説明

ハンディキャップ算出カラオケシステム

【課題】カラオケシステムにより複数の利用者により曲当てクイズ(イントロゲーム)を行うにあたり、利用者間においてハンディキャップが付与されるようにし、ゲームの娯楽性を向上するようにする。
【解決手段】カラオケ端末が演奏した楽曲を複数の利用者が競って当てるゲームにおいて、利用者ID取得手段と、利用者別演奏度数管理手段と、利用者別ハンディキャップ算出手段とを有し、利用者別演奏度数管理テーブルから当該楽曲の演奏度数の利用者間におれる相対的差違に基づき、楽曲の正解時にハンディキャップを算出して付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲当てクイズ(イントロゲーム)のように演奏された楽曲の一部分を聴取して楽曲名の正解を複数の利用者が競うようにしたカラオケシステムにおいて、出題された楽曲について利用者間で演奏回数が異なる場合、利用者別にハンディキャップを与えることにより利用者間の公平を保つようにするものである。
【背景技術】
【0002】
演奏された楽曲の一部を聴取して楽曲名を正解する曲当てクイズは、出題された楽曲名を一番早く回答して正解数を競うものである。このようなゲームで出題される楽曲は、利用者の好みや得意の楽曲を選曲して出題されるものではなく、ランダムに選曲され、出題されている。このような手法に関して、特許文献1では、利用者に初級から上級までの出題レベルや出題楽曲のジャンルを選定させることにより、利用者がゲームを開始する際に比較的難易度の低い楽曲から出題できるようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−236765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明による場合は、利用者が出題レベルやジャンルを設定できたとしても、ゲーム機がランダムに選曲した楽曲により主題しているため、複数の利用者が競ってゲームを楽しむ場合には、良く知っている楽曲が出題された利用者は数多く正解できるが、全く知らない楽曲ばかり出題される利用者に関しては、回答することができないという不公正が生じる。
【0004】
このようなゲームがカラオケシステムを利用して行われていることは知られているが、娯楽性が高く要求されるカラオケシステムにおいては、複数の利用者がゲーム利用の楽しみを共有できることが望ましく、システムの機能価値を維持できることになる。ところが、正解が特定の利用者に偏る場合は、ゲーム性が乏しくなり、娯楽性を維持できなくなることから、利用頻度が低下してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、本発明におけるハンディキャップ算出カラオケシステムとは、カラオケ端末が演奏した楽曲を複数の利用者が正解を競って当てるゲームにおいて、利用者の得点のハンディキャップを設定するシステムである。即ち、利用者IDを取得して利用者を特定し、この利用者IDにて特定された利用者が選曲した楽曲の演奏度数を管理し、現にゲームを競っている任意の利用者につき、管理されている楽曲にゲームの正解曲が含まれている場合、その楽曲の演奏度数が利用者間で相対的に多いほどハンディキャップが大きくなるような、所定の換算テーブルあるいは計算アルゴリズムにもとづき、当該利用者による、当該楽曲の正解時のハンディキャップを算出するカラオケシステムを提供し、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のハンディキャップ算出カラオケシステムによれば、カラオケ端末の利用者別演奏度数を用いることにより、楽曲の一部分を数秒間流し、複数の利用者が正解を競って当てるゲームを行う場合には、当該利用者による当該楽曲の正解時のハンディキャップを自動的に算出することが可能となる。即ち、従来技術のように出題楽曲のレベルやジャンルを設定する必要はなく、且つ、出題楽曲がランダムに選曲されたとしても、利用者間での不公平が生じることがなく、公平に正解時の得点を競うことができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の最適な実施例を挙げ、詳細に説明する。図1は本発明を実施した通信タイプのカラオケシステムの概要を示す図であり、同図において、カラオケ装置1は内蔵の音源により生成された楽曲とマイクロホン2から入力した歌唱音声信号をミキシングして増幅器3により増幅し、スピーカシステム4からカラオケ伴奏音楽および歌唱音声が再生される。
【0008】
また、カラオケ装置1は画像信号をモニターテレビ5に出力し、歌詞テロップおよび背景画像を表示する。このカラオケ装置1は補助端末装置6から送られてくる赤外線コード信号を受信してリクエストされた楽曲の予約登録を行うなど、カラオケ演奏に必要な様々な機能を処理する。
【0009】
利用者ID取得手段7(補助端末装置6のクレードル型充電器を兼務)には、利用者IDカードCのデータ入力部6aが備えられ、利用者IDカードCをこのデータ入力部6aに接触させると、利用者IDカードCに記録されている利用者IDデータがカラオケ装置1を経てカラオケホストセンター100に転送される。
【0010】
図2はカラオケ装置1のハードウエア構成を示すブロック図であり、同図において、中央制御部11は内部にCPU、RAM、ROMを含むマイコンであり、制御/データバス50を介してこれに接続された各構成要素と信号の授受を行い、システム全体の統括および制御を行う。前記中央制御部11はハードディスク装置(HDD)13に格納されている演奏データを読み出す。この演奏データはMIDI形式により記述されたカラオケ伴奏音楽の起源となる音楽生成データ、あるいは、MP3形式により圧縮保存した生音録音データと、そのカラオケ楽曲の演奏に同期して表示する歌詞やその文字の属性(表示位置、表示色、表示/消去のタイミングなど)を記述した歌詞描画データとを含んでいる。
【0011】
中央制御部11は、GUI機能を備えた補助端末装置6とカラオケ装置1との間でデータの送受信を行うためのリモコン受信機15や、利用者がカラオケ装置1に直接手入力を行うための操作パネル16からリクエスト楽曲のIDを操作制御部17を経由して受け取る。その入力順とIDとを対応付けてRAM29に格納し、楽曲演奏予約登録を行う。
【0012】
そして、予約順に従って該当するカラオケ楽曲の演奏データなどをハードディスク装置13から読み出し、演奏データ中のMIDIデータをシンセサイザ18に転送すると、シンセサイザ18はこのMIDIデータに従って内蔵音源を制御し、カラオケ伴奏音楽を生成する。シンセサイザ18が出力するカラオケ伴奏音楽の演奏信号は、ミキサー19でマイクロホン2からの歌唱音声信号と混合されて出力し、スピーカシステム4を駆動して音響出力が得られる。
【0013】
一方、カラオケ伴奏音楽の生成処理に同期し、歌詞画像となるビットマップ画像をビデオRAM22に展開する。映像制御部23は、このビットマップ画像をビデオディスク装置24から出力される背景画像にスーパーインポーズする処理を行ってモニターテレビ5に画像出力する。
【0014】
即ち、カラオケ装置1は通信機能を備えるもので、中央制御部11は通信制御部12を制御し、情報通信ネットワークNを介してカラオケホストセンター100に接続することによりデータ通信が可能となる。カラオケホストセンター100はカラオケ楽曲を蓄積した楽曲データサーバ100aおよび、利用者属性データを蓄積した管理データサーバ100bを備え、クライアントであるカラオケ装置1との間で各種データの授受が行われる。そして、カラオケホストセンター100から配信された演奏データなどはハードディスク装置13に格納され、中央制御部11の制御に基づいて読み出される。
【0015】
前記管理データサーバ100bには、利用者がカラオケ事業者の会員システムに登録した際の利用者属性データ、即ち、住所、氏名、生年月日などが蓄積され、前述のようにして特定の利用者IDデータがカラオケホストセンター100に転送されると、利用者別属性情報管理手段(図示省略)は、当該カラオケ装置1に対し当該利用者の生年月日データ(年齢情報を含む)利用者属性データの送信をする。カラオケホストセンター100から送信された利用者属性データは、現に、本カラオケ装置1にログインしている利用者につき、RAM29に送られ管理される。
【0016】
そして、本発明における利用者別演奏度数管理手段25は、カラオケホストセンターに設置されており、任意のカラオケ装置1にて利用者IDが取得されると、補助端末装置6にて所定の手順により、利用者毎にそのIDを紐つけして選曲を行い、当該楽曲が演奏されると、その利用者IDと楽曲IDとを組み合わせて演奏度数「1」がカウントされ、当該利用者がログアウトした後、その情報が当該カラオケホストセンター100の利用者別演奏度数管理テーブルTに楽曲毎に記録される。
【0017】
このように、利用者ID毎かつ楽曲別に演奏度数が記録されており、任意の利用者が任意のカラオケ装置1にてその利用者IDが取得されてシステムへのログインが完了すると、利用者別演奏度数取得手段27は、上記利用者別演奏度数管理テーブルTから、当該ログイン利用者別に、予め設定されている課題曲があれば、そのデータはカラオケ装置1内に設定されたRAM29の利用者別演奏度数取得テーブルtとしてダウンロードする。そして、所定の課題曲が演奏され、任意の利用者が回答を正解すると、ハンディキャップ算出手段26は、後述する如く、そのテーブルtの情報に基づき、現にログインしている利用者間における演奏度数の相対的差違に基づき、その利用者に与えるハンディキャップを算出するものである。
【0018】
図3は、利用者別演奏度数の記録処理の流れを示すもので、まず、利用者が補助端末装置6のデータ入力部6aに利用者IDカードCを接触してログインすることにより、利用者IDデータが読み込まれ利用者IDが取得される(ステップSa1)。次に、利用者IDを取得したことにより特定された利用者が、当該楽曲を予約、即ち、利用者IDを付帯した楽曲を登録することにより(ステップSa2)、特定された利用者が選曲を行ったこととなり、当該登録した楽曲が演奏されると(ステップSa3)、その演奏度数は、楽曲毎に一時的にカラオケ装置1内に設定されたRAM29に記録される(ステップSa4)。そして、当該利用者の利用者IDが消去されたならば(ステップSa5)、カラオケ装置1に記録されている演奏度数を、カラオケホストセンター100の利用者別演奏度数管理テーブルTに転送し(ステップSa6)、利用者別の演奏度数の記録処理を終了する(ステップSa7)。
【0019】
次に図4は、当該利用者別の演奏度数を用いてハンディキャップを算出する処理を示すもので、利用者IDを取得し(ステップSa8)、イントロゲームの選択が受理されると(ステップSa9)、利用者別の演奏度数を、カラオケホストセンター100の利用者別演奏度数管理テーブルTから、図5に示すような各利用者の過去の楽曲の演奏度数(同図の例では、年間度数)が、カラオケ装置1のRAM29内の、利用者別演奏度数取得テーブルtにダウンロードされる(ステップSa10)。
【0020】
そして、カラオケ装置1にて予め設定されている課題曲の中からランダムに選曲され(ステップSa11)、選曲された課題曲の中に当該利用者別演奏度数取得テーブルtについて記録されている各利用者の過去の演奏楽曲が含まれている場合には(ステップSa12)、当該利用者別演奏度数取得テーブルtから、当該各利用者の過去の演奏楽曲の演奏度数を抽出し各利用者間の演奏度数を比較する換算テーブル図6が作成される(ステップSa13)。
【0021】
このようにして、当該課題曲に対しての換算テーブルが作成された後に、複数の利用者の中から特定の最先の利用者が回答した楽曲名が正解であると判断されると(ステップSa14)、当該利用者のハンディキャップが算出される(ステップSa15)。このハンディキャップの算出は、図6の換算テーブルに基づいてなされるもので、例えば、同図における利用者のA〜Eにおいて、利用者Aが最も演奏頻度が多く、利用者Cが最も少ないことを示す。
【0022】
そこで、最も演奏度数の多い利用者Aが最先の正解者となった場合、ハンディキャップ40を付与し、100点満点において60点と得点表示する(ステップSa16)。この場合、得点表示とともに図6の換算テーブルを数値情報化してモニターテレビ5に同時に表示することにより、ゲームの公平性を顕示することができる。
【0023】
このようにしてゲームが進行されることから、例えば、利用者Cが最先の正解者となった場合は、ハンディキャップは0であることから100点満点の得点が得られることになる。したがって、利用者B、D、Eにおいても同様に、その演奏度数から算出されるハンディキャップに基づいて得点が算出され、その算出結果に基づいて総合得点が集計されることになる。
【0024】
上記の説明では、ハンディキャップの算出に換算テーブルを用いて行うようにしているが、計算アルゴリズムによる計算処理により行うことも可能である。例えばこの場合は、最も低い演奏度数と最も高い演奏度数を基準にし、直線比例計算処理を行う計算プログラムを設定することにより、ハンディキャップ値を演奏度数に比例した値とすることもできる。また、対数比例計算を行う計算プログラムを設定することにより、図7に示すように演奏度数の相違により付与されるハンディキャップの値を変更することができる。
【0025】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、曲当てクイズにおいて正解者が特定の利用者に偏る場合においても、ハンディキャップが自動的に付与されるようになるので、ゲームの公平性が保たれ、娯楽性を高く維持することができるなど、本発明特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のシステムの概要を示す図である。
【図2】図1のシステムのハードウエア構成を示す図である。
【図3】本発明におけるデータ処理の流れを示す図である。
【図4】本発明におけるデータ処理の流れを示す図である。
【図5】利用者別演奏度数管理テーブルの例を示す図である。
【図6】本発明におけるデータ処理の態様の例を示す図である。
【図7】本発明におけるデータ処理の態様の例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・・・カラオケ装置
2・・・・・・マイクロホン
3・・・・・・増幅器
4・・・・・・スピーカシステム
5・・・・・・モニターテレビ
6・・・・・・補助端末装置
6a・・・・・データ入力部
7・・・・・・利用者ID取得手段
11・・・・・中央制御部
12・・・・・通信制御部
13・・・・・ハードディスク
15・・・・・リモコン受信部
16・・・・・操作パネル
17・・・・・操作制御部
18・・・・・シンセサイザ
19・・・・・ミキサー
22・・・・・ビデオRAM
23・・・・・映像制御部
24・・・・・ビデオディスク装置
29・・・・・RAM
50・・・・・制御/データバス
100・・・・カラオケホストセンター
100a・・・楽曲データサーバ
100b・・・管理データサーバ
N・・・・・・情報通信ネットワーク
C・・・・・・利用者IDカード
T・・・・・・利用者別演奏度数管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ端末が演奏した楽曲を複数の利用者が競って当てるゲームにおいて、利用者毎の得点のハンディキャップを設定するシステムであって、利用者ID取得手段と、利用者別演奏度数管理手段と、利用者別ハンディキャップ算出手段とを有し、
(ア)利用者ID取得手段とは、利用者IDを取得して利用者を特定するものであり、
(イ)利用者別演奏度数管理手段とは、前記利用者IDにて特定された利用者が選曲した楽曲の演奏度数を、利用者別演奏度数管理テーブルにて管理するものであり、
(ウ)利用者別ハンディキャップ算出手段とは、現に所定の出題曲にてゲームを競っている複数の任意の利用者につき、前記利用者別演奏度数管理テーブルから当該楽曲の演奏度数の利用者間における相対的差違に基づき、楽曲の正解時に利用者に与えるハンディキャップを算出するもの、
であることを特徴とするハンディキャップ算出カラオケシステム。
【請求項2】
利用者別ハンディキャップ算出手段におけるハンディキャップの算出が換算テーブルに基づいてなされるようにしたことを特徴とする請求項1記載のハンディキャップ算出カラオケシステム。
【請求項3】
利用者別ハンディキャップ算出手段におけるハンディキャップの算出が計算アルゴリズムに基づきなされるようにしたことを特徴とする請求項1記載のハンディキャップ算出カラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−109852(P2009−109852A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283495(P2007−283495)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】