説明

ハイブリッドサーボシステム

【課題】負荷を駆動する主電動サーボモータの長寿命化を実現できること。
【解決手段】一端23Aが負荷25に連結された作動ロッド23を備え、この作動ロッドをその軸方向に駆動する主電動サーボモータ11と、作動ロッド23の他端23Bに設置された主ピストン36を備える主油圧シリンダ部12と、この主油圧シリンダ部に接続され、副ピストン42を備える副油圧シリンダ部13と、この副油圧シリンダ部に内蔵され、副ピストン42を駆動する直動型電動サーボモータからなる副電動サーボモータ14とを有し、副電動サーボモータ14の作動による副油圧シリンダ部13からの油圧によって、主油圧シリンダ部12を介し主電動サーボモータ11の作動ロッド23が動作可能に構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水車の水流調整機構などの負荷を複数種類の電動サーボモータを用いて動作させるハイブリッドサーボシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所において、水車の水流調整機構(例えばガイドベーンなど)を動作させる電動サーボモータは、電動機の回転運動を動力変換機構により直線運動に変換して作動ロッドをその軸方向に駆動し、この作動ロッドに連結された上記水流調整機構を動作させるものが一般的である(第1の電動サーボモータ)。
【0003】
また、特許文献1には、水車の水流調整機構に連結された作動ロッドの外周に移動子が設置され、この移動子の周囲に配置された固定子(モータコイル)からの電磁力によって上記作動ロッドを直線運動させる直動型の第2の電動サーボモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−284792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような水車の水流調整機構を動作させる電動サーボモータでは、起動時と停止時以外の時には、作動ロッドを所定位置に保持する運用が一般的である。このため、従来の第1及び第2の電動サーボモータでは、作動ロッドを所定位置に微調整して保持するために複雑な制御が必要になる。また、このときには、第1及び第2の電動サーボモータが常に通電されており、特に第1の電動サーボモータでは電動機や動力変換機構に荷重が作用しているため、第1及び第2の電動サーボモータの寿命が短くなってしまう。
【0006】
また、第1及び第2の電動サーボモータでは、作動ロッドを所定位置に保持した状態で水圧脈動等の高周波数変動が作用すると、この高周波数変動が動力変換機構などの機器に悪影響を及ぼしたり、この悪影響を回避するために、上記高周波数変動に対処するための特別な制御が必要になる。
【0007】
更に、上述のような第1及び第2の電動サーボモータにあっては、起動時に最大電流が必要になる。特に第1の電動サーボモータでは、この最大電流が電動機に供給されることで電動機が劣化しやすく、この点からも電動機、ひいては電動サーボモータの寿命が低下してしまう。
【0008】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、負荷を駆動する主電動サーボモータの長寿命化を実現できるハイブリッドサーボシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一端が負荷に連結された作動ロッドを備え、この作動ロッドをその軸方向に駆動する主電動サーボモータと、前記作動ロッドの他端に設置された主ピストンを備える主シリンダ部と、この主シリンダ部に接続され、副ピストンを備える副シリンダ部と、この副シリンダ部に内蔵され、前記副ピストンを駆動する直動型電動サーボモータからなる副電動サーボモータとを有し、前記副電動サーボモータの作動による前記副シリンダ部からの圧力によって、前記主シリンダ部を介し前記主電動サーボモータの前記作動ロッドが動作可能に構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、副電動サーボモータの作動による副シリンダ部からの圧力によって、主電動サーボモータの作動ロッドを動作させることができるので、主電動サーボモータが作動ロッドを所定位置に保持した後には、この主電動サーボモータへの通電を停止してこの主電動サーボモータを休止させることができる。従って、負荷を駆動する主電動サーボモータを連続して運転する場合に比べ、その長寿命化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るハイブリッドサーボシステムの第1実施の形態を示す系統図。
【図2】図1の主電動サーボモータを示す断面図。
【図3】図1の主電動サーボモータの他の例を示す断面図。
【図4】図1のハイブリッドサーボシステムにおける作用の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明に係るハイブリッドサーボシステムの第2の実施の形態を示す系統図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
【0013】
[A]第1の実施の形態(図1〜図4)
図1は、本発明に係るハイブリッドサーボシステムの第1の実施の形態を示す系統図である。このハイブリッドサーボシステム10は、主電動サーボモータ11と、主シリンダ部としての主油圧シリンダ部12と、副シリンダ部としての副油圧シリンダ部13と、直動型電動サーボモータからなる副電動サーボモータ14と、主油圧シリンダ部12と副油圧シリンダ部13とを接続する第1配管15、第2配管16及び第3配管17と、第1配管15、第2配管16をそれぞれ閉止(遮蔽)する遮蔽手段としての第1閉止弁18、第2閉止弁19と、第1配管15及び第2配管16に接続される圧力付与手段としてのアキュムレータ20及び回収手段としての回収タンク21と、主電動サーボモータ11及び副電動サーボモータ14等を制御する制御装置22と、を有して構成される。
【0014】
主電動サーボモータ11は、一端23Aが負荷25に連結された作動ロッド23を備え、この作動ロッド23をその軸方向に駆動させるものであり、例えば図2に示すように電動機26及び動力変換機構27を有して構成される。ここで、前記負荷25は図示しないが、本実施の形態では水車の水流調整機構であり、具体的には、反動形水車やクロスフロー水車のガイドベーンや、衝撃形水車のノズルパイプ内のニードルなどである。
【0015】
図2に示す主電動サーボモータ11では、電動機26は回転運動し、動力変換機構27は、電動機26の回転運動を直線運動に変換して作動ロッド23へ伝達するものであり、第1ギア28Aと、第2ギア28Bと、第3ギア28Cと、第4ギア28Dを備えたナット29と、作動ロッド23の外周に形成されたボールねじ30とを有してなる。これらの第1ギア28A、第2ギア28B、第3ギア28C、第4ギア28D、ナット29及びボールねじ30はケーシング31内に収容され、このケーシング31の外側に電動機26が設置され、作動ロッド23の一端23A側がケーシング31外へ突出する。
【0016】
第2ギア28Bは第1ギア28Aに噛み合い、この第1ギア28Aよりも大径に形成されて電動機26の回転運動を減速する。第3ギア28Cは、第2ギア28Bと回転一体に設けられると共に、第4ギア28Dに噛み合う。この第4ギア28Dは、第3ギア28Cよりも大径に形成されて、電動機26の回転運動を更に減速してナット29を回転させる。このナット29がボールねじ30に螺合され、このナット29の回転により作動ロッド23が軸方向に移動する。
【0017】
また、上記主電動サーボモータ11は、図3に示す直動型電動サーボモータであってもよい。つまり、この直動型電動サーボモータである主電動サーボモータ11は、ケーシング32と、このケーシング32を貫通する作動ロッド23と、この作動ロッド23の外周に設けられた磁石製の移動子33と、この移動子33の周囲に対応してケーシング32に設置されたコイルからなる固定子34とを有して構成される。この主電動サーボモータ11では、固定子34からの電磁力の変化によって、移動子33を介し作動ロッド23が軸方向に移動する。尚、図2及び図3に示す符号35は手動ハンドルであり、作動ロッド23を手動操作により直線移動させるものである。
【0018】
前記主油圧シリンダ部12は、図1〜図3に示すように、作動ロッド23の他端23Bに設置された主ピストン36がシリンダ37内に収容され、作動ロッド23が軸方向に往復移動可能に設けられたものである。シリンダ37は、ケーシング31、32に一体にまたは一体的に設けられる。この主油圧シリンダ部12のシリンダ37内には作動油が充填されると共に、このシリンダ37内は主ピストン36によってA室38AとB室38Bとに区画される。
【0019】
この主油圧シリンダ部12は、本来的には、主電動サーボモータ11により負荷25を急激に動作させるとき(例えばガイドベーンを急速に閉鎖させるとき)に、主ピストン36がシリンダ37に衝突する事態を油圧の作用で干渉させて回避するダッシュポットとして機能する。本実施の形態では、主油圧シリンダ部12は上記ダッシュポット機能に加え、後述の如く、主電動サーボモータ11の休止時に油圧の作用で作動ロッド23を軸方向に移動(微小移動)させて、この作動ロッド23を所定位置に保持する機能を果たす。
【0020】
前記副油圧シリンダ部13は、図1に示すように、シリンダ40と、このシリンダ40の内部でシリンダ40の軸方向に延在して配置されたロッド41と、このロッド41に貫通され、シリンダ40の軸方向に移動可能に設けられた副ピストン42とを有して構成され、シリンダ40内に作動油が充填される。
【0021】
この副油圧シリンダ部13は、前記第1配管15、前記第2配管16及び前記第3配管17を用いて、主油圧シリンダ部12に接続される。つまり、主油圧シリンダ部12のA室38Aは、第1配管15を用い、この第1配管15の第1ポート15Aによって副油圧シリンダ部13のシリンダ40に接続される。また、主油圧シリンダ部12のB室38Bは、第2配管16を用い、この第2配管16の第2ポート16Aによって副油圧シリンダ部13のシリンダ40に接続される。更に、主油圧シリンダ部12のB室38Bは、第2配管16から第1ポート15Aの反対側に分岐された第3配管17を用い、その第3ポート17Aによって副油圧シリンダ部13のシリンダ40に接続される。これにより、副油圧シリンダ部13のシリンダ40内の作動部が第1配管15を経て主油圧シリンダ部12のA室38Aに流出入し、また副油圧シリンダ部13のシリンダ40内の作動油が第2配管16及び第3配管17を経て主油圧シリンダ部12のB室38Bに流出入する。
【0022】
ここで、第1ポート15Aと第3ポート17Aは略同一径に形成されるが、第2ポート16Aは第3ポート17Aよりも小径に形成される。これにより、第2ポート16Aがオリフィスとして機能し、第2ポート16A内を流れる作動油の流れが遅くなる。また、主油圧シリンダ部12と副油圧シリンダ部13は、第1配管15、第2配管16及び第3配管17により閉じたループに構成されて、このループを流れる作動油の漏洩が防止されている。
【0023】
副油圧シリンダ部13の副ピストン42にモータコイル43が巻き付けられ、副油圧シリンダ部13のロッド41が磁石にて形成されることで、これらのモータコイル43及び磁石製のロッド41により、直動型サーボモータである前記副電動サーボモータ14が、副油圧シリンダ部13に内蔵されて構成される。モータコイル43に発生する電磁力により、副油圧シリンダ部13の副ピストン42がロッド41に対して軸方向に往復移動可能に設けられ、この副ピストン42の移動に伴って生じる副油圧シリンダ部13の油圧が主油圧シリンダ部12へ作用し、これにより主電動サーボモータ11の作動ロッド23が動作可能に構成される。
【0024】
主電動サーボモータ11が作動ロッド23により負荷25、特に水車の水流調整機構(ガイドベーンなど)を動作させる場合、所定位置まで動作させた後にその位置を保持させる必要がある。本実施の形態では、主電動サーボモータ11が上記負荷25(水車の水流調整機構)を所定位置に保持した後には、主電動サーボモータ11への通電を停止してこの主電動サーボモータ11を休止させ、主電動サーボモータ11の電動機26及び動力変換機構27を負荷25から切り離す。そして、この間に前述の如く、副電動サーボモータ14を作動させて、副油圧シリンダ部13に油圧を発生させ、この油圧により主油圧シリンダ部12を介して主電動サーボモータ11の作動ロッド23を移動(微小移動)させ、この作動ロッド23により上記負荷25(水車の水流調整機構)の位置を微調整する。
【0025】
ところで、副油圧シリンダ部13の副ピストン42は、主電動サーボモータ11の作動時には、副電動サーボモータ14によって、シリンダ40内で第1ポート15A、第2ポート16A及び第3ポート17Aを互いに連通させる待機位置(つまり、シリンダ40内において第3ポート17Aよりも外側の図1に示す1点鎖線表示位置)に位置付けられる。これにより、主油圧シリンダ部12のA室38AとB室38B内の作動油が、第1配管15、第2配管16及び第3配管17並びに副油圧シリンダ部13を経てスムーズに流出入可能となり、主電動サーボモータ11の動作が円滑に実施される。
【0026】
また、副油圧シリンダ部13の副ピストン42は、主電動サーボモータ11の休止時で、且つ副電動サーボモータ14の作動により副油圧シリンダ部13の油圧によって主油圧シリンダ部12を介し主電動サーボモータ11の作動部23を動作させるときには、副電動サーボモータ14によって第1ポート15Aと第3ポート17Aとの間で往復移動される。これにより、副油圧シリンダ部13にて発生した油圧を、第1配管15を経て主油圧シリンダ部12のA室38Aへ、または第2配管16及び第3配管17(特に第3配管17)を経て主油圧シリンダ部12のB室38Bへ作用することが可能になる。
【0027】
更に、副油圧シリンダ部13の副ピストン42は、主電動サーボモータ11の休止時で、且つ副電動サーボモータ14により主電動サーボモータ11の作動ロッド23を動作させないときには、副電動サーボモータ14によって第2ポート16Aと第3ポート17Aとの間(図1の2点鎖線表示位置)に位置付けられる。これにより、主油圧シリンダ部12のA室38AまたはB室38Bからの作動油が第2ポート16Aを流れるときの抵抗と、副ピストン42の微小移動とによって、主電動サーボモータ11の休止時に作動ロッド23に作用する水圧脈動等の高周波数変動を吸収することが可能になる。
【0028】
前記第1閉止弁18、第2閉止弁19は第1配管15、第2配管16において主油圧シリンダ部12付近にそれぞれ配設される。これらの第1閉止弁18及び第2閉止弁19は、主電動サーボモータ11及び副電動サーボモータ14の非作動時に共に閉止動作されて、主油圧シリンダ部12と副油圧シリンダ部13との接続を遮断する。これにより、主油圧シリンダ部12では、A室38AとB室38Bとが互いに独立になり、A室38AとB室38Bとの間で副油圧シリンダ部13等を介した作動油の流出入が阻止される。この結果、休止状態にある主電動サーボモータ11の作動ロッド23の位置が固定されることになる。
【0029】
また、一般に、主電動サーボモータ11は起動時に最大電流を必要とする。この主電動サーボモータ11へ流れる起動時の電流を低下させるために、副電動サーボモータ14は、主電動サーボモータ11の起動前に、この主電動サーボモータ11の起動動作をアシストする油圧を副油圧シリンダ部13から主油圧シリンダ部12へ作用させるべく、副油圧シリンダ部13の副ピストン42を動作させる。例えば、主電動サーボモータ11の起動時に作動ロッド23を突出動作させる場合には、主電動サーボモータ11の起動前に、副電動サーボモータ14は、副油圧シリンダ部13の副ピストン42を第1ポート15A側へ移動させて、主油圧シリンダ部12のA室38Aへ油圧を作用させ、主電動サーボモータ11起動時における作動ロッド23の突出動作をアシストする。
【0030】
前記アキュムレータ20は、弁44を介して第1配管15に接続され、弁45を介して第2配管16に接続される。また、前記回収タンク21は、弁46を介して第1配管15に接続され、弁47を介して第2配管16に接続される。
【0031】
アキュムレータ20は、主電動サーボモータ11の起動前に、弁44、45、46及び47の開動作と共に作動して、主電動サーボモータ11の起動動作をアシストする油圧を、主油圧シリンダ部12のA室38AまたはB室38Bへ作動油を供給することで付与する。回収タンク21は、アキュムレータ20からの作動油の供給に伴い主油圧シリンダ部12のA室38AまたはB室38Bから作動油を回収する。このアキュムレータ20からの作動油の供給は、主電動サーボモータ11の起動前に副電動サーボモータ14が副油圧シリンダ部13の副ピストン42を動作させることで、副油圧シリンダ部13から主油圧シリンダ部12へ作用するアシスト油圧が不足する場合になされる。
【0032】
前記制御装置22は、主電動サーボモータ11、副電動サーボモータ14、第1閉止弁18、第2閉止弁19、弁44、45、46及び47に電気的に接続されて、これらの機器を制御する。この制御の一例を図4に示す。
【0033】
制御装置22は、主電動サーボモータ11の作動ロッド23を駆動すべくサーボストローク変動指令を出力するが(S1)、まずこのサーボストローク変動指令値が第1閾値nよりも小さいか否かを判断する(S2)。制御装置22は、ステップS2において、サーボストローク変動指令値が第1閾値n以上である場合に主電動サーボモータ11を作動させて、この主電動サーボモータ11により作動ロッド23を駆動し(S3)、負荷25(例えば水車の水流調整機構)を動作させる。
【0034】
ステップ2の判断で、サーボストローク変動指令値が第1閾値nよりも小さい場合、つまりほとんどは主電動サーボモータ11が負荷25(例えば水車の水流調整機構)を所定位置に移動させてその位置に保持させる場合には、制御装置22は、このサーボストローク変動指令値が第2閾値nm(nm<n)よりも小さいか否かを判断する(S4)。
【0035】
ステップ4において、サーボストローク変動指令値が第2閾値nm以上で且つ第1閾値nよりも小さい場合には、制御装置22は副電動サーボモータ14を作動させ、副油圧シリンダ部13により発生する油圧によって、主油圧シリンダ部12を介し作動ロッド23を駆動し(S5)、負荷25(例えば水車の水流調整機構)の位置を微調整する。このとき、制御装置22は、主電動サーボモータ11への通電を停止してこの主電動サーボモータ11を休止させ、主電動サーボモータ11の電動機26及び動力変換機構27(図2)を負荷25から切り離す。
【0036】
ステップ4の判断で、サーボストローク変動指令値が第2閾値nmよりも小さい場合には、制御装置22は、副電動サーボモータ14によりその副ピストン42を第2ポート16Aと第3ポート17Aとの間に移動させて保持し、主電動サーボモータ11の作動ロッド23に作用する水圧脈動等の高周波数変動を、作動油が第2ポート16Aを流れるときの抵抗と、副ピストン42の微小移動とにより吸収し減衰させる(S6)。
【0037】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
【0038】
(1)副電動サーボモータ14の作動による副油圧シリンダ部13からの油圧によって、主油圧シリンダ部12を介し主電動サーボモータ11の作動ロッド23を動作させることができるので、主電動サーボモータ11が作動ロッド23を所定位置に保持した後には、この主電動サーボモータ11への通電を停止してこの主電動サーボモータ11を休止させることができ、更に主電動サーボモータ11の電動機26及び動力変換機構27を負荷25(例えば水車の水流調整機構)から切り離すことができる。従って、負荷を駆動する主電動サーボモータ11を連続して運転する場合に比べ、主電動サーボモータ11が休止されること、及び主電動サーボモータ11の電動機26及び動力変換機構27に負荷25からの荷重が作用しないことで、主電動サーボモータ11の長寿命化を実現できる。
【0039】
(2)主電動サーボモータ11が作動ロッド23を所定位置に保持した後には、副電動サーボモータ14の作動による副油圧シリンダ部13からの油圧によって、主油圧シリンダ部12を介し主電動サーボモータ11の作動ロッド23を動作させる。このことから、副油圧シリンダ部13からの油圧により作動ロッド23を微小移動させて、負荷25(特に水車の水流調整機構)を容易に微調整することができる。
【0040】
(3)主電動サーボモータ11により作動ロッド23を所定位置に保持した後で、副電動サーボモータ14の副ピストン42を第2ポート16Aと第3ポート17Aとの間に位置付ける場合には、主油圧シリンダ部12のA室38AまたはB室38Bからの作動油が第2ポート16Aを流れるときの抵抗等によって、主電動サーボモータ11の作動ロッド23に作用する水圧脈動等の高周波数変動を減衰させることができる。
【0041】
(4)主電動サーボモータ11の起動前に、この主電動サーボモータ11の起動動作をアシストする油圧を副油圧シリンダ部13から主油圧シリンダ部12へ作用させるべく、副油圧シリンダ部13の副ピストン42を動作させることから、主電動サーボモータ11の起動時に必要な、主電動サーボモータ11へ供給される起動電流を低下させることができ、併せて主電動サーボモータ11の起動をスムーズに実施できる。
【0042】
[B]第2の実施の形態(図5)
図5は、本発明に係るハイブリッドサーボシステムの第2の実施の形態を示す系統図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0043】
本実施の形態のハイブリッドサーボシステム50が前記実施の形態のハイブリッドサーボシステム10と異なる点は、副油圧シリンダ部51及び副電動サーボモータ52の構成である。
【0044】
つまり、まず副油圧シリンダ部51は、シリンダ40内に配設されたロッド53の一端に副ピストン54が固定され、他端にロッド支持部55が固定されて構成される。主電動サーボモータ11の作動時における副ピストン54の待機位置は、シリンダ40内において第3ポート17Aよりも外側の図5に示す1点鎖線表示位置であり、第1ポート15A、第2ポート16A及び第3ポート17Aがシリンダ40内で互いに連通する位置である。
【0045】
次に副電動サーボモータ52は、シリンダ40内に配置されてロッド53が貫通するモータコイル56と、磁石製の前記ロッド53とを有して構成され、モータコイル56に生ずる電磁力によってロッド53が副油圧シリンダ部51の軸方向に移動することで、副ピストン54をシリンダ40の軸方向に往復移動させる。従って、この副電動サーボモータ52も、前記副電動サーボモータ14と同様に直動型電動サーボモータであり、副油圧シリンダ部51に内蔵される。
【0046】
副油圧シリンダ部51の副ピストン54は、主電動サーボモータ11の作動時には副電動サーボモータ52により前記待機位置に位置付けられる。また、副油圧シリンダ部51の副ピストン54は、主電動サーボモータ11の休止時で、且つ副油圧シリンダ部51が発生する油圧により主油圧シリンダ部12を介して主電動サーボモータ11の作動ロッド23を動作させるときには、副電動サーボモータ52により第ポート15Aと第3ポート17Aとの間で往復移動される。更に、副油圧シリンダ部51の副ピストン54は、主電動サーボモータ11の休止時で、且つ副油圧シリンダ部51が発生する油圧により主油圧シリンダ部12を介して主電動サーボモータ11の作動ロッド23を動作させないときには、副電動サーボモータ52により第2ポート16Aと第3ポート17Aとの間(図5の2点鎖線表示位置)に位置付けられる。従って、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(4)と同様の効果を奏する。
【0047】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
例えば、上記両実施の形態において、主電動サーボモータ11と副電動サーボモータ14、52との作動の切替をサーボストローク変動指令値に基づいて実施する場合を述べたが、主電動サーボモータ11の駆動電流が所定の閾値以下となったときに、主電動サーボモータ11の作動から副電動サーボモータ14の作動へと切り替えるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 ハイブリッドサーボシステム
11 主電動サーボモータ
12 主油圧シリンダ部(主シリンダ部)
13 副油圧シリンダ部(副シリンダ部)
14 副電動サーボモータ
15 第1配管
16 第2配管
17 第3配管
15A 第1ポート
16A 第2ポート
17A 第3ポート
18 第1閉止弁
19 第2閉止弁
20 アキュムレータ(圧力付与手段)
23 作動ロッド
23A 一端
23B 他端
25 負荷
26 電動機
27 動力変換機構
36 主ピストン
38A A室
38B B室
42 副ピストン
50 ハイブリッドサーボシステム
51 副油圧シリンダ部(副シリンダ部)
52 副電動サーボモータ
54 副ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が負荷に連結された作動ロッドを備え、この作動ロッドをその軸方向に駆動する主電動サーボモータと、
前記作動ロッドの他端に設置された主ピストンを備える主シリンダ部と、
この主シリンダ部に接続され、副ピストンを備える副シリンダ部と、
この副シリンダ部に内蔵され、前記副ピストンを駆動する直動型電動サーボモータからなる副電動サーボモータとを有し、
前記副電動サーボモータの作動による前記副シリンダ部からの圧力によって、前記主シリンダ部を介し前記主電動サーボモータの前記作動ロッドが動作可能に構成されたことを特徴とするハイブリッドサーボシステム。
【請求項2】
前記主シリンダ部は、主ピストンによりA室とB室とに区画され、前記A室は、第1配管を用いその第1ポートによって副シリンダ部に接続され、前記B室は、第2配管を用いその第2ポートによって、更に前記第2配管から前記第1ポートの反対側に分岐された第3配管を用いその第3ポートによって、それぞれ前記副シリンダ部に接続され、前記第2ポートが前記第3ポートよりも小径に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項3】
前記副シリンダ部の副ピストンは、主電動サーボモータの作動時には、副電動サーボモータによって、前記副シリンダ部内で第1ポート、第2ポート及び第3ポートを互いに連通させる待機位置に位置づけられるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項4】
前記副シリンダ部の副ピストンは、主電動サーボモータの休止時で、且つ副電動サーボモータにより主電動サーボモータの作動ロッドを動作させる時には、前記副電動サーボモータにより第1ポートと第3ポートとの間で往復移動されるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項5】
前記副シリンダ部の副ピストンは、主電動サーボモータの休止時で、且つ副電動サーボモータにより主電動サーボモータの作動ロッドを動作させない時には、前記副電動サーボモータによって第2ポートと第3ポートとの間に位置づけられるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項6】
前記主電動サーボモータは、回転運動する電動機と、この電動機の回転運動を直線運動に変換して作動ロッドへ伝達する動力変換機構部と、を有する電動サーボモータであることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項7】
前記副電動サーボモータは、主電動サーボモータの起動前に、この主電動サーボモータの起動動作をアシストする圧力を副シリンダ部から主シリンダ部へ作用させるべく、前記副シリンダ部の副ピストンを動作させるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項8】
前記主シリンダ部には、主電動サーボモータの起動前に、この主電動サーボモータの起動動作をアシストする圧力が圧力付与手段から付与可能に構成されたことを特徴とする請求項7に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項9】
前記主シリンダ部と副シリンダ部との接続は、主電動サーボモータ及び副電動サーボモータの非動作時には遮断手段により遮断可能に構成され、前記主シリンダ部は、主ピストンにより区画される各室が独立するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドサーボシステム。
【請求項10】
前記負荷が、水車の水流調整機構であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドサーボシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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