータ123は空気ノズルの向きを僅かに偏向させるためのものであるから、図示されていないが、乾燥ノズルを局部近傍にまで進出させる駆動手段が別途必要となり、装置が大きいものとなってしまう。また、特許文献2同様に、別途洗浄用ノズルも必要のため、設置に広いスペースが必要となる。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、省スペースで広範囲を洗浄または乾燥できるノズル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明のノズル装置は、複数の噴出口と複数の流路を備えたノズル本体と、ノズル本体の一部を覆うノズルカバーと、ノズル本体とノズルカバーを連結する連結手段と、ノズル本体とノズルカバーと連結手段を収納するノズルガイドと、ノズルカバーの進退を駆動する駆動手段と、ノズル本体を回動させる回動手段とを備え、ノズルカバーを収納位置と使用位置との間を駆動手段により進退可能とし、ノズル本体は収納位置と少なくとも1つの使用位置の間を連結手段を介してノズルカバーと連動し、ノズルカバーには噴出口より少ない数の噴出開口を有し、複数の噴出口に噴出開口を対向させるようにノズル本体とノズルカバーを相互に摺動および回動させ、噴出開口を介して噴出することを特徴とするものである。
【0012】
これによって、噴出開口は噴出口より少ない数ですみ、汚れの付着しやすい箇所が少なくなるので、清潔性が向上する。しかも、1個の駆動手段ノズルカバーとノズル本体を駆動できるため、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0013】
また、ノズル本体を左右回転させて使用する噴出口を切替たり、左右方向に揺動させることも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、複数の噴出機能を備え、小型で衛生的なノズル装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、複数の噴出口と、前記複数の噴出口に連通する複数の流路を備えたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーと、前記ノズル本体とノズルカバーを連結する連結手段と、前記ノズル本体とノズルカバーと連結手段を収納するノズルガイドと、前記ノズルカバーの進退を駆動する駆動手段と、前記ノズルカバーの進退方向と略平行な軸に対して前記ノズル本体を回動させる回動手段とを備え、前記ノズルカバーの略全体をノズルガイド内に収納した収納位置と、ノズルカバーの一部がノズルガイドより進出した使用位置との間を前記駆動手段により進退可能とし、前記ノズル本体は前記収納位置と少なくとも1つの使用位置の間を前記連結手段を介してノズルカバーと連動し、前記ノズルカバーには前記噴出口より少ない数の噴出開口を有し、前記複数の噴出口に前記噴出開口を対向させるように前記ノズル本体と前記ノズルカバーを相互に
摺動および回動させ、前記噴出開口を介して噴出することを特徴とするものである。
【0016】
これにより、複数の噴出口を有するノズル本体であっても噴出開口は噴出口より少ない数ですみ、汚れの付着しやすい箇所が少なくなるので、清潔性が向上する。また、見栄えもすっきりとし衛生的で清潔感を感じることができる。しかも、ノズルカバーのみを駆動手段で駆動することにより、ノズル本体とノズルカバーを連動するとともに、一部範囲ではノズルカバーのみを単独で摺動することができることとなり、1個の駆動手段で2個の駆動対象をそれぞれの最適位置まで駆動できるため、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0017】
また、ノズル本体が回動可能であるため、ノズル本体を左右回転させて使用する噴出口を切替たり、左右方向に揺動させることも可能となる。しかも、ノズルカバー内でノズル本体が回動する構成なので、ノズル装置としても省スペースでノズルの回動を実現できる。
【0018】
さらに進退方向の駆動手段と回動手段とが独立した構成なので、進退方向の駆動しながら回動駆動させることもできる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明において、連結手段は、少なくとも1個以上の噴出口が噴出開口と対応した位置で連結可能とし、ノズル本体は連結した状態で回動可能な構成である。
【0020】
これにより、噴出口と噴出開口が対応可能な連結位置でノズル本体は回動可能であるので、噴出口と噴出開口が対応した状態で進退方向の駆動可能であり、しかもその状態でノズル本体の回動ができることとなり、回動による噴出口の切替えおよび揺動が可能となる。
【0021】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、ノズルカバーには1個の噴出開口を有し、ノズル本体には複数の噴出口を有し、前記複数の噴出口を前記噴出開口に対向させるように前記ノズル本体と前記ノズルカバーを相互に摺動および回動させる構成である。
【0022】
これにより、ノズルカバーには噴出開口が1箇所のみとなり、特に洗浄作業中に汚れが付着しやすい非使用状態の噴出開口がないため、衛生的なノズル装置を提供できる。
【0023】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、複数の噴出口は、お尻を洗浄する洗浄水が噴出するお尻洗浄噴出口と、女性の局部を洗浄する洗浄水が噴出するビデ洗浄噴出口を備えたものである。
【0024】
これにより、お尻洗浄とビデ洗浄を1つのノズルユニットで実現することができるので、小型で省スペースのノズル装置が実現できるとともに、洗浄対象の真下からの洗浄を実現することにより高い洗浄効果を得ることが可能である。さらにノズルを回動させることができるので、これまで困難であった左右方向の洗浄位置調節や、前後駆動と併せての広範囲洗浄などの多機能を有するノズル装置を提供することができる。
【0025】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、複数の噴出口は、局部を乾燥する空気を噴出する乾燥風噴出し口を備えたことにより、局部の乾燥機能も1つのノズル本体で実現するため省スペースで、かつ洗浄機能および乾燥機能を備えた衛生的なノズル装置を提供することができる。さらにノズルを回動させることができるので、前後駆動と併せて局部周辺の広範囲に乾燥用空気を噴出させることができる。
【0026】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明において、ノズルカバー収納時に、噴出開口およびその周辺を十分に覆う洗浄拡大部と、前記洗浄拡大部の上部横向き接線方向へノズル洗浄噴出口を備えたことにより、ノズルの使用前後にノズル洗浄噴出口よりノズルカバーへ洗浄水を噴出させることでノズルカバーを常に清潔に保つことができる。また、横向き接線方向へ洗浄水を噴出する構成のため、ノズルカバーの周囲を旋回するように流れるため、ノズルカバー裏側まで効率よく洗浄できる。
【0027】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明の発明において、ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれとも対向しない位置に噴出開口を構成したもので、収納時にすべての噴出口が確実にノズルカバーにより覆われているため、トイレットペーパー屑に代表される粉塵等が入ることがなく、複数の噴出口を清潔に保つことができる。
【0028】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の発明において、ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれかひとつと対向する位置に噴出開口を構成したもので、収納状態において噴出開口がどの噴出口とも対向しない待機位置を作らずにすむため、ノズル本体とノズルカバーとの相対位置関係の数が最小限で済むため、構成が簡単なものとなり、低コスト化および省スペース化を図ることができる。
【0029】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明の発明において、ノズルカバーを耐食性を備えた金属材料で形成することで、ノズルカバーに汚染物が付着し難くなるとともに付着した汚染物の除去がし易くなり、ノズルカバーを清潔の保つことができる。
【0030】
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか1つの発明のノズル装置と、ノズル装置に洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、ノズル装置と洗浄水供給手段を制御する制御手段と、便器の上面に載置する便座を備えた衛生洗浄装置とすることにより、少ない数の噴出開口で複数の噴出口を切り替えて使用するノズル装置を使用することにより、局部の洗浄もしくは乾燥により汚れた洗浄水でノズル本体が汚染されることが少なく、しかも小型で簡単な構成の衛生洗浄装置となり、衛生的で使い勝手のよい衛生洗浄装置を提供することができる。
【0031】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照にしながら説明する。なお、本実施の形態によって発明が限定されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるノズル装置を使用した衛生洗浄装置の斜視図を示すものであり、図2はノズルが収納位置にある装置全体の外観の斜視図を示すものであり、図3はノズルが収納位置において、上ケースを外した状態の斜視図を示し、図4はノズル装置のビデ洗浄位置での斜視図を示し、図5はノズル装置のお尻洗浄位置での斜視図を示し、図6はノズル装置の先端部の詳細断面図を示すものである。
【0033】
図1に示すように便器(図示せず)の上面に設置して使用する衛生洗浄装置は、後部に配設した本体10の前面には便座11と便蓋12が回動自在に枢支してあり、本体12の前部には本発明のノズル装置13が設置してあり、本体10の内部にはノズル装置13に洗浄水を供給する洗浄水供給手段(図示せず)やノズル装置13と洗浄水供給手段を制御する制御手段(図示せず)等が配設してある。また、トイレルーム内には、使用者の入室を検知する人体検知リモコン14や衛生洗浄装置を操作する操作リモコン15が設置されてある。
【0034】
ノズル装置13は、図2に示すように、樹脂材料で成型したケーシング16は上下に分離可能な上ケース17と下ケース18を組み合わせた構成であり、ケーシング16の中央部には略円筒形のノズルガイド19が形成してあり、ノズルガイド19の一端には先端開口20が設けてある。
【0035】
ノズルガイド19内には円筒形のノズルユニット21が摺動自在に設置してあり、図2に示すように、ノズルユニット21をノズルガイド19内に収容した収納位置と、図4および図5に示すように、ノズルユニット21が先端開口20より突出した使用位置間を進退可能となっている。
【0036】
ノズルユニット21は略円筒形のノズル本体22と、ノズル本体22を収容する略円筒形状のノズルカバー23と、ノズルカバー23でノズル本体22を牽引する連結手段24で構成している。
【0037】
ノズルカバー23はノズルカバー本体25とノズルラックブロック26とが一体となって構成されている。ノズルカバー本体25はステンレスの薄板を円筒状に形成したものであり、先端面は閉塞面をなし、後端面は開放面となっており、後端面よりノズル本体22が挿入可能な形状をなしている。ノズルカバー本体25の上面には、ノズル本体22およびノズルカバー23をケーシング16内に収容した状態で、ノズル本体22のビデ洗浄噴出口27に対向する位置に円周方向に長い長穴状の噴出開口29が1個設けてある。ノズルカバー本体25の下面後方には、ノズルラックブロック26と嵌合するスリット状のラック開口30が設けてあり、下面前方にはノズルカバー本体25内の洗浄水を排出する排水口31が設けてある。また、ノズルラックブロック26の下面には略全長に亘って歯型状のラックを形成してある。
【0038】
ノズル本体22はノズルカバー23の内径より僅かに小さい外径であり、ノズル本体22とノズルカバー23が互いにスムーズに摺動および回動が可能な寸法関係となっている。
【0039】
ノズル本体22の後端部には回動手段54が設置してあり、回動手段54はサーボモータ54aの回転を回動ギア54bを介してノズル本体22に伝えることにより、ノズル本体22を所定角度回動可能な構成となっている。サーボモータ54aは制御手段(図示せず)に接続してあり、制御手段により運転が制御される。
【0040】
図7は図6(a)のB−B断面を、図8は図6(a)のC−C断面を、図9は図6(b)のD−D断面を示すものである。
【0041】
図7に示すように、ノズル本体22の内部には、お尻直墳洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の3本の流路が形成してある。
【0042】
お尻直墳洗浄流路32はノズル本体22後端部から先端部まで配置してあり、図6(b)に示すように先端部において略同内径のままノズル本体22上面方向へ流路を屈曲させ、お尻洗浄噴出口28に連通している。お尻旋回洗浄流路33はノズル本体22後端部から先端部まで配置してあり、先端部においてノズル本体22上面方向へ屈曲したお尻直墳洗浄流路32の軸心に対して偏心させ、接線方向から洗浄水に軸心周りの旋回成分を付与するように連通させている。ビデ洗浄流路34はノズル本体22後端部から途中の流路径をφ1.0〜1.5mm程度まで絞ったイジェクタ35を経由して先端部まで配置してあり、ビデ洗浄噴出口27の下方に配置された水室にビデへの吐出方向の軸心に対して偏心させ連通し、洗浄水に軸心周りの旋回成分を付与する構成となっている。また、イジェクタ35近傍にはφ1.0mm程度の空気混入孔36を開けてある。
【0043】
お尻直墳洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の後端の部分には、いずれも洗浄水を供給する洗浄水供給口32a、33a、34aが設置してあり、洗浄水供給手段から流路切替弁37を経由しホース(図示せず)を介して連通してある。また、お尻直墳洗浄流路32に関しては、流路切替弁37と洗浄水供給口32aとの間にT字管(図示せず)を設け、洗浄水に空気混入するための空気ポンプ(図示せず)を間に併設してある。
【0044】
図8に示すようにノズルカバー本体25に設けた噴出開口29は円周方向に長い長穴となっており、その長穴の開口角度をαとする。
【0045】
図10はノズル装置の上面図を示すものであり、図11および図12は図10における要部断面図を示すものである。
【0046】
ノズル本体22とノズルカバー23と連結手段24からなるノズルユニット21を収容するケーシング16のノズルガイド19は、その後部はノズルカバー本体25の外径より僅かに大きい内径となっており、ノズルカバー本体25とノズルガイド19がスムーズに摺動可能な寸法関係となっている。
【0047】
ノズルガイド19の先端開口20の近傍には内径の大きい洗浄拡大部38が設置してあり、洗浄拡大部38はノズルユニット21の収納位置においてノズルカバー本体25上面の噴出開口29およびその周辺を十分にカバーする奥行きとなっている。洗浄拡大部38の上部横向き接線方向へノズル洗浄噴出口39が開口しており、ケーシング16の外側にノズル洗浄噴出口39と連通する洗浄水供給口39aが設置してあり、洗浄水供給手段とホース(図示せず)を介して連通してある。洗浄拡大部38の内径はノズルカバー本体25の外面と略全周に亘り僅かな隙間を形成する寸法となっており、前記隙間にノズル洗浄用の洗浄水が流通可能な構成となっている。
【0048】
ノズル洗浄噴出口39はノズルガイド19の横向き接線方向へ洗浄水を噴出する構成のため、洗浄水はノズルカバー本体25の周囲を旋回するように流れるため、ノズルカバー本体25裏側まで効率よく洗浄できるまた、洗浄拡大部38の下部には洗浄水を排出する排水口31が設置してある。
【0049】
また、ノズルガイド19の先端開口20の上部に枢支し上下に回動自在なノズルシャタ40が設けてあり、ノズルユニット21をノズルガイド19に収納した状態で先端開口20を閉塞することができる。ノズルシャタ40はノズルユニット21が洗浄位置に進出するときは、ノズルユニット21の先端で押進することにより上方に開成し、ノズルユニット21が収納位置に収納したときはノズルシャタ40の自重で下方に回動し閉塞する構成である。
【0050】
図13〜18はノズル装置の駆動の状態を示す縦断面図であり、図13は収納状態を示し、図14はビデ洗浄状態を示し、図15はノズルユニットが前ストッパに当接し連結位置が切替る前の状態を示し、図16はノズルユニットが前ストッパに当接し連結位置が切替った後の状態を示し、図17はお尻洗浄状態を示し、図18ノズルユニットが後ストッパに当接し連結位置が切替る前の状態を示すものである。図19〜24はノズル装置の各駆動状態におけるノズルユニット21と上ケース17との位置関係を示した上面図を示し、図25〜30は同下面図を示すものである。
【0051】
図に示すように、ケーシング16の下部にはノズル駆動手段41が設置してある。ノズル駆動手段41は駆動モータ42とウォームギア(図示せず)と変速ギア43とピニオン
ギア44を備え、ピニオンギア44はノズルカバー23を構成するノズルラックブロック26の下面に設置したラック26aと噛合する位置に設置してある。駆動モータ42の回転はウォームギアと変速ギア43を介して回転数を落としてピニオンギア44に伝達され、ピニオンギア44が回転することにより、ラック26aを有するノズルカバー23が摺動可能な構成となっている。駆動モータ42は制御手段(図示せず)に接続してあり、制御手段により運転が制御される。また、駆動モータ42の後部には駆動モータ42の回転数を検知する回転検知センサ45が設置してある。
【0052】
図31、図32はそれぞれビデ洗浄時およびお尻洗浄時の連結手段近傍の拡大図である。ノズルユニット21にはノズルカバー23の移動によりノズ本体22を牽引移動させる連結手段24が設置してある。連結手段24はノズル本体22の側面に設置した連結受部46と、ノズルカバー23の後端部に設置した連結片47で構成している。
【0053】
図31、図32に示すように、樹脂材料で成型した連結受部46はノズル本体22後端の一方の側面にノズル本体22と平行に設置してある。連結受部46は前後に間隔を開けて2ヶ所に前凹陥部46aと後凹陥部46bを、少なくとも90度以上の円周方向に同一断面形状となるように設けており、前凹陥部46aと後凹陥部46bの間隔はノズル本体22のお尻洗浄噴出口28とノズル洗浄噴出口39との間隔と略等しい寸法となっている。
【0054】
連結片47はノズルカバー23の後端部の側面に連結受部46と対向するように設けてある。連結片47は弾性を有する金属材料で形成し、連結片保持部48に保持され、両端を固定された両端支持梁で、略中央部に連結突起47aを形成した構成となっており、連結突起47aは前記連結受部46の前凹陥部46aと後凹陥部46bに嵌入する形状となっている。連結突起47aが前凹陥部46aまたは後凹陥部46bに嵌入することにより連結片47と連結受部46が連結し、ノズル本体22とノズルカバー23が連動可能となる。
【0055】
また、連結受部46断面図(図11)に示すように、連結受部46は円周方向に同一断面形状となるように設けられているので、ノズル本体22がノズルカバー23に対して回動しても連結受部46と連結突起47aとの嵌合関係は変わらずに同一の位置関係で連結し続ける。
【0056】
前後凹陥部46a、44bの断面形状はV字形状であり、連結突起47aは前後凹陥部46a、44bの断面形状よりも角度の小さいV字形状である。連結時においてもノズル本体22方向に荷重が加わるようにバネ定数を調整することで、常に前後凹陥部46a、48bのV字断面の頂点と連結突起47aのV字形状の頂点が略一致し、ノズル本体22とノズルカバー23の連結手段24に起因するズレが最小となる。
【0057】
また、ノズル本体22には位置決め突起49が設けてあり、位置決め突起49はケーシング16のノズルガイド19前部に設けた前ストッパ50に当接することでノズルの前進方向の摺動範囲を、後ストッパ51にノズル本体22後端を当接することによりノズル本体22の後退方向の摺動範囲を規制する手段となっている。
【0058】
以上のように構成されたノズル装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0059】
まず、図13、図19、図25にて示すノズルを使用しない収納状態においては、ノズルカバー23はノズルガイド19の最も後部に位置し、ノズル本体22も摺動範囲の最も後部に位置しており、ノズル本体22後端はノズルガイド19後部に設けた後ストッパ51に当接した状態であり、ノズル本体22、ノズルカバー23ともに最も後退した位置に
配置されおり、この位置を収納位置と称し、この状態を収納状態と称する。この時、連結片47の連結突起47aは図19に示すように連結受部46の後凹陥部46bに嵌入した状態になっている。
【0060】
収納状態から洗浄を開始する際には、まず、使用者が操作手段を操作することにより、制御手段が制御を開始し、駆動モータ42の回転がピニオンギア44に伝えられることによりピニオンギア44と噛み合ったラック26aを有するノズルカバー23を後方に移動させようとするが、ノズルカバー23はこれ以上後方に移動できないため、その前後方向の位置は変化しない。この位置を原点としてこれ以降のノズルカバー23の位置は駆動モータ42の回転数を回転数検知センサ45で検知することで、ノズルカバー23の移動量を推定しながら位置制御することが可能となる。
【0061】
次に駆動モータ42を逆回転させてノズルカバー23を前方に移動させる。このときノズル本体22は連結片47の連結突起47aが連結受部46の後凹陥部46bに嵌入した状態が保たれていることによってノズルカバー23に牽引され一体化した状態で前方に移動する。
【0062】
使用者の操作がビデ洗浄の操作であった場合は図14、図20、図26に示すように、前方に移動したノズル本体22およびノズルカバー23は、あらかじめ設定しておいた制御シーケンスに従い、原点状態からの駆動モータ42の回転数が設定値に達すると停止する。このとき、ノズル本体22に設けた位置決め突起49はノズルガイド19の前部に設けた前ストッパ50に接触する手前で停止した状態であり、この位置がビデ洗浄の標準位置となる。
【0063】
この状態で、制御手段は洗浄水供給手段を制御し、ビデ洗浄流路34に通水することでビデ洗浄が開始される。ビデ洗浄噴出口27から噴出した洗浄水は噴出開口29を通過して噴射される。流量の調節は洗浄水供給手段によってなされ、通水流路の切替は流路切替弁37によって行われる。イジェクタ35を経由した直後の洗浄水は流速が高いため、イジェクタ35近傍が負圧となり、空気混入孔36から微細な空気を巻き込んだ洗浄水となり、より柔らかな洗浄感を提供できる。
【0064】
この時、お尻洗浄噴出口28はノズルカバー本体25によって覆われている状態であり、ビデ洗浄によって生じた汚水が直接かからないため、清潔に保たれる。
【0065】
また流路切替弁37のシール性が不十分である場合、お尻直墳洗浄流路28と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34との流量切替が完全に行われずビデ洗浄中にもお尻洗浄噴出口28から微小量の水が噴出してしまうが、ビデ洗浄噴出口27の上部がノズルカバー25で覆われているため、その水が使用者に向かって噴出される恐れがない。
【0066】
ビデ洗浄を行っている状態で駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させると、ノズル本体22とノズルカバー本体23は標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は人体の局所のより広い範囲を同時に洗浄できる。前記標準位置および揺動範囲を含め使用位置と称し、洗浄水を噴出している状態を使用状態と称する。
【0067】
さらにサーボモータ54aを正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させ、ビデ洗浄噴出口27が鉛直上方向位置にある状態を基準とし、ノズルカバー本体23に対してノズル本体22を左右円周方向に回動させる。回動角度を噴出開口29の開口角度αより小さくすることで、ノズルカバー本体25に干渉せず洗浄水が噴出し、噴出した洗浄水は振動し、広い範囲を洗浄できるとともに、噴流がばらけるため、ボリュームを感じる洗浄となる。前後駆動と左右駆動は互いに独立しており、これらの駆動速度や駆動範囲を制御するこ
とで、洗浄範囲やボリューム感を調節することができる。
【0068】
ビデ洗浄の停止を操作すると、駆動モータ42は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー本体23は後方へ移動し、元の収納状態に戻る。なお、今回の構成では空気混入をさせるため、イジェクタ35近傍に空気混入孔36を開けているが、この孔はなくてもよい。その場合、空気は混入されないが、流路断面積を一部狭めることにより、洗浄水供給手段の脈動感を低減させることができ、デリケートなビデに過度の負荷をかけることのない快適な洗浄が実現できる。
【0069】
次にお尻洗浄を選択した場合、ビデ洗浄と同様にノズルカバー23の原点位置を確認した後、前方へ移動するように駆動モータ42が回転し、ノズル本体22とノズルカバー23を前方に移動させるのはビデ洗浄の場合と同じであるが、お尻洗浄の場合はビデ洗浄位置を越えてさらにノズルカバー23を前方に移動させてゆく。
【0070】
このとき、図15、図21、図27に示すようにノズル本体22に設けた位置決め突起49はノズルガイド19の前部に設けた前ストッパ50に当接し、ノズル本体22はこれ以上前に移動することを規制する。さらにノズルカバー23を前方に移動させると連結片47の連結突起47aが後凹陥部46bから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起47aを外すのに要する荷重値よりもノズルを前後方向に移動させる駆動モータ42の駆動トルクが大きいことが条件となる。
【0071】
連結突起47aが後凹陥部46bから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、前ストッパ50によって移動が規制されたノズル本体22に対して、ノズルカバー23だけが前方に移動し、連結突起47aは前凹陥部46aにはまり込んでゆく。連結突起47aが前凹陥部46aに完全に嵌入すると、図16、図22、図28に示すように噴出開口29がお尻洗浄噴出口28と対向する状態となる。この時点でノズルカバー23の前方移動が終了するように、上ケース17には、ノズル本体22とは接触せずにノズルカバー23と当接するノズルカバー前ストッパ52が設けられている。なお、ノズルカバー前ストッパ52を設けずに、あらかじめ制御シーケンスによって駆動モータ42の回転数による位置制御が行われる形としてもよい。
【0072】
このように連結突起47aが前凹陥部46aに嵌入した状態で駆動モータ42をわずかに逆回転させることでノズルカバー23を後方に移動させ、お尻洗浄の標準位置まで移動させた時点で駆動モータ42を停止させる。この状態が図18に示すお尻洗浄の標準位置となる。
【0073】
上記お尻洗浄の標準位置にノズルカバー23が到達した時点で、制御手段は洗浄水供給手段を制御し、お尻直墳洗浄流路32もしくはお尻旋回洗浄流路33に通水を開始することでお尻洗浄が開始される。お尻洗浄噴出口28から噴出した洗浄水は噴出開口29に直接接触することなく通過して噴射される。流量の調節は洗浄水供給手段によってなされ、通水流路の切替は流路切替弁37によって行われる。お尻直墳洗浄流路32とお尻旋回洗浄流路33へ流れる流量比は流路切替弁37の開度で調節することができる。
【0074】
制御部による流路切替弁37の切替えにより、お尻直墳洗浄流路32にのみ洗浄水を供給すると、お尻洗浄噴出口28の口径と略同等の集中した洗浄水流となって噴出し、ピンポイントで強い洗浄水で洗浄することができる。一方、お尻旋回洗浄流路33にのみ洗浄水を供給すると、洗浄水に軸心周りの旋回成分が付与されるため、お尻洗浄噴出口28から拡散した洗浄水流となって噴出し、広範囲を柔らかな洗浄水で洗浄することができる。また、お尻直墳洗浄流路32とお尻旋回洗浄流路33ともに所定の流量比で洗浄水を供給すると、お尻洗浄水流形状を上記集中状態から拡散状態にまで流量比に応じたかたちで制
御することができる。
【0075】
また、お尻直墳洗浄流路32に通水している際、空気ポンプを駆動させることで、洗浄水に圧縮された空気を混入することができる。空気が混入された洗浄水はお尻洗浄噴出口28から噴出する際、空気が膨張することで洗浄水は運動エネルギーを付加され、集まって塊となって肛門に着水するため、より強い洗浄力を生じさせる。また、洗浄水供給手段による洗浄水の圧力変動の周波数と空気ポンプのダイヤフラムの周波数を変えることで、空気の混入タイミングが不規則なものとなり、肛門に着水する洗浄水が不規則で間欠的なものとなり、断続的な洗浄と比較してボリュームを感じる洗浄となる。
【0076】
この時、ビデ洗浄噴出口27の上部はノズルカバー本体25によって覆われている状態であり、お尻洗浄によって生じた汚水がビデ洗浄噴出口27に直接かからないため、ビデ洗浄噴出口27は清潔に保たれる。
【0077】
また流量切替弁37のシール性が不十分である場合、お尻直墳洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の流量切替が完全に行われずお尻洗浄中にもビデ洗浄噴出口27から微小量の水が噴出してしまうが、ビデ洗浄噴出口27の上部がノズルカバー本体25で覆われているため、その水がノズルの外部に噴出される恐れがない。
【0078】
お尻洗浄を行っている状態で駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させると、ノズル本体22とノズルカバー23は標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は人体の局所のより広い範囲を同時に洗浄できる。前記標準位置および揺動範囲を含め使用位置と称し、洗浄水を噴出している状態を使用状態と称する。
【0079】
さらにサーボモータ54aを正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させ、お尻洗浄噴出口28が鉛直上方向位置にある状態を基準とし、ノズルカバー本体23に対してノズル本体22を左右円周方向に回動させる。回動角度を噴出開口29の開口角度αより小さくすることで、ノズルカバー本体25に干渉せず洗浄水が噴出し、噴出した洗浄水は振動し、広い範囲を洗浄できるとともに、噴流がばらけるため、ボリュームを感じる洗浄となる。前後駆動と左右駆動は互いに独立しており、これらの駆動速度や駆動範囲を制御することで、洗浄範囲やボリューム感を調節することができる。
【0080】
お尻洗浄の停止を操作すると、駆動モータ42は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー23は後方へ移動を開始する。収納のために後方へ移動する途中過程において、ノズル本体22後端はノズルガイド19の後部に設けた後ストッパ51に当接し、ノズル本体22はこれ以上後に移動することが規制される。さらにノズルカバー23を後方に移動させると連結片47の連結突起47aが前凹陥部46aから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起47a解除に要する荷重値よりもノズルカバー23を前後方向に移動させる駆動モータ42の駆動トルクが大きいことが条件となる。
【0081】
連結突起47aが前凹陥部46aから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、後ストッパ51によって移動を規制されたノズル本体22に対して、ノズルカバー23だけが後方に移動することで、連結突起47aは後凹陥部46bにはまり込んでゆく。連結突起47aが後凹陥部46bに完全に嵌入すると、噴出開口29がビデ洗浄噴出口27と対向する状態となる。この時点でノズルカバー23はノズルガイド19のノズルカバー後ストッパ53に当接し、これ以上後方へ移動できない。なおノズルカバー後ストッパ53に当接することで、ノズル後退終了とみなして駆動モータ42の回転を停止させてもよいし、あらかじめ設定された制御シーケンスに基づき、駆動モータ42の回転数による位置制御によって停止させてもよい。
【0082】
上記お尻洗浄が終了し、ノズルカバー23が後退しノズル本体22後端が後ストッパ51に当接し停止した時点、またはビデ洗浄が終了し、ノズルカバー23が後退しノズル本体22後端が後ストッパ51に当接し停止した時点、すなわちノズルユニットが収納位置に位置する収納状態で、制御手段はノズル洗浄の制御を開始する。制御手段は洗浄水供給手段を制御し、洗浄水供給口39aへ通水を開始することでノズル洗浄が開始される。流量の調節は洗浄水供給手段によってなされ、通水流路の切替は流路切替弁37によって行われる。
【0083】
ノズル洗浄噴出口39から噴出した洗浄水は、洗浄拡大部38内径上部横向き接線方向へノズル洗浄噴出口39が開口しているため、噴出した洗浄水はノズルガイド19の内壁に沿って、ノズルカバー本体25との隙間を円周方向に旋回循環する旋回流となり、ノズルカバー23の外周壁およびビデ洗浄噴出口27の汚れを効果的に除去することができる。なお、ノズル洗浄水噴出口37は噴出開口29と略対向する位置に複数個設けるような構成としてもよい。こうすることで、比較的汚れの貯まりやすい噴出開口29近傍を集中的に洗浄することができ、より清潔な局部洗浄を実現できる。また、ノズル洗浄水噴出口39の口径を小さくすることでより高水圧の水流が噴出することとなり、洗浄力が向上する。また、孔数を増やすことで、効果的に広範囲を洗浄することもできる。
【0084】
以上のように、本実施の形態においては、洗浄水を噴出するお尻洗浄噴出口28とビデ洗浄噴出口27とそれぞれの噴出口に洗浄水を供給する流路を備えたノズル本体22と、ノズル本体22を覆い噴出開口29を1個有する筒状のノズルカバー23と、ノズル本体22とノズルカバー23を連結する連結手段24と、ノズル本体22とノズルカバー23とを収納するノズルガイド19と、ノズルカバー23の進退を駆動する駆動手段と、ノズル本体22を回動させる回動手段とを備え、ノズル本体22とノズルカバー23は相互に摺動および回動可能な構成とし、使用する噴出口に噴出開口29を対向させるようにノズルカバー23を摺動および回動させ、噴出開口29を介して噴出する構成とすることにより、洗浄時にノズル本体22の回動駆動とノズルカバー23の前後駆動がそれぞれ独立して可能となり、より広範囲を洗浄可能にするとともに、これらの駆動速度や駆動範囲を制御することで、洗浄範囲やボリューム感を細かく調節することができる。
【0085】
また、複数の噴出口を有するノズル本体22であっても噴出開口29は1個で済み、汚れの付着しやすい箇所が最小限となるので、清潔性が向上する。また、未使用側の噴出口はノズルカバー23により覆われているため、洗浄により汚れた洗浄水でノズル本体22が汚染されることがなく衛生的である。
【0086】
しかも、噴出開口29が必要最小限のため、見栄えもすっきりとし、ノズルカバー23も簡単な構成となるため低コスト化を図ることができる。
【0087】
また、ノズル本体22とノズルカバー23は連結手段24を介して連動し、相対位置を切り替えることができる構成となっているため、1個の駆動手段で2個の駆動対象をそれぞれの最適位置まで駆動でき、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0088】
なお、本実施の形態においてはノズル駆動手段41としては駆動モータ42とウォームギアと変速ギア43とピニオンギア44を備えたギアを介した伝達機構を、回動手段54としてはサーボモータ54aと回動ギア54bによる伝達機構を採用したが、これに限るものではなく、ステッピングモータ等の動力源やベルトやチェーン等の伝達機構を使用してもよい。
【0089】
また、本実施の形態においてはノズルカバー本体25をステンレスで形成したが、これらの材料はこれに限るものではなく、他の耐食性を備えた金属材料やセラミック等の無機
材料あるいは樹脂材料でもよい、特にこれらの材料に抗菌あるいは殺菌性能や撥水性能等を付加したものを使用することにより、より清潔性を高めることができる。
【0090】
また、本実施の形態においては、連結手段24の連結片は弾性を有する金属材料で形成したが、これに限るものではなく、弾性を有する樹脂材料でもよい。樹脂材料を使用した場合、連結手段24の連結部材を一体で成型することが可能となり安価に作ることが可能となる。
【0091】
また、本実施の形態においては、洗浄流路として、お尻直墳洗浄流路32と、お尻旋回洗浄流路33と、ビデ洗浄流路34の3流路を形成したが、他にもケーシング16のノズルガイド19に設置したノズル洗浄噴出口39の換わりにノズル洗浄流路を設けたり、洗浄により濡れた人体を乾燥させるために乾燥風を吹き出す乾燥風流路を設けてもよい。
【0092】
また、本実施の形態においては、ノズルカバー23を構成するノズルラックブロック26にピニオンギア44と嵌合するラック26aが構成され、ノズルカバー23が駆動し、連結されたノズル本体22が牽引移動する構成であるが、逆にノズル本体22にラックを構成し、ノズル本体22が駆動し、連結されたノズルカバー23を牽引移動する構成としてもよい。
【0093】
また、本実施の形態においては、ノズルカバー23に開けた噴出開口29は、ノズル本体22およびノズルカバー本体23が収納状態でビデ洗浄噴出口27に対向する位置に設けてあるが、お尻洗浄噴出口28に対向する位置に設けてもよい。また、連結手段24における連結受部を3ヶ所に増やし、いずれの洗浄噴出口とも対向しない位置に設けてもよい。こうすることで、収納時、すべての洗浄噴出口がノズルカバーにより覆われ、トイレットペーパー屑に代表される粉塵が洗浄口に入ってくることがなく、清潔に保つことができる。
【0094】
また、本実施の形態においては、毎回原点位置を確認した後、洗浄を開始するシーケンスとなっているが、本体電源投入時にのみ原点位置を確認し、その位置情報を制御手段に記憶させておいてもよい。こうすることで、洗浄開始の信号を受けてから実際にノズルが駆動し洗浄するまでの時間が短縮される。他にも、決められたタイミングを制御手段に設定しておき、そのタイミングに従って定期的に原点位置を確認する形でも良い。これにより、洗浄開始までの時間が短縮されつつも、ノズルの原点位置がずれたときには自動的に修正される。
【0095】
(実施の形態2)
図33にノズル本体22の噴出開口29における断面図を、図34に回動させた状態における断面図を示す。実施の形態1と異なるのは、ノズル本体22に構成された乾燥風流路55、乾燥風噴出口56および乾燥風供給口(図示せず)と乾燥風供給手段(図示せず)で、他については実施の形態1と同様であり、同作用をする構成については同一の符号を付し、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0096】
乾燥風供給手段は乾燥ファンと乾燥ヒータと乾燥風洞で構成され、乾燥風洞は乾燥風供給口と連通している。乾燥ファンと乾燥ヒータは制御手段により設定された温度の温風が吹き出すようになっている。乾燥風噴出口56はノズル本体22の駆動方向に対してビデ洗浄噴出口27と同じ位置で、かつノズル本体22を角度βだけ回動させたときに鉛直上方向に孔が向くような方向に開いている。βは長孔の開口角度αの1/2より大きい角度とすることで、乾燥風噴出口56はビデ洗浄時にはノズルカバー23に覆われており、ビデ洗浄によって生じた汚水が直接かからないため、清潔に保たれる。また、ビデ洗浄噴出口27と同じ位置であるため、連結手段24における連結受部の数を増やす必要がないた
め簡単な構成となり、さらに乾燥風噴出口56をノズル本体22のより前方に構成することができるため、その分ノズルカバー本体23の突出距離が少なくて済み、省スペース化・低コスト化を図ることが出来る。
【0097】
乾燥を選択した場合、ビデ洗浄と同様にノズルカバー23の原点位置を確認した後、前方へ移動するように駆動モータ42が回転し、ノズル本体22とノズルカバー23を前方に移動させるのはビデ洗浄の場合と同じであるが、乾燥の場合は乾燥標準位置まで移動させ駆動モータ42を停止させた後、図35に示すように、回動手段54によりノズル本体を角度β回動させ、その位置を乾燥の標準位置とする。
【0098】
上記乾燥の標準位置にノズルカバー23が到達した時点で、制御手段は乾燥風供給手段を制御し、温風送風が開始される。通常、お尻およびビデ洗浄後、洗浄水は局部のみではなく、その周辺にまで飛び散っている。そのため、回動手段54と共にノズル駆動手段41も駆動モータ42を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させることで、より広い範囲に乾燥風を吹き付けることができる。また、ノズル本体22の回動と乾燥風の送風の制御を連動させ、乾燥風噴出し口が外側から中央部へ回動するときのみ送風するようにすることで、お尻についた水滴を中央部に集めることができ、最後にまとめて中央部に乾燥風を吹き付けることで、効率的な乾燥を実現できる。前記標準位置および揺動範囲を含め使用位置と称し、洗浄水を噴出している状態を使用状態と称する。
【0099】
なお、本実施の形態においては、乾燥風噴出口56はビデ洗浄噴出口27と同じ位置に角度を変えて設けたが、これに限るものではなくお尻洗浄噴出口28と同じ位置または他の噴出口とは異なる位置に設けてもよい。
【0100】
また、ビデ洗浄噴出口27、お尻洗浄噴出口28、乾燥風噴出口は56は全て同一の噴出開口29に対向し、同一の噴出開口を介して噴出する構成としたが、これに限るものではなく、例えば乾燥風噴出口56は別途専用に設けた噴出開口を介して噴出する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明にかかるノズル装置は、複数の噴出孔を備えノズル装置を小型で簡単な構成とすることが可能となるため、局部洗浄以外のあらゆる洗浄装置などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施の形態1におけるノズル装置を使用した衛生洗浄装置の斜視図
【図2】同実施の形態1におけるノズル装置の収納状態における斜視図
【図3】同実施の形態1におけるノズル装置の上ケースを外した状態の斜視図
【図4】同実施の形態1におけるノズル装置のビデ洗浄状態を示す斜視図
【図5】同実施の形態1におけるノズル装置のお尻洗浄状態を示す斜視図
【図6】(a)はノズルユニットの上面図、(b)は(a)のAA断面図
【図7】図6のBB断面図
【図8】図7のCC断面図
【図9】図6(b)のDD断面図
【図10】同実施の形態1におけるノズル装置の上面図
【図11】図10のEE断面図
【図12】図10のFF断面図
【図13】同実施の形態1におけるノズル装置の収納状態を示す縦断面図
【図14】同実施の形態1におけるノズル装置のビデ洗浄状態を示す縦断面図
【図15】同実施の形態1におけるノズル装置の伸長方向への連結位置切替前の状態を示す断面図
【図16】同実施の形態1におけるノズル装置の伸長方向への連結位置切替後の状態を示す断面図
【図17】同実施の形態1におけるノズル装置のお尻洗浄状態を示す縦断面図
【図18】同実施の形態1におけるノズル装置の後退方向への連結位置切替前の状態を示す断面図
【図19】同実施の形態1におけるノズル装置の収納状態を示す上面図
【図20】同実施の形態1におけるノズル装置のビデ洗浄状態を示す上面図
【図21】同実施の形態1におけるノズル装置の伸長方向への連結位置切替前の状態を示す上面図
【図22】同実施の形態1におけるノズル装置の伸長方向への連結位置切替後の状態を示す上面図
【図23】同実施の形態1におけるノズルユニットのお尻洗浄状態を示す上面図
【図24】同実施の形態1におけるノズルユニットの後退方向への連結位置切替前の状態を示す上面図
【図25】同実施の形態1におけるノズルユニットの収納状態を示す下面図
【図26】同実施の形態1におけるユニットのビデ洗浄状態を示す下面図
【図27】同実施の形態1におけるノズルユニットの伸長方向への連結位置切替前の状態を示す下面図
【図28】同実施の形態1におけるノズルユニットの伸長方向への連結位置切替後の状態を示す下面図
【図29】同実施の形態1におけるノズルユニットのお尻洗浄状態を示す下面図
【図30】同実施の形態1におけるノズルユニットの後退方向への連結位置切替前の状態を示す下面図
【図31】同実施の形態1におけるビデ洗浄時の連結手段の詳細を示す上面図
【図32】同実施の形態1におけるお尻洗浄時の連結手段の詳細を示す上面図
【図33】本発明の実施の形態2におけるノズル装置のノズルユニットの要部断面図
【図34】同実施の形態2におけるノズル装置のノズルユニットの要部断面図
【図35】従来のノズル装置の構成を示す模式図
【図36】従来のノズル装置の構成を示す模式図
【図37】従来のノズル装置の構成を示す模式図
【符号の説明】
【0103】
13 ノズル装置
19 ノズルガイド
22 ノズル本体
23 ノズルカバー
24 連結手段
27 ビデ洗浄噴出口(噴出口)
28 お尻洗浄噴出口(噴出口)
29 噴出開口
32 お尻直墳洗浄流路(流路)
33 お尻旋回洗浄流路(流路)
34 ビデ洗浄流路(流路)
38 洗浄拡大部
39 ノズル洗浄噴出口(噴出口)
41 ノズル駆動手段(駆動手段)
54 回動手段
55 乾燥風流路
56 乾燥風噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の噴出口と、前記複数の噴出口に連通する複数の流路を備えたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーと、前記ノズル本体とノズルカバーを連結する連結手段と、前記ノズル本体とノズルカバーと連結手段を収納するノズルガイドと、前記ノズルカバーの進退を駆動する駆動手段と、前記ノズルカバーの進退方向と略平行な軸に対して前記ノズル本体を回動させる回動手段とを備え、前記ノズルカバーの略全体をノズルガイド内に収納した収納位置と、ノズルカバーの一部がノズルガイドより進出した使用位置との間を前記駆動手段により進退可能とし、前記ノズル本体は前記収納位置と少なくとも1つの使用位置の間を前記連結手段を介してノズルカバーと連動し、前記ノズルカバーには前記噴出口より少ない数の噴出開口を有し、前記複数の噴出口に前記噴出開口を対向させるように前記ノズル本体と前記ノズルカバーを相互に摺動および回動させ、前記噴出開口を介して噴出することを特徴とするノズル装置。
【請求項2】
連結手段は、少なくとも1個以上の噴出口が噴出開口と対応した位置で連結可能とし、ノズル本体は連結した状態で回動可能な構成である請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
ノズルカバーには1個の噴出開口を有し、ノズル本体には複数の噴出口を有し、前記複数の噴出口を前記噴出開口に対向させるように前記ノズル本体と前記ノズルカバーを相互に摺動および回動させる請求項1または2に記載のノズル装置。
【請求項4】
複数の噴出口は、お尻を洗浄する洗浄水が噴出するお尻洗浄噴出口と、女性の局部を洗浄する洗浄水が噴出するビデ洗浄噴出口を備えた請求項1〜3いずれか1項に記載のノズル装置。
【請求項5】
複数の噴出口は、局部を乾燥する空気を噴出する乾燥風噴出口を備えた請求項1〜4いずれか1項に記載のノズル装置。
【請求項6】
ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、噴出開口およびその周辺を十分に覆う洗浄拡大部と、前記洗浄拡大部の上部にノズル洗浄噴出口を備えた請求項1〜5いずれか1項に記載のノズル装置。
【請求項7】
ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれとも対向しない位置に噴出開口を構成した請求項1〜6に記載のノズル装置。
【請求項8】
ノズルカバーが収納位置に位置する収納状態では、複数の噴出口のどれかひとつと対向する位置に噴出開口を構成した請求項1〜7に記載のノズル装置。
【請求項9】
ノズルカバーを耐食性を備えた金属材料で形成した請求項1〜8に記載のノズル装置。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のノズル装置と、前記ノズル装置に洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、前記ノズル装置と前記洗浄水供給手段を制御する制御手段と、便器の上面に載置する便座を備えた衛生洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図37】
image rotate


【公開番号】特開2009−280979(P2009−280979A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131523(P2008−131523)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】