説明

ハイブリッド自動車のバッテリー充電方法及び前記方法を用いるハイブリッド自動車

【課題】
車両の停車中にもバッテリーの充電を円滑にして、効率的なハイブリッドモード運行が可能であり、車両の燃費を向上できるハイブリッド車両のバッテリー充電方法を提供する。
【解決手段】
エンジンとモータを動力源として含み、前記モータを駆動する電気エネルギーを保存するバッテリーを含む。前記方法は、前記自動車の停車中に前記バッテリーの充電の要否を判断する段階、前記バッテリーの充電が必要であれば、変速機を中立段(N段)に切り替える段階、前記エンジンを始動させる段階、前記エンジンと前記モータを連結するエンジンクラッチを締結して、エンジンの動力で前記モータが電気エネルギーを発生する段階、及び前記モータが発生した電気エネルギーを前記バッテリーに保存する段階、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車のバッテリー充電方法及び前記方法を用いるハイブリッド自動車に係り、より詳しくは、メイン駆動モータを利用したバッテリー充電方法と、これを利用した自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、エンジンの駆動によって発電する発電機、バッテリー(高圧バッテリー)、及び駆動モータなどを備えたハイブリッド電気自動車(HEV)が実用化される傾向にある。ハイブリッド電気自動車には、エンジンの駆動力と駆動モータの駆動力を共に使用して駆動輪を駆動させる並列式ハイブリッド電気自動車、エンジンの駆動力によって発電した電力を使用して駆動モータを駆動させる直列式ハイブリッド電気自動車、及び前記並列式ハイブリッド電気自動車と前記直列式ハイブリッド電気自動車とが混合されたハイブリッド電気自動車に分類される。
【0003】
ハイブリッド電気自動車は、高電圧(例えば、500V程度)バッテリーとは別途に、低電圧(例えば、24V)の直流電力を蓄積する低電圧バッテリーを備える。このような低電圧バッテリーからの電力供給によって、車両のヘッドランプやストップランプなどの灯化系電装品、エアコンディショナーの圧縮器やコンデンサなどの空調系電装品、オーディオなどの音響電装品、あるいは各種制御器、ブレーキ用真空ポンプなどの制御系電装品などが作動している。
【0004】
ハイブリッド電気自動車において、このようなバッテリーの充電は大変重要であるが、並列式ハイブリッド車両では車両の作動モードによって充電方式が異なる。
【0005】
つまり、車両の停車中には、ハイブリッドスタータゼネレータ(Hybrid starter generator、以下、HSGという)によってバッテリーが少量充電されるが、メインモータを使用してバッテリーを充電するのは不可能である。そして、車両走行時にはメインモータを利用したバッテリーの充電が可能である。特に、車両がD段で停車すれば、HSGによってだけバッテリーを充電することができるので、バッテリーの充電量が不足する恐れがある。バッテリーの充電量が不足すれば、走行時にモータを十分に活用できなくなるため、ハイブリッド車両の運転性が不利で、燃費の低下につながるようになる。
【0006】
一方、一定の勾配(例えば、4%)以内の道路では、N段でバッテリーを充電した後、変速機の内部のUDクラッチをスリップさせて車両を発進させることができるが、一定の勾配以上の勾配路に停止する場合であれば、スリップエネルギーが過多で、N段でモータを利用してバッテリーを充電できない場合が発生する。
【0007】
したがって、色々な状況下でバッテリーの充電を円滑にするハイブリッド車両の充電方法に対する研究と改善が必要である。(例えば特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−180665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、車両の停車中にもバッテリーの充電を円滑にして、効率的なハイブリッドモード運行が可能であり、車両の燃費を向上できるハイブリッド車両のバッテリー充電方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、勾配路と関係なく、車両の停車中にメインモータを利用してバッテリーを充電できるようにして、車両の運転性が向上し、バッテリー残量管理が容易であるハイブリッド自動車を提供することにある。
【0011】
本発明が目的とする技術的課題は、上述した技術的課題に限定されず、言及されていない他の技術的課題は、本発明の記載から当該分野における通常の知識を有する者であれば明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための本発明の実施例に係るハイブリッド自動車のバッテリー充電方法は、エンジンとモータを動力源として含み、前記モータを駆動する電気エネルギーを保存するバッテリーを含むハイブリッド自動車のバッテリーを充電する方法であって、前記自動車の停車中に前記バッテリーの充電の要否を判断する段階、前記バッテリーの充電が必要であれば、変速機を中立段(N段)に切り替える段階、前記エンジンを始動させる段階、前記エンジンと前記モータを連結するエンジンクラッチを締結して、エンジンの動力で前記モータが電気エネルギーを発生する段階、及び前記モータが発生した電気エネルギーを前記バッテリーに保存する段階、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記エンジンクラッチは、前記エンジンを始動する時期に同期して締結されることを特徴とする。
【0014】
前記方法は、前記自動車の停車中にブレーキが解除されるか否かを判断する段階、前記ブレーキが解除されると、前記モータの駆動速度を安全速度以下に減少させる段階、及び前記変速機内の低速クラッチを締結して、前記変速機をドライブ段(D段)に切り替える段階、をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
前記ブレーキが解除される間の前記ハイブリッド自動車は制限的にスリップ発進することを特徴とする。
【0016】
前記安全速度は300RPM(rpm)以下とすることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施例に係るハイブリッド自動車は、前記自動車のバッテリー残量情報を含む状態情報をモニタする状態感知部、前記自動車の停車中に前記バッテリー残量情報が所定値以下である場合、中立変速段に切り替わる変速機、及び前記変速機の変速段の切替時点と同期して駆動される前記エンジンを前記モータと締結するエンジンクラッチ、を含み、前記エンジンの動力を利用して前記モータは電気エネルギーを発生し、前記発生した電気エネルギーは前記バッテリーに保存されることを特徴とする。
【0018】
前記変速機が中立変速段に切り替わると、前記モータは充電用意状態に制御されることを特徴とする。
【0019】
電気エネルギーが前記バッテリーに保存されるうちにブレーキが解除されると、前記モータは安全速度以下に減速されることを特徴とする。
【0020】
前記変速機は低速クラッチを含み、前記低速クラッチは前記ハイブリッド自動車の停車中にブレーキが解除される場合、前記変速機をドライブ段(D段)に切り替えて前記自動車を制限的にスリップ発進することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例によれば、ハイブリッド車両の停車中にもバッテリーを十分に充電させることができるので、ハイブリッド自動車の運転性が向上し、これによってハイブリッド車両の燃費を向上できる。
【0022】
また、メインモータを駆動するためのバッテリー残量管理が容易となり、メインモータを十分に活用することができるので、ハイブリッド車両の運行効率を高めることができる。
【0023】
そして、勾配路と関係なく、車両の停車中にメインモータを利用した充電方法を提供することによって、傾斜角センサーが不要となり、車両の生産原価を節減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係るハイブリッド自動車のバッテリー充電方法を示すフローチャート。
【図2】図1のバッテリー充電方法を行うハイブリッド自動車の概略図。
【図3】本発明の実施例に係るハイブリッド自動車のバッテリー充電方法の各過程におけるハイブリッド自動車の動作を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施例に限られない。
【0026】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付与する。
【0027】
明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという時、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を介在して「電気的に接続」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる基材がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。
【0028】
図1は、本発明の実施例に係るハイブリッド自動車のバッテリー充電方法を示すフローチャートである。
【0029】
図1を参照すれば、本発明の実施例に係るハイブリッド自動車のバッテリー充電方法は、状態感知部100から監視状態情報を取得することによって開始される。
【0030】
状態感知部100は、色々な車両状態に対する感知システムによって車両の状態に対する情報を収集する装置であるか、または直接的にセンサーなどの感知手段によって車両の状態に対する情報を収集して表示する装置である。
【0031】
前記車両状態は特に制限されないが、ハイブリッド車両の運転状態、走行状態、バッテリー充電状態、ブレーキ状態、及び構成品の安全状態などに対する状態情報である。
【0032】
本発明の実施例に係るハイブリッド車両のバッテリー充電方法が適用されるハイブリッド車両のバッテリー充電システムは、前記状態感知部100によってハイブリッド車両のバッテリー残量(SOC)に対する監視情報を取得する。つまり、ハイブリッド車両のバッテリー残量を持続的にモニタする(S1)。
【0033】
ハイブリッド車両がD段で走行中に停車した場合、前記バッテリー残量の監視情報によってバッテリーの充電の要否を判断する(S2)。
【0034】
前記S2段階で、万一、バッテリーの残量が十分で、バッテリーの充電が必要でない場合であれば、S3段階でハイブリッドスタータゼネレータ(HSG)を利用してバッテリーの少量充電だけを行うようになる。
【0035】
ハイブリッドスタータゼネレータ(HSG)は、ハイブリッド車両でエンジンを始動する時には電動機として動作し、発電をしなければならない時には発電機として動作する始動発電機である。前記S2段階で、車両はD段で停車中であるので、エンジンが駆動されてHSGが発電するようにする。前記S3段階で、HSGを利用したバッテリー充電は充電量の限界があるため、本発明の実施例によれば、バッテリー充電が殆ど必要でないほどバッテリー残量が十分な場合に限って前記S3段階に進む。
【0036】
万一、S2段階で、バッテリー残量が不足してバッテリーを充電しなければならない場合には、変速機を中立ギヤモード、つまり、N段に切り替える(S4)。その後、エンジンクラッチを締結して、駆動モータ(メインモータ)とエンジンを連結する(S5)。
【0037】
次に、メインモータを利用してバッテリーを充電するためにエンジンを駆動する(S6)。
この場合、メインモータがエンジンの動力を利用して発電機として作動して、バッテリーが充電される(S7)。本発明の他の実施例においては、前記順序に制限されずに、前記エンジンクラッチはエンジンの始動と同時に迅速に締結されることも可能である。
【0038】
前記S7段階で、メインモータを発電機として作動するようにしてバッテリーを充電し、自動車の運行のためにブレーキの解除が開始したかを判断する(S8)。
【0039】
万一、自動車が停車し続けて、ブレーキが解除されない場合には、前記方法はS7段階に戻って、駆動モータを利用したバッテリー充電を継続する。
【0040】
しかし、自動車が走行するためにブレーキ解除が開始した場合には、メインモータの速度を減少させる(S9)。また、メインモータの回転速度を減少させると同時にエンジンクラッチを解除する。
【0041】
メインモータの減速程度は特に制限されない。一実施例において、前記メインモータの速度は安全速度である300rpm以下に減少させるか、またはDレンジで1速を担当する低速クラッチ(例えば、UDクラッチ)の許容速度以下に減少する。
【0042】
前記S9段階で、メインモータ速度が安全速度まで十分に減少したら、変速機(ギヤボックス)内部の低速クラッチ(UDクラッチ)を締結してD段に切り替えて車両を発進させる(S10)。前記安全速度は300rpmであり、モータの速度が300rpm以下に減少した場合、車両の制限的なスリップ発進が可能である。一実施例において、メインモータを停止した後に、低速クラッチを安全に締結して、車両を出発させることもできる。前記S10段階で、車両が発進するようになると、車両に対する構成部品の状態または走行状態、バッテリー状態、ブレーキ状態などの情報は、さらに状態感知部100で取得される。
【0043】
本発明の実施例に係るハイブリッド車両のバッテリー充電方法によれば、勾配路の勾配程度と関係なく、メインモータを利用してバッテリーを充電することができるので、いかなる車両の駆動状況下でもバッテリーの十分な充電が可能になる。したがって、傾斜角センサーを活用するハイブリッド車両の一般的な充電方法に比べて、傾斜角センサーを必要としないので、車両の生産原価が節減する効果が得られる。つまり、従来のハイブリッド車両は、一定の勾配、例えば、4%程度以内ではN段でHSGを利用してバッテリーを充電した後、変速機の内部の低速クラッチをスリップさせて車両を発進することができるが、一定の勾配以上の勾配路に停止した時には、スリップエネルギーが過多であるため、N段でモータを利用してバッテリーを充電することができなかった。しかし、本発明の実施例によれば、勾配程度に関係なく、メインモータを利用してバッテリーを充電することができるので、車両の充電効率を向上することができる。
【0044】
図2は、図1のバッテリー充電方法を行うハイブリッド自動車の概略図である。つまり、本発明の実施例に係るバッテリー充電方法とは関連がないハイブリッド自動車の構成要素は省略し、本発明の実施例に係るバッテリー充電方法に関連した構成要素だけを図2に示した。
【0045】
図2に示しているように、本発明の実施例に係るバッテリー充電方法を行うハイブリッド自動車は、動力発生装置200を含む。前記動力発生装置200は、エンジン201、エンジンクラッチ202、モータ203、変速機(ギヤボックス)204、前記変速機内に含まれている低速クラッチ205、及び始動発電機209を含む。前記ハイブリッド自動車の動力発生装置200は、エンジン201の駆動力及び/またはモータ203の駆動力を選択的にホィール208に伝達して自動車を駆動する。
【0046】
ハイブリッド自動車の動力発生装置200はバッテリー充電システムと連結しており、前記バッテリー充電システムは、モータ203に連結したバッテリー206とインバータ207を含む。
【0047】
ハイブリッド車両は、動力源としてエンジン201とモータ203を利用することができる。
【0048】
つまり、車両が出発するか、または低速走行の時には、エンジンクラッチ202を解除して、モータ203だけで車両のホィール208に動力を伝達し(電気車モード)、高速走行の時には、エンジンクラッチ202を締結して、エンジン201とモータ203を同時に利用して、車両のホィール208に動力を伝達する(ハイブリッドモード)。
【0049】
始動発電機209はハイブリッドスタータゼネレータ(HSG)であって、エンジン201と連結している。車両が電気車モードからハイブリッドモードに切り替わる時、前記始動発電機209はエンジン201に始動をかける。一般に、ハイブリッド車両において、始動発電機209はメインモータでバッテリーを充電できない場合(例えば、車両が停車中である場合)、バッテリーを少量充電するようにする。しかし、始動発電機209を利用したバッテリーの充電容量は非常に制限的である。
【0050】
本発明の実施例に係るハイブリッド車両は、走行時にエンジンとモータを同時に利用できる並列型ハイブリッド車両であるので、エンジンクラッチ202の開閉と変速機204のレンジを制御することによって、メインモータ203によるバッテリーの充電が可能になる。
【0051】
エンジンクラッチ202は、ハイブリッド車両の動力源であるエンジン201とモータ203の間に設けられている。車両が停車中には、一般に、エンジンクラッチ202が解除されるが、変速機204がN段に切り替わった後には、前記エンジンクラッチ202が締結されて、エンジン201とモータ203を連結させる。一般的なハイブリッド車両では、停車中にエンジンクラッチ202が解除されて、エンジン201の駆動によってエンジン201と連結された始動発電機209だけを利用してバッテリーを充電させるが、本発明の実施例によれば、停車中に変速機204のN段締結と共に前記エンジンクラッチ202が締結される。この時、エンジン201を駆動させながら、エンジンクラッチ202によってエンジン201に連結されたメインモータ203を利用して、バッテリー206を充電することができる。したがって、停車中にも多くの発電電力をバッテリー206に充電することができる。
【0052】
モータ203を利用して発電した電力は、インバータ207を通じてバッテリー206に保存される。状態感知部100のような監視システムによってリアルタイムでバッテリー206の残量(SOC)状態を感知する。また、ハイブリッド車両の動力発生装置200は、モータ203またはエンジン201の駆動を制御するための制御部(図示せず)をさらに含むことができる。特に、前記制御部は、ハイブリッド自動車の状態感知部100で検出されたバッテリー残量が不足する場合、それに対する情報の伝達を受ける。この場合、前記制御部は、車両の停車時に変速機204をN段に切り替えて、前記モータ203を充電用意状態に制御することができる。また、前記制御部は、モータを充電用意状態に制御すると同時に、エンジン201の駆動のための点火を制御することができる。
【0053】
一方、前記エンジンクラッチ202は、メインモータ203によってバッテリーを充電させた後、ブレーキが解除されて車両が再出発する時、モータ203の回転速度の減少と共に解除される。
【0054】
変速機204はギヤボックスであって、車両の走行状態によってエンジン201またはモータ203で発生する動力を転換して、ホィールに伝達する。停車中にバッテリー206の充電が必要な場合には、前記変速機204はN段に切り替わる。つまり、変速機204がD段に締結された状態で車両が停車する場合には、一般に、HSGによってバッテリーが充電される。しかし、バッテリー残量が不足した場合には、ブレーキを解除しない状態で、変速機204がN段に切り替わって、モータ203によってバッテリーを充電する。
【0055】
変速機204の内部には低速クラッチ205が含まれるが、前記低速クラッチ205はアンダードライブクラッチ(UDC)とすることができる。ブレーキが解除されて車両が出発する時、前記低速クラッチ205が締結されて、変速機204はD段に切り替わり、車両が走行する。この時、モータ203は、安全速度以下に減速されるか、または停止されることができる。
【0056】
図3は、本発明の実施例によるハイブリッド自動車のバッテリー充電方法の各過程におけるハイブリッド自動車の動作を示す概略図である。
【0057】
まず、図3のステップ1(STEP1)は、変速機204がD段に締結された状態で車両が停止しており、ハイブリッド車両の状態感知部100からバッテリーの残量が不足であるという情報が入力される場合、動力発生装置200の動作を示したものである。
【0058】
前記ステップ1で、バッテリーの充電が必要であるので、動力発生装置の変速機204はN段に切り替わる。この時、エンジン201とメインモータ203の間に設けられて、これらを選択的に連結するエンジンクラッチ202は解除された状態である。また、車両が停車中であるので、エンジン201は駆動されない状態である。
【0059】
図2を参照すれば、エンジン201は、エンジンクラッチ202の反対側でハイブリッドスタータゼネレータ(HSG)209に連結されている。
【0060】
一般的なハイブリッド車両では、停車中には変速機に動力が伝達されないようになっている。
しかし、本発明の実施例に係る車両では、モータを利用したバッテリー充電のために、変速機204がN段に切り替わる。
【0061】
ステップ2(STEP2)は、バッテリーの充電のためにエンジン201が始動する状況を示したものである。この時、変速機204はN段に締結されており、モータ203はバッテリー充電を準備している。また、エンジンクラッチ202は、エンジン201の始動前または エンジン201の始動と同時に速かに締結することができる。
【0062】
一般的なハイブリッド車両では、停車中にエンジン201を駆動させて、バッテリーをHSG209によって充電させるので、エンジンクラッチ202は解除された状態となる。また、モータ203も停止された状態であり、変速機204には動力が伝達されない。
【0063】
ステップ3(STEP3)は、バッテリーの充電過程を示す。つまり、バッテリーの充電のためにエンジン201が駆動され、エンジンクラッチ202を通じて前記エンジン201に連結されたメインモータ203はエンジン駆動によって発電機として機能し、バッテリー206に充電電力を供給する。
【0064】
一般的なハイブリッド車両では、モータ203によるバッテリーの充電が行われない。したがって、エンジンクラッチ202は解除されてエンジン201とモータ203が分離されており、エンジン201が駆動してHSG209によってバッテリーを充電させる。しかし、HSG209による充電量が少量であるので、バッテリー残量を十分に満たすには足りない。
【0065】
ステップ4(STEP4)は、ブレーキが解除されて、停車中の車両が再出発することを示す。車両の再出発のために、変速機204の内部の低速クラッチ205、例えば、UDクラッチが締結されてN段からD段に切り替わった後、車両が出発するようになる。変速機204の低速クラッチ205は、メインモータ203の速度が安全速度以下に減速された後締結される。
上述した通り、モータの安全速度は300rpm以下とすることができる。しかし、このような安全速度に必ず制限されることではない。
【0066】
モータ203が減速されて低速クラッチ205が締結されると、制限的なスリップ発進が行われる。
【0067】
この時、エンジンクラッチ202は締結された状態であるので、モータ203とエンジン201が共に駆動されながらハイブリッド車両が運行される。一般的なハイブリッド車両においても、HSGによってエンジン201が駆動され、エンジンクラッチ202が締結されて、モータ203は初期駆動を始めるようになる。
【0068】
図3では、バッテリーの充電に関する本発明の実施例に係るハイブリッド車両の動力発生装置の作動を中心に説明したが、ハイブリッド車両の走行に関する一般的な動力発生装置の作動は、関連した技術分野において自明なものなので、本明細書では省略する。
【0069】
以上、参照した図面と記載された発明の詳細な説明は単に本発明の例示的なものであり、これは本発明を説明するために用いられたものに過ぎず、意味の限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから容易に選択して代替することができる。また、当業者は本明細書で説明された構成要素のうちの一部を性能の劣化なしで省略するか、または性能を改善するために構成要素を追加することができる。なお、当業者は工程環境や装備によって本明細書で説明した方法段階の順序を変更することも可能である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態ではなく、特許請求の範囲及びその均等物によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ハイブリッド自動車のバッテリー充電方法の分野に適用できる。
【符号の説明】
【0071】
100 状態感知部
200 動力発生装置
201 エンジン
202 エンジンクラッチ
203 モータ
204 変速機
205 低速クラッチ
206 バッテリー
207 インバータ
208 ホィール
209 始動発電機(ハイブリッドスタータゼネレータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータを動力源として含み、前記モータを駆動する電気エネルギーを保存するバッテリーを含むハイブリッド自動車のバッテリー充電方法において、
前記自動車の停車中に前記バッテリーの充電の要否を判断する段階、
前記バッテリーの充電が必要であれば、変速機を中立段(N段)に切り替える段階、
前記エンジンを始動させる段階、
前記エンジンと前記モータを連結するエンジンクラッチを締結して、エンジンの動力で前記モータが電気エネルギーを発生する段階、及び
前記モータが発生した電気エネルギーを前記バッテリーに保存する段階、
を含むことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリー充電方法。
【請求項2】
前記エンジンクラッチは、前記エンジンを始動する時期に同期して締結されることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車のバッテリー充電方法。
【請求項3】
前記自動車の停車中にブレーキが解除されるか否かを判断する段階、
前記ブレーキが解除されると、前記モータの駆動速度を安全速度以下に減少させる段階、及び
前記変速機内の低速クラッチを締結して、前記変速機をドライブ段(D段)に切り替える段階、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車のバッテリー充電方法。
【請求項4】
前記ブレーキが解除される間に、前記ハイブリッド自動車は制限的にスリップ発進することを特徴とする、請求項3に記載のハイブリッド自動車のバッテリー充電方法。
【請求項5】
前記安全速度は300RPM(rpm)以下であることを特徴とする、請求項3に記載のハイブリッド自動車のバッテリー充電方法。
【請求項6】
エンジンとモータを動力源として含み、前記モータを駆動する電気エネルギーを保存するバッテリーを含むハイブリッド自動車であって、
前記自動車のバッテリー残量情報を含む状態情報をモニタする状態感知部、
前記自動車の停車中に前記バッテリー残量情報が所定値以下である場合、中立変速段に切り替わる変速機、及び
前記変速機の変速段の切替時点と同期して駆動される前記エンジンを前記モータと締結するエンジンクラッチ、
を含み、
前記エンジンの動力を利用して前記モータは電気エネルギーを発生し、前記発生した電気エネルギーは前記バッテリーに保存されることを特徴とするハイブリッド自動車。
【請求項7】
前記変速機が中立変速段に切り替わると、前記モータは充電用意状態に制御されることを特徴とする、請求項6に記載のハイブリッド自動車。
【請求項8】
電気エネルギーが前記バッテリーに保存されるうちにブレーキが解除されると、前記モータは安全速度以下に減速されることを特徴とする、請求項6に記載のハイブリッド自動車。
【請求項9】
前記安全速度は300RPM(rpm)以下であることを特徴とする、請求項8に記載のハイブリッド自動車。
【請求項10】
前記変速機は低速クラッチを含み、
前記低速クラッチは、前記ハイブリッド自動車の停車中にブレーキが解除される場合、前記変速機をドライブ段(D段)に切り替えて、前記自動車を制限的にスリップ発進することを特徴とする、請求項6に記載のハイブリッド自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−112335(P2013−112335A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133965(P2012−133965)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】