説明

ハンドルバーとフロントフォークとの固定補助システム

【課題】 ヘッド部に集中するパーツ構成で高剛性化を行おうとするとき、従来は構成するパーツのチューブ径や肉厚を大きくすることで対処していたが、このように頑丈なパーツによる対応を行っても、ライダーがダンシング等の技術を駆使して力強くペダリングを行うと、フロントフォークの横ブレが生じてパワーロスが発生してしまうことを防ぎ切れなかった。本発明はこのようなフロントフォークの横ブレを防ぐ高剛性を実現するシステムを提供するものである。
【解決手段】 自転車のハンドルバーとフロントフォークの固定において、高剛性化と軽量化という相反する要素をより高次元で実現するという目的を、ヘッド部に集中する荷重を梃子の原理が大きく作用するハンドルバーのエンド部とフロントフォークを接続するステーを導入して実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車におけるハンドルバーとフロントフォークとの接続に関するものであり、特にハンドルバーとフロントフォークを接続するステーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車のハンドルバーとフロントフォークの固定システムにおいて、ハンドルバーとフロントフォークとの接続は、ヘッド部分だけで負担していた。近年、性能を上げるために各パーツを剛性の高いものに改良する傾向にあり、ヘッド部分を構成するヘッドチューブ、ヘッドステム、ヘッドパーツなどのパーツを肉厚の厚い頑丈なものに変更することによって剛性をあげる対応をしている。このように頑丈なパーツの導入は全体の重量を重くすることになり、自転車のトータル性能を上げるという大目標に相反する弊害を生じさせる。
【0003】
さらにはこのように頑丈なパーツによる対応を行っても、筋力のある自転車のライダーがダンシング等の技術を駆使して力強くペダリングを行うと、フロントフォークの横ブレが生じてパワーロスが発生してしまうことを防ぎ切れておらず、加速性能の向上を損なっている。またハンドル下のフロントフォークのブレは、ダイレクトなハンドリングを損なっており、コーナリング性能にも悪影響がある。
【0004】
本発明は、従来の重く頑丈なパーツによる対応でも十分でなかった高剛性なハンドルバーとフロントフォークとの接続を実現し、高いレベルの走行性能(加速性能とコーナリング性能)を実現するシステムを提供するものである。
【0005】
この改善策として、ヘッドを構成する素材としてチタン、カーボンといった高機能素材を採用しているが、ヘッド部分に集中する荷重のため年々要求レベルが高くなっていく剛性レベルを達成するためにチューブのパイプ径を太くしたり、肉厚を厚くすることとなっているが、ペダリング時に発生する高い荷重や路面からの外力に十分対応しきれずフロントフォークの横ブレを抑えきれず、解決としては不十分であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、従来のヘッド部に集中するパーツ構成では、十分な剛性を確保してハンドルバーとフロントフォークの固定を行おうとすると、構成するパーツのチューブ径や肉厚がかさみ、軽量化を損ない自転車のトータル性能を向上させることができない点、さらにはヘッドパーツ部分に荷重が集中する結果として高い荷重に抗しきれずフロントフォークの横ブレを発生させてしまっている点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自転車のハンドルバーとフロントフォークとの固定を補助するシステムにおいて、ステーを介してハンドルバーのエンド部とフロントフォークまたは車軸ホルダーとの接続を行い、ヘッドパーツに集中している荷重を分散させることを特徴とする固定補助システムを採用した。
【0008】
請求項2に記載の発明は、自転車のハンドルバーとフロントフォークとの固定を補助するシステムにおいて、エンド部に第1のステー連結手段を設けたハンドルバーと、第2のステー連結手段を設けたフロントフォークまたは車軸ホルダーと、前記第1のステー連結手段と第2のステー連結手段とを接続するステーとを備え、前記ハンドルバーのエンド部と前記フロントフォークまたは車軸ホルダーとを連結し、ヘッドパーツに集中している荷重を分散させることを特徴とする固定補助システムを採用した。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の固定補助システムにおいて、前記ステーは長さ調節する伸縮手段を備えたことを特徴とするシステムを採用した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固定補助システムは、ヘッド部に集中する荷重を梃子の原理が大きく作用するハンドルバーのエンド部とフロントフォークを接続するステーを介して分散し、結果として高剛性と軽量化とを高次元に達成し、さらには従来の自転車では実現されていなかった加速性能とコーナリング性能を達成できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
自転車のハンドルバーとフロントフォークの固定において、高剛性化と軽量化という相反する要素をより高次元で実現するという目的を、ヘッド部に集中する荷重を梃子の原理が大きく作用するハンドルバーのエンド部とフロントフォークを接続するステーを導入して実現した。以下、実施例において具体的に説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明システムの全体を示した概略構成図である。
101、102はハンドルバーエンド部であり、車軸ホルダー103、104とステー105、106によって接続されている。ここでは車軸ホルダーをステーの連結部として採用したが、本発明はこれに限られるものではなくフロントフォークの二股部分の適当な位置に連結部を設けても良い。
【0013】
ここでハンドルバーエンドとステーとの連結は、ボルトによる締め付け方式を採用し、車軸ホルダーとの連結は、ステーのエンド部に車軸を通す穴を形成したブラケット部を設けて車軸ホルダーとともに車軸にナットで固定する方式を採用したが、連結の方式もこれに限られるものではない。
【0014】
図2は各構成部位の位置関係を明確にするための正面図である。
左右のハンドルバーエンド部101、102と左右の車軸ホルダー部103、104を頂点とする台形(車軸の幅が狭いので3角形に近い)のフレーム構造を作るため、ハンドルバーや車輪に加わる荷重に対して構造的に受けられるため、高剛性の自転車を求める場合でもステー105、106やハンドルバーに要求される強度は比較的低く、軽量に作ることが出来る効果がある。
【0015】
図3は、ステーの長さ調節する伸縮手段を兼ねたステーの一例である。ハンドルエンド部側ステーホルダー301、ステー本体302、車軸ホルダー側ステーホルダー303という構成である。
【0016】
図4は、図3のステーのパーツ分解図である。ステー本体302は、両端にネジ(一方が正ネジ、他方が逆ネジ)402、403が切られている。ここに示したのステーホルダー301、303は断面図で表現されており、ステー本体の雄ネジ402、403と対をなす雌ネジ401、404が設けられている。ここで一方の対のネジは逆ネジとなっており、ステーを締め込んでいくことでステーの長さが短くなっていく仕組みとなっている。締め込み加減を調整することで適度なテンションを与えて、ハンドルバーとフロントフォークの剛性や取り付け位置を調整することが出来る。
【0017】
このようなシステムを採用したので、軽量なパーツ構成で高い剛性を得ることができ、取り付けや剛性の調節も容易にできるので、軽量化と高剛性という相反する要求を満たして自転車のトータルな性能を簡単なシステムで実現する効果、さらには従来のヘッドパーツ部分だけでは十分に対応できなかった高荷重がかかったときのフロントフォークの横ブレを抑える効果がある。
【0018】
ここではネジを切ったステーを長さ調節の手段として採用したが、本発明のステーはこれに限られるものではなく、ロック機構を備えたダンパー付きステーなどを採用してもよい。
ダンパーにより動きを押さえつつ、走行中も伸縮自在とすれば、サスペンション機能を備えた自転車などにも採用可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のシステムは、ヘッドパーツ部でハンドルバーとフロントフォークを固定する自転車の高剛性化する用途に有効である。さらにはオートバイなどにおいても高剛性化を達成するな用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本システムを採用した自転車の概略構成図
【図2】本システムを採用した自転車の正面図
【図3】長さを調節する伸縮手段を備えたステー
【図4】ステーのパーツ分解図
【符号の説明】
【0021】
101 ハンドルバーエンド部 左
102 ハンドルバーエンド部 右
103 車軸ホルダー 左
104 車軸ホルダー 右
105 ステー 左
106 ステー 右

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドルバーとフロントフォークとの固定を補助するシステムにおいて、
ステーを介してハンドルバーのエンド部とフロントフォークまたは車軸ホルダーとの接続を行い、ヘッドパーツに集中している荷重を分散させることを特徴とする固定補助システム。
【請求項2】
自転車のハンドルバーとフロントフォークとの固定を補助するシステムにおいて、
エンド部に第1のステー連結手段を設けたハンドルバーと、第2のステー連結手段を設けたフロントフォークまたは車軸ホルダーと、前記第1のステー連結手段と第2のステー連結手段とを接続するステーとを備え、前記ハンドルバーのエンド部と前記フロントフォークまたは車軸ホルダーとを連結し、ヘッドパーツに集中している荷重を分散させることを特徴とする固定補助システム。
【請求項3】
前記ステーは、長さを調節する伸縮手段を備えることを特徴とする特許請求範囲第1項乃至第2項記載の固定補助システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−22099(P2007−22099A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314102(P2004−314102)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(393024315)
【出願人】(500386769)
【出願人】(503466440)
【出願人】(503466439)
【Fターム(参考)】