説明

ノード装置

【課題】ノード装置をネットワークに新規参入させる場合に、参入済みの他のノード装置に余分な負荷を与えず、処理速度や通信速度に悪影響を及ぼすことのないようにする。
【解決手段】ノード装置1は、他のノード装置から受信されるパケットに含まれるノードIDを所定期間にわたって抽出するパケット観測機能部14と、その抽出された他のノード装置のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無をチェックしてネットワークへの参入可否判定を行なう参入判定機能部15と、この参入判定機能部15で参入可能と判定されるまでは、受信するパケットを他のノード装置に送る一方、参入可能と判定された後は、受信するパケットをパケット送受信制御部13に送り、またパケット送受信制御部13からのパケットを他のノード装置に送るネットワーク参入制御部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して互いにリング状に接続されてネットワークシステムを構成する場合に適用されるノード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のノード装置をネットワークを介して互いにリング状に接続して構成されたネットワークシステムにおいては、システム拡張のためにノード装置を新たに追加したり、ノード装置を移設したり、またノード装置の故障により装置を交換したりすることが必要となる。この場合、電力関係や交通関係といった公共性の高いインフラに対して適用されるときには、ネットワークシステムは常時稼働が要求されるため、ノード装置の追加、移設、交換の際にはネットワークを長期間切断することができず、できるだけ短時間の内にノード装置を参入させることが要求される。
【0003】
そのため、従来技術では、次のような提案がなされている(例えば、下記の特許文献1参照)。
図10は、複数のノード装置1(♯1〜♯4)をネットワーク3を介して互いにリング状に接続してネットワークシステムを構成する場合において、既にネットワーク参入済みのノード装置(#1〜#3)に対して、新たに一つのノード装置(#4)が参入しようとしている様子を表わしたものである。
【0004】
新規参入予定のノード装置1(♯4)は、ネットワーク3に接続された時点では、受信されるパケットを他のノード装置1(♯1〜♯3)にバイパスさせる待機状態になる。この待機状態で、新規参入するノード装置1(♯4)は、自装置に予め設定されたノードIDを含む参入要求パケットをネットワーク3に送信する。
【0005】
ネットワーク3に参入済みの他ノード装置1(♯1〜♯3)は、受信した参入要求パケットに含まれるノードIDを抽出し、このノードIDが自装置に設定されたのと同じノードIDである場合には、当該参入要求パケットにエラービットを立てて送信する。新規参入予定のノード装置1(♯4)は、リングを一周して帰ってきた参入要求パケットにエラービットが立っていなければ、待機状態を解除してパケットの送受信が可能な状態にして、その設定されたノードIDでもってネットワークに参入する。
【0006】
一方、一周して帰ってきた参入要求パケットにエラービットが立っておれば、ネットワーク参入済みの他のノード装置1(♯1〜♯3)に同じノードIDが既に存在するものと判断してパケットをバイパスさせる待機状態をそのまま維持する。
【0007】
その後、新規参入予定のノード装置1(♯4)において、ノードIDを変更した場合、一周して帰ってきた参入要求パケットにエラービットが立っていなければ待機状態が解除され、変更後のノードIDでもってネットワーク3に参入することになる。
【0008】
【特許文献1】特開平10−276198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、特許文献1に記載された従来技術では、新規参入予定のノード装置1(♯4)は、ネットワーク3に接続された時点で、自装置に設定されたノードIDを含む参入要求パケットをネットワーク3に送信し、そのパケットに含まれるノードIDをネットワーク参入済みの他のノード装置1(♯1〜♯3)がチェックすることでノードIDの重複の有無をチェックして参入の可否を判定するようにしている。
【0010】
しかし、従来のように、ノードIDの重複チェックをネットワーク3へ参入済みの他のノード装置1(♯1〜♯3)行わせるようにすると、参入済みのノード装置に対する負荷が余分に増加し、このため、参入済みの他のノード装置の処理速度やネットワークの通信速度に悪影響を与えてしまっていた。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ネットワークに新規参入させる場合に、参入済みの他のノード装置に余分な負荷を与えることがなくて、ノード装置の処理速度やネットワークの通信速度に悪影響を及ぼすことのないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明にあっては、ネットワークを介して互いに接続されてリング型のネットワークシステムを構成するためのノード装置において、次の構成を採用している。
【0013】
すなわち、本発明では、少なくとも自己のノードID、送信先アドレス、および制御用データを含む送信用のパケットを生成する転送制御部と、上記転送制御部により生成されたパケットを上記ネットワークに送信すると共に、他のノード装置から受信したパケットに含まれる送信先アドレスが自己のアドレスと一致する場合には当該パケットを取り込むパケット送受信制御部と、他のノード装置から受信されるパケットに含まれるノードIDを所定期間にわたって抽出するパケット観測機能部と、そのパケット観測機能部で抽出された他のノード装置のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無をチェックしてネットワークへの参入可否判定を行なう参入判定機能部と、この参入判定機能部で参入可能と判定されるまでは、受信するパケットを他のノード装置に送り、上記参入判定機能部で参入可能と判定された後は、受信するパケットを上記パケット送受信制御部に送り、またパケット送受信制御部からのパケットを他のノード装置に送るネットワーク参入制御部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るノード装置は、ネットワーク新規参入時において、ネットワーク参入済みの他ノード装置にノードIDの重複チェックを行わせるのではなく、専ら新規参入するノード装置において、他のノード装置から送られてくるパケットを分析することでノードIDの重複チェックを実施するので、参入済みの他のノード装置に対して余分な負荷を与えることがない。このため、参入済みの他のノード装置の処理速度やネットワークの通信速度に悪影響を与えるなどの不具合発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1におけるノード装置を備えたネットワークシステムの全体を示す構成図、図2はこの実施の形態1におけるノード装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
この実施の形態1では、複数のノード装置1(#1〜#4)を備え、これら各ノード装置1にはパーソナルコンピュータ等からなる制御用の端末2が個別に接続されるとともに、各ノード装置1がネットワーク3を介して互いにリング状に接続されてリング型のネットワークシステムが構成されている。なお、ここでは、ネットワーク3として光ファイバや電線などの有線のものが使用されているが、無線のものであってもよい。また、ネットワーク3に接続されるノード装置1は、図示した台数のものに限定されるものではない。
【0017】
各ノード装置1(#1〜#4)は、基本的に同じ構成を有しているので、ここでは、一つのノード装置1(#1)に着目してその構成の詳細について説明する。
【0018】
このノード装置1は、メモリ制御部10、ローカルメモリ部11、転送制御部12、パケット送受信制御部13、パケット観測機能部14、参入判定機能部15、ネットワーク参入制御部16、およびRAS部17を備えている。
【0019】
メモリ制御部10は、端末2からの命令に応じてローカルメモリ部11へのアクセスを行なうと共に、受信したパケットに応じてそのローカルメモリ部11へのアクセスを行なうものである。
【0020】
転送制御部12は、端末2からの命令に応じて、自己のノードID、送信先アドレス、および制御用データ等を含む送信用のパケットを生成するとともに、受信したパケットが有効なパケットである場合にはメモリ制御部10にその受信したパケットを出力するものである。なお、ネットワーク3に新規参入する際には端末2からの命令によってノードIDが設定され、このノードIDの情報が転送制御部12および参入判定機能部15に与えられる。
【0021】
パケット送受信制御部13は、転送制御部12により生成されたパケットをネットワーク3に送信すると共に、他のノード装置1から受信したパケットに含まれる送信先アドレスが自己のアドレスと一致する場合には当該パケットを取り込んで転送制御部12に出力するものである。
【0022】
パケット観測機能部14は、他のノード装置1から受信したパケットに含まれるノードIDを所定期間にわたって抽出するものである。この場合の所定期間とは、少なくともネットワーク3に参加済みの他のノード装置1の全てがパケットを出力すると想定されるネットワーク更新周期以上の期間となるように設定されている。
【0023】
参入判定機能部15は、パケット観測機能部14で抽出された他のノード装置1のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無をチェックしてネットワーク3への参入可否判定を行なうものである。
【0024】
ネットワーク参入制御部16は、参入判定機能部15で参入可能と判定されるまでは、受信するパケットを他のノード装置1に転送する、いわゆるバイパス状態を維持する一方、参入可能と判定された後は、バイパス状態を解除して、受信するパケットをパケット送受信制御部13に送るとともに、パケット送受信制御部13からのパケットを他のノード装置1に送るものである。
【0025】
RAS部17は、ノード装置1の状態を診断監視し、電源断を含む障害発生時にはネットワーク参入制御部16に対して、受信されるパケットを他のノード装置にバイパスする待機状態に強制的に移行するための切り替え信号を出力するものである。
【0026】
ここで、符合#1〜#3で示すノード装置1は既にネットワーク3に参入済みのもの、符合#4で示すノード装置1がネットワーク3に新規参入される予定のものとした場合において、新規参入予定のノード装置1(♯4)の動作について、図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0027】
新規参入予定のノード装置1(♯4)は、ネットワーク3に接続された時点では、受信されるパケットを他のノード装置1にバイパスさせる待機状態になる。この待機状態で、ネットワーク3に既に接続されている他ノード装置1のパケットをバイパスしながら、パケット観測機能部14において他ノードのノードIDを一定期間(チェック期間:t1)に渡って抽出する。この場合のチェック期間t1は、少なくともネットワーク3に参加済みの他のノード装置1の全てがパケットを出力すると想定されるネットワーク更新周期以上の期間となるように予め設定されているので、チェック期間t1が経過した時点では、ネットワーク3に参入済みの他のノード装置1(♯1〜♯3)の全てのノードIDが抽出されていることになる。
【0028】
そこで、次に参入判定機能部15は、パケット観測機能部14で抽出された他のノード装置1のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無をチェックして参入可否判定を行なう(判定期間t2)。そして、その判定結果をネットワーク参入制御部16に与える。
【0029】
ネットワーク参入制御部16は、参入判定機能部15で自他のノードIDの重複が無くて参入可能と判定された場合には、パケットをバイパスする待機状態を解除するとともに、パケット送受信制御部13に対してパケットの送受信許可を与える。これにより、新規参入予定のノード装置1は、パケットの送受信が可能となり、ネットワーク3に実際に参入することになる。
【0030】
一方、参入不可と判定された場合、ネットワーク参入制御部16は、受信されるパケットを他のノード装置1にバイパスする待機状態を維持する。この待機状態で、その後に端末2からの命令によってノードIDを変更した結果、参入判定機能部15によって参入可能と判定された場合には、パケットのバイパス状態が解除されてパケットの送受信が可能となり、変更後のノードIDでもってネットワーク3に参入することになる。
【0031】
なお、ネットワーク参入後、転送制御部12は、端末2からの命令に応じて、自己のノードID、送信先アドレス、および制御用データ等を含む送信用のパケットを生成する。そして、パケット送受信制御部13は、転送制御部12により生成されたパケットをネットワーク3に送信する。また、ネットワーク3を経由して転送されてきたパケットは、ネットワーク参入制御部16を介してパケット送受信制御部13に入力されるので、パケット送受信制御部13は、他のノード装置1から受信したパケットに含まれる送信先アドレスが自己のアドレスと一致する場合には当該パケットを取り込んで転送制御部12に出力する。転送制御部12は、このパケット情報をメモリ制御部10に送出するので、メモリ制御部10は、その受信したパケット情報に応じてそのローカルメモリ部11へのアクセスを行なう。また、メモリ制御部10は、端末2からの命令に応じてローカルメモリ部11へのアクセスを行なう。
【0032】
また、電源断を含む障害が発生した時には、RAS部17がネットワーク参入制御部16に対して待機状態への切り替え信号を出力するので、これに応じてネットワーク参入制御部16は、パケットを他のノード装置1にバイパスする待機状態に強制的に移行する。これにより、パケットの巡回障害の発生が防止される。
【0033】
以上のように、この実施の形態1のノード装置1によれば、ネットワーク3への新規参入時において、ネットワーク参入済みの他ノード装置1にノードIDの重複チェックを行わせるのではなく、専ら新規参入するノード装置1において、他のノード装置1から送られてくるパケットを分析することでノードIDの重複チェックを実施するので、参入済みの他のノード装置1に対して余分な負荷を与えることがない。このため、参入済みの他のノード装置1の処理速度やネットワーク3の通信速度に悪影響を与えるなどの不具合発生を確実に防止することができ、リング型のネットワークシステムの信頼性を向上させることができる。
【0034】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2におけるノード装置1の構成を示す機能ブロック図であり、図2に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符合を付す。
【0035】
上記の実施の形態1では、他のノード装置1のノードIDと自装置のノードIDとが重複している場合、新規参入予定のノード装置1は、その後に端末2からの命令によりノードIDを変更して重複が解消されるまではパケットをバイパスする待機状態となり、ネットワーク3に参入することができなかった。
【0036】
そこで、この実施の形態2では、図2に示した実施の形態1のノード装置1の構成に対して、ノードID選択機能部18を追加し、ノードIDの重複が検出された場合には、重複していないノードIDを自動的に選択できるようにして、新規参入予定のノード装置1が人手を介さずにネットワーク3に必ず参入できるようにしたものである。
【0037】
すなわち、この実施の形態2において、ノードID選択機能部18は、参入判定機能部15により参入不可と判定された場合には、他のノード装置1のノードIDと重複していないノードIDを選択して転送制御部12に与えるとともに、ノードIDの選択後に参入判定機能部15の判定結果を参入可能にする機能を有している。
その他の構成は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0038】
上記構成を備えたノード装置1において、一つのノード装置1(ここでは♯4)が新たにネットワーク3に参入する場合の動作について、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0039】
ノード装置1(♯4)がネットワーク3に新規参入する際、パケット観測機能部14で他のノード装置1のパケットからノードIDが所定期間(観測期間:t1)に渡って抽出され、次に参入判定機能部15によってその抽出された他のノード装置1のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無が判定され(判定期間:t2)、自他の装置のノードIDの重複があるためにネットワーク3への参入不可と判定されたときには、ネットワーク参入制御部16によって受信されるパケットが他のノード装置1にバイパスされる待機状態に維持されるまでの動作は、実施の形態1の場合と同様である。
【0040】
続いて、この実施の形態2では、参入判定機能部15により参入不可と判定された場合、これに応じて、ノードID選択機能部18は、他のノード装置1のノードIDと重複していないノードIDを選択し(選択期間:t3)、そのノードIDを転送制御部12に与えるとともに、このノードIDの選択後に、参入判定機能部15による判定結果を参入可能にする。
【0041】
これにより、参入判定機能部15による参入可能の判定結果を受けたネットワーク参入制御部16は、パケットをバイパスする待機状態を解除するとともに、パケット送受信制御部13に対してパケットの送受信許可を与える。これにより、新規参入予定のノード装置1は、パケットの送受信が可能となり、ネットワーク3に実際に参入することになる。 その他の動作は実施の形態1の場合と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0042】
以上のように、この実施の形態2のノード装置1によれば、新規参入時にノードIDの重複が検出された場合でも、重複の無い新たなノードIDが自動的に設定されてネットワーク3に参入できるので、実施の形態1の効果に加えて、新規参入時の待機状態の継続期間が短縮化されるとともに、ノードIDの設定操作の手間と余分な労力を省くことができる。
【0043】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3におけるノード装置1を備えたリング型のネットワーク3の全体を示す構成図、図7はこの実施の形態3におけるノード装置1の構成を示す機能ブロック図であり、図1、図2および図4に示した実施の形態1,2と対応する構成部分には同一の符合を付す。
【0044】
上記の実施の形態1、2の場合、複数のノード装置1が同時にネットワーク3に参入する際には、新規参入のノード装置1同士の間ではノードIDの重複チェックができないため、複数のノード装置1が同じノードIDでもってネットワーク3に参入してしまう可能性がある。特に、新規にリング型のネットワークシステムを構築する場合には全てのノード装置が同時にネットワーク3に接続されることになるため、ノードIDが重複する可能性が高い。
【0045】
そこで、このような事態が生じるのを避けるため、この実施の形態3では、図4に示した実施の形態2の構成のノード装置1に対して、さらに、待機時間設定機能部19を追加し、複数のノード装置1が同時にネットワーク3に参入する場合、新規参入予定のノード装置1ごとに参入までの待機時間を個別に設定することで、複数のノード装置1が同じノードIDで参入できないようにしたものである。
【0046】
すなわち、この実施の形態3において、待機時間設定機能部19は、新規参入するノード装置1ごとに、自装置固有の待機時間Twtを設定するものであり、その待機時間Twtが経過した時点でパケット観測機能部14によるパケット抽出動作を開始させるようにしている。ここに、各ノード装置1には装置識別のために装置固有のMACアドレスが予め割り当てられるので、待機時間Twtは、例えばTwt=(MACアドレスの下位所定ビット)×10mSとして設定される。なお、この実施の形態3では、ノード装置1の番号♯1〜♯5が大きくなるほど、待機時間Twt1〜twt5も次第に長くなるようになっている。
その他の構成は実施の形態2の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0047】
上記構成を備えたノード装置1において、本例では全てのノード装置1(ここでは♯1〜♯5の5台分)が同時に新たにネットワーク3に参入する場合の動作について、図8に示すフローチャートおよび図9に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0048】
新規参入予定の各ノード装置1は、ネットワーク3に接続された時点で先ず待機状態になる(S31)。この待機状態では、受信パケットを他のノード装置1にバイパスさせるとともに、パケット観測機能部14によるパケット抽出動作が停止している。
【0049】
そして、各ノード装置1(♯1〜♯5)において所定の待機時間Twt1〜Twt5(=MACアドレスの下位所定ビット×10mS)が経過すると(S32)、その時点で待機時間設定機能部19はパケット観測機能部14によるパケット抽出動作を開始させる(チェック期間:t1)(S33)。次に、参入判定機能部15によってその抽出された他のノード装置1のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無が判定される(判定期間:t2)(S34)。
【0050】
このとき、自他の装置のノードIDの重複がないと判定されたときには、これに応じてネットワーク参入制御部16は、パケットをバイパスする待機状態を解除するとともに、パケット送受信制御部13に対してパケットの送受信許可を与えるので、新規参入予定のノード装置1は、パケットの送受信が可能となり、そのノードIDでもってネットワーク3に参入することになる(S35)。
【0051】
一方、S34で自他の装置のノードIDの重複があると判定されたときには、ノードID選択機能部18が、他のノード装置1のノードIDと重複していないノードIDを選択し(選択期間:t3)(S36)、そのノードIDを転送制御部12に与えるとともに、このノードIDの選択後に、参入判定機能部15による判定結果を参入可能にするので、新規参入予定のノード装置1は、パケットの送受信が可能となり、変更後のノードIDでもってネットワーク3に参入することになる。
その他の動作は実施の形態1,2の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0052】
以上のように、この実施の形態3のノード装置1によれば、実施の形態1,2の効果に加えて、複数のノード装置1が同時にネットワーク3に参入する際、新規参入予定のノード装置1ごとに参入までの待機時間が個別に設定されているので、複数のノード装置1が同じノードIDで同時に参入するのを確実に防ぐことができ、リング型ネットワーク3の信頼性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1におけるノード装置を備えたリング型のネットワークシステムの全体を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるノード装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1において、一つのノード装置がネットワークに新規参入する場合の説明に供するタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2におけるノード装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2において、一つのノード装置がネットワークに新たに参入する場合の説明に供するタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3におけるノード装置を備えたリング型のネットワークシステムの全体を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3におけるノード装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態3におけるノード装置の新規参入に伴う処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3において、複数のノード装置がネットワークに同時に新規参入する場合の説明に供するタイミングチャートである。
【図10】従来技術において、一つのノード装置がネットワークに新規参入する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ノード装置、12 転送制御部、13 パケット送受信制御部、
14 パケット観測機能部、15 参入判定機能部、16 ネットワーク参入制御部、
18 ノードID選択機能部、19 待機時間設定機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して互いにリング状に接続されてネットワークシステムを構成するためのノード装置であって、
少なくとも自己のノードID、送信先アドレス、および制御用データを含む送信用のパケットを生成する転送制御部と、
上記転送制御部により生成されたパケットを上記ネットワークに送信すると共に、他のノード装置から受信したパケットに含まれる送信先アドレスが自己のアドレスと一致する場合には当該パケットを取り込むパケット送受信制御部と、
他のノード装置から受信されるパケットに含まれるノードIDを所定期間にわたって抽出するパケット観測機能部と、
そのパケット観測機能部で抽出された他のノード装置のノードIDと自装置のノードIDとの重複の有無をチェックしてネットワークへの参入可否判定を行なう参入判定機能部と、
この参入判定機能部で参入可能と判定されるまでは、受信するパケットを他のノード装置に送り、この参入判定機能部で参入可能と判定された後は、受信するパケットを上記パケット送受信制御部に送り、上記パケット送受信制御部からのパケットを他のノード装置に送るネットワーク参入制御部と、
を備えることを特徴とするノード装置。
【請求項2】
上記パケット観測機能部によるノードIDを抽出する所定期間とは、少なくともネットワークに参加済みの他のノード装置の全てがパケットを出力すると想定されるネットワーク更新周期以上の期間となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のノード装置。
【請求項3】
上記参入判定機能部により参入不可と判定された場合には、他のノード装置のノードIDと重複していないノードIDを選択して上記転送制御部に与えるとともに、このノードID選択後に上記参入判定機能部の判定結果を参入可能にするノードID選択機能部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のノード装置。
【請求項4】
新規参入時において、自装置固有の待機時間を設定する待機時間設定機能部を備え、上記パケット観測機能部は上記待機時間の経過後にパケットの抽出を開始するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のノード装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−296079(P2009−296079A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145245(P2008−145245)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】