説明

ノーズクッション及びノーズクッション付マスク

【課題】ズレないようすると共に肌に跡が残らないようにしたノーズクッションと、該ノーズクッションを貼着したノーズクッション付マスクを提供する。
【解決手段】ノーズクッション付マスク10は、マスク1の上端縁部近傍にノーズクッション11を貼着して構成されている。ノーズクッション11の顔面に接触する接触面11a側には、一対の円弧状の凸部12,12と、該凸部12,12に挟まれた凹部13が形成されている。該凹部13の中心13aは、カップ形状に形成されたマスク本体2の縦中心線Cと重なり合っている。そして接触面11aには、縦中心線Cから左右方向に延びる溝14が形成されている。マスク1を顔面に装着したとき、溝14は圧潰し、又は拡開する。これにより、溝14が潰れていない場合と比べて肌に接する面積を相対的に広くすることができるので、単位面積当たりの押圧力を小さくし、肌との間の摩擦力を大きくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口と鼻を一体的に覆うマスクを顔面に装着したとき、小鼻脇に形成された隙間を埋めるために、該マスクの上端縁部近傍に取り付けるノーズクッションと、該ノーズクッションを取り付けたノーズクッション付マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口と鼻を一体的に覆うように形成されたマスクがある。該マスクを顔面に装着したとき、マスクの上端縁部と顔面との間、特に小鼻脇に隙間が生じる。該隙間は塵埃が侵入するおそれがあり、或いは、呼気が漏出するおそれがある。
実用新案登録第3112218号に開示されているマスクは、該マスクの内側面上端に可撓性を備えた海綿体からなる横長のアタッチメントが取り付けられている。該アタッチメントは、長手方向に沿って一対の波型状の凸部が形成されている。該凸部が小鼻脇の窪みに当接することにより、顔面とマスクとの間に生じた隙間を埋めることができる。これにより、塵埃の侵入を防止し、呼気の漏出を防止している。
さらに、特許第4471966号に開示されている緩衝材は、ポリオレフィン系樹脂を発泡させてスポンジ状に形成されている。該緩衝材は、上記のアタッチメントに適度な柔軟性と通気性を持たせたものである。これにより、アタッチメントの折れ皺によって隙間が生じることを防止し、湿気を多く含んだ呼気がマスクを曇らせることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3112218号公報
【特許文献2】特許第4471966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のアタッチメントは、マスクを装着したとき、斜めに顔面に当接し、面で接触せずにスポンジの角が肌に接触するおそれがある。このとき、斜めに当接しているスポンジが復原する過程で、マスク本体がズレるおそれがある。
また、耳掛紐で引っ張られて、顔面に強く押し付けられているアタッチメントは、反発力が強くなるので、該マスクを長時間に亘って使用した後には、アタッチメントの跡が肌に残るおそれがある。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ズレないようすると共に肌に跡が残らないようにしたノーズクッションと、該ノーズクッションを貼着したノーズクッション付マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のノーズクッションは、可撓性を備えた横長のスポンジ材からなり、口と鼻を一体的に覆うマスク本体の内側上端近傍で、該マスク本体の縦中心線に対して左右対称に貼着されるノーズクッションであって、
前記マスク本体に前記ノーズクッションを貼着したとき、前記マスク本体の縦中心線から左右方向に延びる少なくとも1本の溝を、顔面と接触する接触面に設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のノーズクッションは、請求項1に記載の発明において、前記溝の幅が、前記マスク本体の縦中心線から外側に向かって次第に狭くなるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のノーズクッションは、請求項1に記載の発明において、前記溝の幅が、前記マスク本体の縦中心線から外側に向かって次第に広くなるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のノーズクッションは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記マスク本体の縦中心線に対して左右対称となるように、円弧状に形成された一対の凸部を前記接触面に設け、
該凸部の頂部が前記マスク本体の縦中心線寄りに配されるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載のノーズクッション付マスクは、口と鼻を一体的に覆うマスク本体と、
該マスク本体の両側縁にそれぞれ配された耳掛紐と、
可撓性を備えた横長のスポンジ材からなり、前記マスク本体の内側上端近傍で、該マスク本体の縦中心線に対して左右対称に貼着されるノーズクッションと、からなるノーズクッション付マスクであって、
前記ノーズクッションが、前記マスク本体の縦中心線から左右方向に延びる少なくとも1本の溝を、顔面と接触する接触面に有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載のノーズクッション付マスクは、請求項5に記載の発明において、前記ノーズクッションが、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のノーズクッションであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のノーズクッションによれば、ノーズクッションの顔面と接触する接触面に少なくとも一本の溝を設けた。そして、マスクを装着したとき、該溝は圧潰し、又は拡開する。
これにより、ノーズクッションの上下側面或いは、溝の側面が顔面に接触するようになるので、ノーズクッションが顔面に接触する面積を広くすることができる。
そのため、ノーズクッションの単位面積当たりの圧力を弱くすることができるので、マスクの使用後にノーズクッションの跡が肌に残らないようにすることができる。
一方、接触面積を広くしたことにより、ノーズクッションと肌との間の摩擦力が大きくなるので、マスクがズレることを防止することができる。
さらに、市販されている従来のマスクにノーズクッションを接着剤によって接着すれば、ノーズクッション付のマスクを容易に形成することができる。
【0013】
請求項2に記載のノーズクッションによれば、ノーズクッションの接触面に設けた溝の幅を、中心から両端に向かって次第に狭くなるようにした。そして、マスクを装着したとき、該溝は、鼻梁に対向する部分がより容易に拡開する。
これにより、ノーズクッションの鼻梁部分に接している面積を広くすることができ、単位面積当たりの圧力を弱くすることができる。そして、ノーズクッションを鼻の軟骨で支持することができるので、ノーズクッションの跡が肌に残らないようにすることができる。
【0014】
請求項3に記載のノーズクッションによれば、溝の幅を中心から外側に向かって次第に広くなるようにした。そのため、マスクを装着したとき、マスクと両頬近傍との間に生じる隙間へ断面が楔状に形成されたノーズクッションの外側端部を差し込むようにすることができる。これにより、マスクと頬部分の密着度を高めて、摩擦力を大きくすることができるので、マスクがズレることを防止することができる。
【0015】
請求項4に記載のノーズクッションによれば、マスク本体の縦中心線に対して左右対称となるように円弧状に形成された凸部を顔面に接触する接触面に設けた。これにより、鼻梁から両頬に亘る窪みにノーズクッションを密着させることができる。また、凸部の頂部をマスク本体の縦中心線寄りに配したことにより、上記の窪みが最も深くなる小鼻脇をノーズクッションで埋めることができる。
さらに、マスク本体の縦中心線と一致するノーズクッションの中心に対向するように、鼻梁を合わせたとき、マスク本体の縦中心線側の凸部側面が両側から鼻柱を挟持する。これにより、ノーズクッションのフィット感を高めることができる。
そして、ノーズクッションの接触面に設けた溝と共に、顔面の形状に合わせてノーズクッションを立体的に接触させることができる。ノーズクッションを立体的に広く接触させることができるので、単位面積当たりの圧力を弱くすることができ、ノーズクッションの跡を肌に残さないようにすることができる。
【0016】
請求項5に記載のノーズクッション付マスクによれば、溝を設けてフィット感を高めたノーズクッションを貼着したマスクを提供することができる。
このとき、接着剤によらず、ノーズクッションをマスク本体に熱溶着させることにより、ノーズクッションをマスク本体に固定することができる。
【0017】
請求項6に記載のノーズクッション付マスクによれば、マスクに貼着したノーズクッションを請求項2乃至請求項4のいずれかに記載したノーズクッションとした。これにより、マスク本体に取り付けたノーズクッションは、上記のような効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施例に係るノーズクッションと該ノーズクッションを貼着したマスクの全体の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】第1実施例に係るノーズクッションの構成の概略を示す斜視図である。
【図3】第1実施例に係るノーズクッションと該ノーズクッションを貼着した他のマスクの全体の構成の概略を示す斜視図である。
【図4】第2実施例に係るノーズクッションの構成の概略を示す斜視図である。
【図5】第3実施例に係るノーズクッションの構成の概略を示す斜視図である。
【図6】第4実施例に係るノーズクッションと該ノーズクッションを貼着したマスクの構成の概略を示す斜視図である。
【実施例1】
【0019】
本発明に係るノーズクッション付マスクの実施例を添付した図面にしたがって、説明する。
図1は、ノーズクッションと該ノーズクッションを取り付けたノーズクッション付マスクの構成の概略を示す斜視図である。
【0020】
ノーズクッション付マスク10は、マスク1と、該マスク1に貼着されたノーズクッション11とからなる。
マスク1は、図1に示すように、マスク本体2と耳掛紐3,3とからなる。マスク本体2は、少なくとも表側に配された不織布と裏側に配されたガーゼからなる2層以上の積層体からなり、略扇形状に形成された右マスク4と左マスク5とから形成されている。左右マスク4,5の扇端縁部4a,5aの円弧を縫着或いは熱溶着して、略扇形状の袋体を形成し、該袋体の口部、すなわちマスク本体2の両端に、耳掛紐3,3が、縫着或いは熱溶着によってそれぞれ取り付けられている。
そして、マスク1を拡開したとき、マスク本体2の縦中心線Cにあたる扇端縁部4a,5aの接合部を中心としてマスク本体2は、口と鼻を一体的に覆うことができる立体的なカップ形状に形成される。
ここで、本実施例において、カップ形状を備えた立体マスクを示したが、マスク本体2の形状はこれに限定されるものではなく、複数のプリーツを備え、該プリーツを拡開したときにカップ形状に展開される立体マスクであっても良い。また、立体マスクでなく、長方形状のガーゼ等を複数枚積層してなる従来の平面マスクであっても良い。
【0021】
ノーズクッション11は、図1及び図2に示すように、横長のスポンジ材からなり、マスク1を装着したとき、顔面に接する接触面11aを有している。
接触面11aには、円弧状に形成された一対の凸部12,12と、該凸部に挟まれた凹部13が形成されている。
該凹部13の中心13aは、マスク本体2の縦中心線Cと一致し、該凹部13を中心として左右対称となるように凸部12,12が配置されている。
接触面11aには、マスク本体2の縦中心線Cから左右方向に延びる一本の溝14が形成されている。該溝14の幅は、左端から右端まで一定に形成されている。
ここで、接触面11aには、一本の溝14が形成されているが、これに限定されるものではなく、複数の溝を形成しても良い。
【0022】
ノーズクッション10は、ポリエチレン系の合成樹脂を発泡させた発泡樹脂材からなる。該発泡樹脂材の発泡倍率は約7倍から約10倍であって、好ましくは約8倍の発泡倍率で形成されている。発泡倍率が約7倍よりも低いと発泡後の泡が小さくなるので、密閉性が高くなり、通気性が阻害されるおそれがある。また、発泡倍率が約10倍よりも高いと発泡後の泡が大きくなるので、通気性が高くなり、塵埃が侵入し、或いは呼気が漏出するおそれがある。
また、発泡倍率が約7倍から約10倍としたため、ノーズクッション10は、やや小さめの泡が連接する密度の高い硬めのスポンジ材から形成されることになるが、溝14の幅を変えたり、或いは複数本の溝14を形成することによって、通気性と密閉性のバランスを容易に調整することができる。
【0023】
接触面11aの反対側には貼着面(図示略)が形成されている。該貼着面を介して、ノーズクッション10は、マスク本体2の上端縁部近傍に、上縁部に沿って接着剤、或いは、熱溶着や縫着によって取り付けられている。
接着剤で取り付ける場合には、貼着面にパラフィン紙等からなる剥離紙を貼付しても良い。この場合には、ノーズクッション単体で流通可能とすることができる。
熱溶着や縫着で取り付ける場合には、ノーズクッション10をマスク本体2に固定することができ、マスク1の使用中に、ノーズクッション10がマスク本体2から剥がれてしまうことを防止することができる。
【0024】
上記の構成を有するノーズクッション付マスク10は、以下のように使用される。添付した図面にしたがって説明する。
【0025】
ノーズクッション付マスク10は、図1に示すように、マスク本体2の上端縁部近傍にノーズクッション10の貼着面を対向させて、接着剤、又は熱溶着や縫着によって貼着する。このとき、マスク本体2の縦中心線Cとノーズクッション10の凹部中心13aが一致し、マスク本体2の上端縁とノーズクッション10の貼着面の上縁とを略平行にして貼着する。
【0026】
マスク1を拡開したとき、マスク本体2はカップ形状に形成され、該マスク本体2が口及び鼻を覆うように被せてから耳に耳掛紐3,3を掛けて使用される。
このとき、ノーズクッション10の凸部12,12の凹部13側の側面が、鼻柱を挟持する。また、耳掛紐3,3によって顔面にマスク本体2が引き寄せられたとき、溝14は、圧潰する。これにより、ノーズクッションの上下側面、若しくは溝14の壁面が、鼻柱及び頬付近に密着する。このとき、肌に接触する面積は、接触面11aよりも広くなるので、単位面積当たりの圧力は、溝14が無い場合よりも小さくなる。そのため、ノーズクッション10の肌への圧力は相対的に小さくなるので、ノーズクッション付マスク10の使用後に、鼻及び頬付近にノーズクッション10の跡が残ることを防ぐことができる。
さらに、溝14が圧潰し、接触面を広くすることができるので、相対的に摩擦力を大きくすることができる。そのため、ノーズクッション10がズレることを防止することができ、ノーズクッション10が固定されているマスク本体2がズレることを防止することができる。
【0027】
一方、市販されている従来のマスク1Aを図3に示す。
マスク1Aは、長方形状の不織布を複数枚積層したマスク本体2Aと、該マスク本体の両端に取り付けられた耳掛紐3A、3Aとからなる。
そして、図2に示したノーズクッション11は、上述したように貼着面に接着剤が塗布され、剥離紙が貼付されている。そのため、ノーズクッション11は単体で流通させることができる。
該ノーズクッション11の凹部13の中心13aが、マスク1Aの縦中心線C1と一致するように、ノーズクッション11をマスク1Aに貼り付ける。これにより、市販品のマスク1Aを流用したノーズクッション付マスク10Aを形成することができる。
【実施例2】
【0028】
次に第2実施例に係るノーズクッション11Bを添付した図にしたがって説明する。
図4は、第2実施例に係るノーズクッション11Bの構成の概略を示した斜視図である。
【0029】
ノーズクッション11Bは、接触面11aに一対の円弧状の凸部12,12が凹部13を挟んで左右対称に配されている。該構成は第1実施例と同様であるので説明を省略する。
接触面11aに形成される溝14Aは、凹部13の中央13aから両端に向かって次第に幅が狭くなるように形成されている。
これにより、例えば図1に示したマスク1のマスク本体2へノーズクッション11Bを取り付けて、該マスク1を顔面に装着したとき、凹部13側に形成された幅広の溝14Aは容易に拡開する。そして、溝14Aが拡開すると、略菱形状にノーズクッション11Bが広がることになるので、幅広側の溝14Aの壁面が鼻梁に接し、単位面積当たりの圧力を小さくすることができる。これにより、圧迫感を軽減すると共に、接触面積を広くすることができるので、フィット感を高めることができる。さらに、接触面積を広くすると摩擦力が大きくなるので、ノーズクッション11Bのズレを防止することができ、該ノーズクッション11Bが固定されたマスク本体2のズレも防止することができる。
【実施例3】
【0030】
次に第3実施例に係るノーズクッション11Cを添付した図にしたがって説明する。
図5は、第3実施例に係るノーズクッション11Cの構成の概略を示した斜視図である。
【0031】
ノーズクッション11Cは、接触面11aに一対の円弧状の凸部12,12が凹部13を挟んで左右対称に配されている。該構成は第1実施例と同様であるので説明を省略する。
接触面11aに形成される溝14Bは、凹部13の中央13aから両端に向かって次第に幅が広くなるように形成されている。そして、ノーズクッション11Cの両端は断面が楔状となるように形成されている。
これにより、例えば図1に示したマスク1のマスク本体2へノーズクッション11Bを取り付けて、該マスク1を顔面に装着したとき、ノーズクッション11Cの両端が、マスク本体2と頬との間に差し込まれるように配され、圧迫感を軽減すると共に、接触面積を広くすることができるので、フィット感を高めることができる。さらに、接触面積を広くすると摩擦力が大きくなるので、ノーズクッションのズレを防止することができ、該ノーズクッションが固定されたマスク本体2のズレも防止することができる。
一方、凹部中心13aに近い凸部12,12の斜面はクッションが厚くなっているので、潰れ難い。
これにより、凸部12,12の斜面は鼻柱をしっかりと挟持することができるので、マスク本体2がズレることを防止することができる。
【実施例4】
【0032】
次に第4実施例に係るノーズクッション11Dと、該ノーズクッション11Dを貼着したノーズクッション付マスク10Bを添付した図面にしたがって説明する。
図6は、第4実施例に係るノーズクッション11Dと、該ノーズクッション11Dを貼着したノーズクッション付マスク10Bの構成の概略を示した斜視図である。
【0033】
マスク1Aは、上記の図3に示した従来のマスク1Aと同一の構成を有するので、説明を省略する。
ノーズクッション11Dは、図6に示すように、横長の平板状に形成されたスポンジ材からなる。スポンジの素材は、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
ノーズクッション11Dが、顔面に接触する接触面11bには、マスク1Aの縦中心線C1から左右方向に延びる一本の溝14Cが形成されている。
そして、ノーズクッション11Dは、マスク1Aの上端縁部とノーズクッション11Dの上縁が略平行となるように、マスク1Aの上端縁部近傍へ貼着されてノーズクッション付マスク10Bが形成されている。
【0034】
上記の構成を有するノーズクッション付マスク10Bは、装着したとき、ノーズクッション11Dが鼻柱を中心に左右対称となるように頬付近に配される。
この場合、ノーズクッション11Dの鼻柱と対向する部分と、頬骨より外側のマスクと肌との隙間が狭い部分とが圧潰し、小鼻脇の窪み部分は、潰れずにそのままの形状が保持される。そのため、ノーズクッション11Dは、部分毎にその変形度合いが異なり、頬付近に密接する。そのため、鼻柱に対向する部分は圧潰し、溝14Cの側面で広く鼻柱に接するので、単位面積当たりの圧力を、溝14Cが潰れない場合と比べて相対的に小さくすることができるので、肌にノーズクッション11Dの跡が残らないようにすることができる。また、頬とマスクとの隙間は、圧潰したノーズクッション11Dの両端を楔状に差し込むことができるので、隙間を埋めることができる。そして溝14Cが圧潰することによって、顔面に広く接することとなった鼻柱に対向する部分と頬付近の部分は、溝14Cが潰れていない場合と比べて相対的に摩擦力が大きくなっていることから、マスク本体2Aのズレを防止することができる。
さらに、圧潰した溝14Cはノーズクッション11Dの両端から、小鼻脇の窪みに向かって漸次立ち上がり、マスクと頬上部との間に生じた隙間を効率良く埋めることができる。
【0035】
本実施例に係るノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dによれば、マスク1,1Aを装着したとき、接触面11aに形成した溝14,14A,14B,14Cはマスク本体2,2Aによって圧潰する。この場合、肌に接触する面積を溝14,14A,14B,14Cが潰れない場合と比べて相対的に広くすることができる。
これにより、肌にかかる単位面積当たりの圧力を小さくすることができるから、ノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dの肌への当たりが柔らかいのでフィット感に優れ、マスク1,1Aの装着後にノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dの跡が肌に残ることを防止することができる。
また、接触する面積を相対的に広くしたことにより、ノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dの摩擦力を溝14,14A,14B,14Cが潰れない場合と比べて相対的に大きくすることができる。これにより、ノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dが固定されているマスク本体2,2Aがズレることを防止することができる。
【0036】
本実施例に係るノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dは、マスク1,1Aと顔面との間に生じる隙間を埋めると共に、合成樹脂からなる泡が高密度で密集するように形成されているので、マスク本体2,2Aが覆われた顔下半分の空間の密閉性を高くすることができる。
また、ノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dは、溝14,14A,14B,14Cを有している。該溝には空気が滞留し、該空気は湿気を多く含む呼気と混合され、呼気の下げて排出することができる。これにより、呼気が眼鏡を曇らせることを防止することができる。
【0037】
また、本実施例に係るノーズクッション11,11A,11B,11C,11Dは、左右の凸部12,12を連接して形成したが、これに限定されるものでは無く、左右それぞれ独立してマスク本体2,2Aの上端縁部近傍へ、マスク本体2,2Aの縦中心線C、C1を中心として左右対称となるように取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1…マスク、2,2A…マスク本体、3…耳掛紐、4…右マスク、4a…右マスクの扇端縁部、5…左マスク、5a…左マスクの扇端縁部、C,C1…マスク本体の縦中心線
10…ノーズクッション付マスク、
11,11A,11B,11C,11D…ノーズクッション、
12…凸部、13…凹部、13a…凹部中心、
14,14A,14B,14C…溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を備えた横長のスポンジ材からなり、口と鼻を一体的に覆うマスク本体の内側上端近傍で、該マスク本体の縦中心線に対して左右対称に貼着されるノーズクッションであって、
前記マスク本体に前記ノーズクッションを貼着したとき、前記マスク本体の縦中心線から左右方向に延びる少なくとも1本の溝を、顔面と接触する接触面に設けたことを特徴とするノーズクッション。
【請求項2】
前記溝の幅が、前記マスク本体の縦中心線から外側に向かって次第に狭くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のノーズクッション。
【請求項3】
前記溝の幅が、前記マスク本体の縦中心線から外側に向かって次第に広くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のノーズクッション。
【請求項4】
前記マスク本体の縦中心線に対して左右対称となるように、円弧状に形成された一対の凸部を前記接触面に設け、
該凸部の頂部が前記マスク本体の縦中心線寄りに配されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のノーズクッション。
【請求項5】
口と鼻を一体的に覆うマスク本体と、
該マスク本体の両側縁にそれぞれ配された耳掛紐と、
可撓性を備えた横長のスポンジ材からなり、前記マスク本体の内側上端近傍で、該マスク本体の縦中心線に対して左右対称に貼着されるノーズクッションと、からなるノーズクッション付マスクであって、
前記ノーズクッションが、前記マスク本体の縦中心線から左右方向に延びる少なくとも1本の溝を、顔面と接触する接触面に有することを特徴とするノーズクッション付マスク。
【請求項6】
前記ノーズクッションが、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のノーズクッションであることを特徴とする請求項5に記載のノーズクッション付マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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