説明

ハニカム構造体の製造方法

【課題】生産効率を向上させ、原料収率を向上させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】ハニカム成形体100を形成し、ハニカム成形体100に、セルの延びる方向に平行に、複数のスリット4を形成して、スリット形成ハニカム成形体110を形成し、スリット形成ハニカム成形体110を焼成してスリット形成ハニカム焼成体を形成し、スリット形成ハニカム焼成体に、少なくとも一方の端面側に開口するとともに、スリットが含まれるように切れ込み5を形成して、切れ込み5により複数の部分セグメントが区画形成された、部分セグメントの集合体120を形成し、部分セグメントの集合体120に形成された切れ込み5に充填材を充填することにより、隣接する各部分セグメント間に緩衝部8を形成してハニカム構造体130を得るハニカム構造体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、生産効率を向上させ、原料収率を向上させることが可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている。特に、近時では、ハニカム構造体は、両端面のセル開口部を交互に目封止して目封止ハニカム構造体とし、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質(PM:パティキュレートマター)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として盛んに用いられている。そして、高温、腐食性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料として、耐熱性、化学的安定性に優れた、炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等が好適に用いられている。
【0003】
炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、体積の大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがある。また、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の熱衝撃により欠陥が生じることがある。更に、上記体積が大きいハニカム構造体を作製する場合、焼成時に内外温度差によるクラックが生じることがあるため、通常の何倍もの時間をかけて、ゆっくりと脱脂、焼成しなければならないという問題があった。そのため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体については、所定の大きさ以上のものを製造する場合、通常、複数の小さな目封止ハニカム構造体のセグメントを作製し、それらセグメントを接合して、一つの大きい接合体を作製し、その外周を粗加工、研削して円筒状等の所望の形状の目封止ハニカム構造体としている(特許文献1参照)。尚、セグメントの接合は接合材を用いて行い、所定のセグメントの側面に接合材を塗布して、複数のセグメントをその側面同士で接合している。また、ハニカム構造体を製造するに際し、スリットが形成されたハニカム成形体を押し出し成形する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−291054号公報
【特許文献2】特開2001−170426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法で、所望の形状のハニカム構造体を作製する場合、通常、複数の直方体のセグメントを接合して、1つの大きな直方体の接合体を作製した後に、略所望の形状にするために外周を粗加工し、更に精度よく所望の形状とするために研削して、所望の形状のハニカム構造体にする必要があったため、外周の粗加工工程、研削工程等の余分な工程を必要とし、また、外周が粗加工、研削されるために、原料収率も低いものとなるという問題があった。また、特許文献2に記載の方法で、ハニカム構造体を作製する場合、押出成形のための口金設計が難しいものであった。また、その押出成形体(ハニカム成形体)は変形し易いため、大量生産することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、生産効率を向上させ、原料収率を向上させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体の製造方法を提供する。
【0007】
[1] 成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体を形成し、前記ハニカム成形体に、セルの延びる方向に平行に、複数のスリットを形成して、スリット形成ハニカム成形体を形成し、前記スリット形成ハニカム成形体を焼成してスリット形成ハニカム焼成体を形成し、前記スリット形成ハニカム焼成体に、少なくとも前記一方の端面側に開口するとともに、前記スリットが含まれるように切れ込みを形成して、前記切れ込みにより複数の部分セグメントが区画形成された、部分セグメントの集合体を形成し、前記部分セグメントの集合体に形成された切れ込みに充填材を充填することにより、隣接する各部分セグメント間に緩衝部を形成してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【0008】
[2] 前記焼成前に形成した各スリットが、前記端面に開口部を形成するとともに、外周面に開口部を形成しないものである[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0009】
[3] 前記焼成前に形成した各スリットが、片側の端面のみに開口部を形成するものである[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0010】
[4] 前記複数のスリットのなかの一部のスリットが前記一方の端面に開口し、残りのスリットが前記他方の端面に開口する[3]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[5] 前記焼成前に形成した各スリットが、両端面に開口部を形成するものである[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[6] 前記焼成前に形成した各スリットが、外周面に開口部を形成するとともに、前記端面に開口部を形成しないものである[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0013】
[7] 前記焼成前に形成した各スリットが、外周面に一つの開口部を形成するものである[6]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0014】
[8] 前記焼成前に形成した各スリットが、外周面に二つの開口部を形成するものである[6]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0015】
[9] 前記スリット形成ハニカム焼成体に形成する切れ込みが、前記他方の端面側にも開口するように形成される[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【0016】
[10] 前記スリット形成ハニカム焼成体に形成する切れ込みが、前記一方の端面側のみに開口するように形成される[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、1つのハニカム成形体を押出成形し、得られたハニカム成形体を焼成する前に、得られたハニカム成形体に、セルの延びる方向に平行に、複数のスリットを形成し、その後、焼成し、切れ込みを形成して部分セグメントの集合体を形成し、各部分セグメント間に緩衝部を形成してハニカム構造体を作製するため、外周の粗加工を必要としないことより、生産効率を向上させ、原料収率を大幅に向上させることができる。
【0018】
更に本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、ハニカム成形体を焼成する前に、ハニカム成形体に、セルの延びる方向に平行に、複数のスリットを形成するため、脱脂、焼成時のハニカム成形体の内外温度差により生じる収縮差による応力を、スリットにより緩和できることより、脱脂、焼成時間を短くしても、クラックが発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0020】
(1)ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態:
本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態は、図1A、図1Bに示すように、成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面1から他方の端面2まで延びる複数のセル6(図2、図3を参照)を区画形成する隔壁7(図2、図3を参照)を有するハニカム成形体100を形成し、ハニカム成形体100に、一方の端面1側に開口するとともに他方の端面2には開口せず、セルの延びる方向に平行に、複数のスリット4を形成して、スリット形成ハニカム成形体110を形成し、スリット形成ハニカム成形体110を焼成してスリット形成ハニカム焼成体を形成し、スリット形成ハニカム焼成体に、少なくとも一方の端面1側に開口するとともに、スリット4が含まれるように切れ込み5を形成して、切れ込み5により複数の部分セグメント3が区画形成された、部分セグメントの集合体120を形成し、部分セグメントの集合体120に形成された切れ込み5に充填材を充填することにより、隣接する各部分セグメント3間に緩衝部8を形成してハニカム構造体130を得るものである。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、焼成前に形成した各スリットが、片側の端面のみに開口部を形成するとともに、外周面に開口部を形成しない例である。複数のスリットのなかの一部のスリット(例えば、2本のスリットのなかの1本のスリット)が一方の端面に開口し、残りのスリット(2本のスリットのなかの残りの1本のスリット)が他方の端面に開口する態様も好ましい態様である。また、各スリットが、両端面に開口部を形成するとともに、外周面に開口部を形成しない態様も好ましい態様である。
【0021】
ここで、「スリット4が含まれるように切れ込み5を形成する」とは、切れ込み5として形成された空間の中に、スリット4として形成されていた空間が含まれることをいう。従って、スリット形成ハニカム成形体において「スリット4」であった部分(空間)も、部分セグメントの集合体においては、「切れ込み5」となる。また、「複数のスリット」というときは、図1Aに示すスリット形成ハニカム成形体110のように、一方の端面1において、2本のスリット4が十字状に交差している場合も含む(この場合は、「2本のスリット」ということになる)。また、「部分セグメント」とは、1つのハニカム成形体に中心軸に平行な切れ込みを入れることにより区画形成されたセグメントであり、各部分セグメントがそれぞれ分離された状態になっているものと、一方の端面側には切れ込みが形成され、他方の端面側には切れ込みが形成されずに残った部分があることにより各部分セグメントが他方の端面側で繋がった状態になっているものとを含む。図1Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体が形成される過程を模式的に示した平面図である。また、図1Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体が形成される過程を模式的に示した側面図である。また、図1Aに示すように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム成形体100の一方の端面1における所定のセルの開口部と、他方の端面2における残余のセルの開口部に、目封止を施して、目封止ハニカム成形体を形成し、目封止ハニカム成形体にスリット4を形成してスリット形成ハニカム成形体110とすることが好ましい。
【0022】
炭化珪素のような熱膨張率の高い材質で、大きな円筒形状(例えば、底面の直径100mm以上の円筒形状)のハニカム構造体を作製する場合、通常、高温時の熱衝撃による破損を防止するため、直方体のセグメントを作製し、それを接合して大きな直方体形状の接合体を作製した後に、外周をビーズソー等の装置を用いた粗加工、及びカム研削盤等の装置を用いた研削(研削加工)を行うことにより円筒形状のハニカム構造体にする必要があった。そのため、外周部の粗加工工程等の余分な工程を必要とし、また、外周が粗加工されるために、原料収率も高いものではなかった。これに対し、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、所望の大きさの大きな円筒形状のハニカム成形体を押出成形により作製するため、直方体のセグメントを接合する工程及び外周部を粗加工する工程が無いことにより、生産効率が高く、原料収率も高いものである。また、大きな円筒形状のハニカム成形体を脱脂、焼成する場合、成形体内部が高温になり成形体外周部との温度差によりクラックが発生し易くなるため、成形体内部と成形体外周部との温度差が大きくならないように、時間をかけて脱脂、焼成を行う必要があるが、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、脱脂、焼成前のハニカム成形体にスリットを形成するため、成形体内部と成形体外周部との温度差が大きくなっても、当該温度差による歪をスリットにより緩和することができる。そのため、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、脱脂、焼成を短時間で行うことができる。ここで、「粗加工」とは、直方体等の形状の接合体を、その外周を削って所望の形状に近い形状に加工することをいう。また、「研削」とは、粗加工した接合体の外周を更に削って、所望の形状及び所望の表面の滑らかさに精度良く仕上げることをいう。以下、工程毎に説明する。
【0023】
(1−1)ハニカム成形体の作製;
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタニア、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が好ましい。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0024】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して3〜15質量%であることが好ましい。
【0025】
水の含有量は、成形原料全体に対して7〜45質量%であることが好ましい。
【0026】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して0〜5質量%であることが好ましい。
【0027】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して0〜15質量%であることが好ましい。
【0028】
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0029】
次に、坏土を成形して、図1A,図1Bに示すような、円筒状のハニカム成形体100を形成する。ハニカム成形体100は、流体の流路となる一方の端面1から他方の端面2まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するものであり、隔壁の最外周に外周壁14が配設されている。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法は特に制限されず、押出成形等の従来公知の成形法を用いることができる。所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0030】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜95質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、90〜180℃が好ましい。乾燥時間は1〜10時間が好ましい。
【0031】
次に、ハニカム成形体の中心軸方向長さ(セルの延びる方向における長さ)が、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、両頭丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
【0032】
(1−2)スリット形成ハニカム成形体の作成;
次に、図1A、図1Bに示すように、ハニカム成形体100に、一方の端面1側に開口するとともに他方の端面2には開口しない複数のスリット4を形成して、スリット形成ハニカム成形体110を作製する。
【0033】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、図2、図3に示すように、スリット4が、セル6の延びる方向に直交する断面において、一列に並ぶセルの列12を、隔壁7を切断しながら縦断するように形成されることが好ましい。2列以上並ぶセルの列にスリットを形成すると、部分セグメントの集合体を形成したときの切れ込みも、幅広いものとなり、それにより緩衝部が厚いものとなる。緩衝部が厚いと、排ガス処理用のフィルター等として用いた時に圧力損失が大きくなることがある。また、スリット4は、一列に並ぶセルの列を、隔壁を切断しながら連続的に縦断するように形成されていることが好ましいが、断続的に隔壁を切りながらセルの列を縦断するように形成されてもよい。このように、スリットが断続的に隔壁を切りながら形成された場合、一列に並ぶスリットとスリットとの間の、「隔壁が切られていない部分」の長さは5mm以下であることが好ましい。隔壁が切られていない部分の長さが5mmより長いと、脱脂、焼成時のクラック発生防止効果が低減することがある。また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、「隔壁が切られていない部分」の長さが5mm以下の場合、「隔壁が切られていない部分」を挟んで一列に並ぶ2つのスリットは1本のスリットであるとする。図2は、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程で作製されるスリット形成ハニカム成形体を示し、セルの延びる方向に直交する断面の一部を示す模式図である。図3は、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程で作製されるスリット形成ハニカム成形体を示し、セルの延びる方向に直交する断面の一部を示す模式図である。
【0034】
スリット形成ハニカム成形体110において、セルの延びる方向に垂直な断面におけるスリットの形成パターンは、2本のスリットが十字状に交差したパターン(形状)であることが好ましい。更に、2本のスリットの交点が、スリット形成ハニカム成形体110の、セルの延びる方向に垂直な断面における中央領域に位置することが好ましい。ここで、「スリット形成ハニカム成形体の、セルの延びる方向に垂直な断面における中央領域」とは、スリット形成ハニカム成形体の、セルの延びる方向に垂直な断面の形状(断面形状)が円形の場合、その円形の中心を中心とし半径がその円形の半径の50%の、円形の領域である。また、断面形状が楕円形の場合、その楕円形の中心を中心とし半径がその楕円形の短径の50%の、円形の領域である。また、断面形状がその他の形状の場合、その重心を重心とし、その断面形状と相似形で面積が断面形状の面積の25%の領域である。
【0035】
スリット形成ハニカム成形体110において、スリット4の、セルの延びる方向における長さの下限値は、スリット形成ハニカム成形体の長さに対して70%であることが好ましく、85%であることが更に好ましく、90%であることが特に好ましい。下限値が70%より短いと、脱脂、焼成時にクラックが発生し易くなり、脱脂、焼成時間を長くする必要が生じることがある。スリット4の、セルの延びる方向における長さの上限値は、スリット形成ハニカム成形体の長さに対して99%であることが好ましく、98%であることが更に好ましい。99%より長いと、繋がっている部分が破壊され易くなり、繋がっている部分が破壊されるとスリット形成ハニカム成形体がバラバラになることがある。スリットのセルの延びる方向における長さは、1本のスリットの中で一定である必要はなく、少なくとも一部が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。更に、スリット4の、セルの延びる方向における長さは、一本のスリットの中で一定であることが好ましい。同様に、複数のスリットがある場合、少なくとも1本が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。スリット4の厚さ(幅)は、セル1つ分の厚さの範囲内であることが好ましい。スリット4の厚さ(幅)の下限値は、0.3mmであることが好ましく、1.0mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、脱脂、焼成時にクラックが発生し易くなることがある。スリット4の厚さ(幅)の上限値は、3.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。3.0mmより厚いと、ハニカム構造体にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがある。スリットの厚さは、1本の中で一定である必要はなく、少なくとも一部が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。更に、スリットの厚さは、一定であることが好ましい。同様に、複数のスリットにおいて、少なくとも1本が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。
【0036】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、スリット4が、一方の端面のみに開口し、スリット形成ハニカム成形体の外周面11に開口部を形成していないため、スリット形成ハニカム成形体を焼成するときに、スリット形成ハニカム成形体が変形することがなく、形状精度の良いハニカム構造体を製造することができる。尚、スリットを、端面及び外周面の両方に開口部を有するように形成すると、焼成時にスリット形成ハニカム成形体が変形することがある。
【0037】
スリット形成ハニカム成形体110は、セルの延びる方向に直交する断面において、焼成前に形成した複数のスリットにより区画された領域である焼成前区画領域13のそれぞれの規格面積の下限値が、9cmであることが好ましく、12cmであることが更に好ましい。9cmより狭いと得られるハニカム構造体において、小さなセグメントが集合した形になり、DPFとして使用する際の圧損が高くなることがある。また、焼成前に形成した複数のスリットにより区画された領域である焼成前区画領域13のそれぞれの規格面積の上限値は110cmであることが好ましく、75cmであることが更に好ましい。110cmより広いと、脱脂、焼成時にクラックが入り易くなるため、脱脂、焼成の時間を長くしなければならないことがある。ここで、「規格面積」とは、スリット形成ハニカム成形体のセルの延びる方向に直交する断面において、二本のスリットが十字状に形成されている場合には(図1を参照)、直交する二本のスリットの交点から各スリット(それぞれ異なるスリット)の端部までの二本の線分(直交する二本の線分)を二辺とする長方形の面積を意味する。また、上記二本のスリットが直交しない場合には、上記スリットの交点から各スリットの端部までの二本の線分を二辺とする平行四辺形の面積を意味する。また、焼成前区画領域がおうぎ形ではなく他の形状の場合は、スリットにより囲まれた面積を意味する。図1Aに示すスリット形成ハニカム成形体のように、セルの延びる方向に直交する断面において、スリットにより断面が完全に区画されていない(スリットが外周面まで到達していない)場合には、焼成前区画領域13は、2本のスリット4の両端部を外周面まで延長させて形成される領域とする。この場合、スリットを最外周部まで延長させて一つの焼成前区画領域とすることができるのは、スリットの端部と最外周部までの距離が5mm以下の場合である。スリットの端部と外周面までの距離が5mmを超える場合、当該スリットによる区画がないものとして焼成前区画領域が把握(形成)される。尚、当該スリットが他のスリットと交差するときは、その交差した部分から当該スリットの端部までがないものとして焼成前区画領域が把握(形成)される。また、各スリットの端部と他のスリットとの距離についても同様であり、スリットの端部と他のスリットまでの距離が5mm以下の場合、焼成前区画領域は、当該スリットの端部を他のスリットまで延長して形成される領域とする。複数の焼成前区画領域が存在する場合には、その半数以上が上述の範囲に入っていることが好ましく、更に、全てが上述の範囲にはいっていることが好ましい。
【0038】
セルの延びる方向に直交する断面において、焼成前に形成した複数のスリットのそれぞれの端部から、スリット形成ハニカム成形体の最外周部(外周壁)までの間に、スリットが形成されていないセルが1〜5個並んで存在することが好ましく、1〜3個並んで存在することが更に好ましい。スリットの端部から最外周部までの距離が、このような範囲であるため、スリット形成ハニカム成形体を脱脂、焼成するときに、高温により崩れることを防止できる。スリットの端部から最外周部までに並ぶセル数が5個より多いと、焼成時にスリットの端部から最外周部へ向かうクラックが生じることがある。尚、スリットの端部から最外周部へ真直ぐ伸びるクラックの場合、後にその部分に切れ込みを形成するときには問題にならないこともある。また、セルの延びる方向に直交する断面において、焼成前に形成した複数のスリットのそれぞれの端部から、スリット形成ハニカム成形体の最外周部までの距離は、1〜5mmが好ましく、1〜3mmが更に好ましい。スリットの端部から最外周部までの距離が、このような範囲であるため、スリット形成ハニカム成形体を脱脂、焼成するときに、高温により崩れることを防止できるとともに、得られたハニカム構造体に排ガス等を流通させたときの圧力損失の増大を防止することができる。尚、「セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの端部から、スリット形成ハニカム成形体の最外周部までの距離」というときは、スリットの端部から外周面までの距離のことをいう。
【0039】
次に、スリット形成ハニカム成形体について、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止部を形成することが好ましい。ハニカム成形体に目封止部を形成した場合は、得られるハニカム構造体が目封止ハニカム構造体となる。目封止を施す方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム成形体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセルに対応した位置に穴を開ける。このとき、端面にスリットの開口部が形成されているときには、スリットに目封止スラリーが進入しないように、スリットを塞いでいる部分には穴を開けないことが好ましい。そして、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム成形体の当該シートを貼り付けた端面を浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止しようとするセルの開口端部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム成形体の他方の端面については、一方の端面において目封止部を形成しなかったセルについて、上記一方の端面に目封止を施した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止部の形成は、ハニカム成形体にスリットを形成した後に行ってもよいが、スリットを形成する前に行ってもよい。これは、目封止部を形成した後にスリットを形成しようとすると、加工治具でハニカム成形体にスリットを形成する際に、目封止部によって加工治具の進入が妨げられることがあるからである。ハニカム成形体の外周面にスリットの開口部を形成する場合には、目封止部はスリットの形成の妨げにはならないため、目封止部をスリット形成の前に形成してもよいし、後に形成してもよい。
【0040】
(1−3)スリット形成ハニカム焼成体の作製;
次に、スリット形成ハニカム成形体110を焼成してスリット形成ハニカム焼成体を得ることが好ましい。焼成を行うときは、本焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂(仮焼成)を行うことにより仮焼体を形成することが好ましい。そして、仮焼体を本焼成してスリット形成ハニカム焼成体を形成することが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、焼成というときは、本焼成のことを意味する。従って、ハニカム成形体を仮焼成した後に、スリットを形成し、その後、本焼成を行ってもよい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃の最高温度で、0.5〜10時間行うことが好ましい。仮焼成及び本焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。本焼成の条件は、珪素−炭化珪素系複合材料の場合、アルゴンの不活性雰囲気において、1300〜1500℃で、1〜10時間加熱することが好ましい。ここで「本焼成」とは、仮焼体の成形原料中の珪素を溶融させ炭化珪素と結合させ、所定の強度を確保するための操作を意味する。
【0041】
(1−4)部分セグメントの集合体の作製;
次に、スリット形成ハニカム焼成体に、少なくとも一方の端面1側に開口するとともに、スリット4が含まれるように切れ込み5を形成して、切れ込み5により複数の部分セグメント3が区画形成された、部分セグメントの集合体120を形成する。このように切れ込み5を形成することにより、得られるハニカム構造体を、複数の部分セグメントを接合した構造とすることができるため、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を得ることができる。
【0042】
切れ込み5は、セルの延びる方向に沿って(中心軸に平行に)形成する。図1Aに示す部分セグメントの集合体120においては、切れ込み5は、外周壁14を切断するとともに、他方の端面2にも開口するように形成されている。切れ込み5は、このように形成されることが好ましいが、外周壁14を切断せずに形成してもよく、また、他方の端面2には開口しないように形成してもよい。切れ込み5を他方の端面2に開口しないように形成した場合、切れ込み5に充填材を充填した後に、他方の端面2付近の、切れ込み5が形成されていない部分、を切り落としてもよい。この場合、得られたハニカム構造体は図1Aに示すハニカム構造体130と同様に、一方の端面1から他方の端面2まで緩衝部8が配設された構造となる。
【0043】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、スリット形成ハニカム成形体110に、一方の端面1から他方の端面2まで到達する切れ込み5を形成して、部分セグメントの集合体130を形成しており、各部分セグメントはそれぞれ分離した状態となる。この場合、各部分セグメントが、ばらばらの状態になってもよいが、図4A、図4Bに示すように、スリット形成ハニカム成形体110の両端面1,2の各部分セグメントに対応する部分22をそれぞれ把持する把持具21で、スリット形成ハニカム成形体110の両端面1,2を把持し、スリット形成ハニカム成形体110に、他方の端面2まで到達する切れ込みを形成して、部分セグメントの集合体を形成することが好ましい。これにより、スリット形成ハニカム成形体110に、一方の端面1から他方の端面2まで到達する切れ込みを形成した後も、各部分セグメントが、把持具21により固定されているため、ばらばらにならず、このままの状態で、次の工程で緩衝部を容易に形成することができ、生産効率を向上させることができる。また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、一体的に形成されているスリット形成ハニカム成形体110を焼成し、その後に切れ込み5を形成して部分セグメントの集合体130を形成するため、各セグメントの方向(入口側と出口側の方向)の混同を防止することができる。つまり、各セグメント(部分セグメント)は、入口側端部と出口側端部の方向をそれぞれ合わせて接合する必要があるが、セグメントを別々に成形してそれらを接合するときには、接合時にこれを誤って、一部のセグメントの入口側端部と残部のセグメントの出口側端部とが同じ方向になるように接合される(混同する)ことがある。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、これを防止することができる。図4Aは、スリット形成ハニカム成形体110の両端面1,2を把持具21で把持した状態を模式的に示す側面図である。図4Bは、一方の端面1における把持具21が当接する部分23を表した、一方の端面1側からみたスリット形成ハニカム成形体110を模式的に示す平面図である。
【0044】
図1A、図1Bに示す部分セグメントの集合体120に形成されるような、一方の端面1において、直線状であり且つ切れ込み5の両端部(一方の端面1における切れ込み5の両先端部分)が、ともに外周面に到達している構造(外周壁をも切断する構造)の切れ込み5を形成する場合、円盤状マルチ砥石、マルチブレードソー、マルチワイヤーソー等の切れ込み形成装置を用いることが好ましい。円盤状マルチ砥石は、複数枚の円盤状の砥石を、スリット形成ハニカム成形体110の外周部の横に、それぞれが平行になるように並べ、それぞれを回転させながら、スリット形成ハニカム成形体110の一方の端面1に平行に移動させてスリット形成ハニカム成形体110を切れ込み加工するものであり、例えば、ELB社製、商品名:高速平面研削盤を用いることができる。また、マルチブレードソーは、複数本の棒状(又は板状)の砥石を、一方の端面1の上に、それぞれが平行になるように並べ、それぞれを一方の端面1に平行に往復運動させながら、一方の端面1から他方の端面2の方向に向かってスリット形成ハニカム成形体110に切れ込みを形成するものであり、例えば、野村製作所社製、商品名:ブレードソーを用いることができる。また、マルチワイヤーソーは、複数本のワイヤー状の砥石を、一方の端面1の上に、それぞれが平行になるように並べ、それぞれを一方の端面1に平行に往復運動、又は一方向に連続移動させながら、一方の端面1から他方の端面2の方向に向かってスリット形成ハニカム成形体110に切れ込みを形成するものであり、例えば、タカトリ社製、商品名:マルチワイヤーソーを用いることができる。
【0045】
切れ込み5は、図2、図3に示されるスリット4の場合と同様に、セル6の延びる方向に直交する断面において、一列に並ぶセルの列12を、隔壁7を切断しながら縦断するように形成されることが好ましい。その理由も、スリット4の場合と同様である。また、切れ込み14の厚さ(幅)の下限値は、0.3mmであることが好ましく、1.0mmであることが更に好ましい。また、切れ込み14の厚さ(幅)の上限値は、3.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、部分セグメント3,3間の緩衝効果が小さくなることがあり、3.0mmより厚いと、ハニカム構造体にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがある。
【0046】
部分セグメント3の大きさは、中心軸方向に直交する断面の規格面積の下限値は、3cmであることが好ましく、7cmであることが更に好ましい。中心軸方向に直交する断面の規格面積の上限値は、100cmであることが好ましく、16cmであることが更に好ましい。3cmより小さいと、ハニカム構造体にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがあり、100cmより大きいと、部分セグメント3の破損防止効果が小さくなることがある。
【0047】
(1−5)ハニカム構造体の作製;
次に、部分セグメントの集合体120に形成された切れ込み5に充填材を充填することにより、隣接する各部分セグメント3間に緩衝部8を形成してハニカム構造体130を得る。緩衝部8は、部分セグメント間に形成される空間の70%以上に配設されていることが好ましく、90%以上に配設されていることが更に好ましく、100%に配設されていることが特に好ましい。緩衝部8が部分セグメント間に形成される空間の100%に配設されると、隣接する部分セグメントの、互いに対向する接合面全体に配設された状態となるため、接合強度が向上する点で好ましい。緩衝部8は、各部分セグメントが熱膨張、熱収縮したときに、体積変化分を緩衝させる(吸収する)役割を果たすとともに、各部分セグメントを接合する役割を果たす。従って、「隣接する各部分セグメント間に、緩衝部8を形成する」は、「隣接する各部分セグメントを、緩衝部8を介して接合する」ということもできる。
【0048】
緩衝部8を形成する方法としては、図4Aに示すようにスリット形成ハニカム成形体110を把持具21で把持した状態の場合、切れ込みを形成した後も把持具21により切れ込み部分が一定の厚さで保持されているため、充填材を水等の分散媒に分散させてスラリー状にしたものを、その切れ込み内に充填する方法が挙げられる。このとき、把持具21により保持された切れ込み部分の厚さが緩衝部8の厚さとなる。スラリーを切れ込み内に充填する際には、把持具で固定された部分セグメントの集合体120を、密閉容器に入れ、外周からスラリーが漏れないようにテープ等を外周に巻き付けることが好ましい。スラリーの充填は、注射器のような注入装置や細長く開口したノズルを用いて行うことが好ましい。このような注入装置を用いる場合において、部分セグメントの集合体120が大型の場合、複数個所からスラリーを充填することにより、高圧をかけずに充填することができる。部分セグメントの集合体120の外周に巻きつけるテープの材質としては、ポリエステル等の透水しない材質を挙げることができる。また、エアバックのようなもの(例えば、ブリジストン社製、商品名:エアグリッパー)で脱着を容易にすることもできる。また、スラリーがセルに流入することを防ぐために、セルの開口端部にテープを貼るなどのマスキングをすることにより作業性を向上させることが好ましい。この場合、部分セグメントの集合体120を静止させた状態でスラリーを充填しようとすると、部分セグメントの集合体120が多孔質である場合には、分散媒が隔壁に吸収されてスラリーが切れ込み5内に均一に広がらないことがある。そのため、そのような場合には、部分セグメントの集合体120を振動装置により振動させながら、スラリーを圧入することが好ましい。振動装置としては、例えば、旭製作所社製、商品名:小型振動試験機等を使用することができる。また、スラリーを、より容易に切れ込み内に均一に浸入させるために、切れ込みの内壁(部分セグメントの外周壁)を含水処理することが好ましい。含水処理としては、蒸気を噴霧する方法等を挙げることができる。スラリーを切れ込み内に圧入した後には、100℃以上で乾燥を行うことが好ましい。
【0049】
更に、把持具21を用いた場合に、緩衝部8を形成する方法としては、充填材をテープ状に成形し、複数のテープ状の充填材を切れ込み内に充填し、その後、加熱処理をすることにより緩衝部8とする方法を挙げることができる。充填材をテープ状に成形する方法は特に限定されず、例えば、充填材、バインダ、界面活性剤、水等を混合して成形原料とし、テープ成形の方法でテープ状に成形する方法を挙げることができる。また、緩衝部8を形成する方法としては、粉末状の充填材を、切れ込み内に充填し、その後、上下部にセメント、接着剤等で封止する処理をすることにより緩衝部8とする方法を挙げることができる。粉末状の充填材は、タッピングにより切れ込みに充填することができる。
【0050】
また、把持具21を用いない場合に、緩衝部8を形成する方法としては、充填材を水等の分散媒に分散させてスラリー状にしたものを、各部分セグメントの接合面に塗布し、又は上記テープ状の充填材を接合面に貼り付け、その後、各セグメントを接合させる方法が挙げられる。
【0051】
充填材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤に水を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。充填材をテープ状に成形して切れ込み内に挿入する場合、充填材としは、熱処理で発泡する材料を用い、充填材を切れ込み内に挿入した後に、切れ込み入りハニカム構造体を加熱することが好ましい。熱処理で発泡する材料としては、発泡ウレタン樹脂等を挙げることができる。
【0052】
ハニカム構造体を形成した後に、両端面の平行度を上げるために、端面を研磨してもよい。
【0053】
(1−6)外周コート処理;
ハニカム構造体を形成した後に、外周コート処理を行うことが好ましい。外周コート処理を行うことにより、ハニカム外周部の凹凸の精度向上の利点がある。外周コート処理としては、外周コート材をハニカム構造体の外周に塗布して、乾燥させる方法を挙げることができる。外周コート材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を混合したもの等を用いることができる。また、外周コート材を塗布する方法は、特に限定されず、ハニカム構造体をろくろ上で回転させながらゴムへら等でコーティングする方法等を挙げることができる。
【0054】
(2)ハニカム構造体:
本実施形態のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態により得られるハニカム構造体は、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、一方の端面から中心軸方向に延びる複数の切れ込みにより複数の部分セグメントが区画形成されたハニカム構造部と、隣接する各部分セグメント間に配設される緩衝部とを備えるものである。そして、隔壁全体の外周を覆うように外周コートが形成されてもよい。また、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止が施されたハニカム構造体(目封止ハニカム構造体)であることも好ましい。
【0055】
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム構造部は、全体の形状が、最終的に得られるハニカム構造体の形状であることが好ましい。例えば、円筒形状、楕円形状等の所望の形状とすることができる。また、ハニカム構造部の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径が50〜450mmであることが好ましく、100〜350mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造部の中心軸方向の長さは、50〜450mmであることが好ましく、100〜350mmであることが更に好ましい。ハニカム構造部の材料としては、セラミックが好ましく、強度及び耐熱性に優れることより、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が特に好ましい。炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがあったが、本発明のハニカム構造体のように複数の切れ込みにより複数の部分セグメントを形成し、緩衝部を配設することにより、炭化珪素の熱膨張が緩衝部により緩衝され、ハニカム構造体の欠陥の発生を防止できるという効果を奏する。
【0056】
ハニカム構造部は、多孔質であることが好ましい。ハニカム構造部の開気孔率の下限値は30%であることが好ましく、40%であることが更に好ましい。ハニカム構造部の開気孔率の上限値は80%であることが好ましく、65%であることが更に好ましい。開気孔率をこのような範囲とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくできるという利点がある。開気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。開気孔率が80%を超えると、強度が低下するとともに、熱伝導率が低下することがある。開気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0057】
ハニカム構造部は、平均細孔径の下限値が5μmであることが好ましく、7μmであることが更に好ましい。平均細孔径の上限値が50μmであることが好ましく、35μmであることが更に好ましい。平均細孔径をこのような範囲とすることにより、粒子状物質(PM)を効果的に捕集できるという利点がある。平均細孔径が5μm未満であると、粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがある。平均細孔径が50μmを超えると、粒子状物質(PM)がフィルターに捕集されず通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0058】
ハニカム構造部の材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜100μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることより、フィルターに好適な気孔率、気孔径に制御しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、100μmより大きいと気孔率が小さくなることがある。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすく、気孔率が小さすぎると圧力損失が上昇することがある。原料の平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
【0059】
ハニカム構造部のセル形状(ハニカム構造部の中心軸方向(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。目封止を設ける場合は、八角形と四角形との組み合わせも好適な一例である。ハニカム構造部の隔壁の厚さは、50〜2000μmであることが好ましい。隔壁の厚さが50μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがあり、2000μmより厚いと、圧力損失が大きくなることがある。ハニカム構造部のセル密度は、特に制限されないが、0.9〜311セル/cmであることが好ましく、7.8〜62セル/cmであることが更に好ましい。
【0060】
本実施形態のハニカム構造体を構成する緩衝部は、ハニカム構造部の切れ込みの空間全体に充填されるように配設されていることが好ましい。
【0061】
また、得られるハニカム構造体の熱膨張係数が、1×10−6/℃以上であることが好ましく、2×10−6〜7×10−6/℃であることが更に好ましい。本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、このような熱膨張係数の大きなハニカム構造体であっても、耐熱衝撃性の高いハニカム構造体とすることが可能である。
【0062】
(3)ハニカム構造体の製造方法の他の実施形態:
本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態は、図5A、図5Bに示すように、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態と同様にして、円筒状のハニカム成形体200を作製し、スリット形成ハニカム成形体210を作製する。その後、スリット形成ハニカム成形体210を焼成して、スリット形成ハニカム焼成体を作製する、その後、スリット形成ハニカム焼成体に、一方の端面15から中心軸に平行に(セルの延びる方向に沿って)延びるとともに他方の端面16側を切らずに残した切れ込み17を形成して、部分セグメントの集合体220を形成する。その後、部分セグメントの集合体220の、各部分セグメント間に緩衝部18を形成して緩衝部配設部分セグメント230を作製する。その後、図6A、図6Bに示すように、緩衝部配設部分セグメント230の、切れ込みが形成されずに残された他方の端面16側(非切れ込み形成部)20を、切断面19が一方の端面15に平行になるように切り落として、一方の端面15から他方の端面(切断面19)まで到達する切れ込み17に緩衝部18が形成されたハニカム構造体240を得る。図5Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体が形成される途中までの過程を模式的に示した平面図であり、図5Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体が形成される途中までの過程を模式的に示した側面図である。図6Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、切れ込みが形成されずに残された他方の端部側を切り落してハニカム構造体を形成する過程を模式的に示した平面図であり、図6Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、切れ込みが形成されずに残された他方の端部側を切り落してハニカム構造体を形成する過程を模式的に示した側面図である。
【0063】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法によれば、部分セグメントの集合体220が、他方の端面16側で繋がっているため、部分セグメントが分離されている場合のように把持具のようなもので各部分セグメントを固定する必要がないため、切れ込みを形成する操作、及び緩衝部を形成する操作をより容易に行うことができ、生産効率をより向上させることができる。
【0064】
(3−1)部分セグメントの集合体の作製;
本実施形態のハニカム構造体の製造方法における部分セグメントの集合体220の作製方法は、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態における部分セグメントの集合体の作製方法において、スリット形成ハニカム焼成体に、一方の端面15から他方の端面16側に向かって中心軸に平行に延び、他方の端面16側を切らずに残した切れ込み17を形成して、部分セグメントの集合体220を形成するものである。切れ込み17の、中心軸方向(セルの貫通方向)における長さ(切れ込み深さ)が、ハニカム成形体100の中心軸方向長さの70〜99%であることが好ましい。70%より短いと、後の工程で切り落す、切れ込み14が形成されずに残された他方の端面側(非切れ込み形成部)20が大きくなり、原料収率が低くなることがある。99%より長いと、非切れ込み形成部20が割れやすくなることがある。尚、非切れ込み形成部が割れるかどうかは、材料強度、形状などによるところが多く、割れる問題が生じない範囲で非切れ込み形成部は小さいことが好ましい。また、非切れ込み形成部20を形成することを意図しない場合は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態の場合のように、他方の端面まで到達するように、切れ込みを形成すればよい。切れ込みの長さは、1本の中で一定である必要はなく、少なくとも一部が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。更に、上記切れ込みの長さは、1本の中で一定であることが好ましい。同様に、複数の切れ込みがある場合、少なくとも1本が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。
【0065】
切れ込み17の厚さ(幅)は、セル1つ分の厚さの範囲内であることが好ましい。具体的な長さとしては、下限値が0.3mmであることが好ましく、1.0mmであることが更に好ましい。また、上限値が3.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、部分セグメント3,3間の緩衝効果が小さくなることがあり、3.0mmより厚いと、ハニカム構造体にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがある。切れ込みの厚さは、1本の中で一定である必要はなく、少なくとも一部が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。更に、切れ込みの厚さは、1本の中で一定であることが好ましい。同様に、複数の切れ込みがある場合、少なくとも1本が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。スリット幅と切れ込み幅は、1セル内である限り、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0066】
(3−2)緩衝部配設部分セグメントの作製;
部分セグメントの集合体220に緩衝部18を形成して、緩衝部配設部分セグメント230を形成する方法としては、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態におけるハニカム構造体の作製工程において、部分セグメントの集合体に緩衝部を形成した場合と同様の方法を用いることが好ましい。但し、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、部分セグメントの集合体が、非切れ込み形成部を有し、各部分セグメントがバラバラに分裂しないため、把持具を使用する必要はない。また、緩衝部形成に用いる充填材も上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態におけるハニカム構造体の作製工程において用いた充填材と同様とすることが好ましい。
【0067】
(3−3)ハニカム構造体の作製;
次に、図6A、図6Bに示すように、緩衝部配設部分セグメント230の、切れ込み17が形成されずに残された他方の端面側(非切れ込み形成部)20を、切断面19が一方の端面15に平行になるように切り落として、一方の端面15から他方の端面(切断面19)まで到達する切れ込み17に緩衝部18が形成されたハニカム構造体240を得る。切断面19の位置は、緩衝部配設部分セグメント230における緩衝部18の全てを切断する位置であり、得られるハニカム構造体240の中心軸方向長さが所望の長さになる位置であることが好ましい。また、切り落し操作には、円盤状砥石、ブレードソー、ワイヤーソー等を用いることが好ましい。目封止を施す場合には、切り落としを行うにあたり、少なくとも切り落とす端面側は、切り落とした後でも、必要量の目封止が残されている必要があるため、切り落とし長さ分だけ深く目封止が充填されている必要がある。または、切り落とし後に目封止を行ってもよい。
【0068】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法により得られるハニカム構造体の各特性は、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態により得られる本発明のハニカム構造体の一の実施形態の場合と同様であることが好ましい。
【0069】
(4)ハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態:
本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態は、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、緩衝部配設部分セグメント230(図5A、図5B参照)までを作製し、緩衝部配設部分セグメント230を、最終生産物であるハニカム構造体とするものである。従って、本実施形態のハニカム構造体の製造方法によって得られるハニカム構造体は、図5A、図5Bに示される緩衝部配設部分セグメント230と同様の構造であり、流体の流路となる一方の端面15から他方の端面16まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、一方の端面15から中心軸方向に延び、他方の端面16には到達していない複数の切れ込み17により複数の部分セグメントが区画形成されたハニカム構造部と、切れ込み17全体に配設された緩衝部18とを備えたものである。このようなハニカム構造体も、触媒用担体、フィルタ等として好適に用いることができる。
【0070】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体は、このように複数の部分セグメントが区画形成されているため、部分セグメントを小さく形成することができ、熱衝撃による部分セグメントの破損を防止することができる。さらに、部分セグメントが、緩衝部を介して形成されているため、部分セグメントの熱膨張が、緩衝部により緩衝され、部分セグメントの破損を防止することができる。
【0071】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体は、切れ込みの、ハニカム構造部の中心軸方向における長さ(切れ込み深さ)が、ハニカム構造部の中心軸方向長さの25%以上であることが好ましく、25〜99%であることが更に好ましく、25〜75%であることが特に好ましい。ハニカム構造体により粒子状物質を捕集した後に、粒子状物質を燃焼除去する場合、ガスの流出側の端面からハニカム構造体の中心軸方向長さの25%の長さまでの範囲内(25%の位置を含まない)に最も高温になる領域が存在する。従って、本実施形態のハニカム構造体の他方の端面からガスを流入させ、一方の端面からガスを流出させるようにした場合、切れ込みが、一方の端面からハニカム構造部の中心軸方向長さの25%以上の長さで形成されることにより、最も高温で熱衝撃の大きい領域に部分セグメントが存在することになるため、ハニカム構造体の破損をより効果的に防止することができる。また、切れ込みが、ハニカム構造部の中心軸方向の全体(一方の端面から他方の端面まで)に形成されると、切れ込みに緩衝部が配設されているため、ハニカム構造体に流体を通過させるときの圧力損失が増大することがある。これに対し、切れ込みが、ハニカム構造部の中心軸方向長さの99%以下の長さであると、ハニカム構造部の他方の端面側の1%以上の範囲には切れ込み及び切れ込みに配設された緩衝部が存在しないため、圧力損失の増大を抑制することが可能となる。切れ込みの長さは、1本の中で一定である必要はなく、少なくとも一部が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。更に、上記切れ込みの長さは、1本の中で一定であることが好ましい。同様に、複数の切れ込みがある場合、少なくとも1本が上記範囲に入っていればよいが、全てが上記範囲に入っていることが好ましい。
【0072】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態は、上記「緩衝部配設部分セグメント230(図5A、図5B参照)を、最終生産物であるハニカム構造体とする」実施形態において、得られるハニカム構造体を、図7に示すように、ハニカム構造体300の中心軸付近を通る切れ込み(長い切れ込み)34については、中心軸方向長さを長く形成し、外周付近に形成される切れ込み(短い切れ込み)34については中心軸方向長さを短く形成したものである。そして、得られるハニカム構造体300は、流体の流路となる一方の端面31から他方の端面32まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、一方の端面31から中心軸方向に延び、他方の端面32には到達していない複数の切れ込み34により複数の部分セグメント33が区画形成されたハニカム構造部36と、切れ込み34全体に配設された緩衝部35とを備えたものである。尚、図7に示すハニカム構造体300においては、中心軸付近を通る切れ込み34については中心軸方向長さを長く形成している。ハニカム構造体で捕集した粒子状物質を燃焼除去する場合には、中心軸の周辺が外周付近より高温になるため、このように形成することにより、中心軸付近の部分セグメント33の破損を効果的に防止することができる。ここで、中心軸付近を通る切れ込みというときは、ハニカム構造体が円筒形状の場合、中心軸に直交する断面において、中心から、外周円の半径の50%までの範囲を通る切れ込みのことをいう。図7は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。また、図7に示すハニカム構造体300においては、4本の、平行で等間隔に形成された切れ込み34と、その4本の切れ込みに直交するように形成された、3本の、平行で等間隔の切れ込み34が設けられている。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、長い切れ込み(スリット)の、ハニカム構造部の中心軸方向における長さ(切れ込み深さ)が、ハニカム構造部の中心軸方向長さの70〜99%であることが好ましい。また、短い切れ込み(スリット)の、ハニカム構造部の中心軸方向における長さ(切れ込み深さ)が、ハニカム構造部の中心軸方向長さの25〜75%であることが好ましい。
【0073】
また、図8〜図10に示すハニカム構造体のように、切れ込みが形成された一方の端面において、ハニカム構造部の外周を構成する部分セグメントの中で最も大きな面積のものは、ハニカム構造体の中央部に位置する残りの部分セグメントの中で最も小さい面積のものより、面積が大きいことが好ましい。ハニカム構造体で捕集した粒子状物質を燃焼除去する場合には、外周を構成する部分セグメント33aより、中央部に位置する残りの部分セグメント(中央部に位置する部分セグメント)33bのほうがより高温になるため、このように中央部に面積の小さな部分セグメントを配置することにより、中央部に位置する部分セグメントの破損を効果的に防止することができる。ここで、「中央部に位置する部分セグメント」というときは、部分セグメント全体の中から、ハニカム構造部の外周を構成する部分セグメントを除いた部分セグメントのことをいう。このように、中央部に位置する部分セグメントの、一方の端面における面積が小さいと、ハニカム構造体の圧力損失が大きくなる傾向にあるため、切れ込み34(緩衝部35)の、ハニカム構造部の中心軸方向における長さが、ハニカム構造部の中心軸方向長さの25〜75%であることが特に好ましい。切れ込み34の、ハニカム構造部の中心軸方向における長さを75%以下とすることにより、圧力損失の増大を防止することが可能になる。図8に示すハニカム構造体320は、一方の端面31の中央部に位置する部分セグメント33bが、細かく正方形に区画された形状であることにより外周を構成する部分セグメント33aより小さくなっている。図9に示すハニカム構造体330は、一方の端面31の中央部に位置する部分セグメント33bが、細かく長方形に区画された形状であることにより外周を構成する部分セグメント33aより小さくなっている。図10に示すハニカム構造体340は、一方の端面31の中央部に位置する部分セグメント33bが、細かく正方形に区画された形状であることにより外周を構成する部分セグメント33aより小さくなっている。図8〜10は、それぞれ本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【0074】
ここで、図8に示すハニカム構造体320のハニカム構造部に形成されるような、一方の端面31において、両端部の少なくとも一方がハニカム構造部の外周面に到達していない構造の切れ込み34(閉塞構造切れ込み)を有する場合、超音波振動ブレード方式、低周波振動ブレード方式等を用いることが好ましい。振動ブレード方式による切れ込み加工は、長手方向に延びる棒状若しくは板状のブレード、又は切り込みの断面形状(中心軸方向に直交する断面の形状)と同じ断面形状の筒状のブレードの、長手方向又は中心軸方向の先端を、ハニカム成形体の一方の端面31に当接し、ブレードを超音波振動させながらハニカム焼成体に切れ込みを形成するものである。棒状、板状又は筒状のブレードの先端を用いて切れ込み加工するため、ハニカム焼成体の一方の端面31のいずれの位置にも切れ込みを形成することが可能である。振動ブレード方式の加工装置としては、例えば、日本電子工業社製、商品名:超音波加工機、ミニター社製、商品名:ミニモワンシリーズ ポリターハンドピース 超音波研磨機を用いることができる。また、低周波振動ブレード方式による切れ込み加工は、超音波振動ブレード方式の場合と同様に行うことができる。超音波振動ブレード方式と低周波ブレード方式との相違は、超音波ブレード方式は、超音波によってブレードを振動させるのに対し、低周波振動ブレード方式が偏心モーター、カム機構、偏心錘機構等によってブレードを振動させることである。
【0075】
(5)ハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態:
本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態は、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態と同様の方法で、スリット形成ハニカム焼成体を作製し、図11に示すように、得られたハニカム成形体に、最外周部46を含む最外周部分を切らずに残して、複数の部分セグメント43を区画形成するように、一方の端面41から他方の端面42側に向かって中心軸に平行に延びる切れ込み44を形成して、部分セグメントの集合体420を形成し、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態と同様の方法で、隣接する各部分セグメント間に緩衝部45を形成してハニカム構造体430を得るものである。図11に示すハニカム構造体430においては、4本の、平行で等間隔に形成された切れ込み44と、その4本の切れ込みに直交するように形成された、3本の、平行で等間隔の切れ込み44が設けられている。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム成形体に切れ込み44を形成するときに、最外周部46を含む最外周部分を切らずに残すため、得られるハニカム構造体は、複数の部分セグメント全体を取り囲むように、切れ込みのない外周壁が形成された状態となり、外周面に緩衝部が露出していない状態となるため、外周研削加工及び外周コート処理を行う必要がなく、生産効率をさらに向上させることが可能である。また、外周面の凹凸を更に少なくし、更に滑らかな外周面を形成したい場合は、外周研削加工及び/又は外周コート処理を行うことが好ましい。このように、切らずに残された最外周部分は、得られるハニカム構造体においては外周壁となる。切れ込みを形成するときには、図11に示すように、最も外側に位置する部分セグメントが最外周部分と繋がった形状となるようにしてもよいし、最外周部分に沿って内部(内側)を円形に切り出し、最も外側に位置する部分セグメントと最外周部分とが、切り離された形状となるようにしてもよい。
【0076】
切らずに残された最外周部分の厚さは0.1〜5mmであることが好ましく、0.3〜1.0mmであることが更に好ましい。0.1mmより薄いと切れ込み形成後の工程において、また、得られたハニカム構造体を使用等するときに最外周部分が割れ易くなることがある。また、5mmより厚いと、圧損上昇することがある。
【0077】
最外周部分を切らずに残しながらハニカム成形体の内部を区画形成する切れ込みを形成する方法は、上記、図8に示すハニカム構造体320のハニカム構造部36に形成されるような「閉塞構造切れ込み」を形成する方法と同様の方法を用いることが好ましい。この方法により、最外周部分を切らずに残して、複数の部分セグメントを区画形成するように、切れ込みを形成することができる。
【0078】
また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、形成される切れ込みは、上記、図1A、図1Bに示す部分セグメントの集合体120の場合のように、一方の端面から他方の端面まで到達するものであってもよいし、上記、図5A、図5Bに示す部分セグメントの集合体220の場合のように、他方の端面側を切らずに残した切れ込みであってもよい。一方の端面から他方の端面まで到達する切れ込みを形成した場合、得られるハニカム構造体は、図12に示すハニカム構造体430aのような構造になり、他方の端面側を切らずに残した切れ込みを形成した場合、得られるハニカム構造体は、図13に示すハニカム構造体430bのような構造になる。図12及び図13は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。切れ込みが、一方の端面から他方の端面まで到達するものである場合、把持具を用いて、部分セグメント及び最外周部分を把持しながら、切れ込みの形成及び緩衝部の形成を行うことが好ましい。また、切れ込みが、他方の端面側を切らずに残したものである場合、切れ込みが形成されずに残された他方の端面側を、切断面が一方の端面に平行になるように切り落して、一方の端面から他方の端面まで到達する切れ込みに緩衝部が形成されたハニカム構造体を形成することが好ましい。この場合、切れ込みが形成されずに残された他方の端面側を切り落すときには、単一の切断面が形成されるように最外周部分も併せて切り落すことが好ましい。
【0079】
(6)ハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態:
上述した本発明のハニカム構造体の製造方法の各実施形態は、いずれも、ハニカム成形体に形成するスリットが、端面に開口するものであるが、各スリットが、「ハニカム成形体の外周面に一つ又は二つの開口部を形成するとともに、端面に開口部を形成しない」という態様も好ましい態様である。スリットを形成する効果は、上述したハニカム構造体の製造方法の一の実施形態の場合と同様である。
【0080】
図14Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図14Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。図14A、図14Bに示すように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、スリット形成ハニカム成形体520に形成されるスリット61の形成パターンは、セルの延びる方向直交する断面において、二本のスリット61が直交する形成パターンである。そして、スリット61は、スリット形成ハニカム成形体520の両端面に開口せず、外周面(最外周部62)に4本の開口部63が形成されている。
【0081】
外周面(最外周部62)のみに開口部を有するスリットをハニカム成形体に形成する場合においても、スリットの形成方法を除く各構成要素は、上述した本発明のハニカム構造体の製造方法の各実施形態における各構成要素と同様であることが好ましい。但し、上述した本発明のハニカム構造体の製造方法の各実施形態の中で、「スリット形成ハニカム焼成体に切れ込みを形成するときに、スリット形成ハニカム焼成体の最外周部分を切らずに残す形態」は除かれる。
【0082】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、スリットの開口部がハニカム成形体の両端面に形成されないため、両端部の拘束力によりハニカム成形体が変形することが防止される。ハニカム成形体に形成するスリットの、セルの延びる方向における長さの下限値は、スリット形成ハニカム成形体の長さに対して70%であることが好ましく、85%であることが更に好ましく、90%であることが特に好ましい。また、ハニカム成形体に形成するスリットの、セルの延びる方向における長さの上限値は、スリット形成ハニカム成形体の長さに対して99%であることが好ましく、98%であることが更に好ましい。70%より短いと、脱脂、焼成時にクラックが発生し易くなり、脱脂、焼成時間を長くする必要が生じることがある。99%より長いと、焼成時にスリット形成ハニカム成形体が分割(分裂)することがある。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0084】
(実施例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂をそれぞれ混合し、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により坏土を作製した。
【0085】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いてハニカム形状に成形し、高周波誘電加熱乾燥をした後、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、両端面を所定量切断して、隔壁の厚さが310μm、セル密度が46.5セル/cm(300セル/平方インチ)、底面の直径155mm、長さ162mmの円筒状のハニカム成形体を得た。
【0086】
得られたハニカム成形体について、隣接するセルが互いに反対側の端部で封じられ、両端面が市松模様状を呈するように、各セルの端部に目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。目封止部の深さ(セルの延びる方向における深さ)は、一方の端面側を7mmとし、他方の端面側を12mmとした。目封止後、目封止ハニカム成形体を、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間した。
【0087】
得られたハニカム成形体について、一方の端面側に開口するとともに他方の端面には開口しない複数のスリットを形成して、図15A、図15Bに示すような、スリット形成ハニカム成形体510を得た。図15A、図15Bに示すように、スリットの形状は、セルの延びる方向に直交する断面において、中心で交差する十字形状とし、セルの延びる方向における長さは、スリット形成ハニカム成形体の長さの97%とした。また、セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの端部とスリット形成ハニカム成形体の最外周部55までの距離を5mm(3セル)とした。スリットは、一列に並ぶセルの列を縦断するように隔壁を切断しながら形成した。このとき、セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの延びる方向に平行な隔壁は破壊しないようにして、1列のセルを構成し「スリットの延びる方向に直交する隔壁」のみを切断した。スリット加工は、ミニター社製、超音波研磨機を用いて行った。加工に用いたブレードは、厚さ0.5mm、幅15mm、長さ200mm、先端の角度10°のステンレススチール製のものであった。図15Aは、実施例1において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図15Bは、実施例1において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0088】
その後、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉を用いて、450℃まで約20時間(hr)かけて昇温し(特に、有機成分が分解する200〜300℃の範囲をゆっくりと昇温した)、その後450℃で5時間保持し、その後炉内で自然に5時間かけて100℃まで冷却して脱脂を行った(30hr脱脂)。尚、上記脱脂の条件は、通常の条件(合計で60時間)より短い条件である。「通常の条件」とは、450℃まで約50時間かけて昇温し、その後450℃で5時間保持し、その後炉内で5時間かけて100℃まで冷却する脱脂方法(60hr脱脂)である。その後、Ar不活性雰囲気にて約1450℃で24時間焼成(本焼成)して(昇温10時間、保持4時間、降温10時間)、SiC結晶粒子がSiで結合された、多孔質のスリット形成ハニカム焼成体を得た。スリット形成ハニカム焼成体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は41%であった。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値であり、気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。上記本焼成後に、スリット形成ハニカム成形体に「切れ」及び「変形」が生じているか否かを目視観察した。結果を表1に示す。ここで、スリット形成部位外にキレが存在する場合に「切れ」が生じたと判断し、焼成前の形状に対し、相似形でない形状に変化した場合に「変形」が生じたと判断する。尚、本焼成後に切れや変形が生じていたものについては、その後の製造(ハニカム構造体の製造)は行わないこととした。また、焼成前区画領域の規格面積は、56.25(7.5cm×7.5cm)cmであった。尚、上記「7.5cm×7.5cm」における各長さ(7.5cm)は、スリット形成ハニカム成形体のセルの延びる方向に直交する断面における、スリットの交点からスリットの端面までの距離を示す。
【0089】
得られたスリット形成ハニカム焼成体について、切れ込み加工を行い、部分セグメントの集合体を形成した。切れ込み加工は、上述した、超音波振動加工機を用いて行った。図28に示すハニカム構造体530が形成されるように、一方の端面71において、3本の平行な切れ込み72と、その3本の切れ込み72に直交する3本の平行切れ込み72を形成し、16本の部分セグメント73を形成した(切れ込みパターン:3×3)。各平行な切れ込み間の間隔を24セルとした。このときの切れ込み間の長さは約36mmであった。各切れ込みの、スリット形成ハニカム焼成体の中心軸方向における長さ(切れ込み深さ)は、スリット形成ハニカム焼成体の、セルの延びる方向における長さの97%とした。切れ込み深さは、いずれの切れ込みも同じ深さとした。切れ込みの幅は1セル分とした(一列に並ぶセルの列を縦断するように隔壁を切断して、切れ込みを形成した)。図28は、実施例1で作製したハニカム構造体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【0090】
部分セグメントの集合体の切れ込みに充填材をスラリー状にして充填し、緩衝部74を形成した。充填材としては、アルミノシリケート無機繊維とSiC粒子との混合物を用いた。充填材を含有するスラリーとしては、充填材100質量部に対して、水を30質量部、アルミノシリケート無機繊維を30質量部、SiC粒子を30質量部含有するものを用いた。当該スラリーを切れ込みに充填する際には、部分セグメントの集合体の外周をエポキシ樹脂で固定し、上部から圧入した。その後、熱風乾燥機を用いて140℃、2時間の条件で乾燥した。乾燥後、外周部を外周面から3mmだけ除去するように、旋盤を用いて外周加工した。更に、緩衝部を配設した部分セグメントの集合体の他方の端面側を5mm切断加工して、他方の端面側にも緩衝部が露出した状態の外周コート前のハニカム構造体を得た。また、外周コート前のハニカム構造体の一方の端面については、2mmだけ研磨して、上記5mm切断した他方の端面に対する平行度を出した。得られたハニカム構造体の、セルの延びる方向の長さは155mmであった。
【0091】
得られた外周コート前のハニカム構造体の外周面全体にコート材を塗布し、700℃で乾燥させて、ハニカム構造体を得た。コート材としては、炭化珪素粒子、コロイダルシリカ、セラミックス繊維、無機バインダー及び有機バインダーを混合してスラリー状にしたものを用いた。塗布したコート材の厚さは、0.3mmであった。上記方法により、10個のハニカム構造体を作製した。また、脱脂時間による「切れ」の発生の違いを確認するため、脱脂条件として上記「通常の条件」(60hr脱脂)により脱脂を行った以外は、上記方法と同様の方法によりハニカム構造体を作製した。60hr脱脂によって作製したハニカム構造体も10個とした。従って、合計20個のハニカム構造体を作製した。
【0092】
得られたハニカム構造体について、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。結果を表1に示す。表1において、「切れ」及び「変形」の欄は、10回のハニカム成形体の作製に対して、「切れ」及び「変形」が発生した回数を示している。例えば、10回のハニカム成形体の作製の中で、「切れ」が2回発生した場合には、「2/10」と記す。また、「変形」は、「30hr脱脂」を行って作製したハニカム成形体について評価した。
【0093】
【表1】

【0094】
(実施例2)
スリットの形成パターンを、図16A、図16Bに示すスリット形成ハニカム成形体511のように、セルの延びる方向に直交する断面において、3本の平行なスリット54と、その3本のスリット54に直交する3本の平行なスリット54とからなる形状とし、各スリット54の、セルの延びる方向における長さを、スリット形成ハニカム成形体の長さの70%とした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。尚、セルの延びる方向に直交する断面において、スリット54の端部とスリット形成ハニカム成形体の最外周部55までの距離を5mm(3セル)とした。得られたハニカム構造体について、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。焼成前区画領域の規格面積は、13.69(3.7cm×3.7cm)cmであった。図16Aは、実施例2において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図16Bは、実施例2において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0095】
(実施例3)
スリット54の形成パターンを、図17A、図17Bに示すスリット形成ハニカム成形体512のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心で交差するとともに端部が最外周部55に到達する(スリット54の端部とスリット形成ハニカム成形体の最外周部55までの距離が0mmの)十字形状とし、各スリット54の、セルの延びる方向における長さを、スリット形成ハニカム成形体の長さの90%とした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「変形」が生じなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。焼成前区画領域の規格面積は、56.25(7.5cm×7.5cm)cmであった。図17Aは、実施例3において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図17Bは、実施例3において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0096】
(実施例4)
スリット54の形成パターンを、図18A、図18Bに示すスリット形成ハニカム成形体513のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心で交差する十字形状とし、各スリット54において、スリットの形成されていない部分を2箇所形成し、各直線状のスリット54がそれぞれ3分割された形状となるようにし、セルの延びる方向における長さを、スリット形成ハニカム成形体の長さの95%とした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「変形」が生じなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。尚、セルの延びる方向に直交する断面において、スリット54の端部とスリット形成ハニカム成形体の最外周部55までの距離を0mmとした。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。焼成前区画領域の規格面積は、56.25(7.5cm×7.5cm)cmであった。図18Aは、実施例4において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図18Bは、実施例4において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0097】
(実施例5)
ハニカム成形体の形状を、セルの延びる方向に直交する断面において楕円形(長径185mm、短径102mm)の筒状とし、スリット54の形成パターンを、図19A、図19Bに示すスリット形成ハニカム成形体514のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心で交差する十字形状とした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体について、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。焼成前区画領域の規格面積は、41.13(8.8cm×4.7cm)cmであった。図19Aは、実施例5において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図19Bは、実施例5において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0098】
(実施例6)
スリットの形成パターンを、図14A、図14Bに示すスリット形成ハニカム成形体513のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心で交差する十字形状であって、外周面に4本の開口部を有する(両端面には開口部を有さない)形状にした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体について、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。外周面のみに開口部を有するスリットは、超音波加工機で外周面の所定の位置から隔壁の切断を開始し、反対側の外周面まで突き抜けるように加工して形成した。超音波加工機でスリットを形成した後に、厚さ0.6mmの鋸刃を用いて、スリット内の突起物(切断した隔壁の残りの部分)を取り除いた。スリットの厚さは、1mmであり、スリットの、セルの延びる方向における長さは、スリット形成ハニカム成形体の長さの90%であった。また、スリットと一方の端面との距離は、スリット形成ハニカム成形体の長さの5%であった。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。焼成前区画領域の規格面積は、56.25(7.5cm×7.5cm)cmであった。
【0099】
(実施例7)
スリット54の形成パターンを、図20A、図20Bに示すスリット形成ハニカム成形体515のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心で交差する十字形状とし、焼成前区画領域の規格面積を108.0(12.0cm×9.0cm)cmとし、セルの延びる方向における長さを、スリット形成ハニカム成形体の長さの95%とした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「切れ」が発生しなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。図20Aは、実施例7において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図20Bは、実施例7において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0100】
(実施例8)
スリット54の形成パターンを、図21A、図21Bに示すスリット形成ハニカム成形体516のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心から若干ずれた位置で交差する十字形状とし、焼成前区画領域の規格面積を90.25(9.5cm×9.5cm)cmとし、セルの延びる方向における長さを、スリット形成ハニカム成形体の長さの95%とした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「切れ」が発生しなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。図21Aは、実施例8において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図21Bは、実施例8において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0101】
(実施例9)
スリット54の形成パターンを、図22A、図22Bに示すスリット形成ハニカム成形体517のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心から若干ずれた位置で交差する十字形状とし、焼成前区画領域の規格面積を56.0(7.0cm×8.0cm)cmとし、セルの延びる方向における長さを、スリット形成ハニカム成形体の長さの80%とした以外は、実施例5の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「切れ」が発生しなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。図22Aは、実施例9において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図22Bは、実施例9において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0102】
(実施例10)
スリット54の形成パターンを、図23A、図23Bに示すスリット形成ハニカム成形体518のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心から若干ずれた位置で交差する十字形状とし、焼成前区画領域の規格面積を62.5(12.5cm×5.0cm)cmとした以外は、実施例5の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「切れ」が発生しなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。実施例1の場合と同様にして、スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。図23Aは、実施例10において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図23Bは、実施例10において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0103】
(実施例11)
スリット54の形成パターンを、図24A、図24Bに示すスリット形成ハニカム成形体519のように、セルの延びる方向における長さが、スリット形成ハニカム成形体の長さの50%となるようにした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「切れ」が発生しなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。図24Aは、実施例11において作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図24Bは、実施例11において作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0104】
(実施例12)
セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの端部とスリット形成ハニカム成形体の最外周部までの距離を12mmとし、焼成前区画領域の規格面積を53.29(7.3cm×7.3cm)cmとした以外は、実施例1の場合と同様にして合計20個のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の中の「切れ」が発生しなかったハニカム構造体については、外観上、クラックやセル変形などの不具合はなく、また、一方の端面から煙を導入してその漏れ方をレーザーで確認する内部欠陥試験においても、欠陥がないことが確認できた。スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。
【0105】
(比較例1)
スリット54の形成パターンを、図25A、図25Bに示すように、セルの延びる方向に直交する断面において、中心を通る一本だけとした以外は実施例1と同様にしてスリット形成ハニカム成形体521を合計20個作製した。スリット形成ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認した。結果を表1に示す。図25Aは、比較例1において作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図25Bは、比較例1において作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0106】
(比較例2)
図26A、図26Bに示すハニカム成形体522のように、スリットを形成しなかった以外は実施例1と同様にしてハニカム成形体を合計20個作製した。ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認したところ、いずれも「切れ」が発生していたため、ハニカム構造体は作製しなかった。結果を表1に示す。図26Aは、比較例2において作成されたハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図26Bは、比較例2において作成されたハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0107】
(比較例3)
図27A、図27Bに示すハニカム成形体523のように、スリットを形成しなかった以外は、実施例5の場合と同様にしてハニカム成形体を合計20個作製した。ハニカム成形体について、本焼成後に「切れ」及び「変形」が生じているか確認したところ、いずれも「切れ」が発生していたため、ハニカム構造体は作製しなかった。結果を表1に示す。図27Aは、比較例3において作成されたハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。図27Bは、比較例3においてに作成されたハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【0108】
実施例1〜12のハニカム構造体の製造方法は、いずれも最終的に得られるハニカム構造体の形状に近い形状のハニカム成形体を押出成形するため、複数の四角柱状のハニカムセグメントを別々に押出成形し、それらを接合した後に外周を粗加工する従来の方法と対比すると、原料収率が大幅に低減されることがわかる。
【0109】
表1より、実施例1〜6のハニカム構造体の製造方法において中間段階で作製されたスリット形成ハニカム成形体は、脱脂時間を30時間と短い時間にしても、切れの発生がないことがわかる。実施例7〜12のハニカム構造体の製造方法において中間段階で作製されたスリット形成ハニカム成形体は、キレが生じたものもあったが、脱脂時間を延長することによりキレの発生を低減できることがわかる。これに対し。比較例1〜5のハニカム構造体の製造方法により得られた(スリット形成)ハニカム成形体は脱脂時間を30時間と短い時間にすると切れが発生し、脱脂時間を更に延長してもキレの発生がほとんど低減されないことがわかる。
【0110】
また、表1より、実施例3のハニカム構造体の製造方法により得られたハニカム構造体は、変形したものがあった。これは、スリットの形成パターンが、端面に開口部を有するとともに、セルの延びる方向に直交する断面において、外周面に到達しているため(スリットが、スリット形成ハニカム成形体の外周面に開口しているため)、脱脂、焼成時に、もとの形状を若干維持し難かったものと考えられる。従って、スリットは、端面又は外周面の何れか一方のみに開口部を有するように形成することが好ましいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして好適に利用することができるハニカム構造体を、効率的に製造するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1A】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体が形成される過程を模式的に示した平面図である。
【図1B】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体が形成される過程を模式的に示した側面図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で作製されるスリット形成ハニカム成形体を示し、セルの延びる方向に直交する断面の一部を示す模式図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で作製されるスリット形成ハニカム成形体を示し、セルの延びる方向に直交する断面の一部を示す模式図である。
【図4A】スリット形成ハニカム成形体の両端面を把持具で把持した状態を模式的に示す側面図である。
【図4B】一方の端面における把持具が当接する部分を表した、一方の端面側からみたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す平面図である。
【図5A】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体が形成される途中までの過程を模式的に示した平面図である。
【図5B】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体が形成される途中までの過程を模式的に示した側面図である。
【図6A】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、切れ込みが形成されずに残された他方の端部側を切り落してハニカム構造体を形成する過程を模式的に示した平面図である。
【図6B】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、切れ込みが形成されずに残された他方の端部側を切り落してハニカム構造体を形成する過程を模式的に示した側面図である。
【図7】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図9】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図10】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図11】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体が形成される過程を模式的に示した斜視図である。
【図12】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【図13】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態により作製されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【図14A】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図14B】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図15A】実施例1において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図15B】実施例1において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図16A】実施例2において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図16B】実施例2において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図17A】実施例3において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図17B】実施例3において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図18A】実施例4において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図18B】実施例4において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図19A】実施例5において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図19B】実施例5において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図20A】実施例7において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図20B】実施例7において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図21A】実施例8において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図21B】実施例8において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図22A】実施例9において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図22B】実施例9において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図23A】実施例10において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図23B】実施例10において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図24A】実施例11において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図24B】実施例11において中間段階に作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図25A】比較例1において作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図25B】比較例1において作成されたスリット形成ハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図26A】比較例2において作成されたハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図26B】比較例2において作成されたハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図27A】比較例3において作成されたハニカム成形体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【図27B】比較例3において作成されたハニカム成形体を模式的に示す側面図である。
【図28】実施例1で作製したハニカム構造体を模式的に示す、一方の端面側からみた平面図である。
【符号の説明】
【0113】
1:一方の端面、2:他方の端面、3:部分セグメント、4:スリット、5:切れ込み、6:セル、7:隔壁、8:緩衝部、11:外周面、12:セルの列、13:焼成前区画領域、14:外周壁、15:一方の端面、16:他方の端面、17:切れ込み、18:緩衝部、19:切断面、20:非切れ込み部、21:把持具、22:部分セグメントに対応する部分、23:把持具が当接する部分、31:一方の端面、32:他方の端面、33:部分セグメント、33a:外周を構成する部分セグメント、33b:中央部に位置する部分セグメント、34:切れ込み、35:緩衝部、36:ハニカム構造部、41:一方の端面、42:他方の端面、43:部分セグメント、44:切れ込み、45:緩衝部、46:最外周部、54:スリット、55:最外周部、61:スリット、62:最外周部、63:開口部、71:一方の端面、72:切れ込み、73:部分セグメント、74:緩衝部、100,200,522,524:ハニカム成形体、110,210,510,511,512,513,514,515,516,517,518,519,520、521,523:スリット形成ハニカム成形体、120,220,420:部分セグメントの集合体、130,240,300,320,330,340,430,430a,430b,530:ハニカム構造体、230:緩衝部配設部分セグメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体を形成し、
前記ハニカム成形体に、セルの延びる方向に平行に、複数のスリットを形成して、スリット形成ハニカム成形体を形成し、
前記スリット形成ハニカム成形体を焼成してスリット形成ハニカム焼成体を形成し、
前記スリット形成ハニカム焼成体に、少なくとも前記一方の端面側に開口するとともに、前記スリットが含まれるように切れ込みを形成して、前記切れ込みにより複数の部分セグメントが区画形成された、部分セグメントの集合体を形成し、
前記部分セグメントの集合体に形成された切れ込みに充填材を充填することにより、隣接する各部分セグメント間に緩衝部を形成してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記焼成前に形成した各スリットが、前記端面に開口部を形成するとともに、外周面に開口部を形成しないものである請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記焼成前に形成した各スリットが、片側の端面のみに開口部を形成するものである請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記複数のスリットのなかの一部のスリットが前記一方の端面に開口し、残りのスリットが前記他方の端面に開口する請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記焼成前に形成した各スリットが、両端面に開口部を形成するものである請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記焼成前に形成した各スリットが、外周面に開口部を形成するとともに、前記端面に開口部を形成しないものである請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記焼成前に形成した各スリットが、外周面に一つの開口部を形成するものである請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
前記焼成前に形成した各スリットが、外周面に二つの開口部を形成するものである請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記スリット形成ハニカム焼成体に形成する切れ込みが、前記他方の端面側にも開口するように形成される請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記スリット形成ハニカム焼成体に形成する切れ込みが、前記一方の端面側のみに開口するように形成される請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−115895(P2010−115895A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292094(P2008−292094)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】