説明

ハイスループット検出に適したマイクロアレイを製造する方法

高密度マイクロアレイおよびそのようなマイクロアレイを製造および使用するための方法を開示する。本発明のマイクロアレイを、均質的な形状およびサイズの検知ゾーンを有し、そして最小ノイズでハイスループット検出アッセイを可能にするように設計することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本件出願は、2007年8月13日に出願されたU.S.仮出願No. 60/964,661(発明の名称:ハイスループット検出に適したマイクロアレイを製造する方法)に基づく優先権を主張する。その全体において、この仮出願の内容を本件の非仮出願中に援用する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、サンプル、特に、組織、細胞、またはウィルスなどの生物学的供給源からのもの、の組成物についての定量的および定性的情報を得るための、強力なツールである。さらに、そのようなシステムは、単一の小さなプラットフォーム上で多数の平行的解析を行う能力も提供する。マイクロアレイ分析を裏付ける基本的コンセプトは、アドレス可能な反応測定(interrogation)空間を作成することであり、そこで特定のアドレス可能な単位(検知ゾーン)がサンプルの特定の構成要素と相互作用し、そしてそれらの構成要素の正体および量についての情報を提供するシグナルを生成する。この目的のため、そのようなマイクロアレイは、数平方センチメートルを測定する支持体、例えばスライドガラス、上に配置される、数百〜数百万の検知ゾーンを有する。サンプルをマイクロアレイに導入する場合、特定の検知ゾーンでの標識化標的分子と機能的表面とのあいだの化学的相互作用または物理的相互作用が、これらの分子をゾーン中に固定化させる。次いで、既知の技術を使用して、マイクロアレイ中で、目的とする標識化分子の位置を決定することができる。そのような検出方法の一つとして、標的分子を蛍光標識を用いて標識することが関連し、それにより適切な波長を有する光を用いてアレイを照射することにより、検出することができそして定量することができる蛍光を誘導することができる。
【0003】
マイクロアレイは、単一プラットフォーム上で、大量の分子的データの平行的プロセッシングを可能にする。数万個の検知ゾーンを有する高密度マイクロアレイは、プラットフォームサイズを付随的に増加させることなく、この情報容量を大幅に増加させる。しかしながら、マイクロアレイ、特に高密度マイクロアレイ、を使用することに関連する懸案事項は、ゾーン間の空間が非常に小さいため、アドレス可能性が低いことが生じる可能性がある、という点である。高密度マイクロアレイにおいて、これらの間隔(interstices)は、非常に小さくてもよく(100ミクロン未満)、そのためこれらの領域における限定的な結合でさえも、低い検出シグナル-対-バックグラウンドシグナル比を生じる可能性があり、アッセイの感受性を低下させる。従って、間隔の特徴を厳密に調製することにより、これらの望まれない現象を低下させることが、ますます重要になっている。
【0004】
このように、研究用途および臨床的用途において、標準的な顕微鏡スライド(7.5 cm×2.5 cm)またはその他の特注フォーマットあたり、数百万の検知ゾーンを有する非常に高密度のマイクロアレイを開発する必要性が存在している。高密度アレイの製造における限定的な因子の一つは、検知ゾーンのサイズ分布の不確実性であり、このことにより、次に、隣接するゾーン間でのクロストークの可能性が引き起こされる。フォトリソグラフィーを使用することにより、基材上を所望の幾何学的配置で被覆する薄膜中の検知ゾーンの形状の事前製造が可能であり、そして検知ゾーンの密度の増加およびマイクロアレイの定量的反応(再現性)の向上が可能になる。Dufvaの文献(Fabrication of high quality microarrays;Biomolecular Engineering, 22: 173-184, 2005)において、マイクロアレイの製造に影響を与える様々な因子およびパラメータに関する洞察がもたらされる。その全体において、Dufvaの内容は、本件出願中に援用される。
【0005】
バイオ的検知または化学的検知における表面特性の形態は、物質移行および表面化学的相互作用の動態を規定する重要なパラメータである。従って、特定の構造の検知ゾーンの再現性のある形態を維持することは、幅広い比較研究に関して定量的に再現性のある結果を得るために必須である。現在のアプローチは、化学的反応条件(濃度、容量、曝露時間)の正確さに依存しており、それは自動化することができる(そしてしばしば自動化されている)。しかしながら、この性質の特徴的なサイズが非常に小さいか(10・m未満)または非常に大きい(約100・m)場合、表面調製による不確実性(例えば、粗さ、疎水性、機能修飾の不均一性)および物質移行効果が、この仕事をチャレンジングなものにしている。特に重要なことは、高密度フォーマットにおける特徴の間でのクロストークの作用であり、この場合に表面上の一つのアドレスに運命づけられた分子の特徴は、隣接する二番目のゾーンと反応する可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dufva, Fabrication of high quality microarrays;Biomolecular Engineering, 22: 173-184, 2005
【発明の概要】
【0007】
場合により均質な形状およびサイズを有する検知ゾーンを有することができ、そしてノイズが最小なハイスループット検出アッセイを可能にするようにデザインされる、マイクロアレイを調製することが望ましい。
【0008】
一側面において、マイクロアレイを製造する方法は、(a)被覆層材料を基材上に沈着させて、基材上に被覆層を形成する工程;(b)そのそれぞれは剥きだしにされた基材の形成されたゾーンであるように被覆層中に検知ゾーンのアレイをエッチングする工程;そして(c)リガンドを検知ゾーンのアレイに対して適用する工程;を含み、ここでリガンドは、基材に対しては結合するが被覆層材料に対しては結合しないように構成され、それにより結合されたリガンドは実質的に検知ゾーンに限定され、そして被覆層は実質的に結合されたリガンドが存在しないままである。
【0009】
別の側面において、マイクロアレイを製造する方法は、(a)実質的に透明な基材を提供する工程;(b)被覆層材料を透明な基材の上部表面に沈着させ、基材上に被覆層を形成する工程;(c)各検知ゾーンが、むき出しにされた基材の成形されたゾーンであるように、被覆層中に検知ゾーンのアレイをエッチングする工程;(d)光解離性官能基を有するリガンドを、検知ゾーンのアレイに適用する工程;そして(e)基材の底部表面を放射光エネルギーにより照射し、検知ゾーン中のリガンドを上部表面に対して結合させる工程、を含み、ここで結合リガンドは実質的に検知ゾーンに限定され、そして被覆層は実質的に結合されたリガンドが存在しないままである。
【0010】
別の側面において、マイクロアレイを製造する方法は、(a)被覆層を基材上に沈着させる工程;(b)検知ゾーンのアレイを被覆層上にパターニングする工程;(c)検知ゾーン外部の被覆層を除去して、下部基材を剥きだしにし、それにより各検知ゾーンがむき出しにされた基材に囲まれた被覆層材料の別個の領域を含むようにする工程;そして(d)リガンドを検知ゾーンのアレイに適用する工程;を含み、ここでリガンドは被覆層材料に対しては結合するが基材材料に対しては結合しないように構成され、それにより結合されたリガンドは実質的に検知ゾーンに限定され、そして基材は実質的に結合されたリガンドが存在しないままである。
【0011】
上述の方法またはその他の類似の方法に従って調製することができるマイクロアレイもまた、本明細書中に開示される。例えば、この側面において、マイクロアレイは、基材、被覆材料、およびリガンドを含む。被覆材料は、基材により実質的に互いから隔離された被覆材料の非連続性アイランドのアレイの形状で、基材上に沈着させることができる。リガンドは、アイランドに結合した基底(basal)官能基および先端(apical)官能基を有していてもよく、ここで基底(basal)官能基は、被覆材料に対しては結合するが、基材に対しては結合しないように構成され、それにより結合されたリガンドは、実質的にアイランドに限定され、そして基材は実質的に結合されたリガンドが存在しないままである。
【0012】
別の側面において、マイクロアレイは、非連続性のウェルのアレイを横方向に規定する連続的な被覆材料層の形状で、基材上に沈着させた被覆材料を含み、ここで前記ウェルの基部部分には基材が含まれる。この態様において、リガンドは、ウェルに結合した基底(basal)官能基および先端(apical)官能基を有していてもよく、ここで基底(basal)官能基は基材に対しては結合するが被覆層材料に対しては結合しないように構成され、それにより結合されたリガンドが実質的に検知ゾーンに限定され、そして被覆層は実質的に結合されたリガンドが存在しないままである。
【0013】
別の側面において、マイクロアレイは、非連続性のウェルのアレイを横方向に規定する連続的な被覆材料の層の形状で、基材上に沈着させた被覆材料を含み、ここで前記ウェルの基部部分には基材が含まれる。この態様において、リガンドは、ウェルに結合した基底(basal)官能基および先端(apical)官能基を有していてもよく、ここで基底(basal)官能基は、基材に対しては結合するが被覆層材料に対しては結合しないように構成され、それにより結合されたリガンドは実質的に検知ゾーンに限定され、そして被覆層は実質的に結合されたリガンドが存在しないままである。ここで、リガンドはさらに、表面に結合するために放射光エネルギーを必要とする、光解離性官能基を含む。
【0014】
これらのマイクロアレイは、本明細書中の方法に従って記載されるデザイン特性および/または材料の全てを有していてもよいことが理解される。
【0015】
サンプルの組成物についての定量的情報および定性的情報を得るためにマイクロアレイを使用する方法もまた、本明細書中において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、ポジ型フォトレジストまたはネガ型フォトレジストを利用することにより、検知ゾーンの形状を、ここで示されるように、被覆材のフィルム中の開口または窓(すなわち、“ウェル”)として、または基材表面上のディスク(すなわち、“アイランド”)として、提示することができることを示す。
【図2】図2は、金属(Al)被覆層中にエッチングされた開口を有する製造された基材の画像を示す。
【図3】図3は、蛍光標識されたプローブDNAを、金属被覆層中に開口を有する製造された基材上に固定化する際の、均質な検知ゾーンの生の蛍光画像を示す。
【図4】図4は、基材の表面上にハイドロゲルフィルムを使用して、検知ゾーンの所望の形状およびサイズを作製することを示す。
【図5】図5は、小粒子のアレイがディスク領域(“アイランド”)中に作製されるか、または小孔(“ウェル”)のアレイがウィンドウ中に作製される、別の好ましい態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A. 定義
本件明細書および添付の請求の範囲において使用される場合、単数形(英語では“a”、“an”、および“the”)には、文脈が明確にそれ以外のことを意味していない限り、複数の指示対象が含まれることに注目する。
【0018】
用語“標的分子”は、サンプル中の注目される分子のことをいう。用語“標的分子”および“注目される分子”は、互換的に使用することができる。
【0019】
用語“フォトレジスト”とは、いくつかの産業的プロセス、例えばフォトリソグラフィーおよび写真製版において使用され、パターニングされた表面上のコーティングを形成する光感受性材料のことをいう。伝統的に、フォトレジストは、2つの群〜ポジ型レジストとネガ型レジスト〜に分類される。ポジ型レジストは、光に曝露されるフォトレジストの部分が、フォトレジスト現像剤に対して可溶性になり、そして曝露されないフォトレジストの部分はフォトレジスト現像剤に不溶性のままである、フォトレジストの一つの類型である。ネガ型レジストは、光に曝露されるフォトレジストの部分が、フォトレジスト現像剤に相対的に不溶性になる、フォトレジストの一つの類型である。フォトレジストの曝露されない部分は、フォトレジスト現像剤により溶解される。
【0020】
用語“リガンド”は、標的分子または注目される分子に結合するように機能する分子のことをいう。リガンドには、DNA、RNA、PNA、LNA、およびその他の修飾された合成または天然に生じる核酸、ペプチド、タンパク質(抗体、グリカン、脂肪酸、酵素基質、活性化因子または阻害剤を含む)が含まれるが、これらには限定されない。
【0021】
用語“有機シラン”は、カップリング剤または接着促進剤として知られる有機化合物のことをいう。より一般的には、シランは、アルカン炭化水素のいずれかのケイ素類似体である。シランは、水素原子に共有結合したケイ素原子の鎖からなる。シランの一般式は、SinH2n+2である。Si-Si結合がC-C結合よりも若干低い強度を有するため、シランは、その炭素類似体よりも安定性が低い傾向がある。
【0022】
用語“半透明”とは、光を透過させることができるが、透明な材料を介して拡散される光の程度よりも多く光が拡散される材料のことをいう。
【0023】
用語“少なくとも半透明”は、その一表面に入射した少なくともいくらかの光が、材料を通過することができ、そして遮られていない限り反対表面へと射出することができる材料のことをいう。
【0024】
用語“修飾された合成または天然に存在する核酸”は、モノマーとして、塩基部分(天然の塩基部分または修飾された塩基部分のいずれか)、リボースまたはデオキシリボース部分(またはその構造的類似体)およびホスフェート部分を含有する、様々なポリマー分子のことをいう。ヌクレオチドは、それらのホスフェート部分と糖部分を介して一般に結合し、ヌクレオシド間結合を形成することができる。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン-9-イル(A)、シトシン-1-イル(C)、グアニン-9-イル(G)、ウラシル-1-イル(U)、およびチミン-1-イル(T)であってもよい。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのホスフェート部分は、5価のホスフェートである。ヌクレオチドの限定的ではない例は、3'-AMP(3'-アデノシンモノホスフェート)または5'-GMP(5'-グアノシンモノホスフェート)であってもよい。
【0025】
ヌクレオチド類似体は、塩基部分、糖部分、またはホスフェート部分のいずれかに対していくつかの型の修飾を含有するヌクレオチドである。ヌクレオチドに対する修飾は、当該技術分野において周知であり、そしてそれには、たとえば5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、および2-アミノアデニン、ならびに糖部分またはホスフェート部分の修飾が含まれる。
【0026】
ヌクレオチド置換物は、ペプチド核酸(PNA)など、ヌクレオチドと同様の機能的特性を有するがホスフェート部分を含有しない分子である。ヌクレオチド置換物は、Watson-Crick様式またはHoogsteen様式で核酸を認識するが、ホスフェート部分以外の部分を介して一種の結合する分子である。ヌクレオチド置換物は、適切な標的核酸と相互作用する場合に、二重らせん型構造を形成することができる。
【0027】
その他の型の分子(複合体)をヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に対して結合させ、例えば細胞取り込みを亢進することもできる。複合体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に対して化学的に結合することができる。そのような複合体には、コレステロール部分などの脂質部分が含まれるが、これらには限定されない(Letsinger et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 6553-6556)。
【0028】
機能的核酸は、標的分子を結合することまたは特定の反応を触媒することなどの、特定の機能を有する核酸分子である。機能的核酸分子は、以下のカテゴリーに分類することができるが、これは限定することを意味していない。例えば、機能的核酸には、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、および外部ガイド配列が含まれる。機能的核酸分子は、標的分子が有している特定の活性の影響因子、阻害剤、修飾因子、および刺激因子として作用することができ、または機能的核酸分子は、いずれかその他の分子とは無関係に、de novo活性を有することができる。
【0029】
機能的核酸分子は、DNA、RNA、ポリペプチド、または炭水化物鎖などの、いずれかの高分子と相互作用することができる。このように、機能的核酸は、標的タンパク質のmRNAまたは標的タンパク質のゲノムDNAと相互作用することができ、またはそれらは、標的タンパク質と相互作用することができる。しばしば、機能的核酸は、標的分子と機能的核酸分子とのあいだの配列相同性に基づいて、その他の核酸と相互作用するようにデザインされる。その他の状況の下、機能的核酸分子と標的分子とのあいだの特異的認識は、機能的核酸分子と標的分子とのあいだの配列相同性には基づかず、むしろ特異的認識を生じさせる三次構造の形成に基づいている。
【0030】
Watson-Crick相互作用は、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換物のWatson-Crick面との少なくとも1つの相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換物のWatson-Crick面には、プリンベースのヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換物のC2位、N1位、およびC6位、そしてピリミジンベースのヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換物のC2位、N3位、C4位が含まれる。
【0031】
Hoogsteen相互作用は、ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体のHoogsteen面上に生じる相互作用であり、二重鎖DNAの主溝に曝露される。Hoogsteen面には、N7位、およびプリンヌクレオチドのC6位の反応基(NH2またはO)が含まれる。
【0032】
用語“プローブ”は、標的分子または注目される分子と相互作用することができる分子のことをいう。標的分子がヌクレオチド配列の場合、相互作用が、配列特異的様式で生じる可能性がある;すなわち、例えば、ハイブリダイゼーションを介する。この側面において、プローブは、典型的には、当該技術分野において入手可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または類似体のいずれかの組合せから構成することができる。
【0033】
用語“エッチング”は、曝露された被覆層材料を除去して、下部基材をむき出しにするプロセスのことをいう。一般的には、当該技術分野において知られている2種類のエッチング方法が存在している:ウェットエッチングとドライエッチングである。ウェットエッチング溶液用の化合物の例には、H2SO4、H3PO4、H2O2、HF、HClおよびNH4OHが含まれる。ドライエッチング方法において、エッチングを、ガス、主としてプラズマを使用して行う。周知のドライエッチング方法には、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)およびアッシングが含まれる。
【0034】
実際には、プラズマ処理は、ドライエッチング方法と非常に類似している。例えば、スライドの曝露された表面を修飾するためのプラズマ処理は、RIEまたはアッシングに基づくものであってもよい。プラズマ処理に使用するためのガスの例には、酸素、フッ素、アルゴン、塩素、およびこれらのガスの少なくとも2つの混合物が含まれる。
【0035】
プラズマを用いた処理は、ドライエッチング方法に非常に類似している。例えば、曝露された表面を修飾するためのプラズマ処理は、RIEまたはアッシングに基づくものである。プラズマ処理において使用するためのガスの例には、酸素、フッ素、アルゴン、塩素、およびこれらのガスの少なくとも2つの混合物が含まれる。好ましくは、酸素またはフッ素が使用され、そしてより好ましくは、酸素とフッ素の混合物が使用される。
【0036】
用語“反応測定(interrogation)”は、サンプルがマイクロアレイプラットフォームに導入されるプロセスまたはプロセス中の工程のことをいい、それによりプラットフォーム上の全ての検知ゾーンがサンプルに対して曝露される。
【0037】
用語“検知ゾーン”は、マイクロアレイを利用する実験のための機能可能な場所として機能する、マイクロアレイプラットフォーム上の別個の領域のことをいう。例えば、サンプル中の1またはそれ以上の注目される分子の検出に関する検知ゾーンのマイクロアレイにおいて、適切な検知ゾーンに遭遇するそれぞれの注目される分子は、そのゾーン中で化学的相互作用を受け、その生成物を適切な分析用技術により検出することができる。これらの技術により検出されるこの相互作用の発現のことを、本明細書中においては、“検出シグナル”という。このシグナルの性質は、選択される相互作用に依存する。典型的な例は、可視光の光子または放射性崩壊の生成物として放出される粒子などの電磁エネルギーの放射である。放射の強度は、内在する相互作用の存在度(prevalence)の測定値として、そして従ってサンプル中に存在する注目される分子の量の測定値として機能する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語“ノイズ”は、電気的ノイズ、機械的振動、および熱ノイズなどの多数の非-検出現象から生じる可能性がある、マイクロアレイから得られるその他の情報のことをいう。これらは、検出シグナルの検出、認識、または分析に干渉する可能性がある。
【0039】
用語“バックグラウンドノイズ”または“バックグラウンドシグナル”は、検出シグナルと同一様式であるが、しかし検知ゾーンの外側での相互作用の生成物である、特定の種類のノイズのことをいう。蛍光-ベースの検出におけるバックグラウンドシグナルの例は、アレイの間隔において標識分子により放出される蛍光である。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語“機能化”は、例えばリガンドをゾーン中に結合させ、それが直接的にまたはプローブ分子を介して、注目される分子に対して結合するように機能することができ、それによりサンプル中において懸濁液からリガンドを取り出し、そしてそれを検知ゾーン中に固定化することができることにより、注目される分子を検出することができる検知ゾーンを製造するプロセスのことをいう。単独のまたはプローブに結合されたそのようなリガンドは、本明細書中において、“機能化リガンド”または“固定化剤”と同じことを意味する。
【0041】
例えば、基材を修飾して、DNAを結合させることができる。多くの事例において、DNAもまた、基材上の官能基と特異的に反応する官能基により修飾される。表1は、一般的な表面修飾および対応するDNA修飾のリストを含む。
【0042】
【表1】

【0043】
数値または範囲に言及する場合の用語“約”は、測定を行った場合に生じうる実験誤差から生じる値を含むことを意味する。
【0044】
本明細書中で使用される場合、複数の品目、構造要素、組成物要素、および/または材料は、便宜のため一般的なリスト中に存在するものであってもよい。しかしながら、これらのリストは、このリストのそれぞれの構成要素が、別個のそして独特の要素として個別に特定されるかのように解釈されるべきである。このように、そのようなリストの個別の構成要素のいずれも、反対の指摘がなければ共通のグループにおいてそれらが提示されることのみに基づいて、同一リストのいずれかその他の構成要素の事実上の均等物として解釈されるべきではない。
【0045】
B. マイクロアレイの製造方法および使用方法
分子分析におけるマイクロアレイの使用は、顕微鏡スライドのサイズの単一プラットフォーム中に非常に多数の検知ゾーンを有するより高密度のプラットフォームから恩恵を享受することができることが認識される。DNAマイクロアレイは、製造方法に従って大まかに、2種類に分類することができる:フォトリソグラフィー-型とスポット-型である。フォトリソグラフィー-型のDNAマイクロアレイは、半導体集積回路の製造において使用されるフォトリソグラフィー技術により、支持体上で異なる塩基配列を有する多数のDNA(オリゴヌクレオチド)を合成することにより、典型的には製造される。スポット-型のDNAマイクロアレイは、プローブまたは機能的リガンドの調製物を用いて基材に“スポット”を作ることにより、基材上に形成される。すなわち、非常に少ない容量の物質を、基材表面に多数の場所に適用し、“スポット”のアレイを作製する。スポット-型のマイクロアレイは、プローブDNAを含有する液滴を支持体上にスポットし、そして乾燥させることにより製造されるため、支持体に結合するDNAプローブの密度および均質性は、保証されない。言いかえると、この方法を用いた場合、各スポットの最終的なサイズを制御することは困難であり、そしてDNA検出スポットは、サイズおよび形状が均質ではない。これらのサイズの差異により、次に、スポットに結合されるDNA量のバリエーションが生じる。
【0046】
驚くほどのことではないが、検知ゾーンのサイズ分布のバリエーションは、高密度アレイの製造のためのこのアプローチにおける、限定因子の一つである。同様に、密度の高いアレイに配置された非常に小さな検知ゾーンを用いた場合、ゾーンそれ自体の境界線内部に物質の場所を限定することが困難である。これらの因子により、検知ゾーン間のクロストークによるアドレス指定能力の低下、蛍光特性における高レベルのバックグラウンドノイズ、および結果の再現性の欠如を含む、多数の問題が引き起こされる。これらの理由により、スポット-型のマイクロアレイは、定性的解析のためにのみ使用することができ、そして定量的解析のためには適していない。すなわち、スポット-型のマイクロアレイにより、標的生体分子がプローブにハイブリダイズされる検出スポットの存在を検出することができるが、各スポットでハイブリダイズされる標的生体分子の量を測定することはできない。さらに、標的生体分子は、固定化剤の存在により検出スポット周囲のマイクロアレイ表面に非特異的に結合し、そしてノイズの増加による測定値のS/N比の低下を引き起こす。
【0047】
このように、高密度フォーマット中のゾーンとゾーンとの間のクロストークの作用を考慮することは、特に重要であり、そこで表面上の一つのアドレスに運命づけられた分子の特性は、隣接する二次的ゾーンと反応することができる。薄膜被覆材ならびに表面特異的固定化技術を使用した所望のサイズおよび形状を有する検知ゾーンの事前製造は、そのような問題に対処する。
【0048】
本発明は、検知ゾーンのアレイが被覆層中に製造される、高密度マイクロアレイプラットフォームを製造する方法を提供する。フォトリソグラフィーおよびその他の技術を使用することにより、そのようなアレイは、全てが均質な形状および容量である非常に多数の小さな検知ゾーンを特徴とすることができる。さらに、被覆層材料を注意深く使用することにより、機能化リガンドを配置させるすることができ、それによりそれらをもっぱら検知ゾーンに限定し、それにより周囲の領域における外部活性を低下させることができることが、見出された。従って、高密度マイクロアレイを製造する方法は、薄膜被覆層を基材に対して適用する工程を含むことができる。基材は、当該技術分野において既知の方法による薄膜の適用と適合性のいずれの材料であってもよい。適切な基材材料の例には、ガラス、石英、およびケイ素が含まれる。あるいは、基材は、サイクリックオレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、酸化ケイ素および溶融ケイ素(fused silicon)などのポリマーから構成されるメンブレンを含むことができる。理論的には、使用される基材のサイズに限定は存在しない。好ましくは、利用される分析の最終的な方法に適したサイズを、選択すべきである。典型的なアプローチには、照明、照射、または観察の目的のために、顕微鏡鏡台上に、マイクロアレイをマウントすることが関連する。従って、好ましい態様は、マウントすることができる基材サイズを利用する。具体的な態様において、標準的な7.5 cm×2.5 cmのガラス顕微鏡スライドが基材として機能する。
【0049】
本発明の一側面において、被覆層を、従来型のフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることができる材料から構成すべきである。被覆層用の材料は、金属、誘電体、ヒドロゲル、または半導体であってもよい。ヒドロゲルは、不水溶性で、しばしば水が分散媒体であるコロイド状ゲルとして見出される、ポリマー鎖のネットワークである。被覆層のための適切な金属には、銀、アルミニウム、金、クロム、銅、ニッケル、チタン、および白金が含まれるが、これらには限定されない。適切な誘電体には、金属酸化物、非-金属酸化物、金属硫化物、および非-金属硫化物が含まれる。被覆材料と基材材料との多数の組合せが本発明に従って可能であるが、当業者は、いくつかのマイクロアレイ用途の十分な利益を得るために特定の組合せが好ましい可能性があることを理解するだろう。本発明の具体的な態様において、潜在的な被覆層材料が特定の分子と化学結合を形成する能力もまた、材料を選択しまたは却下するための根拠である。その他の側面において、マイクロアレイとともに利用される検出技術に基づいて、その他の特徴の望ましさのために、被覆層材料を選択することができる。具体的な態様において、広範囲のスペクトルの光に関してまたはアレイを解析するために使用される特定の波長に関して不透明(すなわち、吸収性)にすることができる誘電性被覆層材料が使用される。
【0050】
被覆層材料は、薄膜として基材上に沈着される。特定の態様において、この薄膜は約30 nm〜約100 nmの厚さを有する。被覆層の沈着は、当該技術分野において既知の方法により達成することができる。熱スプレーコーティング、蒸着、および化学的蒸着、またはスパッタリングを含む金属被覆層を適用することができる方法を、適用することができる。いったん沈着されると、被覆層は所望の数の検知ゾーンを作製することができる媒体となる。
【0051】
本発明は、所望のサイズ、形状、および所望の密度で配置された検知ゾーンの作製を提供する。特に、数百個〜数十万個の検知ゾーンが1個の顕微鏡-マウント可能なプラットフォーム上に含有される高密度アレイが、達成可能である。従って、具体的な態様において検知ゾーンのサイズは、約0.1μm〜約100μmの範囲であってもよい。検知ゾーンを、各ゾーンとそれにすぐに隣接するゾーンとの間の中心間距離がアレイ全体にわたり実質的に一定である、規則的で周期的なアレイ中に配置することができる。そのような一態様において、間隔は、約0.15μm〜約150μmの範囲であってもよい。
【0052】
あるいは、非周期的パターンまたは無作為的でさえあるパターンを有するアレイ中に検知ゾーンを配置することができる。そのような場合、間隔のサイズは、最小が約0.15μmである分配に含まれる。予想される必要性に従って、検知ゾーンについての形状を選択することができる。例えば、検出アッセイにより生成されるシグナルを画像化するために使用される撮像装置の画素素子と同一の形状を有する検知ゾーンを使用することが好ましい場合がある。本発明に従うゾーン形状は、円形、楕円形、または3面-〜20面-多角形であってもよい。
【0053】
次いで、フォトリソグラフィー技術を使用して、被覆層をパターニングし、所望の形状およびサイズの検知ゾーンのアレイを作製することができる。フォトレジストを、被覆層上に沈着させ、その後、放射光エネルギーのパターンに対して曝露して、そのパターンに従ってレジストの選択的硬化を引き起こすことができる。照射の所望のパターンは、放射光エネルギー源と被覆層表面の間にそのパターンを有するマスクを挿入することにより達成することができる。レジストを活性化する放射光エネルギーの種類には、紫外光、電子、x-線、電磁場、音響源、熱源、化学物質源、プラズマ源、およびイオン衝撃(ion bombing)源が含まれるが、これらには限定されない。
【0054】
一態様に従って、ポジ型のフォトレジストを被覆層に対して適用し、そしてマスクを検知ゾーンの目的とした位置のみが目的としたゾーンの横断面形状を有するビームにより照射されるように選択する。フォトレジストの現像に際して、下部の被覆層が、検知ゾーンの位置で曝露される。次いで、曝露された被覆層材料は、標準的なエッチング方法(例えば、ウェット、ドライ、またはイオンビーム)によりエッチングして除去され、下部基材がむき出しにされる。最終的に、残りのフォトレジストを除去し、ウェルまたは空洞のアレイが示され、それらの境界は残りの被覆層(“ウェル”検知ゾーン)により規定される。
【0055】
代わりの態様において、被覆層材料がエッチングされて除去されたウェルではなく、被覆層材料のアイランド(“アイランド”検知ゾーン)である検知ゾーンが生成される。この態様において、ネガ型のフォトレジストを被覆層に対して適用し、次いで上述したように照射する。フォトレジストの現像、曝露された被覆層の溶解、次いで残りのフォトレジストの除去の後、被覆層材料からなる検知ゾーンのアレイが結果として得られる。これらの態様のいずれかにおいて、得られる検知ゾーンは、形状およびサイズが非常に均質であり、特に従来型のスポット型マイクロアレイと比較した場合、より正確で信頼性の高い定量的分析の結果が容易に得られる。
【0056】
均一な検知ゾーンの高密度アレイに加えて、本発明の方法はまた、検知ゾーンのより効果的な機能化を提供する。上述したように、適切な分子のマイクロアレイへの結合を生じさせることにより、マイクロアレイを、有機分子を検出する際に使用するために調製することができる。多くの事例において、機能性リガンドを使用して、この結合を生じさせる。次いで、適切なアッセイを行って、マイクロアレイに導入されるサンプル中における注目される分子の存在および量を確定することができる。例えば、DNA検出マイクロアレイにおいて、オリゴヌクレオチドプローブを、マイクロアレイに結合させる。蛍光標識された核酸ポリマーサンプルを、マイクロアレイにより反応測定する場合、プローブにハイブリダイズするポリマーのみがマイクロアレイ上に残る。励起光の適用により、結合標識が蛍光を生じ、そして次いで、対応する配列が検出されそしてその位置により特定される。
【0057】
同様の様式において、その検知ゾーンを、アレイ表面に注目される分子を固定化するように構成されたリガンドにより機能化することにより、マイクロアレイを使用して、その他の種類の有機分子についてアッセイすることができる。検知ゾーンの材料に結合することができ、かつ標的分子を固定化することができる機能化剤が、選択されるべきである。このことはしばしば、適切なリガンドは、少なくとも2組の官能基を有することを意味する:(1)それにより検知ゾーンに対して結合することができる、1またはそれ以上の基底(basal)基、および(2)標的分子と相互作用するように構成される1またはそれ以上の先端(apical)基。検知ゾーンの機能的表面が曝露された基材を含む“ウェル”検知ゾーンの態様において、機能化剤は、基材材料とともに使用するために適合させるべきである。例えば、ガラス基材は、湿式化学(wet chemistry)または蒸着を介してガラス上に有機シランを沈着させ、機能化されたシランの薄層を形成することにより、機能化することができる。シランは、ガラスのシラノール基とシランの基底(basal)官能基との間の反応により作製されるケイ素-酸素架橋を介して、ガラスに対して結合される。有機シランには、カルボキシシランおよびアミノシランが含まれるが、これらには限定されない。立体障害および表面効果を軽減するために、様々な長さのアルキルスペーサーを挿入することもまた存在する。別の側面において、機能的シラン(アミノ-シランまたはカルボキシ-シラン)は、アルキル-シラン、PEG-シラン、またはヒドロキシ-シランなどの相対的に不活性なシランと混合される。混合されたシランは、次の層におけるより大きな結合効率/表面密度を生じる可能性がある。
【0058】
あるいは、ポリマー基質は、当該技術分野において既知の多数のアプローチにより、機能化することができる。PMMAを用いて、これらにはしばしば、ポリマーの固有の官能基の化学的修飾に関連し、アミノ化表面を得る。同様に、“アイランド”検知ゾーンの態様において、機能化剤は、被覆層材料に対する結合のために適合された基底(basal)基を有するべきである。いったん結合されると、シランは標的分子と相互作用する先端(apical)基を提示する。例えば、チオール、アミン、アルデヒド、エポキシ、セミカルバジド、およびジアゾニウム官能基を有する剤を使用して、DNAフラグメントを固定化することができる。必要な場合、先端(apical)基をリンカーによりさらに修飾することができる。
【0059】
これらのアプローチにより高密度マイクロアレイを使用することの潜在的な困難性は、しばしば検知ゾーンを機能化するために使用する剤が、間隔において検出可能な量で結合することもできることである。これは、マイクロアレイを典型的に使用してサンプルを反応測定する方法であるため、大きな問題である。すなわち、様々な想定される標的が懸濁される溶液をしばしば含むサンプルが、アレイ全体に導入されるため、検知ゾーンおよび間隔の両方が、標的分子に対して曝露される。検知ゾーンの外側で結合するいずれかの標的分子は、照射および画像収集の際に、誤ったバックグラウンドシグナルを生じる可能性があり、それは検出シグナルを定量することおよび個別のゾーンをアドレスすることを困難にする。しかしながら、本発明に従って製造されたマイクロアレイを、これらの問題を最小化するように機能化することができる。このことは、“ウェル”検知ゾーンおよび“アイランド”検知ゾーンの両方を用いて可能である。
【0060】
例えば、“ウェル”検知ゾーンの態様において、機能化剤が高い親和性で検知ゾーン内部の基材材料に結合するが、周囲の被覆層材料に関しては不活性である、被覆層材料と機能化剤との組合せを選択することができる。結果は、そのようなマイクロアレイにおいて、結合された機能化剤は検知ゾーン内部のみで見出され、一方でマイクロアレイの上部表面の残りを構成する被覆層は、何らかの結合された機能化剤を実質的に含まない、というものである。“アイランド”検知ゾーンを有する態様において、好ましい組合せは、選択された被覆層材料と高い親和性で結合するが、マイクロアレイの上部表面の残りを構成する曝露された基材材料に関しては不活性である、機能化剤である。ここでの結果もまた、結合された機能化剤が検知ゾーン上でのみ見出され、一方マイクロアレイの上部表面の残りは機能化剤を実質的に含まないというものである。
【0061】
本発明の別の態様に従って、マイクロアレイを、マイクロアレイ材料および/または標的分子との相互作用が光依存性である官能基を有する剤により、機能化することができる。この態様の具体的な側面において、選択される剤は、吸収される光を有する光解離性官能基を主として介して、マイクロアレイ表面に結合する。代わりの側面において、剤は、光解離性結合により基に結合される剤により保護化される、官能基である。いずれかの側面において、機能化剤は、十分な入射光に晒されない場合には、マイクロアレイ表面との結合を形成しない。機能化リガンドの溶液をマイクロアレイに対して適用し、次いで、パターン化した励起照明を、例えばマスクを介して提供して、それにより検知ゾーンのみを照明することにより、リガンドによる結合を検知ゾーンに実質的に限定することができる。光解離性保護基が溶液中の分子に結合する一般的に利用される方法とは異なり、ここでは、光解離性保護基を、表面上に固定化される分子的構造に結合させる。このアプローチは、特別にそして時間的に構成される励起(例えば、UVまたは可視光)を適用した後に、反応性部分が表面上のアドレス可能なスポットにおいてのみ生成されることを保証する。このアプローチは、検知ゾーンのアドレス指定能力を改善する。
【0062】
光分解は、中性条件下で生じる、穏やかで直交する(orthogonal)可能性のある切断方法を提供する。炭水化物化学およびヌクレオチド合成およびペプチド合成において、光切断可能な保護基は、幅広い用途を享受してきた。合成の観点から、PPGは、その他の保護基に対して直交しており、そしてそれらの除去のために試薬や加熱を必要としない。光切断可能な保護基の使用は、(1)多数の有機小分子が光を吸収するという事実、(2)多数の有機小分子がリンカーを切断するために必要な照射に感受性であるという事実、そして(3)光分解の速度および収率についての関心、により非-オリゴマー合成に限定されてきた。従って、切断についての良好な収率を達成するため、使用される光は、結合基によってのみ吸収されるべきであり、そしてさらに可能であるならばその他の基に影響するべきではない。
【0063】
許容可能な光切断可能なリンカーのリストには、(1)O-ニトロベンジルに基づくリンカー(ONB)、(2)フェナシルリンカー、(3)アルコキシベンゾインリンカー、(4)NpSSMpactリンカー、(5)ピバロイルグリコールリンカー、および(6)種々の光分解プロトコル、が含まれるが、これらには限定されない。ONBリンカーには、ONBリンカー、・-置換ONBリンカー、アルデヒド用の光切断可能なリンカー、およびニトロベラトリルリンカーが含まれるが、これらには限定されない。フェナシルリンカーには、・-メチルフェナシルが含まれるが、これらには限定されない。アルコキシベンゾインリンカーには、ベンゾインエステルおよび3-アルコキシ-保護化ベンゾインリンカーが含まれるが、これらには限定されない。種々の光分解プロトコルには、クロムアレーン複合体およびトリフェニルホスフィンを使用するプロトコルが含まれるが、これには限定されない。Guillier et at., 2000は、光切断可能なリンカーを含むいくつかの種類のリンカーの詳細なレビューを提示している。その全体において、Guillier et al., 2000は、本明細書中に援用される。
【0064】
外来性蛍光標識のためにノイズレベルが減少することは、分析結果をより曖昧ではないものとし、そして従ってより容易に解釈できるものにすることができる。追加された効果は、サンプルが非常に少なく、注目される分子が非常に低量で存在し、または分子と固定化剤との親和性が低い場合など、弱いシグナルを解消するための分析力の増加である。機能化リガンドがマイクロアレイ中に結合する場合を調節することに加えて、望まれていないバックグラウンドシグナルを低下させることもまた、検知ゾーンに対する標的分子の固定化を制限することにより、達成することができる。このように、アレイの間隔中にたまたま位置するいずれかの機能化剤は、サンプル中の標的分子との相互作用の欠如により、バックグラウンドシグナルを生成しない。従って、本発明の別の態様において、機能化剤は、光-依存的様式で標的分子と結合する。例えば、機能化リガンドの先端(apical)官能基を、光解離性である保護基、または光解離性結合によりリガンドに対して結合される保護基により、ブロック化または保護化することができる。
【0065】
これを達成するための別のアプローチは、マイクロアレイそれ自体の構造を使用して、所望の領域への照明を制限し、それにより光-依存的機能化リガンドを使用することの利点を高めることである。このアプローチにおいて、リガンド相互作用を促進するために使用される照明は、マイクロアレイの上からではなく、マイクロアレイの下側からあてられ、それによりマイクロアレイは照明マスクの機能を果たす。この態様に従って、少なくとも半透明である基材材料が選択され、それによりその一表面への少なくともいくらかの入射光が基材材料を通過し、そして遮られていない限り反対表面から射出する。好ましくは基材材料は、紫外線範囲、可視光範囲、または両方の波長範囲を含む波長範囲を有する光に対して実質的に透過性である。同時に、薄膜として適用される場合に、これらの波長に対して不透明である被覆層材料が選択される。そのような基材が上述したように“ウェル”マイクロアレイ用の支持体として機能し、そして下部の光源から照明をあてられる場合、光は検知ゾーンのその上部表面を通過するのみである。従って、光の存在下にて基材に対してのみ結合する機能化剤をこの方法で照射されるマイクロアレイの上部表面に対して適用する場合、それは検知ゾーン中にのみ結合する。一方、周囲の被覆材材料は、光をその上部表面には許容せず、それにより機能化剤はそれに結合することができない。洗浄後、マイクロアレイは、検知ゾーンにおいてのみ機能化され、一方マイクロアレイの上部表面の残りは、機能化剤を実質的に含まない。この態様の別の側面において、光-依存的様式で標的に対して結合する固定化剤により既に機能化されたウェルマイクロアレイを使用して、下側から照射しつつ、サンプルを反応測定することができる。サンプル中の標的分子は、マイクロアレイ全体に対して曝露されるが、好ましくは検知ゾーン中に固定化される。
【0066】
本発明のマイクロアレイは、いったんサンプルを提示されたら、励起照明を下側から送達することにより解析することもでき、それにより検知ゾーンにおける標識化標的を検出するが、一方で間隔中の標識化標的を検出しない。このアプローチにおいて、マイクロアレイは、光の励起波長に対して少なくともいくらかは透過性である基材を含むべきである。より具体的な態様において、被覆層は、それらの波長に対して実質的に不透明であるべきである。被覆層は、存在する限りは、励起光がマイクロアレイの上部表面を通過しないようにする。従って、被覆層に対して結合することができるいずれかの光標識化された注目される分子は、それらの標識を光により励起させず、そして解析時に検出されない。この方法は、上側からアレイに照射し、検知ゾーンの外側に位置するいずれかの標識が励起され、解析時のノイズの原因となる、従来型のアプローチとは対照的である。検知ゾーン中に固定化される分子のみが、検出シグナルに寄与し、シグナル-対-ノイズ比の増加をもたらす。
【0067】
マイクロアレイを励起光に曝露する方法を調節する上記のアプローチは、適切な被覆層材料の使用により亢進される。例えば、いくつかの場合において、反射性材料から構成される被覆層が、曝露される検知ゾーン外部の領域に反射光を散逸させる可能性がある。さらに、アレイへの励起光入射は、“ウェル”態様において検知ゾーンを横方向に規定するエッジなどの被覆層エッジでの実質的な回折の対象となってもよい。従って、本発明の具体的な態様は、光に対して不透明であるだけではなく、入射光を吸収する材料から構成される被覆層を含む。より具体的な態様において、被覆層材料は不透明かつ吸収性である誘電体である。
【0068】
マイクロアレイは、複数の検知ゾーンを有するおかげで、多数のプローブまたは多数のタイプのリガンドに対するサンプルの平行的なテストを可能にする。各プローブまたはリガンドが特定の検知ゾーンに位置する場合、サンプルに対して反応して検出シグナルを生じるゾーンが、サンプル中の(1または複数の)注目される分子の正体についての示唆をもたらす。従って、マイクロアレイ上で生成される検出シグナルは、サンプル中の標的分子量についての情報(シグナルの強度によるもの)および分子の正体についての情報(シグナル検知ゾーンの位置によるもの)を両方とも提供する。
【0069】
本発明はまた、各検知ゾーンそれ自体にアドレス可能なアレイが含まれる、マイクロアレイを製造する方法を提供する。一態様は、それぞれがより小さなウェル検知ゾーンのアレイを含有する、ウェル検知ゾーンのアレイである。別の態様は、各ウェルがアイランド検知ゾーンのアレイを含有するウェル検知ゾーンのアレイを提供する。さらに別の態様は、それぞれがより小さなアイランド検知ゾーンのアレイを含有する、アイランド検知ゾーンのアレイを提供する。あるいは、アイランドは、複数のより小さなウェルを含むように構成することができる。そのようなアレイを製造することができる一つの方法は、本明細書中で開示される方法に別のフォトリソグラフィーを繰り返し追加することにより実行することができる。多くの場合において、それぞれの下位の特徴には、同一のリガンドが含まれていてもよい;しかしながら、いくつかの場合には、異なるリガンドがそれぞれの下位の特徴(例えば、マイクロアレイのマイクロアレイ)中に含まれていてもよい。そのようなシステムを、光活性化技術を使用して調製することができる。
【実施例】
【0070】
実施例1 - ウェルを有するマイクロアレイの調製
50 nm-厚の金被覆層を、化学的蒸着またはスパッタリングにより、標準的なガラス顕微鏡スライドの上部表面に適用する。ポジ型のフォトレジストは、被覆層上にスピンコーティングし、そして加熱して残留する溶媒を取り除く。冷却する際、フォトレジストを丸穴のアレイを有するマスクを通して適用されるUV照射に曝露して、それにより表面上への照射入射が、中心-対-中心の空間が10μmである、8μmの直径を有する丸型のスポットのアレイから構成される。曝露を適切な量の時間のあいだ維持して、フォトレジストを十分に曝露させて、材料修飾を生成させる。次いで、スライドを洗浄して、溶媒レジストを除去する。結果は、UV光スポットと同一の寸法および空間を有し、その中で金被覆層が曝露されるレジスト中での穴のアレイが生じる。曝露された金はエッチングされて除去され、その後硬化されたフォトレジストが除去され、金被覆材により囲まれた円形のウェル-様検知ゾーンのマイクロアレイが生成される。
【0071】
実施例2 - アイランドを有するマイクロアレイの調製
別の好ましい態様において、基材がガラスであり、そして被覆層が50 nm厚の金(Au)などの金属である。金(Au)層はエッチングされ、8ミクロンの直径および10ミクロンの空間の丸型の“アイランド”が残される。アイランド間の領域はガラスである。分子プローブのアイランドに対する結合を、チオール-活性化方法[タンパク質ジスルフィド結合が含まれる]を介して生じさせることができる。
【0072】
実施例3 - 検知ゾーン中のプローブ分子の固定化
スライドを、March Plasmod中、400 mTorrで、5分間、RF誘導化酸素に曝露する。これにより、マイクロアレイウェル中の曝露されたガラスを、金被覆材を不活性にしたまま、化学的に修飾する。酸素プラズマの後、スライドを、0.5 mlの3-グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン(GPS)を含有する蒸着チャンバ中にすぐに置く。チャンバを3 mTorrにまでポンプで圧抜きし、そして115℃まで加熱し、それによりGPSを蒸発させ、そして修飾マイクロアレイウェル表面に対して接着させる。蒸着チャンバ中で16時間後、スライドを取り出し、そしてオリゴヌクレオチドプローブを用いてスポッティングし、またはその後に使用するまで保存する。pH 8.5の150 mMのリン酸バッファ中、オリゴヌクレオチドプローブを用いて固定化を行う。プローブの一部を、加湿チャンバ中、室温にて30分間、所望のマイクロアレイウェル上に静置し、その後加湿チャンバ中、75℃にて30分間静置する。2回の30分間のインキュベーションの後、スライドをすすぎ、そしてすぐにハイブリダイゼーションできるようにする。
【0073】
実施例4 - 検知ゾーン中への光解離性プローブ分子の固定化
さらに別の好ましい態様において、基材がガラスであり、そして被覆層が50 nm厚のアルミニウム(Al)などの金属である。10ミクロンの中心対中心空間を有する8ミクロンの直径の丸型構造をAl層中でエッチングする。この態様の例を、以下の図において示す。光活性化プローブ結合またはin-situプローブ合成を、下側からの照明により行うことができ、それにより光が開口窓を通じてのみ透過され、それにより結合および/または合成が各窓のガラス表面においてのみ生じる。全ての窓を同時に照明することができ、または1回に一つだけ照明することができる。
【0074】
実施例5 - サンプルの分析
典型的な実験において、マイクロアレイ(適切な表面修飾を有する基材)を、シールされたカバーまたは適切な材料からなるマイクロ流体導管(シーリング空間、ポリスチレン、PDMSを例として有するガラス)を適用することにより、反応チャンバに曝露する。サンプルをチャンバ中に導入し、そして表面リガンドとサンプル構成要素(標的)との間の反応を生じさせ、所望の期間のあいだ進行させる。反応の終了後、反応チャンバを分解し、そしてマイクロアレイの検知表面を“洗浄”して(実際の手順は、マイクロアレイの種類に依存して変化させてもよい)、非特異的様式で表面に接着する微量のサンプルおよび構成要素を取り除く。そのアレイを検出用装置中(蛍光標識の場合、スキャナ中)に配置し、シグナルを記録しそしてシグナル位置を検知ゾーン位置と整列させる(すなわち、アドレス可能な出力)。次いで、シグナル強度を、サンプル組成物の定量的分析の観点で解釈する。あるいは、シグナル取得を、表面特性(キャパシタンス、屈折率、表面結合蛍光)のリアルタイム変化として達成することができ、それはサンプルの定量的組成物についての情報も提供することができる。
【0075】
実施例は、1またはそれ以上の具体的な用途における本発明の原理の説明であるが、形状、使用法、および実施の詳細における多数の修飾が、発明力を行使するひつようなく、そして本発明の原理および概念から離れることなく、なされうることは、当業者には明らかであろう。従って、本発明は、以下に記載する請求の範囲による限定以外では、限定されることは意図されない。
【0076】
参考文献
1. Dufva. (2005) Fabrication of high quality microarrays. Biomolecular Engineering, 22: 173-184.
2. Guillier et al. (2000) Linkers and cleavage strategies in solid-phase organic synthesis and combinatorial chemistry. Chem. Rev., 100: 2091-158.
3. Kai et al. (2003) Protein Microarray on Cyclic Olefin Copolymer (COC) for Disposable
Protein Lab-on-a-Chip, presented at the 7thInternational Conference on Miniaturized Chemical and Biochemical Analysis Systems, October 5-9, 2003, Squaw Valley, California.
4. Letsinger et al. (1989) Cholesteryl-conjugated oligonucleotides: synthesis, properties, and activity as inhibitors of replication of human immunodeficiency virus in cell culture. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 6553-56.
5. European Patent Application No. 01127937.9, published as EP 1 208 909 A2, titled Biomolecule microarray support, biomolecule microarray using the support, and method offabricating the support, published on May 29, 2002, filed on November 23, 2001, by Riken and Waseda University, invented by Tashiro et al.
6. United States Patent Application No. 2006/0154242, titled Biomolecule Chip and Fabrication Method Thereof, published on July 13, 2006, filed on January 10, 2006, by Kim et al.
7. United States Patent No. 6,114,099, titled Patterned Molecular Self-Assembly, issued to Liu and Schick, on September 5, 2000.


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(a)少なくとも上部表面および底部表面を有する少なくとも半透明である基材を提供する工程;
(b)被覆層材料を基材の上部表面上に沈着させて、基材上に被覆層を形成する工程;
(c)各検知ゾーンが被覆層を除去して下部基材を剥きだしにした、別個の領域であるように、被覆層中に検知ゾーンのアレイをエッチングする工程;
(d)検知ゾーンのアレイに対して、先端(apical)官能基、および表面に対して結合するために放射光エネルギーを必要とする光解離性官能基、を有するリガンドを適用する工程;および
(e)基材の底部表面に放射光エネルギーを照射して、それにより放射光エネルギーが検知ゾーン中のみの上部表面を通過し、それにより検知ゾーン中のリガンドを上部表面に対して結合させる工程;
を含み、ここで結合リガンドは、検知ゾーンに実質的に限定され、そして被覆層は実質的に結合リガンドが存在しないままである、マイクロアレイを製造する方法。
【請求項2】
基材が透明である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
放射光エネルギーがUV光エネルギーである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
結合リガンドを基材に対して結合する前または結合した後に、プローブを結合リガンドの先端(apical)官能基に対して結合する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
リガンドが、DNA、RNA、PNA、LNA、およびその他の修飾された合成または天然に生じる核酸、ペプチド、タンパク質、抗体、グリカン、脂肪酸、酵素基質、活性化因子、および阻害剤、からなる群から選択される構成成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基材が、ガラス、石英、ケイ素、PMMA、およびPDMSからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基材材料がガラスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
被覆層材料が、金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、チタン、およびプラチナ、およびそれらの合金からなる群から選択される構成成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
被覆層材料が金を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
被覆層材料がアルミニウムを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
被覆層材料が、金属酸化物、非金属酸化物、金属硫化物、非金属硫化物、およびこれらの組合せからなる群から選択される誘電性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
被覆層材料が実質的に不透明である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
被覆層材料が、結晶性または非結晶性半導体材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
マイクロアレイを使用して、サンプルの組成物についての定量的情報を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
光解離性官能基を検知ゾーン中に固定化し、放射光エネルギーが光解離性官能基を脱保護し、脱保護化された光解離性官能基がオリゴヌクレオチドプローブまたはその他の生体分子と結合することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
以下の工程:
(a)基材上に被覆層材料を沈着させて、基材上に被覆層を形成する工程;
(b)各検知ゾーンが形状を有し、そして被覆層を除去して下部基材を剥きだしにした、別個の領域に位置するように、被覆層中に検知ゾーンのアレイをエッチングする工程;そして
(c)検知ゾーンのアレイに対して、先端(apical)官能基および基材に対しては結合するが、被覆層材料に対しては結合しないように構成される基底(basal)官能基を有するリガンドを適用して、それにより結合リガンドを検知ゾーンに実質的に制限し、そして被覆層は実質的に結合リガンドが存在しないままにする工程;
を含む、マイクロアレイを製造する方法。
【請求項17】
結合リガンドの先端(apical)官能基に対してプローブを結合する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
リガンドが、DNA、RNA、PNA、LNA、およびその他の修飾された合成または天然に生じる核酸、ペプチド、タンパク質、抗体、グリカン、脂肪酸、酵素基質、活性化因子、および阻害剤、からなる群から選択される構成成分である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
基材が、ガラス、石英、ケイ素、PMMA、およびPDMSからなる群から選択される基材材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
基材材料がガラスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
被覆層材料が、金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、チタン、およびプラチナ、およびそれらの合金からなる群から選択される構成成分を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
被覆層材料が金を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
被覆層材料がアルミニウムを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
被覆層材料が、金属酸化物、非金属酸化物、金属硫化物、非金属硫化物、およびこれらの組合せからなる群から選択される誘電性材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
被覆層材料が実質的に不透明である、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
被覆層材料が結晶性または非結晶性半導体材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
以下の工程:
(a) 被覆層材料を基材上に沈着させて、それにより基材上に被覆層を形成する工程;
(b) 被覆層上の検知ゾーンのアレイをパターニングする工程;
(c) 検知ゾーンの外側の被覆層材料を除去して下部基材を剥きだしにし、それにより各検知ゾーンが剥きだしにされた基材により囲まれた被覆層材料の別個の領域を含むようにする工程;そして
(d) 検知ゾーンのアレイに対して、先端(apical)官能基および被覆層材料に対しては結合するが基材材料には結合しないように構成される基底(basal)官能基を有するリガンドを適用して、それにより結合されたリガンドを実質的に検知ゾーンに制限し、そして基材は実質的に結合されたリガンドを含まないままにする工程;
を含む、マイクロアレイを製造する方法。
【請求項28】
結合リガンドの先端(apical)官能基に対してプローブを結合する工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
リガンドが、DNA、RNA、PNA、LNA、およびその他の修飾された合成または天然に生じる核酸、ペプチド、タンパク質(抗体を含むがこれには限定されない)、グリカン、脂肪酸、酵素基質、活性化因子、および阻害剤からなる群から選択される構成成分である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
基材が、ガラス、石英、ケイ素、PMMA、およびPDMSからなる群から選択される材料を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
基材材料がガラスを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
被覆層材料が、金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、チタン、およびプラチナ、およびそれらの合金からなる群から選択される構成成分を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
被覆層材料が金を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
被覆層材料がアルミニウムを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
被覆層材料が、金属酸化物、非金属酸化物、金属硫化物、非金属硫化物、およびこれらの組合せからなる群から選択される誘電性材料を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
誘電性材料が実質的に不透明である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
被覆層材料が結晶性または非結晶性半導体材料を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
(a) 基材;
(b) 基材により実質的に互いから隔離された被覆材料の非連続性アイランドのアレイの形状で、基材上に沈着された被覆材料;そして
(c) アイランドに結合された先端(apical)官能基および被覆材料に対しては結合するが基材に対しては結合しないように構成される基底(basal)官能基を有し、それにより結合されたリガンドは実質的にアイランドに限定され、そして基材は実質的に結合されたリガンドを含まないままであるリガンド;
を含む、マイクロアレイ。
【請求項39】
(a) 基材;
(b) そのウェルの基部に基材が含まれる非連続性のウェルのアレイを横方向に規定する連続的な被覆材料層の形状で、基材上に沈着された被覆材料;そして
(c) ウェルに結合された先端(apical)官能基および基材に対しては結合するが被覆層材料に対しては結合しないように構成される基底(basal)官能基を有し、それにより結合されたリガンドが実質的に検知ゾーンに限定され、そして被覆層が実質的に結合されたリガンドを含まないままであるするリガンド;
を含む、マイクロアレイ。
【請求項40】
表面に結合するためにリガンドが放射光エネルギーを必要とする光解離性官能基を含む、請求項39に記載のマイクロアレイ。
【請求項41】
放射光エネルギーが検知ゾーン中のみの上部表面を通過し、それにより検知ゾーン中の光解離性官能基を上部表面に対して結合させ;結合リガンドは、検知ゾーンに実質的に限定され、そして被覆層は実質的に結合リガンドが存在しないままである、請求項40に記載のマイクロアレイ。
【請求項42】
光解離性官能基を検知ゾーンに固定化し、放射光エネルギーが光解離性官能基を脱保護化し、脱保護化された基がオリゴヌクレオチドプローブまたはその他の生体分子に対して結合することができる、請求項41に記載のマイクロアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−537168(P2010−537168A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521134(P2010−521134)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/073023
【国際公開番号】WO2009/023716
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(504260058)ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイション (19)
【Fターム(参考)】