説明

ハンドラー及び部品検査装置

【課題】簡易な構成で効率よく搬送対象を搬送することのできるハンドラー、及び該ハンドラーを備える部品検査装置を提供する。
【解決手段】ハンドラーは、基台11上にて搬送対象を搬送する搬送部34を少なくとも1つ備え、該搬送部34は、搬送対象を把持する複数の把持部52a,53aの各々を昇降させる複数の第1昇降部52,53と、これら複数の第1昇降部52,53の全体を昇降させる1つの第2昇降部51とを有する。搬送対象の接続先への接続にあたっては、上記複数の第1昇降部52,53のうちの一部は下降駆動され、残りの第1昇降部は上昇駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象を搬送するハンドラー、及び該ハンドラーを備える部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品の電気的特性を検査する部品検査装置においては、所定のトレイと検査用ソケットとの間で検査前や検査後の電子部品を搬送するハンドラーが用いられている。このようなハンドラーとしては、例えば特許文献1に記載のように、電子部品を所定の位置から検査用ソケットまで搬送した後に電子部品を検査用ソケットに嵌め込む搬送ユニットを2つ備えるものが知られている。
【0003】
上記特許文献1に記載のハンドラーでは、一方の搬送ユニットが検査用ソケット上で電子部品の押圧を行い部品検査装置に備えられたテスターによって検査が行われている間に、他方の搬送ユニットが検査後の電子部品の排出と検査前の電子部品の供給とを行い、2つの搬送ユニットが交互に電子部品を検査に供するようにしている。しかし、このようなハンドラーでは、一方の搬送ユニットが電子部品を検査に供している時間よりも他方の搬送ユニットが電子部品の排出および供給を行っている時間の方が長くなるために、部品検査装置による電子部品の検査を効率よく行うことができないという問題があった。
【0004】
そこで、従来から、例えば図18に示されるようなハンドラーが提案されている。図18は、ハンドラーの側面構造を示す側面図であり、テスターにて一度に処理することの可能な電子部品の個数に対し、その4倍の個数の電子部品が把持される搬送ユニットを示す図である。
【0005】
図18(a)に示されるように、搬送ユニット100には、それぞれが独立して昇降可能な4つの昇降機構100a〜100dが一つの方向に配列され、4つの昇降機構の各々の下端部には、テスターにて一度に処理することの可能な個数の電子部品110a〜110dが把持されている。そして、図18(b)に示されるように、まず、4つの昇降機構のうち、該昇降機構の配列方向における先端の昇降機構100aが、それの下端部を下降して電子部品110aを押圧により検査用ソケット120に嵌め込み、電子部品110aを検査に供する。次いで、この電子部品110aの検査が終了すると、該電子部品110aを把持した昇降機構100aが上昇し、図18(c)に示されるように、先端の昇降機構100aに隣接する他の昇降機構100bが、検査用ソケット120の直上に配置されるように、搬送ユニット100の全体が水平方向に移動する。続いて、昇降機構100bの下降により電子部品110bが検査に供され、以後、他の昇降機構100c,100dについても同様の動きが繰り返される。これにより、搬送ユニットにおける電子部品の排出や供給が途中に挟まれることなく、互いに異なる複数の検査単位の電子部品を1つの搬送ユニットによって検査に供することが可能となる。そして、このような搬送ユニットを複数備えるハンドラーが部品検査装置に用いられることによって、該部品検査装置における検査効率が高められることにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−148307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図18に示されるハンドラーにおいては、昇降機構における下端部が所定の範囲で昇降されるような機構を、4つの昇降機構のそれぞれに設けることが必要となる。さらには、昇降機構に把持された電子部品が検査用ソケットに嵌め込まれる程度の大きな押圧力で、該電子部品が押圧されるような機構を、4つの昇降機構のそれぞれに設けることが必要となる。そのため、昇降機構の構成が昇降方向の全体にわたり複雑になることは当然のこと、搬送ユニットの大きさや重量の増大が避けられない結果、電子部品の搬送に際しては、搬送ユニットの移動速度の低下、ひいては搬送効率の低下を招くこととなっている。なお、こうした問題は、図18に示されるような搬送ユニットを備えるハンドラーにおいては、その搬送ユニットの数によらず共通したものとなっている。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で効率よく搬送対象を搬送することのできるハンドラー、及び該ハンドラーを備える部品検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様の一つは、基台上にて搬送対象を搬送する搬送部を少なくとも1つ備えるハンドラーにおいて、前記搬送部は、搬送対象を把持する複数の把持部の各々に連結されて該複数の把持部の各々を前記基台に対して昇降させる複数の第1昇降部と、前記複数の第1昇降部の全てに連結されて該複数の第1昇降部の全体を前記基台に対して昇降させる1つの第2昇降部とを有する。
【0010】
本発明の態様の一つによれば、複数の第1昇降部に対して、それらを昇降させる第2昇降部が1つであるため、搬送対象の昇降する範囲が維持されるという前提では、搬送部としての構成が簡易なものとなる。また、搬送部の大きさや重量が低減できるため、搬送対象の搬送に際しての搬送部の移動速度を向上させることが可能となり、効率よく搬送対象を搬送することができるようになる。
【0011】
本発明の態様の一つは、前記搬送部の搬送を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記複数の第1昇降部のうちの一部を下降駆動し、残りの前記第1昇降部を上昇駆動する。
本発明の態様の一つによれば、残りの第1昇降部が下降駆動されたり、残りの第1昇降部が駆動されなかったりする昇降の態様と比べて、複数の第1昇降部の各々の位置が、昇降方向にて互いに離れることとなる。それゆえに、一つの把持部が下降する方向に、その下降の障害となるような部位が基台上にある場合であっても、こうした部位との干渉が避けられるように、該把持部のみが上昇駆動され、且つ他の把持部が下降駆動されることが可能にもなる。したがって、上述のような干渉が起こりえる部位にも搬送対象を搬送することが可能になるため、搬送対象を搬送することができる範囲を基台上にて広げることが可能にもなる。
【0012】
本発明の態様の一つは、前記搬送部の搬送を制御する制御部を備え、前記搬送部は、4つ以上の前記第1昇降部を備え、前記制御部は、互いに隣接する前記第1昇降部の昇降状態が互いに異なるように、前記複数の第1昇降部を駆動する。
【0013】
本発明の態様の一つによれば、搬送対象が下降する先となる基台上の複数の部位が、互いに間隔をあけて配置されている場合であっても、このような間隔が一つの第1昇降部の幅に相当するものであれば、こうした下降先となる複数の部位へ一度に搬送対象を下降させることが可能にもなる。そのため、効率よく搬送対象を搬送することができるようになる。
【0014】
本発明の態様の一つは、前記第1昇降部及び前記第2昇降部は各別のモーターにより駆動される。
本発明の態様の一つによれば、第1昇降部及び第2昇降部をモーターによって電動駆動することにより、搬送部の各部の駆動について、高速駆動やアーチ駆動を行うことが可能となる。したがって、効率よく搬送対象を搬送することができるようになる。
【0015】
本発明の態様の一つは、前記搬送部の搬送を制御する制御部と、2つの前記搬送部とを備え、前記制御部は、一方の前記搬送部による搬送対象の該搬送対象の接続先への接続動作が終了するまでに、他方の前記搬送部を前記一方の搬送部に隣接して待機させる。
【0016】
本発明の態様の一つによれば、2つの搬送部が連続して接続先へ搬送対象を接続することができるようになり、効率よく搬送対象を搬送することができるようになる。
本発明の態様の一つは、基台の開口部に取り付けられた検査用ソケットを有するテスターと、前記基台上にて電子部品を前記検査用ソケットへ搬送する少なくとも1つの搬送部とを備える部品検査装置において、前記搬送部は、電子部品を把持する複数の把持部の各々に連結されて該複数の把持部の各々を前記検査用ソケットに対して昇降させる複数の第1昇降部と、前記複数の第1昇降部の全てに連結されて該複数の第1昇降部の全体を前記検査用ソケットに対して昇降させる1つの第2昇降部とを有する。
【0017】
本発明の態様の一つによれば、部品検査装置が備える搬送部に関し、複数の第1昇降部に対して、それらを昇降させる第2昇降部が1つであることから、電子部品の昇降する範囲が維持されるという前提では、搬送部としての構成が簡易なものとなる。また、搬送部の大きさや重量が低減できるため、電子部品の搬送に際しての搬送部の移動速度を向上させることが可能となる。したがって、効率よく電子部品を搬送することができるようになり、ひいては、部品検査装置としての検査効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における第1の実施形態のハンドラーが搭載された部品検査装置の全体構成を示す構成図。
【図2】同実施形態のハンドラーの端面構造を模式的に示す端面図。
【図3】同実施形態のハンドラーの電気的構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態のハンドラーにおける作動態様について、(a)は搬送ユニットのY方向の位置の推移、(b)は第1昇降機構のZ方向の位置の推移、(c),(d)は把持部のZ方向の位置の推移を示すタイミングチャート。
【図5】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図6】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図7】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図8】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図9】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図10】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図11】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図12】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図13】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図14】本発明における第2の実施形態のハンドラーの作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図15】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図16】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図17】同実施形態の作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【図18】(a)〜(c)は、従来のハンドラーの作動態様における搬送ユニットの配置を示す端面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明のハンドラー及び部品検査装置を具体化した第1の実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。まず、ハンドラー、及び該ハンドラーを備える部品検査装置の構成について図1及び図2を参照して説明する。
[ハンドラー及び部品検査装置の構成]
図1に示されるように、ハンドラー10の基台11には、各種ロボットの搭載される搭載面11aが上面として設けられ、該搭載面11aの大部分が、カバー部材12によって覆われている。これらカバー部材12と搭載面11aとにより囲まれた空間である搬送空間は、外部から供給されるドライエアーにより湿度と温度とが所定の値に維持されている。
【0020】
基台11の搭載面11aには、一つの方向に延びる4つのコンベアーが、該コンベアーの搬送方向と直交する方向に配列されている。4つのコンベアーのうち、コンベアーの配列方向であるX方向の一方側には、1つの供給用コンベアーC1が敷設され、X方向の他方側には、3つの回収用コンベアーC2,C3,C4が敷設されている。そして、供給用コンベアーC1では、供給用コンベアートレイC1aが、カバー部材12の外側から内側に向かって運ばれる。また、回収用コンベアーC2,C3,C4では、回収用コンベアートレイC2a,C3a,C4aが、カバー部材12の内側から外側に向かって運ばれる。なお、供給用コンベアートレイC1aには、搬送対象である検査前の複数の電子部品Tが収容され、また、回収用コンベアートレイC2a,C3a,C4aには、検査後の複数の電子部品Tが収容されている。なお、本実施形態の供給用コンベアートレイC1a及び回収用コンベアートレイC2a,C3a,C4aには、X方向に3列、Y方向に2列の電子部品Tがマトリクス状に収容される。
【0021】
上記基台11の搭載面11a上には、X方向において互いに向い合う供給ロボット20と回収ロボット40とが搭載されている。供給ロボット20は、供給用コンベアーC1のY方向に配置され、また、回収ロボット40は、回収用コンベアーC2,C3,C4のY方向に配置されている。
【0022】
供給ロボット20は、Y方向に延びる固定軸である供給側固定ガイド21と、供給側固定ガイド21に連結された可動軸である供給側可動ガイド22と、供給側可動ガイド22に連結され、且つ供給側可動ガイド22に沿って移動する供給用ハンドユニット23とを有している。
【0023】
供給側可動ガイド22は、供給側固定ガイド21から回収ロボット40側へ延びる可動軸であって、供給側固定ガイド21に対し、Y方向に往動及び復動可能に連結されている。供給用ハンドユニット23は、供給側可動ガイド22の搭載面11a側に配置されたエンドエフェクターであって、供給側可動ガイド22に対し、X方向に往動及び復動可能に連結されている。また、供給用ハンドユニット23は、供給側可動ガイド22から搭載面11aに向けた下降と、搭載面11a側から供給側可動ガイド22に向けた上昇とが可能に、供給側可動ガイド22に連結されている。
【0024】
そして、供給側可動ガイド22が、供給側固定ガイド21に沿って供給用コンベアーC1側へ移動するとともに、供給用ハンドユニット23が、供給側可動ガイド22に沿って供給用コンベアートレイC1aの上方にまで移動する。これにより、供給用コンベアートレイC1aに載置された電子部品Tが、供給用ハンドユニット23の吸着パットに吸着され、その後、供給用コンベアートレイC1aから持ち上げられる。また、この状態から、供給側可動ガイド22が、供給側固定ガイド21に沿って供給用コンベアーC1上から離れることによって、供給用ハンドユニット23に吸着された電子部品Tが、上述した搬送空間内の所定の位置へ供給される。なお、本実施形態の供給用ハンドユニット23は、複数の電子部品を同時に吸着保持する。
【0025】
回収ロボット40は、供給ロボット20と同じく、Y方向に延びる固定軸である回収側固定ガイド41と、回収側固定ガイド41に連結された可動軸である回収側可動ガイド42と、回収側可動ガイド42に連結され、且つ回収側可動ガイド42に沿ってX方向に移動する回収用ハンドユニット43とを有している。
【0026】
回収側可動ガイド42は、回収側固定ガイド41から供給ロボット20側へ延びる可動軸であって、回収側固定ガイド41に対し、Y方向に往動及び復動可能に連結されている。回収用ハンドユニット43は、回収側可動ガイド42の搭載面11a側に配置されたエンドエフェクターであって、回収側可動ガイド42に対し、X方向に往動及び復動可能に連結されている。また、回収用ハンドユニット43は、回収側可動ガイド42から搭載面11aに向けた下降と搭載面11a側から回収側可動ガイド42に向けた上昇とが可能に、回収側可動ガイド42に連結されている。
【0027】
そして、回収側可動ガイド42が、回収側固定ガイド41に沿って回収用コンベアーC2,C3,C4側へ移動するとともに、回収用ハンドユニット43が、回収側可動ガイド42に沿って、回収用コンベアートレイC2a,C3a,C4aの上方にまで移動する。これにより、回収用ハンドユニット43の吸着パットに吸着された電子部品Tが、回収用コンベアートレイC2a,C3a,C4aに載置される。なお、本実施形態の回収用ハンドユニット43は、供給用ハンドユニット23と同様、複数の電子部品を同時に吸着保持する。
【0028】
また、カバー部材12の内側面には、Y方向に延びる搬送ガイド31が、該内側面におけるX方向の略中央に固定されている。この搬送ガイド31における両端部の下方には、X方向に延びる第1シャトル32と、同じくX方向に延びる第2シャトル35とが配設されている。
【0029】
第1シャトル32は、搭載面11aに固設されたX方向に延びる第1シャトルガイド32cに連結されてX方向に沿って往動及び復動する。第1シャトル32における上記供給ロボット20側には、第1供給トレイとしての供給用シャトルトレイ32aが固定され、また、第1シャトル32における上記回収ロボット40側には、第1回収トレイとしての回収用シャトルトレイ32bが固定されている。供給用シャトルトレイ32aには、搬送対象である検査前の複数の電子部品Tが収容され、また、回収用シャトルトレイ32bには、検査後の複数の電子部品Tが収容される。
【0030】
そして、第1シャトル32は、供給用シャトルトレイ32aが供給側可動ガイド22の下に配置され、且つ回収用シャトルトレイ32bが搬送ガイド31の下に配置される位置である供給位置に配置される。また、第1シャトル32は、供給用シャトルトレイ32aが搬送ガイド31の下に配置され、且つ回収用シャトルトレイ32bが回収側可動ガイド42の下に配置される位置である回収位置にも配置される。そして、第1シャトル32は、供給位置と回収位置との間をX方向に沿って往動及び復動する。すなわち、第1シャトル32は、供給用ハンドユニット23によって供給用シャトルトレイ32aに電子部品Tの供給が可能な供給位置と、回収用ハンドユニット43によって回収用シャトルトレイ32bから電子部品の回収が可能な回収位置との間を往復する。
【0031】
第2シャトル35は、これもまた、搭載面11aに固設されたX方向に延びる第2シャトルガイド35cに連結されてX方向に沿って往動及び復動する。第2シャトル35における上記供給ロボット20側には、第2供給トレイとしての供給用シャトルトレイ35aが固定され、また、第2シャトル35における上記回収ロボット40側には、第2回収トレイとしての回収用シャトルトレイ35bが固定されている。供給用シャトルトレイ35aには、搬送対象である検査前の複数の電子部品Tが収容され、また、回収用シャトルトレイ35bには、検査後の複数の電子部品Tが収容される。
【0032】
そして、第2シャトル35は、供給用シャトルトレイ35aが供給側可動ガイド22の下に配置され、且つ回収用シャトルトレイ35bが搬送ガイド31の下に配置される位置である供給位置に配置される。また、第2シャトル35は、供給用シャトルトレイ35aが搬送ガイド31の下に配置され、且つ回収用シャトルトレイ35bが回収側可動ガイド42の下に配置される位置である回収位置にも配置される。そして、第2シャトル35は、供給位置と回収位置との間をX方向に沿って往動及び復動する。すなわち、第2シャトル35は、供給用ハンドユニット23によって供給用シャトルトレイ35aに電子部品Tの供給が可能な供給位置と、回収用ハンドユニット43によって回収用シャトルトレイ35bから電子部品Tの回収が可能な回収位置との間を往復する。
【0033】
また、本実施形態の供給用シャトルトレイ32a,35a及び回収用シャトルトレイ32b,35bには、X方向に3列、Y方向に2列の電子部品Tがマトリクス状に収容される。すなわち、供給用シャトルトレイ32a,35aは、供給用ハンドユニット23による電子部品Tの供給をそれぞれ1回ずつ受けることにより電子部品Tで満載される。また回収用シャトルトレイ32b,35bは、回収用ハンドユニット43による電子部品Tの回収をそれぞれ1回ずつ受けることにより全ての電子部品Tが回収される。
【0034】
また、搭載面11aのうち、搬送空間の略中央には、搭載面11aを貫通する矩形状の開口部45が形成されている。この開口部45には、部品検査装置に備えられるテスターのテストヘッド33が取り付けられている。テストヘッド33は、その上面に電子部品Tが嵌め込まれる検査用ソケットを有しており、該電子部品Tを検査するためのテスター内の検査回路に電気的に接続されている。
【0035】
テストヘッド33の上面に取り付けられた検査用ソケットには、X方向に3列、Y方向に1列の電子部品Tを同時に収容することの可能な検査用ポケット33aが凹設され、また、検査用ポケット33aの底面には、電子部品Tの雄端子と嵌合可能な複数の雌端子が凹設されている。そして、電子部品Tの有する雄端子が検査用ポケット33aの雌端子に嵌め込まれることによって、電子部品Tの電気的特性がテスターにより検査可能になる。テスターは、ハンドラー10から検査開始を示す電気的な信号を受けて電子部品Tの検査を開始し、その検査結果をハンドラー10に出力する。
【0036】
また、上記搬送ガイド31には、搬送部としての第1搬送ユニット34と、搬送部としての第2搬送ユニット36とが連結されている。
これら第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の構成について、図2を参照して詳述する。なお、第1搬送ユニット34と第2搬送ユニット36とは、搬送ガイド31における連結位置や移動先となるシャトルが互いに異なるものの、互いに異なる2種類の昇降部を有して電子部品Tを昇降させる態様は同様であるため、以下では、第1搬送ユニット34の構成について主に説明し、第2搬送ユニット36のうち、第1搬送ユニット34の構成と重複する点に関しては、その説明を割愛する。また、図2は、第1搬送ユニット34の周辺構造を供給ロボット20側からみた端面図であり、第1シャトル32の直上に第1搬送ユニット34が配置された状態を示している。
【0037】
図2に示されるように、搬送ガイド31には、該搬送ガイド31に沿って往動及び復動可能に、第2昇降機構51が連結されている。この第2昇降機構51の下端部には、搭載面11aに沿って広がる板状の連結部が形成され、該連結部における搭載面11a側には、2つの第1昇降機構52,53が共通して連結されている。
【0038】
第2昇降機構51の下端部である連結部には、2つの第1昇降機構52,53の各々の駆動源である第1昇降モーター52M,53Mが内蔵されている。そして、第1昇降モーター52Mが正転あるいは逆転されることにより、第1昇降機構52の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降し、第1昇降モーター53Mが正転あるいは逆転されることにより、第1昇降機構53の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降する。
【0039】
第2昇降機構51の上部には、第2昇降機構51の駆動源である第2昇降モーター51Mが内蔵されている。そして、第2昇降モーター51Mが正転あるいは逆転されることにより、第2昇降機構51の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降する。すなわち、第2昇降モーター51Mが駆動されることにより、2つの第1昇降モーター52M,53M、2つの第1昇降機構52,53の全体が上昇あるいは下降する。
【0040】
2つの第1昇降機構52,53の下端部には、例えば真空吸着によって電子部品Tを吸着して把持することの可能なエンドエフェクターである把持部52a,53aがそれぞれ連結されている。なお、把持部52a,53aは、例えばノズル、該ノズルに接続された吸引ポンプ、該ノズルに圧縮空気を供給するリークバルブ等に接続されている。また、本実施形態において、各把持部52a,53aは、それぞれがX方向に3列、Y方向に1列の電子部品Tを同時に把持可能に構成されている。すなわち、第1搬送ユニット34は、2つの把持部52a,53aを有することにより、テスターが1回に検査可能な電子部品の2倍の個数の電子部品Tを把持可能となっている。
【0041】
なお、これら第2昇降機構51、第2昇降モーター51M、第1昇降機構52,53、及び第1昇降モーター52M,53Mにより第1搬送部が構成されている。また、第2昇降機構51及び第2昇降モーター51Mにより第1搬送部における第2昇降部が構成され、第1昇降機構52,53、及び第1昇降モーター52M,53Mにより第1搬送部における第1昇降部が構成されている。
【0042】
また、第2搬送ユニットにおける第2昇降機構、第2昇降モーター、第1昇降機構、及び第1昇降モーターにより第2搬送部が構成されている。また、第2搬送ユニットにおける第2昇降機構及び第2昇降モーターにより第2搬送部における第2昇降部が構成され、第2搬送ユニットにおける第1昇降機構、及び第1昇降モーターにより第2搬送部における第1昇降部が構成されている。
[ハンドラー及び部品検査装置の電気的構成]
次に、ハンドラー及び部品検査装置の電気的構成について、ハンドラー10の電気的構成を中心に図3を参照して説明する。上記ハンドラー10に備えられた制御部を構成する制御装置60は、中央処理装置(CPU)、不揮発性メモリー(ROM)、及び揮発性メモリー(RAM)を有するマイクロコンピューターを中心に構成されている。制御装置60は、上記ROM及びRAMに格納された各種データ及びプログラムに基づいて、ハンドラー10の動作にかかわる各種制御を行う。
【0043】
制御装置60には、コンベアーモーターMCを回転駆動させるコンベアー駆動部61が電気的に接続されている。コンベアー駆動部61には、コンベアーモーターMCの回転位置を検出するエンコーダーEMCが接続されている。コンベアー駆動部61は、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーEMCから入力されたコンベアーモーターMCの回転位置とに基づいて、コンベアーモーターMCの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流をコンベアーモーターMCに出力する。コンベアーモーターMCは、上記駆動電流に応じた回転を行うことで、上記コンベアーC1〜C4を駆動する。なお、上記コンベアー駆動部61及びコンベアーモーターMCは、コンベアーC1〜C4毎に設けられ、また、エンコーダーEMCは各コンベアーモーターMCに対して設けられている。すなわち、制御装置60は、各コンベアーC1〜C4の動作を互いに独立させた態様で制御する。
【0044】
また、制御装置60には、X軸モーターMXを回転駆動させるX軸ガイド駆動部62が電気的に接続されている。X軸ガイド駆動部62には、X軸モーターMXの回転位置を検出するエンコーダーEMXが接続されている。X軸ガイド駆動部62は、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーEMXから入力された回転位置とに基づいて、X軸モーターMXの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流をX軸モーターMXに出力する。X軸モーターMXは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、上記ハンドユニット23,43を可動ガイド22,42に沿って往動及び復動させる。なお、上記X軸ガイド駆動部62及びX軸モーターMXは、供給用ハンドユニット23及び回収用ハンドユニット43の各々に対して設けられ、また、エンコーダーEMXは、各X軸モーターMXに対して設けられている。
【0045】
制御装置60には、Y軸モーターMYを回転駆動させるY軸ガイド駆動部63が接続されている。Y軸ガイド駆動部63には、Y軸モーターMYの回転位置を検出するエンコーダーEMYが接続されている。Y軸ガイド駆動部63は、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーEMYから入力された回転位置とに基づいて、Y軸モーターMYの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流をY軸モーターMYに出力する。Y軸モーターMYは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、上記可動ガイド22,42を固定ガイド21,41に沿って往動及び復動させる。なお、上記Y軸ガイド駆動部63及びY軸モーターMYは、供給側可動ガイド22及び回収側可動ガイド42の各々に対して設けられ、また、エンコーダーEMYは、各Y軸モーターMYに対して設けられている。
【0046】
制御装置60には、ハンドモーター駆動部64aとバルブ駆動部64bとを有するハンドユニット駆動部64が接続されている。このうち、ハンドモーター駆動部64aには、ハンドモーターMZの回転位置を検出するエンコーダーEMZが接続されている。ハンドモーター駆動部64aは、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーEMZから入力された回転位置とに基づいて、ハンドモーターMZの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流をハンドモーターMZに出力する。ハンドモーターMZは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、上記ハンドユニット23,43を上昇及び下降させる。
【0047】
バルブ駆動部64bには、ハンドユニット23,43の先端に設けられた吸引バルブSV1とリークバルブDV1とが接続されている。バルブ駆動部64bは、制御装置60から入力された吸引バルブSV1の開閉指令に基づいて、吸引バルブSV1の駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を吸引バルブSV1に出力する。吸引バルブSV1は、入力された上記駆動信号に応じた開閉動作を行うことで、所定の吸引力により上記電子部品Tを吸引する。また、バルブ駆動部64bは、制御装置60から入力されたリークバルブDV1の開閉指令に基づいて、リークバルブDV1の駆動信号を生成するとともに、該駆動信号をリークバルブDV1に出力する。リークバルブDV1は、入力された上記駆動信号に応じた開閉動作を行うことで、吸着パットから圧縮空気を送る。なお、上記ハンドユニット駆動部64、ハンドモーターMZ、吸引バルブSV1、及びリークバルブDV1は、供給用ハンドユニット23及び回収用ハンドユニット43の各々に対して設けられ、また、エンコーダーEMZは、ハンドモーターMZの各々に対して設けられている。すなわち、制御装置60は、供給用ハンドユニット23の動作と回収用ハンドユニット43の動作とを互いに独立させた態様で制御する。
【0048】
また、制御装置60には、シャトルモーターMSを回転駆動させるシャトル駆動部65が接続されている。シャトル駆動部65には、シャトルモーターMSの回転位置を検出するエンコーダーEMSが接続されている。シャトル駆動部65は、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーEMSから入力された回転位置とに基づいて、シャトルモーターMSの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流をシャトルモーターMSに出力する。シャトルモーターMSは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、上記ガイド32c,35cに沿ってシャトル32,35をスライドさせる。なお、上記シャトル駆動部65及びシャトルモーターMSは、第1シャトル32及び第2シャトル35の各々に対して設けられ、また、エンコーダーEMSは、各シャトルモーターMSに対して設けられている。すなわち、制御装置60は、第1シャトル32の動作と第2シャトル35の動作とを互いに独立させた態様で制御する。
【0049】
また、制御装置60には、搬送モーター駆動部66a、2つの第1昇降モーター駆動部66b、66c、第2昇降モーター駆動部66d、及び2つのバルブ駆動部66e,66fを有した搬送ユニット駆動部66が接続されている。
【0050】
搬送モーター駆動部66aには、搬送モーターMAの回転位置を検出するエンコーダーEMAが接続されている。搬送モーター駆動部66aは、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーEMAから入力された回転位置とに基づいて、搬送モーターMAの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流を搬送モーターMAに出力する。搬送モーターMAは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、上記第2昇降機構51そのものを上記搬送ガイド31に沿って往動及び復動させる。なお、上記搬送モーター駆動部66aは、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられ、また、エンコーダーEMAも、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられている。
【0051】
第1昇降モーター駆動部66bには、第1昇降モーター52Mの回転位置を検出するエンコーダーE52Mが接続されている。第1昇降モーター駆動部66bは、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーE52Mから入力された回転位置とに基づいて、第1昇降モーター52Mの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流を第1昇降モーター52Mに出力する。第1昇降モーター52Mは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、第1昇降機構52の下端部を基台11に対して上昇及び下降させる。なお、上記第1昇降モーター駆動部66bは、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられ、また、エンコーダーE52Mも、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられている。
【0052】
第1昇降モーター駆動部66cには、第1昇降モーター53Mの回転位置を検出するエンコーダーE53Mが接続されている。第1昇降モーター駆動部66cは、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーE53Mから入力された回転位置とに基づいて、第1昇降モーター53Mの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流を第1昇降モーター53Mに出力する。第1昇降モーター53Mは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、第1昇降機構53の下端部を基台11に対して上昇及び下降させる。なお、上記第1昇降モーター駆動部66cは、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられ、また、エンコーダーE53Mも、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられている。
【0053】
このように、制御装置60は、第1昇降モーター52Mの駆動と第1昇降モーター53Mの駆動とを互いに独立させた態様で制御する。
第2昇降モーター駆動部66dには、第2昇降モーター51Mの回転位置を検出するエンコーダーE51Mが接続されている。第2昇降モーター駆動部66dは、制御装置60から入力された位置指令と、エンコーダーE51Mから入力された回転位置とに基づいて、第2昇降モーター51Mの駆動電流を生成するとともに、該駆動電流を第2昇降モーター51Mに出力する。第2昇降モーター51Mは、入力された上記駆動電流に応じた回転を行うことで、第2昇降機構51の下端部を基台11に対して上昇及び下降させる。なお、上記第2昇降モーター駆動部66dは、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられ、また、エンコーダーE51Mも、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられている。
【0054】
バルブ駆動部66eには、第1昇降機構52の把持部52aに設けられた吸引バルブSV2とリークバルブDV2とが接続されている。バルブ駆動部66eは、制御装置60から入力された吸引バルブSV2の開閉指令に基づいて、吸引バルブSV2の駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を吸引バルブSV2に出力する。そして、吸引バルブSV2は、入力された上記駆動信号に応じた開閉動作を行なうことで、所定の吸引力により上記電子部品Tを吸引する。また、バルブ駆動部66eは、制御装置60から入力されたリークバルブDV2の開閉指令に基づいて、リークバルブDV2の駆動信号を生成するとともに、該駆動信号をリークバルブDV2に出力する。そして、リークバルブDV2は、入力された上記駆動信号に応じた開閉動作を行なうことで、第1昇降機構52の把持部52aから圧縮空気を送る。なお、吸引バルブSV2及びリークバルブDV2は、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられており、また、バルブ駆動部66eも、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられている。
【0055】
バルブ駆動部66fには、第1昇降機構53の把持部53aに設けられた吸引バルブSV3とリークバルブDV3とが接続されている。バルブ駆動部66fは、制御装置60から入力された吸引バルブSV3の開閉指令に基づいて、吸引バルブSV3の駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を吸引バルブSV3に出力する。そして、吸引バルブSV3は、入力された上記駆動信号に応じた開閉動作を行なうことで、所定の吸引力により上記電子部品Tを吸引する。また、バルブ駆動部66fは、制御装置60から入力されたリークバルブDV3の開閉指令に基づいて、リークバルブDV3の駆動信号を生成するとともに、該駆動信号をリークバルブDV3に出力する。そして、リークバルブDV3は、入力された上記駆動信号に応じた開閉動作を行なうことで、第1昇降機構53の把持部53aから圧縮空気を送る。なお、吸引バルブSV3及びリークバルブDV3は、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられており、また、バルブ駆動部66fも、第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の各々に対して設けられている。
【0056】
すなわち、制御装置60は、第1搬送ユニット34の動作と第2搬送ユニット36の動作とを互いに独立させた態様で制御する。
また、制御装置60には、テスター69が電気的に接続される。制御装置60は、第1搬送ユニット34もしくは第2搬送ユニット36によって電子部品Tがテストヘッド33の検査位置に配置されたときに、テスター69に対して検査を開始することを示す信号を出力する。テスター69は、検査開始信号を受けることで電子部品Tの検査を開始し、検査が終了するとその検査結果とともに検査の終了を示す信号を制御装置60に出力する。
[ハンドラーの作動態様]
次に、上述した構成のハンドラー10の作動態様について、第1搬送ユニット34の作動態様を中心に図4〜図13を参照して説明する。以下に説明する動作は全て、制御装置60からの各種指令に基づき各駆動部により行われる。
【0057】
なお、第1搬送ユニット34の作動態様について、図4(a)には第1搬送ユニット34の基台11に対するY方向の位置の推移が、図4(b)には第2昇降モーター51Mの駆動による第1昇降機構52,53の基台11に対するZ方向の位置の推移が模式的に示されている。同様に、図4(c)には、第1昇降モーター52Mの駆動による把持部52aの基台11に対するZ方向の位置の推移が、図4(d)には、第1昇降モーター53Mの駆動による把持部53aの基台11に対するZ方向の位置の推移が模式的に示されている。また、図5〜図13には、図4に示される各タイミングにおける第1搬送ユニット34の配置が示されている。
【0058】
まず、第1搬送ユニット34は、第1シャトル32上で供給用シャトルトレイ32aにある検査前の電子部品Tを一括して把持部52a,53aのそれぞれに把持した後、タイミングT1でY方向に第1検査位置まで移動する。この第1検査位置は、第1昇降機構52の把持部52aに把持される電子部品Taが、テストヘッド33の検査用ポケット33aの直上に配置される位置である(図5参照)。このタイミングT1にて、第2昇降機構51の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター52M,53Mは、Z方向におけるそれの可動範囲の最上位置に配置されている。また、第1昇降機構52,53の下端部、すなわち該下端部に連結された把持部52a,53aは、Z方向におけるそれの可動範囲の中間位置に配置されている。
【0059】
次に、タイミングT2では、第1昇降モーター52Mが駆動されることにより、該第1昇降モーター52Mの駆動による把持部52aの可動範囲のうち、把持部52aは最下位置まで下降する。また、この際、第1昇降モーター53Mが駆動されることにより、該第1昇降モーター53Mの駆動による把持部53aの可動範囲のうち、把持部53aは最上位置まで上昇する(図6参照)。
【0060】
続いて、タイミングT3では、第2昇降モーター51Mが駆動されることにより、第2昇降機構51の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター52M,53Mがその可動範囲の最下位置まで下降する。これに伴い、把持部52a,53aも共に下降することとなり、把持部52aに把持された電子部品Taのみがテストヘッド33の検査用ポケット33aに嵌め込まれる(図7参照)。そして、第1昇降モーター52M及び第2昇降モーター51Mの駆動により電子部品Taが押圧され、電子部品Taがテスター69による検査に供される。このとき、把持部53aが把持部52aよりも上方に配置されるため、把持部53aに把持された電子部品Tbがテストヘッド33やその周辺の各種部品と干渉することを抑えることが可能となる。
【0061】
テスター69による電子部品Taの検査が終了すると、タイミングT4では、第2昇降モーター51Mが駆動されることにより、第2昇降機構51の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター52M,53Mが上昇する(図8参照)。このとき、第2昇降機構51の下端部はその可動範囲の最上位置までは上昇せず、第2昇降機構51の下端部の上昇とともに上昇する電子部品Taが、検査用ポケット33aから抜き出され、且つテストヘッド33やその周辺の各種部品に干渉しない程度の位置となるまで上昇するようにしている。これにより、第2昇降機構51の下端部が移動する距離、及び第2昇降機構51の下端部が移動する時間を短縮することができる。
【0062】
次に、タイミングT5では、第1搬送ユニット34は、Y方向に第2検査位置まで移動する。この第2検査位置は、第1昇降機構53の把持部53aに把持される電子部品Tbが、テストヘッド33の検査用ポケット33aの直上に配置される位置である(図9参照)。
【0063】
続いて、タイミングT6では、第1昇降モーター52Mが駆動されることにより、第1昇降モーター52Mの駆動による把持部52aの可動範囲のうち、把持部52aは最上位置まで上昇する。この際、第1昇降モーター53Mが駆動されることにより、第1昇降モーター53Mの駆動による把持部53aの可動範囲のうち、把持部53aは最下位置まで下降する(図10参照)。
【0064】
次に、タイミングT7では、第2昇降モーター51Mが駆動されることにより、第2昇降機構51の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター52M,53Mがその可動範囲の最下位置まで下降する。これに伴い、把持部52a,53aも共に下降することとなり、把持部53aに把持された電子部品Tbのみがテストヘッド33の検査用ポケット33aに嵌め込まれる(図11参照)。そして、第1昇降モーター53M及び第2昇降モーター51Mの駆動により電子部品Tbが押圧され、電子部品Tbがテスター69による検査に供される。このとき、把持部52aが把持部53aよりも上方に配置されるため、把持部52aに把持された電子部品Taがテストヘッド33やその周辺の各種部品に干渉することを抑えることが可能となる。
【0065】
このようにして、第1搬送ユニット34に把持される電子部品Ta,Tbが順に部品検査装置による検査に供されることとなる。
ここで、上述のように第1搬送ユニット34によって電子部品Tが検査に供されている間の第2搬送ユニット36の作動態様について説明する。
【0066】
第1搬送ユニット34によって電子部品Tが検査に供されている間に、第2搬送ユニット36は、回収用シャトルトレイ35bに検査後の電子部品Tを排出し、供給用シャトルトレイ35aから検査前の電子部品Tを供給する(図5〜図11では便宜上その詳細な図示を割愛している)。電子部品Tの供給が完了すると、図12に示されるように、第2搬送ユニット36は、第1搬送ユニット34に接近した後、第2搬送ユニット36のY方向における可動範囲のうち、第1搬送ユニット34に最も近い位置で待機する。
【0067】
続いて、第1搬送ユニット34に把持される電子部品Ta,Tbの検査が全て終了した後の第1搬送ユニット34及び第2搬送ユニット36の作動態様について説明する。
テスター69による電子部品Tbの検査が終了すると、先の図4に示されるように、第1搬送ユニット34においては、第2昇降モーター51Mが駆動されることにより、第2昇降機構51の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター52M,53Mがその可動範囲の最上位置まで上昇する。さらに、第1昇降モーター52Mが駆動されることにより、把持部52aが先の中間位置まで下降するとともに、第1昇降モーター53Mが駆動されることにより、把持部53aが先の中間位置まで上昇する。そして、タイミングT8では、第1搬送ユニット34は、Y方向に第1シャトル32上まで移動する。このとき、第1搬送ユニット34に隣接して待機していた第2搬送ユニット36は、第1搬送ユニット34の移動と同期して移動する。そして、第2搬送ユニット36は、Y方向における所定の位置、すなわち第2搬送ユニット36が把持する電子部品Tのうち、最初に検査対象となる電子部品Tがテストヘッド33の検査用ポケット33aの直上となる位置まで移動する(図13参照)。
【0068】
引き続き、上述の第1搬送ユニット34の場合と同様に、第2搬送ユニット36によって電子部品Tを検査に供するための動作が行われるとともに、第1搬送ユニット34では、検査後の電子部品Tの排出と検査前の電子部品Tの供給が行われる。こうして、一方の搬送ユニットが電子部品を検査に供している間に、他方の搬送ユニットでは電子部品Tの排出と供給が行われることが繰り返されることとなる。
【0069】
このように、搬送ユニット34,36では、各々が把持部52a,53aを有する2つの第1昇降機構52,53及びその各々に対応する2つの第1昇降モーター52M,53Mに対し、それら全体が1つの第2昇降モーター51Mの駆動によって昇降される。そのため、第1昇降機構52,53の全体を昇降させる昇降機構が、1つの第2昇降機構51によって共通化されている分、搬送ユニット34,36の構成が簡易なものとなり、また、搬送ユニット34,36の大きさや重量が低減される。それゆえに、電子部品Tの搬送に際しての搬送ユニット34,36の移動速度の向上も図られることとなる。
【0070】
また、搬送ユニット34,36の各々が2つの把持部52a,53aを備え、各把持部52a,53aに把持された電子部品Tが検査に供されるにあたり、検査対象となる電子部品Tを把持する把持部が下降し、他方の把持部が上昇する。これにより、搬送ユニット34,36の各々によって、途中に電子部品Tの排出と供給を挟むことなく電子部品Tを複数回検査に供することが可能となるため、テストヘッド33への電子部品Tの搬送の効率化が図られる。
【0071】
さらに、一方の搬送ユニットが電子部品Tを検査に供している間に、他方の搬送ユニットは検査前の電子部品Tを把持し、その後、動作中の搬送ユニットに隣接して待機するようにしている。これによっても、テストヘッド33への電子部品Tの搬送の効率化を図ることができる。なお、この待機中の搬送ユニットについては、最初の検査対象となる電子部品Tを把持する把持部を下降させ、他方の把持部を上昇させる動作を完了した上で待機するようにすると、電子部品Tの搬送をより効率よく行うことが可能となる。
【0072】
また、テスター69にて合計4回の検査が行われるにあたり、それぞれが2つの把持部52a,53aを有する2つの搬送ユニット34,36がテストヘッド33の両側に配置される。そのため、図18に示された4つの把持部を有する1つの搬送ユニットを用いて電子部品Tを検査に供する構成と比べて、検査に必要とされる搬送ユニット1つあたりのY方向の搬送距離を小さくすることが可能である。したがって、図13に示されるように、第1シャトル32と第2シャトル35との間の幅W1を小さくすることが可能となり、ハンドラー10全体を小型化することができる。
【0073】
ちなみに、同図13に示されるように、2つの第1昇降機構52,53の間の間隔d1が小さいほど、搬送ユニット34,36の小型化が可能になるとともに、上記幅W1をより小さくすることも可能である。そのため、搬送ユニット34,36のテストヘッド33への電子部品Tの搬送動作における搬送ユニット34,36の搬送距離及び搬送時間を短縮するうえでは、上記間隔d1は、2つの第1昇降機構52,53の各々の昇降に支障がない範囲で最小値であることが好ましい。
【0074】
なお、上述の第1搬送ユニット34の作動態様の説明においては、便宜上、第1搬送ユニット34のY方向の移動、第2昇降機構51における下端部のZ方向の移動、第1昇降機構52,53における下端部のZ方向の移動のそれぞれについて、1つの方向の移動が終了してから次の方向の移動が開始されるものとした。しかし、互いに異なる方向の移動を同時に行うようにすれば、搬送ユニット34,36の搬送にかかる時間を短縮することが可能となる。この場合、第1搬送ユニット34における把持部52a,53aの移動する軌跡はアーチ状となる。
【0075】
また、2つの搬送ユニット34,36の各々は、2つの把持部52a,53a及び各々に対応する第1昇降モーター52M,53Mを備えることとしたが、3つ以上の把持部及び各々に対応する第1昇降モーターを備えるようにしてもよい。この場合、各把持部に把持した電子部品Tを検査に供する際には、検査対象となる電子部品Tを把持する1つの把持部を下降させ、残りの把持部を上昇させるように、各々の把持部に対応する第1昇降モーターを駆動する。そして、こうした把持部の昇降を搬送ユニット34,36のY方向への移動に合わせて行うことにより、電子部品Tを順次検査に供するようにする。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)ハンドラー10の搬送ユニット34,36が、電子部品Tを把持する複数の把持部52a,53aの各々を昇降させる複数の第1昇降モーター52M,53Mと、該複数の第1昇降モーター52M,53Mの全体を昇降させる1つの第2昇降モーター51Mとを有するようにした。したがって、第1昇降モーター52M,53M及び第1昇降機構52,53の全体に対して、それらを昇降させる第2昇降モーター51Mが1つであるため、搬送ユニットとしての構成が簡易なものとなる。また、搬送ユニットの大きさや重量が低減できるため、電子部品Tの搬送に際しての搬送ユニットの移動速度の向上が可能となり、効率よく電子部品Tを搬送することができるようになる。
【0077】
(2)制御装置60の制御により、複数の第1昇降モーター52M,53Mのうちの一部を下降駆動し、残りの第1昇降モーターを上昇駆動するようにした。これによれば、複数の把持部を有する1つの搬送ユニットによって、途中に電子部品Tの排出と供給を挟むことなく、検査単位の電子部品Tを複数回検査に供することが可能となる。したがって、効率よくテストヘッド33へ電子部品Tを搬送することができるようになり、ひいては、部品検査装置による電子部品Tの検査効率を向上させることが可能となる。
【0078】
(3)また、1つの第1昇降機構が下降駆動される際に、他の第1昇降機構も下降駆動されたり、他の第1昇降機構が駆動されなかったりする昇降の態様と比べて、上述した昇降の態様であれば、複数の第1昇降機構52,53の各々の位置が、昇降方向にて離れることとなる。それゆえに、一つの把持部が下降する方向に、その下降の障害となるような部位が基台11上にある場合であっても、こうした部位との干渉が避けられるように、該把持部のみが上昇駆動され、且つ他の把持部が下降駆動されることが可能にもなる。
【0079】
(4)搬送モーター、第1昇降モーター52M,53M及び第2昇降モーター51Mにより、搬送ユニットのY方向の移動及び搬送ユニットの各部のZ方向の移動をモーターによって行うようにした。これにより、各部の駆動に関し、高速駆動やアーチ駆動を行うことが可能となる。したがって、効率よく電子部品Tを搬送することができるようになる。
【0080】
(5)ハンドラー10は、2つの搬送ユニット34,36を有し、制御装置60の制御により、一方の搬送ユニットによる電子部品Tのテストヘッド33への接続動作が終了するまでに、他方の搬送ユニットを上記一方の搬送ユニットに隣接して待機させるようにした。したがって、2つの搬送ユニット34,36の各々が連続して効率よくテストヘッド33へ電子部品Tを搬送することができるようになり、ひいては、部品検査装置における電子部品Tの検査効率を向上させることが可能となる。
(第2の実施形態)
以下、本発明のハンドラー及び部品検査装置を具体化した第2の実施形態について、図14〜図17を参照して説明する。なお、本実施形態のハンドラー及び部品検査装置も、その基本的な構成は第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、ハンドラーの搬送ユニットが有する第1昇降機構の個数、第1昇降モーターの個数、把持部の個数、及びその作動態様が第1の実施形態と異なっているため、以下ではこの点を中心に説明する。
[搬送ユニットの構成]
図14に示されるように、搬送ガイド31には、該搬送ガイド31に沿って往動及び復動可能に、第2昇降機構71が連結されている。この第2昇降機構71の下端部には、搭載面11aに沿って広がる板状の連結部が形成され、該連結部における搭載面11a側には、4つの第1昇降機構72,73,74,75が共通して連結されている。
【0081】
第1昇降機構72〜75の各々の下端部には、例えば真空吸着によって電子部品Tを吸着して把持することの可能なエンドエフェクターである把持部72a,73a,74a,75aが連結されている。なお、第1の実施形態と同様、把持部72a〜75aの各々は、例えばノズル、該ノズルに接続された吸引ポンプ、該ノズルに圧縮空気を供給するリークバルブ等に接続されている。
【0082】
第2昇降機構71の下端部である連結部には、第1昇降モーター72M,73M,74M,75Mが内蔵されている。そして、第1昇降モーター72Mが正転あるいは逆転されることにより、第1昇降機構72の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降し、第1昇降モーター73Mが正転あるいは逆転されることにより、第1昇降機構73の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降する。同様に、第1昇降モーター74Mが正転あるいは逆転されることにより、第1昇降機構74の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降し、第1昇降モーター75Mが正転あるいは逆転されることにより、第1昇降機構75の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降する。これらの第1昇降モーター72M〜75Mは、制御装置60により各々が独立して駆動可能に制御される。
【0083】
また、第2昇降機構71の上端部には、第2昇降モーター71Mが内蔵されており、第2昇降モーター71Mが正転あるいは逆転されることにより、第2昇降機構71の下端部が基台11に対して上昇あるいは下降する。すなわち、第2昇降モーター71Mが駆動されることにより、第1昇降モーター72M〜75M、第1昇降機構72〜75、および把持部72a〜75a、これらの全体が上昇あるいは下降することとなる。
【0084】
なお、これら第2昇降機構71、第2昇降モーター71M、第1昇降機構72〜75、及び第1昇降モーター72M〜75Mにより第1搬送部が構成されている。また、第2昇降機構71、第2昇降モーター71Mにより第1搬送部における第2昇降部が構成され、第1昇降機構72〜75及び第1昇降モーター72M〜75Mにより第1搬送部における第1昇降部が構成されている。
【0085】
また、第2搬送ユニットも同様の構成を有しており、第2搬送ユニットにおける第2昇降機構、第2昇降モーター、4つの第1昇降機構、及び4つの第1昇降モーターにより第2搬送部が構成されている。また、第2搬送ユニットにおける第2昇降機構、第2昇降モーターにより第2搬送部における第2昇降部が構成され、第1昇降機構及び第1昇降モーターにより第2搬送部における第1昇降部が構成されている。
【0086】
そして、本実施形態では、テストヘッド83の上面に取り付けられた検査用ソケットには、X方向に3列、Y方向に2列の電子部品Tを同時に収容可能な検査用ポケット83aが凹設されている。また、供給用シャトルトレイ82a,85a及び回収用シャトルトレイ82b,85bには、X方向に3列、Y方向に4列の電子部品Tがマトリクス状に収容される。そして、第1搬送ユニット70の各把持部72a〜75aは、それぞれがX方向に3列、Y方向に1列の電子部品Tを同時に把持可能に構成されている。すなわち、第1搬送ユニット70は、4つの把持部72a〜75aを有することにより、テスター69が1回に検査可能な電子部品の2倍の個数の電子部品Tを把持可能となっている。
[ハンドラーの作動態様]
次に、上述した構成のハンドラー10の作動態様について、第1搬送ユニット70の作動態様を中心に図14〜図17を参照して説明する。以下に説明する動作は全て、制御装置60からの各種指令に基づき各駆動部により行われる。
【0087】
まず、第1搬送ユニット70は、第1シャトル32の供給用シャトルトレイ82aに載置された検査前の電子部品Tを一括して把持部72a〜75aのそれぞれに把持した後、図14に示されるように、Y方向に第1検査位置まで移動する。この第1検査位置は、第1昇降機構72の把持部72aに把持される電子部品Ta及び第1昇降機構74の把持部74aに把持される電子部品Tcが、テストヘッド83の検査用ポケット83aの直上に配置される位置である。なお、こうした配置の態様が可能となる前提として、搬送ユニット70及びテストヘッド83におけるY方向の幅は、以下のように構成されている。すなわち、把持部72aに把持される電子部品Taと把持部74aに把持される電子部品Tcの間の間隔をd2とし、把持部73aに把持される電子部品Tbと把持部75aに把持される電子部品Tdの間の間隔をd2とする。そして、これら間隔d2と、テストヘッド83に設けられる検査用ポケット83aのY方向の2列間の間隔d3が互いに等しくなるように、搬送ユニット70及びテストヘッド83が構成されている。
【0088】
次に、図15に示されるように、2つの第1昇降モーター72M,74Mが駆動されることにより、2つの把持部72a,74aが第1昇降モーター72M,74Mによる可動範囲の最下位置まで下降する。これに対し、他の2つの第1昇降モーター73M,75Mが駆動されることにより、把持部73a,75aが第1昇降モーター73M,75Mによる可動範囲の最上位置まで上昇する。
【0089】
続いて、図16に示されるように、第2昇降モーター71Mが駆動されることにより、第2昇降機構71の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター72M〜75Mがその可動範囲の最下位置まで下降する。これに伴い、把持部72a〜75aも共に下降することとなり、2つの把持部72a,74aに把持された電子部品Ta,Tcのみがテストヘッド83の検査用ポケット83aに嵌め込まれる。そして、電子部品Ta,Tcがテスター69による検査に供される。このとき、他の2つの把持部73a,75aは、先の把持部72a,74aよりも上方に配置されるため、把持部73a,75aに把持された電子部品Tb,Tdがテストヘッド83やその周辺の各種部品に干渉することを抑えることが可能である。
【0090】
テスター69による電子部品Ta,Tcの検査が終了すると、第2昇降モーター71Mが駆動されることにより、第2昇降機構71の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター72M〜75Mが上昇する。さらに、第1搬送ユニット70は、Y方向に第2検査位置まで移動する。この第2検査位置は、第1昇降機構73の把持部73aに把持される電子部品Tb及び第1昇降機構75の把持部75aに把持される電子部品Tdが、テストヘッド83の検査用ポケット83aの直上に配置される位置である。
【0091】
続いて、図17に示されるように、2つの第1昇降モーター72M,74Mが駆動されることにより、2つの把持部72a,74aがその可動範囲の最上位置まで上昇する。これに対し、他の2つの第1昇降モーター73M,75Mが駆動されることにより、他の2つの把持部73a,75aがその可動範囲の最下位置まで下降する。
【0092】
そして、第2昇降モーター71Mが駆動されることにより、第2昇降機構71の下端部、すなわち該下端部に内蔵された第1昇降モーター72M〜75Mがその可動範囲の最下位置まで下降し、2つの把持部73a,75aに把持された電子部品Tb,Tdがテスター69による検査に供される。
【0093】
このように、1つの搬送ユニット70が4つの把持部72a〜75aを備え、各把持部72a〜75aに把持された電子部品Tが検査に供されるにあたり、互いに隣接する把持部の昇降状態が互い違いとなるように、検査対象となる電子部品Tを把持する方の把持部が下降され、他方の把持部が上昇されるようにしている。すなわち、互いに隣接する第1昇降機構72〜75の昇降状態が互いに異なるように、各第1昇降モーター72M〜75Mが駆動されるようにしている。そのため、電子部品Tの下降する先となる基台11上の部位が間隔をあけて配置されている場合であっても、上述したように、このような間隔が1つの第1昇降機構の幅に相当するものであれば、こうした下降先となる複数の部位へ一度に電子部品Tを下降させることが可能にもなる。したがって、検査に必要とされる搬送ユニット1つあたりの搬送機会や搬送距離を小さくすることが可能となり、第1シャトル32と第2シャトル35との間の幅W2を小さくすることができるようになる。そのため、搬送ユニット70がテストヘッド83へ電子部品Tを搬送する動作において、その動作に要する時間を短縮することが可能となる。
【0094】
なお、第1搬送ユニット70によって電子部品Tが検査に供されている間に、第2搬送ユニットは、検査後の電子部品Tの排出と検査前の電子部品Tの供給とを行った後、第1搬送ユニット70に接近し、その後、第2搬送ユニットのY方向における可動範囲のうち、第1搬送ユニット70に最も近い位置で待機する。そして、第1搬送ユニット70に把持される電子部品Tの検査が全て終了すると、第1搬送ユニット70と第2搬送ユニットは同期してY方向に移動し、続けて第2搬送ユニットに把持される電子部品を検査に供するための動作が行われる。
【0095】
なお、本実施形態においても、搬送ユニットの各部の移動について、その移動の軌跡がアーチ状となるように、互いに異なる方向の移動を搬送ユニットの各部が同時に行うようにすれば、搬送ユニットの移動にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0096】
なお、本実施形態において、1つの搬送ユニット70が、4つの把持部72a〜75aと、該4つの把持部72a〜75aの各々に連結された第1昇降機構72〜75を備えることとしたが、4つ以上の把持部及び各々の把持部に対応する第1昇降機構を備えるようにしてもよい。この場合も、互いに隣接する第1昇降機構の昇降状態が互いに異なるように、各第1昇降部を駆動するようにすると、搬送ユニットのテストヘッド83への電子部品Tの搬送動作について、搬送距離及び搬送時間を短縮することが可能となる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、上述の第1の実施形態の(1)〜(5)の効果に加え、以下の効果が得られるようになる。
(6)搬送ユニットが4つの第1昇降モーター72M〜75Mを備え、制御装置60の制御により、互いに隣接する第1昇降機構72〜75の昇降状態が互いに異なるように、第1昇降モーター72M〜75Mを駆動するようにした。したがって、テストヘッド83への電子部品Tの搬送動作について、搬送距離及び搬送時間を短縮することが可能となる。そのため、効率よくテストヘッド83へ電子部品Tを搬送することができるようになり、ひいては、部品検査装置による電子部品Tの検査効率を向上させることが可能となる。
【0098】
なお、上記の各実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・テストヘッド33,83における検査用ポケットの個数や配列の態様、供給用シャトルトレイ32a,82a及び回収用シャトルトレイ35b,85bに収容される電子部品Tの個数や配列の態様は、上記の各実施形態の場合に限定されるものではなく、任意である。
【0099】
・搬送ユニットの把持部が把持可能な電子部品Tの個数は、1つでも複数でもよい。また、複数の電子部品を把持部が把持する場合、把持部に把持される複数の電子部品の配置の態様は、複数の電子部品が1列に配列される態様の他、複数の電子部品がマトリクス状に配列される態様であってもよい。
【0100】
・また、把持部に把持される電子部品Tの個数やその配列の態様は、テストヘッド33,83における検査用ポケットの個数やその配列の態様、供給用シャトルトレイ32a,82a及び回収用シャトルトレイ35b,85bに収容される電子部品Tの個数やその配列の態様に制約を受けるものではない。要は、複数の把持部の各々に対応する複数の第1昇降モーターの各々により、該把持部が独立して昇降される構成であれば、把持部に把持される電子部品Tの個数やその配列の態様は任意である。
【0101】
・第1昇降モーター、第1昇降機構、及び把持部は、交換可能な1つのユニットであってもよい。これによれば、把持部が把持する電子部品Tの個数や間隔等を容易に調整することが可能となるため、ハンドラーとしての汎用性が高められる。
【0102】
・上記の各実施形態では、第1昇降機構の把持部の位置制御が、その可動範囲の最上位置、中間位置、最下位置の3位置にて行われるようにしたが、最上位置と最下位置の2位置にて行われるようにしてもよい。この場合、電子部品Tの供給及び排出は、搬送ユニットにおける全ての把持部の位置を最上位置あるいは最下位置にして行うようにすればよい。また、このように把持部の位置制御が2位置にて行われる場合には、搬送ユニットにおける各部のZ方向の移動が空圧シリンダー等により行われるようにしてもよい。
【0103】
・上記の各実施形態では、互いに異なる搬送ユニットを2つ備えるようにしたが、搬送ユニットの個数は1つでもよく、また3つ以上でもよい。
・上記の各実施形態では、ハンドラーを部品検査装置に備えられるものとしたが、これに限らず、基台上にて搬送対象を搬送する動作を必要とする各種の装置等に備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
T,Ta,Tb,Tc,Td…電子部品、C1…供給用コンベアー、C2,C3,C4…回収用コンベアー、C1a…供給用コンベアートレイ、C2a,C3a,C4a…回収用コンベアートレイ、MA…搬送モーター、MC…コンベアーモーター、MS…シャトルモーター、MX…X軸モーター、MY…Y軸モーター、MZ…ハンドモーター、EMA,EMC,EMS,EMX,EMY,EMZ,E51M,E52M,E53M…エンコーダー、SV1,SV2,SV3…吸引バルブ、DV1,DV2,DV3…リークバルブ、10…ハンドラー、11…基台、11a…搭載面、12…カバー部材、20…供給ロボット、21…供給側固定ガイド、22…供給側可動ガイド、23…供給用ハンドユニット、31…搬送ガイド、32…第1シャトル、32a,35a,82a,85a…供給用シャトルトレイ、32b,35b,82b,85b…回収用シャトルトレイ、32c…第1シャトルガイド、33,83…テストヘッド、33a,83a…検査用ポケット、34…第1搬送ユニット、35…第2シャトル、35c…第2シャトルガイド、36…第2搬送ユニット、40…回収ロボット、41…回収側固定ガイド、42…回収側可動ガイド、43…回収用ハンドユニット、45…開口部、51,71…第2昇降機構、51M,71M…第2昇降モーター、52,53,72,73,74,75…第1昇降機構、52a,53a,72a,73a,74a,75a…把持部、52M,53M,72M,73M,74M,75M…第2昇降モーター、60…制御装置、61…コンベアー駆動部、62…X軸ガイド駆動部、63…Y軸ガイド駆動部、64…ハンドユニット駆動部、64a…ハンドモーター駆動部、64b…バルブ駆動部、65…シャトル駆動部、66…搬送ユニット駆動部、66a…搬送モーター駆動部、66b,66c…第1昇降モーター駆動部、66d…第2昇降モーター駆動部、66e,66f…バルブ駆動部、69…テスター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上にて搬送対象を搬送する搬送部を少なくとも1つ備えるハンドラーにおいて、
前記搬送部は、
搬送対象を把持する複数の把持部の各々に連結されて該複数の把持部の各々を前記基台に対して昇降させる複数の第1昇降部と、
前記複数の第1昇降部の全てに連結されて該複数の第1昇降部の全体を前記基台に対して昇降させる1つの第2昇降部とを有する
ことを特徴とするハンドラー。
【請求項2】
前記搬送部の搬送を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の第1昇降部のうちの一部を下降駆動し、残りの前記第1昇降部を上昇駆動する
請求項1に記載のハンドラー。
【請求項3】
前記搬送部の搬送を制御する制御部を備え、
前記搬送部は、4つ以上の前記第1昇降部を備え、
前記制御部は、互いに隣接する前記第1昇降部の昇降状態が互いに異なるように、前記複数の第1昇降部を駆動する
請求項1又は2に記載のハンドラー。
【請求項4】
前記第1昇降部及び前記第2昇降部は各別のモーターにより駆動される
請求項1〜3のいずれか一項に記載のハンドラー。
【請求項5】
前記搬送部の搬送を制御する制御部と、
2つの前記搬送部とを備え、
前記制御部は、一方の前記搬送部による搬送対象の該搬送対象の接続先への接続動作が終了するまでに、他方の前記搬送部を前記一方の搬送部に隣接して待機させる
請求項1〜4のいずれか一項に記載のハンドラー。
【請求項6】
基台の開口部に取り付けられた検査用ソケットを有するテスターと、
前記基台上にて電子部品を前記検査用ソケットへ搬送する少なくとも1つの搬送部と
を備える部品検査装置において、
前記搬送部は、
電子部品を把持する複数の把持部の各々に連結されて該複数の把持部の各々を前記検査用ソケットに対して昇降させる複数の第1昇降部と、
前記複数の第1昇降部の全てに連結されて該複数の第1昇降部の全体を前記検査用ソケットに対して昇降させる1つの第2昇降部とを有する
ことを特徴とする部品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−57572(P2013−57572A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195435(P2011−195435)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】