説明

ノンクロム水性防錆剤組成物

【課題】クロム酸を含まずに、クロム酸を含有した表面処理剤や塗料と同等の性能を持つノンクロム水性防錆組成物を提供する。
【解決手段】本発明の水性防錆剤組成物は、(a)非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂において実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させた水系ウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は亜鉛メッキを施した鋼板、鋼管その他の鋼材加工品に対する白錆防止として、クロム酸を含まずに、クロム酸を含有した表面処理剤や塗料と同等の性能を持つノンクロム水性防錆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛メッキ鋼管(丸管及び角管)、亜鉛メッキ成形品の場合、白錆防止対策としてクロム酸を含有した表面処理剤、塗料を使用しているが、クロム酸は環境公害物かつ、劇物であることにより、使用を禁止されていく方向にあり、これに換わる白錆防止策が必要とされる情勢にある。
【0003】
現在、亜鉛メッキ鋼板、及びそれを利用した加工品(パイプ)等では白錆防止用としてクロム酸処理を施し、またクロム酸を含有した水性防錆クリア塗料を塗装することにより、白錆を防止してきた。
【0004】
クロム酸使用については、環境対策の上で使用が禁止されて行く方向にあり、業界各社では高額なコストをかけて、ノンクロムの白錆対策を実施している。
【0005】
現在のノンクロム金属表面処理剤は、安定性に欠けるため使用期間が3日〜1週間と短く、使用者にとっては、非常に管理が難しいものとなっている。
【0006】
ところで、本願出願人の元で、非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂を実質上乳化剤を使用せずに水中に分散、エマルジョン化させた水系ウレタン樹脂、あるいはそのようなウレタン樹脂で異なる粒径の粒子からなるもの、あるいはそのようなウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物で異なる粒径の粒子からなるものを、特定な成分と組合せることで、例えば亜鉛メッキを施した鉄、非鉄金属表面に対して優れた防錆、傷防止性能を発揮する金属基体用の水性防錆剤組成物を発明した(特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3428798号
【特許文献2】特開2004−99818号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は亜鉛メッキや亜鉛アルミニウム合金メッキ等を施した鋼板、鋼管その他の鋼材加工品に対する白錆防止として、クロム酸を含まずに、クロム酸を含有した表面処理剤や塗料と同等の性能を持つノンクロム水性防錆組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、優れた防錆、傷防止その他の性能を有する特許文献1あるいは特許文献2の水性防錆剤組成物をベースにして、特に亜鉛メッキ、亜鉛アルミニウム合金メッキ等を施した金属表面に対する白錆防止効果の一層高い水性防錆剤組成物を得ようとして種々研究を重ね実験を続けた結果、概ね特許文献1あるいは特許文献2の組成に、硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液を加えることで、特に白錆防止性能が一層向上しクロム酸を添加したものと同等の性能が得られることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明の第1態様は、(a)非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂において実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させた水系ウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物に関する。
【0009】
本発明の第2態様は(a)非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂において実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させた水系ウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液(c)シリカ、(d)シリコーン系非イオン界面活性剤(e)シリコーン系消泡剤及び(f)アルコールを含み、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物にも関する。
【0010】
本発明の第3態様は(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物に関する。
【0011】
本発明の第4態様は(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)シリカ、(d)シリコーン系消泡剤、(e)シリコーン系非イオン界面活性剤及び(f)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物に関する。
【0012】
本発明の第5態様は(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物に関する。
【0013】
本発明の第6態様は(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物、(b)硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液、(c)シリカ、(d)シリコーン系非イオン界面活性剤、(e)シリコーン系消泡剤及び(f)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物に関する。
【0014】
本発明で使用されるウレタン樹脂は、非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂であり、それはウレタン樹脂に若干の親水性を、又は親水性セグメントを付与し、水溶性又は自己分散型にしたものであり、乳化剤を使用せずに、水に分散又は溶解できる。
【0015】
自己乳化型でないウレタン樹脂は乳化させる際に、乳化剤が必要となる。乳化剤を使用して乳化させた自己乳化型でないウレタン樹脂の水性エマルジョンを本発明のように使用するとゲル化し、所望の被覆潤滑剤組成物は得られない。本発明のウレタン樹脂エマルジョンは、ウレタン樹脂を液体中に例えば高速分散させて得られたものである。
【0016】
ウレタン・アクリル複合樹脂とは、ウレタン樹脂とアクリル樹脂との単なる混合物ではなく、ウレタンポリマーとアクリルポリマー又はアクリル−スチレンコポリマーとを特殊複合化したエマルジョンである。例えば、アクリル樹脂に導入したケト基とウレタン樹脂に導入したヒドラジド基とによる架橋反応を起こさせて、ウレタン・アクリル複合樹脂を製造する。また、水性ウレタン樹脂の存在下、アクリルモノマーを重合することで、ウレタン・アクリル複合樹脂を製造しても良い。
【0017】
本発明で使用される硝酸第2鉄を溶解中和させたものはクロム酸と同様に亜鉛メッキ表面を酸化させ不導体にする効果がある。
【0018】
硝酸第2鉄の溶液には、中和させると固形化するものもあるので、本発明で使用する硝酸第2鉄の溶液としては、中和させても固形化しないものを採用するのが好ましい。
【0019】
本発明の第1、第3及び第5の態様に使用されるセルソルブ化合物として、レベリング(厚みの均一化)及び濡れ性の付与に役に立つセルソルブ化合物、例えばブチセルソルブがもっとも好ましい。
一般にセルソルブ化合物は総組成物量の5〜20%使用することが好ましい。
【0020】
本発明で使用されるアルコールとしてイソプロピルアルコールが好ましい。イソプロピルアルコールは、低い温度(100℃以下の温度)で水と一緒に外気に飛散しやすいので、乾燥は速くなる。イソプロピルアルコールは一般に総組成物量に対し8〜25%使用するのが好ましい。
【0021】
本発明の第2、第4及び第6の態様におけるシリカとして、シリカゾルが好ましい。シリカゾルは、金属支持体の膜の傷防止、硬度を高めかつ耐食性の改良及び付加、白化防止において役に立つ。シリカとセルソルブ化合物を一緒に使用すると樹脂がゲル化する。そのためシリカを使用する時は、セルソルブ化合物の代わりにシリコーン系非イオン界面活性剤及びシリコーン系消泡剤を使用する。
【0022】
ウレタン樹脂及びウレタン・アクリル樹脂は、耐熱、耐久性、可撓性、耐摩耗性に優れ、金属表面に接着硬化し、その皮膜の分子密度は高く硬度H以上であり、加工後の傷防止となる。
【0023】
本発明の第4から第6の態様においては、異なる粒径の粒子からなる樹脂を使用する。鏡面加工を施されている場合、異なる粒径の粒子からなる樹脂であることが密着力を高めるのに役に立つ。ウレタン樹脂のみを使用するときは、異なる粒径の粒子からなるウレタン樹脂を使用する。例えば、前記異なる粒径の粒子からなるウレタン樹脂は、10〜40nmの粒径の粒子と60〜100nmの粒径の粒子とからなることが好ましい。
【0024】
非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂において実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させたウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物を使用する場合、その混合物は、10〜40nmの粒径の粒子と60〜100nmの粒径の粒子とからなることが好ましい。この場合、ウレタン樹脂は60〜100nmの粒径の粒子を使用し、ウレタン・アクリル複合樹脂は10〜40nmの粒径の粒子を使用することが、より好ましい。
【0025】
即ちウレタン樹脂及び/又はウレタン・アクリル複合樹脂は、通常の水性樹脂皮膜では見られない分子間の密度高くピンホール無く耐熱性があり、温水によって膨張しにくいため塗装に際し高速でシームレス状の皮膜(均一被膜)を作るため熱風加熱(前、後)温度70℃〜120℃スプレー塗装、空気冷却1〜3秒で固化するため塗装前後の液の垂れ状態がないため作業環境が良く再使用が出来水溶性のため引火性がないので危険物とならない。
【0026】
本発明において樹脂成分として、ウレタン樹脂及びウレタン・アクリル複合樹脂を使用する場合、それぞれの樹脂は、20〜80重量%使用することが好ましい。
【0027】
本発明において硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液は500〜2000ppmの硝酸第2鉄を含む量を添加することが好ましい。
【0028】
本発明において、組成分中、樹脂成分は、6〜30重量%使用することが好ましい。
本発明の各成分は任意の方法で混合して組成物を形成できる。
【0029】
本発明組成物を金属支持体に適用する方法は、金属支持体を例えば温度70℃〜120℃で暖めた後に本発明組成物をスプレー塗布すると、その樹脂は乾燥(水分が飛散)すると共に皮膜化し硬化する。又は、室温の金属支持体に組成物をスプレー塗布後、炉内温度70℃〜120℃に上昇させてその組成物を乾燥硬化させる。
【0030】
本発明組成物は亜鉛メッキ鋼板等、クロム酸処理を施されているメッキ鋼板の代替物になりうる。
【0031】
本発明組成物においては硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液を添加したウレタン樹脂、ウレタン・アクリル複合樹脂は水性のため、危険物にならず、引火しない。しかも速乾性、密着硬膜なので金属表面に接着硬化し被膜は光沢があり、例えば鋼管と鋼管あるいはロール等と物理的接触をしても被膜が剥離しにくい。、そして均一被膜(シームレス)により製品表面の向上となる。また、耐熱、耐久性、可撓性、耐摩耗性に優れ、傷防止に最適である。
【0032】
又、例えば、組成物を金属支持体にスプレーした際に、下にしたたり落ちた組成物は循環再使用が出来るため経済的である。
【発明の効果】
【0033】
本発明の水性防錆剤組成物は、亜鉛メッキや亜鉛アルミニウム合金メッキ等を施した鋼板、鋼管その他の鋼材加工品に対して、クロム酸を含まずに、クロム酸を含有した表面処理剤や塗料と同等の白錆防止を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に本発明の実施例を示す。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
以下の実施例及び比較例の成分から水性組成物を調整した。すべての組成物においてウレタン樹脂、ウレタン・アクリル複合樹脂は、エマルジョンとなっている。本発明の実施例において、トリエチルアミンは硝酸第2鉄を中和するために添加した。実施例1〜6及び比較例1、2の組成を以下に示す。
【実施例1】
【0035】
[実施例1]
ウレタン樹脂エマルジョン 18.0 WT%
ブチルセロソルブ 16.0 WT%
イソプロピルアルコール 20.0 WT%
トリエチルアミン 0.2 WT%
水道水 42.8 WT%
硝酸第2鉄 500ppm

[実施例2]
ウレタン樹脂エマルジョン 15.0 WT%
ブチルセロソルブ 18.0 WT%
イソプロピルアルコール 22.0 WT%
トリエチルアミン 0.4 WT%
水道水 43.5 WT%
硝酸第2鉄 1000ppm

[実施例3]
ウレタン樹脂エマルジョン 15.0 WT%
シリカゾル 4.0 WT%
シリコーン系非イオン界面活性剤 0.9 WT%
シリコーン系消泡剤 0.1 WT%
トリエチルアミン 0.6 WT%
水道水 73.5 WT%
硝酸第2鉄 1500ppm

[実施例4]
ウレタン樹脂エマルジョン 10.0 WT%
イソプロピルアルコール 20.0 WT%
シリコーン系非イオン界面活性剤 0.9 WT%
シリコーン系消泡剤 0.1 WT%
トリエチルアミン 0.8 WT%
水道水 64.0 WT%
硝酸第2鉄 2000ppm

[実施例5]
ウレタン樹脂エマルジョン 15.0 WT%
ブチルセロソルブ 18.0 WT%
イソプロピルアルコール 22.0 WT%
トリエチルアミン 0.2 WT%
水道水 43.5 WT%
硝酸第2鉄 500ppm
ウレタン樹脂の粒径
90nm 30 WT%
80nm 30 WT%
20nm 60 WT%

[実施例6]
ウレタン樹脂エマルジョン 8.0 WT%
ウレタン・アクリル複合樹脂 7.0 WT%
イソプロピルアルコール 20.0 WT%
シリコーン系非イオン界面活性剤 0.9 WT%
シリコーン系消泡剤 0.1 WT%
トリエチルアミン 0.4 WT%
水道水 64.0 WT%
硝酸第2鉄 1000ppm
樹脂の粒径
ウレタン樹脂の粒径 90nm
ウレタン・アクリル樹脂の粒径 30nm

[比較例1]
ウレタン樹脂エマルジョン 20.0 WT%
ブチルセロソルブ 5.0 WT%
イソプロピルアルコール 20.0 WT%
水道水 45.0 WT%

[比較例2]
ウレタン樹脂エマルジョン 20.0 WT%
ブチルセロソルブ 5.0 WT%
イソプロピルアルコール 20.0 WT%
水道水 45.0 WT%
クロム酸 2000ppm
【0036】
上記の各実施例を比較例と比較するために行った暴露試験(ノンクロム比較暴露試験)の結果は表1の通りである。
1.塗装方法 前加熱 ドブ漬け塗装
2.試験材 Znめっきパイプ
3.試験品の種類 実施例1〜6、比較例1、2
4.試験開始時期 塗装後1日置いて試験開始とする。
5.結果 表1の通り、実施例1〜6は比較例2(クロム酸を含む水性防錆剤組成物を塗装した比較例)とほぼ同等の性能(白錆防止性能)が見られた。
【0037】
【表1】

【0038】
上記の各実施例を比較例と比較するために行ったサイクル試験(ノンクロム比較サイクル試験)の結果は表2の通りである。
1.塗装方法 前加熱 ドブ漬け塗装
2.試験材 Znめっきパイプ
3.試験品の種類 実施例1〜3、比較例1、2
4.試験開始時期 塗装後1日置いて試験開始とする。
5.サイクル方法(最大30サイクルで終了とする)
塩水(5%)浸漬30分(浸漬後水洗)→浸水1時間30分→乾燥2時間
6.結果 実施例1、2、3ともに波模様の白化現象が起きたが、比較例2とともに硫酸銅の5%溶液に浸漬した所、いずれも銅の置換が起こらなかったので被膜が損なわれなかったと見られ比較例2(クロム酸を含む水性防錆剤組成物を塗装した比較例)と同等の性能であると判断される。
【0039】
【表2】

【0040】
上記の各実施例を比較例と比較するために行った塩水噴霧試験(ノンクロム比較塩水噴霧試験)の結果は表3の通りである。
1.塗装方法 前加熱 ドブ漬け塗装
2.試験材 Znめっきパイプ
3.試験品の種類 実施例2、3、比較例1、比較例2
4.試験開始時期 塗装後1日置いて試験開始とする。
5.塩水噴霧(8時間)→16時間静置を1サイクルとし3サイクル行った。
6.結果 実施例3に波模様の白化現象が起きたがが、比較例2とともに硫酸銅の5%溶液に浸漬した所、いずれも銅の置換が起こらなかったので被膜が損なわれなかったと見られ比較例2(クロム酸を含む水性防錆剤組成物を塗装した比較例)と同等の性能であると判断される。
【0041】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂に実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させた水系ウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項2】
(a)非反応型、自己乳化型ウレタン樹脂に実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させた水系ウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)シリカ、(d)シリコーン系非イオン界面活性剤、(e)シリコーン系消泡剤及び(f)アルコールを含み、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項3】
(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項4】
(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)シリカ、(d)シリコーン系消泡剤、(e)シリコーン系非イオン界面活性剤及び(f)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項5】
(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物、(b)硝酸第2鉄溶液を中和したもの、(c)メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート又はブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系化合物、又はシリコーン系非イオン界面活性剤及び(d)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項6】
(a)非反応型、自己乳化型であり、異なる粒径の粒子からなり、実質上乳化剤を使用せずに水中に分散させる事ができるウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物、(b)硝酸第2鉄を溶解、中和させた溶液、(c)シリカ、(d)シリコーン系非イオン界面活性剤、(e)シリコーン系消泡剤及び(f)アルコールを含み、組成物(a)は組成物中エマルジョンとして存在し、樹脂成分が総重量の6〜35重量%を含むノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項7】
前記異なる粒径の粒子からなるウレタン樹脂が、10〜40nmの粒径の粒子と60〜100nmの粒径の粒子とからなる請求項3〜4のいずれかに記載のノンクロム水性防錆剤組成物。
【請求項8】
前記異なる粒径の粒子からなるウレタン樹脂とウレタン・アクリル複合樹脂との混合物が、10〜40nmの粒径の粒子と60〜100nmの粒径の粒子とからなる請求項5〜6のいずれかに記載のノンクロム水性防錆剤組成物。

【公開番号】特開2007−326995(P2007−326995A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160831(P2006−160831)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(590001360)日油化学工業株式会社 (1)
【出願人】(597170759)
【Fターム(参考)】