説明

ハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置

【課題】 読み取り作業時以外にハンディタイプのバーコードリーダを作業台等の上に置くと、作業台上での他の作業の邪魔になるばかりでなく、作業台からの落下によるバーコードリーダの損壊等のおそれがある。
【解決手段】 バーコードリーダを吊下げて保持するように保持装置10が構成されている。すなわち、吊下げ保持装置10は、引き戻し力を有してなり、その吊下げ端部14aが引き戻し力に抗して引き下げ操作可能に垂下された吊下げ部材14と、市販のハンディタイプバーコードリーダ12を着脱可能に保持する保持具16とを備えて構成されている。そして、吊下げ部材の吊下げ端および保持具の一方が他方に設けられたフック32の係合可能な係合孔34を有し、フック、係合孔間の係合によって保持具16を吊下げ部材14の吊下げ端部14aに保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販のハンディタイプのバーコードリーダを作業位置近傍に保持するに適したハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、自動車部品の生産ライン等では、特開平4−192088号公報等に開示のような外形形状を持つハンディタイプのバーコードリーダを用い、部品や製品毎に表示されたバーコードラベルから当該部品の管理番号や仕様情報等を読み取ることにより、当該部品、製品等を管理することが一般的に行われている(特開平5−101071号公報等参照)。
【特許文献1】特開平4−192088号公報
【特許文献2】特開平5−101071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
把持しての作業が主となるハンディタイプのバーコードリーダは、読み取り作業時以外は作業台等の上に無造作に置かれることが多い。しかし、このような作業台上等へのバーコードリーダの放置は、作業台上での他の作業の邪魔になるばかりでなく、作業台からの落下によるバーコードリーダの損壊等のおそれがあるため、その置き場所に注意を払う必要があり、作業性を低下させている。
【0004】
なお、バーコードリーダの機種によっては、専用の置き台等のオプションも存在するが、読み取り作業の都度、置き台に戻す作業にも手間が掛かり、作業性の低下を十分に防止できない。
【0005】
本発明は、市販のハンディタイプバーコードリーダを作業位置近傍に保持し、かつ読み取り作業を容易に行なえるハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的のために、請求項1に係る本発明のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置は、引き戻し力を有してなり、その吊下げ端が引き戻し力に抗して引き下げ操作可能に垂下された吊下げ部材と、バーコードリーダを着脱可能に保持する保持具とを備え、吊下げ部材の吊下げ端および保持具の一方が、他方に設けられたフックの係合可能な係合孔を有し、フック、係合孔間の係合により保持具を吊下げ部材の吊下げ端に保持している。
【0007】
また、本発明の請求項2では、保持具が、頭部を上方に位置させた縦姿勢でハンディタイプバーコードリーダを保持可能に形成されるとともに、フック、係合孔のうちの保持具に配されたいずれか一方が保持具を縦姿勢で吊下げ可能に保持具の上端に配置している。
【0008】
そして、本発明の請求項3では、保持具が、ハンディタイプバーコードリーダの把持部を巻装し包持する把持部包持体と、当該ハンディタイプバーコードリーダの頭部を巻装し包持する頭部包持体との一体的な組み合わせてなり、頭部包持体がその上端に連結片を一体に有し、連結片にフックおよび係合孔のいずれか一方が設けられている。
【0009】
また、本発明の請求項4では、連結片がハトメによりなる係合孔を有して形成され、係合孔に係合可能なフックが吊下げ部材の吊下げ端に設けられている。
【0010】
さらに、本発明の請求項5では、保持具の把持部包持体が着脱可能な連結手段により平面状に展開可能に形成されている。
【0011】
そして、本発明の請求項6では、保持具の把持部包持体が、ハンディタイプバーコードリーダの把持部下端から延びて上方に向けて折り返されたケーブルを把持部と一体的に包持可能に形成されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明のハンディタイプバーコードリーダの吊り下げ保持装置によれば、バーコードリーダを作業台等の上に放置する必要がないため、他の作業の邪魔になることはなく、また作業台からの落下等の危惧もないことから、作業性ばかりでなくその安全性も十分に確保できる。
【0013】
そして、把持部包持体、頭部包持体によるバーコードリーダ各部の巻装、包持により、バーコードリーダを保持すれば足りるため、保持具に対するバーコードリーダの着脱が容易に行える。従って、バーコードリーダの交換作業や、保持具の交換作業が容易に行える。
【0014】
また、本発明の請求項2によれば、縦姿勢でのバーコードリーダの吊下げ保持するため、吊下げ状態からの作業者による把持部の把持が容易となるため、バーコードリーダでの読み取り作業時の作業性が一層向上される。
【0015】
さらに、本発明の請求項3によれば、ハンディタイプバーコードリーダの保持の容易な保持具が、構成の複雑化等を伴うことなく容易に確保できる。
【0016】
また、本発明の請求項4によれば、挿通孔の保護がハトメによって確実に可能となるため、耐久性に優れた保持具が容易に提供できる。
【0017】
そして、本発明の請求項5によれば、保持具に対するバーコードリーダの着脱が容易に可能となるため、バーコードリーダの交換作業や、保持具の交換作業が一層容易に行える。
【0018】
さらに、本発明の請求項6によれば、構成の複雑化等を伴うことなくケーブルの処理が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ハンディタイプバーコードリーダを保持具により保持し、この保持具を吊下げ部材の吊下げ端に連結、保持することにより、バーコードラベルの読み取り作業を行う作業位置近傍でハンディタイプバーコードリーダを吊下げ保持している。
【実施例】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について詳細に説明する。
図1はハンディタイプバーコードリーダ(以下、単に「バーコードリーダ」という)を吊下げ保持した状態での本発明の一実施例に係るハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置(以下、単に「吊下げ保持装置」という)の概略側面図を示す。
【0021】
図1に示すように、本発明においては、吊下げ保持装置10は、吊下げ部材14と保持具16とを備えて構成されている。ここでいうバーコードリーダ12は、縦軸態様の把持部12aの上部に、バーコード読み取り面13を前面に有した頭部12bを一体に有してなる一般的な形態のものを指す。なお、このバーコードリーダ12は市販のものであり、この発明の趣旨でないため、このバーコードリーダの詳細な説明は省略する。
【0022】
吊下げ部材14としては、たとえばワイヤ等が例示でき、この吊下げ部材の吊下げ端部14aは、バーコードリーダ12によるバーコードラベルの読み取り作業を行う作業近傍位置に垂下、保持される。
【0023】
この吊下げ部材14には、ばね等の付勢力、あるいは錘等による矢印方向の引き戻し力が付与されており、たとえば係止手段(図示しない)等により作業者の上方で容易に牽引可能な高さに保持されている。
【0024】
そして、この発明においては、バーコードリーダ12を着脱可能に保持する保持具16が、この吊下げ部材の吊下げ端部14aに、たとえば、バーコードリーダの縦姿勢で保持するように設けられている。
【0025】
図2は、把持部包持体を平面展開した状態での保持具の概略平面図を示す。図1に加えて図2を見るとわかるように、保持具16は、バーコードリーダの把持部12aを巻装し包持する把持部包持体16aと、バーコードリーダの頭部12bを巻装し包持する頭部包持体16bとを、縫合等により一体的に組み合わせて形成されている。なお、この保持具16の素材としては、伸縮性を持たない布材等が例示でき、図1、図2中の参照符号18が、把持部包持体16aと頭部包持体16bとの縫合部を示す。
【0026】
たとえば、頭部包持体16bは、バーコードリーダ頭部12bの読み取り面13の挿通される挿通孔22を持ち、バーコードリーダの頭部12bをその読み取り面13側から挿入可能とする略筒状に予め形成されている。そして、頭部包持体16bは、縦姿勢でのバーコードリーダ12の保持を可能にその上端に吊下げ部材の吊下げ端部14aとの連結に利用される連結片20を一体に有している。
【0027】
また、この実施例においては、把持部包持体16aは、着脱可能な連結手段24により平面状に展開可能に形成されている。この連結手段24として、たとえばオスメス一対のベルクロテープ(商標)が例示でき、図2に示すように、横方向でその一端の表面と、他端の裏面とにベルクロテープのオスメスがそれぞれたとえば縫合で取付けられ、ベルクロテープのオスメスの連結により、バーコードリーダの把持部12aを巻装し包持する筒状をなすように構成されている。
【0028】
なお、図1、図2中の参照符号26は、バーコードリーダ把持部12aの操作スイッチ28の挿通される挿通孔を示す。図2に示すように、読み取り面13の挿通孔22は頭部包持体16bの中央部分に、操作スイッチ28の挿通孔26はバーコードリーダ把持部12aの中央部分にいずれも形成されている。
【0029】
ここで、この保持具の把持部包持体16aは、図1に示すように、バーコードリーダ把持部12aの下端に延出されて上方に折り返されたケーブル30をバーコードリーダ把持部と一体的に包持できる形状にすることが好ましい。
【0030】
このような構成の保持具16は、吊下げ部材の吊下げ端部14aに対し、フック32、係合孔34間の係合により連結されている。
【0031】
すなわち、フック32が吊下げ部材の吊下げ端部14aに設けられ、このフックの係合可能な係合孔34が、保持具の頭部包持体16bの連結片20に設けられている。連結片の係合孔34は、たとえば、ハトメ36により形成される。
【0032】
なお、図1に示すように、把持部包持体16aでの包持により上方に延びたケーブル30を、吊下げ部材の吊下げ端部14aに対し結束バンド38等により結束することが好ましい。
【0033】
このような吊下げ保持装置10によるバーコードリーダ12の吊下げ保持によれば、バーコードリーダが縦姿勢において吊下げ保持できるため、作業者による把持部12aの把持が容易に可能になる。そして、作業者はバーコードリーダの把持部12aを把持し、引き戻し力に抗して引き下げれば、作業者に最適な位置で部品、製品等のバーコードラベルを読み取ることができ、読み取り作業が容易に行なえる。
【0034】
上記のように、この発明のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置10を用いることにより、バーコードリーダ12を作業台等の上に放置する必要がないため、他の作業の邪魔になることはなく、また作業台からの落下等の危惧もないことから、作業性ばかりでなく、その安全性も十分に確保できる。
【0035】
そして、把持部包持体16a、頭部包持体16bによるバーコードリーダ12各部の巻装、包持により、バーコードリーダを保持すれば足りるため、保持具16に対するバーコードリーダの着脱が容易に行える。従って、バーコードリーダ12の交換作業や、保持具16の交換作業も容易に行える。
【0036】
ここで、この実施例においては、保持具16がバーコードリーダ12を縦姿勢で吊下げ保持可能に具体化されているが、これに限定されず、たとえば、傾斜状態等で吊下げ保持可能とする構成としてもよい。しかしながら、このような縦姿勢でのバーコードリーダ12の吊下げ保持であれば、吊下げ状態からの作業者による把持部12aの把持が容易となるため、バーコードリーダでの読み取り作業時の作業性が一層向上される。
【0037】
また、吊下げ部材の吊下げ端部14aにフック32を、保持具16に係止孔34をそれぞれ設けているが、これとは逆に、吊下げ部材の吊下げ端部に係止孔を、保持具にフックをそれぞれ設ける構成としてもよい。
【0038】
さらに、ハトメ36によって連結片の挿通孔34を形成すれば、挿通孔が確実に保護され、耐久性に優れた保持具16が得られる。
【0039】
また、保持具の把持部包持体16aを、ベルクロテープ等の着脱可能な連結手段24により平面状に展開可能に形成すれば、保持具16に対するバーコードリーダ12の着脱が容易に可能となる。そのため、バーコードリーダ12の交換作業や、保持具16の交換作業が一層容易に行える。
【0040】
なお、連結手段24としてベルクロテープを例示しているが、これに限定されず、ボタンとボタン孔との組み合わせやファスナ等を利用してもよい。
【0041】
そして、保持具の把持部包持体16aをバーコードリーダの把持部12a下端から延びて上方に向けて折り返されたケーブル30を当該把持部と共に一体的に包持可能に形成すれば、構成の複雑化等を伴うことなくケーブルの処理が容易に行える。
【0042】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、市販のバーコードリーダの外観形状に合わせて保持具を形成することにより広範囲に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ハンディタイプバーコードリーダを保持した状態での本発明の一実施例に係るハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置の概略側面図を示す。
【図2】把持部包持体を平面展開した状態での保持具の概略平面図を示す。
【符号の説明】
【0045】
10 ハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置
12 ハンディタイプバーコードリーダ
14 吊下げ部材
16 保持具
16a 保持具の把持部包持体
16b 保持具の頭部包持体
20 連結片
24 連結手段
32 フック
34 係合孔
36 ハトメ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にバーコード読み取り面を有した頭部を縦軸態様の把持部の上部に一体に有したハンディタイプのバーコードリーダをバーコードラベルの読み取り作業を行う作業位置近傍に吊下げて保持するハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置であり、
引き戻し力を有してなり、その吊下げ端が引き戻し力に抗して引き下げ操作可能に垂下された吊下げ部材と、バーコードリーダを着脱可能に保持する保持具とを備え、
吊下げ部材の吊下げ端および保持具の一方が、他方に設けられたフックの係合可能な係合孔を有し、フック、係合孔間の係合により保持具を吊下げ部材の吊下げ端に保持するハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置。
【請求項2】
保持具が、頭部を上方に位置させた縦姿勢でハンディタイプバーコードリーダを保持可能に形成されるとともに、フック、係合孔のうちの保持具に配されたいずれか一方が保持具を縦姿勢で吊下げ可能に保持具の上端に配置された請求項1記載のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置。
【請求項3】
保持具が、ハンディタイプバーコードリーダの把持部を巻装し包持する把持部包持体と、ハンディタイプバーコードリーダの頭部を巻装し包持する頭部包持体との一体的な組み合わせてなり、
頭部包持体がその上端に連結片を一体に有し、連結片にフックおよび係合孔のいずれか一方が設けられた請求項1または2記載のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置。
【請求項4】
連結片がハトメによりなる係合孔を有して形成され、係合孔に係合可能なフックが吊下げ部材の吊下げ端に設けられた請求項2または3記載のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置。
【請求項5】
保持具の把持部包持体が着脱可能な連結手段により平面状に展開可能に形成された請求項3または4記載のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置。
【請求項6】
保持具の把持部包持体が、ハンディタイプバーコードリーダの把持部下端から延びて上方に向けて折り返されたケーブルを把持部と一体的に包持可能に形成された請求項3ないし5のいずれか記載のハンディタイプバーコードリーダの吊下げ保持装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−301454(P2009−301454A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157507(P2008−157507)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】