ハニカム構造体
【課題】ハニカム焼成体を把持しやすく、かつ、欠け及びクラック等の不良が発生しにくい、製造効率の良いハニカム構造体を提供すること。
【解決手段】多数のセルが並設されたハニカム焼成体が、接着材層101を介して複数個結束されたセラミックブロック103からなるハニカム構造体100であって、ハニカム焼成体は、異なる形状を有し、セラミックブロックの外周部に位置する外方ハニカム焼成体120と、内側に位置する内方ハニカム焼成体110とからなり、外方ハニカム焼成体の外周のうち、外周の長手方向に垂直な断面は、曲線部と直線部とを少なくとも含み、上記直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、上記外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmであることを特徴とするハニカム構造体。
【解決手段】多数のセルが並設されたハニカム焼成体が、接着材層101を介して複数個結束されたセラミックブロック103からなるハニカム構造体100であって、ハニカム焼成体は、異なる形状を有し、セラミックブロックの外周部に位置する外方ハニカム焼成体120と、内側に位置する内方ハニカム焼成体110とからなり、外方ハニカム焼成体の外周のうち、外周の長手方向に垂直な断面は、曲線部と直線部とを少なくとも含み、上記直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、上記外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmであることを特徴とするハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)及びその他の有害成分が環境及び人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。そこで、排ガス中のPMを捕集して排ガスを浄化するハニカムフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0003】
このようなハニカム構造体として、従来、多数のセルを有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体が知られている。
特許文献1には、異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体が開示されている。
【0004】
図18(a)及び図18(b)は、異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなる従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のうち、ハニカム構造体の最外周に位置するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
図18(a)及び図18(b)に示すハニカム焼成体1110、1120では、多数のセル1111、1112、1121、1122がその長手方向に並設されて設けられており、セル1111、1121はセル壁1113、1123で隔てられている。また、セル1111、1121は、その周囲を外周壁1115、1125で囲まれている。
【0005】
多数のセル1111、1112、1121、1122のうち、セラミックブロックの外周面を構成する外周壁1114、1124に最も近いセル1112、1122のその長手方向に垂直な断面形状(以下、単に断面形状ともいう)は、それらのセルより内側に位置するセルの断面形状と異なっている。すなわち、セル1112、1122の断面形状は、略三角形又は略台形となっており、セル1112、1122の一辺が、上記外周壁1114、1124に沿って形成されている。
また、セラミックブロックの外周面を構成する外周壁1114、1124は、曲面により構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−154718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体は、下記のような方法により製造することができる。
まず、セラミック粉末や水等を混合して成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
次に、この湿潤混合物を押出成形して、異なる形状を有するハニカム成形体を作製する。
続いて、得られたハニカム成形体を乾燥機を用いて乾燥する。
乾燥後、ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する。
次に、接着材ペーストを介して複数個のハニカム焼成体の側面同士を接着させてハニカム焼成体の集合体を作製し、上記接着材ペーストを乾燥固化させて接着材層を形成することにより、セラミックブロックを作製する。その後、必要に応じて、セラミックブロックの外周にコート層を形成することによりハニカム構造体を製造する。
【0008】
セラミックブロックを作製するために複数個のハニカム焼成体を結束させる際には、それぞれのハニカム焼成体について、機械や治具を用いてハニカム焼成体の側面を把持する必要がある。
特許文献1に記載された従来のハニカム構造体では、ハニカム焼成体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁が、曲面により構成されている。
そのため、ハニカム構造体の最外周に位置するハニカム焼成体、特に、図18(a)に示すような曲面形状を有する従来のハニカム焼成体では、把持しにくいという問題がある。また、このような曲面形状を有するハニカム焼成体を無理に把持しようとすると、ハニカム焼成体を把持した部分において欠けやクラック等が発生しやすいという問題がある。これにより、ハニカム構造体の製造効率の低下を招く。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ハニカム焼成体を把持しやすく、かつ、欠け及びクラック等の不良が発生しにくい、製造効率の良いハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム焼成体が、接着材層を介して複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記セラミックブロックの上記ハニカム焼成体は、異なる形状を有し、
上記ハニカム焼成体は、上記セラミックブロックの外周部に位置する外方ハニカム焼成体と、上記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とからなり、
少なくとも1つの上記外方ハニカム焼成体において、上記外方ハニカム焼成体の外周のうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周の上記長手方向に垂直な断面は、曲線部と直線部とを少なくとも含み、
上記外方ハニカム焼成体の直線部は、上記外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、上記外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、
上記外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmであることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面(以下、単に外周断面ともいう)に、直線部が存在する。そして、上記外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。
そのため、複数個の外方ハニカム焼成体を結束させる際、外方ハニカム焼成体の外周に設けられた直線部において外方ハニカム焼成体の側面を容易に把持することができる。従って、外方ハニカム焼成体を把持した部分で発生する欠け若しくはクラック、又は、外方ハニカム焼成体が治具等と接触することにより発生する欠け若しくはクラック等の不良を防止することができる。その結果、ハニカム構造体の不良が低減するため、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0012】
また、請求項1に記載のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。そのため、外方ハニカム焼成体の直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができる。
外方ハニカム焼成体の直線部の長さが5mm未満であると、直線部を設けたことによる欠け又はクラック等の不良を防止する効果をほとんど得ることができない。一方、外方ハニカム焼成体の直線部の長さが20mmを超えると、ハニカム構造体の形状が従来のハニカム構造体の形状と大きく異なることになるため、圧力損失及びPMの捕集効率等のハニカム構造体としての特性が悪くなり、ハニカム構造体を実用的に使用することができない。
【0013】
さらに、請求項1に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体において、上記外方ハニカム焼成体の外周のうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周の上記長手方向に垂直な断面に、曲線部が存在する。
外方ハニカム焼成体の外周断面が、直線部のみで構成されているとすると、外方ハニカム焼成体の外周には、凸部と凹部とからなる段差が多く存在することとなる。その場合、段差が設けられた外方ハニカム焼成体を把持する際、又は、治具等を用いて外方ハニカム焼成体を搬送する際等に、段差の凸部が欠けたり、段差の凹部にクラックが入ったりする等の不良が発生しやすいという問題がある。
一方、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在するハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在しないハニカム構造体に比べて、段差の凸部に発生する欠け、及び、段差の凹部に発生するクラック等の不良を抑えることができる。
【0014】
本明細書において、ハニカム焼成体のセル壁とは、2つのセルの間に存在し、2つのセルを隔てている部分をいう。また、本明細書において、ハニカム焼成体の外周壁とは、ハニカム焼成体の周囲に存在し、ハニカム焼成体の外周を構成している部分をいう。
【0015】
請求項2に記載のハニカム構造体では、上記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下の上記セルに接する外周壁により形成される。
少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部が、連続する5個未満のセルに接する外周壁により形成されていると、充分な長さの直線部を確保することができない。そのため、当該直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができない。一方、少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部が、連続する10個を超えるセルに接する外周壁により形成されていると、ハニカム構造体の形状が、従来のハニカム構造体の形状と大きく異なるため、圧力損失及びPMの捕集効率等のハニカム構造体としての特性が悪くなり、ハニカム構造体を実用的に使用することができない。
【0016】
請求項3に記載のハニカム構造体では、上記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、上記外方ハニカム焼成体の外周のうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置する。
少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部が、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置していると、外方ハニカム焼成体を容易に把持することができる。
【0017】
請求項4に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体において、上記セルは、上記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
上記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
上記外周セルのうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記内側セルと同じである。
ハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用する場合には、ハニカム焼成体のセルのいずれか一方を封止材によって封止する必要がある。外方ハニカム焼成体が有するセルの断面形状がすべて同じであると、封止材のはみ出し及びセルの未封止等の封止不良がなく、封止材ペーストを容易に充填することができる。その結果、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0018】
請求項5に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体において、上記セルは、上記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
上記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
上記外周セルのうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記内側セルと異なる不完全セルを含む。
ハニカム構造体が不完全セルを含んでいると、ハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用した場合、最大数のセルを配置することができるため、PMを捕集することができるろ過面積を向上させることができる。そのため、圧力損失の低いハニカム構造体とすることができる。
【0019】
請求項6に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の上記不完全セルを除いた上記外周セルの上記長手方向に垂直な断面の形状、上記外方ハニカム焼成体の内側セルの上記長手方向に垂直な断面の形状、及び、上記内方ハニカム焼成体のセルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である。
【0020】
請求項7に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の上記不完全セルを除いた上記外周セル、上記外方ハニカム焼成体の内側セル、及び、上記内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積は、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
このようなハニカム構造体では、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0021】
請求項8に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
また、請求項9に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
また、請求項10に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺が曲線により構成されている。
請求項8〜10に記載のハニカム構造体は、上記のような断面形状のセルを有しているため、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、排ガス中のPMを好適に捕集することができる。
【0022】
請求項11に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、上記外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、上記内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、上記内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい。
言い換えると、ハニカム構造体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さが、外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい。そのため、外方ハニカム焼成体の外周壁の強度を向上させることができる。従って、外方ハニカム焼成体を把持した際又は治具等を用いて外方ハニカム焼成体を搬送する際に、欠け及びクラック等の不良をより好適に防止することができる。また、ハニカム構造体全体の強度も向上させることもできる。
【0023】
請求項12に記載のハニカム構造体では、少なくとも1つの上記外方ハニカム焼成体の外周には、角部が形成されており、上記外方ハニカム焼成体の外周壁のうち、上記角部以外の上記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、略同じである。
言い換えると、ハニカム構造体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さが、ハニカム構造体の外周に形成されている角部以外の当該外周壁の厚さと略同じである。このような形状を有するハニカム焼成体を作製する場合、押出成形時においてハニカム成形体のセル壁が変形することを防ぐことができるため、セル壁の歪みのないハニカム構造体を製造することができる。その結果、ハニカム成形体の成形不良を低減することができ、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0024】
請求項13に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体は、上記長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分と上記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周とからなる断面略扇形の形状であり、上記内方ハニカム焼成体は、上記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である。
上記形状を有する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体を用いると、特許文献1に記載された従来のハニカム構造体を製造する場合よりも少ない数のハニカム焼成体でハニカム構造体を製造することができる。従って、所定の形状を有するハニカム構造体を容易に製造することができるため、ハニカム構造体の製造効率をより向上させることができ、ハニカム構造体の製造コストの低減につながる。
【0025】
請求項14に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体及び上記内方ハニカム焼成体のセルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている。
【0026】
請求項15に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている。
【0027】
本明細書において、完全セルとは、ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、1種類の形状のセル、又は、複数個の異なる形状の組み合わせからなるセルが、上下左右に一定の繰り返しで形成されている最小単位のセルをいう。例えば、図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、外方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面において、略正方形の図形が繰り返されている。この場合、略正方形のセルを完全セルという。また、例えば、図8(a)に示す内方ハニカム焼成体310では、セル断面積の異なる2種類のセルが繰り返されている。この場合、セル断面積の異なる2種類のセルの両方を合わせて完全セルという。ただし、便宜的に上記セル断面積の異なる2種類のセルのうち、一方のセルを完全セルという場合もある。
また、本明細書において、基本形成パターンとは、上記完全セルの形状をいう。
【0028】
本明細書において、不完全セルとは、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルの1種であって、上記外方ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、上記完全セルの形状と比べて部分的に欠けた形状となっており、完全セルのセル断面積より小さいセル断面積を有するセルをいう。完全セルが1種類の形状のセルである場合には、上記完全セルよりも小さい断面積を有するセルを不完全セルという。また、完全セルがセル断面積の異なる2種類以上のセルを組み合わせたパターンの繰り返しとなっている外方ハニカム焼成体においては、例えば、相対的にセル断面積の大きい形状のセルよりも小さいセル断面積を有するセル、又は、相対的にセル断面積の小さい形状のセルより小さい断面積を有するセルを不完全セルという。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示した内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【図5】図5は、図4(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体の直線部近傍を模式的に示す側面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。図8(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。図9(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図12】図12は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図13】図13(a)及び図13(b)は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体を把持する方法の一例を模式的に示す側面図である。
【図17】図17(a)及び図17(b)は、本発明の他の実施形態に係るハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図18】図18(a)及び図18(b)は、異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなる従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のうち、ハニカム構造体の最外周に位置するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
以下の説明において、外方ハニカム焼成体と内方ハニカム焼成体とを特に区別する必要がない場合、単にハニカム焼成体と表記する。また、外周セル及び内側セル、並びに、完全セル及び不完全セルを特に区別する必要がない場合、単にセルと表記することもある。
なお、本明細書において、単に、ハニカム構造体の断面、ハニカム焼成体の断面、又は、ハニカム成形体の断面と表記した場合、それぞれ、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面、又は、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面を指す。
また、本明細書において、単に、ハニカム焼成体の断面積と表記した場合、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の面積を指す。
【0032】
図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2は、図1に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。
図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示した内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。
図4(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【0033】
図1及び図2に示すハニカム構造体100では、図3(a)及び図3(b)に示すような形状の4個の内方ハニカム焼成体110と、図4(a)及び図4(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体120とが、接着材層101(101A〜101D)を介して結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にコート層102が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
【0034】
外方ハニカム焼成体120の外周壁には、後述するように、凸部と凹部とからなる段差が設けられているため、セラミックブロック103の外周面には、段差が設けられていることになる。そして、セラミックブロック103の外周に形成されているコート層102は、段差に設けられた凹部を充填するように形成されている。
【0035】
図2に示すように、ハニカム構造体100は、その断面において、外方ハニカム焼成体120を結束する接着材層101C、101Dのうち、1つの内方ハニカム焼成体110の角部からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Cと、2つの内方ハニカム焼成体110の間からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Dとが、所定の角度(例えば、45°)をなしている。
【0036】
図2に示すように、内方ハニカム焼成体110は、断面の形状が略四角形(略正方形)からなる略四角形ユニットである。
また、図2に示すように、外方ハニカム焼成体120は、断面の形状が、3つの線分120a、120b、120cと1つの略円弧120dとで囲まれる形状からなる略扇形ユニットである。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分120bと線分120cとが成す角、及び、線分120aと線分120bとが成す角)は、それぞれ90°と135°である。なお、略円弧120dは、ハニカム構造体100の外周の一部を構成する。また、略円弧の形状については後述する。
【0037】
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体、及び、外方ハニカム焼成体について説明する。
まず、内方ハニカム焼成体について説明する。
図3(a)及び図3(b)に示す内方ハニカム焼成体110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図3(a)中、矢印aの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁114a〜114dが形成されている。そして、セル111のいずれかの端部は、封止材112で封止されている。
【0038】
従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図3(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。排ガスGがセル壁113を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル壁113は、フィルタとして機能する。
【0039】
内方ハニカム焼成体110のセル111の長手方向に垂直な断面の形状は、すべて略四角形(略正方形)であるとともに、セル111の断面積は、互いに等しい。また、セル111が規則正しく並ぶようにセル111が形成されている。
【0040】
次に、外方ハニカム焼成体について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120においても、内方ハニカム焼成体と同様、多数のセル121、127a〜127dが、セル壁123を隔てて長手方向(図4(a)中、矢印bの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁124a〜124dが形成されている。そして、セル121、127a〜127dのいずれかの端部は、封止材122で封止されている。
従って、例えば、一方の端面が開口したセル121に流入した排ガスは、必ずセル121を隔てるセル壁123を通過した後、他方の端面が開口した他のセル121から流出するようになっており、セル壁123は、フィルタとして機能する。すなわち、外方ハニカム焼成体120は、外観形状が内方ハニカム焼成体110と異なるものの、そのフィルタ機能は内方ハニカム焼成体110と同一である。
【0041】
外方ハニカム焼成体120において、セル121、127a〜127dは、外周壁124a〜124dに接する外周セル127a〜127dと、外周セル127a〜127dより内側に位置する内側セル121とからなる。
【0042】
内側セル121は、基本形成パターンとして格子状に形成されている。それぞれの内側セル121の断面形状は、略四角形(略正方形)であるとともに、断面積は、互いに等しい。このように、内側セル121は、基本形成パターンに基づいて形成されているため、すべて完全セルとなっている。
【0043】
外周セル127a〜127dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周壁124aに接する外周セル127aは、内側セル121と同じ断面形状を有している。また、外周壁124bに接する外周セル127b、及び、外周壁124cに接する外周セル127cも、内側セル121と同じ断面形状を有している。
つまり、外周セル127a〜127cは、完全セルである。これは、内側セル121が、その基本形成パターンを維持したまま外周壁124a〜124cに接することで、内側セル121が、そのまま外周セル127a〜127cになったと考えることができるためである。
一方、外周壁124dに接する外周セル127dは、断面の形状が、完全セルである内側セル121とは異なる不完全セルである。
上述したように、基本形成パターンに基づいて形成されていないセル、すなわち、基本形成パターンである内側セルの略四角形(略正方形)よりも長手方向に垂直な断面の大きさが小さいセルを不完全セルということとする。
【0044】
前述したように、外方ハニカム焼成体の外周のうち、ハニカム構造体の外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面の形状は、略円弧状となっている。
具体的には、外方ハニカム焼成体の外周のうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120では、外周120a〜120dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周120dの断面が、曲線部125a、125bと直線部126とを含む例を示している。
【0045】
まず、外方ハニカム焼成体の直線部について説明する。
本実施形態において、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、直線部126は、外周120dの一部であり、連続する6個のセル121に接する外周壁124aにより形成されている。また、直線部126は、セラミックブロックの外周を構成する外周120dの端部に設けられている。
また、外方ハニカム焼成体120の外周120dの一部を構成する直線部126は、対向する外周120bに平行である。図2に示したように、外方ハニカム焼成体120は、外周120bの部分において、接着材層101Bを介して内方ハニカム焼成体110と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体120の直線部126は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0046】
なお、本明細書において、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体の外周の断面形状が、完全な直線のみからなる厳密な形状であることを意味するものではなく、直線と実質的に同視し得る形状を包含する。また、本明細書において、「平行」とは、数学的に厳密な関係を意味するものではなく、「平行」と実質的に同視し得る関係を包含する。
【0047】
本実施形態において、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmが望ましい。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜10個のセルの長さと略同一であることが望ましい。
本明細書においては、セルの長さを以下のように定義する。
図5は、図4(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体の直線部近傍を模式的に示す側面図である。
セル121aの長さとは、セル121aとセル121bとを隔てるセル壁123aにおいて、その厚さの2等分線から、セル121aとセル123cとを隔てるセル壁123bにおいて、その厚さの2等分線までの距離(図5中、矢印Xで示す長さ)を指すこととする。
【0048】
次に、外方ハニカム焼成体の曲線部について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、外周壁124aは、外周セル127aの位置に対応して、凸部125aと凹部125bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部125a及び凹部125bの断面の形状は、凸部125a及び凹部125bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体120では、面取りが施された部分、すなわち、凸部125a及び凹部125bが外方ハニカム焼成体120の曲線部である。
面取りの断面形状としては、断面形状が曲線により構成されるR面取り(曲線の角部)が望ましい。
また、R面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmであることが望ましい。R面取りの曲率半径がこの範囲にあると、外方ハニカム焼成体が治具等と接触することにより発生する欠け等の破損が発生しにくく、外方ハニカム焼成体のセル壁の強度も向上しやすいからである。
なお、R面取りの曲率半径とは、R面取りにおける円弧の半径を意味する。
【0049】
なお、図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120において、曲線部である凸部125a及び凹部126bを角部と考えることもできる。その場合、ハニカム構造体の外周に、角部が形成されているということができる。そして、角部以外の外周壁124aの厚さ(角部以外のハニカム構造体の外周壁の厚さ)は、外周壁124aの全体に渡って略同じである。さらに、角部以外の外周壁124aの厚さは、セル壁123及び他の外周壁124b〜124dの厚さと略同じである。
【0050】
本明細書において、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凸部に面取りが施されているとは、凸部の断面形状が、突出した外周壁の角部が削られた形状になっていることをいう。
一方、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凹部に面取りが施されているとは、凹部の断面形状が、外周壁の陥入した角部が擬似的に面取りを施された形状と同じ形状になるように、外周壁の角部が充填されたような形状になっていることをいう。例えば、外方ハニカム焼成体の外周壁の陥入した角部が擬似的にR面取り(曲線の角部)を施された形状と同じ形状になっていれば、凹部にR面取り(曲線の角部)が施されているという。
【0051】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図4(a)及び図4(b)に示したような、凸部及び凹部に限定されない。例えば、以下のような形状であってもよい。
図6(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
図6(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体130においても、図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120と同様、多数のセル131、137a〜137dが、セル壁133を隔てて長手方向(図6(a)中、矢印cの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁134a〜134dが形成されている。
セル131、137a〜137dのうち、セル131は内側セルであり、137a〜137dは外周セルである。
また、内側セル131は、すべて完全セルとなっている。
そして、外周セル137a〜137dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁134aに接する外周セル137aは、内側セル131と同じ断面形状を有している。
【0052】
また、外方ハニカム焼成体130においては、外周130a〜130dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周130dの断面に、直線部136が存在する。外方ハニカム焼成体130の直線部136は、外周130dの一部であり、連続する6個のセル131に接する外周壁134aにより形成されている。また、外周130dの一部を構成する直線部136は、対向する外周130bに平行である。従って、外方ハニカム焼成体130の直線部136は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0053】
一方、外方ハニカム焼成体130では、図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120と異なり、外方ハニカム焼成体120において凹部125bであった部分が完全に充填されて、曲線部135となっている。
従って、図6(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体130においては、外方ハニカム焼成体130の外周130a〜130dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周130dの断面が、曲線部135と直線部136とからなる。
【0054】
本実施形態において、曲線部は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の少なくとも1箇所に設けられていればよく、直線部の位置も限定されない。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、凸部125a及び凹部125bのすべてに面取りを施すことにより曲線部が設けられているが、凸部及び/又は凹部の少なくとも1箇所に面取りが施されていればよく、また、面取りの位置も限定されない。しかし、面取りが施されている箇所はなるべく多い方が望ましく、段差を構成する凸部及び凹部のすべての箇所について面取りが施されていることがより望ましい。
また、図6(a)及び図6(b)に示す外方ハニカム焼成体130では、凹部が完全に充填されているが、例えば、凹部の一部が充填されることにより、外周壁の一部に段差が設けられていてもよい。
このように、本実施形態においては、外方ハニカム焼成体において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の前記長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる限り、セラミックブロックの外周を構成する外周の断面形状は、特に限定されない。
また、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の前記長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる外方ハニカム焼成体は、ハニカム構造体を構成する少なくとも1つの外方ハニカム焼成体であればよいが、すべての外方ハニカム焼成体であることが望ましい。
【0055】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
セルの内壁に形成された角部(以下、単に「セルの角部」ともいう)に面取りが施されているとは、セルの断面形状が、セルの角部が擬似的に面取りを施された形状と同じ形状になるように、セルの角部が充填されたような形状になっていることをいう。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、C面取りされた形状(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0056】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0057】
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、
セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作成する成形工程と、
上記ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する焼成工程と、
複数の上記ハニカム焼成体を接着材層を介して接着させてセラミックブロックを作製する結束工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
上記ハニカム焼成体として、外方ハニカム焼成体と内方ハニカム焼成体を作製し、
上記成形工程及び上記焼成工程において、外方ハニカム焼成体は、少なくとも第1の外周と第2の外周とを有し、
上記外方ハニカム焼成体の第1の外周の上記長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含み、
上記外方ハニカム焼成体の直線部が、対向する上記外方ハニカム焼成体の第2の外周と平行であり、上記外方ハニカム焼成体の直線部の長さが、5〜20mmとなるように作製し、
上記結束工程において、上記外方ハニカム焼成体を、上記外方ハニカム焼成体の直線部と上記外方ハニカム焼成体の第2の外周とを把持することにより、上記内方ハニカム焼成体の周囲に上記外方ハニカム焼成体が位置するように、かつ、上記外方ハニカム焼成体の直線部が上記セラミックブロックの最外周になるように配置することを特徴とする。
【0058】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法を工程順に説明する。なお、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明する。
(1)セラミック原料を成形することによりハニカム成形体を作成する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末としての平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用のセラミック原料(湿潤混合物)を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
【0059】
ここで、断面が略四角形(略正方形)のハニカム成形体(内方ハニカム焼成体となるハニカム成形体)や、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状のハニカム成形体(外方ハニカム焼成体となるハニカム成形体)を作製するためには、それぞれの形状に応じた押出成形用金型を使用する。
以下の工程で、ハニカム成形体というときは、これら2種のハニカム成形体を区別せずに指すものとする。
【0060】
(2)次に、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
【0061】
(3)その後、ハニカム成形体を脱脂炉中で加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去し、焼成炉に搬送し、焼成工程を行うことにより、図3(a)及び図3(b)に示したような内方ハニカム焼成体、及び、図4(a)及び図4(b)に示したような外方ハニカム焼成体を作製する。
また、切断工程、乾燥工程、封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0062】
(4)続いて、各セルの所定の端部が封止された内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返して所定数のハニカム焼成体が結束されたセラミックブロックを作製する結束工程を行う。
ここで、接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0063】
この結束工程においては、中央部に内方ハニカム焼成体を配置し、その周囲に外方ハニカム焼成体を配置して、図1及び図2に示したようなセラミックブロックを作製する。
また、外方ハニカム焼成体を、外周に設けられた直線部がセラミックブロックの最外周になるように配置する。
この際、外方ハニカム焼成体の外周に設けられた直線部において、外方ハニカム焼成体の側面を把持する。
【0064】
(5)その後、略円柱状としたセラミックブロックの外周面に、コート材ペーストを塗布し、乾燥、固化してコート層を形成するコート層形成工程を行う。
セラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布する際には、外方ハニカム焼成体に設けられた凹部を充填するようにコート材ペーストを塗布する。
ここで、コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、コート材ペーストして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程によって、本実施形態のハニカム構造体を製造することができる。
【0065】
以下、本実施形態のハニカム構造体の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の断面に、直線部が存在する。そして、上記直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。
そのため、複数個の外方ハニカム焼成体を結束させる際、外方ハニカム焼成体の外周に設けられた直線部において外方ハニカム焼成体の側面を容易に把持することができる。従って、外方ハニカム焼成体を把持した部分で発生する欠け若しくはクラック、又は、外方ハニカム焼成体が治具等と接触することにより発生する欠け若しくはクラック等の不良を防止することができる。その結果、ハニカム構造体の不良が低減するため、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0066】
(2)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
そのため、外方ハニカム焼成体の直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができる。
【0067】
(3)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下の上記セルに接する外周壁により形成されている。
外方ハニカム焼成体の直線部が、連続する5個以上10個以下のセルに接する外周壁により形成されていると、充分な長さの直線部を確保することができる。そのため、当該直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができる。
【0068】
(4)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部は、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置している。
外方ハニカム焼成体の直線部が、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置していると、外方ハニカム焼成体を容易に把持することができる。
【0069】
(5)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の断面に、曲線部が存在する。
外方ハニカム焼成体の外周断面が、直線部のみで構成されているとすると、外方ハニカム焼成体の外周には、凸部と凹部とからなる段差が多く存在することとなる。その場合、段差が設けられた外方ハニカム焼成体を把持する際、又は、治具等を用いて外方ハニカム焼成体を搬送する際等に、段差の凸部が欠けたり、段差の凹部にクラックが入ったりする等の不良が発生しやすいという問題がある。
一方、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在するハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在しないハニカム構造体に比べて、段差の凸部に発生する欠け、及び、段差の凹部に発生するクラック等の不良を抑えることができる。
【0070】
(6)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体において、セルが、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が内側セルと同じである。
外方ハニカム焼成体が有するセルの断面形状がすべて同じであると、封止材ペーストを容易に充填することができる。その結果、封止材ペーストの充填不良が低減するため、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0071】
(7)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周には、凸部と凹部とからなる角部が形成されており、外方ハニカム焼成体の外周壁のうち、角部以外の外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、略同じである。
言い換えると、ハニカム構造体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さが、ハニカム構造体の外周に形成されている角部以外の当該外周壁の厚さと略同じである。このような形状を有するハニカム焼成体を作製する場合、押出成形時においてハニカム成形体のセル壁が変形することを防ぐことができるため、セル壁の歪みのないハニカム構造体を製造することができる。その結果、ハニカム成形体の成形不良を低減することができ、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0072】
(8)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分とセラミックブロックの外周の一部を構成する外周とからなる断面略扇形の形状であり、内方ハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である。
上記形状を有する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体を用いると、従来のハニカム構造体を製造する場合よりも少ない数のハニカム焼成体でハニカム構造体を製造することができる。従って、所定の形状を有するハニカム構造体を容易に製造することができるため、ハニカム構造体の製造効率をより向上させることができ、ハニカム構造体の製造コストの低減につながる。
【0073】
(実施例1)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
(1)平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図3(a)及び図3(b)に示した内方ハニカム焼成体110と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体と、図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体とを作製した。
【0075】
(2)次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0076】
(3)セルの封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、内方ハニカム焼成体と外方ハニカム焼成体とを作製した。
内方ハニカム焼成体は、多孔質炭化ケイ素焼結体からなり、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.5mm×34.5mm×150mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm2(300個/inch2)、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)、セルの長さ(図5中、矢印Xで示す長さ)が1.42mmである。
外方ハニカム焼成体も、多孔質炭化ケイ素焼結体からなり、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの長さは、内方ハニカム焼成体と同一である。また、外方ハニカム焼成体は、断面が3つの線分と1つの円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角が、それぞれ90°と135°である形状(図2で示した線分120a=20.8mm、線分120b=35.0mm、線分120c=35.7mm)を有している。外方ハニカム焼成体の円弧120dは、曲線部と直線部を有している。外方ハニカム焼成体の曲線部は、凸部及び凹部とからなる。凸部及び凹部には、R面取り(曲線の角部)が施されており、R面取りの曲率半径は、0.5mmである。また、外方ハニカム焼成体の直線部は、対向する線分120bと平行であり、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、8.52mmである。
【0077】
(4)内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の所定の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して内方ハニカム焼成体を4個と、外方ハニカム焼成体を8個とを図1に示した配置になるように接着させることにより、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
さらに、ハニカム焼成体の集合体を180℃、20分で接着材ペーストを乾燥固化させることにより、接着材層の厚さが1mmで円柱状のセラミックブロックを作製した。
ここで、接着材ペーストとしては、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子30.0重量%、シリカゾル(固形分30重量%)21.4重量%、カルボキシメチルセルロース8.0重量%、及び、水40.6重量%からなる接着材ペーストを使用した。
【0078】
(5)上記(4)の工程で使用した接着材ペーストと同じ組成のコート材ペーストを用いて、セラミックブロックの外周部にコート材ペースト層を形成した。この際、外方ハニカム焼成体に設けられた凹部を充填するようにコート材ペーストを塗布した。
その後、このコート材ペースト層を120℃で乾燥固化して、外周にコート層が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体を製造した。
【0079】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体と同様の外形形状を有する。また、セラミックブロック(ハニカム構造体)を構成する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体の組み合わせ方も、本発明の第一実施形態と同様である。
本発明の第一実施形態では、外方ハニカム焼成体において、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルと、内側セルとは、同一の断面形状を有しているのに対し、本実施形態では、外方ハニカム焼成体において、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルが、内側セルと異なる断面形状を有する不完全セルを含んでいる。
【0080】
以下、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体について説明する。
図7(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【0081】
図7(a)及び図7(b)に示す外方ハニカム焼成体220には、多数のセル221、227a〜227eが、セル壁223を隔てて長手方向(図7(a)中、矢印dの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁224a〜224dが形成されている。そして、セル221、227a〜227eのいずれかの端部は、封止材222で封止されている。
従って、例えば、一方の端面が開口したセル221に流入した排ガスは、必ずセル221を隔てるセル壁223を通過した後、他方の端面が開口した他のセル221から流出するようになっており、セル壁223は、フィルタとして機能する。
【0082】
外方ハニカム焼成体220において、セル221、227a〜227eは、外周壁224a〜224dに接する外周セル227a〜227eと、外周セル227a〜227eより内側に位置する内側セル221とからなる。
【0083】
外方ハニカム焼成体220の内側セル221は、基本形成パターンとして格子状に形成されている。それぞれの内側セル221の断面形状は、略四角形(略正方形)であるとともに、断面積は、互いに等しい。すなわち、内側セル221は、すべて完全セルとなっている。
【0084】
外方ハニカム焼成体220の外周セル227a〜227eのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周壁224aに接する外周セル227aは、断面形状が内側セル221と同じであり、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周壁224aに接する外周セル227eは、断面形状が内側セル221と異なる。つまり、外周セル227aは完全セルであり、外周セル227eは、不完全セルである。
【0085】
本発明の第一実施形態と同様に、外周壁224bに接する外周セル227b、及び、外周壁224cに接する外周セル227cは、内側セル221と同じ断面形状を有している。つまり、外周セル227b及び227cは、完全セルである。
また、外周壁224dに接する外周セル227dは、断面の形状が、完全セルである内側セル221とは異なる不完全セルである。
【0086】
このように、本実施形態では、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、完全セルの他に、断面の形状が完全セルと異なる不完全セルを含んでいる。
そして、外周セルについて、不完全セルを除いた外周セルの断面形状は、内側セルと同様、略四角形(略正方形)であるとともに、断面積は、互いに等しい。
【0087】
本実施形態において、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、少なくとも1つの不完全セルを含んでいればよく、不完全セルの個数は特に限定されない。すなわち、不完全セルは、外方ハニカム焼成体の外周壁の形状、及び、外周壁により規定される外周セルの形状を考慮して設ければよい。
【0088】
不完全セルの断面積は、特に限定されないが、不完全セルの断面積は、封止材ペーストを充填しやすく、封止不良が発生しない所定の大きさとすればよい。
具体的には、不完全セルは、セルの長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることが望ましく、セルの長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルであることがより望ましい。
このような場合、封止材ペーストをセルに充填しやすく、封止材ペーストの漏れ及びはみ出しが発生しにくく、良好に不完全セルを封止することができ、封止不良が発生しにくくなる。
【0089】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図7(a)及び図7(b)に示した外方ハニカム焼成体220では、外周220a〜220dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周220dの断面が、曲線部225a、225bと直線部226とを含む例を示している。
【0090】
外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図7(a)及び図7(b)に示す外方ハニカム焼成体220において、直線部226は、外周220dの一部であり、連続する6個のセル221に接する外周壁224aにより形成されている。
また、外周220dの一部を構成する直線部226は、対向する外周220bに平行である。従って、外方ハニカム焼成体220の直線部226は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0091】
外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図7(a)及び図7(b)に示す外方ハニカム焼成体220では、外周壁224aは、外周セル227a、227eの位置に対応して、凸部225aと凹部225bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部225a及び凹部225bの断面の形状は、凸部225a及び凹部225bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体220では、面取りが施された部分、すなわち、凸部225a及び凹部225bが曲線部である。
【0092】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周壁の一部に段差が設けられていてもよい。
【0093】
次に、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体について説明する。
内方ハニカム焼成体は、本発明の第一実施形態で説明した内方ハニカム焼成体と同様である。
内方ハニカム焼成体に設けられたセルは、すべて完全セルとなっている。
【0094】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0095】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0096】
本実施形態では、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(5)、(7)及び(8)を発揮することができるとともに、以下の効果を発揮することができる。
(9)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体において、セルは、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が内側セルと異なる不完全セルを含む。
ハニカム構造体が不完全セルを含んでいると、ハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用した場合、最大数のセルを配置することができるため、PMを捕集することができるろ過面積を向上させることができる。そのため、圧力損失の低いハニカム構造体とすることができる。
【0097】
(第三実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第三実施形態について説明する。
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体と同様の外形形状を有する。また、セラミックブロック(ハニカム構造体)を構成する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体の組み合わせ方も、本発明の第二実施形態と同様である。
本実施形態では、外方ハニカム焼成体の不完全セルを除いた外周セル、及び、外方ハニカム焼成体の内側セル、並びに、内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
【0098】
図8(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。図8(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【0099】
まず、内方ハニカム焼成体について説明する。
図8(a)に示す内方ハニカム焼成体310には、セル311a、311bがセル壁313を隔てて並設されるとともに、その周囲に外周壁314a〜314dが形成されている。セル311a、311bは、大容量セル311aと、小容量セル311bとからなり、大容量セル311aの断面積(長手方向に垂直な断面の面積)は、小容量セル311bの断面積よりも大きくなっている。そして、大容量セル311aと小容量セル311bとは、交互に配設されている。
図8(a)において、大容量セル311aは、その断面形状が略八角形であり、小容量セル311bは、その断面形状が略四角形である。このように、セル311a、311bは、基本形成パターンに基づいて形成されているため、完全セルであるということができる。
【0100】
大容量セル311aは、内方ハニカム焼成体310の第一の端面側の端部が開放され、第二の端面側の端部で封止材(図示せず)により封止されている。一方、小容量セル311bは、内方ハニカム焼成体310の第一の端面側の端部で封止材312により封止され、第二の端面側の端部が開放されている。
従って、例えば、大容量セル311aに流入した排ガスは、必ず、大容量セル311aと小容量セル311bとを隔てるセル壁313を通過した後、小容量セル311bから流出するようになっており、セル壁313は、フィルタとして機能する。
【0101】
次に、外方ハニカム焼成体について説明する。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320においても、内方ハニカム焼成体と同様、セル321a、321b、327a〜327eがセル壁323を隔てて並設されるとともに、その周囲に外周壁324a〜324dが形成されている。
【0102】
外方ハニカム焼成体320において、セル321a、321b、327a〜327eは、外周壁324a〜324dに接する外周セル327a〜327eと、外周セル327a〜327eより内側に位置する内側セル321a、321bとからなる。
【0103】
外方ハニカム焼成体320の内側セル321a、321bは、内方ハニカム焼成体310に設けられたセル311a、311bと同様、完全セルである。すなわち、完全セルである内側セル321a、321bは、大容量セル321aと、小容量セル321bとからなり、大容量セル321aの断面積(長手方向に垂直な断面の面積)は、小容量セル321bの断面積よりも大きくなっている。
そして、大容量セル321aは、外方ハニカム焼成体320の第一の端面側の端部が開放され、第二の端面側の端部で封止材(図示せず)により封止されている。一方、小容量セル321bは、外方ハニカム焼成体320の第一の端面側の端部で封止材322により封止され、第二の端面側の端部が開放されている。
従って、例えば、大容量セル321aに流入した排ガスは、必ず、大容量セル321aと小容量セル321bとを隔てるセル壁323を通過した後、小容量セル321bから流出するようになっており、セル壁323は、フィルタとして機能する。
【0104】
外方ハニカム焼成体320の外周セル327a〜327eのうち、外周壁324aに接する外周セル327a、外周壁324bに接する外周セル327b、及び、外周壁324cに接する外周セル327cは、外方ハニカム焼成体320の内側セルである大容量セル321aと同じ断面形状を有している。つまり、外方ハニカム焼成体320の外周セル327a、327b及び327cは、完全セルである。
一方、外方ハニカム焼成体320の外周セル327a〜327eのうち、外周壁324dに接する外周セル327d、及び、外周壁324aに接する外周セル327eは、断面の形状が、外方ハニカム焼成体320の内側セルであって、かつ、完全セルである大容量セル321aとは異なる。すなわち、外方ハニカム焼成体320の外周セル327d、327eは、断面の形状が完全セルと異なる不完全セルである。
すなわち、図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320においては、外周セルは、完全セルの他に、断面の形状が完全セルと異なる不完全セルを含んでいる。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320においては、不完全セルを除いた外周セルは、内側セルと同様、大容量セルと小容量セルとからなる。
【0105】
なお、本実施形態においては、外周セルは、不完全セルを含んでいなくてもよい。その場合、本実施形態は、本発明の第一実施形態のセル形状として、断面積に大小関係のあるセルを採用した形態であるともいえる。
【0106】
大容量セル及び小容量セルの断面形状としては、大容量セルの断面積が小容量セルの断面積より大きくなっていればよい。そのため、大容量セル及び小容量セルの断面形状は、それぞれ略八角形及び略四角形である形状に限定されず、任意の断面形状を採用することができる。例えば、以下のような形状であってもよい。
図9(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。図9(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。
図9(a)に示す内方ハニカム焼成体330、及び、図9(b)に示す外方ハニカム焼成体340では、大容量セルの断面形状が略四角形(略正方形)であり、小容量セルの断面形状が略四角形(略正方形)である。
【0107】
なお、大容量セル及び小容量セルの断面形状は、直角部があってもよいし、直角部に相当する箇所が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0108】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図8(b)に示した外方ハニカム焼成体320では、外周320a〜320dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周320dの断面が、曲線部325a、325bと直線部326とを含む例を示している。同様に、図9(b)に示した外方ハニカム焼成体340では、外周340a〜340dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周340dの断面が、曲線部345a、345bと直線部346とを含む例を示している。
【0109】
外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320において、直線部326は、外周320dの一部であり、対向する外周320bに平行である。従って、外方ハニカム焼成体320の直線部326は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。図9(b)に示す外方ハニカム焼成体340においても同様である。
【0110】
外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320では、外周セル327a、327eの位置に対応して、凸部325aと凹部325bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部325a及び凹部325bの断面の形状は、凸部325a及び凹部325bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体320では、面取りが施された部分、すなわち、凸部325a及び凹部325bが曲線部である。図9(b)に示す外方ハニカム焼成体340においても同様である。
【0111】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周部の一部に段差が設けられていてもよい。
【0112】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0113】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0114】
本実施形態においても、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(5)、(7)及び(8)、並びに、本発明の第二実施形態において説明した効果(9)を発揮することができるとともに、以下の効果を発揮することができる。
(10)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の不完全セルを除いた外周セル、外方ハニカム焼成体の内側セル、及び、内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
このようなハニカム構造体では、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0115】
(第四実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第四実施形態について説明する。
本実施形態では、内方ハニカム焼成体の外形形状は、本発明の第一実施形態〜第三実施形態と同様であるが、外方ハニカム焼成体の外形形状が、本発明の第一実施形態〜第三実施形態と異なる。
具体的には、本実施形態では、ハニカム焼成体の組み合わせ構造が、本発明の第一実施形態〜第三実施形態と異なる。すなわち、内方ハニカム焼成体として、略四角形(略正方形)の断面形状を有するハニカム焼成体を用い、外方ハニカム焼成体として、断面形状の異なる複数種類の所定形状のハニカム焼成体を用いる。そして、内方ハニカム焼成体と複数種類の外方ハニカム焼成体とを接着材層を介して組み立てることにより、所定形状(例えば、断面略円形等)のセラミックブロックを形成することができる。
【0116】
図10は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図11(a)及び図11(b)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【0117】
図10に示すハニカム構造体400では、図11(a)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体420及び図11(b)に示すような形状の4個の外方ハニカム焼成体430と、その内側に配置された4個の内方ハニカム焼成体410とが、接着材層401A〜401Dを介して結束されてセラミックブロック403を構成し、さらに、このセラミックブロック403の外周にコート層402が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
図11(a)及び図11(b)に示す形状は、3つの直線と、直線部と階段状を組み合わせた残りの一辺とからなる形状であり、図11(a)に示す形状と図11(b)に示す形状とでは、直線と階段状の組み合わせ方が異なる。
【0118】
図10に示すように、内方ハニカム焼成体410の断面の形状は、略四角形(略正方形)である。
また、図10に示すように、外方ハニカム焼成体420の断面は、3つの線分420a、420b、420cと1つの略円弧420dとで囲まれた形状をなしている。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分420bと線分420cとが成す角、及び、線分420aと線分420bとが成す角)は、どちらも90°である。
さらに、別の外方ハニカム焼成体430の断面は、2つの線分430a、430bと1つの略円弧430cとで囲まれた形状をなしている。この2つの線分よりなる角(線分430aと線分430bとが成す角)は、90°である。
また、ハニカム焼成体410、420、430は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが望ましい。
【0119】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図11(a)に示した外方ハニカム焼成体420では、外周420a〜420dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周420dの断面が、曲線部425a、425bと直線部426とを含む例を示している。
また、図11(b)に示した外方ハニカム焼成体430では、外周430a〜430cのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周430cの断面が、曲線部435a、435bと直線部436a、436bとを含む例を示している。
【0120】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図11(a)に示す外方ハニカム焼成体420において、直線部426は、外周420dの一部であり、対向する外周420bに平行である。図10に示したように、外方ハニカム焼成体420は、外周420bの部分において、接着材層401Bを介して内方ハニカム焼成体410と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体420の直線部426は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
一方、図11(b)に示す外方ハニカム焼成体430において、直線部436aは、外周430cの一部であり、対向する外周430bに平行である。また、直線部436bは、外周430cの一部であり、対向する外周430aに平行である。図10に示したように、外方ハニカム焼成体430は、外周430bの部分において、接着材層401Cを介して外方ハニカム焼成体420と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体430の直線部426は、外方ハニカム焼成体同士の間の接着材層に平行であるといえる。
なお、図11(b)に示した外方ハニカム焼成体430では、2箇所の直線部436a及び436bが設けられているが、外方ハニカム焼成体の直線部は、1箇所のみに設けられていてもよい。
【0121】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図11(a)に示す外方ハニカム焼成体420では、外周壁424aは、外周セル427aの位置に対応して、凸部425aと凹部425bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部425a及び凹部425bの断面の形状は、凸部425a及び凹部425bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体420では、面取りが施された部分、すなわち、凸部425a及び凹部425bが曲線部である。
同様に、図11(b)に示す外方ハニカム焼成体430では、凸部435a及び凹部435bが曲線部である。
【0122】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周部の一部に段差が設けられていてもよい。
また、図11(a)に示した外方ハニカム焼成体420において、外周420dには、直線部426が設けられていなくてもよい。直線部が設けられていなくても、外周420aと外周420cとは、平行である。そのため、ハニカム構造体を製造するために、外方ハニカム焼成体420を結束させる際、外周420a及び外周420cにおいて外方ハニカム焼成体420を把持することができる。
【0123】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体に設けられているセルの断面形状としては、本発明の第一実施形態及び第二実施形態のように、すべて略四角形(略正方形)であるとともに、セルの断面積が互いに等しい形状でもよいし、本発明の第三実施形態のように、大容量セルと小容量セルとからなる形状でもよい。
【0124】
なお、図11(a)に示す外方ハニカム焼成体420、及び、図11(b)に示す外方ハニカム焼成体430においては、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルの断面形状と、内側セルの断面形状とは同一である。しかし、本実施形態においては、本発明の第二実施形態のように、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルが不完全セルを含んでいてもよい。
【0125】
本実施形態に係る内方ハニカム焼成体は、外方ハニカム焼成体の構成に対応して、本発明の第一実施形態〜第三実施形態で説明した内方ハニカム焼成体と同様のものであればよい。
【0126】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0127】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点、及び、結束工程を行う際に、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体を所定の位置に結束する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0128】
本実施形態においても、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(8)を発揮することができる。
【0129】
(第五実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第五実施形態について説明する。
本実施形態では、内方ハニカム焼成体の外形形状は、本発明の第一実施形態〜第四実施形態と同様であるが、外方ハニカム焼成体の外形形状が、本発明の第一実施形態〜第四実施形態と異なる。
本実施形態では、内方ハニカム焼成体として、略四角形(略正方形)の断面形状を有するハニカム焼成体を用い、外方ハニカム焼成体として、断面形状の異なる複数種類の所定形状のハニカム焼成体を用いる点は、本発明の第四実施形態と同様であるが、ハニカム焼成体の組み合わせ構造が、本発明の第一実施形態〜第四実施形態と異なる。
具体的には、本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム構造体の個数が、本発明の第一実施形態〜第四実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム構造体の個数よりも多い。
【0130】
図12は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図13(a)及び図13(b)は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【0131】
図12に示すハニカム構造体500では、図13(a)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体520及び図13(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体530と、その内側に配置された9個の内方ハニカム焼成体510とが複数個ずつ接着材層501、501A〜501Dを介して結束されてセラミックブロック503を構成し、さらに、このセラミックブロック503の外周にコート層502が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
図13(a)に示す形状は、3つの直線と、直線部と階段状を組み合わせた残りの一辺とからなる形状である。図13(b)に示す形状は、3つの直線と円弧からなる扇状形状であり、円弧の部分が直線部と階段状を組み合わせた形状となっている。
【0132】
図12に示すように、内方ハニカム焼成体510の断面の形状は、略四角形(略正方形)である。
また、図12に示すように、外方ハニカム焼成体520の断面は、3つの線分520a、520b、520cと1つの略円弧520dとで囲まれた形状をなしている。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分520aと線分520bとが成す角、及び、線分520bと線分520cとが成す角)がともに90°である。
さらに別の外方ハニカム焼成体530の断面は、3つの線分530a、530b、530cと1つの略円弧530dとで囲まれた略扇形ユニットである。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分530bと線分530cとが成す角、及び、線分530aと線分530bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。
また、ハニカム焼成体510、520、530は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが望ましい。
【0133】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図13(a)に示した外方ハニカム焼成体520では、外周520a〜520dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周520dの断面が、曲線部525a、525bと直線部526とを含む例を示している。
また、図13(b)に示した外方ハニカム焼成体530では、外周530a〜530dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周530dの断面が、曲線部535a、535bと直線部536とを含む例を示している。
【0134】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図13(a)に示す外方ハニカム焼成体520において、直線部526は、外周520dの一部であり、対向する外周520bに平行である。図12に示したように、外方ハニカム焼成体520は、外周520bの部分において、接着材層501Bを介して内方ハニカム焼成体510と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体520の直線部526は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
一方、図13(b)に示す外方ハニカム焼成体530において、直線部536は、外周530dの一部であり、対向する外周530bに平行である。図12に示したように、外方ハニカム焼成体530は、外周530bの部分において、接着材層501Bを介して内方ハニカム焼成体510と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体530の直線部536は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0135】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図13(a)に示す外方ハニカム焼成体520では、外周壁524aは、外周セル527aの位置に対応して、凸部525aと凹部525bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部525a及び凹部525bの断面の形状は、凸部525a及び凹部525bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体520では、面取りが施された部分、すなわち、凸部525a及び凹部525bが曲線部である。
同様に、図13(b)に示す外方ハニカム焼成体530では、凸部535a及び凹部535bが曲線部である。
【0136】
なお、本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周部の一部に段差が設けられていてもよい。
また、図13(a)に示した外方ハニカム焼成体520において、外周520dには、直線部526が設けられていなくてもよい。直線部が設けられていなくても、外周520aと外周520cとは、平行である。そのため、ハニカム構造体を製造するために、外方ハニカム焼成体520を結束させる際、外周520a及び外周520cにおいて外方ハニカム焼成体520を把持することができる。
【0137】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体に設けられているセルの断面形状としては、本発明の第一実施形態及び第二実施形態のように、すべて略四角形(略正方形)であるとともに、セルの断面積が互いに等しい形状でもよいし、本発明の第三実施形態のように、大容量セルと小容量セルとからなる形状でもよい。
【0138】
なお、図13(a)に示す外方ハニカム焼成体520、及び、図13(b)に示す外方ハニカム焼成体530においては、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルの断面形状と、内側セルの断面形状とは同一である。しかし、本実施形態においては、本発明の第二実施形態のように、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルが不完全セルを含んでいてもよい。
【0139】
本実施形態に係る内方ハニカム焼成体は、外方ハニカム焼成体の構成に対応して、本発明の第一実施形態〜第四実施形態で説明した内方ハニカム焼成体と同様のものであればよい。
【0140】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0141】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点、及び、結束工程を行う際に、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体を所定の位置に結束する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0142】
本実施形態においても、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(8)を発揮することができる。
【0143】
(その他の実施形態)
本発明のハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の個数は、複数個に限定されず、1個であってもよい。
具体的には、ハニカム構造体の断面の形状が、図14に示したような内方ハニカム焼成体を1個含む形状であってもよい。
図14は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図14に示すハニカム構造体600の構成は、内方ハニカム焼成体の個数が異なる以外は、図1及び図2に示したハニカム構造体100と同一である。
即ち、図14に示したハニカム構造体600では、図2に示したハニカム構造体100の接着材層101Aを介して結束された4個の内方ハニカム焼成体110に代えて、1個の内方ハニカム焼成体610を備えている。
図14に示した内方ハニカム焼成体610は、図2に示した内方ハニカム焼成体110と比べて、断面積が大きいものの、その機能は同一である。図14に示した外方ハニカム焼成体620は、図2に示したハニカム構造体100を構成するハニカム焼成体120と同様である。
【0144】
本発明のハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の断面積は、900〜2500mm2であることが望ましい。
内方ハニカム焼成体の断面積が上記範囲にあると、ハニカム構造体をハニカムフィルタとして使用した際に、ハニカム構造体に再生処理等の高温に晒された際のハニカム焼成体の膨張及び収縮により、ハニカム焼成体にクラックが発生しにくくなるからである。
【0145】
本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体の直線部が設けられている位置は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に限定されない。
しかし、把持のしやすさの点からは、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に設けられていることが望ましい。
【0146】
本明細書において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部とは、隣接する外方ハニカム焼成体と接着材層を介して接する側の端部をいう。
【0147】
外方ハニカム焼成体の直線部が、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に設けられていない例を図15に示す。
図15は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
なお、図15に示す外方ハニカム焼成体720は、第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例(図4(a)及び図4(b)に示したハニカム焼成体120の変形例)でもある。
図15に示す外方ハニカム焼成体720では、外周720a〜720dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周720dの断面が、曲線部725a、725bと直線部726とを含む例を示している。
外方ハニカム焼成体720において、外周720dの一部を構成する直線部726は、対向する外周720bに平行である。従って、直線部726は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
外方ハニカム焼成体720の直線部726は、セラミックブロックの外周を構成する外周720dの端部に設けられていないが、直線部726及び外周720bにおいて外方ハニカム焼成体720を把持することができる。
このように、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部以外に設けられている部分も、本発明の外方ハニカム焼成体の直線部となり得る。
【0148】
図16(a)及び図16(b)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体を把持する方法の一例を模式的に示す側面図である。
図16(a)では、図4(a)及び図4(b)に示したハニカム焼成体120を把持する方法を示し、図16(b)では、図15に示した外方ハニカム焼成体720を把持する方法を示している。
図16(a)に示すように、外方ハニカム焼成体120の直線部126が、外方ハニカム焼成体120の外周120a〜120dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周120dの端部に設けられている場合には、外方ハニカム焼成体120の直線部126と対向する外周120bとの間を把持部901a及び901bで挟むことにより、外方ハニカム焼成体120を把持することができる。
一方、図16(b)に示すように、外方ハニカム焼成体720の直線部726が、外方ハニカム焼成体720の外周720a〜720dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周720dの端部以外の箇所に設けられている場合には、外方ハニカム焼成体720の直線部726と対向する外周720bとの間を把持部902a及び902bで挟むことにより、外方ハニカム焼成体720を把持することができる。本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体720の直線部726を把持することができるように、把持部902aは、凸部910を有していることが望ましい。
なお、図16(a)及び図16(b)において、把持部901a、901b及び902bは、凸部を有していなくてもよいし、凸部を有していてもよい。
【0149】
また、本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の少なくとも1箇所に設けられていればよい。
【0150】
本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下のセルに接する外周壁により形成されていることが望ましい。
【0151】
本発明においては、外方ハニカム焼成体において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含み、外方ハニカム焼成体の直線部が、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、直線部の長さが、5〜20mmである限り、外方ハニカム焼成体の形状は任意である。
【0152】
本発明のハニカム構造体において、完全セルが、大容量セルと小容量セルとからなるとき、大容量セル及び小容量セルの形態は、これまでの実施形態において説明した形態に限定されるものではない。
図17(a)及び図17(b)は、本発明の他の実施形態に係るハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図面は、いずれも内方ハニカム焼成体の一方の端面側、すなわち小容量セルが封止された端面側から見た側面図である。
これらの図17(a)及び図17(b)を参照しながら、大容量セル及び小容量セルの断面形状のその他の実施形態を説明する。
【0153】
図17(a)に示す内方ハニカム焼成体810においては、大容量セル811aの長手方向に垂直な断面の形状が、角部に相当する部分が円弧状になっている略四角形であり、小容量セル811bの長手方向に垂直な断面の形状が、略四角形である。
【0154】
図17(b)に示す内方ハニカム焼成体820において、大容量セル821a及び小容量セル821bの長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線により構成されている形状である。
すなわち、図17(b)では、実線で示しているセル壁823の断面形状が曲線である。
大容量セル821aの断面形状は、セル壁823がセルの断面の中心から外側に向かって凸の形状であり、一方、小容量セル821bの断面形状は、セル壁823がセルの断面の外側から中心に向かって凸の形状である。
セル壁823は内方ハニカム焼成体の断面の水平方向及び垂直方向に対して起伏する「波形」の形状を有しており、小容量セルにおいて隣り合うセル壁823の波形の山の部分(正弦曲線でいう振幅の極大値の部分)が互いに最近接することで、セルの断面形状が外側に膨らんだ大容量セル821aとセルの断面形状が内側に凹んだ小容量セル821bとが形成される。なお、波形の振幅は一定でもよくまた変化しても良いが、一定であることが好ましい。
【0155】
外方ハニカム焼成体においても、図17(a)又は図17(b)に示すような大容量セル及び小容量セルの断面形状を有していてもよい。なお、外方ハニカム焼成体の外周セルが、不完全セルを含む場合には、不完全セルを除いた外周セル、及び、内側セルが、図17(a)又は図17(b)に示すような大容量セル及び小容量セルの断面形状を有していればよい。
【0156】
本発明のハニカム構造体においては、外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さと同一であってもよいし、これらの厚さよりも大きくてもよい。
外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ(ハニカム構造体の外周壁の厚さ)が、外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい場合、外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、これらの厚さの1.3〜3.0倍であることが望ましい。
【0157】
本発明のハニカム構造体の形状は、略円柱状に限定されるものでなく、略楕円柱状、略多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0158】
本発明のハニカム構造体においては、セルの端部が封止されていなくてもよい。このようなハニカム構造体は、触媒担持体として使用することができる。
【0159】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム構造体をフィルタとして使用する場合には、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の気孔率は、特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカム焼成体がすぐに目詰まりを起こす。一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下するため、ハニカム焼成体が容易に破壊される。
【0160】
また、本発明のハニカム構造体において、ハニカム構造体をフィルタとして使用する場合には、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の平均気孔径は、5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、ハニカム焼成体が容易に目詰まりを起こす。一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートがハニカム焼成体の気孔を通り抜けてしまい、ハニカム焼成体がパティキュレートを捕集することができず、ハニカム構造体がフィルタとして機能することができない。
【0161】
なお、上記気孔率及び気孔径は、従来公知の水銀圧入法により測定することができる。
【0162】
本発明のハニカム焼成体の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/inch2)、望ましい上限は、93.0個/cm2(600個/inch2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/inch2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/inch2)である。
また、上記本発明におけるハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
【0163】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム焼成体の各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、略四角形、略五角形、略六角形、略台形、略八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。
【0164】
本発明のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の材料の主成分は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、コージェライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等のセラミック粉末が挙げられる。
【0165】
本発明のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を作製する際に用いられる湿潤混合物に含まれる有機バインダとしては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0166】
上記湿潤混合物に含まれる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記湿潤混合物に含まれる潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、上記湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0167】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0168】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0169】
上記接着材ペースト及び上記コート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
【0170】
上記接着材ペースト及び上記コート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0171】
上記接着材ペースト及び上記コート材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
【0172】
本発明のハニカム構造体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよい。担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0173】
本発明のハニカム構造体を製造する際の結束工程では、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
【符号の説明】
【0174】
100、400、500、600 ハニカム構造体
101、101A〜101D、401A〜401D、501、501A〜501D、601A〜601D 接着材層
102、402、502、602 コート層
103、403、503、603 セラミックブロック
110、120、130、220、310、320、330、340、410、420、430、510、520、530、610、620、720、810、820、1110、1120 ハニカム焼成体
111、121、121a〜121c、127a〜127d、131、137a〜137d、221、227a〜227e、311a、311b、321a、321b、327a〜327e、331a、331b、341a、341b、347a〜347e、421、427a〜427d、431、437a〜437c、521、527a〜527d、531、537a〜537d、721、727a〜727d、811a、811b、821a、821b、1111、1112、1121、1122 セル
113、123、123a、123b、133、223、313、323、333、343、423、433、523、533、723、823、1113、1123 セル壁
114a〜114d、124a〜124d、134a〜134d、224a〜224d、314a〜314d、324a〜324d、334a〜334d、344a〜344d、424a〜424d、434a〜434c、524a〜524d、534a〜534d、724a〜724d、1114、1115、1124、1125 外周壁
120a〜120d、130a〜130d、220a〜220d、320a〜320d、340a〜340d、420a〜420d、430a〜430c、520a〜520d、530a〜530d、720a〜720d、620a〜620d、720a〜720d 外周(外方ハニカム焼成体の外周)
125a、125b、135、225a、225b、325a、325b、345a、345b、425a、425b、435a、435b、525a、525b、535a、535b、725a、725b 外方ハニカム焼成体の曲線部
126、136、226、326、346、426、436a、436b、526、536、726 外方ハニカム焼成体の直線部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)及びその他の有害成分が環境及び人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。そこで、排ガス中のPMを捕集して排ガスを浄化するハニカムフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0003】
このようなハニカム構造体として、従来、多数のセルを有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体が知られている。
特許文献1には、異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体が開示されている。
【0004】
図18(a)及び図18(b)は、異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなる従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のうち、ハニカム構造体の最外周に位置するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
図18(a)及び図18(b)に示すハニカム焼成体1110、1120では、多数のセル1111、1112、1121、1122がその長手方向に並設されて設けられており、セル1111、1121はセル壁1113、1123で隔てられている。また、セル1111、1121は、その周囲を外周壁1115、1125で囲まれている。
【0005】
多数のセル1111、1112、1121、1122のうち、セラミックブロックの外周面を構成する外周壁1114、1124に最も近いセル1112、1122のその長手方向に垂直な断面形状(以下、単に断面形状ともいう)は、それらのセルより内側に位置するセルの断面形状と異なっている。すなわち、セル1112、1122の断面形状は、略三角形又は略台形となっており、セル1112、1122の一辺が、上記外周壁1114、1124に沿って形成されている。
また、セラミックブロックの外周面を構成する外周壁1114、1124は、曲面により構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−154718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体は、下記のような方法により製造することができる。
まず、セラミック粉末や水等を混合して成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
次に、この湿潤混合物を押出成形して、異なる形状を有するハニカム成形体を作製する。
続いて、得られたハニカム成形体を乾燥機を用いて乾燥する。
乾燥後、ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する。
次に、接着材ペーストを介して複数個のハニカム焼成体の側面同士を接着させてハニカム焼成体の集合体を作製し、上記接着材ペーストを乾燥固化させて接着材層を形成することにより、セラミックブロックを作製する。その後、必要に応じて、セラミックブロックの外周にコート層を形成することによりハニカム構造体を製造する。
【0008】
セラミックブロックを作製するために複数個のハニカム焼成体を結束させる際には、それぞれのハニカム焼成体について、機械や治具を用いてハニカム焼成体の側面を把持する必要がある。
特許文献1に記載された従来のハニカム構造体では、ハニカム焼成体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁が、曲面により構成されている。
そのため、ハニカム構造体の最外周に位置するハニカム焼成体、特に、図18(a)に示すような曲面形状を有する従来のハニカム焼成体では、把持しにくいという問題がある。また、このような曲面形状を有するハニカム焼成体を無理に把持しようとすると、ハニカム焼成体を把持した部分において欠けやクラック等が発生しやすいという問題がある。これにより、ハニカム構造体の製造効率の低下を招く。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ハニカム焼成体を把持しやすく、かつ、欠け及びクラック等の不良が発生しにくい、製造効率の良いハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム焼成体が、接着材層を介して複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記セラミックブロックの上記ハニカム焼成体は、異なる形状を有し、
上記ハニカム焼成体は、上記セラミックブロックの外周部に位置する外方ハニカム焼成体と、上記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とからなり、
少なくとも1つの上記外方ハニカム焼成体において、上記外方ハニカム焼成体の外周のうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周の上記長手方向に垂直な断面は、曲線部と直線部とを少なくとも含み、
上記外方ハニカム焼成体の直線部は、上記外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、上記外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、
上記外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmであることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面(以下、単に外周断面ともいう)に、直線部が存在する。そして、上記外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。
そのため、複数個の外方ハニカム焼成体を結束させる際、外方ハニカム焼成体の外周に設けられた直線部において外方ハニカム焼成体の側面を容易に把持することができる。従って、外方ハニカム焼成体を把持した部分で発生する欠け若しくはクラック、又は、外方ハニカム焼成体が治具等と接触することにより発生する欠け若しくはクラック等の不良を防止することができる。その結果、ハニカム構造体の不良が低減するため、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0012】
また、請求項1に記載のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。そのため、外方ハニカム焼成体の直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができる。
外方ハニカム焼成体の直線部の長さが5mm未満であると、直線部を設けたことによる欠け又はクラック等の不良を防止する効果をほとんど得ることができない。一方、外方ハニカム焼成体の直線部の長さが20mmを超えると、ハニカム構造体の形状が従来のハニカム構造体の形状と大きく異なることになるため、圧力損失及びPMの捕集効率等のハニカム構造体としての特性が悪くなり、ハニカム構造体を実用的に使用することができない。
【0013】
さらに、請求項1に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体において、上記外方ハニカム焼成体の外周のうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周の上記長手方向に垂直な断面に、曲線部が存在する。
外方ハニカム焼成体の外周断面が、直線部のみで構成されているとすると、外方ハニカム焼成体の外周には、凸部と凹部とからなる段差が多く存在することとなる。その場合、段差が設けられた外方ハニカム焼成体を把持する際、又は、治具等を用いて外方ハニカム焼成体を搬送する際等に、段差の凸部が欠けたり、段差の凹部にクラックが入ったりする等の不良が発生しやすいという問題がある。
一方、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在するハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在しないハニカム構造体に比べて、段差の凸部に発生する欠け、及び、段差の凹部に発生するクラック等の不良を抑えることができる。
【0014】
本明細書において、ハニカム焼成体のセル壁とは、2つのセルの間に存在し、2つのセルを隔てている部分をいう。また、本明細書において、ハニカム焼成体の外周壁とは、ハニカム焼成体の周囲に存在し、ハニカム焼成体の外周を構成している部分をいう。
【0015】
請求項2に記載のハニカム構造体では、上記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下の上記セルに接する外周壁により形成される。
少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部が、連続する5個未満のセルに接する外周壁により形成されていると、充分な長さの直線部を確保することができない。そのため、当該直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができない。一方、少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部が、連続する10個を超えるセルに接する外周壁により形成されていると、ハニカム構造体の形状が、従来のハニカム構造体の形状と大きく異なるため、圧力損失及びPMの捕集効率等のハニカム構造体としての特性が悪くなり、ハニカム構造体を実用的に使用することができない。
【0016】
請求項3に記載のハニカム構造体では、上記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、上記外方ハニカム焼成体の外周のうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置する。
少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部が、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置していると、外方ハニカム焼成体を容易に把持することができる。
【0017】
請求項4に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体において、上記セルは、上記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
上記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
上記外周セルのうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記内側セルと同じである。
ハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用する場合には、ハニカム焼成体のセルのいずれか一方を封止材によって封止する必要がある。外方ハニカム焼成体が有するセルの断面形状がすべて同じであると、封止材のはみ出し及びセルの未封止等の封止不良がなく、封止材ペーストを容易に充填することができる。その結果、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0018】
請求項5に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体において、上記セルは、上記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
上記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
上記外周セルのうち、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記内側セルと異なる不完全セルを含む。
ハニカム構造体が不完全セルを含んでいると、ハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用した場合、最大数のセルを配置することができるため、PMを捕集することができるろ過面積を向上させることができる。そのため、圧力損失の低いハニカム構造体とすることができる。
【0019】
請求項6に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の上記不完全セルを除いた上記外周セルの上記長手方向に垂直な断面の形状、上記外方ハニカム焼成体の内側セルの上記長手方向に垂直な断面の形状、及び、上記内方ハニカム焼成体のセルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である。
【0020】
請求項7に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の上記不完全セルを除いた上記外周セル、上記外方ハニカム焼成体の内側セル、及び、上記内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積は、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
このようなハニカム構造体では、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0021】
請求項8に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
また、請求項9に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
また、請求項10に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺が曲線により構成されている。
請求項8〜10に記載のハニカム構造体は、上記のような断面形状のセルを有しているため、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、排ガス中のPMを好適に捕集することができる。
【0022】
請求項11に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、上記外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、上記内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、上記内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい。
言い換えると、ハニカム構造体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さが、外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい。そのため、外方ハニカム焼成体の外周壁の強度を向上させることができる。従って、外方ハニカム焼成体を把持した際又は治具等を用いて外方ハニカム焼成体を搬送する際に、欠け及びクラック等の不良をより好適に防止することができる。また、ハニカム構造体全体の強度も向上させることもできる。
【0023】
請求項12に記載のハニカム構造体では、少なくとも1つの上記外方ハニカム焼成体の外周には、角部が形成されており、上記外方ハニカム焼成体の外周壁のうち、上記角部以外の上記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、略同じである。
言い換えると、ハニカム構造体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さが、ハニカム構造体の外周に形成されている角部以外の当該外周壁の厚さと略同じである。このような形状を有するハニカム焼成体を作製する場合、押出成形時においてハニカム成形体のセル壁が変形することを防ぐことができるため、セル壁の歪みのないハニカム構造体を製造することができる。その結果、ハニカム成形体の成形不良を低減することができ、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0024】
請求項13に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体は、上記長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分と上記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周とからなる断面略扇形の形状であり、上記内方ハニカム焼成体は、上記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である。
上記形状を有する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体を用いると、特許文献1に記載された従来のハニカム構造体を製造する場合よりも少ない数のハニカム焼成体でハニカム構造体を製造することができる。従って、所定の形状を有するハニカム構造体を容易に製造することができるため、ハニカム構造体の製造効率をより向上させることができ、ハニカム構造体の製造コストの低減につながる。
【0025】
請求項14に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体及び上記内方ハニカム焼成体のセルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている。
【0026】
請求項15に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている。
【0027】
本明細書において、完全セルとは、ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、1種類の形状のセル、又は、複数個の異なる形状の組み合わせからなるセルが、上下左右に一定の繰り返しで形成されている最小単位のセルをいう。例えば、図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、外方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面において、略正方形の図形が繰り返されている。この場合、略正方形のセルを完全セルという。また、例えば、図8(a)に示す内方ハニカム焼成体310では、セル断面積の異なる2種類のセルが繰り返されている。この場合、セル断面積の異なる2種類のセルの両方を合わせて完全セルという。ただし、便宜的に上記セル断面積の異なる2種類のセルのうち、一方のセルを完全セルという場合もある。
また、本明細書において、基本形成パターンとは、上記完全セルの形状をいう。
【0028】
本明細書において、不完全セルとは、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルの1種であって、上記外方ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、上記完全セルの形状と比べて部分的に欠けた形状となっており、完全セルのセル断面積より小さいセル断面積を有するセルをいう。完全セルが1種類の形状のセルである場合には、上記完全セルよりも小さい断面積を有するセルを不完全セルという。また、完全セルがセル断面積の異なる2種類以上のセルを組み合わせたパターンの繰り返しとなっている外方ハニカム焼成体においては、例えば、相対的にセル断面積の大きい形状のセルよりも小さいセル断面積を有するセル、又は、相対的にセル断面積の小さい形状のセルより小さい断面積を有するセルを不完全セルという。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示した内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【図5】図5は、図4(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体の直線部近傍を模式的に示す側面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。図8(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。図9(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図12】図12は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図13】図13(a)及び図13(b)は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体を把持する方法の一例を模式的に示す側面図である。
【図17】図17(a)及び図17(b)は、本発明の他の実施形態に係るハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図18】図18(a)及び図18(b)は、異なる形状を有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなる従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のうち、ハニカム構造体の最外周に位置するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
以下の説明において、外方ハニカム焼成体と内方ハニカム焼成体とを特に区別する必要がない場合、単にハニカム焼成体と表記する。また、外周セル及び内側セル、並びに、完全セル及び不完全セルを特に区別する必要がない場合、単にセルと表記することもある。
なお、本明細書において、単に、ハニカム構造体の断面、ハニカム焼成体の断面、又は、ハニカム成形体の断面と表記した場合、それぞれ、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面、又は、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面を指す。
また、本明細書において、単に、ハニカム焼成体の断面積と表記した場合、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の面積を指す。
【0032】
図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2は、図1に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。
図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示した内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。
図4(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【0033】
図1及び図2に示すハニカム構造体100では、図3(a)及び図3(b)に示すような形状の4個の内方ハニカム焼成体110と、図4(a)及び図4(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体120とが、接着材層101(101A〜101D)を介して結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にコート層102が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
【0034】
外方ハニカム焼成体120の外周壁には、後述するように、凸部と凹部とからなる段差が設けられているため、セラミックブロック103の外周面には、段差が設けられていることになる。そして、セラミックブロック103の外周に形成されているコート層102は、段差に設けられた凹部を充填するように形成されている。
【0035】
図2に示すように、ハニカム構造体100は、その断面において、外方ハニカム焼成体120を結束する接着材層101C、101Dのうち、1つの内方ハニカム焼成体110の角部からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Cと、2つの内方ハニカム焼成体110の間からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Dとが、所定の角度(例えば、45°)をなしている。
【0036】
図2に示すように、内方ハニカム焼成体110は、断面の形状が略四角形(略正方形)からなる略四角形ユニットである。
また、図2に示すように、外方ハニカム焼成体120は、断面の形状が、3つの線分120a、120b、120cと1つの略円弧120dとで囲まれる形状からなる略扇形ユニットである。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分120bと線分120cとが成す角、及び、線分120aと線分120bとが成す角)は、それぞれ90°と135°である。なお、略円弧120dは、ハニカム構造体100の外周の一部を構成する。また、略円弧の形状については後述する。
【0037】
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体、及び、外方ハニカム焼成体について説明する。
まず、内方ハニカム焼成体について説明する。
図3(a)及び図3(b)に示す内方ハニカム焼成体110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図3(a)中、矢印aの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁114a〜114dが形成されている。そして、セル111のいずれかの端部は、封止材112で封止されている。
【0038】
従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図3(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。排ガスGがセル壁113を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル壁113は、フィルタとして機能する。
【0039】
内方ハニカム焼成体110のセル111の長手方向に垂直な断面の形状は、すべて略四角形(略正方形)であるとともに、セル111の断面積は、互いに等しい。また、セル111が規則正しく並ぶようにセル111が形成されている。
【0040】
次に、外方ハニカム焼成体について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120においても、内方ハニカム焼成体と同様、多数のセル121、127a〜127dが、セル壁123を隔てて長手方向(図4(a)中、矢印bの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁124a〜124dが形成されている。そして、セル121、127a〜127dのいずれかの端部は、封止材122で封止されている。
従って、例えば、一方の端面が開口したセル121に流入した排ガスは、必ずセル121を隔てるセル壁123を通過した後、他方の端面が開口した他のセル121から流出するようになっており、セル壁123は、フィルタとして機能する。すなわち、外方ハニカム焼成体120は、外観形状が内方ハニカム焼成体110と異なるものの、そのフィルタ機能は内方ハニカム焼成体110と同一である。
【0041】
外方ハニカム焼成体120において、セル121、127a〜127dは、外周壁124a〜124dに接する外周セル127a〜127dと、外周セル127a〜127dより内側に位置する内側セル121とからなる。
【0042】
内側セル121は、基本形成パターンとして格子状に形成されている。それぞれの内側セル121の断面形状は、略四角形(略正方形)であるとともに、断面積は、互いに等しい。このように、内側セル121は、基本形成パターンに基づいて形成されているため、すべて完全セルとなっている。
【0043】
外周セル127a〜127dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周壁124aに接する外周セル127aは、内側セル121と同じ断面形状を有している。また、外周壁124bに接する外周セル127b、及び、外周壁124cに接する外周セル127cも、内側セル121と同じ断面形状を有している。
つまり、外周セル127a〜127cは、完全セルである。これは、内側セル121が、その基本形成パターンを維持したまま外周壁124a〜124cに接することで、内側セル121が、そのまま外周セル127a〜127cになったと考えることができるためである。
一方、外周壁124dに接する外周セル127dは、断面の形状が、完全セルである内側セル121とは異なる不完全セルである。
上述したように、基本形成パターンに基づいて形成されていないセル、すなわち、基本形成パターンである内側セルの略四角形(略正方形)よりも長手方向に垂直な断面の大きさが小さいセルを不完全セルということとする。
【0044】
前述したように、外方ハニカム焼成体の外周のうち、ハニカム構造体の外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面の形状は、略円弧状となっている。
具体的には、外方ハニカム焼成体の外周のうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120では、外周120a〜120dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周120dの断面が、曲線部125a、125bと直線部126とを含む例を示している。
【0045】
まず、外方ハニカム焼成体の直線部について説明する。
本実施形態において、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、直線部126は、外周120dの一部であり、連続する6個のセル121に接する外周壁124aにより形成されている。また、直線部126は、セラミックブロックの外周を構成する外周120dの端部に設けられている。
また、外方ハニカム焼成体120の外周120dの一部を構成する直線部126は、対向する外周120bに平行である。図2に示したように、外方ハニカム焼成体120は、外周120bの部分において、接着材層101Bを介して内方ハニカム焼成体110と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体120の直線部126は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0046】
なお、本明細書において、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体の外周の断面形状が、完全な直線のみからなる厳密な形状であることを意味するものではなく、直線と実質的に同視し得る形状を包含する。また、本明細書において、「平行」とは、数学的に厳密な関係を意味するものではなく、「平行」と実質的に同視し得る関係を包含する。
【0047】
本実施形態において、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmが望ましい。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜10個のセルの長さと略同一であることが望ましい。
本明細書においては、セルの長さを以下のように定義する。
図5は、図4(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体の直線部近傍を模式的に示す側面図である。
セル121aの長さとは、セル121aとセル121bとを隔てるセル壁123aにおいて、その厚さの2等分線から、セル121aとセル123cとを隔てるセル壁123bにおいて、その厚さの2等分線までの距離(図5中、矢印Xで示す長さ)を指すこととする。
【0048】
次に、外方ハニカム焼成体の曲線部について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、外周壁124aは、外周セル127aの位置に対応して、凸部125aと凹部125bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部125a及び凹部125bの断面の形状は、凸部125a及び凹部125bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体120では、面取りが施された部分、すなわち、凸部125a及び凹部125bが外方ハニカム焼成体120の曲線部である。
面取りの断面形状としては、断面形状が曲線により構成されるR面取り(曲線の角部)が望ましい。
また、R面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmであることが望ましい。R面取りの曲率半径がこの範囲にあると、外方ハニカム焼成体が治具等と接触することにより発生する欠け等の破損が発生しにくく、外方ハニカム焼成体のセル壁の強度も向上しやすいからである。
なお、R面取りの曲率半径とは、R面取りにおける円弧の半径を意味する。
【0049】
なお、図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120において、曲線部である凸部125a及び凹部126bを角部と考えることもできる。その場合、ハニカム構造体の外周に、角部が形成されているということができる。そして、角部以外の外周壁124aの厚さ(角部以外のハニカム構造体の外周壁の厚さ)は、外周壁124aの全体に渡って略同じである。さらに、角部以外の外周壁124aの厚さは、セル壁123及び他の外周壁124b〜124dの厚さと略同じである。
【0050】
本明細書において、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凸部に面取りが施されているとは、凸部の断面形状が、突出した外周壁の角部が削られた形状になっていることをいう。
一方、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凹部に面取りが施されているとは、凹部の断面形状が、外周壁の陥入した角部が擬似的に面取りを施された形状と同じ形状になるように、外周壁の角部が充填されたような形状になっていることをいう。例えば、外方ハニカム焼成体の外周壁の陥入した角部が擬似的にR面取り(曲線の角部)を施された形状と同じ形状になっていれば、凹部にR面取り(曲線の角部)が施されているという。
【0051】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図4(a)及び図4(b)に示したような、凸部及び凹部に限定されない。例えば、以下のような形状であってもよい。
図6(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
図6(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体130においても、図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120と同様、多数のセル131、137a〜137dが、セル壁133を隔てて長手方向(図6(a)中、矢印cの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁134a〜134dが形成されている。
セル131、137a〜137dのうち、セル131は内側セルであり、137a〜137dは外周セルである。
また、内側セル131は、すべて完全セルとなっている。
そして、外周セル137a〜137dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁134aに接する外周セル137aは、内側セル131と同じ断面形状を有している。
【0052】
また、外方ハニカム焼成体130においては、外周130a〜130dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周130dの断面に、直線部136が存在する。外方ハニカム焼成体130の直線部136は、外周130dの一部であり、連続する6個のセル131に接する外周壁134aにより形成されている。また、外周130dの一部を構成する直線部136は、対向する外周130bに平行である。従って、外方ハニカム焼成体130の直線部136は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0053】
一方、外方ハニカム焼成体130では、図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120と異なり、外方ハニカム焼成体120において凹部125bであった部分が完全に充填されて、曲線部135となっている。
従って、図6(a)及び(b)に示す外方ハニカム焼成体130においては、外方ハニカム焼成体130の外周130a〜130dのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周130dの断面が、曲線部135と直線部136とからなる。
【0054】
本実施形態において、曲線部は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の少なくとも1箇所に設けられていればよく、直線部の位置も限定されない。
図4(a)及び図4(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、凸部125a及び凹部125bのすべてに面取りを施すことにより曲線部が設けられているが、凸部及び/又は凹部の少なくとも1箇所に面取りが施されていればよく、また、面取りの位置も限定されない。しかし、面取りが施されている箇所はなるべく多い方が望ましく、段差を構成する凸部及び凹部のすべての箇所について面取りが施されていることがより望ましい。
また、図6(a)及び図6(b)に示す外方ハニカム焼成体130では、凹部が完全に充填されているが、例えば、凹部の一部が充填されることにより、外周壁の一部に段差が設けられていてもよい。
このように、本実施形態においては、外方ハニカム焼成体において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の前記長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる限り、セラミックブロックの外周を構成する外周の断面形状は、特に限定されない。
また、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の前記長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる外方ハニカム焼成体は、ハニカム構造体を構成する少なくとも1つの外方ハニカム焼成体であればよいが、すべての外方ハニカム焼成体であることが望ましい。
【0055】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
セルの内壁に形成された角部(以下、単に「セルの角部」ともいう)に面取りが施されているとは、セルの断面形状が、セルの角部が擬似的に面取りを施された形状と同じ形状になるように、セルの角部が充填されたような形状になっていることをいう。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、C面取りされた形状(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0056】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0057】
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、
セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作成する成形工程と、
上記ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する焼成工程と、
複数の上記ハニカム焼成体を接着材層を介して接着させてセラミックブロックを作製する結束工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
上記ハニカム焼成体として、外方ハニカム焼成体と内方ハニカム焼成体を作製し、
上記成形工程及び上記焼成工程において、外方ハニカム焼成体は、少なくとも第1の外周と第2の外周とを有し、
上記外方ハニカム焼成体の第1の外周の上記長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含み、
上記外方ハニカム焼成体の直線部が、対向する上記外方ハニカム焼成体の第2の外周と平行であり、上記外方ハニカム焼成体の直線部の長さが、5〜20mmとなるように作製し、
上記結束工程において、上記外方ハニカム焼成体を、上記外方ハニカム焼成体の直線部と上記外方ハニカム焼成体の第2の外周とを把持することにより、上記内方ハニカム焼成体の周囲に上記外方ハニカム焼成体が位置するように、かつ、上記外方ハニカム焼成体の直線部が上記セラミックブロックの最外周になるように配置することを特徴とする。
【0058】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法を工程順に説明する。なお、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明する。
(1)セラミック原料を成形することによりハニカム成形体を作成する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末としての平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用のセラミック原料(湿潤混合物)を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
【0059】
ここで、断面が略四角形(略正方形)のハニカム成形体(内方ハニカム焼成体となるハニカム成形体)や、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状のハニカム成形体(外方ハニカム焼成体となるハニカム成形体)を作製するためには、それぞれの形状に応じた押出成形用金型を使用する。
以下の工程で、ハニカム成形体というときは、これら2種のハニカム成形体を区別せずに指すものとする。
【0060】
(2)次に、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
【0061】
(3)その後、ハニカム成形体を脱脂炉中で加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去し、焼成炉に搬送し、焼成工程を行うことにより、図3(a)及び図3(b)に示したような内方ハニカム焼成体、及び、図4(a)及び図4(b)に示したような外方ハニカム焼成体を作製する。
また、切断工程、乾燥工程、封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0062】
(4)続いて、各セルの所定の端部が封止された内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返して所定数のハニカム焼成体が結束されたセラミックブロックを作製する結束工程を行う。
ここで、接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0063】
この結束工程においては、中央部に内方ハニカム焼成体を配置し、その周囲に外方ハニカム焼成体を配置して、図1及び図2に示したようなセラミックブロックを作製する。
また、外方ハニカム焼成体を、外周に設けられた直線部がセラミックブロックの最外周になるように配置する。
この際、外方ハニカム焼成体の外周に設けられた直線部において、外方ハニカム焼成体の側面を把持する。
【0064】
(5)その後、略円柱状としたセラミックブロックの外周面に、コート材ペーストを塗布し、乾燥、固化してコート層を形成するコート層形成工程を行う。
セラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布する際には、外方ハニカム焼成体に設けられた凹部を充填するようにコート材ペーストを塗布する。
ここで、コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、コート材ペーストして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程によって、本実施形態のハニカム構造体を製造することができる。
【0065】
以下、本実施形態のハニカム構造体の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の断面に、直線部が存在する。そして、上記直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。
そのため、複数個の外方ハニカム焼成体を結束させる際、外方ハニカム焼成体の外周に設けられた直線部において外方ハニカム焼成体の側面を容易に把持することができる。従って、外方ハニカム焼成体を把持した部分で発生する欠け若しくはクラック、又は、外方ハニカム焼成体が治具等と接触することにより発生する欠け若しくはクラック等の不良を防止することができる。その結果、ハニカム構造体の不良が低減するため、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0066】
(2)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
そのため、外方ハニカム焼成体の直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができる。
【0067】
(3)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下の上記セルに接する外周壁により形成されている。
外方ハニカム焼成体の直線部が、連続する5個以上10個以下のセルに接する外周壁により形成されていると、充分な長さの直線部を確保することができる。そのため、当該直線部において外方ハニカム焼成体を好適に把持することができる。
【0068】
(4)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の直線部は、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置している。
外方ハニカム焼成体の直線部が、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置していると、外方ハニカム焼成体を容易に把持することができる。
【0069】
(5)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の断面に、曲線部が存在する。
外方ハニカム焼成体の外周断面が、直線部のみで構成されているとすると、外方ハニカム焼成体の外周には、凸部と凹部とからなる段差が多く存在することとなる。その場合、段差が設けられた外方ハニカム焼成体を把持する際、又は、治具等を用いて外方ハニカム焼成体を搬送する際等に、段差の凸部が欠けたり、段差の凹部にクラックが入ったりする等の不良が発生しやすいという問題がある。
一方、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在するハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の断面に曲線部が存在しないハニカム構造体に比べて、段差の凸部に発生する欠け、及び、段差の凹部に発生するクラック等の不良を抑えることができる。
【0070】
(6)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体において、セルが、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が内側セルと同じである。
外方ハニカム焼成体が有するセルの断面形状がすべて同じであると、封止材ペーストを容易に充填することができる。その結果、封止材ペーストの充填不良が低減するため、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0071】
(7)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周には、凸部と凹部とからなる角部が形成されており、外方ハニカム焼成体の外周壁のうち、角部以外の外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、略同じである。
言い換えると、ハニカム構造体の外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さが、ハニカム構造体の外周に形成されている角部以外の当該外周壁の厚さと略同じである。このような形状を有するハニカム焼成体を作製する場合、押出成形時においてハニカム成形体のセル壁が変形することを防ぐことができるため、セル壁の歪みのないハニカム構造体を製造することができる。その結果、ハニカム成形体の成形不良を低減することができ、ハニカム構造体の製造効率を向上させることができる。
【0072】
(8)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分とセラミックブロックの外周の一部を構成する外周とからなる断面略扇形の形状であり、内方ハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である。
上記形状を有する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体を用いると、従来のハニカム構造体を製造する場合よりも少ない数のハニカム焼成体でハニカム構造体を製造することができる。従って、所定の形状を有するハニカム構造体を容易に製造することができるため、ハニカム構造体の製造効率をより向上させることができ、ハニカム構造体の製造コストの低減につながる。
【0073】
(実施例1)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
(1)平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図3(a)及び図3(b)に示した内方ハニカム焼成体110と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体と、図4(a)及び図4(b)に示した外方ハニカム焼成体120と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体とを作製した。
【0075】
(2)次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0076】
(3)セルの封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、内方ハニカム焼成体と外方ハニカム焼成体とを作製した。
内方ハニカム焼成体は、多孔質炭化ケイ素焼結体からなり、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.5mm×34.5mm×150mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm2(300個/inch2)、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)、セルの長さ(図5中、矢印Xで示す長さ)が1.42mmである。
外方ハニカム焼成体も、多孔質炭化ケイ素焼結体からなり、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの長さは、内方ハニカム焼成体と同一である。また、外方ハニカム焼成体は、断面が3つの線分と1つの円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角が、それぞれ90°と135°である形状(図2で示した線分120a=20.8mm、線分120b=35.0mm、線分120c=35.7mm)を有している。外方ハニカム焼成体の円弧120dは、曲線部と直線部を有している。外方ハニカム焼成体の曲線部は、凸部及び凹部とからなる。凸部及び凹部には、R面取り(曲線の角部)が施されており、R面取りの曲率半径は、0.5mmである。また、外方ハニカム焼成体の直線部は、対向する線分120bと平行であり、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、8.52mmである。
【0077】
(4)内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の所定の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して内方ハニカム焼成体を4個と、外方ハニカム焼成体を8個とを図1に示した配置になるように接着させることにより、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
さらに、ハニカム焼成体の集合体を180℃、20分で接着材ペーストを乾燥固化させることにより、接着材層の厚さが1mmで円柱状のセラミックブロックを作製した。
ここで、接着材ペーストとしては、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子30.0重量%、シリカゾル(固形分30重量%)21.4重量%、カルボキシメチルセルロース8.0重量%、及び、水40.6重量%からなる接着材ペーストを使用した。
【0078】
(5)上記(4)の工程で使用した接着材ペーストと同じ組成のコート材ペーストを用いて、セラミックブロックの外周部にコート材ペースト層を形成した。この際、外方ハニカム焼成体に設けられた凹部を充填するようにコート材ペーストを塗布した。
その後、このコート材ペースト層を120℃で乾燥固化して、外周にコート層が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体を製造した。
【0079】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体と同様の外形形状を有する。また、セラミックブロック(ハニカム構造体)を構成する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体の組み合わせ方も、本発明の第一実施形態と同様である。
本発明の第一実施形態では、外方ハニカム焼成体において、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルと、内側セルとは、同一の断面形状を有しているのに対し、本実施形態では、外方ハニカム焼成体において、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルが、内側セルと異なる断面形状を有する不完全セルを含んでいる。
【0080】
以下、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体について説明する。
図7(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示した外方ハニカム焼成体の側面図である。
【0081】
図7(a)及び図7(b)に示す外方ハニカム焼成体220には、多数のセル221、227a〜227eが、セル壁223を隔てて長手方向(図7(a)中、矢印dの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁224a〜224dが形成されている。そして、セル221、227a〜227eのいずれかの端部は、封止材222で封止されている。
従って、例えば、一方の端面が開口したセル221に流入した排ガスは、必ずセル221を隔てるセル壁223を通過した後、他方の端面が開口した他のセル221から流出するようになっており、セル壁223は、フィルタとして機能する。
【0082】
外方ハニカム焼成体220において、セル221、227a〜227eは、外周壁224a〜224dに接する外周セル227a〜227eと、外周セル227a〜227eより内側に位置する内側セル221とからなる。
【0083】
外方ハニカム焼成体220の内側セル221は、基本形成パターンとして格子状に形成されている。それぞれの内側セル221の断面形状は、略四角形(略正方形)であるとともに、断面積は、互いに等しい。すなわち、内側セル221は、すべて完全セルとなっている。
【0084】
外方ハニカム焼成体220の外周セル227a〜227eのうち、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周壁224aに接する外周セル227aは、断面形状が内側セル221と同じであり、ハニカム構造体(セラミックブロック)の外周を構成する外周壁224aに接する外周セル227eは、断面形状が内側セル221と異なる。つまり、外周セル227aは完全セルであり、外周セル227eは、不完全セルである。
【0085】
本発明の第一実施形態と同様に、外周壁224bに接する外周セル227b、及び、外周壁224cに接する外周セル227cは、内側セル221と同じ断面形状を有している。つまり、外周セル227b及び227cは、完全セルである。
また、外周壁224dに接する外周セル227dは、断面の形状が、完全セルである内側セル221とは異なる不完全セルである。
【0086】
このように、本実施形態では、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、完全セルの他に、断面の形状が完全セルと異なる不完全セルを含んでいる。
そして、外周セルについて、不完全セルを除いた外周セルの断面形状は、内側セルと同様、略四角形(略正方形)であるとともに、断面積は、互いに等しい。
【0087】
本実施形態において、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、少なくとも1つの不完全セルを含んでいればよく、不完全セルの個数は特に限定されない。すなわち、不完全セルは、外方ハニカム焼成体の外周壁の形状、及び、外周壁により規定される外周セルの形状を考慮して設ければよい。
【0088】
不完全セルの断面積は、特に限定されないが、不完全セルの断面積は、封止材ペーストを充填しやすく、封止不良が発生しない所定の大きさとすればよい。
具体的には、不完全セルは、セルの長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることが望ましく、セルの長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルであることがより望ましい。
このような場合、封止材ペーストをセルに充填しやすく、封止材ペーストの漏れ及びはみ出しが発生しにくく、良好に不完全セルを封止することができ、封止不良が発生しにくくなる。
【0089】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図7(a)及び図7(b)に示した外方ハニカム焼成体220では、外周220a〜220dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周220dの断面が、曲線部225a、225bと直線部226とを含む例を示している。
【0090】
外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図7(a)及び図7(b)に示す外方ハニカム焼成体220において、直線部226は、外周220dの一部であり、連続する6個のセル221に接する外周壁224aにより形成されている。
また、外周220dの一部を構成する直線部226は、対向する外周220bに平行である。従って、外方ハニカム焼成体220の直線部226は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0091】
外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図7(a)及び図7(b)に示す外方ハニカム焼成体220では、外周壁224aは、外周セル227a、227eの位置に対応して、凸部225aと凹部225bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部225a及び凹部225bの断面の形状は、凸部225a及び凹部225bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体220では、面取りが施された部分、すなわち、凸部225a及び凹部225bが曲線部である。
【0092】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周壁の一部に段差が設けられていてもよい。
【0093】
次に、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体について説明する。
内方ハニカム焼成体は、本発明の第一実施形態で説明した内方ハニカム焼成体と同様である。
内方ハニカム焼成体に設けられたセルは、すべて完全セルとなっている。
【0094】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0095】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0096】
本実施形態では、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(5)、(7)及び(8)を発揮することができるとともに、以下の効果を発揮することができる。
(9)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体において、セルは、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、外周セルのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が内側セルと異なる不完全セルを含む。
ハニカム構造体が不完全セルを含んでいると、ハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用した場合、最大数のセルを配置することができるため、PMを捕集することができるろ過面積を向上させることができる。そのため、圧力損失の低いハニカム構造体とすることができる。
【0097】
(第三実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第三実施形態について説明する。
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体と同様の外形形状を有する。また、セラミックブロック(ハニカム構造体)を構成する外方ハニカム焼成体及び内方ハニカム焼成体の組み合わせ方も、本発明の第二実施形態と同様である。
本実施形態では、外方ハニカム焼成体の不完全セルを除いた外周セル、及び、外方ハニカム焼成体の内側セル、並びに、内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
【0098】
図8(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。図8(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【0099】
まず、内方ハニカム焼成体について説明する。
図8(a)に示す内方ハニカム焼成体310には、セル311a、311bがセル壁313を隔てて並設されるとともに、その周囲に外周壁314a〜314dが形成されている。セル311a、311bは、大容量セル311aと、小容量セル311bとからなり、大容量セル311aの断面積(長手方向に垂直な断面の面積)は、小容量セル311bの断面積よりも大きくなっている。そして、大容量セル311aと小容量セル311bとは、交互に配設されている。
図8(a)において、大容量セル311aは、その断面形状が略八角形であり、小容量セル311bは、その断面形状が略四角形である。このように、セル311a、311bは、基本形成パターンに基づいて形成されているため、完全セルであるということができる。
【0100】
大容量セル311aは、内方ハニカム焼成体310の第一の端面側の端部が開放され、第二の端面側の端部で封止材(図示せず)により封止されている。一方、小容量セル311bは、内方ハニカム焼成体310の第一の端面側の端部で封止材312により封止され、第二の端面側の端部が開放されている。
従って、例えば、大容量セル311aに流入した排ガスは、必ず、大容量セル311aと小容量セル311bとを隔てるセル壁313を通過した後、小容量セル311bから流出するようになっており、セル壁313は、フィルタとして機能する。
【0101】
次に、外方ハニカム焼成体について説明する。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320においても、内方ハニカム焼成体と同様、セル321a、321b、327a〜327eがセル壁323を隔てて並設されるとともに、その周囲に外周壁324a〜324dが形成されている。
【0102】
外方ハニカム焼成体320において、セル321a、321b、327a〜327eは、外周壁324a〜324dに接する外周セル327a〜327eと、外周セル327a〜327eより内側に位置する内側セル321a、321bとからなる。
【0103】
外方ハニカム焼成体320の内側セル321a、321bは、内方ハニカム焼成体310に設けられたセル311a、311bと同様、完全セルである。すなわち、完全セルである内側セル321a、321bは、大容量セル321aと、小容量セル321bとからなり、大容量セル321aの断面積(長手方向に垂直な断面の面積)は、小容量セル321bの断面積よりも大きくなっている。
そして、大容量セル321aは、外方ハニカム焼成体320の第一の端面側の端部が開放され、第二の端面側の端部で封止材(図示せず)により封止されている。一方、小容量セル321bは、外方ハニカム焼成体320の第一の端面側の端部で封止材322により封止され、第二の端面側の端部が開放されている。
従って、例えば、大容量セル321aに流入した排ガスは、必ず、大容量セル321aと小容量セル321bとを隔てるセル壁323を通過した後、小容量セル321bから流出するようになっており、セル壁323は、フィルタとして機能する。
【0104】
外方ハニカム焼成体320の外周セル327a〜327eのうち、外周壁324aに接する外周セル327a、外周壁324bに接する外周セル327b、及び、外周壁324cに接する外周セル327cは、外方ハニカム焼成体320の内側セルである大容量セル321aと同じ断面形状を有している。つまり、外方ハニカム焼成体320の外周セル327a、327b及び327cは、完全セルである。
一方、外方ハニカム焼成体320の外周セル327a〜327eのうち、外周壁324dに接する外周セル327d、及び、外周壁324aに接する外周セル327eは、断面の形状が、外方ハニカム焼成体320の内側セルであって、かつ、完全セルである大容量セル321aとは異なる。すなわち、外方ハニカム焼成体320の外周セル327d、327eは、断面の形状が完全セルと異なる不完全セルである。
すなわち、図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320においては、外周セルは、完全セルの他に、断面の形状が完全セルと異なる不完全セルを含んでいる。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320においては、不完全セルを除いた外周セルは、内側セルと同様、大容量セルと小容量セルとからなる。
【0105】
なお、本実施形態においては、外周セルは、不完全セルを含んでいなくてもよい。その場合、本実施形態は、本発明の第一実施形態のセル形状として、断面積に大小関係のあるセルを採用した形態であるともいえる。
【0106】
大容量セル及び小容量セルの断面形状としては、大容量セルの断面積が小容量セルの断面積より大きくなっていればよい。そのため、大容量セル及び小容量セルの断面形状は、それぞれ略八角形及び略四角形である形状に限定されず、任意の断面形状を採用することができる。例えば、以下のような形状であってもよい。
図9(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。図9(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例を模式的に示す側面図である。
図9(a)に示す内方ハニカム焼成体330、及び、図9(b)に示す外方ハニカム焼成体340では、大容量セルの断面形状が略四角形(略正方形)であり、小容量セルの断面形状が略四角形(略正方形)である。
【0107】
なお、大容量セル及び小容量セルの断面形状は、直角部があってもよいし、直角部に相当する箇所が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0108】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図8(b)に示した外方ハニカム焼成体320では、外周320a〜320dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周320dの断面が、曲線部325a、325bと直線部326とを含む例を示している。同様に、図9(b)に示した外方ハニカム焼成体340では、外周340a〜340dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周340dの断面が、曲線部345a、345bと直線部346とを含む例を示している。
【0109】
外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320において、直線部326は、外周320dの一部であり、対向する外周320bに平行である。従って、外方ハニカム焼成体320の直線部326は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。図9(b)に示す外方ハニカム焼成体340においても同様である。
【0110】
外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図8(b)に示す外方ハニカム焼成体320では、外周セル327a、327eの位置に対応して、凸部325aと凹部325bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部325a及び凹部325bの断面の形状は、凸部325a及び凹部325bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体320では、面取りが施された部分、すなわち、凸部325a及び凹部325bが曲線部である。図9(b)に示す外方ハニカム焼成体340においても同様である。
【0111】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周部の一部に段差が設けられていてもよい。
【0112】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0113】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0114】
本実施形態においても、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(5)、(7)及び(8)、並びに、本発明の第二実施形態において説明した効果(9)を発揮することができるとともに、以下の効果を発揮することができる。
(10)本実施形態のハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の不完全セルを除いた外周セル、外方ハニカム焼成体の内側セル、及び、内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
このようなハニカム構造体では、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0115】
(第四実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第四実施形態について説明する。
本実施形態では、内方ハニカム焼成体の外形形状は、本発明の第一実施形態〜第三実施形態と同様であるが、外方ハニカム焼成体の外形形状が、本発明の第一実施形態〜第三実施形態と異なる。
具体的には、本実施形態では、ハニカム焼成体の組み合わせ構造が、本発明の第一実施形態〜第三実施形態と異なる。すなわち、内方ハニカム焼成体として、略四角形(略正方形)の断面形状を有するハニカム焼成体を用い、外方ハニカム焼成体として、断面形状の異なる複数種類の所定形状のハニカム焼成体を用いる。そして、内方ハニカム焼成体と複数種類の外方ハニカム焼成体とを接着材層を介して組み立てることにより、所定形状(例えば、断面略円形等)のセラミックブロックを形成することができる。
【0116】
図10は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図11(a)及び図11(b)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【0117】
図10に示すハニカム構造体400では、図11(a)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体420及び図11(b)に示すような形状の4個の外方ハニカム焼成体430と、その内側に配置された4個の内方ハニカム焼成体410とが、接着材層401A〜401Dを介して結束されてセラミックブロック403を構成し、さらに、このセラミックブロック403の外周にコート層402が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
図11(a)及び図11(b)に示す形状は、3つの直線と、直線部と階段状を組み合わせた残りの一辺とからなる形状であり、図11(a)に示す形状と図11(b)に示す形状とでは、直線と階段状の組み合わせ方が異なる。
【0118】
図10に示すように、内方ハニカム焼成体410の断面の形状は、略四角形(略正方形)である。
また、図10に示すように、外方ハニカム焼成体420の断面は、3つの線分420a、420b、420cと1つの略円弧420dとで囲まれた形状をなしている。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分420bと線分420cとが成す角、及び、線分420aと線分420bとが成す角)は、どちらも90°である。
さらに、別の外方ハニカム焼成体430の断面は、2つの線分430a、430bと1つの略円弧430cとで囲まれた形状をなしている。この2つの線分よりなる角(線分430aと線分430bとが成す角)は、90°である。
また、ハニカム焼成体410、420、430は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが望ましい。
【0119】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図11(a)に示した外方ハニカム焼成体420では、外周420a〜420dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周420dの断面が、曲線部425a、425bと直線部426とを含む例を示している。
また、図11(b)に示した外方ハニカム焼成体430では、外周430a〜430cのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周430cの断面が、曲線部435a、435bと直線部436a、436bとを含む例を示している。
【0120】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図11(a)に示す外方ハニカム焼成体420において、直線部426は、外周420dの一部であり、対向する外周420bに平行である。図10に示したように、外方ハニカム焼成体420は、外周420bの部分において、接着材層401Bを介して内方ハニカム焼成体410と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体420の直線部426は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
一方、図11(b)に示す外方ハニカム焼成体430において、直線部436aは、外周430cの一部であり、対向する外周430bに平行である。また、直線部436bは、外周430cの一部であり、対向する外周430aに平行である。図10に示したように、外方ハニカム焼成体430は、外周430bの部分において、接着材層401Cを介して外方ハニカム焼成体420と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体430の直線部426は、外方ハニカム焼成体同士の間の接着材層に平行であるといえる。
なお、図11(b)に示した外方ハニカム焼成体430では、2箇所の直線部436a及び436bが設けられているが、外方ハニカム焼成体の直線部は、1箇所のみに設けられていてもよい。
【0121】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図11(a)に示す外方ハニカム焼成体420では、外周壁424aは、外周セル427aの位置に対応して、凸部425aと凹部425bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部425a及び凹部425bの断面の形状は、凸部425a及び凹部425bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体420では、面取りが施された部分、すなわち、凸部425a及び凹部425bが曲線部である。
同様に、図11(b)に示す外方ハニカム焼成体430では、凸部435a及び凹部435bが曲線部である。
【0122】
なお、外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周部の一部に段差が設けられていてもよい。
また、図11(a)に示した外方ハニカム焼成体420において、外周420dには、直線部426が設けられていなくてもよい。直線部が設けられていなくても、外周420aと外周420cとは、平行である。そのため、ハニカム構造体を製造するために、外方ハニカム焼成体420を結束させる際、外周420a及び外周420cにおいて外方ハニカム焼成体420を把持することができる。
【0123】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体に設けられているセルの断面形状としては、本発明の第一実施形態及び第二実施形態のように、すべて略四角形(略正方形)であるとともに、セルの断面積が互いに等しい形状でもよいし、本発明の第三実施形態のように、大容量セルと小容量セルとからなる形状でもよい。
【0124】
なお、図11(a)に示す外方ハニカム焼成体420、及び、図11(b)に示す外方ハニカム焼成体430においては、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルの断面形状と、内側セルの断面形状とは同一である。しかし、本実施形態においては、本発明の第二実施形態のように、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルが不完全セルを含んでいてもよい。
【0125】
本実施形態に係る内方ハニカム焼成体は、外方ハニカム焼成体の構成に対応して、本発明の第一実施形態〜第三実施形態で説明した内方ハニカム焼成体と同様のものであればよい。
【0126】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0127】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点、及び、結束工程を行う際に、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体を所定の位置に結束する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0128】
本実施形態においても、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(8)を発揮することができる。
【0129】
(第五実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第五実施形態について説明する。
本実施形態では、内方ハニカム焼成体の外形形状は、本発明の第一実施形態〜第四実施形態と同様であるが、外方ハニカム焼成体の外形形状が、本発明の第一実施形態〜第四実施形態と異なる。
本実施形態では、内方ハニカム焼成体として、略四角形(略正方形)の断面形状を有するハニカム焼成体を用い、外方ハニカム焼成体として、断面形状の異なる複数種類の所定形状のハニカム焼成体を用いる点は、本発明の第四実施形態と同様であるが、ハニカム焼成体の組み合わせ構造が、本発明の第一実施形態〜第四実施形態と異なる。
具体的には、本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム構造体の個数が、本発明の第一実施形態〜第四実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム構造体の個数よりも多い。
【0130】
図12は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図13(a)及び図13(b)は、本発明の第五実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
【0131】
図12に示すハニカム構造体500では、図13(a)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体520及び図13(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体530と、その内側に配置された9個の内方ハニカム焼成体510とが複数個ずつ接着材層501、501A〜501Dを介して結束されてセラミックブロック503を構成し、さらに、このセラミックブロック503の外周にコート層502が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
図13(a)に示す形状は、3つの直線と、直線部と階段状を組み合わせた残りの一辺とからなる形状である。図13(b)に示す形状は、3つの直線と円弧からなる扇状形状であり、円弧の部分が直線部と階段状を組み合わせた形状となっている。
【0132】
図12に示すように、内方ハニカム焼成体510の断面の形状は、略四角形(略正方形)である。
また、図12に示すように、外方ハニカム焼成体520の断面は、3つの線分520a、520b、520cと1つの略円弧520dとで囲まれた形状をなしている。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分520aと線分520bとが成す角、及び、線分520bと線分520cとが成す角)がともに90°である。
さらに別の外方ハニカム焼成体530の断面は、3つの線分530a、530b、530cと1つの略円弧530dとで囲まれた略扇形ユニットである。この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分530bと線分530cとが成す角、及び、線分530aと線分530bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。
また、ハニカム焼成体510、520、530は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが望ましい。
【0133】
本実施形態においても、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含んでいる。
図13(a)に示した外方ハニカム焼成体520では、外周520a〜520dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周520dの断面が、曲線部525a、525bと直線部526とを含む例を示している。
また、図13(b)に示した外方ハニカム焼成体530では、外周530a〜530dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周530dの断面が、曲線部535a、535bと直線部536とを含む例を示している。
【0134】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の直線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行である。また、外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmである。
図13(a)に示す外方ハニカム焼成体520において、直線部526は、外周520dの一部であり、対向する外周520bに平行である。図12に示したように、外方ハニカム焼成体520は、外周520bの部分において、接着材層501Bを介して内方ハニカム焼成体510と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体520の直線部526は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
一方、図13(b)に示す外方ハニカム焼成体530において、直線部536は、外周530dの一部であり、対向する外周530bに平行である。図12に示したように、外方ハニカム焼成体530は、外周530bの部分において、接着材層501Bを介して内方ハニカム焼成体510と結束されている。従って、外方ハニカム焼成体530の直線部536は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
【0135】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の曲線部の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
図13(a)に示す外方ハニカム焼成体520では、外周壁524aは、外周セル527aの位置に対応して、凸部525aと凹部525bとからなる段差が設けられた外周壁となっている。そして、凸部525a及び凹部525bの断面の形状は、凸部525a及び凹部525bに面取りが施された形状となっている。従って、外方ハニカム焼成体520では、面取りが施された部分、すなわち、凸部525a及び凹部525bが曲線部である。
同様に、図13(b)に示す外方ハニカム焼成体530では、凸部535a及び凹部535bが曲線部である。
【0136】
なお、本実施形態に係る外方ハニカム焼成体の曲線部としては、図6(a)及び図6(b)に示した外方ハニカム焼成体130のように、凹部が完全に充填されることにより曲線部が設けられていてもよい。また、凹部の一部が充填されることにより、外周部の一部に段差が設けられていてもよい。
また、図13(a)に示した外方ハニカム焼成体520において、外周520dには、直線部526が設けられていなくてもよい。直線部が設けられていなくても、外周520aと外周520cとは、平行である。そのため、ハニカム構造体を製造するために、外方ハニカム焼成体520を結束させる際、外周520a及び外周520cにおいて外方ハニカム焼成体520を把持することができる。
【0137】
本実施形態に係る外方ハニカム焼成体に設けられているセルの断面形状としては、本発明の第一実施形態及び第二実施形態のように、すべて略四角形(略正方形)であるとともに、セルの断面積が互いに等しい形状でもよいし、本発明の第三実施形態のように、大容量セルと小容量セルとからなる形状でもよい。
【0138】
なお、図13(a)に示す外方ハニカム焼成体520、及び、図13(b)に示す外方ハニカム焼成体530においては、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルの断面形状と、内側セルの断面形状とは同一である。しかし、本実施形態においては、本発明の第二実施形態のように、セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルが不完全セルを含んでいてもよい。
【0139】
本実施形態に係る内方ハニカム焼成体は、外方ハニカム焼成体の構成に対応して、本発明の第一実施形態〜第四実施形態で説明した内方ハニカム焼成体と同様のものであればよい。
【0140】
本実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体において、セルの内壁には、角部が形成されており、上記角部には、面取りが施されていてもよい。
例えば、本実施形態では、セルの角部が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、直線(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0141】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形に用いる金型の形状を変更して所定の形状を有するハニカム成形体を作製する点、及び、結束工程を行う際に、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体を所定の位置に結束する点以外は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム構造体を作製することができる。
【0142】
本実施形態においても、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)〜(8)を発揮することができる。
【0143】
(その他の実施形態)
本発明のハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の個数は、複数個に限定されず、1個であってもよい。
具体的には、ハニカム構造体の断面の形状が、図14に示したような内方ハニカム焼成体を1個含む形状であってもよい。
図14は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図14に示すハニカム構造体600の構成は、内方ハニカム焼成体の個数が異なる以外は、図1及び図2に示したハニカム構造体100と同一である。
即ち、図14に示したハニカム構造体600では、図2に示したハニカム構造体100の接着材層101Aを介して結束された4個の内方ハニカム焼成体110に代えて、1個の内方ハニカム焼成体610を備えている。
図14に示した内方ハニカム焼成体610は、図2に示した内方ハニカム焼成体110と比べて、断面積が大きいものの、その機能は同一である。図14に示した外方ハニカム焼成体620は、図2に示したハニカム構造体100を構成するハニカム焼成体120と同様である。
【0144】
本発明のハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の断面積は、900〜2500mm2であることが望ましい。
内方ハニカム焼成体の断面積が上記範囲にあると、ハニカム構造体をハニカムフィルタとして使用した際に、ハニカム構造体に再生処理等の高温に晒された際のハニカム焼成体の膨張及び収縮により、ハニカム焼成体にクラックが発生しにくくなるからである。
【0145】
本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体の直線部が設けられている位置は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に限定されない。
しかし、把持のしやすさの点からは、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に設けられていることが望ましい。
【0146】
本明細書において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部とは、隣接する外方ハニカム焼成体と接着材層を介して接する側の端部をいう。
【0147】
外方ハニカム焼成体の直線部が、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に設けられていない例を図15に示す。
図15は、本発明の他の実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の一例を模式的に示す側面図である。
なお、図15に示す外方ハニカム焼成体720は、第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の別の一例(図4(a)及び図4(b)に示したハニカム焼成体120の変形例)でもある。
図15に示す外方ハニカム焼成体720では、外周720a〜720dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周720dの断面が、曲線部725a、725bと直線部726とを含む例を示している。
外方ハニカム焼成体720において、外周720dの一部を構成する直線部726は、対向する外周720bに平行である。従って、直線部726は、内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体の間の接着材層に平行であるといえる。
外方ハニカム焼成体720の直線部726は、セラミックブロックの外周を構成する外周720dの端部に設けられていないが、直線部726及び外周720bにおいて外方ハニカム焼成体720を把持することができる。
このように、セラミックブロックの外周を構成する外周の端部以外に設けられている部分も、本発明の外方ハニカム焼成体の直線部となり得る。
【0148】
図16(a)及び図16(b)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体を把持する方法の一例を模式的に示す側面図である。
図16(a)では、図4(a)及び図4(b)に示したハニカム焼成体120を把持する方法を示し、図16(b)では、図15に示した外方ハニカム焼成体720を把持する方法を示している。
図16(a)に示すように、外方ハニカム焼成体120の直線部126が、外方ハニカム焼成体120の外周120a〜120dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周120dの端部に設けられている場合には、外方ハニカム焼成体120の直線部126と対向する外周120bとの間を把持部901a及び901bで挟むことにより、外方ハニカム焼成体120を把持することができる。
一方、図16(b)に示すように、外方ハニカム焼成体720の直線部726が、外方ハニカム焼成体720の外周720a〜720dのうち、セラミックブロックの外周を構成する外周720dの端部以外の箇所に設けられている場合には、外方ハニカム焼成体720の直線部726と対向する外周720bとの間を把持部902a及び902bで挟むことにより、外方ハニカム焼成体720を把持することができる。本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体720の直線部726を把持することができるように、把持部902aは、凸部910を有していることが望ましい。
なお、図16(a)及び図16(b)において、把持部901a、901b及び902bは、凸部を有していなくてもよいし、凸部を有していてもよい。
【0149】
また、本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体の直線部は、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の少なくとも1箇所に設けられていればよい。
【0150】
本発明のハニカム構造体において、外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下のセルに接する外周壁により形成されていることが望ましい。
【0151】
本発明においては、外方ハニカム焼成体において、外方ハニカム焼成体の外周のうち、セラミックブロックの外周を構成する外周の長手方向に垂直な断面が、曲線部と直線部とを少なくとも含み、外方ハニカム焼成体の直線部が、外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、直線部の長さが、5〜20mmである限り、外方ハニカム焼成体の形状は任意である。
【0152】
本発明のハニカム構造体において、完全セルが、大容量セルと小容量セルとからなるとき、大容量セル及び小容量セルの形態は、これまでの実施形態において説明した形態に限定されるものではない。
図17(a)及び図17(b)は、本発明の他の実施形態に係るハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図面は、いずれも内方ハニカム焼成体の一方の端面側、すなわち小容量セルが封止された端面側から見た側面図である。
これらの図17(a)及び図17(b)を参照しながら、大容量セル及び小容量セルの断面形状のその他の実施形態を説明する。
【0153】
図17(a)に示す内方ハニカム焼成体810においては、大容量セル811aの長手方向に垂直な断面の形状が、角部に相当する部分が円弧状になっている略四角形であり、小容量セル811bの長手方向に垂直な断面の形状が、略四角形である。
【0154】
図17(b)に示す内方ハニカム焼成体820において、大容量セル821a及び小容量セル821bの長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線により構成されている形状である。
すなわち、図17(b)では、実線で示しているセル壁823の断面形状が曲線である。
大容量セル821aの断面形状は、セル壁823がセルの断面の中心から外側に向かって凸の形状であり、一方、小容量セル821bの断面形状は、セル壁823がセルの断面の外側から中心に向かって凸の形状である。
セル壁823は内方ハニカム焼成体の断面の水平方向及び垂直方向に対して起伏する「波形」の形状を有しており、小容量セルにおいて隣り合うセル壁823の波形の山の部分(正弦曲線でいう振幅の極大値の部分)が互いに最近接することで、セルの断面形状が外側に膨らんだ大容量セル821aとセルの断面形状が内側に凹んだ小容量セル821bとが形成される。なお、波形の振幅は一定でもよくまた変化しても良いが、一定であることが好ましい。
【0155】
外方ハニカム焼成体においても、図17(a)又は図17(b)に示すような大容量セル及び小容量セルの断面形状を有していてもよい。なお、外方ハニカム焼成体の外周セルが、不完全セルを含む場合には、不完全セルを除いた外周セル、及び、内側セルが、図17(a)又は図17(b)に示すような大容量セル及び小容量セルの断面形状を有していればよい。
【0156】
本発明のハニカム構造体においては、外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さと同一であってもよいし、これらの厚さよりも大きくてもよい。
外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ(ハニカム構造体の外周壁の厚さ)が、外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい場合、外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、これらの厚さの1.3〜3.0倍であることが望ましい。
【0157】
本発明のハニカム構造体の形状は、略円柱状に限定されるものでなく、略楕円柱状、略多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0158】
本発明のハニカム構造体においては、セルの端部が封止されていなくてもよい。このようなハニカム構造体は、触媒担持体として使用することができる。
【0159】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム構造体をフィルタとして使用する場合には、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の気孔率は、特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカム焼成体がすぐに目詰まりを起こす。一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下するため、ハニカム焼成体が容易に破壊される。
【0160】
また、本発明のハニカム構造体において、ハニカム構造体をフィルタとして使用する場合には、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の平均気孔径は、5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、ハニカム焼成体が容易に目詰まりを起こす。一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートがハニカム焼成体の気孔を通り抜けてしまい、ハニカム焼成体がパティキュレートを捕集することができず、ハニカム構造体がフィルタとして機能することができない。
【0161】
なお、上記気孔率及び気孔径は、従来公知の水銀圧入法により測定することができる。
【0162】
本発明のハニカム焼成体の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/inch2)、望ましい上限は、93.0個/cm2(600個/inch2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/inch2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/inch2)である。
また、上記本発明におけるハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
【0163】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム焼成体の各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、略四角形、略五角形、略六角形、略台形、略八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。
【0164】
本発明のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の材料の主成分は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、コージェライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等のセラミック粉末が挙げられる。
【0165】
本発明のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を作製する際に用いられる湿潤混合物に含まれる有機バインダとしては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0166】
上記湿潤混合物に含まれる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記湿潤混合物に含まれる潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、上記湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0167】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0168】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0169】
上記接着材ペースト及び上記コート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
【0170】
上記接着材ペースト及び上記コート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0171】
上記接着材ペースト及び上記コート材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
【0172】
本発明のハニカム構造体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよい。担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0173】
本発明のハニカム構造体を製造する際の結束工程では、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
【符号の説明】
【0174】
100、400、500、600 ハニカム構造体
101、101A〜101D、401A〜401D、501、501A〜501D、601A〜601D 接着材層
102、402、502、602 コート層
103、403、503、603 セラミックブロック
110、120、130、220、310、320、330、340、410、420、430、510、520、530、610、620、720、810、820、1110、1120 ハニカム焼成体
111、121、121a〜121c、127a〜127d、131、137a〜137d、221、227a〜227e、311a、311b、321a、321b、327a〜327e、331a、331b、341a、341b、347a〜347e、421、427a〜427d、431、437a〜437c、521、527a〜527d、531、537a〜537d、721、727a〜727d、811a、811b、821a、821b、1111、1112、1121、1122 セル
113、123、123a、123b、133、223、313、323、333、343、423、433、523、533、723、823、1113、1123 セル壁
114a〜114d、124a〜124d、134a〜134d、224a〜224d、314a〜314d、324a〜324d、334a〜334d、344a〜344d、424a〜424d、434a〜434c、524a〜524d、534a〜534d、724a〜724d、1114、1115、1124、1125 外周壁
120a〜120d、130a〜130d、220a〜220d、320a〜320d、340a〜340d、420a〜420d、430a〜430c、520a〜520d、530a〜530d、720a〜720d、620a〜620d、720a〜720d 外周(外方ハニカム焼成体の外周)
125a、125b、135、225a、225b、325a、325b、345a、345b、425a、425b、435a、435b、525a、525b、535a、535b、725a、725b 外方ハニカム焼成体の曲線部
126、136、226、326、346、426、436a、436b、526、536、726 外方ハニカム焼成体の直線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム焼成体が、接着材層を介して複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
前記セラミックブロックの前記ハニカム焼成体は、異なる形状を有し、
前記ハニカム焼成体は、前記セラミックブロックの外周部に位置する外方ハニカム焼成体と、前記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とからなり、
少なくとも1つの前記外方ハニカム焼成体において、前記外方ハニカム焼成体の外周のうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周の前記長手方向に垂直な断面は、曲線部と直線部とを少なくとも含み、
前記外方ハニカム焼成体の直線部は、前記外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、前記外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、
前記外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmであることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下の前記セルに接する外周壁により形成される請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、前記外方ハニカム焼成体の外周のうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置する請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記外方ハニカム焼成体において、前記セルは、前記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、前記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
前記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
前記外周セルのうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、前記長手方向に垂直な断面の形状が前記内側セルと同じである請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記外方ハニカム焼成体において、前記セルは、前記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、前記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
前記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
前記外周セルのうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、前記長手方向に垂直な断面の形状が前記内側セルと異なる不完全セルを含む請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記外方ハニカム焼成体の前記不完全セルを除いた前記外周セルの前記長手方向に垂直な断面の形状、前記外方ハニカム焼成体の内側セルの前記長手方向に垂直な断面の形状、及び、前記内方ハニカム焼成体のセルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である請求項5に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記外方ハニカム焼成体の前記不完全セルを除いた前記外周セル、前記外方ハニカム焼成体の前記内側セル、及び、前記内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積は、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい請求項5又は6に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺が曲線により構成されている請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、前記外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、前記内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、前記内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項12】
少なくとも1つの前記外方ハニカム焼成体の外周には、角部が形成されており、
前記外方ハニカム焼成体の外周壁のうち、前記角部以外の前記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、略同じである請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記外方ハニカム焼成体は、前記長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分と前記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周とからなる断面略扇形の形状であり、前記内方ハニカム焼成体は、前記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項14】
前記外方ハニカム焼成体及び前記内方ハニカム焼成体のセルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている請求項1〜13のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項15】
前記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている請求項1〜14のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム焼成体が、接着材層を介して複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
前記セラミックブロックの前記ハニカム焼成体は、異なる形状を有し、
前記ハニカム焼成体は、前記セラミックブロックの外周部に位置する外方ハニカム焼成体と、前記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とからなり、
少なくとも1つの前記外方ハニカム焼成体において、前記外方ハニカム焼成体の外周のうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周の前記長手方向に垂直な断面は、曲線部と直線部とを少なくとも含み、
前記外方ハニカム焼成体の直線部は、前記外方ハニカム焼成体及び隣り合う内方ハニカム焼成体の間の接着材層、並びに、前記外方ハニカム焼成体及び隣り合う外方ハニカム焼成体の間の接着材層の少なくとも一方に平行であり、
前記外方ハニカム焼成体の直線部の長さは、5〜20mmであることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、連続する5個以上10個以下の前記セルに接する外周壁により形成される請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの外方ハニカム焼成体の直線部は、前記外方ハニカム焼成体の外周のうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周の端部に位置する請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記外方ハニカム焼成体において、前記セルは、前記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、前記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
前記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
前記外周セルのうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、前記長手方向に垂直な断面の形状が前記内側セルと同じである請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記外方ハニカム焼成体において、前記セルは、前記外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、前記外周セルより内側に位置する内側セルとからなり、
前記内側セルは、基本形成パターンに基づいて形成された完全セルであり、
前記外周セルのうち、前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁に接する外周セルは、前記長手方向に垂直な断面の形状が前記内側セルと異なる不完全セルを含む請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記外方ハニカム焼成体の前記不完全セルを除いた前記外周セルの前記長手方向に垂直な断面の形状、前記外方ハニカム焼成体の内側セルの前記長手方向に垂直な断面の形状、及び、前記内方ハニカム焼成体のセルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である請求項5に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記外方ハニカム焼成体の前記不完全セルを除いた前記外周セル、前記外方ハニカム焼成体の前記内側セル、及び、前記内方ハニカム焼成体のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積は、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい請求項5又は6に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺が曲線により構成されている請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、前記外方ハニカム焼成体のセル壁の厚さ、前記内方ハニカム焼成体の外周壁の厚さ、及び、前記内方ハニカム焼成体のセル壁の厚さよりも大きい請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項12】
少なくとも1つの前記外方ハニカム焼成体の外周には、角部が形成されており、
前記外方ハニカム焼成体の外周壁のうち、前記角部以外の前記外方ハニカム焼成体の外周壁の厚さは、略同じである請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記外方ハニカム焼成体は、前記長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分と前記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周とからなる断面略扇形の形状であり、前記内方ハニカム焼成体は、前記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項14】
前記外方ハニカム焼成体及び前記内方ハニカム焼成体のセルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている請求項1〜13のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項15】
前記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている請求項1〜14のいずれかに記載のハニカム構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−224549(P2011−224549A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59705(P2011−59705)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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