説明

ハニカム構造体及びその製造方法

【課題】平均気孔径の大きなハニカム構造体を提供する。
【解決手段】本発明のハニカム構造体10は、流体の流路となる複数のセル14が区画成形された、コーディエライトを主結晶相とするセラミックス材料からなる多孔質の隔壁12を備え、この隔壁12が、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、触媒を担持させることにより、自動車のエンジン等から排出される排気ガスに含まれる被浄化成分の浄化に用いられるハニカム触媒体となり得るハニカム構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、各種エンジン等から排出される排気ガスを浄化するために、ハニカム構造体に触媒を担持させた触媒体(以下、「ハニカム触媒体」ということがある)が用いられている。図4〜図6に示すように、このようなハニカム構造体50を用いたハニカム触媒体60は、流体の流路となる複数のセル54が区画成形された隔壁52を有するハニカム構造体50を備え、この隔壁52の表面に触媒が担持されて触媒層62が形成されている。
【0004】
図4及び図5に示すように、このようなハニカム触媒体60を用いて排気ガス68を浄化する場合には、ハニカム触媒体60の一方の端面58側からセル54内に排気ガス68を流入させ、隔壁52の表面の触媒層62(図6参照)に排気ガスを接触させて、排気ガス中の被浄化成分を浄化し、その後、他方の端面59側から外部に流出させる。
【0005】
ハニカム構造体を用いた触媒体を用いて排気ガスを浄化する場合には、浄化効率を向上させるために、セルの水力直径を小さくし、隔壁の表面積を大きくして、排気ガスから隔壁表面の触媒層に向けての、排気ガスに含まれる被浄化成分の伝達を可能な限り促進させることが好ましい。
【0006】
そして、これを実現するために、単位面積当たりのセル数(セル密度ともいう)を増加させる方法が採用される。排気ガスから隔壁表面の触媒層に向けての被浄化成分の伝達率は、セルの水力直径の二乗に反比例して増加することが知られており、セル密度を増加させるほど、被浄化成分の伝達率は向上するのである。しかしながら、セルの水力直径の二乗に反比例して、圧力損失も増加する傾向にあるため、被浄化成分の伝達率の向上に伴って、圧力損失が増加してしまうという問題が生じる。このため、ハニカム触媒体に使用するハニカム構造体の圧力損失の増加を低減するために、種々の対策が行われている。
【0007】
また、触媒層内において被浄化成分が拡散する速度が不十分である場合には、ハニカム触媒体の浄化効率が低下する傾向にあることが知られる。そのため、排気ガスの浄化効率を高めるためには、触媒層の表面積を増加させることだけでなく、通常、数十μm程度である隔壁表面の触媒層の厚さを低減させて、触媒層内における被浄化成分の拡散速度を向上させることが好ましい。そうすると、セル密度及び触媒層の表面積を増加させ易くなり、被浄化成分の伝達率は向上する。但し、このような方法では、圧力損失の増加という問題は解消しない。
【0008】
更に、ハニカム触媒体の流入径を大きくし、流通させる排気ガスの流速を下げることによって、排気ガスの浄化効率を維持し又は高めつつ、圧力損失を低減させることは可能である。しかし、ハニカム触媒体を大型化した場合には、搭載スペースが限定されることから、自動車への搭載は困難になるという問題が残る。
【0009】
このため、ハニカム触媒体に使用するハニカム構造体の圧力損失の増加を低減するために、種々の対策が行われている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−33664号公報
【特許文献2】特開2002−219319号公報
【特許文献3】特開2002−301323号公報
【特許文献4】特開2007−152342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2〜4に記載されている方法では、ハニカム構造体の圧力損失の増加が十分に低減されず、圧力損失の増加を有効に低減することが可能な平均気孔径の大きなハニカム構造体の開発が望まれていた。
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、圧力損失の増加を有効に低減することが可能な平均気孔径の大きなハニカム構造体及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、コーディエライト化原料を含む坏土を成形して製造されたハニカム構造体において、上記コーディエライト化原料として、所定量のナトリウム成分を含有するものを用いることによって、原料のコーディエライト化反応時に、上記ナトリウム成分が液相反応を促進し、ハニカム構造体の平均気孔径を増大させ、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下のハニカム構造体、及びその製造方法が提供される。
【0014】
[1] 流体の流路となる複数のセルが区画成形された、コーディエライトを主結晶相とするセラミックス材料からなる多孔質の隔壁を備え、前記隔壁が、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するハニカム構造体。
【0015】
[2] 前記セラミックス材料が、コーディエライトのアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する第一アルミナ源を少なくとも含むものである前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0016】
[3] 前記隔壁に形成される細孔の平均気孔径X(μm)に対する、前記隔壁の厚さW(μm)の割合(W/X)が、3.0未満である前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0017】
[4] 前記隔壁の厚さが、100〜300μmである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0018】
[5] 前記隔壁の気孔率が、59〜67%であり、前記隔壁の平均気孔径が、30〜110μmである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0019】
[6] 40〜800℃における熱膨張係数が、0.5×10−6〜0.9×10−6/℃である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0020】
[7] コーディエライト化原料を含有するセラミック原料からなる成形用の坏土を調製し、調製した前記坏土を、流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム形状に成形して未焼成のハニカム成形体を得る工程を備え、前記セラミック原料として、前記セラミック原料全質量に対して、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するものを用いるハニカム構造体の製造方法。
【0021】
[8] 前記コーディエライト化原料のアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する第一アルミナ源を少なくとも含むものを用いる前記[7]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハニカム構造体は、粒子径の大きな原料粉体や、粒径の大きな造孔材を使用しなくとも、ハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。具体的には、コーディエライト化原料のコーディエライト化反応時に、ナトリウム成分が液相反応を促進し、ハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。
【0023】
また、本発明のハニカム構造体は、隔壁の気孔率を高くすることもできる。更に、上述したように粒子径の大きな原料粉体や、粒径の大きな造孔材を使用しなくとも平均気孔径を大きくすることができるため、成型用の坏土を押出成形する口金のスリットが目詰まりし難く、平均気孔径を大きくしつつ、隔壁の薄壁化を実現することもできる。
【0024】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、比較的に粒子径の小さな原料粉体を用いた坏土を使用して成形体の成形を行うことができるため、成形用の口金のスリットが目詰まりし難く、平均気孔径の大きなハニカム構造体を高い歩留りで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0026】
[1]ハニカム構造体:
まず、本発明のハニカム構造体の一の実施形態について具体的に説明する。本実施形態のハニカム構造体は、図1に示すように、流体の流路となる複数のセル14が区画成形された、コーディエライトを主結晶相とするセラミックス材料からなる多孔質の隔壁12を備えた、コーディエライト質のハニカム構造体10である。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【0027】
上述したコーディエライトは、シリカ(SiO)が42〜56質量%、アルミナ(Al)が30〜45質量%、マグネシア(MgO)が12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合された原料からなるセラミックスである。具体的には、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、シリカ、カオリン等の中から選ばれた複数の無機原料を、上記化学組成となるような割合で含むセラミックス原料を焼成することによって得ることができる。
【0028】
なお、上述した「主結晶相」とは、隔壁を構成するセラミックスの結晶相中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上を構成する結晶相を意味する。
【0029】
そして、本実施形態のハニカム構造体は、このようなコーディエライトを主結晶相とするセラミックス材料からなる隔壁が、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するものである。即ち、隔壁を形成するためのセラミックス原料として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するものが用いられている。
【0030】
このように構成することによって、本実施形態のハニカム構造体は、粒子径の大きな原料粉体や、粒径の大きな造孔材を使用しなくともハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。具体的には、焼成によってコーディエライトとなるコーディエライト化原料のコーディエライト化反応時に、ナトリウム成分が液相反応を促進し、ハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。
【0031】
また、本実施形態のハニカム構造体は、隔壁の気孔率を高くすることもできる。更に、粒子径の大きな原料粉体や、粒径の大きな造孔材を使用しなくとも平均気孔径を大きくすることができるため、成型用の坏土を押出成形する口金のスリットが目詰まりし難く、平均気孔径を大きくしつつ、隔壁の薄壁化を実現することもできる。
【0032】
なお、隔壁中のナトリウムの酸化ナトリウム換算における含有割合が0.08質量%未満では、平均気孔径を増大する効果を十分に得ることができない。一方、ナトリウムの酸化ナトリウム換算における含有割合が0.15質量%を超えると、ハニカム構造体を構成する隔壁が融けてしまい、ハニカム構造体を製造することができなくなる。なお、隔壁中のナトリウムの酸化ナトリウム換算における含有割合は、蛍光X線分析で測定したナトリウム量を酸化ナトリウム量に換算することによって得ることができる。
【0033】
なお、特に限定されることはないが、隔壁中のナトリウムの酸化ナトリウム換算における含有割合は、0.10〜0.15質量%であることが好ましく、0.12〜0.15質量%であることが更に好ましい。
【0034】
本実施形態のハニカム構造体は、自動車用、建設機械用、及び産業用定置エンジン、並びに燃焼機器等から排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、及び硫黄酸化物(SO)等の被浄化成分の浄化に用いられるハニカム触媒体の触媒担体として好適に用いることができる。
【0035】
本実施形態のハニカム構造体は、上述したように、コーディエライトを主結晶相とする材料からなるものであるが、例えば、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、クレーボンド炭化ケイ素、ジルコニア、スピネル、インディアライト(インド石)、サフィリン、コランダム、チタニア等の他の結晶相を含有するものであってもよい。そして、これら結晶相は、1種単独で又は2種以上を同時に含有するものであってもよい。
【0036】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、コーディエライトを主結晶相とするセラミックス材料が、コーディエライトのアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する第一アルミナ源を少なくとも含むものであることが好ましい。このように構成することによって、上記酸化アルミニウム中のナトリウム成分が比較的に高温で反応してコーディエライト化が進行するため、高熱膨張の原因となるナトリウム成分を含むガラス相が形成され難く、ハニカム構造体の低熱膨張率が実現される。
【0037】
なお、この第一アルミナ源は、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有することが更に好ましく、0.7〜1.0質量%含有することが特に好ましい。
【0038】
また、この第一アルミナ源に含有されるナトリウム成分の総量は、セラミックス材料中に含有されるナトリウム成分の総量に対して、70〜100質量%に相当する量であることが好ましく、80〜100質量%に相当する量であることが更に好ましい。なお、例えば、全ナトリウム成分に対する第一アルミナ源に含有されるナトリウム成分の割合が低すぎると、上記したハニカム構造体を低熱膨張化する効果が低下することがある。なお、上記したナトリウム成分の総量とは、ナトリウムを酸化ナトリウム換算した総量のことである。
【0039】
コーディエライトのアルミナ源としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、活性化アルミナ、ベーマイト(Al・HO)等を挙げることができる。また、カオリン(Al・2SiO・2HO)やムライト(3Al・2SiO)もアルミナ源とすることができる。
【0040】
本実施形態のハニカム構造体においては、例えば、主結晶相となるコーディエライトのアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有するアルミナ(即ち、第一アルミナ源)と、ナトリウムの酸化ナトリウム換算における含有割合が上記範囲以外の他のアルミナ(例えば、第二のアルミナ源)とを含むものであってもよい。また、水酸化アルミニウム等の更に他のアルミナ源を含んでいてもよい。
【0041】
なお、第一アルミナ源は、アルミナに限定されることはなく、例えば、水酸化アルミニウムがナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する場合には、その水酸化アルミニウムが、上述した第一アルミナ源となる。
【0042】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、隔壁に形成される細孔の平均気孔径X(μm)に対する、隔壁の厚さW(μm)の割合(W/X)が、3.0未満であることが好ましい。本実施形態のハニカム構造体は、粒径の大きな原料粒子や造孔材を用いなくとも平均気孔径を大きくすることができるために、ハニカム構造体を押出成形するための口金に形成されたスリットの幅を狭くしても、口金のスリットに原料粒子が引っ掛かり難く、スリットの目詰まりを有効に防止することができる。このため、隔壁の平均気孔径の大きさが、隔壁の厚さの1/3以上の大きさとなるようなハニカム構造体を、簡便に且つ高い歩留りで製造することが可能となる。
【0043】
例えば、従来のハニカム構造体においては、その製造方法上、粒径の大きな原料粒子や造孔材を用いなければ、平均気孔径を大きくすることができず、また、平均気孔径を大きくし且つ隔壁の厚さを薄くすると、成形用の口金が目詰まりしてしまった。このため、従来、平均気孔径X(μm)に対する、隔壁の厚さW(μm)の割合(W/X)が3.0未満となるハニカム構造体を押出成形によって連続的に高い歩留りで製造することは極めて困難であった。即ち、従来のハニカム構造体の製造方法においては、隔壁の薄壁化と、平均気孔径の増大とは二律背反の関係にあり、両者を両立させることは極めて困難であった。
【0044】
なお、本実施形態のハニカム構造体においては、平均気孔径X(μm)に対する、隔壁の厚さW(μm)の割合(W/X)が、2.5〜3.0であることが更に好ましく、2.5〜2.8であることが特に好ましい。
【0045】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、隔壁の厚さが、100〜300μmであることが好ましく、100〜200μmであることが更に好ましく、100〜150μmであることが特に好ましい。従来のハニカム構造体においては、このような薄壁の隔壁では、平均気孔径の大きさを増大させるのには限界があったが、本実施形態のハニカム構造体においては、このような厚さの薄い隔壁であっても、その平均気孔径を大きくすることができる。
【0046】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、隔壁の気孔率が、46〜67%であり、隔壁の平均気孔径が、26〜110μmであることが好ましい。
【0047】
なお、隔壁の気孔率は、50〜67%であることが更に好ましく、55〜67%であることが特に好ましい。また、隔壁の平均気孔径は、30〜110μmであることが更に好ましく、50〜110μmであることが特に好ましい。このように、本実施形態のハニカム構造体においては、従来では実現困難であった、隔壁の薄壁化と、平均気孔径及び気孔率の増大を両立したものとすることができる。
【0048】
本明細書における「平均気孔径」は、水銀圧入法で測定した値である。また、「気孔率」は、水銀圧入法により測定した全気孔容積から算出した気孔率である。例えば、平均気孔径は、マイクロメリティックス社製の水銀圧入式ポロシメーターによって測定することができる。
【0049】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、40〜800℃における熱膨張係数が、0.5×10−6〜0.9×10−6/℃であることが好ましく、0.5×10−6〜0.8×10−6/℃であることが更に好ましく、0.5×10−6〜0.7×10−6/℃であることが特に好ましい。このように構成することによって、耐熱衝撃性を高くすることができる。例えば、40〜800℃における熱膨張係数が、0.9×10−6/℃を超えると、耐熱衝撃性が低下することがある。
【0050】
本実施形態のハニカム構造体の形状は、特に制限はなく、例えば、ハニカム構造体の柱状構造の中心軸に垂直な断面形状(底面の形状)としては、四角形等の多角形、円形、楕円形、長円形、異形等を挙げることができる。
【0051】
本実施形態のハニカム構造体におけるセル形状(ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。
【0052】
本実施形態のハニカム構造体は、例えば、触媒担体として用いる場合には、いずれかの端面においてセルの開口部を目封止する目封止部を更に備えたものであってもよい。例えば、図2においては、隔壁12によって区画形成された複数のセル14のうち、所定のセル14aにおける一方の端面18側の開口部を目封止するとともに、残余のセル14bにおける他方の端面19側の開口部を目封止する目封止部16を更に備えたハニカム構造体10aを示している。ここで、図2は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【0053】
このような目封止部は、熱膨張係数をハニカム構造体と合せることが好ましく、従来公知のハニカム構造体に用いられるコーディエライト質の目封止部を用いることができる。また、ハニカム構造体と同じコーディライト化原料からなるものを好適に用いることができる。
【0054】
本実施形態のハニカム構造体は、隔壁に触媒を担持することにより、排気ガスに含まれる一酸化炭素等の被浄化成分を浄化する触媒体として用いることができる。例えば、図3においては、セル14を区画形成する隔壁12の内表面に層状担持された触媒22aからなる触媒層22と、セル14に形成された気孔26の内表面に層状に担持された触媒23aからなる触媒層23とがそれぞれ形成された例を示している。ここで、図3は、本発明のハニカム構造体を適用したハニカム触媒体における、セルの流路方向に垂直な断面を拡大した拡大断面図である。
【0055】
このような触媒としては、例えば、ガソリンエンジン排気ガス浄化三元触媒、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン排気ガス浄化用の酸化触媒、NO選択還元用SCR触媒等の触媒を挙げることができる。具体的には、白金(Rt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の貴金属元素を含む単体又は化合物を挙げることができる。
【0056】
一般に、ある流路内を排気ガスが通過する際における、排気ガスに含まれる被浄化成分の伝達し易さは、その流路の水力直径の二乗に反比例する。そして、触媒を担持したハニカム構造体において、セルの水力直径と、気孔の水力直径とでは、気孔の水力直径の方が格段に小さい。このため、ハニカム構造体において、セルの内表面に担持された触媒からなる触媒層(以下、「セル表面触媒層」ということがある)と、気孔の内表面に担持された触媒からなる触媒層(以下、「気孔表面触媒層」ということがある)とでは、気孔表面触媒層の方が、排気ガスに含まれる被浄化成分がより伝達され易い。従って、セル表面触媒層に含有される触媒(例えば、上記貴金属)の量に比して、気孔表面触媒層に含有される触媒の量を増やすことにより、排気ガスの浄化効率を向上させることができる。
【0057】
[2]ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について具体的に説明する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、これまでに説明した本発明のハニカム構造体を製造する方法である。
【0058】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、コーディエライト化原料を含有するセラミック原料からなる成形用の坏土を調製し、調製した坏土を、流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム形状に成形して未焼成のハニカム成形体を得る工程を備え、上記したセラミック原料として、セラミック原料全質量に対して、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するものを用いるハニカム構造体の製造方法である。
【0059】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、上記した未焼成のハニカム成形体を焼成することによって、図1に示すような、流体の流路となる複数のセル14が区画成形された、コーディエライト化原料を含有する坏土からなる多孔質の隔壁12を備えたハニカム構造体10を製造することができる。
【0060】
本実施形態のハニカム構造体は、平均気孔径の大きなハニカム構造体を製造することができる。特に、コーディエライト化原料のコーディエライト化反応時に、ナトリウム成分が液相反応を促進し、ハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。このため、粒子径の小さな原料粉体からなる坏土を用いてハニカム成形体を成形することができる。これにより、成形用の口金のスリットが目詰まりし難く、上述したような平均気孔径の大きなハニカム構造体を高い歩留りで製造することができる。また、上述したように、粒子径の小さな原料粉体を用いることができるため、薄い隔壁のハニカム成形体の成形も可能である。
【0061】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について各工程毎に更に詳細に説明する。
【0062】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、まず、コーディエライト化原料を含有するセラミック原料からなる成形用の坏土を調製する。このセラミック原料は、コーディエライトを主結晶相とする隔壁からなるハニカム構造体を製造するための原料である。
【0063】
なお、コーディエライト化原料は、コーディエライト結晶の理論組成となるに各成分を配合するため、アルミナ源、シリカ源、マグネシア源等を配合する。
【0064】
コーディエライト化原料のアルミナ源としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、活性化アルミナ、及びベーマイト(Al・HO)を挙げることができる。また、カオリン(Al・2SiO・2HO)やムライト(3Al・2SiO)等の粒子は、アルミナ源とシリカ源との役割を果たす物質として用いることができる。
【0065】
コーディエライト化原料のシリカ源としては、例えば、シリカ、シリカを含む複合酸化物、又は焼成によりシリカに変換される物質等の粒子を用いることができる。具体的には、石英をはじめとするシリカ(SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、仮焼カオリン、及びムライト(3Al・2SiO)等の粒子を挙げることができる。なお、仮焼カオリンとは、鉱物として産出されるカオリン(生カオリン)を、所定の温度、例えば、1000〜1100℃にて仮焼したものである。
【0066】
コーディエライト化原料のマグネシア源としては、例えば、マグネシア、マグネシアを含む複合酸化物、又は焼成によりマグネシアに変換される物質等の粒子を用いることができる。上記したタルク(3MgO・4SiO・HO)がマグネシア源となる他、例えば、マグネサイト(MgCO)等の粒子を挙げることができる。なお、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、マグネシア源としてタルク粒子を用いることが好ましい。
【0067】
成形用の坏土を調製するセラミック原料は、上記コーディエライト化原料以外に、例えば、炭酸ナトリウム(NaCO)、また、造孔材として、吸水性樹脂、発泡樹脂、カーボン等を更に含有していてもよい。上記吸水性樹脂としては、例えば、アクリル系の吸水性樹脂等を挙げることができる。
【0068】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、セラミック原料として、このセラミック原料を構成する各成分中に含まれるナトリウム(具体的には、ナトリウム、及びナトリウムを含む化合物中のナトリウム)の酸化ナトリウム換算した量(質量)が、セラミック原料全質量に対して0.08〜0.15質量%となるようなものを選択する必要がある。例えば、このようなナトリウム成分は、上記コーディエライト化原料を構成するアルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源からなる群より選択される少なくとも一種の成分に含有されていてもよいし、上記コーディエライト化原料以外の成分に含有されていてもよい。なお、上記ナトリウム成分とは、金属ナトリウム、及びその構成成分中にナトリウムを含む化合物、例えば、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のことをいう。セラミック原料中のナトリウムの酸化ナトリウム換算における含有割合は、蛍光X線分析で測定したナトリウム量を酸化ナトリウム量に換算することによって得ることができる。
【0069】
なお、このセラミック原料は、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.10〜0.15質量%含有するものであることが好ましく、0.12〜0.15質量%含有するものであることが特に好ましい。
【0070】
このセラミック原料は、上記コーディエライト化原料のアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する第一アルミナ源を少なくとも含むものを用いることが好ましい。このように構成することによって、アルミナ源中に含有されるナトリウム成分が比較的に高温で反応してコーディエライト化が進行するため、高熱膨張の原因となるナトリウム成分を含むガラス相が形成され難く、ハニカム構造体の低熱膨張率が実現される。
【0071】
なお、この第一アルミナ源は、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有することが更に好ましく、0.7〜1.0質量%含有することが特に好ましい。
【0072】
このようなセラミック原料を混合し、更に、分散媒としての水等を加えて混練して坏土を調製する。上記混合及び混練の方法としては、公知の方法を用いることができる。混合方法としては、例えば、プレミキシング等の方法を挙げることができる。また、坏土の混練は、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いて行うことができる。
【0073】
次に、このようにして得られた坏土を、押出成形法、射出成形法、プレス成形法等の方法によって成形して、流体の流路となる複数のセルが区画形成された未焼成のハニカム成形体を得る。連続成形が容易であり、例えば、コーディエライト結晶を配向させて低熱膨張性にすることができることから、押出成形法を採用することが好ましい。押出成形法は、真空土練機、ラム式押出成形機、2軸スクリュー式連続押出成形機等の装置を用いて行うことが可能である。
【0074】
次に、必要に応じて、ハニカム成形体のセルの開口部に目封止部を形成する。具体的には、未焼成のハニカム成形体の一方の端面において、一部のセルにマスクをし、その端面を、目封止部の原料が貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていないセルに目封止部の原料を充填する等の手段によって、目封止部を形成することができる。
【0075】
目封止部の原料は、ハニカム成形体を成形するための坏土用の材料と同様のものであってもよいが、異なる配合の材料を用いてもよい。例えば、セラミック原料、界面活性剤、及び水を混合し、必要に応じて焼結助剤、造孔剤等を添加してスラリー状にし、ミキサー等を使用して混練することにより得ることができる。目封止部の原料のうちのセラミック原料としては、α−アルミナ、仮焼ボーキサイト、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ルチル、アナターゼ型チタン、イルメナイト、電融マグネシウム、マグネサイト、電融スピネル、カオリン、シリカガラス、石英、溶融シリカ等を用いることができる。界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル、ポリアルコール等を挙げることができる。
【0076】
次に、目封止部を形成したハニカム成形体を乾燥させる。ハニカム成形体の乾燥は、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等で行うことができる。全体を迅速且つ均一に乾燥することができることから、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥と、を組み合わせて乾燥を行うことが好ましい。
【0077】
次に、乾燥させたハニカム成形体を焼成する。焼成は、通常、コージェライト化原料を用いたハニカム成形体では、大気雰囲気下、1410〜1440℃の温度で、3〜15時間焼成する。なお、乾燥と焼成とを連続して行ってもよい。
【0078】
以上のようにして、本発明のハニカム構造体を製造することができる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、コーディエライト化原料のコーディエライト化反応時に、特定の割合で含有されたナトリウム成分が液相反応を促進し、ハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。このため、粒子径の大きな原料粉体や、粒径の大きな造孔材を使用しなくともハニカム構造体の平均気孔径を増大させることができる。
【0079】
なお、このようにして製造されたハニカム構造体は、隔壁の内表面、及び隔壁に形成された気孔の内表面に触媒を担持して、ハニカム触媒体として用いることができる。隔壁に担持する触媒については、上述した本発明のハニカム構造体の実施形態にて説明した貴金属元素を含む触媒を好適に用いることができる。また、触媒の担持方法については特に制限はなく、ハニカム構造体に触媒を担持する従来公知の方法に準じて行うことができる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、本実施例における、物性値の測定方法を以下に示す。
【0081】
[気孔径(μm)]:マイクロメトリティックス社製の水銀圧入式ポロシメーターによって測定した。
【0082】
[気孔率(%)]:コージェライトの真比重を2.52g/cmとし、マイクロメトリティックス社製の水銀圧入式ポロシメーターによる全気孔容積から、気孔率を計算した。
【0083】
[熱膨張係数(×10−6/℃)]:社団法人自動車技術会規格会議制定の自動車規格:自動車排気ガス浄化触媒用セラミックモノリス担体の試験方法(JASO M 505−87)に記載の方法に準拠して、測定した。
【0084】
(実施例1)
アルミナ源として、粒子径20μm、ナトリウムの酸化ナトリウム換算の含有割合が0.4質量%のアルミナ(以下、表1中「アルミナ1」と示す)30質量部、粒子径30μm、ナトリウムの酸化ナトリウム換算の含有割合が0.01質量%のタルク43質量部、粒子径30μmのシリカ22質量部、を混合してコーディエライト化原料(合計100質量部)を調製した。なお、表1において、各成分中のナトリウムの酸化ナトリウム換算における割合を、「NaO量(質量%)」と示す。
【0085】
次に、このコーディエライト化原料100質量部に、粒子径40μmのアクリル系の吸水性樹脂6質量部、水70質量部を添加し混合してセラミック原料を得、得られたセラミック原料を混練して可塑性の坏土を得た。
【0086】
次に、得られた坏土を真空土練機でシリンダー状に成形し、押出成形機に投入してハニカム状に成形してハニカム成形体を得た。表1に、セラミック原料の配合処方を示す。なお、坏土を成形する際には、口金のスリットに、原料中の粒子が目詰まりすることがなく、良好に成形を行うことができた。
【0087】
次に、得られたハニカム成形体を誘電乾燥した後、熱風乾燥で更に乾燥した。乾燥したハニカム成形体を所定の寸法となるように、その両端面を切断した。そして、1420℃で、5時間焼成して、直径100mm、長さ120mm、隔壁厚さ100μm、セル数が37個/cmのハニカム構造体を製造した。
【0088】
得られたハニカム構造体の平均気孔径は、40μmであった。また、平均気孔径(μm)に対する、隔壁の厚さW(μm)の割合(表1中、「W/X」と示す)は、2.5であり、隔壁の気孔率は、65%であった。また、この実施例1のハニカム構造体の40〜800℃における熱膨張係数は、0.7×10−6/℃であった。
【0089】
【表1】

【0090】
(実施例2〜15、比較例1〜3)
セラミック原料の配合処方を、表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体について、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。なお、比較例3のハニカム構造体については、焼成時にハニカム構造体が融けてしまったため、成形状態の評価以外の測定を行うことができなかった。
【0091】
【表2】

【0092】
(結果)
表1及び表2より、総酸化ナトリウムの含有割合(即ち、ナトリウムの酸化ナトリウム換算における割合)が、0.08〜0.15質量%の範囲である実施例1〜15のハニカム構造体は、比較例1のハニカム構造体よりも平均気孔径が大きくなっていた。比較例1においては、酸化ナトリウムの量が少なすぎて、コーディエライト化反応時に液相反応が促進されず、気孔径の増大が行われなかったものと考えられる。実施例1〜15のハニカム構造体は、造孔材を用いることにより、高気孔率化を実現することもできた。
【0093】
一方、比較例2のハニカム構造体は、アルミナ源原料として、粒子径の大きな(具体的には、40μmの)アルミナ(表2中、「アルミナ2」と示す)を用いているため、酸化ナトリウムの含有割合が0.039質量%と低い値であっても、隔壁の平均気孔径を増大することができたが、成形用の口金のスリットの間隔(幅)に対して、アルミナ2の粒子径が比較的に大きかったため、スリットが極めて短時間で目詰まりしてしまい、連続的に押出成形を行うことができなかった。実施例1〜15においては、上述した液相反応によって気孔径が増大しているため、平均気孔径に大きさに対して隔壁の厚さを薄くすることができた。特に、実施例1、2、4〜9、及び11〜13においては、平均気孔径(μm)に対する、隔壁の厚さ(μm)の割合(W/X)を3.0未満とすることができた。
【0094】
また、総酸化ナトリウムの含有割合が、0.15質量%を超えていた比較例3のハニカム構造体は、焼成時にハニカム構造体が融けてしまい、成形状態を維持したハニカム構造体を得ることはできなかった。比較例3においては、酸化ナトリウムの量が多すぎて、コーディエライト化反応時に液相反応が過度に促進されてしまったためと思われる。
【0095】
また、酸化ナトリウムの含有割合が0.4質量%のアルミナ(アルミナ1)を用いた実施例1〜3、及び7〜15は、熱膨張係数が低減されていた。これば、アルミナ(酸化アルミニウム)中の酸化ナトリウムが比較的に高温で反応してコーディエライト化が進行したため、高熱膨張の原因となる酸化ナトリウムを含むガラス相の形成が抑制されたためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明のハニカム構造体は、自動車用、建設機械用、及び産業用定置エンジン、並びに燃焼機器等から排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、及び硫黄酸化物(SO)等の被浄化成分の浄化に用いられるハニカム触媒体の触媒担体として利用することができる。また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、このようなハニカム構造体を高い歩留りで製造する方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明のハニカム構造体を適用したハニカム触媒体における、セルの流路方向に垂直な断面を拡大した拡大断面図である。
【図4】従来のハニカム構造体を用いたハニカム触媒体の端面を模式的に示す平面図である。
【図5】図4に示すハニカム触媒体における、セルの流路方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
【図6】図4に示すハニカム触媒体における、セルの流路方向に垂直な断面を拡大した拡大断面図である。
【符号の説明】
【0098】
10,10a:ハニカム構造体、12:隔壁、14:セル、14a:所定のセル、14b:残余のセル、16:目封止部、18:一方の端面、19:他方の端面、22,23:触媒層、22a,23a:触媒、26:気孔、50:ハニカム構造体、52:隔壁、54:セル、60:ハニカム触媒体、62:触媒層、68:排気ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる複数のセルが区画成形された、コーディエライトを主結晶相とするセラミックス材料からなる多孔質の隔壁を備え、
前記隔壁が、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するハニカム構造体。
【請求項2】
前記セラミックス材料が、コーディエライトのアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する第一アルミナ源を少なくとも含むものである請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記隔壁に形成される細孔の平均気孔径X(μm)に対する、前記隔壁の厚さW(μm)の割合(W/X)が、3.0未満である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記隔壁の厚さが、100〜300μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記隔壁の気孔率が、59〜67%であり、前記隔壁の平均気孔径が、30〜110μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
40〜800℃における熱膨張係数が、0.5×10−6〜0.9×10−6/℃である請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
コーディエライト化原料を含有するセラミック原料からなる成形用の坏土を調製し、調製した前記坏土を、流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム形状に成形して未焼成のハニカム成形体を得る工程を備え、
前記セラミック原料として、前記セラミック原料全質量に対して、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.08〜0.15質量%含有するものを用いるハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
前記コーディエライト化原料のアルミナ源として、ナトリウムを酸化ナトリウム換算で0.4〜1.0質量%含有する第一アルミナ源を少なくとも含むものを用いる請求項7に記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−89990(P2010−89990A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261278(P2008−261278)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】