ノック式シャープペンシル
【課題】ノック操作によりスライダーの先端より芯を一定量突出させることができ、小ノック操作で芯を戻すことができるノック式シャープペンシルを提供する。
【解決手段】チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されるとともに締具2が連結具4に押圧されてチャック1が閉じられ芯6を保持する。連結具4にスライダー7を長手方向に一定距離移動可能に係合し、先部材10内にスライダー7を長手方向に移動可能に内蔵する。チャックスプリング5より弱い取付時荷重のリターンスプリング12により連結具4を後方に付勢する。更に、先部材10とスライダー7の係合力より弱い取付時荷重で先部材10内に設けられた前スプリング13によりスライダー7を後方に付勢する。このスライダー7に設けられた芯ホルダー8が前スプリング13の取付時荷重より弱い保持力で芯6を保持する。
【解決手段】チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されるとともに締具2が連結具4に押圧されてチャック1が閉じられ芯6を保持する。連結具4にスライダー7を長手方向に一定距離移動可能に係合し、先部材10内にスライダー7を長手方向に移動可能に内蔵する。チャックスプリング5より弱い取付時荷重のリターンスプリング12により連結具4を後方に付勢する。更に、先部材10とスライダー7の係合力より弱い取付時荷重で先部材10内に設けられた前スプリング13によりスライダー7を後方に付勢する。このスライダー7に設けられた芯ホルダー8が前スプリング13の取付時荷重より弱い保持力で芯6を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一回のノック操作で先端より一定量芯を突出させて筆記が行えるノック式シャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノッチを押圧した時に筆記芯衝止用コレットチャックが非衝止の状態になって筆記芯の出入を自在としまた当該ノッチに対する押圧を解消した時に筆記芯衝止用コレットチャックが衝止の状態になって筆記芯を衝え止める形式の筆記芯ホルダーに於て、ノッチの押圧の初期に同押圧をコレットチャックに伝えない構造とすると共にチャックの前面に内径が筆記芯の径とほぼ同一であってその擦止機能を備えた環状のストッパーを同チャックと接合状態に配しその両側に支腕を一体に設けて同支腕の基端をノッチの先端に固定しこの支腕を介してストッパーをノッチの押圧初期作動によりコレットチャックの衝口の前方に所定の間隔をおいて臨出しまたノッチの押圧後期作動および戻り初期作動時に同臨出の状態を維持し更にノッチの戻り後期作動により旧状に復せしめるようにして成る筆記芯ホルダーが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記筆記芯ホルダーは、ノックした時に筆記芯(イ)がストッパー(8)内に没入し、ノックを解除するとストッパー(8)より筆記芯(イ)が突出する為に、筆記芯を没入させる為には、ノックをしながら、ストッパー(8)側を上に向けてコレットチャック(4)内に筆記芯(イ)を落下させなければならず、非常に操作しにくいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭55−99887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、突出した芯を没入させる時に、筆記先端部を上に向ける必要がない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャックの頭部に締具を外嵌し、締具を連結具の凹溝に長手方向に適宜移動可能に遊嵌し、前記チャックの後部に芯タンクを固着し、連結具と芯タンクの間にチャックスプリングを取り付け、チャックの頭部が締具に押圧されるとともに締具が連結具に押圧されてチャックが閉じられ芯を保持し、前記連結具にスライダーを長手方向に一定距離移動可能に係合し、軸筒に連結された先部材に対して前記連結具及びスライダーを長手方向に移動可能に構成し、チャックスプリングより弱い取付時荷重のリターンスプリングにより連結具を長手方向後方に付勢し、先部材に設けた係合部とスライダーに設けた係合部がリターンスプリングの取付時荷重より弱い力で係合可能に構成し、更に、前記先部材とスライダーの係合力より弱い取付時荷重で先部材内に設けられた前スプリングによりスライダーを長手方向後方に付勢し、かつ、スライダーに設けられた芯ホルダーが前記前スプリングの取付時荷重より弱い保持力で芯を保持したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、通常の小ノック操作で芯を繰り出したり戻すことができ、また、ノック操作を行うとともに芯を紙面等に押圧してスライダー先端まで後退させ、その後ノックを終了させると定められた一定量だけスライダー先端より芯を突出させることができる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、図1のノック式シャープペンシルにおけるスライダーと連結具を示す主要部拡大平面図である。(実施例1)
【図3】図3は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーを前進させかつチャックを拡開した状態で芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図4】図4は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーの突起を係止部材の内鍔に係止してチャックを閉じた状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図5】図5は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、係止部材の内鍔に係止したスライダーの突起に連結具の摺動溝前端縁が当接した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図6】図6は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーの突起が係止部材の内鍔から外れて連結具の摺動溝後端縁に当接した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図7】図7は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、小ノック操作を行い、チャックを拡開してスライダーに当接し芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図8】図8は、本発明の実施例2のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例2)
【図9】図9は、本発明の実施例3のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例3)
【図10】図10は、図9のノック式シャープペンシルにおけるスライダーを示す拡大平面図である。(実施例3)
【図11】図11は、本発明の実施例3のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーを前進させかつチャックを拡開した状態で芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例3)
【図12】図12は、本発明の実施例3のノック式シャープペンシルにおいて、小ノック操作を行い、チャックを拡開してスライダーに当接し芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例3)
【図13】図13は、本発明の実施例4のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例4)
【図14】図14は、本発明の実施例4のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーを前進させかつチャックを拡開した状態で芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例4)
【図15】図15は、本発明の実施例4のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーの突起を係止部材の内鍔に係止してチャックを閉じた状態を示す主要部断面図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
小ノックで通常の芯繰り出し及び芯を戻す操作が行え、かつ、ノック操作を行うことにより定められた一定量だけスライダーの先端より芯を突出できるノック式シャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2、図3、図4、図5及び図6に基づいて本発明における実施例1のノック式シャープペンシルを説明する。また、図1の左側を前方とし右側を後方とする。先ず、図1の筆記状態を説明すると、前部が複数に分割されたチャック1の頭部1Aに締具2を外嵌し、チャック1の後部にパイプ状の芯タンク3を圧入固着する。締具2は連結具4の凹溝4Aに長手方向に適宜移動可能に遊嵌される。前記連結具4の内鍔4Bと芯タンク3の前端との間に取付時荷重が400g程度のチャックスプリング5を取り付ける。このチャックスプリング5によりチャック1が長手方向後方に付勢され、チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されてチャック1が閉じられ芯6を強く保持する。連結具4の前部には、貫通した摺動溝4Cが相対位置に形成され、このそれぞれの摺動溝4Cの前部に摺動溝4Cより細幅の係合溝4Dが連続して形成される。
【0011】
スライダー7の後部には外方に突出する2つの係合突起7Aが相対位置に形成される。また、スライダー7の前部には芯6を10g程度の力で保持する芯ホルダー8が内蔵される。このスライダー7の係合突起7Aが連結具4の係合溝4Dを挿通して摺動溝4C内に遊嵌され、連結具4とスライダー7は回動不能でかつ長手方向に摺動可能に連結される。
【0012】
前記チャック1及び締具2等を内蔵した連結具4及びスライダー7を軸筒9の前方より挿入する。更に、軸筒9の前部に先部材10を着脱可能に螺合して取り付ける。この先部材10には係合部材11が内蔵され、この係合部材11の前部に内鍔11Aを形成する。この係合部材11の内鍔11Aは切溝により複数に分割されて撓み可能に構成され、スライダー7の係合突起7Aと50g程度の力で係合可能に構成される。この係合部材11と係合突起7Aにより、先部材10とスライダー7の係合部を構成する。前記係合部材11と連結具4の外鍔4Eとの間には200g程度の取付時荷重でリターンスプリング12が取り付けられ、連結具4を長手方向後方に付勢する。更に、先部材10の内段10Aとスライダー7の段部7Bとの間に取付時荷重が20g程度の前スプリング13が取り付けられ、スライダー7を長手方向後方に付勢して、スライダー7の係合突起7Aが連結具4の摺動溝4Cの後端縁4Fに当接されノック式シャープペンシルが構成される。尚、前記ノック式シャープペンシルは、芯ホルダー8の芯保持力より前スプリング13の取付時荷重が大きく、前スプリング13の取付時荷重よりスライダー7の係合突起7Aと係合部材11の内鍔11Aの係合力を大きく構成する。更に、スライダー7の係合突起7Aと係合部材11の内鍔11Aの係合力よりリターンスプリング12の取付時荷重が大きく、リターンスプリング12の取付時荷重よりチャックスプリング5の取付時荷重を大きく構成する。
【0013】
この図1の筆記状態において、筆記を行い芯6が摩耗した場合には、ノック操作を行い芯タンク3を押圧してチャック1を前進させる。すると、リターンスプリング12よりチャックスプリング5の取付時荷重が大きいためにチャック1とともに連結具4が前進する。また、連結具4に押されてスライダー7が前進する。そして、連結具4の前端が先部材10の係止段10Bに当接すると連結具4の前進は停止する。更に、チャック1を前進させると、連結具4の凹溝4A内を締具2が前進した距離だけ芯6が繰り出される。その後、チャック1の頭部1Aが締具2から外れて拡開する。更に、ノックを行うと、チャック1の前端がスライダー7の後端に当接し、チャック1とともにスライダー7を前進させてスライダー7の係合突起7Aを係合部材11の内鍔11Aに係合する。そして、スライダー7の係合突起7Aが連結具4の摺動溝4Cの前端縁4Gに当接してチャック1の前進が止められる。この状態ではスライダー7の先端より芯6は突出しているが、芯6を紙面等に押圧すると、芯6がスライダー7内に没入して図3の状態となる。
【0014】
次に、ノック操作を止めると、チャック1が後退してチャック1の頭部1Aが締具2に押圧され、チャック1が閉じられて再び芯6を保持し図4の状態となる。
【0015】
すると、スライダー7は係合突起7Aが係合部材11の内鍔11Aに係合しているため、リターンスプリング12によって後方に付勢された連結具4がL1の距離だけ後退し、連結具4の摺動溝4Cの前端縁4Gがスライダー7の係合突起7Aに当接し、図5の状態となる。この状態ではスライダー7の先端より芯6がL1の距離だけ没入する。
【0016】
更に、リターンスプリング12により連結具4が後方に移動されると、連結具4とともにスライダー7が後退し、スライダー7の係合突起7Aが係合部材11の内鍔11Aから外れて連結具4の摺動溝4Cの後端縁4Fに当接する。つまり、連結具4に対してスライダー7がL2の距離だけ後退する。すると、芯6はスライダー7の先端より(L2−L1=L3)の距離だけ突出し図6の状態となる。更に、連結具4とスライダー7が連動して後退し、連結具4の外鍔4Eが軸筒9の内段9Aに当接して図1の状態に復帰する。
【0017】
したがって、実施例1のノック式シャープペンシルにおいては、芯6の消耗に影響なく、またスライダー7より芯6が突出している長さに影響なく、図3の状態で芯6を紙面に押圧することによってスライダー7の先端と芯6の前端が一致する。したがって、図6の状態では常にL3の長さだけスライダー7の先端より芯6を突出させることができ、使用者は芯6を繰り出すたびに芯6の突出長さを調整する必要はなくなる。
【0018】
また、筆記を終了し、突出した芯6をスライダー7内に戻す場合には、小ノックを行いチャック1を前進させるとともに連結具4を前進させ、連結具4の前端を先部材10の係止段10Bに当接する。更に、小ノック操作を行い、連結具4内をチャック1が前進しチャック1を拡開させる。そして、チャック1がスライダー7に当接した時点で芯6を紙面に押圧してスライダー7内に芯6を没入させ図7の状態とする。小ノックを終了すると、チャック1とともにスライダー7が後退し、連結具4の外鍔4Eが軸筒9の内段9Aに当接すると連結具4とスライダー7は停止するがチャック1は更に後退し、チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されてチャック1が閉じられる為、スライダー7の先端より芯6は突出せず携帯状態となる。
【実施例2】
【0019】
以下、図8に基づいて本発明における実施例2のノック式シャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。連結具を前部材14と後部材15に分割して構成し、前部材14と後部材15を圧入固着して一体に構成したものである。
【実施例3】
【0020】
以下、図9、図10及び図11に基づいて本発明における実施例3のノック式シャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図10に示したように、スライダー107の後部に後端から前方に伸びた2つの切溝107Cによって弾性片107Dを形成し、この弾性片107Dを相対位置に構成する。更に、それぞれの弾性片107Dに外方に突出する係合突起107Aが形成される。また、スライダー107の前部には芯6を10g程度の力で保持する芯ホルダー8が内蔵される。このスライダー107の係合突起107Aが連結具104の前部に貫通して形成された摺動溝104C内に遊嵌され、連結具104とスライダー107は回動不能でかつ長手方向に摺動可能に連結される。
【0021】
前記チャック1及び締具2等を内蔵した連結具104及びスライダー107を軸筒9の前方より挿入する。更に、軸筒9の前部に先部材110を着脱可能に螺合して取り付ける。この先部材110の内面には、円周状に伸びた凹溝110Cが形成されスライダー107の係合突起107Aと50g程度の力で係合可能に構成される。この凹溝110Cと係合突起107Aにより、先部材110とスライダー107の係合部を構成する。また、先部材110の後部内段110Dと連結具104の外鍔104Eとの間には200g程度の取付時荷重でリターンスプリング12が取り付けられ、連結具104を長手方向後方に付勢する。更に、先部材110の内段110Aとスライダー107の段部107Bとの間に取付時荷重が20g程度の前スプリング13が取り付けられ、スライダー107を長手方向後方に付勢し、スライダー107の係合突起107Aが先部材110の内面に押圧して弾性片107Dが内方に撓むとともに、スライダー107の係合突起107Aが連結具104の摺動溝104C後端縁104Fに当接され図9に示したノック式シャープペンシルを構成する。
【0022】
この図9の筆記状態において、筆記を行い芯6が摩耗した場合には、ノック操作を行い芯タンク3を押圧してチャック1を前進させる。すると、リターンスプリング12よりチャックスプリング5の取付時荷重が大きいためにチャック1とともに連結具104が前進する。また、連結具104に押されてスライダー107が前進する。そして、スライダー107の係合突起107Aが先部材110の凹溝110Cに係合するとともに、連結具104の前端が先部材110の係止段110Bに当接する。更に、チャック1を前進させると、連結具104の凹溝104A内を締具2が前進した距離だけ芯6が繰り出され、その後、チャック1の頭部1Aが締具2から外れて拡開するとともにチャック1の前端がスライダー107の後端に当接しチャック1の前進が止められる。この状態ではスライダー107の先端より芯6は突出しているが、芯6を紙面等に押圧すると、芯6がスライダー107内に没入して図11の状態となる。
【0023】
次に、チャック1の押圧を止めると、チャック1が後退してチャック1の頭部1Aが締具2に押圧され、チャック1が閉じられて再び芯6を保持する。
【0024】
すると、スライダー107は係合突起107Aが先部材110の凹溝110Cに係合しているため、リターンスプリング12によって後方に付勢された連結具104が後退し、連結具104の摺動溝104Cの前端縁104Gがスライダー107の係合突起107Aに当接する。この状態では、スライダー107の先端より芯6がわずかに没入する。
【0025】
更に、リターンスプリング12により連結具104が後方に移動されると、連結具104とともにスライダー107が後退し、スライダー107の係合突起107Aが先部材110の凹溝110Cから外れて連結具104の摺動溝104Cの後端縁104Fに当接する。更に、連結具104とスライダー107が連動して後退し、連結具104の外鍔104Eが軸筒9の内段9Aに当接し図9の状態に復帰する。
【0026】
したがって、実施例3のノック式シャープペンシルにおいては、芯6の消耗に影響なく、また、スライダー107より芯6が突出している長さに影響なく、図11の状態で芯6を紙面に押圧することによってスライダー107の先端と芯6の前端が一致する。更に、ノックした後の筆記状態では常に同じ長さだけスライダー107の先端より芯6を突出させることができ、使用者は芯6を繰り出す度に芯6の突出長さを調整する必要はない。
【0027】
また、筆記を終了し、突出した芯6をスライダー107内に戻す場合には、小ノックを行いチャック1を前進させるとともに連結具104を前進させ、連結具104の前端を先部材110の係止段110Bに当接する。更に、小ノック操作を行い、連結具104内をチャック1が前進しチャック1を拡開させる。そして、チャック1がスライダー107に当接した時点で芯6を紙面に押圧してスライダー107内に芯6を没入させ図12の状態とする。小ノックを終了すると、チャック1とともにスライダー107が後退し、連結具104の外鍔104Eが軸筒9の内段9Aに当接すると連結具104とスライダー107は停止するがチャック1は更に後退し、チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されてチャック1が閉じられる為、スライダー107の先端より芯6は突出せず携帯状態となる。
【実施例4】
【0028】
以下、図13、図14及び図15に基づいて本発明における実施例4のノック式シャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。この実施例4のノック式シャープペンシルは、駒16を前後に移動させることによって、ノック後の芯6の突出量を使用者の希望する長さに調整できるようにしたものです。スライダー207に対して駒16を前方に移動させれば芯6の突出量が多くなり、駒16を後方に移動させれば芯6の突出量が少なくなります。先ず、図13の筆記状態を説明すると、連結具204の前部には、貫通した摺動溝204Cが相対位置に形成される。この摺動溝204Cは実施例1の連結具4の摺動溝4Cより長手方向後方に長く構成する。更に、前記連結具204のそれぞれの摺動溝204Cの前部に摺動溝204Cより細幅の係合溝204Dが連続して形成される。
【0029】
スライダー207の後部には外方に突出する2つの係合突起207Aが相対位置に形成される。また、スライダー207の前部外面には雄ネジ部207Eが形成され、更に、スライダー207の前部には芯6を10g程度の力で保持する芯ホルダー8が内蔵される。このスライダー207の係合突起207Aが連結具204の係合溝204Dを挿通して摺動溝204C内に遊嵌され、連結具204とスライダー207は回動不能でかつ長手方向に摺動可能に連結される。
【0030】
チャック1及び締具2等を内蔵した連結具204及びスライダー207を軸筒9の前方より挿入する。更に軸筒9の前部に先部材210を着脱可能に螺合して取り付ける。この先部材210には係合部材11が内蔵され、この係合部材11と連結具204の外鍔204Eとの間に200g程度の取付時荷重でリターンスプリング12が取り付けられる。前記スライダー207の雄ネジ部207Eには駒16が螺合され、駒16の後部が先部材210の前部210Eに長手方向に摺動可能に嵌合される。更に、先部材210の内段210Aとスライダー207の段部207Bとの間に取付時荷重が20g程度の前スプリング13が取り付けられ、スライダー207を長手方向後方に付勢して、スライダー207に螺合された駒16の後端が先部材210の外段210Fに当接されノック式シャープペンシルが構成される。
【0031】
この図13の筆記状態において、芯タンク3を押圧してチャック1を前進させると、リターンスプリング12よりチャックスプリング5の取付時荷重が大きいためにチャック1とともに連結具204が前進する。また、連結具204に押されてスライダー207が前進する。そして、スライダー207の係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aを挿通するとともに、連結具204の前端が先部材210の係止段210Bに当接する。したがって、スライダー207の係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aに係合される。更に、チャック1を前進させると、連結具204の凹溝204A内を締具2が前進した距離だけ芯6が繰り出され、その後、チャック1の頭部1Aが締具2から外れて拡開するとともにチャック1の前端がスライダー207の後端に当接しチャック1の前進が止められる。この状態ではスライダー207の先端より芯6は突出しているが、芯6を紙面等に押圧すると、芯6がスライダー207内に没入して図14の状態となる。
【0032】
この状態で、芯6の突出量を多くしたい場合には駒16を前方に移動させ、芯6の突出量を少なくしたい場合には駒16を後方に移動させる。
【0033】
次に、チャック1の押圧を止めると、チャック1が後退してチャック1の頭部1Aが締具2に押圧され、チャック1が閉じられて再び芯6を保持する。すると、スライダー207は係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aに係合しているため、リターンスプリング12によって後方に付勢された連結具204が後退し、連結具204の摺動溝204Cの前端縁204Gがスライダー207の係合突起207Aに当接し、図15の状態となる。
【0034】
更に、リターンスプリング12により連結具204が後方に移動されると、連結具204とともにスライダー207が後退し、スライダー207の係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aから外れて後退する。すると、連結具204の外鍔204Eが軸筒9の内段9Aに当接するとともに、スライダー207に螺合された駒16の後端が先部材210の外段210Fに当接し図11の状態に復帰する。
【0035】
この実施例4のノック式シャープペンシルにおいては、ノック後の芯6の突出量が使用者の希望する長さに調整でき、実用的効果が高まるものである。また、筆記を終了して芯6をスライダー207内に戻す操作は実施例1と同様に小ノック操作を行うとともに芯を紙面に押圧して行う。
【0036】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、軸筒、芯タンク、連結具、チャック、先部材、スライダーといった部材は、複数の部材を固着して一体化し構成することも可能である。また、スライダーに弾性片を一体に形成し、芯ホルダーを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
一回のノック操作で先端より一定量芯を突出させて筆記が行えるとともに、小ノック操作で芯をスライダー内に没入させるノック式シャープペンシルに適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 チャック
1A チャック1の頭部
2 締具
3 芯タンク
4 連結具
4A 連結具4の凹溝
5 チャックスプリング
6 芯
7 スライダー
8 芯ホルダー
9 軸筒
10 先部材
12 リターンスプリング
13 前スプリング
104 連結具
104A 連結具104の凹溝
107 スライダー
110 先部材
204 連結具
204A 連結具204の凹溝
207 スライダー
210 先部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、一回のノック操作で先端より一定量芯を突出させて筆記が行えるノック式シャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノッチを押圧した時に筆記芯衝止用コレットチャックが非衝止の状態になって筆記芯の出入を自在としまた当該ノッチに対する押圧を解消した時に筆記芯衝止用コレットチャックが衝止の状態になって筆記芯を衝え止める形式の筆記芯ホルダーに於て、ノッチの押圧の初期に同押圧をコレットチャックに伝えない構造とすると共にチャックの前面に内径が筆記芯の径とほぼ同一であってその擦止機能を備えた環状のストッパーを同チャックと接合状態に配しその両側に支腕を一体に設けて同支腕の基端をノッチの先端に固定しこの支腕を介してストッパーをノッチの押圧初期作動によりコレットチャックの衝口の前方に所定の間隔をおいて臨出しまたノッチの押圧後期作動および戻り初期作動時に同臨出の状態を維持し更にノッチの戻り後期作動により旧状に復せしめるようにして成る筆記芯ホルダーが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記筆記芯ホルダーは、ノックした時に筆記芯(イ)がストッパー(8)内に没入し、ノックを解除するとストッパー(8)より筆記芯(イ)が突出する為に、筆記芯を没入させる為には、ノックをしながら、ストッパー(8)側を上に向けてコレットチャック(4)内に筆記芯(イ)を落下させなければならず、非常に操作しにくいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭55−99887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、突出した芯を没入させる時に、筆記先端部を上に向ける必要がない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャックの頭部に締具を外嵌し、締具を連結具の凹溝に長手方向に適宜移動可能に遊嵌し、前記チャックの後部に芯タンクを固着し、連結具と芯タンクの間にチャックスプリングを取り付け、チャックの頭部が締具に押圧されるとともに締具が連結具に押圧されてチャックが閉じられ芯を保持し、前記連結具にスライダーを長手方向に一定距離移動可能に係合し、軸筒に連結された先部材に対して前記連結具及びスライダーを長手方向に移動可能に構成し、チャックスプリングより弱い取付時荷重のリターンスプリングにより連結具を長手方向後方に付勢し、先部材に設けた係合部とスライダーに設けた係合部がリターンスプリングの取付時荷重より弱い力で係合可能に構成し、更に、前記先部材とスライダーの係合力より弱い取付時荷重で先部材内に設けられた前スプリングによりスライダーを長手方向後方に付勢し、かつ、スライダーに設けられた芯ホルダーが前記前スプリングの取付時荷重より弱い保持力で芯を保持したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、通常の小ノック操作で芯を繰り出したり戻すことができ、また、ノック操作を行うとともに芯を紙面等に押圧してスライダー先端まで後退させ、その後ノックを終了させると定められた一定量だけスライダー先端より芯を突出させることができる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、図1のノック式シャープペンシルにおけるスライダーと連結具を示す主要部拡大平面図である。(実施例1)
【図3】図3は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーを前進させかつチャックを拡開した状態で芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図4】図4は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーの突起を係止部材の内鍔に係止してチャックを閉じた状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図5】図5は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、係止部材の内鍔に係止したスライダーの突起に連結具の摺動溝前端縁が当接した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図6】図6は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーの突起が係止部材の内鍔から外れて連結具の摺動溝後端縁に当接した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図7】図7は、本発明の実施例1のノック式シャープペンシルにおいて、小ノック操作を行い、チャックを拡開してスライダーに当接し芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図8】図8は、本発明の実施例2のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例2)
【図9】図9は、本発明の実施例3のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例3)
【図10】図10は、図9のノック式シャープペンシルにおけるスライダーを示す拡大平面図である。(実施例3)
【図11】図11は、本発明の実施例3のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーを前進させかつチャックを拡開した状態で芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例3)
【図12】図12は、本発明の実施例3のノック式シャープペンシルにおいて、小ノック操作を行い、チャックを拡開してスライダーに当接し芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例3)
【図13】図13は、本発明の実施例4のノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例4)
【図14】図14は、本発明の実施例4のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーを前進させかつチャックを拡開した状態で芯を紙面に押圧した状態を示す主要部断面図である。(実施例4)
【図15】図15は、本発明の実施例4のノック式シャープペンシルにおいて、スライダーの突起を係止部材の内鍔に係止してチャックを閉じた状態を示す主要部断面図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
小ノックで通常の芯繰り出し及び芯を戻す操作が行え、かつ、ノック操作を行うことにより定められた一定量だけスライダーの先端より芯を突出できるノック式シャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2、図3、図4、図5及び図6に基づいて本発明における実施例1のノック式シャープペンシルを説明する。また、図1の左側を前方とし右側を後方とする。先ず、図1の筆記状態を説明すると、前部が複数に分割されたチャック1の頭部1Aに締具2を外嵌し、チャック1の後部にパイプ状の芯タンク3を圧入固着する。締具2は連結具4の凹溝4Aに長手方向に適宜移動可能に遊嵌される。前記連結具4の内鍔4Bと芯タンク3の前端との間に取付時荷重が400g程度のチャックスプリング5を取り付ける。このチャックスプリング5によりチャック1が長手方向後方に付勢され、チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されてチャック1が閉じられ芯6を強く保持する。連結具4の前部には、貫通した摺動溝4Cが相対位置に形成され、このそれぞれの摺動溝4Cの前部に摺動溝4Cより細幅の係合溝4Dが連続して形成される。
【0011】
スライダー7の後部には外方に突出する2つの係合突起7Aが相対位置に形成される。また、スライダー7の前部には芯6を10g程度の力で保持する芯ホルダー8が内蔵される。このスライダー7の係合突起7Aが連結具4の係合溝4Dを挿通して摺動溝4C内に遊嵌され、連結具4とスライダー7は回動不能でかつ長手方向に摺動可能に連結される。
【0012】
前記チャック1及び締具2等を内蔵した連結具4及びスライダー7を軸筒9の前方より挿入する。更に、軸筒9の前部に先部材10を着脱可能に螺合して取り付ける。この先部材10には係合部材11が内蔵され、この係合部材11の前部に内鍔11Aを形成する。この係合部材11の内鍔11Aは切溝により複数に分割されて撓み可能に構成され、スライダー7の係合突起7Aと50g程度の力で係合可能に構成される。この係合部材11と係合突起7Aにより、先部材10とスライダー7の係合部を構成する。前記係合部材11と連結具4の外鍔4Eとの間には200g程度の取付時荷重でリターンスプリング12が取り付けられ、連結具4を長手方向後方に付勢する。更に、先部材10の内段10Aとスライダー7の段部7Bとの間に取付時荷重が20g程度の前スプリング13が取り付けられ、スライダー7を長手方向後方に付勢して、スライダー7の係合突起7Aが連結具4の摺動溝4Cの後端縁4Fに当接されノック式シャープペンシルが構成される。尚、前記ノック式シャープペンシルは、芯ホルダー8の芯保持力より前スプリング13の取付時荷重が大きく、前スプリング13の取付時荷重よりスライダー7の係合突起7Aと係合部材11の内鍔11Aの係合力を大きく構成する。更に、スライダー7の係合突起7Aと係合部材11の内鍔11Aの係合力よりリターンスプリング12の取付時荷重が大きく、リターンスプリング12の取付時荷重よりチャックスプリング5の取付時荷重を大きく構成する。
【0013】
この図1の筆記状態において、筆記を行い芯6が摩耗した場合には、ノック操作を行い芯タンク3を押圧してチャック1を前進させる。すると、リターンスプリング12よりチャックスプリング5の取付時荷重が大きいためにチャック1とともに連結具4が前進する。また、連結具4に押されてスライダー7が前進する。そして、連結具4の前端が先部材10の係止段10Bに当接すると連結具4の前進は停止する。更に、チャック1を前進させると、連結具4の凹溝4A内を締具2が前進した距離だけ芯6が繰り出される。その後、チャック1の頭部1Aが締具2から外れて拡開する。更に、ノックを行うと、チャック1の前端がスライダー7の後端に当接し、チャック1とともにスライダー7を前進させてスライダー7の係合突起7Aを係合部材11の内鍔11Aに係合する。そして、スライダー7の係合突起7Aが連結具4の摺動溝4Cの前端縁4Gに当接してチャック1の前進が止められる。この状態ではスライダー7の先端より芯6は突出しているが、芯6を紙面等に押圧すると、芯6がスライダー7内に没入して図3の状態となる。
【0014】
次に、ノック操作を止めると、チャック1が後退してチャック1の頭部1Aが締具2に押圧され、チャック1が閉じられて再び芯6を保持し図4の状態となる。
【0015】
すると、スライダー7は係合突起7Aが係合部材11の内鍔11Aに係合しているため、リターンスプリング12によって後方に付勢された連結具4がL1の距離だけ後退し、連結具4の摺動溝4Cの前端縁4Gがスライダー7の係合突起7Aに当接し、図5の状態となる。この状態ではスライダー7の先端より芯6がL1の距離だけ没入する。
【0016】
更に、リターンスプリング12により連結具4が後方に移動されると、連結具4とともにスライダー7が後退し、スライダー7の係合突起7Aが係合部材11の内鍔11Aから外れて連結具4の摺動溝4Cの後端縁4Fに当接する。つまり、連結具4に対してスライダー7がL2の距離だけ後退する。すると、芯6はスライダー7の先端より(L2−L1=L3)の距離だけ突出し図6の状態となる。更に、連結具4とスライダー7が連動して後退し、連結具4の外鍔4Eが軸筒9の内段9Aに当接して図1の状態に復帰する。
【0017】
したがって、実施例1のノック式シャープペンシルにおいては、芯6の消耗に影響なく、またスライダー7より芯6が突出している長さに影響なく、図3の状態で芯6を紙面に押圧することによってスライダー7の先端と芯6の前端が一致する。したがって、図6の状態では常にL3の長さだけスライダー7の先端より芯6を突出させることができ、使用者は芯6を繰り出すたびに芯6の突出長さを調整する必要はなくなる。
【0018】
また、筆記を終了し、突出した芯6をスライダー7内に戻す場合には、小ノックを行いチャック1を前進させるとともに連結具4を前進させ、連結具4の前端を先部材10の係止段10Bに当接する。更に、小ノック操作を行い、連結具4内をチャック1が前進しチャック1を拡開させる。そして、チャック1がスライダー7に当接した時点で芯6を紙面に押圧してスライダー7内に芯6を没入させ図7の状態とする。小ノックを終了すると、チャック1とともにスライダー7が後退し、連結具4の外鍔4Eが軸筒9の内段9Aに当接すると連結具4とスライダー7は停止するがチャック1は更に後退し、チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されてチャック1が閉じられる為、スライダー7の先端より芯6は突出せず携帯状態となる。
【実施例2】
【0019】
以下、図8に基づいて本発明における実施例2のノック式シャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。連結具を前部材14と後部材15に分割して構成し、前部材14と後部材15を圧入固着して一体に構成したものである。
【実施例3】
【0020】
以下、図9、図10及び図11に基づいて本発明における実施例3のノック式シャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図10に示したように、スライダー107の後部に後端から前方に伸びた2つの切溝107Cによって弾性片107Dを形成し、この弾性片107Dを相対位置に構成する。更に、それぞれの弾性片107Dに外方に突出する係合突起107Aが形成される。また、スライダー107の前部には芯6を10g程度の力で保持する芯ホルダー8が内蔵される。このスライダー107の係合突起107Aが連結具104の前部に貫通して形成された摺動溝104C内に遊嵌され、連結具104とスライダー107は回動不能でかつ長手方向に摺動可能に連結される。
【0021】
前記チャック1及び締具2等を内蔵した連結具104及びスライダー107を軸筒9の前方より挿入する。更に、軸筒9の前部に先部材110を着脱可能に螺合して取り付ける。この先部材110の内面には、円周状に伸びた凹溝110Cが形成されスライダー107の係合突起107Aと50g程度の力で係合可能に構成される。この凹溝110Cと係合突起107Aにより、先部材110とスライダー107の係合部を構成する。また、先部材110の後部内段110Dと連結具104の外鍔104Eとの間には200g程度の取付時荷重でリターンスプリング12が取り付けられ、連結具104を長手方向後方に付勢する。更に、先部材110の内段110Aとスライダー107の段部107Bとの間に取付時荷重が20g程度の前スプリング13が取り付けられ、スライダー107を長手方向後方に付勢し、スライダー107の係合突起107Aが先部材110の内面に押圧して弾性片107Dが内方に撓むとともに、スライダー107の係合突起107Aが連結具104の摺動溝104C後端縁104Fに当接され図9に示したノック式シャープペンシルを構成する。
【0022】
この図9の筆記状態において、筆記を行い芯6が摩耗した場合には、ノック操作を行い芯タンク3を押圧してチャック1を前進させる。すると、リターンスプリング12よりチャックスプリング5の取付時荷重が大きいためにチャック1とともに連結具104が前進する。また、連結具104に押されてスライダー107が前進する。そして、スライダー107の係合突起107Aが先部材110の凹溝110Cに係合するとともに、連結具104の前端が先部材110の係止段110Bに当接する。更に、チャック1を前進させると、連結具104の凹溝104A内を締具2が前進した距離だけ芯6が繰り出され、その後、チャック1の頭部1Aが締具2から外れて拡開するとともにチャック1の前端がスライダー107の後端に当接しチャック1の前進が止められる。この状態ではスライダー107の先端より芯6は突出しているが、芯6を紙面等に押圧すると、芯6がスライダー107内に没入して図11の状態となる。
【0023】
次に、チャック1の押圧を止めると、チャック1が後退してチャック1の頭部1Aが締具2に押圧され、チャック1が閉じられて再び芯6を保持する。
【0024】
すると、スライダー107は係合突起107Aが先部材110の凹溝110Cに係合しているため、リターンスプリング12によって後方に付勢された連結具104が後退し、連結具104の摺動溝104Cの前端縁104Gがスライダー107の係合突起107Aに当接する。この状態では、スライダー107の先端より芯6がわずかに没入する。
【0025】
更に、リターンスプリング12により連結具104が後方に移動されると、連結具104とともにスライダー107が後退し、スライダー107の係合突起107Aが先部材110の凹溝110Cから外れて連結具104の摺動溝104Cの後端縁104Fに当接する。更に、連結具104とスライダー107が連動して後退し、連結具104の外鍔104Eが軸筒9の内段9Aに当接し図9の状態に復帰する。
【0026】
したがって、実施例3のノック式シャープペンシルにおいては、芯6の消耗に影響なく、また、スライダー107より芯6が突出している長さに影響なく、図11の状態で芯6を紙面に押圧することによってスライダー107の先端と芯6の前端が一致する。更に、ノックした後の筆記状態では常に同じ長さだけスライダー107の先端より芯6を突出させることができ、使用者は芯6を繰り出す度に芯6の突出長さを調整する必要はない。
【0027】
また、筆記を終了し、突出した芯6をスライダー107内に戻す場合には、小ノックを行いチャック1を前進させるとともに連結具104を前進させ、連結具104の前端を先部材110の係止段110Bに当接する。更に、小ノック操作を行い、連結具104内をチャック1が前進しチャック1を拡開させる。そして、チャック1がスライダー107に当接した時点で芯6を紙面に押圧してスライダー107内に芯6を没入させ図12の状態とする。小ノックを終了すると、チャック1とともにスライダー107が後退し、連結具104の外鍔104Eが軸筒9の内段9Aに当接すると連結具104とスライダー107は停止するがチャック1は更に後退し、チャック1の頭部1Aが締具2に押圧されてチャック1が閉じられる為、スライダー107の先端より芯6は突出せず携帯状態となる。
【実施例4】
【0028】
以下、図13、図14及び図15に基づいて本発明における実施例4のノック式シャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。この実施例4のノック式シャープペンシルは、駒16を前後に移動させることによって、ノック後の芯6の突出量を使用者の希望する長さに調整できるようにしたものです。スライダー207に対して駒16を前方に移動させれば芯6の突出量が多くなり、駒16を後方に移動させれば芯6の突出量が少なくなります。先ず、図13の筆記状態を説明すると、連結具204の前部には、貫通した摺動溝204Cが相対位置に形成される。この摺動溝204Cは実施例1の連結具4の摺動溝4Cより長手方向後方に長く構成する。更に、前記連結具204のそれぞれの摺動溝204Cの前部に摺動溝204Cより細幅の係合溝204Dが連続して形成される。
【0029】
スライダー207の後部には外方に突出する2つの係合突起207Aが相対位置に形成される。また、スライダー207の前部外面には雄ネジ部207Eが形成され、更に、スライダー207の前部には芯6を10g程度の力で保持する芯ホルダー8が内蔵される。このスライダー207の係合突起207Aが連結具204の係合溝204Dを挿通して摺動溝204C内に遊嵌され、連結具204とスライダー207は回動不能でかつ長手方向に摺動可能に連結される。
【0030】
チャック1及び締具2等を内蔵した連結具204及びスライダー207を軸筒9の前方より挿入する。更に軸筒9の前部に先部材210を着脱可能に螺合して取り付ける。この先部材210には係合部材11が内蔵され、この係合部材11と連結具204の外鍔204Eとの間に200g程度の取付時荷重でリターンスプリング12が取り付けられる。前記スライダー207の雄ネジ部207Eには駒16が螺合され、駒16の後部が先部材210の前部210Eに長手方向に摺動可能に嵌合される。更に、先部材210の内段210Aとスライダー207の段部207Bとの間に取付時荷重が20g程度の前スプリング13が取り付けられ、スライダー207を長手方向後方に付勢して、スライダー207に螺合された駒16の後端が先部材210の外段210Fに当接されノック式シャープペンシルが構成される。
【0031】
この図13の筆記状態において、芯タンク3を押圧してチャック1を前進させると、リターンスプリング12よりチャックスプリング5の取付時荷重が大きいためにチャック1とともに連結具204が前進する。また、連結具204に押されてスライダー207が前進する。そして、スライダー207の係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aを挿通するとともに、連結具204の前端が先部材210の係止段210Bに当接する。したがって、スライダー207の係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aに係合される。更に、チャック1を前進させると、連結具204の凹溝204A内を締具2が前進した距離だけ芯6が繰り出され、その後、チャック1の頭部1Aが締具2から外れて拡開するとともにチャック1の前端がスライダー207の後端に当接しチャック1の前進が止められる。この状態ではスライダー207の先端より芯6は突出しているが、芯6を紙面等に押圧すると、芯6がスライダー207内に没入して図14の状態となる。
【0032】
この状態で、芯6の突出量を多くしたい場合には駒16を前方に移動させ、芯6の突出量を少なくしたい場合には駒16を後方に移動させる。
【0033】
次に、チャック1の押圧を止めると、チャック1が後退してチャック1の頭部1Aが締具2に押圧され、チャック1が閉じられて再び芯6を保持する。すると、スライダー207は係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aに係合しているため、リターンスプリング12によって後方に付勢された連結具204が後退し、連結具204の摺動溝204Cの前端縁204Gがスライダー207の係合突起207Aに当接し、図15の状態となる。
【0034】
更に、リターンスプリング12により連結具204が後方に移動されると、連結具204とともにスライダー207が後退し、スライダー207の係合突起207Aが係合部材11の内鍔11Aから外れて後退する。すると、連結具204の外鍔204Eが軸筒9の内段9Aに当接するとともに、スライダー207に螺合された駒16の後端が先部材210の外段210Fに当接し図11の状態に復帰する。
【0035】
この実施例4のノック式シャープペンシルにおいては、ノック後の芯6の突出量が使用者の希望する長さに調整でき、実用的効果が高まるものである。また、筆記を終了して芯6をスライダー207内に戻す操作は実施例1と同様に小ノック操作を行うとともに芯を紙面に押圧して行う。
【0036】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、軸筒、芯タンク、連結具、チャック、先部材、スライダーといった部材は、複数の部材を固着して一体化し構成することも可能である。また、スライダーに弾性片を一体に形成し、芯ホルダーを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
一回のノック操作で先端より一定量芯を突出させて筆記が行えるとともに、小ノック操作で芯をスライダー内に没入させるノック式シャープペンシルに適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 チャック
1A チャック1の頭部
2 締具
3 芯タンク
4 連結具
4A 連結具4の凹溝
5 チャックスプリング
6 芯
7 スライダー
8 芯ホルダー
9 軸筒
10 先部材
12 リターンスプリング
13 前スプリング
104 連結具
104A 連結具104の凹溝
107 スライダー
110 先部材
204 連結具
204A 連結具204の凹溝
207 スライダー
210 先部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックの頭部に締具を外嵌し、締具を連結具の凹溝に長手方向に適宜移動可能に遊嵌し、前記チャックの後部に芯タンクを固着し、連結具と芯タンクの間にチャックスプリングを取り付け、チャックの頭部が締具に押圧されるとともに締具が連結具に押圧されてチャックが閉じられ芯を保持し、前記連結具にスライダーを長手方向に一定距離移動可能に係合し、軸筒に連結された先部材に対し前記連結具及びスライダーを長手方向に移動可能に構成し、チャックスプリングより弱い取付時荷重のリターンスプリングにより連結具を長手方向後方に付勢し、先部材に設けた係合部とスライダーに設けた係合部がリターンスプリングの取付時荷重より弱い力で係合可能に構成し、更に、前記先部材とスライダーの係合力より弱い取付時荷重で先部材内に設けられた前スプリングによりスライダーを長手方向後方に付勢し、かつ、スライダーに設けられた芯ホルダーが前記前スプリングの取付時荷重より弱い保持力で芯を保持したことを特徴とするノック式シャープペンシル。
【請求項1】
チャックの頭部に締具を外嵌し、締具を連結具の凹溝に長手方向に適宜移動可能に遊嵌し、前記チャックの後部に芯タンクを固着し、連結具と芯タンクの間にチャックスプリングを取り付け、チャックの頭部が締具に押圧されるとともに締具が連結具に押圧されてチャックが閉じられ芯を保持し、前記連結具にスライダーを長手方向に一定距離移動可能に係合し、軸筒に連結された先部材に対し前記連結具及びスライダーを長手方向に移動可能に構成し、チャックスプリングより弱い取付時荷重のリターンスプリングにより連結具を長手方向後方に付勢し、先部材に設けた係合部とスライダーに設けた係合部がリターンスプリングの取付時荷重より弱い力で係合可能に構成し、更に、前記先部材とスライダーの係合力より弱い取付時荷重で先部材内に設けられた前スプリングによりスライダーを長手方向後方に付勢し、かつ、スライダーに設けられた芯ホルダーが前記前スプリングの取付時荷重より弱い保持力で芯を保持したことを特徴とするノック式シャープペンシル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−176494(P2012−176494A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39155(P2011−39155)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
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