説明

ノルジヒドログアヤレティク酸誘導体を使用して腫瘍を処置するための方法

【課題】動物、特に、哺乳動物、そして最も特に、ヒトの癌性腫瘍および非癌性腫瘍の処置における使用のための、化合物および組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、ノルジヒドログアヤレティク酸誘導体の使用、特に、腫瘍およびウイルス感染の処置のために、天然に存在するアミノ酸の置換物を含む誘導体の使用に関する。動物、特に、哺乳動物(最も特に、ヒト)の癌性腫瘍および非癌性腫瘍の処置における使用のための、化合物および組成物を提供することが、本発明の一つの目的である。本発明のこの局面に従って、腫瘍の増殖を阻害する、新規なノルジヒドログアヤレティク酸誘導体が提供される。ノルジヒドログアヤレティク酸誘導体は、式(I)の化合物であって、ここで、R、R、RおよびRは、独立して、−OH、OCH、−O(C=O)CH、またはアミノ酸残基を表すが、各々は、同時に−OHではない化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載され、そして特許請求される発明は、National Institutes of HealthのGrant No.AI 32301およびU.S. Army Medical Research Grant DAMD 17−93−C3122からの財源により一部なされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、ノルジヒドログアヤレティク酸(nordihydroguaiaretic acid)誘導体の使用、特に、腫瘍およびウイルス感染の処置のために、天然に存在するアミノ酸の置換物を含む誘導体の使用に関する。
【0003】
(2.背景情報)
発癌は、種々の遺伝的因子および後成的因子によって影響される多段階事象であり、そして異なる組織から生じる未制御細胞増殖の発生によって代表される。抗癌研究のための普遍的な目的は、腫瘍増殖の減縮、宿主に対する非毒性に高度に効率的であり、そしてほとんどの患者のために提供可能である、臨床的処置の開発にある。分裂した細胞に対して特有である標的の阻害に焦点を当てた薬物は、実質的な副作用の危険性のない効率的な化学療法剤であるべきである。
【0004】
細胞が細胞周期を通じて進行する場合、細胞は、多くのチェックポイントを通過する。これらのチェックポイントの各々を通過させるために、特定の基準を満たさなければならない。G2/M移行において、ほとんどの本質的なレギュレーターは、サイクリン依存性キナーゼCDC2である。このキナーゼは、調節性タンパク質サイクリンBに密に結合し、そして成熟促進因子(MPF)とも呼ばれるこの複合体は、細胞が初期前期に入ることを導く種々の事象を刺激することを担う(1)。驚くことではないが、MPFのいずれかの成分の損失または不活化は、G2以外の細胞の進行をブロックする。
【0005】
MPFの発現および活性は、異なるレベルで調節される。サイクリンBのタンパク質のレベルは、細胞サイクルのG1期およびS期を通じてゆっくりと上昇し、G2期からM期への移行の間にピークに達し、そして有糸分裂の間に急激に降下する(2)。一方、このCDC2タンパク質は、細胞サイクルの間に常に存在するが、そのレベルは、G2期の最終段階においてわずかに上昇する(3)。タンパク質の活性は、適切なサイクリンとの会合、およびホスファターゼCDC25Cによる抑制部位のその脱リン酸化に依存する(4,5)。この脱リン酸化の不全は、放射または化学作用によるDNA損傷に応答してG2の停止を開始する。最近の証拠により、任意の残存する活性CDC2が、DNAを損傷後に、核の外側に輸送されることも示唆されている(6)。
【0006】
多数の天然に存在する植物リグナンノルジヒドログアヤレティク酸(NDGA)誘導体は、ウイルス転写の阻害を介してウイルスの複製をブロックすることが示されている。この初期の研究は、NDGA誘導体(Larrea Tridentataから元々単離され、続いて化学的に合成される)は、それらのSp1依存性プロモーターの脱活性による、HIV(7,8)、HSV(9)およびHPV転写(10)の産生を阻害し得る。予想外に、これらの誘導体の一つ(テトラ−O−メチルNDGA)はまた、哺乳動物の細胞株における細胞周期の停止を誘導するようである。本明細書の以下に示される証拠は、MNが、毒性が検出されることなく、哺乳動物細胞中でG2停止を誘導し得ることを実証し、そしてこの停止が、サイクリン依存性キナーゼCDC2の阻害に起因するという見方を支持する。
【0007】
ヒト乳頭腫ウイルス属(HPV)感染は、多くの型の扁平上皮細胞において未調節の細胞増殖を生じさせ、良性のパリオマエ(pallilomae)癌(いぼ)から子宮頚癌、陰茎癌および口腔癌までの範囲の苦痛を生じる。これらの癌とHPVとの強力な会合および感染の広範な発生は、抗HPV治療の開発の重要性を示す。
【0008】
全てではないが、これらの複製活性変異体を含むほとんどのウイルスは、宿主依存性である。これらは、ウイルス増殖を支持するための特定の細胞因子の関与を必要とする。宿主細胞因子(ウイルスタンパク質ではない)は、変異圧力下にはなく、一般的に構造的に不変である。従って、ウイルスのライフサイクルの異なる段階において、これらの細胞因子の利用をブロックする化合物は、変異不感受性抗ウイルス薬物として良好な候補物であるようである。HIV−1の阻害に対する代替の標的として細胞因子を使用する種々の研究が、概説されている(11)。
【0009】
本出願人は、Creosoteブッシュ(Larrea tridentata)から単離された3’−0−メチル化NDGA(すなわち、Mal.4)が、ヒト細胞培養物中の、基礎のHIV転写、Tat−調節トランス活性化、およびHIV複製を特異的にブロックし得ることを、以前に報告している(8、12、13)。Mal.4は、転写因子Sp1のHIVプロウイルステンプレートのプロモーターへの結合に干渉することによって、その影響を及ぼす。Mal.4の標的を、ヌクレオチド−87〜−40、HIV長末端リピート(LTR)のSp1結合部位にマッピングする。未改変NDGAは、インビトロで、HIV転写を阻害せず、そしてSp1結合上において影響を有さない(8)。
【0010】
しかし、植物リグナンの単離および精製は、労働集約的であり、コストがかかる。ヒトにおけるSp1により調節されたウイルスおよび腫瘍増殖の制御において、植物リグナンの可能な臨床学的使用を見越して、9種の異なるメチル化NDGA活性体を、親基質として非メチル化NDGAを化学的に使用して、低いコストで大量に合成した(7)。30μM未満の薬物濃度において、テトラ−O−メチルNDGAは、Sp1により調節されたプロウイルス転写およびトランス活性化の阻害を介した複製HIVの制御において最も有効であることが見出された(7)。この研究は、単純疱疹ウイルス(HSV−1およびHSV−2)の増殖の制御に拡大されて以来である(9)。単純疱疹最初期(IE)ICP4遺伝子は、HSV複製のために必要不可欠である(14)。そのプロモーター領域は、8つのSp1コンセンサス結合部位(15)を有し、それらの5つは、ICP4遺伝子発現のために必要とされる。従って、ICP4遺伝子は、このような試験のための良好な候補物となる。本出願人は、3−O−メチルNDGA(Mal.4)とテトラ−O−メチルNDGA(MN)との両方が、電気泳動移動シフトアッセイによって示されるように、ICP4プロモーターに結合するSp1タンパク質のブロッキングを介した、Vero細胞中でのHSV ICP4遺伝子発現のための効率的な転写インヒビターであることを見出した(9)。
【0011】
M4NおよびMal.4の抗HSV活性を試験して、そして感染されたVero細胞中のアシクログアノシン(アシクロビル、ACV)の活性と比較したとき、本出願人は、HSV−1の10回の継代およびHSV−2の4回の継代に関して、より高い薬物濃度の必要性のための明確な上昇傾向なしに、MNのIC50が、11.7μMと4μMとの間で変化することを観察した。しかし、ACVのIC50は、7μM(1回目のウイルス継代)〜444μM(HSV−1の10回目の継代)、そして88μMを超える(HSV−2の4回目の継代)まで増加し、Vero細胞におけるACVに対する薬物耐性の迅速な構築を示した。結果として、選択インデックスS.I.(TC50/IC50)は、MNに対して比較的安定なままであるが、ACVに関するS.I.は、60倍落ちて、続いてウイルスは、Vero細胞中で継代される(9)。従って、MNは、変異非感受性薬物である。このMNは、ACV耐性HSVを効率的に阻害し得る(9)。
【0012】
Sp1が重要な細胞転写因子であるという事実(16)に起因して、Sp1により制御された細胞遺伝子の発現における化合物のこのクラスの可能な阻害効果が、取り組まれるべきである。一旦、Mal.4が、この結合部位に安定に結合されると、Mal.4は、Sp1を置換し得ない(8)。従って、NDGA誘導体は、静止細胞中のSp1により調節されたハウスキーピング遺伝子の発現よりも、増殖細胞中でのSp−1により調節された遺伝子においてより効果を有するようであった。前者の場合、この薬物は、DNA合成の間に、遺伝子プロモーターのSp1部位に対してSp1タンパク質と競合し得るが、後者の場合、この薬物は、ハウスキーピング遺伝子の転写クロマチン上において、それらのプロモーターに既に安定に結合したSp1タンパク質とほとんど影響を有し得ない。実際に、このことは、この場合に示されている。以下に示されるように、9600発現遺伝子を用いた遺伝子アレイ研究を使用することによって、本出願人は、ほとんどのSp1によって調節された遺伝子の産物が、類似レベルのままであり、そして培養物中での子宮頚癌細胞C3の薬物処理によって影響されないことを見出した(図5)。それでさえ、MNの比較的低い選択インデックスは、この薬物が全身に使用されなければならない場合、最も低い有効濃度まで、その使用が確実に制限される。一方、ヒトの乳頭腫ウイルスは、最初に、HPV E遺伝子のSp1により調節された発現を介して、固形の子宮頚腫瘍および経口腫瘍を誘導する(17)。本出願人は、薬物がインサイチュで送達され得、そして腫瘍領域のみで保持され得る場合、高濃度の薬物を使用して、患者にほとんど損傷なしで、腫瘍を効率的に破壊し得ると判断した。
【0013】
サービビン(survivin)は、正常な成人のヒト組織中ではなく、多くのヒトの癌において大量に発現されるアポトーシスのインヒビターであり(35)、そして細胞死/細胞の生存の最終のエフェクター期の可能なモジュレーターと考えられる(36)。サービビンは、細胞周期依存性様式においてG−Mにおいて発現され、紡錘体の微小管に直接結合する。Thr34上のサービビンのリン酸化は、細胞分裂(37)において細胞の生存度を維持するために必要とされ得るようであり(37)、そしてリン酸化−不完全サービビン変異体の発現により、数種のヒト黒色腫細胞株におけるアポトーシスを引き起こすことが示されている(38)。リン酸化サービビンは、カスパーゼ経路上で作用し、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−9の形成を抑制し、これによってアポトーシスを阻害する(参考文献39、第10頁には、アポトーシスシグナル伝達経路の概略が示されている)。従って、サービビンの発現を減少させる化合物が、アポトーシスおよび細胞死の割合を増加させると予想される。CDC−2は、サービビンのリン酸化のために必要とされることが示されている(37)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、動物、特に、哺乳動物、そして最も特に、ヒトの癌性腫瘍および非癌性腫瘍の処置における使用のための、化合物および組成物を提供することが、本発明の一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
真核生物の細胞周期におけるサービビンの生成を阻害する方法であって、該方法は、有効量の以下の式の化合物:
【化1】

を投与する工程を包含し、ここで、R、R、RおよびRは、独立して、−OH、OCH、−O(C=O)CH、またはアミノ酸残基を表すが、各々は、同時に−OHではない、方法。
(項目2)
前記細胞が動物細胞である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記細胞が哺乳動物細胞である、項目3に記載の方法。
(項目4)
前記細胞がヒト細胞である、項目4に記載の方法。
(項目5)
CDC−2およびサービビンを発現する細胞においてアポトーシスを刺激する方法であって、該方法は、有効量の以下の式の化合物:
【化2】

を投与する工程を包含し、ここで、R、R、RおよびRは、独立して、−OH、OCH、−O(C=O)CH、またはアミノ酸残基を表すが、各々は、同時に−OHではない、方法。
(項目6)
前記細胞が動物細胞である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記細胞が哺乳動物細胞である、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記細胞がヒト細胞である、項目7に記載の方法。
(項目9)
腫瘍を処置するための方法であって、該方法は、有効量の以下の式の化合物:
【化3】

の適用を包含し、ここで、R、R、RおよびRは、独立して、−OH、OCH、−O(C=O)CH、またはアミノ酸残基を表すが、各々は、同時に−OHではない、方法。
(項目10)
前記腫瘍が哺乳動物中に存在する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記腫瘍が悪性である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記腫瘍が良性である、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記腫瘍が、乳頭腫、奇形腫および腺腫からなる群から選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記腫瘍が固形腫瘍である、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記哺乳動物がヒトである、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記腫瘍が形質転換された細胞から誘導される、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記細胞がC3細胞である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記化合物が、少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアとともに投与される、項目9に記載の方法。
(項目19)
前記賦形剤またはキャリアがジメチルスルホキシドである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記誘導体が、テトラ−O−メチルノルジヒドログアヤレティク酸、またはテトラグリシニルノルジヒドログアヤレティク酸である、項目9に記載の方法。
(項目21)
テトラグリシニルノルジヒドログアヤレティク酸が、少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアとともに投与される、項目1に記載の方法。
本発明の上記局面に従って、腫瘍の増殖を阻害する、新規なノルジヒドログアヤレティク酸誘導体が提供される。
ノルジヒドログアヤレティク酸誘導体は、以下の構造の化合物:
【0016】
【化4】

を意味し、ここで、R、R、RおよびRは、独立して、−OH、−OCH、−O(C=O)CH、またはアミノ酸残基を表すが、各々は、同時に−OHではない。アミノ酸置換基は、特に、以下を含むことが意図される:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリン、チロキシン、3−メチルヒスチジン、ε−N−メチルリジン、ε−N、N,N−トリメチルリジン、アミノアジピン酸、γ−カルボキシグルタミン酸、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、N−メチルアルギニン、およびN−アセチルリジン。
【0017】
本発明に従う使用のための特に好ましい化合物は、MNおよびGNであり、これらは、図1に示される。
【0018】
これらの新規の誘導体の使用によって、および当該分野で公知だが、腫瘍の処置のために以前に使用されたことがない類似の誘導体によって、癌性腫瘍および非癌性腫瘍を処置するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。この方法は、サイクリン依存性キナーゼCDC2を含む、迅速に増殖する細胞型に対して、特に有用である。真核生物、特に、動物の細胞、より特に、哺乳動物の細胞、および最も特に、ヒトの細胞の細胞周期において、CDC2を阻害する方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0019】
処置されるべき腫瘍としては、本発明の方法に従って使用される上記の化合物に感受性である任意の腫瘍が挙げられる。特に、これには、サイクリン依存性キナーゼCDC2サイクルの阻害に対して感受性である、迅速に分裂する癌性腫瘍および良性腫瘍が挙げられる。
【0020】
用語「癌性腫瘍」とは、転移を受けても受けなくてもよい任意の悪性腫瘍を含むことが意図される。用語「非癌性腫瘍」とは、任意の良性腫瘍を含むことが意図される。これらの当業者によって通常理解されるような用語が、使用される。
【0021】
本発明の組成物および方法によって処置され得る、良性腫瘍および悪性腫瘍の例は、Cancer Biology(Raymond W.Ruddon,Cancer Biology,第3版,Oxford Univ.Press,1995(本明細書中で参考として援用される))の表1−1に見出され得る。処置される腫瘍としては、ウイルス起源である公知の腫瘍、およびウイルス起源でない腫瘍が挙げられる。本発明の組成物および方法は、固形腫瘍の処置において特に有用であることが期待される。
【0022】
サイクリン依存性キナーゼCDC2サイクルを阻害する方法を提供することが、本発明のなお別の目的である。この方法は、細胞の増殖、特に迅速に分裂する細胞型の増殖を阻害するのに有用である。
【0023】
好ましい実施形態において、本明細書中に記載される化合物および組成物は、HPV誘導腫瘍の処置において使用される。HPV誘導腫瘍としては、特に、HPV感染に関連する、子宮頚(cervical)癌、経口癌、陰茎癌、頭部癌および頚部(neck)癌が挙げられるが、これらに限定されない。この方法は、癌性および非癌性のHPV誘導腫瘍に対する、ノルジヒドログアヤレティク酸誘導体、特に、テトラ−O−メチルノルジヒドログアヤレティク酸(MN)およびテトラグリシナルノルジヒドログアヤレティク酸(GN)の局所適用が挙げられる。
【0024】
アミノ酸置換基を含む式Iの化合物の投与によって、ウイルスの複製および増殖を阻害する方法を提供することが、本発明のなお別の目的である。この方法における使用のために、アミノ酸置換基R、R、RおよびRが同一である化合物が、好ましい。
【0025】
サービビンを発現する細胞、特に癌細胞中で、真核細胞周期におけるサービビンの生成を阻害する方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。本発明者らは、本発明のノルジヒドログアヤレティク酸誘導体がサービビンmRNAおよびタンパク質レベルを下方制御し、CDC−2経路とカスパーゼ経路との両方を活性化し、これによって、サービビンが発現される細胞集団におけるアポトーシスのレベルを増加させることを見出した。この方法は、サービビンの発現を抑制または排除し、これによってアポトーシスの速度を増大させることによって、サービビンが発現される、腫瘍の処置を提供する。
【0026】
N、GNおよび他の誘導体が、一般的に薬学的に受容可能な希釈剤、賦形剤およびキャリアと共に、腫瘍への局部注射により投与されることが企図される。好ましい実施形態において、MNは、DMSO溶液の形態で腫瘍に注射され、そしてGNは、PBS溶液で投与される。GNの使用は、特に大きな腫瘍(>2cm)において、MNの使用を補い、その水溶性に起因して、腫瘍のより広い領域に広がることを可能にする。他の水溶性ノルジヒドログアヤレティク酸誘導体および水に不溶性のノルジヒドログアヤレティク酸誘導体は、本発明に従って、同様に使用され得る。当該分野で公知であり、かつ使用されるように、これらはまた、全身送達のための脂質ベースの処方物において使用され得る。
【0027】
薬学的に受容可能な希釈剤、賦形剤およびキャリアとは、MN、GNおよび他の誘導体と適合性であり、かつ本発明に従うヒトまたは他の哺乳動物への局部投与に適切であると当業者に理解されるような化合物を意味する。本明細書以下の実施例は、局部注射による投与を記載するが、他の局部投与手段(例えば、局所適用または腫瘍部位への標的化された送達)もまた使用され得る。
【0028】
所望の処置効果を得るために投与される化合物の量は、変動するが、当業者により容易に決定され得る。投薬量、投与の頻度および処置の長さは、状況、主に腫瘍の大きさおよび型に依存する。しかし、毎日から毎週の間隔またはより少ない頻度で、MN単独かまたは同様の量のGNと共に腫瘍重量1グラムあたり10mg〜20mgの投薬量は、例示の目的で記述され得る。単独かまたはGNと組み合わせて、200mg/mlの濃度でDMSO中に溶解された50μl〜100μlのMNの投与は、1〜1.5cmの腫瘍の多くの場合に有効であると予測される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】MNおよびGNの構造。
【図2】図2A。E/Eプロモーター(pPV16P97)の領域およびSp1タンパク質の結合部位を示すHPV−16 LCR。図2B。C−33A細胞におけるE/Eプロモーター活性に対するMNの効果(異なる濃度のMNによる、E/Eプロモーター駆動ルシフェラーゼ遺伝子転写の阻害)。
【図3A】40μM MNによるウイルス性EおよびERNA転写物の阻害。40μMのMNまたはDMSOのみのいずれかで増殖培地中にて71時間処理されたC細胞から単離された全RNAを、相対RTPCRに供した。このRTPCRサンプルを、増幅の増加するサイクルの後に取り出し、そしてアガロースゲルに溶かす。ゲル写真(3Aおよび3B)は、これらのサイクル、増殖培地中のMNの存在(+)または非存在(−)およびサイズマーカーとして使用されるpGMTベクターの2つの消化物を示す。
【図3B】40μM MNによるウイルス性EおよびERNA転写物の阻害。40μMのMNまたはDMSOのみのいずれかで増殖培地中にて71時間処理されたC細胞から単離された全RNAを、相対RTPCRに供した。このRTPCRサンプルを、増幅の増加するサイクルの後に取り出し、そしてアガロースゲルに溶かす。ゲル写真(3Aおよび3B)は、これらのサイクル、増殖培地中のMNの存在(+)または非存在(−)およびサイズマーカーとして使用されるpGMTベクターの2つの消化物を示す。
【図3C】40μM MNによるウイルス性EおよびERNA転写物の阻害。40μMのMNまたはDMSOのみのいずれかで増殖培地中にて71時間処理されたC細胞から単離された全RNAを、相対RTPCRに供した。このRTPCRサンプルを、増幅の増加するサイクルの後に取り出し、そしてアガロースゲルに溶かす。増幅マップ(2C)は、初期ウイルスRNA転写物の交互スプライシングから得られる2つの予測されるサイズの増幅産物を示す。
【図4A】MNによるC3細胞成長の阻害。
【図4B】MNの除去後のC3細胞成長の阻害。
【図5】図5A〜5B。遺伝子アッセイ分析により試験された場合のC3細胞における遺伝子発現に対するMNの効果。5A。DMSO処理の>2時間後のC3細胞において発現された遺伝子(C3 DMSO)。5B。溶媒としてDMSOを使用するMN処理の>2時間後のC3細胞において発現される遺伝子(C3 MN)。
【図6】MN処置後の腫瘍保有マウスの視覚的観察。6A。単一の腫瘍を保有するマウスを、DMSO(#3)またはMN(#7)のインサイチュ注射で処置した。MNのインサイチュ注射をまた、マウス#9において成長させた2つの腫瘍のうちの1つに作製した。6B。同じマウスからの未処理の腫瘍および表2に記載されるようにMN処置された腫瘍(白色瘢痕)。
【図7】マウスにおける腫瘍成長に対するMNおよびMN/GNの組織病理学効果。このパネルの1つめのカラムは、マウス#12、10、27および20由来の比較的小さな薬物処置された(MNまたはMN/GN)病変(MN)と比較した場合の、DMSO処置(CON)後の、マウス#4、10、12由来の大きなサイズの腫瘍を示す。続く写真は、100倍の倍率で試験されたこれらの腫瘍の例である(A、B、C、DMSO処置されたマウス、D、未処置のマウス、E、F、G、H、MNまたはMN/GN処置されたマウス)(表1および表2)。
【図8】薬物(HSV−C、HSV−SC)の非存在下、無効な薬物(ABDS [「HSV−ABDS」]、ABDS[「HSV−ABDS」])の存在下、有効な薬物(MN[「HSV−4N」]およびACV[「HSV−ACV」])の存在下でのHSV−1複製。
【図9A】MNは、哺乳動物細胞における成長停止を引き起こす。(a〜d)C3細胞、CEM−T4細胞、C33a細胞およびTC−1細胞を、異なる濃度のMNで処理した。この実験の開始時に存在する細胞の数は、0日目として示される。3日後、生存細胞の数を計数し、そしてMN濃度に対してプロットした。
【図9B】MNは、哺乳動物細胞における成長停止を引き起こす。(a〜d)C3細胞、CEM−T4細胞、C33a細胞およびTC−1細胞を、異なる濃度のMNで処理した。この実験の開始時に存在する細胞の数は、0日目として示される。3日後、生存細胞の数を計数し、そしてMN濃度に対してプロットした。
【図9C】MNは、哺乳動物細胞における成長停止を引き起こす。(a〜d)C3細胞、CEM−T4細胞、C33a細胞およびTC−1細胞を、異なる濃度のMNで処理した。この実験の開始時に存在する細胞の数は、0日目として示される。3日後、生存細胞の数を計数し、そしてMN濃度に対してプロットした。
【図9D】MNは、哺乳動物細胞における成長停止を引き起こす。(a〜d)C3細胞、CEM−T4細胞、C33a細胞およびTC−1細胞を、異なる濃度のMNで処理した。この実験の開始時に存在する細胞の数は、0日目として示される。3日後、生存細胞の数を計数し、そしてMN濃度に対してプロットした。
【図9E】MNは、哺乳動物細胞における成長停止を引き起こす。(e)C3細胞を、1つのフラスコあたり5×10個の細胞でT−25フラスコに分割し、そして倍地中1%のDMSO中のMNまたは倍地中1%のDMSO単独のいずれかを与えた(第1の培地変化)。3日後、MN処理された細胞の半分に、同じ条件を有する新鮮な培地を与えた(第2の培地変化)。これらの細胞を、毎日計数し、そして処理時間に対してプロットした。
【図10】MNで処理された細胞は、G2/Mで停止する。C3細胞(a)、C33a細胞(b)、CEM−T4細胞(c)、およびTC1細胞(d)を、1% DMSOまたはMNを含む1% DMSO(MN)のいずれかを含有する培地中で3日間成長させた。これらの細胞をトリプシン処理し、エタノールで固定し、ヨウ化プロピジウムで染色し、続けてフローサイトメトリーで分析した。データを、細胞数(3〜5×10個の全細胞)対ヨウ化プロピジウム染色強度として示す。細胞周期の示された段階は標識されそして染色強度により決定した場合の相対的細胞DNA全量(compliment)に対応する。
【図11A】40μM MNで処理されたC3細胞は、G2細胞構造を実証する。C3細胞を、1%DMSO(コントロール)または40μMのMNを含む1%DMSO(MN)のいずれかを含有する培地中で3日間カバースリップ上で成長させた。サンプルをエタノールで固定し、そしてα(緑色)チューブリンおよびγ(橙色)チューブリンに対する抗体(a)またはDAPI DNA染料(b)と共にインキュベートした。細胞を、蛍光顕微鏡により試験した。
【図11B】40μM MNで処理されたC3細胞は、G2細胞構造を実証する。C3細胞を、1%DMSO(コントロール)または40μMのMNを含む1%DMSO(MN)のいずれかを含有する培地中で3日間カバースリップ上で成長させた。サンプルをエタノールで固定し、そしてα(緑色)チューブリンおよびγ(橙色)チューブリンに対する抗体(a)またはDAPI DNA染料(b)と共にインキュベートした。細胞を、蛍光顕微鏡により試験した。
【図12】CDC2およびウイルスオンコジーンは、MNにより減少する。C3細胞を、1% DMSO(D)または40μM MNを含む1% DMSO(M)のいずれかを含有する培地中で異なる量の時間(数字は、時間である)成長させた。特定の時間の後、全タンパク質または全RNAを、これらの細胞から単離した。ウエスタンブロット(上二つのパネル)を、同じにトロセルロースフィルターを用いてCDC2に対する抗体またはサイクリンBに対する抗体を使用して実行した。キナーゼアッセイ(a−下二つのパネル)を、サイクリンBに対する抗体を用いる免疫沈降の後、γ−32P ATPおよびヒストンH1とのインキュベーションにより実行した。PAGEゲルのクーマシー染色は、負荷についてのコントロールとして含まれる。24時間および72時間の薬物処理についてのキナーゼアッセイを、別々に行った。ノーザンブロット(b)を、全RNA抽出物に対して行った。フィルターを、ランダムプライム32P標識DNAと共にCDC2またはGAPDHについて一晩インキュベートし、洗浄し、そして3日間フィルムに写した。同じフィルターを使用して、CDC2およびGAPDH RNAを試験した。rtPCR分析(c)を、HPV−16 E7またはGAPDHのいずれか内の領域にハイブリダイズしているプライマーを用いて全RNA抽出物に対して行った。両方のプライマー対を、同じ反応に使用し、そしてその産物を、アガロースゲル電気泳動により分析した。
【図13A】HIV Spl結合部位(−87〜−49)とのGN相互作用の電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)。(A)32P標識HIV Spl DNAテンプレートに対するSpl−167Dの結合のGN阻害。レーン1、テンプレートのみ;レーン2、テンプレートおよび0.1μgのSpl−167D;レーン3〜9、増加する濃度のGN(0.1 μg Spl− 167Dの添加前、0.25〜1.75mM)と共にインキュベートされたテンプレート。
【図13B】HIV Spl結合部位(−87〜−49)とのGN相互作用の電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)。(B)HIVテンプレートに結合したSpl−167DのGN置換。レーン1、テンプレートのみ;レーン2、テンプレートおよび0.1μgのSpl−167Dおよび100倍過剰の非標識テンプレート;レーン3、テンプレートおよび0.1μgのSpl−167D;レーン4〜10、増加する濃度のGN(0.25〜1.75mM)でチャレンジしたSpl/DNA複合体;レーン11、1.75mMのGNを含有する反応緩衝液中でインキュベートしたテンプレート。
【図13C】HIV Spl結合部位(−87〜−49)とのGN相互作用の電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)。(C)テンプレートに結合したGNのSpl−167D置換。レーン1、テンプレートのみ;レーン2〜4、テンプレートおよび増加する量のSpl−167D(0.075、0.150、0.300μg);レーン5〜8、1.2mMのGNを含有する反応緩衝液中でインキュベートし、次いで増加する量のSpl−167D(0.075、0.150、0.300μg)でチャレンジしたテンプレート、レーン8、Spl−167D投与なし。
【図13D】HIV Spl結合部位(−87〜−49)とのGN相互作用の電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)。(D)使用される(A)…・…および(B)―・―における増加する濃度のGNに応じて減少するSpl−167D/DNA複合体バンド強度のプロット。使用されるゲルは、5%非変性ポリアクリルアミドであり、各レーンは、実験項および参考文献[1]に記載されるとおりそれぞれ5μlの反応容積を受容する。
【図14】Cos細胞におけるHIV Tat調節トランス活性化(transactivation)のGNによる阻害。
【図15】GNの存在下でのSIV産生。10個の174x細胞(ヒトT細胞リンパ腫細胞株)を、SIV mac 239の24時間収穫ストック(4ngのp27)と2時間37℃で混合した。細胞を再懸濁し、そして100μlの培地中の1×10個の細胞を、3つの96ウェルプレートの各ウェルに添加した。新たに作製したストックからの種々の濃度のGNを調製し、そして6つの設計したウェルの各々に添加した。培養上清を4日後および8日後にウイルス産生分析のために収集した。ウイルス産生を、実験項に記載されるように、改変p27カプシドタンパク質抗原捕捉ELISAによりアッセイした。
【図16】H9細胞におけるHIV p24抗原産生のGNによる阻害。阻害パーセントを、AZT耐性HIV株であるHIV−1RTMFを用いたウイルス感染後9日目の、GN処理されたH9細胞およびGN処理していないH9細胞の2つの2連培養物の平均からp24レベルを比較することにより計算した。
【図17】サービビン(Survivin)遺伝子発現のRT−PCR分析。(a)上:それぞれの24時間および72時間(レーン3および4)40μMのm4Nで処理されたC3細胞、ならびに未処理のコントロール(レーン1および2)におけるサービビン遺伝子発現。下:対応するGAPDHコントロール。バンド強度は、Scion Imageを用いて定量した。(b)サービビンRT−PCR産物シグナルを、GAPDHコントロールのシグナルに対して正規化し、プロットした。
【図18】サービビン(survivin)タンパク質の薬物濃度依存性下方調節。(a)C3細胞を、種々の濃度のMNと共に72時間インキュベートし、そして全細胞溶解物を、サービビンに対して免疫ブロットした。(b)相対バンド強度を、Scion Imageにより定量し、そしてMN濃度に対してプロットした。
【図19】MNで72時間処理されたC3細胞におけるカスパーゼ−3切断の免疫ブロット分析。(a)カスパーゼ−3のウエスタンブロットは、32kDのプロカスパーゼ−3の切断および活性な20KDの切断された産物の形成を示した。(b)バンド強度を定量し、そしてMN濃度に対してプロットした。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
実験方法
NDGA誘導体を、化学的に合成した[7]。細胞株C3は、W.Martin Kast of Loyola University Medical Center、Chicago,Illinois、U.S.A.により提供されたC57 BL/6kh起源の、HPV16E+Lおよび活性化Ras形質転換細胞株である。これは、Greenstoneら(18)およびFeltkampら(19,20)に記載されるように、維持され、そして培養される。
【0031】
Nの合成:
meso−1,4−ビス[3,4―(ジメチルアミノアセトキシ)フェニル]−(2R,3S)−ジメチルブタン塩酸塩テトラグリシニルNDGA(GN)の調製についての標準的な手順。NDGA(12.8g、42.3mmol、1.0当量)およびN、N,−ジメチルグリシン(26.2g、254mmol、6.0当量)を含有するジクロロメタン(250ml)溶液に、DCC(52.4g、254mmol、6.0当量)およびDMAP(2.32g、18.9mmol、1.0当量)を添加した。この反応混合物を24時間窒素下にて室温で攪拌した。この反応混合物を濾過した後、この溶液を減圧下で濃縮した。次いで、反応フラスコにアセトン(250ml)を添加し、そしてその溶液に過剰のHCl(g)をバブリングした。水溶性の沈殿物を、HOに溶解し、そして室温でアセトンから2回再沈殿させて、(1)(29.2g、36.8mmol)を、白色固体として収率87%で得た。プロトンNMRスペクトルを、DO溶媒およびTSPを内部標準として使用することによりVarian Unity−400(400MHz)分光計で得た。炭素−13 NMRスペクトルを、Varian Unity 400(400MHz)で、DOを溶媒として使用することにより得た。炭素−13化学シフトは、TSP一重線(δ0.0ppm)を参照する。
この合成をスキーム1に示す。
【0032】
【化5】

一般的手順。他に示さない限り、全ての反応を、オーブンで乾燥したガラス器具(120℃)中で窒素雰囲気下にて行った。アセトン、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサンおよびテトラヒドロフランを、Mallinckrodt Chemical Coから購入した。アセトンを、4Aモレキュラーシーブで乾燥して蒸留した。ジクロロメタン、酢酸エチル、およびヘキサンを乾燥し、そしてCaHから蒸留した。1,4−ジオキサンおよびテトラヒドロフランを、ナトリウムおよびベンゾフェノンから窒素雰囲気下で蒸留することにより乾燥した。ノルジヒドログアヤレティク酸を、Fluka Chemical Coから購入した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、モルホリン、トリエチルアミン、および炭酸カリウムを、Merck Incから購入した。1−ブロモ−3−クロロプロパン、N,N−ジメチルグリシン、およびメチルホスホロジクロリデートをAldrich Chemical Coから購入した。
【0033】
分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)を、Merck Incから購入したプレコートプレート(silicagel 60 F−254)で行った。ガスクロマトグラフィー分析を、25−m架橋メチルシリコーンゴムキャピラリーカラム(内径0.32mm)を備えたHewlett−Packard 5890 Series II機器で行った。窒素ガスをキャリアガスとして使用し、そして流量を14.0ml/分に一定に保った。保持時間(t)を、以下の条件下で測定した:インジェクター温度260℃、等温カラム温度280℃。ガスクロマトグラフィーおよび低分解能質量分析を、Hewlett−Packard 5971A質量選択的検出器およびキャピラリーHP−1カラムを備えたHewlett−Packard 5890 Series II機器で行った。中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)による分離を、Jasco Model 880−PUインテリジェントHPLCポンプを使用することにより120ml/hの流量で行った。MPLC充填材であるReversed Phase Silica Gel C18(粒径0.035〜0.070mm)を、Knauer Coから購入した。Merek Reagents Silica Gel 60 (粒径0.063〜0.200mm、70−230mesh ASTM)を使用することにより、重力カラムクロマトグラフィーによる精製を行った。
【0034】
赤外(JR)スペクトルを、Bomem Michelson Series FT−IR分光計で測定した。報告される波数は、ポリスチレンの1601cm−1の吸収を基準とする。吸収強度を、以下の略語により記す:s、強い;m、中程度;w、弱い。プロトンNMRスペクトルを、DOを溶媒として使用し、そして3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム塩を内部標準として使用することにより、Varian Unity−400(400MHz)分光計で得た。炭素−13 NMRスペクトルを、DOを溶媒として使用することによりVarian Unity−400(100MHz)分光計で得た。炭素−13化学シフトは、3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム塩の一重線(60.0ppm)の中心を基準とする。多重度を、以下の略号により記録する:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;J.結合定数(ヘルツ)。高分解能質量スペクトルを、JEOL JMS−HX110質量分析計により得た。meso−1,4−ビス[3,4−(ジメチルアミノアセトキシ)フェニル 3S−ジメチルブタン(meso−1,4Bis[3,4(dimethyleminoacetoxy)phe 3S−dimethylbutane)塩酸塩(2)。NDGA(1,12.81g、42.37mmol、1.0当量)およびN,N−ジメチルグリシン(26.21g、254.2mmol、6.0当量)のジクロロメタン(250ml)溶液に、DCC(52.45g、254.2mmol、6.0当量)およびDMAP(5.176g、42.37mmol、1.0当量)を添加した。この反応混合物を24時間窒素下で室温にて攪拌した。この反応混合物中のジシクロヘキシル尿素を濾別した後、得られた溶液を減圧下で濃縮した。次いで、アセトン(250ml)を残渣に加え、そして得られた溶液を過剰のHCl(g)でバブリングした。沈殿物を水に溶解し、そして室温でアセトンを使用することにより再沈殿させて、2(28.97g、36.86mmol)を白色固体として収率87%で得た:
【0035】
【数1】

他のN,N−ジメチル置換アミノ酸の適切な置換により、本発明のさらなるアミノ酸置換化合物が合成され得ることが理解される。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
(SP1調節HPV E/Eプロモーター活性についてのMNおよびいくつかの他のNDGA誘導体の効果)
SP1調節HPV Eプロモーター活性についてのMNおよびいくつかの他のNDGA誘導体の効果を、レポーターとしてルシフェラーゼを使用して調べた。このアッセイは、リン酸カルシウム方法による、C33A細胞中への、ルシフェラーゼレポーター遺伝子に融合されたHPV16LCR(P97プロモーター)のDNAトランスフェクションに依存する。C33Aは、任意の組み込まれたHPV DNAを含まないが、HPV初期遺伝子プロモーターの強い(robust)発現に必要な転写因子を有する、頸部腫瘍細胞株(ATCC受託番号HTB−31)である。DNAトランスフェクションの1日後、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて溶解された種々の薬物濃度を、この細胞に添加した。薬物処理の30時間後(その結果、このアッセイは、一過性トランスフェクション実験に標準的な48時間以内に完了する)、この細胞を溶解し、そして特異的なルシフェラーゼ活性を決定した(Luciferaze Assay Systems,Promega、米国特許第5,283,179号)。MN薬物濃度が増加するにつれて、特異的なルシフェラーゼ活性は、減少した。
【0037】
結果(図2に示される)は、MNが、ルシフェラーゼアッセイにおいて、HPV E/EプロモーターにおけるSp1調節転写開始を劇的に減少することを実証する。
【0038】
(実施例2)
(MN処理に続く、E/EmRNA合成の阻害)
N処理に続く、E/EmRNA合成の阻害を、頸部細胞株Cにおいて、RT−PCRによって測定した。相対的RT−PCRを、計数された細胞数に対して正規化した全細胞RNAの量を用いて実施した。RT−PCR産物を、2%アガロースゲルで分析した。この結果を図3に示す。RT−PCRの結果は、E7(321bp)およびE6(204bp)についての予期されたサイズの増幅されたcDNAが、増幅のサイクル22という早さで、DMSO処理された細胞において検出されたことを示した。これらの同じ産物は、増幅の30サイクルに続いて、薬物処理されたRNA抽出物において、ほとんど検出可能でなかった。増幅された産物は、テンプレート無しPCRコントロールについても、HPV16ネガティブC33a細胞株の全RNA抽出物からも、検出されなかった。
【0039】
(実施例3)
(MN処理による頸部C3細胞増殖の阻害)
HPV−16形質転換不死化マウス上皮細胞(C3細胞)を、1バイアル当たり10個の細胞密度でプレートした。24時間後、バイアルの1/2に、1%DMSO中に溶解された40μM MNを含む増殖培地を与え、一方、他の半分に、1%DMSOのみを含む増殖培地を与えた。この結果を図4Aに示す。24時間以内に、薬物処理されたC3細胞とコントロールC3細胞との間の細胞形態学的差異が観測された。薬物処理された細胞の増殖および分裂は、未処理コントロールと比較して顕著に減少し、一方、全細胞数と比較した生存可能な細胞の割合は、薬物処理された細胞とDMSOのみのコントロール細胞との両方について一定のままであった。これは、MNが細胞分裂を劇的に減少することを示す。
【0040】
培地からのMNの除去に続くC3増殖の効果もまた、調べた。C3細胞を、1つのバイアル当たり10個の細胞の密度でプレートした。時間=0において、バイアルの2/3に、1%DMSO中40μMのMNを補充した増殖培地を与えた。残りのバイアルに、1%DMSOのみを含む増殖培地を与えた。73時間後、増殖培地においてMNを与えられたバイアルの1/2を洗浄し、そして1%DMSOのみを含む培地を加えた。この細胞バイアルの他の2/3を洗浄し、そして以前に投与された培地と同じ培地で置換した。この結果(図4Bに示される)は、細胞増殖の速度が、薬物を含まない培地への変化に続くMN処理サンプルにおいて、顕著に増加しなかったことを示し、このことは、細胞外膜環境からの除去後でさえ、MNが細胞分裂を有意に減少し続けることを示す。
【0041】
(実施例4)
(薬物処理前および薬物処理の72時間後の、C3細胞における細胞遺伝子発現の分析)
9600遺伝子アレイを用いた遺伝子発現を研究した(図5)。72時間MN(40μm)処理(CN)および未処理(C DMSO)からのそれぞれ5μgのポリARNAを、Genomics 51、313−324 1998に記載される手順に従って、一対のヒト9600遺伝子アレイハイブリダイゼーション研究において使用した。ハイブリダイゼーション画像を、Nikon 55mm AFミクロNikoレンズを備えるカラービデオカメラによって撮り、そしてMacintosh LC630コンピュータによってデジタル化した。単一カラーモードまたは2重カラーモードのいずれかでの色形成酵素の酵素基質反応によるこのような検出は、再現可能であり、そして非常に感受性である(10個の細胞から、RNAを用いて、1細胞当たり5未満のコピーの転写物を検出し得る)。
【0042】
差示的に発現された遺伝子(CN/C DMSO>10およびC DMSO/CN>10)を示すコンピュータープリントアウトを、試験のために列挙する。TIFF形式の画像ファイルおよびMSエクセル形式のデータファイルは、ZIPディスケットで保持される。遺伝子名およびクローンID番号は、将来のノザンブロット確認のための画像クローンを得るために利用可能である。
【0043】
N処理の72時間後、アップレギュレートされるかまたはダウンレギュレートされるかのいずれかである遺伝子の群のうち、以下は、細胞分裂およびアポトーシスに特に関連する遺伝子である。いくつかの他の細胞周期関連遺伝子はまた、MNに応答して非常にアップレギュレートされる。サイクリン依存性キナーゼCDC2(実施例11)に加えて、例えば、以下である:
増加
サイクリン依存性キナーゼインヒビター (100倍)
アポトーシス(APO−1)抗原 (100倍)
死ドメイン3DR (100倍)
Ras関連タンパク質RAP−1 (60倍)
ヒトマップキナーゼ (40倍)。
【0044】
以下の細胞周期関連遺伝子は、MNに応答して、非常にダウンレギュレートされる:
処理 未処理
サイクリン依存性キナーゼ7 (5%) 100%
ヒトサイトカインレセプター (2%) 100%
増殖細胞核抗原、PCNA (1%) 100%
ヒトTNF関連アポトーシスAP02 (3%) 100%
システインプロテアーゼ (7%) 100%。
【0045】
より初期の時点(例えば、薬物処理の1時間後)で、E/Eレベルは、コントロール細胞のE/Eレベルと類似することが見出されたが、一方、4.5時間後、E/Eは、RT−PCRによってもはや検出可能でなかった(10)。9600遺伝子アレイを用いる遺伝子発現は、薬物の最初の細胞効果をさらに抑えるために、これらの短時間処理細胞(1時間および5時間)から単離されたRNAを用いて繰り返され得る。
【0046】
(実施例5)
(MNの局所注入によるマウスにおけるC3腫瘍増殖の標的化)
36匹のC57bl−16NCRマウスに、マウスの背側の肩の間に、5×10個のC3細胞を注射した。24匹のマウスが、20日以内に腫瘍を発生した。毎日の注射(50μl〜100μlのMNまたはMN/GN)(DMSO中、200mg/ml MN、PBS中200mg/ml GN)は、表1および表2、図6および図7に示されるように、動物における腫瘍増殖において顕著な効果を示した。
【0047】
(表1.マウスにおいて発生された単一腫瘍の増殖に対するMNおよびGNの効果)
【0048】
【表1−1】

【0049】
【表1−2】

DMSO=薬物に対するビヒクル
**15日目に取られた
***病変は、ほとんど壊死した細胞を含み、これはまた、マウス6、7、11、14、15、17、19、21、28、19(図6、7)からの病変において見出された。薬物処理の後、マウス番号11および22には、病変は残っていなかった。コントロールマウス番号1、2、3、4に見出された腫瘍は、増殖している細胞を含んだ(図2)。
【0050】
(実験手順):
36匹のC57bl−16NCRマウスに、5×10 C3細胞/マウスを注射した。注射は、100μLであり、マウスの背側の肩の間に皮下的に行った。細胞を低塩HBSS中に懸濁させ、そして懸濁均一性を、穏やかにボルテックスすることによって維持した。
【0051】
24匹のマウスが腫瘍を発生した。それらの病変サイズを、ダイアルカリパーによって測定した。これらのマウスを剃毛し、体重を量り、そして処理を開始した(1日目)。4匹のマウスを、コントロールとして隔離した。コントロールマウスは、腫瘍内に毎日50μlのDMSOを注射された。実験マウス(10)は、DMSO(200mg/mL)中に溶解された50μl MNを投与された。さらなる10匹のマウスは、8日間のMN処理に続いて、8日間毎日のGN処理(50μl、PBS中200mg/ml)を投与された。注射を、腫瘍のいくつかの領域に行った。マウスを、注射の前に、エーテルまたはメタファンを用いて麻酔した。
【0052】
(表2.複数の腫瘍を有するマウスにおける、処理された病変の増殖に対する、MNおよびGNの効果)
【0053】
【表2】

DMSO中の薬物を、腫瘍領域に直接注射した。
**薬物を取り除いた隣接腫瘍から。
【0054】
(表3.マウスにおけるGNの毒性研究)
【0055】
【表3】

NCIからのC57BL−16NCR雌性マウスを、この実験に使用した。テトラグリシナル(tetraglycinal)NDGA(GN)を、毎日、PBS中で、75mg/mlの濃度で新たに作製した。処理当たり、群1について、0.05ml、群2および4について0.1ml、そして群3について0.2mlの注射を、6日間行った。実験は、7日間続いた。体重を、注射前および注射の6日後に決定した。有意な体重変化は、実験期間の間、観察されなかった。
【0056】
全ての処理されたマウス、コントロール(マウス番号1〜4)および実験マウス(マウス番号6、7、9、10、11、12、14、15、16、17のMN、番号18〜22、24、26〜29のMN/GN)は、腫脹を示した。病変サイズの測定を、ダイアルカリパーによって行った。いくつかのマウスは、注射に起因して穏やかな出血を経験した。処理レジメンおよび結果は、以下の通りであった:
10日目:マウスの体重を再び測定した。全てのマウスが、2gまでの増加を示した。
12日目:処理を行わなかった。
13日目:全てのマウスは、非常に異なる程度で、ふくらんだ皮膚を有する。1つのMN処理マウス(番号7)の皮膚は、「乾いた腫瘍(dried−out tumor)」が出る裂け目を有する。
14日目:注射容積を100μlに増加させた。
15日目:1匹のMN処理されたマウス(番号17)は、麻酔の過量/操作に起因して死亡した。番号17の病変部位の皮膚は、裂け、「乾いた腫瘍」を示す。このマウスを解剖し、病変を切除し、重さを量った。16日目:さらに4匹のMN処理マウス(番号6、14、15、16)、3匹のMN/GN処理マウス(番号19、21、28)および1匹のコントロールマウス(番号2)を安楽死させ、解剖し、そして重さを量った。残りのコントロールマウス(番号1、3、4)を、非侵襲的に試験し、そして腫瘍を持っていた。
21日目:コントロールマウスからの腫瘍サイズを、ダイアルカリパーによって測定した。観測:マウス番号10および番号12の病変部位の皮膚(MN処理領域)は、裂けており、「乾いた腫瘍」を示す。
24日目:マウス番号7の皮膚を、完全に回収した。実験をこの日に終えた。全ての残りのマウス、MN処理(番号7、9、10、11、12)およびMN/GN処理(番号18、20、24、26、29)を安楽死させ、解剖し、試験し、そして重さを量った。
【0057】
マウスにおけるC3腫瘍増殖に対するMNおよびMN/GNの効果を、表1および2ならびに図5および6に要約する。表1は、単一の腫瘍を有するマウスのC3細胞増殖に対する薬物の効果を示す。コントロール群の4つの切除された腫瘍の平均重量は、1.48gであったが、一方、MN処理およびMN/GN処理からの病変の重量は、それぞれ、0.142gおよび0.51gであった。薬物処理病変は、主に、乾いた壊死細胞からなった(図6)。コントロール群からの腫瘍は、均一なようであり、そして活性に増殖する細胞を含んだ。表2は、複数の腫瘍を有するマウスにおけるC3腫瘍増殖に対する薬物効果を示す。この研究において、薬物を腫瘍の1つに注射した。未処理腫瘍の平均重量は、1.77gであったが、一方、MN処理病変の平均重量は、0.15gであった。類似の結果が、MN/GN注射に続いて得られた−未処理腫瘍の平均重量は、1.27gであり、一方、薬物処理病変の平均重量は、たった0.103gであった。実験期間全体の間の全てのマウスの体重変化は、有意ではなかった(表1および2)。
【0058】
(実施例6)
2つの群のマウスからの薬物処理(MN)腫瘍およびDMSOビヒクル処理腫瘍または未処理腫瘍(CON)を、組織学的試験のために調製した。切除された腫瘍を、すぐに固定し、次いで、リン酸緩衝化生理食塩水中の4%ホルムアルデヒド中で保存した。次いで、固定された組織を一連の段階的なアルコールおよびキシレンによって脱水し、そしてパラフィンに埋め込んだ。パラフィン組織ブロックを薄く切り出し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンを用いて顕微鏡のために染色した。組織学的研究は、コントロール腫瘍が、DMSO処理によって影響されず、そして増殖し続けることを示した。これらは、高い核/細胞質比、多形性核変化、高い有糸核分裂像、紡錘体様肉腫形状、および癌細胞に特徴的な周りの組織への浸潤を示す。対照的に、MN処理を受けた腫瘍は、処理の開始後すぐに、増殖を中断した。これらは、有意な壊死を示し、そしてもはや生存可能ではない。より高倍率において可視の少量の薬物沈殿があり、そして病巣領域は、慢性の炎症および線維症を示す。この治癒効果は、この領域から、これらの減少した腫瘍細胞の発散を導く。同じ結果が、MN処理単独と同様のMN/GN処理で見られる。しかし、GNが水溶性であるので、MNよりも腫瘍のより広い領域に拡散し得る。MNとともに相乗的に使用される場合、GNは、大きなサイズの腫瘍(すなわち、2cmより大きい)を処置するのにより有効であり得る。
【0059】
(実施例7)
(モルモットにおけるHSV−1皮膚感染に対するMNの作用)
薬物MNをまた、モルモットにおける皮膚感染でのHSV−1複製の阻害について試験した。モルモットの皮膚をニードルでつまみ、そしてHSV−1抑制剤を各々突き刺した領域に感染させるために局所的に塗布した。次いで、6日間毎日感染させた後に、MNを、突き刺した感染領域に塗布した。
【0060】
モルモットの裸の背中の皮膚の6つの領域を、5=DINニードルで無菌的に穿孔した。2つの領域を、HSV−1(HSV−C、培養上清、または生理食塩水中の単離したHSV、HSV−SC)で感染させた。他の4つの領域を、HSV−SCで感染させた。感染の15分後、30μlの試験化合物(DMSO中60mg/mlのABDS、ABDS、ACVおよびMN(4N))を、1日あたり5回で6日間、領域の各々穿孔した感染領域に塗布した。ABDSおよびABDSを、ネガティブコントロールとして含んだ。図8における写真を6日目に撮り、そして薬物(HSV−C、HSV−SC)の非存在下、効力のない薬物(HSV−ABDS、HSV−ABDS)の存在下、および有効な薬物(HSV−MNおよびHSV−ACV)の存在下でのHSV−1複製の程度を示す。6つの大きなコンフルエントな疱疹は、HSV−C、HSV−SC、HSV−ABDS、HSV−ABDSによって処理した領域において発生したが、疱疹は、MN(4N)処理およびACV処理の後の感染領域では観察されなかったことが見出され得る。皮膚損傷の消失によって、および薬物処理4日後のウイルス発散がないことによって、示されるように、MNがHSV複製をブロックし得るという明確な結果を、このモデル系において得た。初期の動物研究もまた、MNが、マウスに対して、腹腔内に投与された場合、300mg/kgほどの高さの濃度で、そして皮下またはIVのいずれかによって投与された場合、375mg/kgほどの高さの濃度で、非毒性であることを示した
(表3)(6)。
【0061】
(実施例8)
(インサイチュ注射を用いる臨床処置についてのMN)
薬物送達経路として、腫瘍へのMNの直接的な投与は、いくつかの特有な利点を提供する。1)MNは、疎水性化合物であり、そしてDMSOに非常に可溶性(200mg/ml)である。従って、有効投薬量の薬物を達成するために、ほんのわずかな容量の薬物溶液が、注射について必要とされる。上記実施例5で記述されるマウス研究においては、数日間の50μl〜100μlの毎日の注射が、マウスにおける腫瘍増殖の完全な停止に十分であった。疾患を処置するために大用量のDMSO(処置あたり30ml IV)の使用に関するいくつかのこれまでの研究が存在する(21)。これらの結果は、確証的ではなかった(22)。しかし、数千万の人々が、過去において世界的に大量のDMSOで安全に試験されているので、DMSOは、ほんのわずかな容量のDMSOが使用される場合、薬物送達のためのビヒクルとして安全であると考えられる(23)。2)インサイチュで注射することによって、大多数の薬物残渣が、不溶性のままであり、腫瘍領域で濃縮され、そして循環系に入らず、従って全身毒性が避けられる。さらに、十分な薬物が、その増殖を抑制するように腫瘍内に残存するので、薬物の連続注射は、比較的わずかな処置後に不要である。実施例5のマウス研究において、MN注射の中断後でさえも、腫瘍細胞は、死滅し続けた。従って、薬物が直接標的化される場合、腫瘍サイズが、投与されるべき薬物の必要量についての決定因子となる。ヒトの全体重とマウスの全体重との差は、無関係である。マウス腫瘍研究において、10日間の20mg/日は、腫瘍を排除するために十分すぎるほどであった。匹敵するサイズのヒトの腫瘍(1〜1.5cm)を処置するためにこれよりも高い投薬量を使用する必要は存在しないはずである。このことは、ヒト試験における危険性を相当に減少させる。
【0062】
(実施例9)
(細胞のMN処理が細胞性増殖をブロックする)
Nに関する本発明者らのこれまでの研究は、Sp1−依存性プロモーターの不活性化によって、ウイルス性転写を阻害し得ることを示した。多くの哺乳動物細胞周期遺伝子もまた、重要なSp1プロモーターを含み、従ってMNは、これらの転写をブロックし得る。この仮説を、多数の異なる細胞株に対するMNの抗増殖性作用を試験することによって試験した。低濃度(10μM)の親化合物NDGAは、哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導することがこれまでに示されてきた(24)。しかし、この作用は、カテコール酸素の1つをブロックすることによってか、またはNDGAへの親水性基の添加によって、回避され得る(25)。漸増量のNDGA誘導体MNを、増殖を阻害するために必要とされる最適濃度を決定するために、HPV−16/ras形質転換C3細胞株(26)の培養物に対して試験した(図9a)。この細胞は、MNに十分に応答し、40〜60μMの濃度範囲にわたって72時間後に分裂を停止する。これらの濃度での3日後、細胞数が、処理の開始での計数と等しく残存した(0日目、図9)。細胞増殖におけるより緩やかな減少を、より低濃度の薬物で観察し、そしていくつかの細胞死を、60μMより高い濃度で観察した。
【0063】
C3細胞株に対するMNの抗増殖性作用は、Sp1−依存性HPV−16 E6/E7癌遺伝子プロモーターを不活性化する薬物の能力に単に起因せず、同様な増殖阻害を、HPV−16で形質転換されたTC−1細胞株(E/E癌遺伝子が非Sp1依存性レトロウイルス性プロモーターの制御下である(27))において観察した(図9d)。C33a細胞株(図9c)、HPV−ネガティブヒト子宮頸癌細胞株、およびCEM−T4株(図9b)の増殖に加えて、ヒト白血病細胞株(28)もまた、MNを用いる処理によってブロックされた。この薬物を用いて処理された4つの細胞株において、ほとんど全て(95%を超える)の分裂停止細胞は、MNの濃度が、「閾値」の値(C3細胞について60μM、TC−1細胞について40μMなど)を超えるまで生存可能であった。これらの濃度を超えると、生存可能な細胞の百分率は、急激に減少する。興味深いことに、分裂停止細胞は、薬物に対する延長された曝露後でさえも95%を超える生存度を維持した。C3細胞は、40μM MNを用いる処理の8日後に細胞死において増加を示さなかった(図9e)。
【0064】
(実施例10)
(MNを用いて処理された細胞がG2期において停止する)
一旦、MNを用いて処理された細胞が、生存可能なままで増殖を中止することが確立されると、細胞性DNA含量の分析および細胞構造の蛍光試験は、細胞が停止する細胞周期における点を決定するために使用された。72時間MNに対して曝された細胞は、コントロールに対して増加したG2/M DNA含量を示した(図10a〜d)。最も極度な応答は、C3細胞株およびCEMT4細胞株から観察され、ここで、90%を超える細胞が、G2/M DNA含量を示す。
【0065】
G2における停止と有糸分裂ブロックとの間を区別するために、αチューブリン(緑)およびγチューブリン(赤)に対する抗体を、72時間のMN処理後のC3細胞株における中心体の状態を決定するために使用した。図11aに示されるように、MNで処理した細胞の中心体は、複製されるが、細胞の核において互いに隣接して位置するままである。中心体は、初期の前期の間に分離しているので、これらの細胞が、有糸分裂を開始してないと結論付けられ得る。対照的に、コントロール細胞を染色するγチューブリンは、G1期またはS期に特徴的な拡散パターンを有する(29)。MN処理細胞におけるクロマチン凝縮の欠如をまた、DAPI染色を用いて観察し(図12b)、これは、この細胞がG2期より前方へ移動していないさらなる証拠である(30)。
【0066】
(実施例11)
(CDC2の産生が40μM MNによって阻害される)
G2からの細胞の進行は、MPFの産生に依存するので、そのタンパク質成分の状態を、40μM MNを用いて処理したC3細胞において試験した。非同期性細胞を、1% DMSO中のMN、または1% DMSO単独のいずれかを含有する培地中で24時間または72時間増殖させた。この細胞を収集し、そして等量の全細胞性タンパク質を、ウエスタンブロットによって分析した。CDC2の量の顕著な減少を、MNを用いる処理の72時間後に観察した(図12a)。しかし、同一の膜をはがし再調査することによって検出されたサイクリンBのレベルは、変化しないことが見出された。これらの結果は、これらの条件下で、停止がp53に対する応答ではなさそうなことを示す。なぜなら、p53の過剰発現は、サイクリンBの減少を導くことが示されているからである(31、32)。ウエスタン分析の結果と一致して、CDC2キナーゼ活性を、MN処理の72時間まで排除した(図12a)。これらの実験は、この薬物がCDC2タンパク質の産生を阻害することによって作用しMPFの活性の損失をもたらすという考えを支持する。
【0067】
Sp1−依存性ウイルス性転写をブロックするMNの能力を実証する本発明者らのこれまでの研究は、CDC2タンパク質の減少についての考えられる機構として、CDC2
mRNAレベルの減少を示唆する。このことは、サイクリンBタンパク質(この遺伝子は、その発現についてSp1を必要としない)が、正常なレベルで産性されるが、CDC2タンパク質(この遺伝子は、そのプロモーターにおいて2つの重要なSp1部位を有する)が、量において実質的に減少するという知見を支持する。この仮説を試験するために、ノザンブロット分析を、40μM MNを用いて5〜72時間処理されたC3細胞から収集したRNAに対して実施した。図12bに示されるように、CDC2 mRNAの量は、MNで処理してわずか24時間後に減少し、そして72時間後にほとんど除去される。非Sp1調節性ハウスキーピング遺伝子GAPDHの産生を、RNAロードコントロールとして使用し、そしてそのレベルは、40μM MNまで影響されなかった。
【0068】
C3細胞株の使用は、本発明者らにMN媒介性細胞周期停止の機構の分析のためのさらなるコントロールを可能にする。なぜなら、他のSp1−依存性遺伝子プロモーターはまた、MN処理によって阻害されるようであるからである。この可能性を、Sp1依存性HPV−16 E/Eプロモーターからの転写に対するMNの作用を分析することによってC3細胞を試験した。40μM MNで5〜72時間処理したC3細胞から単離したRNAのrtPCR分析は、E転写物のレベルの明確な減少を示した(図12c)。GAPDHをまた、この実験における内部コントロールとして再び使用し、そしてそのレベルは、薬物処理によって影響されなかった。これらの結果は、MNがSp1調節性プロモーターの転写を減少させるというさらなる証拠を提供する。
【0069】
(実施例12)
(ゲル移動度分析におけるGNによるSp1結合活性の阻害)
Sp1ファミリータンパク質は、結合の際にDNAの主溝の方に曲げを誘導する(33)。Sp1タンパク質のジンクフィンガードメインは、GCボックス配列5’−GGGGCGGGG−3’の結合を担っている。コンピュータ分析から、GN(NDGAのアミノエステル誘導体)が、主溝におけるこのような配列と安定な複合体を形成し得ることを決定した。GNが、Sp1ブロッカーおよびSp1ディスプレーサー(displacer)として機能を果たし得るか否かを決定するために、本発明者らは、試験のためにSp1のDNB結合ドメインのみを用いるゲル移動度シフト分析によって、GNの存在または非存在下において、Sp1/エンハンサー相互作用研究を実施した。ブロック化実験において、異なる濃度のGNを、最初に、結合緩衝液中で32P−標識化DNAとともに25℃で30分間インキュベートした。次に、組換えSp1タンパク質のDNA結合ドメイン(Sp1−167D)を添加し、そして大過剰のBSAタンパク質の存在下でさらに30分間インキュベートした。置換研究において、この組換えSP1−167Dを、最初に、DNAに結合させ、次いでGNを、インキュベーションの第2工程で添加した。GN濃度およびSp1−167D濃度ならびにインキュベーション条件およびゲル電気泳動条件は、両方の研究において同一であった(実験項)。図13に示されるように、いずれの場合においても、GNは、DNAをSp1−167Dタンパク質との相互作用をさせなくし得ることが見出された。Sp1単独のDNA結合ドメインのみが試験された場合、GNは、ゲル移動度シフト分析によって示されるように(図13、A、B、D)、エンハンサーに対する結合からSp1をブロック化するよりも、結合Sp1の置換においてより効率的であると考えられた。本発明者らはまた、結合GNがSp1−167Dによって置換され得るか否かを試験した。この研究において、GNによるSp1−167D結合の阻害は、移動度シフト分析によって初めて確立された(図13C、レーン2およびレーン5)。GN結合テンプレートが、付加的なSp1−167Dとチャレンジされた場合、本発明者らは、Sp1−167D/DNA複合体のバンド強度の投薬量依存的な増加を観察し(図6C、レーン6、レーン7)、このことは、Sp1−167DによるテンプレートからのGNの置換を示した。
【0070】
(実施例13)
(GNによるHIVプロモーター活性のSp1調節性Tat−トランス活性化の阻害)
これまでに報告されるように、メチル化NDGA誘導体は、種々のウイルス性プロモーター(HIV、HSVのICP4、HPVのE/E遺伝子を含む)のエンハンサー部位に対するSp1結合をブロックし得る(8、9、10)。本発明者らは、これまでに記載されるように、SEAPアッセイによってCos細胞におけるHIVプロモーター活性のTat−トランス活性化に対するGN作用をさらに試験した。HIV LTR駆動SEAP発現の基底レベルは、Cos細胞においてほとんど検出可能でないことがこれまでに見出された。Cos細胞がCMVプロモーター駆動Tat遺伝子とともに同時トランスフェクトされた場合、SEAP発現において60倍以上増加した(8)。このようなHIV LTRプロモーター活性のTat駆動性トランス活性化は、Sp1調節性であることがこれまでに示されてきた(7、8)。GNの存在下で、本発明者らは、用量依存的様式でHIVトランス活性化の阻害を観察した(図14)。GNについての平均値IC50値36μMは、3−O−メチルNDGAの値(Ma1.4(IC5025μM))に匹敵し、そしてテトラ−メチルNDGAの値(MN(IC5011μM))よりも幾分高かった。これらの違いは、おそらく、細胞に取り込む薬物に影響する試験化合物の化学的性質に起因する。
【0071】
(実施例14)
(GNによる細胞培養物中のSIV−1産生およびHIV−1産生の阻害)
HIV−1およびSIVの両方は、これらの複製を完了するために宿主ゲノムへの組込みを必要とするレトロウイルスである。両方は、これらのプロウイルスの転写のための宿主転写因子に依存している。Sp1は、ほとんど同一な様式の転写調節を共有するこれら2つのウイルスにおけるこのような発現について中心的な役割を果たしている。GNの抗ウイルス作用を試験するための動物モデルとして、SIV感染アカゲザルを使用することを見越して、本発明者らは、174×CEM細胞におけるSIV阻害におけるGN作用を研究し、そしてH9細胞におけるHIVのものと比較した。これら2つの細胞株におけるGNの細胞毒性もまた試験した。SIV阻害研究について、10 174×CEM細胞を、SIVmac239の高力価ストックと37℃で2時間混合し、次いで冷PBS緩衝液で2回洗浄して、吸収されていないウイルスを除去した。細胞懸濁液を、3つの96ウェルプレートの各々のウェル中に等分した。種々の濃度のGN溶液を、新たに調製したストックから作り、別個にかつ各々、1つの96ウェルプレートの列の6ウェルに等分した。培養上清を、感染後4日毎に収集した。適切な濃度の薬物を含有する(P.I.)および新たな培地を、上清の収集に続いて培養物に添加した。ウイルス産生を、示されるように、改変p27コア抗原捕捉ELISAによってアッセイした(図15)。SIV産生は、5CIMを超える濃度でGNを使用して検出されなかった。2.5CIM未満のGN濃度にて、SIV産生を、薬物の非存在下でのウイルス産生と比較して、感染後の培養物の4日目および8日目の培養上清において検出した(図15)。GN(250μM以下)は、MTTアッセイによって決定されるように、感染されていない174×CEM細胞に対して毒性作用を示さなかった(34)。
【0072】
同様な実験をまた、H9細胞においてGNによって、HIV−1の阻害の研究について実施した。このH9細胞を、1×10/mlで継代培養し、そしてHIV−1(HIV−1RTMF)のAZT耐性株を用いて感染させた。異なる濃度のGNを、感染2時間後に添加した。新鮮な培地交換を、4日間毎に行った。GNの存在下での細胞増殖を、9日の実験期間の間注意深くモニターした。ウイルス産生を、p24コア抗原捕捉ELISAによってアッセイした。示されるように(図16)、80CIMのGN濃度は、H9細胞においてHIV複製を完全に阻害した。HIV−1 RTMFの阻害について、12μM CIM GNのIC50が見出された。さらに、アッセイの範囲内(および250μM未満)で、感染されていないH9細胞に対する検出可能な毒性は、存在しなかった。
【0073】
(実施例15)
(C3細胞におけるサービビン(Survivin)遺伝子発現に対するMN処理の作用)
(材料および方法)
細胞培養物。C3細胞を、5%ウシ胎仔血清(GIBCO BRL)を補充したIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(GIBCO BRL)中で単層として増殖させ、そして5% CO環境下、37℃で湿性インキュベーター中で維持した。
【0074】
N処理。C3細胞(5×10)を、150−mmプレートに播種し、そしてこのプレートに付着させた。播種から24時間後、培養物をPBSで2回洗浄し、そして増殖培地と混合した1% DMSO中に溶解したMNで処理した。
【0075】
細胞抽出物および免疫ブロット。細胞を、溶解緩衝液(50mM HEPES(pH7)、250mM NaCl、0.1%(v/v)Nonidet P−40、10%グリセロール、1mM DTT、および50μl/mlプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma)を含有する)中で溶解させた。抽出物のタンパク質濃度を、ブラッドフォードアッセイ(Bio−Rad Laboratories)によって決定し、次いで50μgのタンパク質を、SDS−PAGEによって分離し、そしてニトロセルロース膜に電気的に移動(electrotransfer)(ECL)した。膜を、サービビン(Survivin)(Santa Cruz Biotechnology)およびカスパーゼ(caspase)−3(Santa Cruz Biotechnology)に対する一次抗体とともにインキュベートした。次いで、ブロットを、抗ウサギビオチン結合体化二次抗体とともに、次いでAvidx−APTMストレプトアビジン−アルカリホスファターゼとともに、インキュベートし、CSPD(登録商標)基質(Tropix)を用いて検出した。
【0076】
RT−PCR分析。mRNAを、Molecular Cloningに記載されるように、グアニジニウムチオシアネートおよびフェノールの方法によって、培養細胞から単離した(40)。343−塩基対RT−PCR産物を、サービビンセンスオリゴヌクレオチドプライマー5’−GCATCGCCACCTTCAAGAACTGGCCC−3’およびサービビンアンチセンスオリゴヌクレオチドプライマー5’−CGGGTAGTCTTTGCAGTCTCTTCAAACTC−3’を用いることによって生成した。GAPDHセンスプライマー5’−GAATCTACTGGCGTCTTCACC−3’およびGAPDHアンチセンスプライマー5’−GTCATGAGCCCTTCCACGATGC−3’を、コントロールとして238−塩基対RT−PCR産物を生成するために使用した。mRNAアリコートを、20μl反応緩衝液(1UのrRNAsinおよびDNAseを含有する)中で75℃で5分間インキュベートし、続いてMMLV(Promega)を用いて逆転写反応させた。得られたc−DNA産物を、以下のPCR条件下で増幅させた:55℃で55秒間、60℃で55秒間、および72℃で1分間の30サイクル。このPCR産物を、エチジウムブロマイドを含有する1.8%アガロースゲル上の電気泳動によって分離し、そしてUV下で撮影した。バンドを、Scion Imageによって定量化し、そしてサービビンPCR反応産物のシグナル強度を、GAPDH PCR産物のシグナル強度に対して規格化して、サービビン遺伝子のダウンレギュレーショングラフを作成した。
【0077】
C3細胞においてSp1調節性サービビン遺伝子発現が、MN処理によって減少されるか否かを決定するために、本発明者らは、40μM MNを用いて24時間および72時間細胞を処理した。図1に示されるように、MNを用いる細胞の処理は、時間依存的な様式でサービビン遺伝子発現の有意な減少を生じた。40μM MNを用いる24時間および72時間の処理は、それぞれ、65%および80%のサービビン発現の減少を生じた。未処理細胞は、サービビン遺伝子発現においていずれの減少も示さなかった。
【0078】
サービビンタンパク質はまた、MN処理の72時間までにダウンレギュレーションされることが免疫ブロットによって示された。このダウンレギュレーションは、投薬量依存性であった(図2)。
【0079】
(実施例16)
(MN処置でのアポトーシスの誘導)
本発明者らのデータは、MNが、サービビンのmRNAおよびタンパク質の減少を示したので、本発明者らは、この減少がアポトーシスを誘導するか否かを研究した。なぜなら、サービビンは、抗アポトーシス機能を有するからである。カスパーゼ−3の免疫ブロットによって示されるように(図3)、72時間のMNの処理は、カスパーゼ−3の活性化をもたらした。この活性化は、MNで処理した細胞におけるアポトーシスの増加を生じることが予想される。
【0080】
本明細書中で引用される参考文献は、便宜のために以下に列挙され、そして本明細書により参考として援用されている。
【0081】
【表4−1】

【0082】
【表4−2】

【0083】
【表4−3】

【0084】
【表4−4】

【0085】
【表4−5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−242438(P2009−242438A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177106(P2009−177106)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【分割の表示】特願2002−586930(P2002−586930)の分割
【原出願日】平成14年5月8日(2002.5.8)
【出願人】(501239206)ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】