ハニカム構造体の製造方法
【課題】センサーの配設スペースを確保しながらも、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能を得られるハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状成形体を得、このハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、得られたハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種をハニカム状焼成体に設ける。
【解決手段】セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状成形体を得、このハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、得られたハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種をハニカム状焼成体に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。より詳しくは、ハニカム構造体の一部にセンサー等を挿入可能なハニカム構造体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気ガス規制の強化に伴い、触媒を担持したハニカム構造体にあっても、排ガス浄化性能を向上させる試みが種々行われているが、規制の対象となる有害物質の多くは、運転開始直後の触媒温度が低い状態で多量に排出される。
【0003】
このため、近年では、触媒を担持したハニカム構造体を、エキゾートマニホールド(以下、「エキマニ」と省略することがある。)直下に搭載して、高温の排ガスで触媒を直ちに活性化することにより、エンジンの始動直後に排出される有害物質を低減するコンバーターシステムの実用化が開始されている。
【0004】
一方、触媒を担持させたハニカム構造体にあっては、浄化手段として搭載した後に、その浄化性能をモニタリングすることにより、浄化性能の劣化状況を見定めることも、有害物質の排出を低減する上で極めて重要であり、通常、ハニカム構造体の前後に2つの酸素センサーを配置してモニタリングすることが行われている。
【0005】
しかし、ハニカム構造体及びセンサーを、エキマニ直下に搭載する場合には、ハニカム構造体やセンサーを配設するためのスペースが狭く、センサーのスペースを確保するために、ハニカム構造体を大幅に縮小化せざる負えず、触媒容量の大幅な低減により意図した浄化性能が得られないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、センサーの配設スペースを確保しながらも、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能が得られるハニカム構造体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述の目的を達成するため各種検討したところ、まず、ハニカム構造体の隔壁の一部を切削して、溝、穴又は縁取りを設けることにより、センサー挿入領域を確保するという知見に至った。
【0008】
ところが、実際にハニカム構造体の隔壁の一部を、隔壁の側面に対して垂直方向から切削してみたところ、隔壁が極めて薄いこともあって(現在、0.1〜0.2mm程度の薄壁のものを主流とし、中には、0.1mm未満の薄壁のものも用いられている。)、隔壁の破損により所望の部分に所望の形状の溝等を設けることができず、触媒容量の低減を抑制できないばかりか、場合によっては構造体全体の破損に至ることすらあった。
【0009】
そこで、本発明者は、溝等の形成の仕方について更に検討を重ねたところ、隔壁の主要面に対して斜め方向から切削することにより、このような問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状成形体を得、このハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、得られたハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種をセンサー挿入領域として、ハニカム状焼成体に設けることを特徴とするハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0011】
ここに、「隔壁の主要面」とは、隔壁の各面のうち、最も面積の大きな面をいい、通常、排ガス流路に面する隔壁面が該当する。
【0012】
また、隔壁の主要面が曲面の場合における隔壁の主要面と切削進行方向との関係は、まず、該当する隔壁のハニカム構造体径方向の断面形状における外周曲線について、切削箇所を接点とした接線を想定し、次いで、この接線を含んでハニカム構造体の軸方向に延びる当該隔壁に1の線上で接する面を想定し、この面との関係で切削進行方向が規定されるものとする。
【0013】
本発明においては、ハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対し、切削進行方向が15〜75°となる角度で切削することが好ましく、25〜65°となる角度で切削することがより好ましい。
【0014】
また、本発明においては、溝又は穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、センサーの同投影面積に対し、2倍以上となる領域で設けることが好ましい。但し、当該溝又は穴は、これらのセル開口端面における投影面積が、セル開口端面の全面積に対し、40%(面積%)以下となる領域で設けられることが好ましく、更にハニカム状焼成体の全体積に対し、0.5〜20%(体積%)となる領域で設けられることがより好ましい。また、溝又は穴は、ハニカム状焼成体の中心軸を経由させて設けられることが好ましい。
【0015】
また、縁取りは、ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.2〜30%(体積%)となる領域で設けられることが好ましい。
【0016】
ここで、「セル開口端面における投影面積」とは、溝又は穴を形成する前のハニカム状焼成体におけるセル開口端面に、溝又は穴を、当該セル開口端面に対して垂直方向で投射した際の投影面積を意味する。また、「ハニカム状焼成体の全体積」とは、セル及び細孔が占める空間をも含めたハニカム状焼成体の全体積を意味し、溝、穴、又は縁取りの体積は、切削前のハニカム状焼成体の全体積から切削によりこれらを形成した後のハニカム状焼成体の全体積を引いた体積を意味する。
【0017】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、上記のように、ハニカム状焼成体の隔壁の一部を切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種を設けるため、センサーとともにエキマニ直下に搭載した場合であっても、センサーを適切な位置に配設しながら、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能を発揮するハニカム構造体を得ることができる。
【0018】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削するため、切削の際の応力が緩和され、隔壁の破損を生じることなく所望の形状の溝、穴又は縁取りを形成することができる。従って、特に、厚さ0.01〜0.30mmであるハニカム構造体を製造する際に好ましく適用することができる。
【0019】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、上記のように切削された溝又は縁取りが、セル開口端面に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によれば、センサーの配設スペースを確保しながらも、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能を得られるハニカム構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、まず、セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状の成形体を得る。
【0022】
坏土の主成分であるセラミックスとしては、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コージェライト化原料、チタン酸アルミニウム、及びサイアロンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、坏土の主成分である金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びケイ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。なお、これらセラミックス及び金属は、1種単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0023】
坏土は、必要に応じてセラミックス及び金属以外の成分を含んでもよく、例えば、バインダー、結晶成長助剤、分散剤、又は造孔剤等を含有させることができる。バインダーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、又はポリビニルアルコール等を挙げることができ、結晶成長助剤としては、例えば、マグネシア、シリカ、イットリア、又は酸化鉄等を挙げることができる。また、分散剤としては、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、又はポリアルコール等を挙げることができ、造孔剤としては、例えば、グラファイト、小麦粉、澱粉、フェノール樹脂、又はポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
【0024】
なお、坏土は、セラミックス及び/又は金属を主成分とする原料に、水を所定量混合し、必要に応じてバインダー等を添加した後、通常の方法で混練して得ることができる。
【0025】
本発明の製造方法においては、坏土を成形する方法について特に制限はないが、量産性に優れる点で、押出成形が好ましく、例えば、ラム式押出し成形装置、2軸スクリュー式連続押出成形装置等の押出成形装置を用いて、所望のパターンを有する金型から、押出成形することが好ましい。
【0026】
また、本発明においては、ハニカム状成形体の隔壁の厚さについて特に制限はなく、近年、圧力損失、及び熱容量の低減等の要請から製造されている薄い隔壁のハニカム構造体についても適応可能である。具体的には、隔壁厚さを、0.01〜0.30mmとすることができる。
【0027】
ハニカム状成形体の隔壁により形成されるセルとしては、例えば、断面形状が円形、楕円形、長円形、四角形、八角形、又は左右非対称な異形形状のものを挙げることができる。また、隔壁により形成されるセルのセル密度は、得られるハニカム構造体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)、更にはガスが流れる場合の圧力損失を考慮して、6〜2000セル/平方インチ(0.9〜311セル/cm2)が好ましく、50〜400セル/平方インチ(7.8〜62セル/cm2)がより好ましい。
【0028】
また、ハニカム状成形体の形状は、目的に応じて適宜好ましい形状とすればよく、例えば、径方向の断面形状が、三角形、長方形、正方形、菱形、台形、楕円、円形、トラックサークル形状、半楕円形、又は半円形等のものを挙げることができる。
【0029】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、次いで、ハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、得られたハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種を設ける。
【0030】
ハニカム状成形体の乾燥方法については特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、又は凍結乾燥等を挙げることができ、中でも、誘電乾燥、マイクロ波又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、焼成条件については、用いる材料の種類により適宜所望の条件を選択すればよい。
【0031】
本発明において、隔壁の切削は、切削進行方向を隔壁の主要面に対して斜めとして行えばよいが、切削進行方向が、隔壁の主要面に対し15〜75°となる角度で切削することが好ましく、25〜65°となる角度で切削することがより好ましい。
【0032】
この範囲の角度となる切削進行方向で切削すれば、図1に示すように、切削の際に生じるせん断力18が略均等に分散されるため、薄い隔壁2で構成されるハニカム状焼成体41であっても、切削の際に隔壁2にせん断破損を生じることなく所望の溝10等を形成することができる。
【0033】
隔壁の主要面に対する切削進行方向の角度は、図2(a)(b)に示すように、切削進行方向Xを、水平方向、即ちハニカム状焼成体41の軸方向Yに対して垂直の角度としながら、隔壁2の主要面3に対しては、垂直方向以外の角度としたものでもよく、図3(a)(b)に示すように、切削進行方向Xを、ハニカム状焼成体41の軸方向Yに対して垂直以外の角度とすることにより、当該軸方向Yと同方向に延びる隔壁の主要面3に対しても、垂直方向以外の角度としたものでもよい。
【0034】
本発明において、溝、穴又は縁取りの大きさは、センサーが適切に設置できる範囲とすることは勿論であるが、得られるハニカム構造体について、無駄な触媒担持面積の減少による浄化性能の低下や、センサーの設置の際に著しい圧力損失の増大を生じない範囲とすることが好ましい。
【0035】
具体的には、溝又は穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、センサーの同投影面積に対し、2倍以上となる領域で設けることが好ましく、3倍以上となる領域で設けることがより好ましい。図4(b)に示すように、溝10又は穴(図示せず)を、当該投影面積となる領域で設ければ、図4(a)に示す溝10等のセル開口端面における投影面積がセンサーの同投影面積に対し、2倍未満となる領域で設ける場合と異なり、センサー5の存在により排ガス20の流れが妨げられる領域16を大幅に減少することができる。従って、著しい圧力損失の増大を招くことなく、センサーを設置することができる。
【0036】
但し、本発明においては、当該溝又は穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、セル開口端面の全面積に対し、40%(面積%)以下となる領域で設けることが好ましい。
図5に示すように、当該投影面に対応するハニカム構造体の部位19では、流路が他の部位より短くなる結果、流路抵抗が小さくなり、当該部位19に排ガス20が集中し易くなる。このため、溝10又は穴(図示せず)のセル開口端面における投影面積が上記より大きいと、ガス流速分布の不均一化による浄化性能の低下、及び耐熱衝撃性の低下が著しくなる。
【0037】
本発明においては、当該溝又は穴は、更にハニカム状焼成体の全体積に対し、0.5〜20%(体積%)となる領域で設けることが好ましく、0.5〜10%(体積%)となる領域で設けることがより好ましい。溝又は穴を設けた領域が、この範囲であれば、必要な触媒容量を確保することができるため、所望の浄化性能を維持することができる。
【0038】
一方、縁取りについては、溝又は穴と同様の点で、ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.2〜30%(体積%)となる領域で設けることが好ましく、0.2〜15%(体積%)となる領域で設けることがより好ましい。
【0039】
本発明において、溝、穴又は縁取りの形状又は位置は、不要な触媒担持面積の減少を防止し、センサーの正確な検出を可能とする観点から、センサーの形状及び設置位置等を考慮して設けることが好ましい。
【0040】
例えば、溝又は穴の形状については、センサーが円柱形状に近似した形状の場合であれば、図7に示すように、センサー5の形状に対応する円柱形状の穴1を設けたり、図6(a)(b)(c)、図8及び図9に示すように、センサー5の形状の半円柱形状部分に対応する半円柱形状の溝10を設けることが、不要な触媒担持面積の減少を防止する点で好ましい。
【0041】
また、穴の形状は、ハニカム構造体の耐熱衝撃性の低下を抑制する点で、円柱形状、楕円柱形状、又は半楕円柱形状が好ましい。また、溝の形状も、同様の点で、半円柱形状、半楕円柱形状、又は半船底形状が好ましく、中でも、溝を形成する際に、作業が容易かつ隔壁の破壊がないことに加え、ハニカム構造体の耐熱衝撃性の低下を大幅に抑えられる点で、半船底形状が好ましい。
【0042】
また、半船底形状等の溝を設ける場合には、図10(b)に示すように、当該溝10が、溝10の外周側面14における開口部15において、当該開口部15の曲線部分10aの曲率半径(R1)を以下に示す条件式(1)の範囲とすることが、やはりハニカム構造体の耐熱衝撃性の低下を大幅に抑えられる点で好ましい。
【0043】
【数1】
【0044】
「上記条件式(1)中、Lは、溝の幅を意味する。」
【0045】
同様に、図10(c)に示すように、半船底形状の溝10を設ける場合には、当該溝10が、溝の最底部10cを含むハニカム構造体軸方向Yにおける断面形状において、当該断面形状の曲線部分10bの曲率半径(R2)が、下記条件式(2)の範囲とすることが好ましい。
【0046】
【数2】
【0047】
「上記条件式(2)中、dは、溝のハニカム構造体軸方向Yにおける深さを意味する。」
【0048】
一方、溝又は穴の位置としては、センサーの感知部を、排ガスの流量の最も多いハニカム構造体の中心軸近傍に位置させることが正確な測定を行う上で好ましいため、例えば、図11に示すように、ハニカム状焼成体41の中心軸Zを経由させて設けることが好ましい。
【0049】
また、縁取りの形状としては、図12に示すように、ハニカム状焼成体41のセル開口端面8から外周側面14にかけて平面(斜面)を形成するもの、図13に示すように、ハニカム状焼成体41のセル開口端面8から外周側面14にかけて凹曲面が形成されるものが、ハニカム構造体51の耐熱衝撃性の低下を大幅に抑えられる点で好ましい。
【0050】
なお、これらの縁取りを設けたハニカム構造体は、例えば、図14に示すように、複数のハニカム構造体51、52を、各縁取り11、12を対向させて配設することにより、センサー5の配設領域を確保することができる。
【0051】
本発明において、溝、穴又は縁取りを形成する方法としては、切削等により溝等を形成する際に、隔壁への応力が小さく、かつ容易に溝等を形成できるものが好ましい。具体的には、溝又は縁取りの場合はグラインダー、穴の場合はドリル等を用いればよく、その他、エンドミル等のフライスを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、以上説明した通りであるが、当該製造方法は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)等のハニカムフィルターを製造する際に適用してもよいが、特に、薄壁化が求められる触媒担体としてのハニカム構造体について好ましく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明において、溝を設けた一の実施形態を模式的に示す模式図であり、切削進行方向とせん断力との関係を説明するものである。
【図2】本発明において、穴を設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図3】本発明において、穴を設けた他の一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図4】本発明において、溝のセル開口端面における投影面積と、センサーの同面積との関係を説明するものであり、(a)は溝のセル開口端面における投影面積がセンサーの同面積に対し、2倍未満となる例を示し、(b)は2倍以上となる例を示す。
【図5】本発明において、溝を設けた実施形態を模式的に示す側面図であり、溝のセル開口端面における投影面積と、排ガスの流れとの関係を説明するものである。
【図6】本発明において、溝を設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図7】本発明により製造した穴を設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した一の例を示す模式図である。
【図8】本発明により製造した溝を設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した他の例を示す模式図である。
【図9】本発明により製造した溝を設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した更に他の例を示す模式図である。
【図10】本発明において、溝を設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面一部拡大図であり、(c)は(a)におけるX−X’断面の一部拡大図である。
【図11】本発明において、穴をハニカム状焼成体の中心軸を経由させて設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図12】本発明において、縁取りを設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図13】本発明において、縁取りを設けた他の一の実施形態を模式的に示す側面図である。
【図14】本発明により製造した縁取りを設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1…穴、2…隔壁、3…隔壁の主要面、5,6…センサー、8,9…セル開口端面、10…溝、10a…曲線部分、10b…曲線部分、10c…最底部、11,12…縁取り、14…外周側面、15…開口部、16…排ガスの流れが妨げられる領域、18…せん断力、19…投影面に対応するハニカム構造体の部位、20…排ガス、41,42…ハニカム状焼成体、51,52…ハニカム構造体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。より詳しくは、ハニカム構造体の一部にセンサー等を挿入可能なハニカム構造体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気ガス規制の強化に伴い、触媒を担持したハニカム構造体にあっても、排ガス浄化性能を向上させる試みが種々行われているが、規制の対象となる有害物質の多くは、運転開始直後の触媒温度が低い状態で多量に排出される。
【0003】
このため、近年では、触媒を担持したハニカム構造体を、エキゾートマニホールド(以下、「エキマニ」と省略することがある。)直下に搭載して、高温の排ガスで触媒を直ちに活性化することにより、エンジンの始動直後に排出される有害物質を低減するコンバーターシステムの実用化が開始されている。
【0004】
一方、触媒を担持させたハニカム構造体にあっては、浄化手段として搭載した後に、その浄化性能をモニタリングすることにより、浄化性能の劣化状況を見定めることも、有害物質の排出を低減する上で極めて重要であり、通常、ハニカム構造体の前後に2つの酸素センサーを配置してモニタリングすることが行われている。
【0005】
しかし、ハニカム構造体及びセンサーを、エキマニ直下に搭載する場合には、ハニカム構造体やセンサーを配設するためのスペースが狭く、センサーのスペースを確保するために、ハニカム構造体を大幅に縮小化せざる負えず、触媒容量の大幅な低減により意図した浄化性能が得られないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、センサーの配設スペースを確保しながらも、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能が得られるハニカム構造体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述の目的を達成するため各種検討したところ、まず、ハニカム構造体の隔壁の一部を切削して、溝、穴又は縁取りを設けることにより、センサー挿入領域を確保するという知見に至った。
【0008】
ところが、実際にハニカム構造体の隔壁の一部を、隔壁の側面に対して垂直方向から切削してみたところ、隔壁が極めて薄いこともあって(現在、0.1〜0.2mm程度の薄壁のものを主流とし、中には、0.1mm未満の薄壁のものも用いられている。)、隔壁の破損により所望の部分に所望の形状の溝等を設けることができず、触媒容量の低減を抑制できないばかりか、場合によっては構造体全体の破損に至ることすらあった。
【0009】
そこで、本発明者は、溝等の形成の仕方について更に検討を重ねたところ、隔壁の主要面に対して斜め方向から切削することにより、このような問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状成形体を得、このハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、得られたハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種をセンサー挿入領域として、ハニカム状焼成体に設けることを特徴とするハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0011】
ここに、「隔壁の主要面」とは、隔壁の各面のうち、最も面積の大きな面をいい、通常、排ガス流路に面する隔壁面が該当する。
【0012】
また、隔壁の主要面が曲面の場合における隔壁の主要面と切削進行方向との関係は、まず、該当する隔壁のハニカム構造体径方向の断面形状における外周曲線について、切削箇所を接点とした接線を想定し、次いで、この接線を含んでハニカム構造体の軸方向に延びる当該隔壁に1の線上で接する面を想定し、この面との関係で切削進行方向が規定されるものとする。
【0013】
本発明においては、ハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対し、切削進行方向が15〜75°となる角度で切削することが好ましく、25〜65°となる角度で切削することがより好ましい。
【0014】
また、本発明においては、溝又は穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、センサーの同投影面積に対し、2倍以上となる領域で設けることが好ましい。但し、当該溝又は穴は、これらのセル開口端面における投影面積が、セル開口端面の全面積に対し、40%(面積%)以下となる領域で設けられることが好ましく、更にハニカム状焼成体の全体積に対し、0.5〜20%(体積%)となる領域で設けられることがより好ましい。また、溝又は穴は、ハニカム状焼成体の中心軸を経由させて設けられることが好ましい。
【0015】
また、縁取りは、ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.2〜30%(体積%)となる領域で設けられることが好ましい。
【0016】
ここで、「セル開口端面における投影面積」とは、溝又は穴を形成する前のハニカム状焼成体におけるセル開口端面に、溝又は穴を、当該セル開口端面に対して垂直方向で投射した際の投影面積を意味する。また、「ハニカム状焼成体の全体積」とは、セル及び細孔が占める空間をも含めたハニカム状焼成体の全体積を意味し、溝、穴、又は縁取りの体積は、切削前のハニカム状焼成体の全体積から切削によりこれらを形成した後のハニカム状焼成体の全体積を引いた体積を意味する。
【0017】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、上記のように、ハニカム状焼成体の隔壁の一部を切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種を設けるため、センサーとともにエキマニ直下に搭載した場合であっても、センサーを適切な位置に配設しながら、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能を発揮するハニカム構造体を得ることができる。
【0018】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削するため、切削の際の応力が緩和され、隔壁の破損を生じることなく所望の形状の溝、穴又は縁取りを形成することができる。従って、特に、厚さ0.01〜0.30mmであるハニカム構造体を製造する際に好ましく適用することができる。
【0019】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、上記のように切削された溝又は縁取りが、セル開口端面に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によれば、センサーの配設スペースを確保しながらも、触媒容量の低減を最小限にとどめて、所望の浄化性能を得られるハニカム構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、まず、セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状の成形体を得る。
【0022】
坏土の主成分であるセラミックスとしては、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コージェライト化原料、チタン酸アルミニウム、及びサイアロンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、坏土の主成分である金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びケイ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。なお、これらセラミックス及び金属は、1種単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0023】
坏土は、必要に応じてセラミックス及び金属以外の成分を含んでもよく、例えば、バインダー、結晶成長助剤、分散剤、又は造孔剤等を含有させることができる。バインダーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、又はポリビニルアルコール等を挙げることができ、結晶成長助剤としては、例えば、マグネシア、シリカ、イットリア、又は酸化鉄等を挙げることができる。また、分散剤としては、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、又はポリアルコール等を挙げることができ、造孔剤としては、例えば、グラファイト、小麦粉、澱粉、フェノール樹脂、又はポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
【0024】
なお、坏土は、セラミックス及び/又は金属を主成分とする原料に、水を所定量混合し、必要に応じてバインダー等を添加した後、通常の方法で混練して得ることができる。
【0025】
本発明の製造方法においては、坏土を成形する方法について特に制限はないが、量産性に優れる点で、押出成形が好ましく、例えば、ラム式押出し成形装置、2軸スクリュー式連続押出成形装置等の押出成形装置を用いて、所望のパターンを有する金型から、押出成形することが好ましい。
【0026】
また、本発明においては、ハニカム状成形体の隔壁の厚さについて特に制限はなく、近年、圧力損失、及び熱容量の低減等の要請から製造されている薄い隔壁のハニカム構造体についても適応可能である。具体的には、隔壁厚さを、0.01〜0.30mmとすることができる。
【0027】
ハニカム状成形体の隔壁により形成されるセルとしては、例えば、断面形状が円形、楕円形、長円形、四角形、八角形、又は左右非対称な異形形状のものを挙げることができる。また、隔壁により形成されるセルのセル密度は、得られるハニカム構造体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)、更にはガスが流れる場合の圧力損失を考慮して、6〜2000セル/平方インチ(0.9〜311セル/cm2)が好ましく、50〜400セル/平方インチ(7.8〜62セル/cm2)がより好ましい。
【0028】
また、ハニカム状成形体の形状は、目的に応じて適宜好ましい形状とすればよく、例えば、径方向の断面形状が、三角形、長方形、正方形、菱形、台形、楕円、円形、トラックサークル形状、半楕円形、又は半円形等のものを挙げることができる。
【0029】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、次いで、ハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、得られたハニカム状焼成体の隔壁を、隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種を設ける。
【0030】
ハニカム状成形体の乾燥方法については特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、又は凍結乾燥等を挙げることができ、中でも、誘電乾燥、マイクロ波又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、焼成条件については、用いる材料の種類により適宜所望の条件を選択すればよい。
【0031】
本発明において、隔壁の切削は、切削進行方向を隔壁の主要面に対して斜めとして行えばよいが、切削進行方向が、隔壁の主要面に対し15〜75°となる角度で切削することが好ましく、25〜65°となる角度で切削することがより好ましい。
【0032】
この範囲の角度となる切削進行方向で切削すれば、図1に示すように、切削の際に生じるせん断力18が略均等に分散されるため、薄い隔壁2で構成されるハニカム状焼成体41であっても、切削の際に隔壁2にせん断破損を生じることなく所望の溝10等を形成することができる。
【0033】
隔壁の主要面に対する切削進行方向の角度は、図2(a)(b)に示すように、切削進行方向Xを、水平方向、即ちハニカム状焼成体41の軸方向Yに対して垂直の角度としながら、隔壁2の主要面3に対しては、垂直方向以外の角度としたものでもよく、図3(a)(b)に示すように、切削進行方向Xを、ハニカム状焼成体41の軸方向Yに対して垂直以外の角度とすることにより、当該軸方向Yと同方向に延びる隔壁の主要面3に対しても、垂直方向以外の角度としたものでもよい。
【0034】
本発明において、溝、穴又は縁取りの大きさは、センサーが適切に設置できる範囲とすることは勿論であるが、得られるハニカム構造体について、無駄な触媒担持面積の減少による浄化性能の低下や、センサーの設置の際に著しい圧力損失の増大を生じない範囲とすることが好ましい。
【0035】
具体的には、溝又は穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、センサーの同投影面積に対し、2倍以上となる領域で設けることが好ましく、3倍以上となる領域で設けることがより好ましい。図4(b)に示すように、溝10又は穴(図示せず)を、当該投影面積となる領域で設ければ、図4(a)に示す溝10等のセル開口端面における投影面積がセンサーの同投影面積に対し、2倍未満となる領域で設ける場合と異なり、センサー5の存在により排ガス20の流れが妨げられる領域16を大幅に減少することができる。従って、著しい圧力損失の増大を招くことなく、センサーを設置することができる。
【0036】
但し、本発明においては、当該溝又は穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、セル開口端面の全面積に対し、40%(面積%)以下となる領域で設けることが好ましい。
図5に示すように、当該投影面に対応するハニカム構造体の部位19では、流路が他の部位より短くなる結果、流路抵抗が小さくなり、当該部位19に排ガス20が集中し易くなる。このため、溝10又は穴(図示せず)のセル開口端面における投影面積が上記より大きいと、ガス流速分布の不均一化による浄化性能の低下、及び耐熱衝撃性の低下が著しくなる。
【0037】
本発明においては、当該溝又は穴は、更にハニカム状焼成体の全体積に対し、0.5〜20%(体積%)となる領域で設けることが好ましく、0.5〜10%(体積%)となる領域で設けることがより好ましい。溝又は穴を設けた領域が、この範囲であれば、必要な触媒容量を確保することができるため、所望の浄化性能を維持することができる。
【0038】
一方、縁取りについては、溝又は穴と同様の点で、ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.2〜30%(体積%)となる領域で設けることが好ましく、0.2〜15%(体積%)となる領域で設けることがより好ましい。
【0039】
本発明において、溝、穴又は縁取りの形状又は位置は、不要な触媒担持面積の減少を防止し、センサーの正確な検出を可能とする観点から、センサーの形状及び設置位置等を考慮して設けることが好ましい。
【0040】
例えば、溝又は穴の形状については、センサーが円柱形状に近似した形状の場合であれば、図7に示すように、センサー5の形状に対応する円柱形状の穴1を設けたり、図6(a)(b)(c)、図8及び図9に示すように、センサー5の形状の半円柱形状部分に対応する半円柱形状の溝10を設けることが、不要な触媒担持面積の減少を防止する点で好ましい。
【0041】
また、穴の形状は、ハニカム構造体の耐熱衝撃性の低下を抑制する点で、円柱形状、楕円柱形状、又は半楕円柱形状が好ましい。また、溝の形状も、同様の点で、半円柱形状、半楕円柱形状、又は半船底形状が好ましく、中でも、溝を形成する際に、作業が容易かつ隔壁の破壊がないことに加え、ハニカム構造体の耐熱衝撃性の低下を大幅に抑えられる点で、半船底形状が好ましい。
【0042】
また、半船底形状等の溝を設ける場合には、図10(b)に示すように、当該溝10が、溝10の外周側面14における開口部15において、当該開口部15の曲線部分10aの曲率半径(R1)を以下に示す条件式(1)の範囲とすることが、やはりハニカム構造体の耐熱衝撃性の低下を大幅に抑えられる点で好ましい。
【0043】
【数1】
【0044】
「上記条件式(1)中、Lは、溝の幅を意味する。」
【0045】
同様に、図10(c)に示すように、半船底形状の溝10を設ける場合には、当該溝10が、溝の最底部10cを含むハニカム構造体軸方向Yにおける断面形状において、当該断面形状の曲線部分10bの曲率半径(R2)が、下記条件式(2)の範囲とすることが好ましい。
【0046】
【数2】
【0047】
「上記条件式(2)中、dは、溝のハニカム構造体軸方向Yにおける深さを意味する。」
【0048】
一方、溝又は穴の位置としては、センサーの感知部を、排ガスの流量の最も多いハニカム構造体の中心軸近傍に位置させることが正確な測定を行う上で好ましいため、例えば、図11に示すように、ハニカム状焼成体41の中心軸Zを経由させて設けることが好ましい。
【0049】
また、縁取りの形状としては、図12に示すように、ハニカム状焼成体41のセル開口端面8から外周側面14にかけて平面(斜面)を形成するもの、図13に示すように、ハニカム状焼成体41のセル開口端面8から外周側面14にかけて凹曲面が形成されるものが、ハニカム構造体51の耐熱衝撃性の低下を大幅に抑えられる点で好ましい。
【0050】
なお、これらの縁取りを設けたハニカム構造体は、例えば、図14に示すように、複数のハニカム構造体51、52を、各縁取り11、12を対向させて配設することにより、センサー5の配設領域を確保することができる。
【0051】
本発明において、溝、穴又は縁取りを形成する方法としては、切削等により溝等を形成する際に、隔壁への応力が小さく、かつ容易に溝等を形成できるものが好ましい。具体的には、溝又は縁取りの場合はグラインダー、穴の場合はドリル等を用いればよく、その他、エンドミル等のフライスを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、以上説明した通りであるが、当該製造方法は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)等のハニカムフィルターを製造する際に適用してもよいが、特に、薄壁化が求められる触媒担体としてのハニカム構造体について好ましく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明において、溝を設けた一の実施形態を模式的に示す模式図であり、切削進行方向とせん断力との関係を説明するものである。
【図2】本発明において、穴を設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図3】本発明において、穴を設けた他の一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図4】本発明において、溝のセル開口端面における投影面積と、センサーの同面積との関係を説明するものであり、(a)は溝のセル開口端面における投影面積がセンサーの同面積に対し、2倍未満となる例を示し、(b)は2倍以上となる例を示す。
【図5】本発明において、溝を設けた実施形態を模式的に示す側面図であり、溝のセル開口端面における投影面積と、排ガスの流れとの関係を説明するものである。
【図6】本発明において、溝を設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図7】本発明により製造した穴を設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した一の例を示す模式図である。
【図8】本発明により製造した溝を設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した他の例を示す模式図である。
【図9】本発明により製造した溝を設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した更に他の例を示す模式図である。
【図10】本発明において、溝を設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面一部拡大図であり、(c)は(a)におけるX−X’断面の一部拡大図である。
【図11】本発明において、穴をハニカム状焼成体の中心軸を経由させて設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図12】本発明において、縁取りを設けた一の実施形態を模式的に示す説明図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【図13】本発明において、縁取りを設けた他の一の実施形態を模式的に示す側面図である。
【図14】本発明により製造した縁取りを設けたハニカム構造体を、コンバーターシステムに設置した例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1…穴、2…隔壁、3…隔壁の主要面、5,6…センサー、8,9…セル開口端面、10…溝、10a…曲線部分、10b…曲線部分、10c…最底部、11,12…縁取り、14…外周側面、15…開口部、16…排ガスの流れが妨げられる領域、18…せん断力、19…投影面に対応するハニカム構造体の部位、20…排ガス、41,42…ハニカム状焼成体、51,52…ハニカム構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状成形体を得、
該ハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、
得られたハニカム状焼成体の隔壁を、該隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種をセンサー挿入領域として、ハニカム状焼成体に設けることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記ハニカム状焼成体の隔壁を、前記隔壁の主要面に対し、切削進行方向が15〜75°となる角度で切削する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記溝又は前記穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、センサーの同投影面積に対し、2倍以上となる領域で設ける請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記溝又は前記穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、該セル開口端面の全面積に対し、40%(面積%)以下となる領域で設ける請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記溝又は前記穴を、前記ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.5〜20%(体積%)の領域で設ける請求項1〜4の何れか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記溝又は前記穴を、前記ハニカム状焼成体の中心軸を経由させて設ける請求項1〜5の何れか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記縁取りを、前記ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.2〜30%(体積%)となる領域で設ける請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
該ハニカム状焼成体の隔壁が、厚さ0.01〜0.30mmである請求項1〜7の何れか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記溝又は前記縁取りが、セル開口端面に設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項1】
セラミックス及び/又は金属を主成分とする坏土を成形してハニカム状成形体を得、
該ハニカム状成形体を乾燥、焼成した後、
得られたハニカム状焼成体の隔壁を、該隔壁の主要面に対して斜めの切削進行方向で切削して、溝、穴又は縁取りの少なくとも1種をセンサー挿入領域として、ハニカム状焼成体に設けることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記ハニカム状焼成体の隔壁を、前記隔壁の主要面に対し、切削進行方向が15〜75°となる角度で切削する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記溝又は前記穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、センサーの同投影面積に対し、2倍以上となる領域で設ける請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記溝又は前記穴を、これらのセル開口端面における投影面積が、該セル開口端面の全面積に対し、40%(面積%)以下となる領域で設ける請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記溝又は前記穴を、前記ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.5〜20%(体積%)の領域で設ける請求項1〜4の何れか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記溝又は前記穴を、前記ハニカム状焼成体の中心軸を経由させて設ける請求項1〜5の何れか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記縁取りを、前記ハニカム状焼成体の全体積に対し、0.2〜30%(体積%)となる領域で設ける請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
該ハニカム状焼成体の隔壁が、厚さ0.01〜0.30mmである請求項1〜7の何れか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記溝又は前記縁取りが、セル開口端面に設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−93664(P2008−93664A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3979(P2008−3979)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【分割の表示】特願2002−28640(P2002−28640)の分割
【原出願日】平成14年2月5日(2002.2.5)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【分割の表示】特願2002−28640(P2002−28640)の分割
【原出願日】平成14年2月5日(2002.2.5)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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