説明

ハイブリッドICのリード形成方法

【目的】 一連の製造工程の中でリードを形成することができ、しかも大幅な工数削減を可能としたハイブリッドICのリード形成方法を提供する。
【構成】 基材10を長孔11にて区画し、その基材10内に個片基板12を形成する工程と、基材10の表面に銅箔14を積層する工程と、銅箔14の所定部分にレジストを塗布する工程と、レジストが塗布された部分を除いて銅箔14を除去し、基材10に設けた長孔11を跨ぐ状態で銅箔14を残す工程と、基材10から個片基板12を切り離すと同時に、残された銅箔14を切断、曲げ加工して個片基板12の周囲にリードを形成する工程とからなるハイブリッドICのリード形成方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハイブリッドICのリード形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のハイブリッドICの製造工程では以下のようにしてリード形成が行われていた。まず、図9R>9に示すような集合基板50の状態で、長孔51によって区画形成された各個片基板52上に半導体素子やその他の個別部品を搭載する。部品搭載が終了したら基板の吊り部分53を金型によって打ち落とし、一枚の集合基板50を複数枚の個片基板52に分割する。
【0003】こうして分割された個片基板52に対し、別工程で製造されたリードフレーム(F型リード)54を図10に示すように個片基板52の両側から対向させて配置する。続いて、図11に示すように個片基板52の両側からリードフレーム54を組み込んで、さらに個片基板52とリードフレーム54とをハンダ付けによって接続させる。その後、図中破線で示すように所定の長さを残してリードフレーム54を切断し、あとは必要に応じて所定形状にフォーミングする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来のリード形成方法においては、個片基板52とリードフレーム54とがそれぞれ別々の工程で製造され、さらにこの両者を後工程で組み合わせるようになっているため、製造工程が非常に煩雑になるといった問題があった。また、個片基板52とリードフレーム54とをハンダ付けにより接続し、これによって両者の電気的接続が得られるようになっているため、作業に人手がかかるうえに多大な工数を必要し、大幅な製品コストの増加を招いていた。
【0005】本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、一連の製造工程の中でリードを形成することができ、しかも大幅な工数削減を可能としたハイブリッドICのリード形成方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、基材を長孔にて区画し、その基材内に個片基板を形成する工程と、基材の表面に銅箔を積層する工程と、銅箔の所定部分にレジストを塗布する工程と、レジストが塗布された部分を除いて銅箔を除去し、基材に設けた長孔を跨ぐ状態で銅箔を残す工程と、基材から個片基板を切り離すと同時に、残された銅箔を切断、曲げ加工して個片基板の周囲にリードを形成する工程とからなるハイブリッドICのリード形成方法である。
【0007】また、基材を長孔にて区画し、その基材内に個片基板を形成する工程と、基材に設けた長孔を跨ぐ状態で銅板を実装する工程と、基材から個片基板を切り離すと同時に、銅板を切断、曲げ加工して個片基板の周囲にリードを形成する工程とからなるハイブリッドICのリード形成方法である。
【0008】さらに、基材を長孔にて区画し、その基材内に個片基板を形成する工程と、基材に設けた長孔を跨ぐ状態で、所定形状にフォーミングされた銅板を実装する工程と、基材から個片基板を切り離すと同時に、銅板を切断して個片基板の周囲にリードを形成する工程とからなるハイブリッドICのリード形成方法である。
【0009】
【作用】本発明のハイブリッドICのリード形成方法においては、基材を長孔にて区画してからこの基材を幾枚かの個片基板に分割するまでの一連の工程の中で、リードとなる銅箔又は銅板が上記基材に設けた長孔を跨ぐ状態で形成され、さらにそれらの銅箔又は銅板が基板分割と同時に切断、曲げ加工されて、個片基板の周囲にリードとして形成される。ここで、銅板が予め所定形状にフォーミングされている場合は、基板分割時における銅板の曲げ加工が不要となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。はじめに、本発明に係わるハイブリッドICのリード形成方法の第1実施例について図1〜図5を基に説明する。まず、図2に示すように集合基板となる基材10の所定箇所に長孔11を設けて区画し、その基材10内に例えば図例のように4枚の個片基板12を形成する。各個片基板12は長孔11の端部近傍に形成される吊り部分13によって基材10と一体に保持される。次に、上述のように外形加工された基材10の表面に銅箔14を積層する(図3参照)。これにより、基材10に設けられた長孔11や個片基板12が銅箔14によって完全に覆われる。
【0011】続いて、基材10の表面に積層された銅箔14の所定部分にレジストを塗布する。ここでは、基材10表面に銅箔14として残したい部分にのみレジストを塗布する。例えば、個片基板12上に形成される配線パターンや、この配線パターンに接続して形成されるリード(後述)がその部分に該当する。
【0012】次いで、レジストが塗布された部分を除いて銅箔14をエッチングによって除去し、図示せぬ個片基板12の配線パターンとともに、図1に示す如く基材10の長孔11を跨ぐ状態で銅箔14を残す。
【0013】最後は、図示せぬ金型を用いて、基材10から個片基板12を切り離すと同時に、基材10上に残された銅箔14を図4の破線の位置(銅箔14の中央)で切断し、さらに図5に示すように銅箔14を曲げ加工して個片基板12の周囲にリード(14)を形成する。因みに、基材10からの個片基板12の切り離しは、吊り部分13を金型で打ち落とすことによって行われる。
【0014】このように上述した第1実施例のリード形成方法においては、ハイブリッドICのリードとなる部分が基材10上のパターンニングと同時に形成されるようになるため、従来のようなリード付けのための別工程を設ける必要がなく、一連の基板製造工程の中でリード形成を行うことが可能となる。また、個片基板12上に配線パターンを形成する作業と同時進行で、リードとなる銅箔14部分を形成することにより、基板製造にかかる工数をほとんど増やすことなくリード形成を行うことが可能となる。これにより、従来方法におけるリードフレーム製造のための工数やこれを個片基板に組み込むための工数が一切不要となり、もって大幅な作業工数の削減が可能となる。
【0015】次に、本発明に係わるハイブリッドICのリード形成方法の第2実施例について図6〜図8に基に説明する。まず、上記第1実施例の場合と同様に基材20の所定箇所に長孔21を設けて区画し、その基材20内に幾枚かの個片基板22を形成する。ここで、各個片基板22は長孔21の端部に形成される吊り部分23によって基材20と一体に保持される。
【0016】続いて、図6に示すように基材20に設けた長孔21を跨ぐ状態で薄板状の銅板24を実装する。この銅板24は、図7にも示すように予め所定の形状にフォーミングされており、しかも夫々の銅板24は細長い樹脂材25によって連結されている。さらに詳述すると、銅板24の連結部はくさび状に切り欠かれており、その切り欠き部分に溶かした樹脂材25を流し込んで硬化させることにより各銅板24が連結されている。
【0017】樹脂材25によって連結された銅板24は、個片基板22に搭載される半導体素子やその他の個別部品と同様に、図示せぬ搭載機によって基材20上に搭載される。ここで、長孔21によって区画された個片基板22の周縁には図示せぬランドが形成されており、このランドに銅板24の両端が丁度位置するように、基材20に対して銅板24の搭載がなされる。さらに、個片基板22のランドには他の部品実装用のランドと同様に予め所定量のハンダが供給され、これによりマウントされた銅板24が基材20上に仮付けされる。こうした状態から基材20を例えばリフロー炉に通して所定温度まで加熱することにより、個片基板22のランドと銅板24の両端とがハンダによって接合される。
【0018】最後は、図示せぬ金型を用いて、基材20から個片基板22を切り離すと同時に、基材20上に実装された銅板24を樹脂材25の連結部分で切り離し、図8に示すように個片基板22の周囲にリード(24)を形成する。因みに、基材20からの個片基板22の切り離しは、先の実施例と同様に吊り部分23を金型で打ち落とすことによって行われる。また、銅板24相互の切り離しは、樹脂材25との連結部分を金型で切断することにより行われる。
【0019】このように上述した第2実施例のリード形成方法においては、ハイブリッドICのリードとなる銅板24が、他の部品と同じように基材20上に表面実装されるとともに、基板分割時に切断、曲げ加工されて個片基板22の周囲にリードとして形成されるため、上記第1実施例と同様にリード付けのための別工程を設ける必要がなく、一連の基板製造工程の中でハイブリッドICのリード形成を行うことが可能となる。また、リードとなる銅板24と個片基板22のランドとをリフロー方式で接合させることでリード形成に伴う作業を全て自動機で行わせることが可能となるため、人手がかからないうえに大幅な作業工数の削減が可能となる。
【0020】なお、上記第2実施例においては、予め銅板24を所定形状にフォーミングしてから基材20上に実装するようにしたが、本発明はこれに限らず、フォーミングしていない、所謂平板状の銅板を基材上に実装し、これを基板分割と同時に切断、曲げ加工してリードとして形成するようにしてもよい。
【0021】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、一連の基板製造工程の中でリード形成を行うことができるため、従来のように別工程でリードフレームを製造し、これを個片基板に組み込むといった工程の煩雑さが解消される。また、上述した一連の基板製造工程の中で個片基板とリードとの電気的接続を得ることができるため、従来方法のように別々の工程で製造された個片基板とリードフレームとをハンダ付けにより接続させるといった面倒な作業を行う必要がなくなり、これをもって大幅な作業工数の削減が可能になると同時に、製品コストの低減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のリード形成方法を説明する図(その1)である。
【図2】本発明の第1実施例のリード形成方法を説明する図(その2)である。
【図3】本発明の第1実施例のリード形成方法を説明する図(その3)である。
【図4】本発明の第1実施例のリード形成方法を説明する図(その4)である。
【図5】本発明の第1実施例のリード形成方法を説明する図(その5)である。
【図6】本発明の第2実施例のリード形成方法を説明する図(その1)である。
【図7】第2実施例における銅板の説明図である。
【図8】本発明の第2実施例のリード形成方法を説明する図(その2)である。
【図9】従来のリード形成方法を説明する図(その1)である。
【図10】従来のリード形成方法を説明する図(その2)である。
【図11】従来のリード形成方法を説明する図(その3)である。
【符号の説明】
10、20 基材
11、21 長孔
12、22 個片基板
14 銅箔
24 銅板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材を長孔にて区画し、その基材内に個片基板を形成する工程と、前記基材の表面に銅箔を積層する工程と、前記銅箔の所定部分にレジストを塗布する工程と、前記レジストが塗布された部分を除いて前記銅箔を除去し、前記基材に設けた長孔を跨ぐ状態で前記銅箔を残す工程と、前記基材から前記個片基板を切り離すと同時に、前記残された銅箔を切断、曲げ加工して前記個片基板の周囲にリードを形成する工程とからなることを特徴とするハイブリッドICのリード形成方法。
【請求項2】 基材を長孔にて区画し、その基材内に個片基板を形成する工程と、前記基材に設けた長孔を跨ぐ状態で銅板を実装する工程と、前記基材から前記個片基板を切り離すと同時に、前記銅板を切断、曲げ加工して前記個片基板の周囲にリードを形成する工程とからなることを特徴とするハイブリッドICのリード形成方法。
【請求項3】 基材を長孔にて区画し、その基材内に個片基板を形成する工程と、前記基材に設けた長孔を跨ぐ状態で、所定形状にフォーミングされた銅板を実装する工程と、前記基材から前記個片基板を切り離すと同時に、前記銅板を切断して前記個片基板の周囲にリードを形成する工程とからなることを特徴とするハイブリッドICのリード形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【公開番号】特開平6−85128
【公開日】平成6年(1994)3月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−257187
【出願日】平成4年(1992)8月31日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)