説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】燃費の向上を図ることができる、ハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両1は、エンジン2およびモータジェネレータ3を駆動源として搭載している。エンジン2が発生する駆動力は、駆動軸4に伝達される。また、クラッチによって駆動軸4とモータジェネレータ3とが機械的に接続された状態では、モータジェネレータ3が発生する駆動力が駆動軸4に伝達される。モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上である領域では、モータジェネレータ3の弱め界磁制御が行われる。そして、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上であり、かつ、道路勾配が負の所定値よりも大きい場合には、アクセル開度にかかわらず、クラッチがオフにされて、駆動軸4とモータジェネレータ3とが機械的に切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンおよびモータジェネレータを駆動源とするハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低燃費車であるハイブリッドカーが必要とされてきている。
【0003】
ハイブリッドカーには、エンジンおよびモータジェネレータを駆動源として搭載したものがある。モータジェネレータは、DCブラシレスモータからなり、モータおよび発電機の両方の機能を有している。たとえば、ハイブリッドカーの加速時には、モータジェネレータがモータとして機能し、エンジンの出力にモータジェネレータの出力が加えられて、車両の走行輪に伝達される。一方、ハイブリッドカーの減速時には、モータジェネレータが発電機として機能し、モータジェネレータから出力される電力によってバッテリが充電される。
【0004】
DCブラシレスモータは、DCブラシレスモータに印加される電圧が大きいほど、その回転数(回転速度)を上げることができる。しかし、DCブラシレスモータでは、高回転時に誘起電圧の発生により、電流を流すことができなくなる状態が発生する。そのため、DCブラシレスモータの制御では、DCブラシレスモータの回転数が所定の回転数以上になると、DCブラシレスモータでの界磁を弱めるように界磁電流を制御する弱め界磁制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−79915号公報
【特許文献2】特開2003−191762号公報
【特許文献3】特開2005−210772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、弱め界磁制御が行われると、DCブラシレスモータ(モータジェネレータ)の損失が増大(モータ効率が低下)する。ハイブリッドカーの走行状況によっては、モータ損失を無視することができず、モータジェネレータの出力による走行アシストにより、燃費があまり向上しない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、燃費の向上を図ることができる、ハイブリッド車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る制御装置が備えられるハイブリッド車両は、駆動軸と、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生するエンジンと、DCブラシレスモータからなり、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生する機能および前記駆動軸の動力を電力に回生する機能を有するモータジェネレータと、前記駆動軸と前記モータジェネレータとの機械的な接続および切断を切り替えるクラッチとを備えている。そして、制御装置は、前記モータジェネレータの回転数が所定の弱め界磁開始回転数以上である領域において、前記モータジェネレータの弱め界磁制御を行うモータ制御手段と、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、前記モータジェネレータの回転数が前記弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回り、かつ、道路勾配が負の所定値よりも大きい場合に、前記アクセル開度検出手段によって検出されるアクセル開度にかかわらず、前記クラッチを制御して、前記駆動軸と前記モータジェネレータとを機械的に切断するクラッチ制御手段とを含む。
【0009】
ハイブリッド車両は、エンジンおよびモータジェネレータを駆動源として搭載している。エンジンが発生する駆動力は、駆動軸に伝達される。また、クラッチによって駆動軸とモータジェネレータとが機械的に接続された状態では、モータジェネレータが発生する駆動力が駆動軸に伝達される。
【0010】
モータジェネレータの回転数が弱め界磁開始回転数以上である領域では、モータジェネレータの弱め界磁制御が行われる。
【0011】
そして、モータジェネレータの回転数が弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回っており、かつ、道路勾配が負の所定値よりも大きい場合には、アクセル開度にかかわらず、クラッチ制御手段により、クラッチが制御されて、駆動軸とモータジェネレータとが機械的に切断される。
【0012】
これにより、モータジェネレータの回転数が所定の回転数範囲を上回っている場合には、ハイブリッド車両が緩やかな下り坂を走行中であっても、アクセル開度にかかわらず、モータジェネレータが駆動軸から機械的に切り離される。そのため、モータジェネレータの目標回転数を下げて、モータジェネレータの弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0013】
また、ハイブリッド車両が急な下り坂を走行中は、モータジェネレータが駆動軸から機械的に切り離されないので、モータジェネレータで駆動軸の動力を電力に回生することができる。よって、電力の回生による燃費の向上を図ることができる。
【0014】
なお、負の道路勾配は、下り勾配であり、道路勾配が負の所定値よりも大きい路面には、下り勾配の路面、水平路面および上り勾配の路面が含まれる。
【0015】
クラッチ制御手段は、蓄電デバイスの残容量が所定量以上である場合、クラッチを制御して、駆動軸とモータジェネレータとを機械的に切断することが好ましい。
【0016】
蓄電デバイスの残容量(充電量)が十分であり、蓄電デバイスへの充電ができない場合に、モータジェネレータが駆動軸から機械的に切り離されることにより、モータジェネレータの目標回転数を下げて、モータジェネレータの弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、燃費のさらなる向上を図ることができる。
【0017】
本発明の他の局面に係る制御装置が備えられるハイブリッド車両は、駆動軸と、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生するエンジンと、DCブラシレスモータからなり、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生する機能および前記駆動軸の動力を電力に回生する機能を有するモータジェネレータと、前記駆動軸と前記モータジェネレータとの機械的な接続および切断を切り替えるクラッチと、前記モータジェネレータが発生する電力を蓄えるための蓄電デバイスとを備えている。そして、制御装置は、前記モータジェネレータの温度を検出するモータジェネレータ温度検出手段と、前記蓄電デバイスの温度を検出する蓄電デバイス温度検出手段と、前記モータジェネレータの回転数が所定の弱め界磁開始回転数以上である領域において、前記モータジェネレータの弱め界磁制御を行うモータ制御手段と、前記モータジェネレータの回転数が前記弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回り、かつ、前記モータジェネレータ温度検出手段による検出温度が所定の第1温度以上であるか、または、前記蓄電デバイス温度検出手段による検出温度が所定の第2温度以上である場合に、前記クラッチを制御して、前記駆動軸と前記モータジェネレータとを機械的に切断するクラッチ制御手段とを含む。
【0018】
このハイブリッド車両は、エンジンおよびモータジェネレータを駆動源として搭載している。エンジンが発生する駆動力は、駆動軸に伝達される。また、クラッチによって駆動軸とモータジェネレータとが機械的に接続された状態では、モータジェネレータが発生する駆動力が駆動軸に伝達される。
【0019】
モータジェネレータの回転数が弱め界磁開始回転数以上である領域では、モータジェネレータの弱め界磁制御が行われる。
【0020】
そして、モータジェネレータの回転数が弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回っており、かつ、モータジェネレータの温度が所定の第1温度以上である場合には、クラッチ制御手段により、クラッチが制御されて、駆動軸とモータジェネレータとが機械的に切断される。そのため、モータジェネレータの目標回転数を下げて、モータジェネレータの弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、モータジェネレータの高回転による発熱を抑制することができながら、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0021】
また、モータジェネレータの回転数が弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回っており、かつ、蓄電デバイスの温度が所定の第2温度以上である場合には、クラッチ制御手段により、クラッチが制御されて、駆動軸とモータジェネレータとが機械的に切断される。そのため、蓄電デバイスの充電による発熱を抑制することができる。また、モータジェネレータの目標回転数を下げて、モータジェネレータの弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0022】
このハイブリッド車両においても、クラッチ制御手段は、蓄電デバイスの残容量が所定量以上である場合、クラッチを制御して、駆動軸とモータジェネレータとを機械的に切断することが好ましい。
【0023】
蓄電デバイスの残容量が十分であり、蓄電デバイスへの充電の必要がない場合に、モータジェネレータが駆動軸から機械的に切り離されることにより、モータジェネレータの目標回転数を下げて、モータジェネレータの弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、燃費のさらなる向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、モータジェネレータの回転数とモータジェネレータの出力トルクとの関係を示すグラフである。
【図3】図3は、モータジェネレータの回転数と損失との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、クラッチのオン/オフ制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、クラッチのオン/オフ制御の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示すブロック図である。
【0028】
ハイブリッド車両1は、エンジン2およびモータジェネレータ3を駆動源として搭載している。
【0029】
エンジン2は、たとえば、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンであり、車両1の走行に必要な駆動力を発生する。エンジン2が発生する駆動力(エンジン出力)は、駆動軸4に伝達され、駆動軸4を介して、ハイブリッド車両1の駆動輪の回転に使用される。
【0030】
モータジェネレータ3は、DCブラシレスモータからなり、モータとしての機能と発電機(ジェネレータ)としての機能とを有している。
【0031】
モータジェネレータ3は、2本の出力軸5,6を備えている。
【0032】
一方の出力軸5は、クラッチ7により、駆動軸4に接続され、また、駆動軸4から切り離される。出力軸5が駆動軸4に接続された状態において、モータジェネレータ3が発生する駆動力(モータ出力)は、駆動軸4に伝達され、駆動軸4を介して、ハイブリッド車両1の駆動輪の回転に使用される。また、出力軸5が駆動軸4に接続された状態において、ハイブリッド車両1の減速時などには、駆動軸4の動力(回転)が出力軸5に伝達され、モータジェネレータ3において、出力軸5に伝達される動力が電力に回生される。
【0033】
他方の出力軸6には、プーリ8が取り付けられている。
【0034】
また、ハイブリッド車両1には、エアコンディショナが装備されている。エアコンディショナのコンプレッサ(A/Cコンプレッサ)9の駆動軸には、プーリ10が取り付けられている。そして、プーリ10およびモータジェネレータ3の出力軸6に取り付けられたプーリ8には、ベルト11が巻き掛けられている。これにより、エンジン2の停止時においても、モータジェネレータ3の出力軸5を駆動軸4から切り離して、モータジェネレータ3をモータとして機能させることにより、コンプレッサ9を駆動することができ、エアコンディショナを使用することができる。
【0035】
モータジェネレータ3には、モータ制御装置12が接続されている。モータ制御装置12には、インバータ回路およびインバータ回路を制御するマイクロコンピュータが備えられている。また、モータ制御装置12には、たとえば、二次電池からなる蓄電装置13が接続されている。
【0036】
モータジェネレータ3がモータとして機能するときには、蓄電装置13からモータ制御装置12に直流電力が供給され、モータ制御装置12で直流電力が交流電力に変換されて、交流電力がモータ制御装置12からモータジェネレータ3に供給される。一方、モータジェネレータ3が発電機として機能するときには、モータジェネレータ3により、モータ制御装置12に交流電力が発生し、モータ制御装置12で交流電力が直流電力に変換されて、直流電力が蓄電装置13に供給される。
【0037】
ハイブリッド車両1には、マイクロコンピュータを含む構成のECU(電子制御ユニット)14が備えられている。また、ハイブリッド車両1には、アクセル開度(たとえば、アクセルペダルの踏込量)を検出するアクセルセンサ15と、車速を検出する車速センサ16と、モータジェネレータ3の温度を検出するためのモータジェネレータ温度センサ17と、蓄電装置13の温度を検出するための蓄電装置温度センサ18とが備えられている。
【0038】
アクセルセンサ15、車速センサ16、モータジェネレータ温度センサ17および蓄電装置温度センサ18の各検出信号は、ECU14に入力されるようになっている。また、ECU14には、ハイブリッド車両1に備えられている他のECUからハイブリッド車両1が走行中の路面の勾配情報が入力される。ECU14にはさらに、蓄電装置13に入出力される電流量が入力されるようになっている。ECU14は、蓄電装置13に入出力される電流量に基づいて、蓄電装置13の残容量であるSOC(State Of Charge)を演算する。そして、ECU14は、各種入力およびSOCに基づいて、エンジン2(たとえば、燃料噴射量や燃料噴射タイミングなど)を制御し、モータ制御装置12を介してモータジェネレータ3を制御する。また、ECU14は、クラッチ7の開閉を制御する。
【0039】
図2は、モータジェネレータの回転数とモータジェネレータの出力トルクとの関係を示すグラフである。
【0040】
DCブラシレスモータからなるモータジェネレータ3では、その回転数が基底回転数(たとえば、3000rpm)以下の範囲では、一定のトルクを出力し、回転数が基底回転数を超える範囲では、回転数の上昇に伴って、出力トルクが減少する。
【0041】
図3は、モータジェネレータの回転数と損失との関係を示すグラフである。
【0042】
モータジェネレータ3の回転数が所定の弱め界磁開始回転数(基底回転数よりも少し高い回転数。たとえば、4000rpm)以上になると、モータジェネレータ3の回転数をさらに上昇させるために、ECU14およびモータ制御装置12により、モータジェネレータ3の弱め界磁制御が行われる。弱め界磁制御が行われると、モータジェネレータ3の回転数の上昇に伴って、モータジェネレータ3の損失が回転数に応じて増加する。
【0043】
図4は、クラッチのオン/オフ制御の一例を示すフローチャートである。
【0044】
クラッチ7によってモータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4に接続されている間、ECU14により、モータジェネレータ3の回転数(エンジン2の回転数)が弱め界磁開始回転数以上であるか否かが繰り返し判断される(ステップS1)。
【0045】
モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上である場合には(ステップS1のYES)、モータジェネレータ3の弱め界磁制御が行われる。また、ハイブリッド車両1が現在走行中の路面の勾配(道路勾配)が負の所定値(たとえば、−2%)よりも大きいか否かが調べられる(ステップS2)。
【0046】
なお、負の道路勾配は、下り勾配であり、道路勾配が負の所定値よりも大きい路面には、下り勾配の路面、水平路面および上り勾配の路面が含まれる。
【0047】
道路勾配が負の所定値よりも大きい場合には(ステップS2のYES)、アクセル開度にかかわらず、クラッチ7がオフにされて(ステップS3)、モータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4から切り離される。
【0048】
一方、道路勾配が負の所定値以下である場合には(ステップS2のNO)、クラッチ7はオンのままにされ(ステップS4)、モータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4に接続された状態が維持される。
【0049】
以上のように、ハイブリッド車両1は、エンジン2およびモータジェネレータ3を駆動源として搭載している。エンジン2が発生する駆動力は、駆動軸4に伝達される。また、クラッチによって駆動軸4とモータジェネレータ3(出力軸5)とが機械的に接続された状態では、モータジェネレータ3が発生する駆動力が駆動軸4に伝達される。
【0050】
モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上である領域では、モータジェネレータ3の弱め界磁制御が行われる。
【0051】
そして、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上であり、かつ、道路勾配が負の所定値よりも大きい場合には、アクセル開度にかかわらず、クラッチがオフにされて、駆動軸4とモータジェネレータ3とが機械的に切断される。
【0052】
これにより、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上である場合には、ハイブリッド車両1が緩やかな下り坂を走行中であっても、アクセル開度にかかわらず、モータジェネレータ3が駆動軸4から機械的に切り離される。そのため、モータジェネレータ3の目標回転数を下げて、モータジェネレータ3の弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0053】
また、ハイブリッド車両1が急な下り坂を走行中は、モータジェネレータ3が駆動軸4から機械的に切り離されないので、モータジェネレータ3で駆動軸4の動力を電力に回生することができる。よって、電力の回生による燃費の向上を図ることができる。
【0054】
図5は、クラッチのオン/オフ制御の他の例を示すフローチャートである。
【0055】
クラッチ7によってモータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4に接続されている間、ECU14により、モータジェネレータ3の回転数(エンジン2の回転数)が弱め界磁開始回転数以上であるか否かが繰り返し判断される(ステップS11)。
【0056】
モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上である場合には(ステップS11のYES)、モータジェネレータ3の弱め界磁制御が行われる。また、モータジェネレータ温度センサ17によって検出されるモータジェネレータ3の温度が所定の第1温度(たとえば、145℃)以上であるか否かが調べられる(ステップS12)。
【0057】
モータジェネレータ3の温度が第1温度以上である場合には(ステップS12のYES)、クラッチ7がオフにされて(ステップS13)、モータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4から切り離される。
【0058】
一方、モータジェネレータ3の温度が第1温度未満である場合には(ステップS12のNO)、つづいて、蓄電装置温度センサ18によって検出される蓄電装置13の温度が所定の第2温度(たとえば、145℃)以上であるか否かが調べられる(ステップS14)。
【0059】
蓄電装置13の温度が第2温度以上である場合には(ステップS14のYES)、クラッチ7がオフにされて(ステップS13)、モータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4から切り離される。
【0060】
蓄電装置13の温度が第2温度未満である場合には、(ステップS14のNO)、クラッチ7はオンのままにされ(ステップS15)、モータジェネレータ3の出力軸5が駆動軸4に接続された状態が維持される。
【0061】
このように、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上であり、かつ、モータジェネレータ3の温度が第1温度以上である場合には、クラッチがオフにされて、駆動軸4とモータジェネレータ3(出力軸5)とが機械的に切断される。そのため、モータジェネレータ3の目標回転数を下げて、モータジェネレータ3の弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、モータジェネレータ3の高回転による発熱を抑制することができながら、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0062】
また、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上であり、かつ、蓄電装置13の温度が所定の第2温度以上である場合には、クラッチ制御手段により、クラッチが制御されて、駆動軸4とモータジェネレータ3とが機械的に切断される。そのため、蓄電装置13の充電による発熱を抑制することができる。また、モータジェネレータ3の目標回転数を下げて、モータジェネレータ3の弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、弱め界磁制御によるモータ損失の発生を少なくすることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0064】
たとえば、蓄電装置13のSOCが所定量以上である場合、クラッチ7がオフにされて、駆動軸4とモータジェネレータ3とが機械的に切断されてもよい。すなわち、蓄電装置13の残容量が十分であり、蓄電装置13への充電の必要がない場合に、クラッチ7がオフにされて、モータジェネレータ3が駆動軸4から機械的に切り離されてもよい。これにより、モータジェネレータ3の目標回転数を下げて、モータジェネレータの弱め界磁制御を終了させることができる。その結果、燃費のさらなる向上を図ることができる。
【0065】
なお、図4に示す制御が行われる構成では、図3に示す制御が行われる構成よりも前記所定量が低く設定されることが好ましい。これにより、蓄電装置13の充電による発熱をさらに抑制することができ、蓄電装置13の過熱によるダメージを抑制することができる。
【0066】
また、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数以上である場合に限らず、モータジェネレータ3の回転数が弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回り、かつ、その他の条件(道路勾配など)が満たされる場合に、クラッチ7がオフにされてもよい。
【0067】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 ハイブリッド車両
2 エンジン
3 モータジェネレータ
7 クラッチ
12 モータ制御装置(モータ制御手段)
13 蓄電装置(蓄電デバイス)
14 ECU(モータ制御手段、クラッチ制御手段)
15 アクセルセンサ(アクセル開度検出手段)
17 モータジェネレータ温度センサ(モータジェネレータ温度検出手段)
18 蓄電装置温度センサ(蓄電デバイス温度検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸と、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生するエンジンと、DCブラシレスモータからなり、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生する機能および前記駆動軸の動力を電力に回生する機能を有するモータジェネレータと、前記駆動軸と前記モータジェネレータとの機械的な接続および切断を切り替えるクラッチとを備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記モータジェネレータの回転数が所定の弱め界磁開始回転数以上である領域において、前記モータジェネレータの弱め界磁制御を行うモータ制御手段と、
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
前記モータジェネレータの回転数が前記弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回り、かつ、道路勾配が負の所定値よりも大きい場合に、前記アクセル開度検出手段によって検出されるアクセル開度にかかわらず、前記クラッチを制御して、前記駆動軸と前記モータジェネレータとを機械的に切断するクラッチ制御手段とを含む、ハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
駆動軸と、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生するエンジンと、DCブラシレスモータからなり、前記駆動軸に伝達される駆動力を発生する機能および前記駆動軸の動力を電力に回生する機能を有するモータジェネレータと、前記駆動軸と前記モータジェネレータとの機械的な接続および切断を切り替えるクラッチと、前記モータジェネレータが発生する電力を蓄えるための蓄電デバイスとを備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記モータジェネレータの温度を検出するモータジェネレータ温度検出手段と、
前記蓄電デバイスの温度を検出する蓄電デバイス温度検出手段と、
前記モータジェネレータの回転数が所定の弱め界磁開始回転数以上である領域において、前記モータジェネレータの弱め界磁制御を行うモータ制御手段と、
前記モータジェネレータの回転数が前記弱め界磁開始回転数を含む所定の回転数範囲を上回り、かつ、前記モータジェネレータ温度検出手段による検出温度が所定の第1温度以上であるか、または、前記蓄電デバイス温度検出手段による検出温度が所定の第2温度以上である場合に、前記クラッチを制御して、前記駆動軸と前記モータジェネレータとを機械的に切断するクラッチ制御手段とを含む、ハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71528(P2013−71528A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210841(P2011−210841)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】