説明

ノンフライ即席麺類の製造方法

【課題】喫食時に麺線が所定時間内に良好に復元し、また、ほぐれ、食感等が良好なノンフライ即席麺類の製造方法及びこの方法により製造されるノンフライ即席麺類を提供すること。
【解決手段】小麦粉を主体とする穀粉原料に加水し混練して得られる麺帯を2枚以上合わせて複合する際に、その複合面に、ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒を散布して麺帯中に層状に介在させるようにし、その際、該ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒が前記麺帯の質量に対して0.5〜5質量%になるように調整し、以下常法によりノンフライ即席麺類を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンフライ即席麺類の製造方法に関する。詳細には、熱湯の注加のみによる湯戻しであっても喫食時に麺線が所定時間内に良好に復元し、ほぐれ、外観及び食感が良好なノンフライ即席麺類の製造方法に関する。より詳細には、麺帯中に特定量のゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒を層状に介在させるようにし、次いで常法に従ってノンフライ即席麺類を製造する方法及び当該方法により製造されるノンフライ即席麺類に関する。
【背景技術】
【0002】
中華麺、うどん等の即席麺類は、長期にわたって保存し得、また、簡便に喫食できるため、世界各国で多くの人々に食されている。この即席麺類については、熱湯の注加のみによる湯戻しの場合の問題点の解決、すなわち、短時間の復元性やほぐれ、外観、食感等、麺質の改善に対し種々の試みがなされている。特にノンフライ即席麺は、熱湯の注加のみによる湯戻し時の復元性が悪く、また食感が硬いといった問題の解決のために種々の提案がなされてきている。
【0003】
従来、熱湯の注加のみによる湯戻しの復元性(熱水復元性)に優れ、滑らかで良好な食感、風味を有するノンフライ即席麺を得るために、特定置換度のエーテル化澱粉又はエステル化澱粉の少なくとも1種に活性グルテンを添加する方法(例えば、特許文献1参照)、喫食時のほぐれ性、復元性、食味、食感が良好なノンフライ即席麺を得るために、特定の乳化剤からなる麺類品質改良剤を添加する方法(例えば、特許文献2参照)、迅速に湯戻しされ、しかも良好な食感の即席麺を得るために、特定量のトレハロースを添加する方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【0004】
一方、ゼラチン、コラーゲン又はコラーゲンペプチドを添加する技術として、小麦粉に対しコラーゲンペプチド及び低吸湿性増粘多糖類を混合した麺原料と水を混捏して麺塊を作製し、これを製麺してノンフライ即席麺を製造する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、この方法では、ノンフライ即席麺の喫食時のほぐれ性や復元性の問題は解消されない。また、穀粉を主原料として麺帯を形成し、この麺帯の少なくとも一方の表面に、動植物性蛋白質及び/又は増粘多糖類を主成分とする溶液を塗布し、この塗布面が内側になるように前記麺帯を接合させた後、圧延し、切断する麺類の製造方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この方法をノンフライ即席麺類の製造に適用しても、麺線の復元性や製麺適性の点で十分とはいえない。
【0005】
さらにまた、麺帯を層状に合せる際、合せ面に食品用接着剤を塗布(散布)して麺帯相互を接着させ、これを麺線に切出す麺類の製造方法(例えば、特許文献6参照)が知られている。しかしながら、特許文献6は、接着剤として特定量のゼラチン、コラーゲン又はコラーゲンペプチドを用いることを何ら記載していない。元来、ゼラチンは食品接着剤として知られているものの、粉末の状態では接着力を持たず、また、水蒸気やお湯など、水分がある状態で熱が掛かると接着が緩むこともまた知られており、この方法における食品接着剤に該当しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭62−40980号公報
【特許文献2】特開平10−215802号公報
【特許文献3】特開平7−213242号公報
【特許文献4】特開2004−344081号公報
【特許文献5】特開平8−23906号公報
【特許文献6】特開昭64−86850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、熱湯の注加のみによる湯戻しに時間が掛かるノンフライ即席麺類であっても、喫食時に麺線が所定時間内に良好に復元し、また、ほぐれ、食感等が良好となる、ノンフライ即席麺類の製造方法及びこの方法により製造されるノンフライ即席麺類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため種々検討を行った結果、麺帯中に特定量のゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒を層状に介在させるようにし、次いで常法に従って即席麺類を製造すると、得られる即席麺類の麺線の復元性、ほぐれ、外観及び食感等に顕著な効果を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は(1)小麦粉を主体とする穀粉原料に加水し混練して得られる麺帯を2枚以上合わせて複合する際に、その複合面に、ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒を散布して麺帯中に層状に介在させるようにし、その際、該ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒が前記麺帯の質量に対して0.5〜5質量%になるように調整し、以下常法によりノンフライ即席麺類を製造する方法や、(2)前記(1)記載の方法で製造されるノンフライ即席麺類に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明方法によれば、熱湯の注加のみによる湯戻しであっても喫食時に麺線が所定時間内に良好に復元し、また、ほぐれ性に優れ、外観が良好で、ソフトで歯切れのよい食感を有するノンフライ即席麺類を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のノンフライ即席麺類の製造方法としては、小麦粉を主体とする穀粉原料に加水し混練して得られる麺帯を2枚以上合わせて複合する際に、その複合面に、ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒を散布して麺帯中に層状に介在させるようにし、その際、該ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒が前記麺帯の質量に対して0.5〜5質量%になるように調整し、すなわち、麺帯100質量部に対して0.5〜5質量部となるように調整し、以下常法によりノンフライ即席麺類を製造する方法であれば特に制限されるものではない。以下、本発明のノンフライ即席麺類の製造方法を、各製造工程に従って説明する。
【0012】
本発明のノンフライ即席麺類の製造方法において、まず、小麦粉を主体とする穀粉原料に、加水し混練して麺生地を得て、得られた麺生地から麺帯を調製する。加水量は、通常、即席麺の製造において採用される範囲であれば特に問題はなく、穀粉原料100質量部に対して、30〜45質量部、好ましくは30〜40質量部の範囲である。また、混練条件は、即席麺類の製造において採用される条件であり、常圧下又は減圧下において、5〜20分間程度、混練すればよい。このように得られた麺生地から、常法に従って、例えば圧延又は押出等により麺帯を調製する。
【0013】
得られた麺帯を2枚以上合わせて複合する際に、その複合面にゼラチン、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドの粉末又は顆粒を散布して麺帯中に層状に介在させるようにし、その際、ゼラチン、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドの粉末又は顆粒が前記麺帯の質量に対して0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%になるように調整する。ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドの総量が0.5質量%未満であると、良好な復元性やほぐれ性といった効果が十分に奏されず、5質量%を超えて過剰に用いると、茹で伸びし易くなることで食感が低下したり、麺線が複合面で裂けてはがれ易くなったり、製麺適性が劣るようになるため好ましくない。本発明で用いるゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドの粉末又は顆粒としては、通常食品の製造に用いられるものであれば、魚や牛や豚などその由来も含め特に限定されず、いずれも市販品を用いることができるが、各種ゼラチン、コラーゲンペプチドの粉末又は顆粒がより好ましい。
【0014】
麺帯調製後、得られた麺帯を2枚以上合わせて複合を行う。複合は1回だけでもよいし、複数回行なってもよい。複合を複数回行なう場合、複合時にゼラチン、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドの粉末又は顆粒をさらに散布することもできる。複合を複数回行なうことにより、麺帯中にゼラチン、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドの粉末又は顆粒を複数の層状、例えば2〜5の層状に介在させることができる。次いで、複合した麺帯を常法に従って、所定の厚さまで圧延した後、所定の太さに切り出して生麺線を得る。このように得られた生麺線を蒸し上げる。この蒸し処理は、スチーマー等を用いて生麺線をアルファー化するために行うが、蒸し処理条件としては95℃以上の水蒸気で2〜10分間程度処理する方法を挙げることができる。
【0015】
次いで、蒸し上げた麺線は、熱風乾燥の工程に供する。熱風乾燥は、通常のノンフライ即席麺の熱風乾燥の条件で行えばよく、例えば型に詰めて90〜100℃の熱風で約25〜15分間乾燥する方法が挙げられる。
【0016】
本発明において、小麦粉を主体とする穀粉原料における小麦粉としては、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、デュラム小麦粉(セモリナを含む)が挙げられ、製造する麺類の種類等により適宜選択することができる。即席うどんや即席中華麺、即席焼きそば等では、薄力粉、中力粉、準強力粉が好ましく、中力粉がより好ましいが、即席スパゲティの場合には、デュラム小麦粉が好ましい。また、前述の小麦粉に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、小麦粉全粒粉、小麦粉以外の穀粉類、例えば大麦粉、そば粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、米粉、コーンフラワー、大豆粉などや、澱粉類を配合してもよい。当該澱粉類としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉などの澱粉及びこれらにα化、エーテル化、エステル化、リン酸架橋化、酸化処理などの処理を施した化工澱粉などが挙げられる。
【0017】
また、副原料として、食塩;かんすい;卵白粉、全卵粉等の卵粉;動植物油脂、乳化油脂、ショートニング等の油脂類;レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;炭酸塩、リン酸塩等の無機塩類;グルテン、大豆蛋白質、カゼイン等の蛋白質類;その他ソルビット、エチルアルコール、酵素剤等を例示することができる。
【0018】
なお、本発明におけるノンフライ即席麺類の種類としては、うどん、日本そば、きしめん、そうめん、ひやむぎ、中華麺、焼きそば、パスタなどを挙げることができる。
【実施例】
【0019】
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
(ノンフライ即席中華麺;ゼラチン散布量の検討)
〔実施例1〜4及び比較例1〜2〕
中力小麦粉(日清製粉製「特雀」)75質量部、馬鈴薯澱粉(松谷化学工業製「スタビローズ 1300」)25質量部を均一に混合した。食塩1質量部、赤かんすい(オリエンタル酵母製)0.4質量部を共に水35質量部に溶かした水溶液を調製し、上記穀粉原料に加えて常法によって10分間混捏して麺生地を作製した。続いて、この生地を製麺ロールを用いて麺帯とし、この麺帯を複合する際に、2枚の麺帯の間に顆粒状のゼラチン(新田ゼラチン製「ニューシルバー」)を麺帯の質量に対して表1に示す量で散布し、次いで複合、圧延して厚さを1.1mmにした後、18番の角の切り刃を用いて麺線に切り出した。切り出した麺線を温度100℃の蒸気で2分30秒間蒸し処理した後、90℃の熱風で25分間乾燥してノンフライ即席中華麺をそれぞれ製造した。なお、顆粒状のゼラチンを散布しないこと以外は実施例1と同様に製造したノンフライ即席中華麺を対照例1とした。
【0021】
実施例1〜4及び比較例1〜2のノンフライ即席中華麺70gに、450mlの沸騰水を注ぎ3分間かけて復元し、濃縮スープを入れた。このノンフライ即席中華麺の復元性、ほぐれ、外観、食感について、表2に示す評価基準に従って10名のパネラーによって評価した。得られた評価結果の平均値を表1に示す。なお、通常のノンフライ即席中華麺(対照例1)の復元時間は4分間であるが、本実施例では、本発明の効果を検証するために、ノンフライ即席中華麺の復元時間を3分間として評価を行った。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
表1に示すように、麺帯の質量に対して、顆粒状ゼラチンを0.5〜5質量%の量で散布して複合し、顆粒状ゼラチンを麺帯中に層状に介在させるようにした実施例1〜4のノンフライ即席中華麺は、復元性、ほぐれ、外観及び食感において対照例1のゼラチンを散布していないものに比べて顕著に優れていることがわかる。特に麺帯の質量に対し、ゼラチンをそれぞれ1質量%及び2質量%散布した実施例2及び3では、すべての評価項目において特に優れていることがわかる。一方、顆粒状ゼラチンの散布量が0.1質量%の比較例1では、顆粒状のゼラチンを散布していない対照例1と同程度であり、7質量%である比較例2では、復元性及びほぐれは良好であるが、外観及び食感がやや劣っていたことから、顆粒状ないし粉末ゼラチンの散布量として特に麺帯の質量に対して0.5〜5質量%となるように調整することが必要であることがわかる。
【0025】
(ノンフライ即席中華麺;その他の食品素材との比較検討)
〔実施例5及び比較例3〜6〕
実施例1と同様にして麺生地を作製した。この生地を、製麺ロールを用いて麺帯とし、この麺帯を複合する際に、2枚の麺帯の間にコラーゲンペプチド粉末(新田ゼラチン製「800F」)(実施例5)、コラーゲンペプチド以外の食品素材として、寒天粉末(比較例3)、カラギーナン粉末(比較例4)、グルコマンナン粉末(比較例5)又はペクチン粉末(比較例6)を、麺帯の質量に対して2質量%になるように散布して、麺帯中にこれらの層を介在させた。次いで、実施例1と同様にして各ノンフライ即席中華麺をそれぞれ製造した。なお、顆粒状のゼラチンを散布しないこと以外は実施例1と同様に製造したノンフライ即席中華麺を対照例1とした。また、参考として、顆粒状ゼラチンを散布した実施例3のノンフライ即席中華麺との比較も行った。
【0026】
得られたそれぞれのノンフライ即席中華麺70gを、450mlの沸騰水を注ぎ3分間かけて復元し、濃縮スープを入れた。このノンフライ即席中華麺の復元性、ほぐれ、外観、食感について、表2に示す評価基準に従って10名のパネラーによって評価した。得られた評価結果の平均値を表3に示す。
【0027】
【表3】

【0028】
表3に示すように、コラーゲンペプチド粉末(実施例5)及び顆粒状ゼラチン(実施例3)を麺帯中に層状に介在させたノンフライ即席中華麺では、復元性、ほぐれ、外観及び食感は、対照例1と比べて顕著に優れていることがわかる。一方、ゼラチンやコラーゲンペプチドの代わりに、寒天粉末(比較例3)、カラギーナン粉末(比較例4)、グルコマンナン粉末(比較例5)又はペクチン粉末(比較例6)を層状に介在させたノンフライ即席中華麺では、復元性、ほぐれ、外観及び食感は対照例1と同程度か、やや劣ることとがわかる。
【0029】
(ノンフライ即席うどん;ゼラチンを添加する態様に関する検討)
〔実施例6及び比較例7〜8〕
中力小麦粉(日清製粉製「特雀」)75質量部、馬鈴薯澱粉(松谷化学工業製「スタビローズ 1300」)25質量部を均一に混合した。この穀粉原料に、あらかじめ食塩1質量部を水35質量部に溶かした水溶液を加え、常法によって10分間混捏して麺生地を調製した。続いて、この麺生地を製麺ロールを用いて麺帯とし、この麺帯を複合する際に、2枚の麺帯の間にゼラチン粉末(新田ゼラチン製「#250」)を麺帯の質量に対して2質量%になるように散布し、次いで複合、圧延して厚さを1.2mmにした後、10番の角の切刃を用いて麺線に切り出した。切り出した麺線を温度100℃の蒸気で2分30秒間蒸し処理した後、90℃の熱風で25分間乾燥してノンフライ即席うどんを製造した。
【0030】
一方、ゼラチン粉末を散布する代わりに、ゼラチン粉末を水に溶解し、これを麺帯中のゼラチンの量が実施例6と同じになるように2枚の麺帯の複合面に塗布し、次いで実施例6と同様にしてノンフライ即席うどんを製造した(比較例7)。また、実施例6と同様に調製した麺生地に対して、麺帯中のゼラチンの量が実施例6と同じになるように、ゼラチン粉末2質量%を添加し、さらに混捏して、麺生地中にゼラチン粉末を分散させた。次いで、麺帯の間にゼラチン粉末を散布しないこと以外は実施例6と同様にしてノンフライ即席うどんを製造した(比較例8)。なお、ゼラチン粉末を散布しないこと以外は実施例6と同様に製造したノンフライ即席うどんを対照例2とした。
【0031】
それぞれのノンフライ即席うどん70gを入れた密封容器中に、450mlの沸騰水を注ぎ4分間かけて復元し、粉末スープを入れた。このノンフライ即席うどんの復元性、ほぐれ、外観、食感について、表2に示す評価基準に従って10名のパネラーによって評価した。得られた評価結果の平均値を表4に示す。なお、通常のノンフライ即席うどん(対照例2)の復元時間は5分間であるが、本実施例では、本発明の効果を検証するために、ノンフライ即席うどんの復元時間を4分間として評価を行った。
【0032】
【表4】

【0033】
表4に示すように、麺帯を複合する際に、ゼラチン粉末を散布して麺帯中に層状に介在させた実施例6では、復元性、ほぐれ、外観及び食感のいずれも顕著に優れていることがわかる。一方、ゼラチンを水溶液として麺帯の複合面に塗布した比較例7では、復元性、ほぐれ、外観及び食感は対照例2と同程度であった。これは、ゼラチンを水に溶解させた時点でゼラチンが膨潤したことと、麺帯の圧延時に塗布したゼラチン水溶液が一部はみ出てしまったことから、ゼラチンの効果が得られなかったことによるものと考えられる。また、ゼラチン粉末を穀粉原料に添加し、麺生地中にゼラチンを分散するよう存在させた比較例8では、復元性、ほぐれ、外観及び食感のいずれも対照例と同程度であった。これらのことから、ゼラチンは、麺帯を複合する際に、粉末の形態で散布して麺帯中に層状に介在させることが重要であることがわかる。
【0034】
(ノンフライ即席中華麺;介在ゼラチン層数の検討)
〔実施例7〜9〕
実施例1と同様にして麺帯を調製した。この麺帯を複合する際に、麺帯2枚の間にゼラチン粉末(新田ゼラチン製「#250」)を麺帯の質量に対して1質量%になるように散布して、麺帯中にこれらの層を介在させた後、複合を行った(実施例7)。この複合した麺帯2枚をさらに複合し、その際に表5に示す量になるようにゼラチン粉末を散布し、次いで複合して、麺帯中に3層のゼラチン粉末を介在させた複合麺帯(実施例8)とした。また、実施例7で調製した麺帯3枚をさらに複合し、その際に表5に示す量になるようにゼラチン粉末を散布し、ついで複合して、麺帯中に5層のゼラチン粉末を介在させた複合麺帯(実施例9)を得た。これらの複合麺帯をさらに圧延を行い、次いで実施例1と同様にして、ノンフライ即席中華麺をそれぞれ製造した。なお、ゼラチン粉末を散布しないこと以外は実施例7と同様に製造したノンフライ即席中華麺を対照例3とした。
【0035】
得られたそれぞれのノンフライ即席中華麺70gを、450mlの沸騰水を注ぎ3分間かけて復元し、濃縮スープを入れた。このノンフライ即席中華麺の復元性、ほぐれ、外観、食感について、表2に示す評価基準に従って10名のパネラーによって評価した。得られた評価結果の平均値を表5に示す。なお、通常のノンフライ即席中華麺(対照例3)の復元時間は4分間であるが、本実施例では、本発明の効果を検証するために、ノンフライ即席中華麺の復元時間を3分間として評価を行った。
【0036】
【表5】

【0037】
表5に示すように、麺帯中にゼラチン粉末を1層で介在させた実施例7のみならず、3層で介在させた実施例8、5層で介在させた実施例9のいずれにおいても、対照例3と比較して、復元性、ほぐれ、外観及び食感のいずれも優れていることがわかるが、ゼラチン粉末の層が増えるにつれて復元性とほぐれは評価がやや高くなる一方、外観と食感の評価はやや低くなることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉を主体とする穀粉原料に加水し混練して得られる麺帯を2枚以上合わせて複合する際に、その複合面に、ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒を散布して麺帯中に層状に介在させるようにし、その際、該ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選択される少なくとも1つの粉末又は顆粒が前記麺帯の質量に対して0.5〜5質量%になるように調整し、以下常法によりノンフライ即席麺類を製造する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法で製造されるノンフライ即席麺類。