説明

ノンステープル封緘ケース

【課題】生鮮農産物の運搬等に使用するノンステープルの天面封緘ケースを提供すること。
【解決手段】前後側板及び左右側板の上縁から延出させた短い天面ショートフラップを10、11、12、13重ね合わせることにより、中央に開口部を有するように天面が封緘される包装箱であって、
前記何れか一対の天面ショートフラップの自由端部に、幅の狭い平行な折目を介して折返しフラップ16、17を連設し、その折返しフラップの先端に差込突起18、19を設け、
一方、前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に、前記差込突起を掛け止め得るスリット(直線状切込)又はハーフカット線等の破断線20、21を前記連接折目と平行な位置に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜や花き等の農産物類の運搬等に使用するノンステープル封緘ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
青果物を運搬する外装箱として、従来より、図6に示すようなものが使用されている。この外装箱は、段ボールを素材とし、各一対の長側板51及び短側板52により箱4面の側壁が形成されている。そして長側板51及び短側板の下縁から延出させた長短の各一対の底板を止め金具やテープを用いて固定することで箱の底面を閉止し、また長側板51及び短側板の上縁から延出させた短い天面ショートフラップ53と54(単に、ショートフラップということがある)を重ね合わせることで、その内側には青果物の挿入や確認が可能となる開口部を有した環状をなす天面封緘部が形成されていた。
【0003】
前記のショートフラップ53と54はその短かさや素材の厚さの影響により特に基端折目の反発が強いため、差込式ではなく、ボクサーでステープル55を打ち込んで固定されていた。
しかしながら、上記のようにステープルを用いると、組み立てに際し、重いボクサーの取り扱いが負担になり、また解体に際し、ステープルがはね飛んで作業者が怪我をする危険性もある。
【0004】
そこで、上記のような止め金具やテープ等の固着手段が不要で、組み立てが容易な段ボール箱が、例えば、特許文献1〜2に示すように提案されている。特許文献1は底面と天面の封緘に差込孔と差込み片を利用する青果物の収納箱である。また、特許文献2に示すものは、各一対の端板及び側板を連設して角環状の周壁をなし、各端板及び側板の下縁から延出した長いフラップを重ね合わせて底面を閉止し、端板及び側板の上縁から延出した短いフラップの端部を重ね合わせて、天面の中間部が開口した状態で封緘する農産物の運搬に好適なショートフラップ箱である。
【特許文献1】特開2001−278244号公報
【特許文献2】特開2005−126109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
青果物の流通時においては、青果物の確認・点検作業等で箱の天面フラップを掴む荷役作業を生ずることがある。その場合に、前記特許文献2のような、ステープルを使用せず、端板及び側板の上縁から延出した短いフラップの端部を重ね合わせものでは、天面フラップを掴んだときに、封緘状態の維持が難しくはずれやすい。
一方、特許文献1のように、差込孔と差込み片を利用する箱では、ブランクに孔を明け、打ち抜きかすを取除く必要があり、かつ差込孔と差込み片の形成と組立て時の挿入係合が面倒であるなどの欠点を生ずる。
本発明は、従来の課題を解決して、花き類を含む生鮮農産物の運搬等に使用するノンステープルの天面封緘ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の発明は、段ボールを素材とし、前後側板及び左右側板の上縁から延出させた短い天面ショートフラップを重ね合わせることにより、中央に開口部を有するように天面が封緘される包装箱であって、
前記何れか一対の天面ショートフラップの自由端部に、幅の狭い平行な折目を介して折返しフラップを連設し、その折返しフラップの先端に差込突起を設け、
一方、前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に、前記差込突起を掛け止め得るスリット(直線状切込)又はハーフカット線等の破断線を前記連接折目と平行な位置に設けることを特徴とする包装箱である。
【0007】
第2の発明は、段ボールを素材とし、前後側板及び左右側板の上縁から延出させた短い天面ショートフラップを重ね合わせることにより、中央に開口部を有するように天面が封緘される包装箱であって、
前記何れか一対の天面ショートフラップの自由端部に、幅の狭い平行な折目を介して折返しフラップを連設し、その折返しフラップの先端に差込突起を設け、
一方、前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に、前記連接折目と平行な位置に側板の内側を局部的に押し潰すことで前記差込突起が係合する凹陥部を設けることを特徴とする包装箱である。
【0008】
第3の発明は、前記破断線又は凹陥部は、前記天面ショートフラップの連接折目に沿う側板に、前記差込突起の長さ、厚み幅に対応して設けることを特徴とする請求項1また2の何れかに記載の包装箱である。
【0009】
第4の発明は、前後側板及び左右側板の下縁から延出させた長短の各一対の底板をテープ止めまたはホットメルト接着剤を用いて固定することで箱の底面を閉止するノンステープル封緘箱である第1または第2の発明の包装箱である。
【0010】
第5の発明は、長方形状を呈する底板をブランク中央に形成し、該底板の両長辺に折目を介して左右側板を連設し、前記底板の両短辺に折目を介して左右側板を連設してなる第1または第2の発明の包装箱である。
【発明の効果】
【0011】
このような包装箱においては、天面ショートフラップの自由端部に連接した折返しフラップを内側へ折曲げるだけで、その折返しフラップの先端に設けた差込突起が前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に設けたスリットに引っ掛かり、または前記連接折目付近の凹部に引っ掛かり、ロックされるのでステープル等の封緘材を使用しなくても、封緘状態を維持することができる。
【0012】
この発明の包装箱では、ブランクに差込孔を開けないので外観が綺麗であるとともに、切抜きカスをとる必要がなくステープル等の封緘材を使用しないので、解体作業が容易になり、荷役作業時のトラブルも防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図面はネギの包装箱として好適に使用できる段ボール箱を示したものである。
【0014】
図1のブランクに示すように、この段ボール箱は、前後左右の側面を構成する各一対の長側板1、3及び短側板2、4が交互に連設され、一方の長側板の外側縁に継代片5が連設されている。そして長側板1、3の下縁と、短側板2,4の下縁には、それぞれ底面を封止するための底フラップ6、8または7、9がそれぞれ連設されている。
各一対の長側板1、3及び短側板2、4の上縁には、それぞれ天面ショートフラップ10乃至13が連設されている。長側板1、3に連接した天面ショートフラップ10、12は、天面の中央部に略コの字型の切欠き開口部14、15が形成され、一方、短側板2、4に連接した天面ショートフラップ11と13の自由端には、幅の狭い平行な折目を介して折返しフラップ16、17を連設し、その折返しフラップの先端に差込突起18、19を設けている。
【0015】
折返しフラップ16、17は、天面ショートフラップ11、13に対して凸形状に突出されている。また折返しフラップ16、17の基端罫線は天面ショートフラップ11、13の連接折目と平行な折目となっている。折返しフラップ16、17は、組立て時に、長側板1、3に連接した天面ショートフラップ10、12に設けた開口部14、15内に折り込み、図2のa〜bに示したように、フラップ10、12と11、13とを組合せて、中央に開口部を有するように天面が封緘されるようになっている。
【0016】
一方、前記側板2と4の上部には、天面ショートフラップ11、13の内側に折り曲げた折返しフラップ16、17の差込突起18、19を掛け止め得る平行スリット(直線状切込)20a,20b、21a、21bを前記連接折目線の上、またはそれより若干低い位置に穿設して、前記差込突起18、19の長さ、厚み幅に対応して設ける。
この平行スリット20a,20b、21a、21bは、側板2、4を貫通するように形成させることを可とするが、図3aの(ニ)に例示したように貫通させずに、板の厚みの略半分ほどの深さに切込を入れたハーフカット線で形成してもよい。
【0017】
なお平行スリットは、2本のスリットのうちの1本(好ましくは下側の1本)は側板2、4を貫通するように穿設し、他の1本はハーフカット線として形成させると、天面ショートフラップの自由端部に連接したに設けた開口部14、15内に折曲げるだけで、その折返しフラップの先端に設けた差込突起は、図3(イ〜ニ)に示すように、2本の平行スリット間が外側に膨らんで変形するので、折返しフラップ16、17の差込突起18、19は、前記平行スリット間に形成される凹部Hに引つ掛ることとなり、ロックされるので、ステープル等の封緘材を使用しなくても、天面フラップを掴んだときに差込片の抜け出しが防止され、封緘状態を維持することができる。
【0018】
また、図4に示したように、前記平行スリット20a,20b間を加圧して、段ボールの段を局部的に押し潰すことで、差込突起が係合する凹部を形成しても良い。このようにしたときも差込突起18、19は段を局部的に押し潰して形成した凹部に引つ掛ることとなり、ステープル等の封緘材を使用しなくても、天面フラップを掴んだときに差込片の抜け出しが防止され、封緘状態を維持することができる。
【0019】
図1のブランクを組み立てるには、図2に示すように、一対の長側板1、3と短側板2、4を角筒をなすように折り曲げ、継代片5を短側板4に貼り付けて周壁を形成する。次に、長側板1、3に連接した天面ショートフラップ10、12を内側に折り、続いて、短側板2、4側の天面ショートフラップ11、13の内側に折返しフラップ16、17を折り曲げて、中央に開口部を有するように天面が封緘する。そして、箱内にネギを収納し、底面フラップ6,7、8、9を順次内側へ折り曲げ、これらを粘着テープ等で固定して底面を閉止する。
【0020】
このように折返しフラップの先端に設けた差込突起が前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に設けたスリットに引っ掛かり、または前記連接折目付近の凹部に引っ掛かり、ロックされるのでステープル等の封緘材を使用しなくても、封緘状態を維持することができる。
【0021】
また、差込突起とスリット、または凹部との係合を解除するだけで、容易に開封して解体することができるほか、廃棄した箱を回収して段ボールを再生する際、混入したステープル等の封緘材によりトラブルが発生することもない。
【0022】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。図5は、本発明の変形例を示す段ボールブランクであり、この段ボール箱は、長方形状を呈する底板30をブランク中央に形成し、該底板の両長辺に折目を介して左右側板31、32を連設し、前記底板の両短辺に折目を介して左右側板32、33を連設してなる。
この変形例においても、天面ショートフラップの自由端部に連接した折返しフラップを内側へ折曲げるだけで、その折返しフラップ36、37の先端に設けた差込突起38、39が前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に設けたスリット40、41に引っ掛かり、または前記連接折目付近の凹部に引っ掛かり、ロックされるのでステープル等の封緘材を使用しなくても、封緘状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】aはこの発明の一実施形態に係る箱のブランクを示す図、bは要部の拡大図である。
【図2】aは同上組立状態を示し、bは組立途中を示す斜視図である。
【図3】aは平行スリットの形成状態を示す説明図、bは差込突起とスリットの係合状態を示す説明図である。
【図4】段ボールを示す説明図
【図5】この発明の変形例のブランクを示す図である
【図6】従来のショートフラップ箱の封緘状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0024】
1、3 長側板
2、4 短側板
5 継代片
6〜9 底フラップ
10〜13、32〜35 天面ショートフラップ
14、15 開口部
16、17、36、37 折返しフラップ
18、19、38、39 差込突起
20a,20b,21a,21b 平行スリット
H 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールを素材とし、前後側板及び左右側板の上縁から延出させた短い天面ショートフラップを重ね合わせることにより、中央に開口部を有するように天面が封緘される包装箱であって、
前記何れか一対の天面ショートフラップの自由端部に、幅の狭い平行な折目を介して折返しフラップを連設し、その折返しフラップの先端に差込突起を設け、
一方、前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に、前記差込突起を掛け止め得るスリット(直線状切込)又はハーフカット線等の破断線を前記連接折目と平行な位置に設けることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
段ボールを素材とし、前後側板及び左右側板の上縁から延出させた短い天面ショートフラップを重ね合わせることにより、中央に開口部を有するように天面が封緘される包装箱であって、
前記何れか一対の天面ショートフラップの自由端部に、幅の狭い平行な折目を介して折返しフラップを連設し、その折返しフラップの先端に差込突起を設け、
一方、前記天面ショートフラップの連接折目付近の側板に、前記連接折目と平行な位置に側板の内側を局部的に押し潰すことで前記差込突起が係合する凹部を設けることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前記破断線又は凹陥部は、前記天面ショートフラップの連接折目に沿う側板に、前記差込突起の長さ、厚み幅に対応して設けることを特徴とする請求項1また2の何れかに記載の包装箱。
【請求項4】
前後側板及び左右側板の下縁から延出させた長短の各一対の底板をテープ止めまたはホットメルト接着剤で固定することで箱底面を閉止するノンステープル封緘箱である請求項1〜3の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
長方形状を呈する底板をブランク中央に形成し、該底板の両長辺に折目を介して左右側板を連設し、前記底板の両短辺に折目を介して左右側板を連設してなる請求項1〜3の何れか1項に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−253995(P2007−253995A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80351(P2006−80351)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(502356517)王子チヨダコンテナー株式会社 (66)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】