説明

ハロゲン化銀カラー写真感光性材料

本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光性材料、特に、イエロー、マゼンタおよびシアン色素形成カプラを含有する青色、緑色および赤色感受性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ備えた支持体を含む多層材料に関する。本発明により、密度の関数としてガンマの特性曲線を有する紙が、デジタル露光の感光性材料のカラー現像によって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光性材料、特に、イエロー、マゼンタおよびシアン色素形成カプラをそれぞれ含有する、青色、緑色および赤色感受性ハロゲン化銀乳剤層を備えた支持体を含む多層材料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カラー写真は、感光性材料の改良および現像処理技法の発達によってさらに高速且つ容易に入手できるようになった。特にカラープリントの分野では、カラー写真の生産は、各種の新たな開発に従ってより迅速および容易になっている。カラー写真の生産は今や、生産施設が大量生産用の高速プリンタと大型処理装置などとの両方を有する「カラーラボ」と呼ばれる集中システムや、小型プリンタプロセッサを使用する「ミニラボ」と呼ばれ、店の前に配置することができる分散処理システムなどの各種システムを使用することが可能である。
高速処理に関して、米国特許第4,840,878号は、高い塩化銀含有量を有するハロゲン化銀乳剤を、亜硫酸イオンとベンジルアルコールとを実質的に含有しないカラー現像溶液と共に含む、カラー写真感光性材料を処理する技法を開示している。実際に、上記技法による高い塩化銀含有量を有するハロゲン化銀乳剤を含むそのような感光性材料、およびその処理方法は、実用化されている。結果として、カラープリントはさらに高速および容易に入手することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近、従来の表面露光によるプリントに加えて、ネガまたはポジ画像をスキャナで読み取られたデジタル画像データから得られたカラープリントを提供することが実施されている。画像のデジタル化は、グラデーション、リタッチ、覆い焼き(遮光法)、および文字印刷などの修正を可能にし、それゆえデジタル化はカラープリントの生産性および品質の両者の改善に寄与する。さらに、画像のデジタル化は、画像データをインターネット経由で受信して、このようにして得たファイルを使用してカラープリントを生成することを可能にする。上述の方法は、将来的に普及するようになると考えられる。カラープリントをデジタル画像データから取得するために、1画素(1画素が陰極線(CRT)およびレーザーなどの光源からの光へのスキャン露光を受けるタイプの多様な種類のスキャン露光装置を使用できる。既知のスキャン露光システムによる画像形成システムとして、光源として発光ダイオードを使用するスキャン露光を写真材料に利用する方法がJP−B−62−21305で開示されている(「JP−B」という用語は、本明細書で使用するように、「日本特許公告公報」を意味する)。レーザービームによる、高い塩化銀含有量の写真材料のスキャン露光方法は、JP−A−62−35352(「JP−A」という用語は、本明細書で使用するように、「日本特許公開公報」を意味する)に開示されている。光源としての半導体レーザーおよびSHG素子によって得た第2高調波を使用するスキャン露光の方法が、JP−A−63−18346で開示されている。さらに全画像形成時間の短縮は、WO 87/04534で開示されているように、写真材料に高い塩化銀含有量のハロゲン化銀を使用することで実現されている。
【0004】
上述のように、カラープリントを作製する技法に関して、従来の表面露光およびスキャン露光の両方によるプリントが実施されており、それぞれ専用用途のカラープリント材料が使用されている。したがってカラープリント作製の現場では、2種類のカラープリント材料が必要である。以前は、ハロゲン化銀システムにおける光への反応を改良してアナログ/表面露光での最良の結果を得るために、膨大な量の開発がされていた。デジタル露光システムでの用途のために最適化されているハロゲン化銀材料の開発は、最近始まったばかりで、これらの開発の大多数において、米国特許出願第2002001783号に述べられているようにデジタルシステムとアナログシステムの間の折衷案が追求されている。しかしながら、デジタル露光においては、非常に良好なカラー写真を得るために、アナログ露光とは別の問題を解決しなければならないことが明らかである。
【0005】
米国特許第5,869,228号は、鉄イオンが高塩化銀乳剤粒の表面領域に局所的に含有されており、さらにo−ヒドロキノン類化合物またはp−ヒドロキノン類化合物が感光性材料に包含され、それによりスキャン露光によって得られた写真特性が表面露光によって得られた写真特性と同等となる技法を開示している。しかしながら、スキャン露光によって得られたカラープリントでは、高密度部分でのシェーディングが不自然に大きくなるという問題が発生することが判明した。スキャン露光データはデジタル化されているため、シェーディング部分のデジタルデータのみを修正することが可能である。しかしながら、あまりにも多くの時間と労力がかかるため、その修正は実際に普通のカラーラボが許容できない。さらに上述の米国特許第5,869,228号の技法を利用して製造した感光性材料に関して、スキャン露光によって得られたカラープリントでは、カラーバランスの変化が周囲部分でより大きくなるという別の問題が発生することが判明した。スキャン露光データはデジタル化されているため、周辺部分のデジタルデータのみを修正することによってカラーバランスの変化を抑制することが可能である。しかしながらカラーバランスの変化度が1つのスキャン露光装置と別の装置では異なるので、各装置の修正が必要であり、これには多くの時間と労力がかかる。したがって、デジタルデータの修正は実際には困難である。デジタル技法の利点の1つは、画素に文字を追加できることである。最新の写真材料において、フレアを被る文字とは、文字の黒白境界の間に着色が観察できることを意味する。デジタル露光における別の問題は、特にレーザースキャンでの装置速度の変動であり、装置速度の変動は、R、GおよびBの露光の変動を引き起こし、自然なグレートーンを得ることが困難である。この問題は、広い露光範囲で観察できる。
【0006】
したがって本発明の目的は、高速処理適合性およびシェーディング表現の両方で優れており、スキャン露光によって得られたカラープリントの画像の高密度部分にほとんどフレアを持たない、ハロゲン化銀カラー写真感光性材料を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、高速処理適合性に優れており;カラー写真の周辺部分でのカラーバランスの変化を抑制し、スキャン露光に高い最大着色密度も提供する、制限量のコーティング銀を有するハロゲン化銀カラー写真感光性材料を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、広い露光範囲に渡って、装置速度変動による露光変動の場合でも完璧なグレートーンを与えるハロゲン化銀カラー写真感光性材料を提供することである。
【0009】
本発明の他のさらなる目的、特徴、および利点は、以下の説明からさらに十分に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の上述の目的は、特有の感度特性、特に本質的に図1および図2に描いたようなRGB感度曲線を有する写真材料を提供することにより実施できる。
【0011】
これらの感度曲線は、写真材料のパラメータの設計を選択することによって、特に特定の塩化銀含有量を含む銀含有粒を有する少なくとも1つの層を提供することによって、および特定の金属化合物を特定の量で使用することによって得られる。それゆえ本発明は、支持体上に黄色色素形成カプラを含有する少なくとも1つの青色(B)感受性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラを含有する少なくとも1つの緑色(G)感受性ハロゲン化銀乳剤層、およびシアン色素形成カプラを含有する少なくとも1つの赤色(R)感受性ハロゲン化銀乳剤層が設けられた支持体を含む、多層ハロゲン化銀カラー写真材料に関し;前記少なくとも1つの乳剤層の少なくとも1つが90mol%以上の塩化銀含有率を有する塩臭化銀および/または塩ヨウ臭化銀および/または塩ヨウ化銀乳剤粒を含有し、前記乳剤層の少なくとも1つが、
式I:[MXInI(6-n)m
(式中、MはCr、Mo、Ni、Re、Fe、Ru、Os、Ir、Co、Rh、Pd、またはPt(すなわちCr、MoおよびReを加えた、VIII族金属すべて)を表し;XIはハロゲンイオンを表し;LIは、XIとは異なる任意のリガンドを表し;nは3、4、5、または6を表し;mは4−、3−、2−、1−、0、または1+を表す)によって表される金属化合物から選択された化合物を、ハロゲン化銀1mol当たりの10-9〜10-6molの量で含み;
前記材料について、10-9〜10-4秒の露光時間でのデジタル露光の後、および乾燥時間30〜240秒で乾燥した現像の後、以下の感度特性が適用され:
D=1±0.1において、R、GおよびBについては2.7<γ<3.5
1〜0.8の密度でのγ変化は、1〜1.2の密度変化とR、GおよびBの0.3γ単位の精度以内で釣り合っており、
1.3<D<1.5において、0.5γ単位以内でγR=γG=γBであり;
DはR、G、およびB層の密度を表し、γはある密度のグラデーションを表す。この関係は添付図1および2でさらに説明する。我々は、通常のLogE/Dプロットと比較して各種の層間の相互作用をより明確に示しているため、我々の本発明でγ/Dプロットを使用し、特に我々の発明の分野は、このγ/Dプロットを使用してより明確に決定できる。本明細書で使用するようにガンマの定義は、当業者に既知であるように普通の定義であり、例えばT.H.James,”The theory of the photographic process”;第4版,502ヘ゜ーシ゛,Macmillan(1977年)に見出すことができる。
【0012】
驚くべき改良は、デジタル露光後の顕著な特性を備えたR、GおよびB層での使用のための乳剤を設計することと、得られた写真材料を高速処理条件下で現像することによって実現された。
【0013】
ハロゲン化銀乳剤の写真速度を変更するためには、通常、ハロゲン化銀乳剤粒の径を変更する。一般に写真速度は、粒径をより大きくすることによって上昇させることができるか、または粒径をより小さくすることによって低下させることができる。異なる径を有するハロゲン化銀乳剤粒それぞれが単分散粒であることがさらに好ましい。
【0014】
本発明によって定義された特徴を露光時に有するハロゲン化銀乳剤を得るために、乳剤の調製において、化学増感剤の量の調整、化学増感条件(pAg、pH、温度、時間など)の調整、および/またはハロゲン化銀乳剤に含有される上述の錯体の添加および錯体の量の調整などの技法を、上述のようなハロゲン化銀乳剤粒の径の変更に加えて(変更と併せて)使用することが好ましい。これらの技法のうち、金属錯体がハロゲン化銀乳剤に包含される技法を、粒径の変更と併せて使用することがさらに好ましい。
【0015】
例えばハロゲン化銀乳剤層が2種類のハロゲン化銀乳剤を含有し、これらの一方が金属錯体を含有し、化学的に増感され、他方が異なる粒径を有するハロゲン化銀粒を含有し、前記錯体を含有せず、化学的に増感される場合、Dのある値におけるγの値は、両方の乳剤の比を変更することによって増加または減少させることができる。乳剤に包含されている金属錯体の総量を変更することによって、同じ効果を達成できる。
【0016】
さらに例えばハロゲン化銀乳剤層が2種類のハロゲン化銀乳剤を含有し、それぞれ上で定義した金属錯体および相互に異なる粒径を有する化学増感ハロゲン化銀粒の両方を含有する場合、Dおよびγの値ならびに曲線の形状は、より小さい粒径またはより大きい粒径をそれぞれ有するハロゲン化銀乳剤に包含される金属錯体の量を個別に変化させることによって、むしろ独立して変更することができる。
【0017】
本発明のハロゲン化銀カラー感光性材料において、ハロゲン化銀粒を上述の金属錯体によってドーピングすることが好ましい。金属錯体は、ハロゲン化銀粒の形成時にそれらが分散媒としてのゼラチンまたは別の保護コロイド状ポリマーの水溶液、ハロゲン化物の水溶液、銀塩の水溶液、または他の水溶液中に存在させることによって、ハロゲン化銀粒中に包含させることができる。さらに臭化銀局在相が臭化銀細粒および/または塩臭化銀細粒の添加によって形成される場合、以前に金属錯体を含有していた細粒を使用することによって、金属錯体を臭化銀局在相に選択的に包含させることもできる。
【0018】
式(I)による化合物の中で、鉄、イリジウムまたはロジウムの錯体が好ましくは使用される。鉄またはロジウムの錯体が、ハロゲン化銀粒の他の部分よりもより濃厚になるように、ハロゲン化銀粒の体積の50%以下である表面層に濃縮されることがさらに好ましい。「粒の体積の50%以下」という用語は本明細書で使用するように、1粒の体積の50%以下に等しい表面部分を指す。表面部分はさらに好ましくは体積で40%以下、なおさらに好ましくは体積で20%以下である。イリジウム錯体は好ましくは、ハロゲン化銀粒の形成時にその中に含有させるためにそれが添加される実施形態に加えて、上述のように臭化銀の濃厚な相にも含有される。
【0019】
さらに最も好ましくは、金属錯体は、1種類の錯体よりはむしろ、上述の族と異なる金属の1つ以上の金属錯体と併せて使用される。2種類以上の金属錯体が同じ乳剤粒に含有されている場合、これらの金属錯体いずれかの2種類が好ましくは相互に異なるモル比で含有される。2つの異なる金属錯体間のモル比は好ましくは20〜10000、さらに好ましくは30〜5000である。本発明において、鉄、イリジウムおよびロジウムの錯体を使用することが好ましい。2つ以上の錯体の組み合せを使用することがさらに好ましく、各錯体は鉄錯体、イリジウム錯体およびロジウム錯体から選択される。
【0020】
ハロゲン化銀粒に包含させるために使用できる鉄、ロジウムおよびイリジウム錯体の具体的な例を以下に与える。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されない。
【0021】
適切な鉄化合物は:第一鉄ヒ酸第一鉄、臭化第一鉄、炭酸第一鉄一水和物、塩化第一鉄、クエン酸第一鉄、フッ化第一鉄、ギ酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、水酸化第一鉄、ヨウ化第一鉄、乳酸第一鉄、シュウ酸第一鉄二水和物、コハク酸第一鉄、硫酸第一鉄七水和物、チオシアン酸第一鉄三水和物、硝酸第一鉄六水和物、硝酸アンモニウム鉄(II)、塩基性酢酸第二鉄、アルブミン酸第二鉄、酢酸アンモニウム鉄(III)、臭化第二鉄、塩化第二鉄、クロム酸第二鉄、クエン酸第二鉄、フッ化第二鉄、ギ酸第二鉄、グリセロリン酸第二鉄、水酸化第二鉄、酸性リン酸第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸ナトリウム鉄(III)、チオシアン酸第二鉄、硫酸第二鉄九水和物、硫酸アンモニウム鉄(III)、硫酸グアニジウム鉄(III)、クエン酸アンモニウム鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物、ペンタシアノアミン鉄(II)酸カリウム、エチレンジニトリロテトラアセタート鉄(III)酸ナトリウム、およびヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの1つ以上を含む。
【0022】
適切なイリジウム化合物は:ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム、ヘキサブロモイリジウム(IV)酸カリウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム、臭化イリジウム(III)四水和物、ヨウ化イリジウム(III)、ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム三水和物、ヘキサブロモイリジウム(III)酸カリウム、トリス(オキサラート)イリジウム(III)酸カリウム四水和物、ヘキサシアノイリジウム(III)酸カリウム、および塩化イリジウム(II)の1つ以上を含む。
【0023】
好ましくは上の式(I)のXIは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、またはヨウ化物イオンであり;塩化物イオンおよび臭化物イオンが特に好ましい。LIは特に限定されない。LIは無機化合物または有機化合物であり、電荷を有していても、電荷を有していなくてもよい。LIは好ましくは非荷電無機化合物である。LIは好ましくは、H2O、NO、またはNSである。
【0024】
一般式(I)で表される金属錯体のうち、MがRe、Ru、Os、またはRhを表す金属錯体を使用できる。MがRe、Ru、またはOsならば、LIがNOまたはNSを表すことが好ましい。MがRhならば、LIは好ましくはH2O、OHまたはOを表す。
【0025】
一般式(I)によって表される金属錯体の具体的な例は:[ReCl62-、[ReCl5(NO)]2-、[RuCl62-、[RuCl63-、[RuCl5(NO)]2-、[RuCl5(NS)]2-、[RuBr5(NS)]2-、[OsCl64-、[OsCl5(NO)]2-、[OsBr5(NS)]2-、[RhCl63-、[RhCN63-、[RhCl5(H2O)]2-、[RhCl4(H2O)2-、[RhBr63-、[RhBr5(H2O)]2-、[RhBr4(H2O)2-、[PdCl62-、および[PtCl62-の1つ以上である。しかしながら本発明は、これらの例に限定されない。
【0026】
上に挙げた金属錯体はアニオンである。その対カチオンとして、好ましい場合に水に容易に溶解する、アニオンおよびカチオンより成る塩を形成するカチオン。具体的には、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、およびナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオンなどのアルカリ金属イオンが好ましい。これらの金属錯体は、それらがそれぞれ水あるいは水および適切な水溶性有機溶媒(例えばアルコール、エーテル、グリコール、ケトン、エステル、またはアミド)の1つ以上との混合溶媒に溶解されるように使用できる。
【0027】
上述の化合物のうち、特に好ましいのは[OsCl5(NO)]2-、ヘキサシアノ鉄鉄(II)酸塩、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩、ヘキサブロモロジウム(III)酸塩、ヘキサシアノロジウム(III)酸塩、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸塩、ヘキサブロモイリジウム(IV)酸塩、ヘキサクロロイリジウム(III)酸塩、およびヘキサブロモイリジウム(III)酸塩である。
【0028】
添加される金属イオン(Cr、MoおよびReを加えたVIII族から選択された)の量は、その使用用途に従って広い範囲で変化し、好ましい量はハロゲン化銀1mol当たり10-9mol〜10-3mol、およびさらに好ましくは10-8mol〜5(10-4molの範囲で変化する。
【0029】
本発明に従って例えばサブスキャンストリークまたは文字フレアを減少させるためには、上述の説明に従ってR、GおよびB層の感度特性を調整することが重要である。上述の金属、特にRhの使用が前記特性を得るために不可欠であることが判明した。他のVIII族金属錯体は例えば安定な潜像を得るのに役立つが、Rhは非常に確実なグラデーションを得るために最も適切であり、非常に短いLog Eの範囲に渡って、密度Dが低いレベル(フォグと呼ばれる)から最高レベルまで上昇することを意味する。そのような高グラデーション乳剤は、我々の発明ではそれ自体は有用ではないが、例えばRhの量を調整すること、またはRhの異なる量を含む2つの乳剤を作製し、これらを混合することによって、あるいはRhを含む乳剤を、Rhを含まない乳剤と組み合せることによって、あるいは1つの層でRhを含む乳剤を、別の層ではRhを含まない乳剤を使用することによって、R、GおよびB層の所望の感度を得ることができる。
【0030】
本発明による感度曲線を得るために、上述の金属、特にRhをハロゲン化銀1mol当たり10-6mol以下、およびさらに好ましくは10-7mol以下の量で含む乳剤が必要であることが判明したが、量はハロゲン化銀1mol当たり10-9mol未満でないことが望ましい。
【0031】
金属イオンM(Cr、MoおよびReを加えた、周期律表のVIII族から選択された)に加えて、銅、金、亜鉛、カドミウムおよび鉛などの他の金属も含有できる。これらの他の金属を同じ乳剤中に金属Mと共に含有させることができ、または金属Mを含まない乳剤にそれらを含有させることができる。これらの他の金属イオンの添加される量は、その使用用途に従って広範囲に渡って変化するが、好ましくはハロゲン化銀1mol当たり10-9mol〜10-2molである。
【0032】
本発明での使用のためのハロゲン化銀乳剤は一般に、化学増感を受ける。化学増感法に関して、不安定な硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、および金増感に代表される貴金属増感または還元増感が独立して、または組み合せて使用される。化学増感に使用される化合物として、JP−A−62−215272、18ページの右下段〜22ページの右上段に述べられている化合物が好ましくは使用される。
【0033】
本発明での使用のためのハロゲン化銀乳剤は好ましくは、通常の方法で金増感を受ける。金増感を実施するために、四塩化金酸またはその塩、チオシアン酸金およびチオ硫酸金などの化合物が使用できる。添加されるこれらの化合物の量は、場合により広範囲に広がっている。しかしながら好ましい量は、ハロゲン化銀1mol当たり5(10-7mol〜5(10-3molの範囲、さらに好ましくは1(10-6mol〜1(10-4molの範囲である。
【0034】
本発明では、金増感は他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感、または金化合物以外の貴金属を使用する貴金属増感と組み合せて使用してもよい。
【0035】
本発明のハロゲン化銀乳剤では、塩化銀含有率が90mol%以上を超えることが好ましい(ハロゲン化銀乳剤がイエロー色素形成カプラを含有するハロゲン化銀乳剤層にて使用される場合、塩化銀含有率は90mol%を超えることが望ましい)。高速処理性の観点から、ハロゲン化銀の含有率は好ましくは93mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上、例えば96mol%以上、またなお97mol%以上である。臭化銀の含有率は、高コントラストおよび潜像安定性に関するその優れた特性のために、好ましくは0.1〜7mol%、さらに好ましくは0.5〜5mol%である。ヨウ化銀の含有率は、高露光、高感度および高コントラストに関するその優れた特性のために、好ましくは0.02〜1mol%、さらに好ましくは0.05〜0.50mol%、さらに好ましくは0.07〜0.40mol%である。本発明の具体的なハロゲン化銀粒子は好ましくは、ヨウ化塩化銀粒子、さらに好ましくは上のハロゲン組成を有するヨウ化塩化銀粒子である。
【0036】
ハロゲン化銀乳剤中の具体的なハロゲン化銀粒子は好ましくは、臭化銀含有相および/またはヨウ化銀含有相を含む。ここで臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相は、臭化銀またはヨウ化銀の濃度がそのような部分の周囲の区域よりも高い部分を意味する。ハロゲン組成は、臭化銀含有層またはヨウ化銀含有相からその隣接区域まで連続的に変化している。加えてそのような変化は、急に生じる。そのような臭化銀またはヨウ化銀相は、その濃度が粒子内のある点でほぼ一定である層を形成するか、または広がることなく最大点を有する。臭化銀含有相の臭化銀の局所含有率は好ましくは5mol%以上、さらに好ましくは10〜80mol%、最も好ましくは15〜50mol%である。ヨウ化銀含有相のヨウ化銀の局所含有率は好ましくは0.3mol%以上、さらに好ましくは0.5〜8mol%、および最も好ましくは1〜5mol%である。さらにそのような臭化銀またはヨウ化銀含有相はそれぞれ、複数の相が層内の粒子に供給されるように供給されている。加えて、層内の相それぞれの臭化銀またはヨウ化銀の含有率は、他とは異なるが、少なくとも1つの臭化銀またはヨウ化銀含有層が供給されるべきである。
【0037】
ハロゲン化銀乳剤の臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相がそれぞれ粒子を包囲するために層内に形成されることが重要である。1つの実施形態において、臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相は、相内の粒子の周囲方向に均一な濃度分布を有する粒子を包囲するために、層内に形成される。しかしながら層内の臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相において、臭化銀またはヨウ化銀の濃度の最大点または最小点は、粒子の周囲方向に存在するため、それはその濃度分布を有する。例えば臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相が粒子の表面の付近で粒子を包囲するために層を形成する場合、粒子の隅または縁における臭化銀またはヨウ化銀の濃度は、主要表面の濃度とは異なる。さらに粒子を包囲するための層内の臭化銀含有相およびヨウ化銀含有相に加えて、臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相は、粒子を包囲することなく粒子の表面の特定の部分上で完全に隔離されるために供給される。ハロゲン化銀乳剤が臭化銀含有層を含有する場合、好ましくは粒子内で臭化銀濃度の最大点を有するために、ハロゲン化銀含有相が層内に形成される。加えて好ましくは、ハロゲン化銀乳剤がヨウ化銀含有相を有する場合、粒子表面上でヨウ化銀の最大濃度を有するために、ヨウ化銀含有相が層内に形成される。そのような臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相は、その銀含有率が好ましくは、臭化銀またはヨウ化銀のより少ない含有率によって局所濃度を上昇させることによって、粒子の体積に関して3%以上〜30%以下、さらに好ましくは3%以上〜15%以下であるように作製されることが望ましい。
【0038】
ハロゲン化銀粒子好ましくは、臭化銀含有相およびヨウ化銀含有相の両方を含有する。この場合、臭化銀含有相およびヨウ化銀含有相は、粒子の同じ部分にあっても、異なる場所に位置してもよい。好ましくは、それらは粒子の形成が容易に制御可能な、異なる場所に位置する。さらにヨウ化銀は、臭化銀含有相に含有されてもよい。他方、臭化銀はヨウ化銀含有相中に含有されてもよい。高塩化銀粒子の形成工程中に添加されるヨウ化物は臭化物と比較して、一般に粒子表面から溶液中へ移動する傾向があるため、ヨウ化銀含有相は、粒子表面付近で形成されやすい。したがって臭化銀含有相およびヨウ化銀含有相が粒子内の異なる場所に位置する場合、臭化銀含有相はヨウ化銀含有相と比較して、好ましくは粒子の内側に形成される。この場合、別の臭化銀含有相が、ヨウ化銀含有相から外側の粒子表面付近に形成されてもよい。
【0039】
感度の上昇または高コントラストなどの本発明の効果を生成するために必要な臭化銀含有率またはヨウ化銀含有率は、粒子内側に臭化銀含有相またはヨウ化銀含有相を生成するのに十分なだけ上昇する。必要を超えた塩化銀含有率の降下および高速処理の妨害の可能性がある。したがって、粒子内の表面付近での写真作用を制御するこれらの機構を集めるために、臭化銀含有相およびヨウ化銀含有相が好ましくは相互に接触していることが好ましい。我々が結晶の内側から外側までの使用された臭化物の量を、内側は0%であり、外側表面は100%であると決定する場合、臭化銀含有相は粒子体積の50〜100%で形成されるのに対して、ヨウ化銀含有相は好ましくは、粒子体積の85〜100%で形成される。さらに臭化銀含有相はさらに好ましくは粒子体積の70〜95%で形成されるのに対して、ヨウ化銀含有相はなおさらに好ましくは粒子体積の90〜100%で形成される。
【0040】
臭化銀またはヨウ化銀を含有するハロゲン化銀乳剤を作製するための臭化物またはヨウ化物イオンの導入は、臭化塩またはヨウ化塩の溶液を独立して添加することにより実施される。あるいは銀塩溶液および高塩化塩溶液の添加と組み合せて、臭化塩またはヨウ化塩溶液を添加してもよい。後者の場合、臭化塩またはヨウ化塩溶液、および高塩化塩溶液は、臭化塩またはヨウ化塩と高塩化塩との混合溶液として独立して添加できる。臭化塩またはヨウ化塩は、アルカリ、アルカリ土類臭化塩、またはヨウ化塩などの溶解性塩の形で添加される。あるいは米国特許第5,389,508号に開示されているように有機分子をから開裂させることにより臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを作製して導入することもできる。臭化物またはヨウ化物イオンのイオン源として、微小な臭化銀粒子または微小なヨウ化銀粒子も使用できる。
【0041】
臭化塩またはヨウ化塩の溶液の添加は、粒子形成の1回の時点に集中することによって実施できるか、ある固定期間中に施すことによって実施できる。ヨウ化物イオンの高塩化物乳剤への導入位置は、高感度を備えた低かぶり乳剤を得たい場合には制限される。ヨウ化物イオンの導入が乳剤粒子のさらに内側で実施されるため、感度の増加はより小さくなる。したがって、ヨウ化塩溶液を粒子体積の50%からより外側に、好ましくは70%からより外側に、最も好ましくは85%からより外側に添加することがさらに好ましい。さらにヨウ化塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%からより内側で、最も好ましくは96%からより内側で停止される。ヨウ化塩溶液の添加は、粒子の表面のやや内側でヨウ化物添加を停止させることにより、高感度を有する低かぶり乳剤を生じさせるであろう。
【0042】
他方、臭化塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の50%から外側、さらに好ましくは70%から外側である。
【0043】
臭化物またはヨウ化物イオンの濃度の、粒子の深さ方向への分布は、エッチング/TOF−SIMS(飛行時間二次イオン質量分析)法によって、例えばPhiEvans Co.,Ltd.によって製造されたTRIFTII type TOF−SIMSを使用して測定できる。TOF−SIMS法は特に、“The Surface Analysis Technical Selected-Books : Secondary-Ion-Mass- Spectroscopy”edited by the Surface Science Society of Japan, Maruzen Co., Ltd.(1999年発行)に述べられている。乳剤粒子をエッチング/TOF−SIMS法によって分析する場合、たとえ粒子の内側のヨウ化塩溶液の添加で終了しても、ヨウ化物イオンが粒子表面に向かって移動したことを分析できる。エッチング/TOF−SIMS法を使用した分析において、本発明の乳剤が粒子表面上で最大濃度を有し、ヨウ化物イオン濃度が内側に向かって低下し、臭化物イオンが粒子の内側で最大濃度を有することが好ましい。臭化銀の局所濃度は、臭化銀の含有率が高いときはX線回折法でも測定できる。
【0044】
IrCl6などのVIII族金属の錯体イオンを臭化銀濃厚相中に包含することが好ましい。さらにイリジウム化合物がハロゲン化銀乳剤粒の臭化銀濃厚相に包含される場合、前記濃厚相がハロゲン化銀粒の調製時に添加される全イリジウムの少なくとも50mol%と共にデポジットすることが好ましい。添加される全イリジウムの少なくとも80mol%と沈殿することがさらに好ましい。前記濃厚相が添加される全イリジウムと共にデポジットすることが最も好ましい。「前記濃厚相がイリジウムと共にデポジットする」という表現は本明細書で使用するように、イリジウム化合物が前記濃厚相の形成のために、銀またはハロゲン供給と同時に、銀またはハロゲン供給の直前に、または銀またはハロゲン供給の直後に供給されることを意味する。臭化銀濃厚相が、ハロゲン化銀ホスト粒および前記ホスト粒よりも小さい平均粒径および高い臭化銀含有率を有するハロゲン化銀細粒を混合し、その後、得られた混合物を熟成させることによって形成される場合、イリジウム塩は高い臭化銀含有率を有するハロゲン化銀細粒中に事前に包含されていることが好ましい。Rh塩は、ハロゲン化銀結晶作製の第一ステップで添加できるが、化学熟成ステップ中にも、Ir添加について上述したのと同じ方法で添加することもできる。Rhは溶液として化学熟成ステップで添加することもできるが、しかしながら好ましくは、ハロゲン化銀粒作製工程の第一ステップの終わりに、結晶中の大半のRhが結晶表面付近にあるような方法で添加される。
【0045】
本発明での使用のためのハロゲン化銀粒の形状に関して、立方体または14面体はもちろんのこと8面体などの規則性結晶形、球、平板状などの不規則性結晶形、またはこれらの形の複合形を有する粒が使用できる。さらにこれらの各種結晶形の混合物を有する粒も使用できる。本発明において、上述の規則性結晶形を有する粒の粒全体に対する割合は、重量%で50%以上、好ましくは70%以上、そしてさらに好ましくは90%以上であることが好ましい。さらに規則性結晶形を有する粒に加えて、一般に5以上、好ましくは8以上の平均縦横比(同等の円直径(粒の投影面積と等しい円の直径を意味する)/粒厚の比)を有する平板状粒の、粒全体に対する割合が、投影面積として50重量%以上である乳剤も好ましくは使用できる。
【0046】
本発明で使用されるハロゲン化銀乳剤は、例えばP.Glafkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel(1967年)、G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press(1966年)、V.L.Zelicmanら,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press(1964年)などで開示された方法に従って調製できる。すなわち酸工程、中性工程、およびアンモニア性工程などのどの工程も使用できる。シングルジェット法、ダブルジェット法、およびその組み合せのいずれも、溶解性銀塩を溶解性ハロゲン化物と反応させるための方法として使用してもよい。ハロゲン化銀粒が過剰な銀イオンの雰囲気下で形成される方法(いわゆる逆混合法)も使用できる。さらに、ダブルジェット法の1つの形であり、ハロゲン化銀が形成される液体相のpAgが一定に維持される、いわゆる制御ダブルジェット法も使用できる。この方法によって、規則性結晶形および実質的に均一の粒径を有するハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0047】
かぶりが発生するのを防止する、または写真材料の製造、保管または写真処理中の写真性能を安定させるために、本発明での使用のためのハロゲン化銀乳剤に、各種の化合物を含ませることができる。すなわちハロゲン化銀乳剤に添加できる化合物として、アゾールなどの抗かぶり剤または安定剤、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール、ニトロベンゾイミダゾール、クロロベンゾイミダゾール、ブロモベンゾイミダゾール、メルカプトチアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトチアジアゾール、アミノトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、およびメルカプトテトラゾール(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど);メルカプトピリミジン、メルカプトトリアジン;オキサゾリンチオンなどのチオケト化合物;アザインデン、例えばトリアザインデン、テトラアザインデン(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、およびペンタアザインデン;ベンゼンチオスルホン酸、ベンゼンスルフィン酸、およびベンゼンスルホンアミドとして既知の多くの化合物がある。メルカプトテトラゾールは特に好ましい。これらの化合物は好ましくは、抗かぶりおよび安定性に加えて、高い照明強度速度がさらに向上できるように作用する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光性材料で使用される親水性バインダとして、一般にゼラチンが使用される。しかしながら必要に応じて、ゼラチンは、他の親水性コロイド、例えば他のゼラチン誘導体、ゼラチンおよび他の高分子のグラフトコポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、およびホモポリマーまたはコポリマーなどの合成親水性高分子材料と組み合せて使用できる。
【0048】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光性材料で使用されるゼラチンは、石灰処理ゼラチン、または酸処理ゼラチンでもよい。さらにそれは、牛骨、牛の皮膚および豚の皮膚の1つを原材料として利用して製造されたゼラチンでもよい。また、例えばEP−A−1014176に述べられている方法と同様の組換え法によって作製されたゼラチンも使用できる。原材料として牛骨または豚の皮膚を利用して製造された石灰処理ゼラチンが好ましい。
【0049】
本発明において、支持体のハロゲン化銀乳剤含有側から最も遠い親水性コロイド層まで延在する、感光性ハロゲン化銀乳剤層および非感光性親水性コロイド層に含有される親水性バインダの総量は、高速処理の観点から、好ましくは9.0g/m2以下、最も好ましくは8.0g/m2〜4.0g/m2である。少量の親水性バインダは、カラー現像および洗浄速度の両方の進行に特に効果を有する。
本発明において、イエローカプラを含有するハロゲン化銀乳剤層は、支持体上のどの位置に配置してもよいが、好ましくは支持体に近接した位置である。前記層と支持体との間に、コーティング挙動を最適化するために層を塗布することができる。マゼンタカプラ含有ハロゲン化銀乳剤層は、支持体上のどの位置に配置してもよいが、好ましくはイエローカプラ含有ハロゲン化銀乳剤層とシアンカプラ含有ハロゲン化銀乳剤層との間の位置である。またシアンカプラ含有ハロゲン化銀乳剤層は支持体上のどの位置に配置してもよいが、好ましくは支持体から最も離れた位置である。シアンカプラ含有ハロゲン化銀乳剤層の上には、1つ以上の保護コーティングを塗布できる。さらにイエロー、マゼンタまたはシアンの各カラー形成層は、1つまたは2つまたは3つのハロゲン化銀含有乳剤より構成されてもよい。
【0050】
さらにハロゲン化銀乳剤粒のサイズに関して、立方体粒が使用される場合、辺長は、好ましくは0.80μm以下、さらに好ましくは0.75μm以下、最も好ましくは0.70μm以下、しかし、好ましくは0.10μm以上である。平板状粒が使用される場合、辺長は、好ましくは0.40μm以下、さらに好ましくは0.30μm以下、特に好ましくは0.20μm以下、最も好ましくは0.15μm以下、しかし、好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。平板状粒の縦横比は、好ましくは2〜10、さらに好ましくは3〜8である。異なるサイズおよび/または形状を有するハロゲン化銀乳剤の混合物は、好ましくは感度、グラデーション、および他の写真性能を制御するために使用される。
【0051】
本発明において、コーティングされるハロゲン化銀乳剤の量(1m2当たりの銀のグラムとして表される;gAg/m2)は、好ましくは0.70〜0.10gAg/m2、さらに好ましくは0.65〜0.20gAg/m2、最も好ましくは0.60〜0.25gAg/m2である。この量は驚くほど少ない。現在までに、一般的な意見は、そのように少量のAgを使用することは、品質の劣った写真材料を生じるということであった。そのように低いAg範囲でさえ、金属M(特にRh)を含む、および含まない乳剤との組み合せの本発明での使用により、高品質の写真材料が得られる。
【0052】
立方体のハロゲン化銀乳剤粒がシアンカラー形成層およびマゼンタカラー形成層で使用される場合、その辺長は好ましくは0.70μm以下、さらに好ましくは0.50μm以下、しかし、好ましくは0.10μm以上である。
【0053】
本発明において、写真層の構造でのフィルム厚は、支持体を覆う層である、写真層の構造での処理前の厚さ(乾燥厚としても既知である)を意味する。フィルム厚は特に、以下の方法のいずれか1つで得ることができる。第一の方法において、フィルム厚は、ハロゲン化銀カラー写真感光性材料を支持体に対して垂直の方向に切断して、顕微鏡で切断表面を観察することによって得ることができる。第二の方法は、写真層の構造での各成分のコーティング量(g/m2)および比重からフィルム厚を計算する方法である。
【0054】
例えば、写真での使用のための代表的なゼラチンの比重は1.34g/mlであり、ハロゲン化銀の比重は5.59g/mlであり、他の親油性添加剤は以前、コーティング前に測定されており、それによりフィルム厚は第二の方法で計算できる。
【0055】
本発明において、写真層構造でのフィルム厚は、好ましくは9.0μm以下、さらに好ましくは8.5μm以下、最も好ましくは8.0μm以下、しかし4.0μm以上である。
【0056】
本発明において、ハロゲン化銀分散物以外に、水中油型乳剤が使用される。油溶性成分は、処理後に感光性材料中に残る親油性構成要素を含む。油溶性成分の具体的な例は、色素形成カプラ、高沸点有機溶媒、カラー混合抑制剤、紫外線吸収剤、親油性添加剤、親油性ポリマーまたはポリマーラテックス、マット剤、スリップ(滑り)剤などを含み、通常、親油性細粒として写真構造層に添加される。したがって水溶性色素、硬化剤、水溶性添加剤およびハロゲン化銀乳剤は、油溶性成分に含まれていない。さらに界面活性剤は通常、親油性細粒の調製に利用され、界面活性剤は本発明では油溶性成分とは見なされない。
【0057】
本発明の油溶性成分の総量は、好ましくは5.5g/m2以下、さらに好ましくは5.0g/m2以下、最も好ましくは4.5g/m2以下、しかし3.0g/m2以上である。本発明において、色素形成カプラ含有層に含有される疎水性写真材料の重量(g/mg)を、前記色素形成カプラの重量(g/mg)で割ることによって得た値は、好ましくは4.5以下、さらに好ましくは3.5以下、そして最も好ましくは3.0以下である。
【0058】
本発明において、写真層構造中の油溶性成分の、親水性バインダに対する比は任意に選択できる。保護層以外の写真層構造中の重量によるその比は、好ましくは0.05〜1.50、さらに好ましくは0.10〜1.40である。各層の比を最適化することによって、フィルム強度、耐摩耗性およびカール特性を調整できる。
【0059】
本発明のハロゲン化銀写真感光性材料において、他の従来既知の写真材料および添加剤、米国特許出願第2002/0001783号およびその中で引用された参考文献で述べられているものを使用できる。特に、この出願の実施例で示されているスペクトル増感色素A−Gは、本発明で有用である。これらの化合物の化学式は以下に与える。
【0060】
本発明においてさらに使用されるシアン、マゼンタ、およびイエローカプラとして、さらに例えばJP−A−62−215272、91ページ、右上段、4行〜121ページ、左上段、6行;JP−A−2−33144、3ページ、右上段、14行〜18ページ、左上段、最終行、および30ページ、右上段、6行〜ページ35、右下段、11行;およびEP−A−0 355 660(A2)、4ページ、15行〜27行、ページ5、30行〜28ページ、最終行、45ページ、29行〜31行、および47ページ、23行〜63ページ、50行、JP−A−8−122984、およびJP−A−9−222704で述べられているカプラも有用である。さらにシアンカプラとして、ピラゾロトリアゾールカプラが好ましくは使用される。これらのカプラのうちで特に好ましいのは、JP−A−5−313324で式(I)または(II)によって表されたカプラおよびJP−A−6−347960で式(I)によって表されたカプラおよびこれらの特許公報で述べられている例示されたカプラである。
【0061】
本発明において、既知のカラー混合防止剤が使用できる。薬剤のうちで、以下の特許公報で述べられているものが好ましい。
【0062】
例えばJP−A−5−333501で述べられている高分子量酸化還元化合物、日本国特許出願第9−140719号および米国特許第4,923,787号で述べられているフェニドン系またはヒドラジン系化合物、およびJP−A−5−249637およびDE−A−19 629 142で述べられているホワイトカプラを使用してもよい。現像溶液のpHを上昇させ、特に現像速度を促進するために、例えばDE−A−19618,786およびDE−A−19,806,846、EP−A−0,839,623およびEP−A−0,842,975、ならびにFR−A−2,760,460で述べられている酸化還元化合物を使用することが好ましい。
【0063】
本発明において、高モル減衰係数を有する紫外光吸収剤は、好ましくは紫外光吸収剤として使用される。例えばこれらの化合物として、トリアジン骨格を含有する化合物を使用できる。例えばJP−A−46−3335、JP−A−55−152776、JP−A−5−197074、JP−A−5−232630、JP−A−5−307232、JP−A−6−211813、JP−A−8−53427、JP−A−8−234364、JP−A−8−239368、JP−A−9−31067、JP−A−10−147577、JP−10−182621、JP−T−8−501291(”JP−T”は、日本国内公表を意味する)、EP−A−0,711,804、およびDE−A−19,739,797に述べられている化合物が好ましい。
【0064】
本発明で使用できる抗真菌/抗カビ剤として、JP−A−63−271247で述べられているものが有用である。感光性材料を構成する写真層で使用される親水性コロイドとして、ゼラチンが好ましく、特に好ましくは鉄、銅、亜鉛、およびマンガンなどの重金属が5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下であるゼラチンである。
【0065】
また、感光性材料中のカルシウム含有量は好ましくは、20mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0066】
本発明は、反射型ベース、特に積層体が複数のポリエチレン層またはポリエステル層を有し、そのような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも1つが二酸化チタンなどの白色顔料を含有する、反射型ベースの使用に関する。
【0067】
さらに上の耐水性樹脂層は、好ましくは蛍光白色化剤を含有する。さらに蛍光白色化剤は、感光性材料の親水性コロイド層中に分散されていてもよい。蛍光白色化剤として、好ましくはベンゾオキサゾール系蛍光白色化剤、クマリン系蛍光白色化剤、またはピラゾリン系蛍光白色化剤が使用可能であり、さらに好ましくはベンゾオキサゾリルナフタレン系蛍光白色化剤またはベンゾオキサゾリルスチルベン系蛍光白色化剤が使用される。使用される量は特に制限されていないが、好ましくは1〜100mg/m2である。それが耐水性樹脂と混合されるときは、好ましくは混合割合は、樹脂に対して0.0005〜3重量%、およびさらに好ましくは0.001〜0.5重量%である。
【0068】
反射型ベースは、白色顔料を含有する親水性コロイド層が透明型ベースまたは上述した反射型ベースに施されたベースでもよい。
【0069】
さらに反射型ベースは、鏡面反射型または第二型拡散反射金属表面を有するベースでもよい。
【0070】
本発明の感光性材料は、陰極線(CRT)を使用するスキャン露光システムに特に適切である。
レーザーを使用する装置と比較して、陰極線管露光装置は単純かつ小型であり、コストを低くする。さらに光学軸および色の調整が容易である。
【0071】
本発明の感光性材料は、好ましくは非線形光学結晶と半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源として使用する固体レーザーとの組み合せを含む第二高調波発生光源(SHG)、ガスレーザー、発光ダイオード、あるいは半導体レーザーなどの単色高密度光を使用する、デジタルスキャン露光システムに使用される。システムを小型および安価にするために、半導体レーザーあるいは非線形光学結晶と半導体レーザーまたは固体レーザーの組み合せを含む第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特に、小型で安価であり、寿命が長く、安定性が高い装置を設計するために、半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも1つに半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0072】
非線形光学結晶を半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源として使用する固体レーザーと組み合せることによって得られたSHG光源では、レーザーの放出波長を半減させることが可能なため、青色光および緑色光を得ることができる。したがって感光性材料の最大スペクトル感度は、画像を得るために通常の3つの波長領域それぞれ、すなわち青色領域、緑色領域および赤色領域に存在することができる。
【0073】
このスキャン露光の露光時間が画素(ピクセル)が光に当てられる時間として定義される場合、露光時間は好ましくは10-4秒以下、さらに好ましくは10-6秒以下、しかし10-9秒以上である。
【0074】
本発明による感光性材料は、青色、緑色または赤色デジタル露光を使用して感度測定のためのグラデーション露光を受け、カラー現像処理が続く。各密度(D)におけるガンマ(γ)を測定することにより青色光、緑色光または赤色光に対応する各特性曲線を得るために、そのように得られた着色密度を測定して、図1および図2のガンマ/密度プロットを得る。
【0075】
本発明で定義された特性曲線を得るために、上述したのと同じハロゲン化銀乳剤層中に、相互に異なる写真速度を有するハロゲン化銀乳剤のうち2つを含有することが好ましい。1つのみのハロゲン化銀乳剤によって、好ましい曲線への調整は困難であるが、不可能ではない。写真層に2つを超えるハロゲン化銀乳剤を使用することは、曲線をさらに微調整することができる。別の実施形態において、別々の層で異なる速度を持つ乳剤をコーティングすることができる。
【0076】
その露光の後に本発明の感光性材料の現像を実施するためのシステムとして、現像がアルカリ剤および現像剤を含有する現像溶液を使用して実施される、従来方法などの、湿式システム。
【0077】
本発明の感光性材料の処理において、「カラー現像時間」という用語は、感光性材料のカラー現像溶液への浸漬の開始から次の処理ステップで感光性材料を漂白定着溶液に浸漬するまでの期間を意味する。例えば自動プロセッサを使用して処理を実施する場合、カラー現像時間は、感光性材料をカラー現像溶液に浸漬した時間(いわゆる「溶液中の時間」)およびカラー現像の次のステップにおいてカラー現像溶液からの離脱後の感光性材料を漂白定着浴に向かって空気中を運搬した時間(いわゆる「空気中の時間」)の合計である。同様に「漂白定着時間」という用語は、感光性材料の漂白定着溶液への浸漬の開始から次の処理ステップにおいて感光性材料を洗浄または安定化浴に浸漬するまでの期間を意味する。さらに「洗浄または安定化時間」という用語は、感光性材料が乾燥ステップに向けて運搬開始されるまで、洗浄または安定化溶液にとどまっている期間(いわゆる「溶液中の時間」)を意味する。
【0078】
本発明の感光性材料は好ましくは高速処理によって処理され、カラー現像時間は、好ましくは40秒以下であり、さらに好ましくは30秒〜6秒の範囲内である。同様に漂白定着時間は、好ましくは40秒以下、さらに好ましくは30秒〜6秒の範囲内である。さらに洗浄または安定化時間は、好ましくは100秒以下、さらに好ましくは70秒〜6秒の範囲内である。
【0079】
本発明の感光性材料の処理ステップの中の乾燥方法として、カラー写真感光性材料を迅速に乾燥させるために従来既知である方法のいずれも採用できる。本発明の目的から、カラー写真感光性材料を20秒以内で、さらに好ましくは15秒以内で、最も好ましくは5秒〜10秒で乾燥させることが好ましい。
【0080】
乾燥システムとして、接触加熱システムおよび高温送風システムのどちらか1つが使用され、接触加熱システムおよび高温送風システムの組み合せの構造が、上の独立システムよりも高速に乾燥を実施することが可能であり、それゆえ組み合せが好ましい。本発明による方法として乾燥に関してさらに好ましい実施形態において、感光性材料は、ヒートローラーを使用して接触加熱され、次に穿孔パネルまたはノズルから感光性材料に向けて送られた高温の空気を使用して送風乾燥される。送風乾燥部において、感光性材料の熱収容単位面積当たりに送られた高温空気の質量速度は、1000kg/m時以上であることが好ましい。拡散器(送風の出口)は好ましくは圧力損失が減少された形状を有し、形状の例は、JP−A−9−33998で説明された図7〜図15に与えられている。
【0081】
本発明の感光性材料は、感光性材料のカラー現像溶液への浸漬の開始から感光性材料が乾燥する時間までの期間を意味する、乾燥は乾燥時間240〜30秒、好ましくは130〜30秒、およびさらに好ましくは120〜30秒であるような方法で設計される。
【0082】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光性材料は、以下の優れた効果を提供する。すなわち、感光性材料は、高速処理適合性およびスキャン露光によって得た画像の高密度部分でのシェーディングの表現の両方に優れている。
【0083】
本発明で述べたB、GおよびR層の写真特性に戻ると、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光性材料は優れた高速処理適合性を備えている;同時にスキャン露光によって得たカラー写真の周囲部分のカラーバランスの変化が抑制され、スキャン露光によって高い着色密度が得られる。
【0084】
さらにハロゲン化銀カラー写真本発明の感光性材料は、装置速度変動による露光変動の場合でも、広い露光範囲に渡って完璧なグレートーンを与える。
【0085】
本発明を以下の実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はそれに限定されない。
【実施例】
【0086】
[実施例1−1]乳剤1−B1、1−B1’、1−G1、1−G1’.1−R1、1−R1’の調製
溶液I
水 1000ml
石灰処理ゼラチン 58g
NaCl 63mmol
pH 2.9(硫酸によって調整)
【0087】
溶液II
硝酸銀 1.70mol
水を加えて617ml
【0088】
溶液III
NaCl 1.80mol
水を加えて617ml
【0089】
溶液IV
硝酸銀0.42mol
水を加えて200ml
【0090】
溶液V
NaCl 0.042mol
KBr 4.2mmol
ヘキサシアン鉄(II)酸カリウム三水和物 0.06mmol
水を加えて200ml
【0091】
乳剤1−R1の調製
50℃に維持した溶液Iに溶液IIおよびIIIを同時に添加し、激しく攪拌しながら溶液IIおよびIIIの両方の添加速度を上昇させて、そして添加速度を加速しながら、溶液IIおよびIIIそれぞれの総量を添加した。さらにIVおよびVのそれぞれの総量を激しく攪拌しながら添加した。得られた混合物を冷却し、次に脱塩、沈殿、および水による洗浄を受けさせた。さらに温度を50℃に上昇させた後、石灰処理ゼラチンを添加し、pH 5.3およびpAg 7.5となるようにゼラチン混合物を調整した。得られた乳剤にベンゼンチオ硫酸ナトリウム、赤色感受性増感色素G、四塩化金酸、チオシアン酸カリウム、トリエチルチオ尿素を順番に添加した。その後、塩臭化銀細粒(Br 60mol%、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムをドーピングした)、塩化臭化銀細粒(Br 30mol%)、0.2mmolの1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、およびKBrを上の順序で添加し、赤色感受性乳剤1−R1を調製した。赤色感受性乳剤1−R1は、以下の特徴を有する高塩化銀立方体乳剤であった。
粒の辺長:0.41μm、粒径の変動係数:0.09、臭化物含有率:0.66mol%
【0092】
赤色感受性乳剤の増感色素G:
【0093】
【化1】

【0094】
それは赤色感受性乳剤1−R1に対して3(10−5mol/ハロゲン化銀molの量で、そして赤色感受性乳剤1−R1’に対して3.5(10−5mol/ハロゲン化銀molの量で使用した。乳剤1−R1’は、溶液Iの温度および溶液II〜Vの添加速度を変化させ、ヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムを添加し、さらにpAg調整の後に添加する化学薬品の量を変化させたことを除いて、乳剤1−R1と同じ方法で調製した。
乳剤1−R1’は、以下の特徴を有する高塩化銀立方体乳剤であった:粒の辺長:0.34mm、粒径の変動係数:0.08、臭化物含有率:0.80mol%。
青色感受性乳剤1−B1’および緑色感受性乳剤1−G1および1−G1’は、溶液Iの温度および溶液II〜Vの添加速度を変化させ、溶液Vのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの量を変化させたことと、乳剤1−B1’および1−G1’についてはヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムを添加し、塩化臭化銀細粒中のヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムおよびさらに青色感受性増感色素A、BおよびC、または緑色感受性増感色素D、EおよびFを赤色感受性増感色素Gの代わりにそれぞれ添加したことを除いて、赤色感受性乳剤1−R1と同様の方法で調製した。
【0095】
【化2】

【0096】
大型乳剤1−B1には、青色感受性増感色素A、B、およびCをハロゲン化銀1mol当たりそれぞれ2.2(10-4mol、3.0(10-5mol、および1.8(10-4molの量で使用し、小型乳剤1−B1’には、青色感受性増感色素A、B、およびCをハロゲン化銀1mol当たりそれぞれ2.5(10-5mol、3.4(10-5mol、および2.1(10-4molの量で使用した。大型乳剤1−G1には、緑色感受性増感色素D、E、およびFをハロゲン化銀1mol当たりそれぞれ3.0(10-4mol、6.0(10-5mol、および1.0(10-5molの量で使用し、小型乳剤1−G1’には、緑色感受性増感色素D、E、およびFをハロゲン化銀1mol当たりそれぞれ3.7(10-4mol、7.4(10-5mol、および1.2(10-5molの量で使用した。
【0097】
[実施例1.2]乳剤1−B2、1−G2、1−G2’、1−R2、1−R2’の調製
乳剤1−B2の調製
石灰処理ゼラチン3%水溶液(1000ml)をpH 5.5、pCl 1.7に調整し、硝酸銀2.12モルを含有する水溶液および塩化ナトリウム2.2モルを含有する水溶液を上の溶液に50℃にて、激しく攪拌しながら同時に添加および混合した。硝酸銀の添加量が80%〜90%である期間中に、臭化カリウムが得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり3モルとなるように、臭化カリウムを添加した。加えて、硝酸銀の添加量が80%〜90%である期間中に、Feの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり3(10-5モルとなるように、K4[Fe(CN)6]水溶液を添加した。硝酸銀の添加量が82%〜88%の期間中に、Irの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5.3(10-8モルとなるように、K2[IrCl6]水溶液を添加した。添加される総硝酸銀の90%の添加が完了したときに、Iの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり0.3mol%となるように、ヨウ化カリウム水溶液を添加した。40℃にて脱塩工程を実施した後、石灰処理ゼラチン(168g)をpH 5.5、pCl 1.8に調整した。得られた粒子は、0.51μmの球相当直径および9%の変動係数を有するブロモ−クロロ−ヨウ化銀立方体乳剤である。
【0098】
脱塩後、チオスルホン酸ナトリウムを、その含有量がハロゲン化銀1mol当たり2(10-5モルとなるように40℃にて添加した。硫黄増感剤として、チオ硫酸ナトリウム五水和物を使用した。金増感剤として、ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)金(I)酸テトラフルオロホウ酸を使用した。続いて、混合物を60℃にて熟成させた。混合物を40℃に冷却した後、増感色素A(ハロゲン化銀1mol当たり2.7(10-4モル)、増感色素B(ハロゲン化銀1mol当たり1.4(10-4モル)、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール(ハロゲン化銀1mol当たり2.7(10-4モル),1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(ハロゲン化銀1mol当たり2.7(10-4モル)、および臭化カリウム(ハロゲン化銀1mol当たり2.7(10-3モル)をそれぞれ添加した。次に、得られた乳剤を乳剤1−B2として提供した。
【0099】
乳剤1−G2の調製
石灰処理ゼラチン3%水溶液(1,000ml)をpH 5.5、pC1 11.7に調整し、硝酸銀2.12モルを含有する水溶液および塩化ナトリウム2.2モルを含有する水溶液を上の溶液に40℃にて、激しく攪拌しながら同時に添加および混合した。硝酸銀の添加量が60%〜80%である期間中に、それが得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5.8(10-9モルとなるように、K3[RhBr6]を添加した。硝酸銀の添加量が80%〜100%である期間中に、それが得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり4.3モルとなるように、臭化カリウムを添加して激しく混合した。硝酸銀の添加量が80%〜90%である期間中に、Feの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり3.0(10-5モルとなるように、K4[Fe(CN)6]水溶液を添加した。硝酸銀の添加量が83%〜88%である期間中に、Irの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5.0(10-8モルとなるように、K2[IrCl6]水溶液を添加した。総硝酸銀の90%の添加が完了したときに、Iの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり0.15mol%となるように、ヨウ化カリウム水溶液を添加した。硝酸銀の添加量が92%〜95%である期間中に、Irの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5.0(10-7モルとなるように、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]水溶液を添加した。
【0100】
40℃にて脱塩工程を実施した後、石灰処理ゼラチン(168g)を添加し、pH 5.5、pCl 1.8に調整した。得られた粒子は、0.35μmの球相当直径および9%の変動係数を有するブロモ−クロロ−ヨウ化銀立方体乳剤である。
【0101】
チオスルホン酸ナトリウムを、その含有量がハロゲン化銀1mol当たり2(10-5モルとなるように40℃にて添加した。硫黄増感剤として、チオ硫酸ナトリウム五水和物を使用した。金増感剤として、金チオグルコースを混合物が60℃にて熟成されるように使用した。混合物を40℃にて冷却した後、増感色素D(ハロゲン化銀1mol当たり6(10-4モル)、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール(ハロゲン化銀1mol当たり2(10-4モル)、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(ハロゲン化銀1mol当たり8(10-4モル)、および臭化カリウム(ハロゲン化銀1mol当たり7(10-3モル)をそれぞれ添加した。次に、得られた乳剤を乳剤1−G2として提供した。
【0102】
乳剤1−G2’の調製
乳剤1−G2’は、0.40μmの球相当直径および10%変動係数を有するブロモ−クロロ−ヨウ化銀立方体乳剤を得るために、Rhの量を得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり21.10-9molRhとなるように調整し、第一の調製ステップの温度を62℃に調製したことを除いて、乳剤1−G2と同様の方法で調製した。
【0103】
乳剤1−R2の調製
石灰処理ゼラチン3%水溶液(1,000ml)をpH 5.5、pC1 1.7に調整し、硝酸銀2.12モルを含有する水溶液および塩化ナトリウム2.2モルを含有する水溶液を上の溶液に40℃にて、激しく攪拌しながら同時に添加および混合した。硝酸銀の添加量が60%〜80%である期間中に、それが得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5.8(10-9モルとなるように、K3[RhBr6]を添加した。硝酸銀の添加量が80%〜100%である期間中に、それが得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり4.3モルとなるように、臭化カリウムを添加して激しく混合した。硝酸銀の添加量が80%〜90%である期間中に、Feの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり3(10-5モルとなるように、K4[Fe(CN)6]水溶液を添加した。硝酸銀の添加量が83%〜88%である期間中に、Irの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5(10-9モルとなるように、K2[IrCl6]水溶液を添加した。総硝酸銀の90%の添加が達成されたときに、Iの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり0.1mol%となるように、ヨウ化カリウム水溶液を添加した。硝酸銀の添加量が92%〜95%である期間中に、Irの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5(10-7モルとなるようにK2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]水溶液を添加した。さらに硝酸銀の添加量が95%〜98%である期間中に、Irの含有量が得られる乳剤中の総ハロゲン化銀1mol当たり5(10-7モルとなるようにK2[Ir(H2O)Cl5]水溶液を添加した。40℃にて脱塩工程を実施した後、石灰処理ゼラチン(168g)を添加し、pH 5.5、pCl 1.8に調整した。得られた粒子は、0.35μmの球相当直径および9%の変動係数を有するブロモ−クロロ−ヨウ化銀立方体乳剤である。
【0104】
チオスルホン酸ナトリウムを、その含有量がハロゲン化銀1mol当たり2(10-5モルとなるように40℃にて添加した。硫黄増感剤として、チオ硫酸ナトリウム五水和物を使用した。金増感剤として、ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)金(I)酸テトラフルオロホウ酸を使用した。続いて、最適化するために混合物を60℃にて熟成させた。混合物を40℃に冷却した後、増感色素H(ハロゲン化銀1mol当たり2(10-4モル),1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール(ハロゲン化銀1mol当たり2(10-4モル)、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(ハロゲン化銀1mol当たり8(10-4モル)、化合物I(ハロゲン化銀1mol当たり1(10−3モル)、および臭化カリウム(ハロゲン化銀1mol当たり7(10-3モル)をそれぞれ添加した。次に、得られた乳剤を乳剤1−R2として提供した。
【0105】
乳剤1−R2’の調製
乳剤1−R2’は、乳剤1−G2’は、0.40μmの球相当直径および10%変動係数を有するブロモ−クロロ−ヨウ化銀立方体乳剤を得るために、Rhを添加せずに、第一の調製ステップの温度を53℃に調製したことを除いて、乳剤1−R2と同様の方法で調製した。
【0106】
[実施例2]
実施例1.1の乳剤を使用して、ポリエチレンが両側面にラミネートされた紙支持体の表面がコロナ放電された写真紙を作製した。支持体は、本発明のサンプルを作製するために、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含有するゼラチン下塗り層を装備し、および以下で述べる各種の写真構成層がコーティングされた。写真構成層コーティング側面のポリエチレン積層体層に、K−1 3mg/m2、K−2 12mg/m2および14質量%の二酸化チタンを添加した。
【0107】
【化3】

【0108】
各層の組成を以下に示す。数字はコーティング量(g/m2)を示す。ハロゲン化銀乳剤の場合、コーティング量は、銀に関してである。
【0109】
第一層(青色感受性乳剤層)
0.62μmの平均0.25粒径を持つ小型乳剤1−B1’を有する、塩化臭化銀乳剤。粒径分布の偏差係数は0.10であり、乳剤は、基体が塩化銀より成る粒表面の一部に局所的に含有された臭化銀を0.33%有した。)
ゼラチン 1.35
カプラ(ExY−1) 0.41
イエローカプラ(ExY−2) 0.21
カラー画像安定剤(Cpd−1) 0.08
カラー画像安定剤(Cpd−2) 0.04
カラー画像安定剤(Cpd−3) 0.08
【0110】
第二層(カラー混合抑制層)
ゼラチン 0.95
カラー混合抑制剤(Cpd−4) 0.12
カラー画像安定剤(Cpd−6) 0.007
カラー画像安定剤(Cpd−7) 0.14
カラー画像安定剤(Cpd−13) 0.006
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(solv−2) 0.22
【0111】
第三層(緑色感受性乳剤層)
塩臭化銀乳剤(立方体、0.42/gymの0.12平均粒径を有する大型乳剤1−G1、および0.33μmの平均粒径を有する小型乳剤1−G1’の混合物(銀のmolに関して3:7)。粒径分布の偏差係数はそれぞれ、0.10および0.08であり、各乳剤はそれぞれ基体が塩化銀より成る粒表面の一部に局所的に含有された臭化銀を0.69mol%および0.81mol%を有した。)
【0112】
ゼラチン 1.20
マゼンタカプラ(ExM−1)) 1.10
マゼンタカプラ(ExM−2 0.05
紫外線吸収剤(UV1) 0.05
紫外線吸収剤(UV2) 0.02
紫外線吸収剤(UV−3) 0.02
紫外線吸収剤(UV4) 0.03
カラー画像安定剤(Cpd−2) 0.005
カラー画像安定剤(Cpd−4) 0.002
カラー画像安定剤(Cpd−7) 0.08
カラー画像安定剤(Cpd−8) 0.015
カラー画像安定剤(Cpd−9) 0.03
カラー画像安定剤(Cpd−10) 0.01
カラー画像安定剤(Cpd−11) 0.0001
カラー画像安定剤(Cpd−13) 0.004
溶媒(Solv−3) 0.10
溶媒(Solv−4) 0.19
溶媒(Sol−5) 0.17
【0113】
第四層(カラー混合抑制層)
ゼラチン 0.71
カラー混合抑制剤(Cpd−4) 0.09
カラー画像安定剤(Cpd−6) 0.005
カラー画像 鉄−画像 安定剤(Cpd−7) 0.10
カラー画像安定剤(Cpd−13) 0.004
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.16
【0114】
第五層(赤色感受性乳剤層)
塩臭化銀乳剤(立方体、0.41μmの0.18平均粒径を有する大型乳剤1−R1および0.34μmの平均粒径を有する小型乳剤1−R1’の混合物(銀のmolに関して6:4)。
粒径分布の偏差係数はそれぞれ0.09および0.08であった。
【0115】
ゼラチン 1.00
シアンカプラ(ExC−1) 0.05
シアンカプラ(ExC−2) 0.18
シアンカプラ(ExC−3) 0.024
紫外線吸収剤(UV1) 0.04
紫外線吸収剤(UV−3) 0.01
紫外線吸収剤(UV−4) 0.01
カラー画像安定剤(Cpd−1) 0.23
カラー画像安定剤(Cpd−9) 0.01
カラー画像安定剤(Cpd−12) 0.01
カラー画像安定剤(Cpd−13) 0.006
溶媒(Sole−6) 0.23
【0116】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.34
紫外線吸収剤(UV1) 0.08
紫外線吸収剤(UV−2) 0.03
紫外線吸収剤(UV−3) 0.03
紫外線吸収剤(UV−4) 0.02
紫外線吸収剤(UV 5) 0.01
紫外線吸収剤(UV−6) 0.03
溶媒(Solv−7) 0.10
【0117】
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ビニルアルコールのアクリル修飾コポリマー(修飾度:17%) 0.04
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−14) 0.01
界面活性剤(Cpd−15) 0.01
【0118】
【化4】

【0119】
【化5】

【0120】
【化6】

【0121】
【化7】

【0122】
さらに以下の化合物Iを赤色感受性乳剤層に、ハロゲン化銀1mol当たり2.6(10-3molの量で添加した。
【0123】
【化8】

化合物I

【0124】
さらに青色感受性乳剤層、緑色感受性乳剤層、および赤色感受性乳剤層に、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1mol当たりそれぞれ3.3(10-4mol、1.0(10-3mol、および5.9(10-4molの量で添加した。
【0125】
さらに第二層、第四層、第六層、および第七層に、それをそれぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2、および0.1mg/m2の量で添加した。
【0126】
さらに青色感受性乳剤層および緑色感受性乳剤層に、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンをハロゲン化銀1mol当たりそれぞれ1(10-4molおよび2(10-4molの量で添加した。
【0127】
赤色感受性乳剤層に、メタクリル酸およびアクリル酸ブチルのコポリマー(重量比1:1;平均分子量200,000〜400,000)を0.05g/m2の量で添加した。さらに第二層、第四層、および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸ジナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、および18mg/m2の量で添加した。
【0128】
さらに照射を中和するために、以下の色素を乳剤層に添加した(コーティング量をカッコ内に示す)。
【0129】
【化9】

【0130】
さらに各層にAb−1、Ab−2、Ab−3、およびAb−4を、総量がそれぞれ15.0mg/m2、60.0mg/m2、5.0mg/m2、および10.0mg/m2となるように添加した。
【0131】
1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウムを各層のゼラチン硬化剤として使用した。
【0132】
【化10】

【0133】
(Ab−4)
防腐剤a,b,c,dの1:1:1:1(モル比)での混合物

【0134】
[実施例3]
写真紙は、実施例の1.2の乳剤を以下の方法で使用したことを除いて、実施例2に示したのと同じ層構造および組成で作製した。
第一層(青色感受性乳剤層)1−B1’を1−B2に代えた。
第三層(緑色感受性乳剤層)1−G1および1−G1’を1−G2および1−G2’に代えた。
第五層(赤色感受性乳剤層)。
1−R1および1−R1’を1−R2および1−R2’に代えた。
実施例3の他の使用した構成要素は、実施例2と同じであった。
【0135】
[実施例4]
実施例2および実施例3の写真紙に、Frontier(富士写真フィルム株式会社製)を使用して露光時間10-4秒に渡って、感度測定のためのグラディエーション露光を受けさせて、以下に示すように処理した。現像サンプルのカラー密度を測定し、赤色感受性シアン着色層、緑色感受性マゼンタ着色層および青色感受性イエロー着色層に対応する10-4秒露光の感度測定を実施して、各層の特性曲線を得た。特性曲線の各部分で、図1および図2に示すように密度の関数としてグラデーションの曲線を得るために、グラデーションを測定した。
【0136】
図に示した固有の曲線を有する写真紙は、デジタル印刷機にて非常に良好な性能を有し、デジタル画像の品質に悪影響を及ぼすサブスキャンストリークをほとんど示さない。
【0137】
露光サンプルは以下のように処理した:
【0138】
【表1】

*補充率は、感光性材料1m2当たりの量であった。
【0139】
処理溶液の組成は以下の通りであった。
【表2】

【0140】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の例として、R、GおよびB層の密度の関数としてのガンマ(γ)を示す。
【図2】本発明の例として、R、GおよびB層の密度の関数としてのガンマ(γ)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー色素形成カプラを含有する少なくとも1つの青色(B)感受性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラを含有する少なくとも1つの緑色(G)感受性ハロゲン化銀乳剤層、そしてシアン色素形成カプラを含有する少なくとも1つの赤色(R)感受性ハロゲン化銀乳剤層をその上に備えた支持体を含む多層ハロゲン化銀カラー写真材料であって;
前記少なくとも1つの乳剤層の少なくとも1つが:
90mol%以上の塩化銀含有率を有する塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀および/または塩ヨウ化銀乳剤粒を含有し、
前記乳剤層の乳剤層の少なくとも1つが、
式I:[MXInI(6-n)m
(式中、MはCr、Mo、Ni、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Pd、IrまたはPtを表し;XIはハロゲンイオンを表し;LIは、XIとは異なる任意のリガンドを表し;nは3、4、5、または6を表し;mは4−、3−、2−、1−、0、または1+を表す)によって表される金属化合物から選択された化合物を、ハロゲン化銀1mol当たりの10-9〜10-6molの量で含み;
前記材料について、10-9〜10-4秒の露光時間でのデジタル露光の後、および乾燥時間30〜240秒で乾燥した現像の後、以下の感度特性が適用され:
D=1±0.1において、R、GおよびBについては2.7<γ<3.5
1〜0.8の密度でのγ変化は、1〜1.2の密度変化とR、GおよびBの0.3γ単位の精度以内で釣り合っており
1.3<D<1.5において、0.5γ単位以内でγR=γG=γBであり;
DはR、G、およびB層の密度を表し、γはある密度のグラデーションを表す;
多層ハロゲン化銀カラー写真材料
【請求項2】
前記乳剤粒が93%以上、好ましくは95%以上の塩化銀含有量を有する、請求項1に記載の写真材料。
【請求項3】
前記塩化銀または塩臭化銀、塩臭ヨウ化銀、塩ヨウ化銀乳剤がRhイオンを含む、請求項1に記載の写真材料。
【請求項4】
前記塩化銀または塩臭化銀、塩臭ヨウ化銀、塩ヨウ化銀乳剤が、Rhイオンまたは錯体に加えて、Cr、Mo、Ni、Re、Fe、Ru、Os、Ir、Co、Pd、またはPtから成る群より選択される1つ以上のイオンを含む、請求項3に記載の写真材料。
【請求項5】
少なくとも1つの乳剤層がロジウムを含まないハロゲン化銀粒を含有する上述の請求項に記載の写真材料。
【請求項6】
全乾燥乳剤の厚さが4〜9μmである上述の請求項に記載の写真材料。
【請求項7】
全ゼラチンレイダウンが4〜9g/m2である上述の請求項に記載の写真材料。
【請求項8】
使用したAgの全量が0.65〜0.20gAg/m2、さらに好ましくは0.60〜0.25gAg/m2である上述の請求項に記載の写真材料。
【請求項9】
処理の間の乾燥の乾燥時間が30〜120秒である上述の述請求項に記載の写真材料。
【請求項10】
支持体が紙基体および溶融押出ポリオレフィンまたはポリエステルの少なくとも1つの層を含む請求項1に記載のカラー写真材料。
【請求項11】
図1および図2に示したRGB感度曲線を本質に有する写真材料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−520492(P2006−520492A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507853(P2006−507853)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000183
【国際公開番号】WO2004/081661
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(598169815)フジ フォト フィルム ビー.ブイ. (12)
【氏名又は名称原語表記】Fuji Photo Film B.V.
【Fターム(参考)】