説明

ハンドル固定構造及びカメラアダプタ

【課題】成型コストの上昇を抑制し長期使用でもガタが発生し難く強度低下の可能性が少なく信頼性の高いカメラアダプタを提供する。
【解決手段】カメラを載置するベース部と筐体(50)に固定されたハンドル(60)とを有する。ハンドルは端部側に形成された周溝(60b1)とその底部に形成された凹部(60c1)とを有する。筐体はハンドルの断面をカメラアダプタの使用状態における鉛直線及び水平線で4分割した際の鉛直線に対し一方側であって水平線に対し天側となる外面位置で当接する第1の当接部と水平線に対し地側となる外面位置で当接する第2の当接部とを有する。鉛直線に対し他方側の周溝に係合する溝係合部及び凹部に係合する凸部を有しハンドルを筐体との間に挟持するブラケット(120)を備える。凸部とハンドルの中心とを通る直線が第1及び第2の当接部間に位置し第1の当接部の当接面積が第2の当接部よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル固定構造及びカメラアダプタに係る。
【背景技術】
【0002】
可搬型のビデオカメラをスタジオカメラとして使用するためにそのビデオカメラに取り付けるカメラアダプタが知られている。
可搬型のビデオカメラとカメラアダプタとは、両者が一体化された状態でスタジオ用の大型三脚などに固定されるが、大型三脚から取り外して持ち運びができるように、カメラアダプタにハンドルを備える場合が多い。
このようなカメラアダプタの例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−89114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、カメラアダプタのハンドルは、カメラアダプタの筐体と一体で形成されるか、特許文献1に記載されたように、棒状部材を用い、その両端面を、筐体から突出した腕状部に固定して形成されるものであった。
しかしながら、カメラアダプタの筐体は、業務用途として要求される堅牢性を得るために通常ダイキャストで形成されるので、ハンドルと筐体とを一体形成した場合は、筐体が大型化して成型コストがアップしてしまう。
また、棒状部材を用いその両端面を固定する構造では、長期使用の場合、ハンドルの軸方向のガタが発生し易く、ガタが発生した場合強度低下も懸念されるので、スタジオ用として高強度を長期的に維持できる信頼性の高い構造であることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、成型コストの上昇を抑制し、長期使用の場合も、ガタが発生し難く強度低下の可能性が少なく、より信頼性の高いハンドル固定構造及びカメラアダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
1) 丸棒又は丸管なるハンドル(60)を支持部材(50)に固定するハンドル固定構造において、
前記ハンドル(60)は、端部側に形成された周溝(60b1)と、前記周溝(60b1)の底部に形成された凹部(60c1)と、を有し、
前記支持部材(50)は、前記ハンドル(60)の断面形状を直径で2分した際の一方側の外面に対し周方向の異なる位置で前記ハンドル(60)に当接する第1及び第2の当接部(204b,205b)を有し、
他方側の周溝(60b1)に係合する溝係合部(120b)及び前記凹部(60c1)に係合する凸部(120c)を有し前記ハンドル(60)を前記支持部材(50)との間に挟持するよう前記支持部材(50)に固定されたブラケット(120)を備え、
前記凸部(120c)と前記ハンドル(60)の中心とを通る直線が前記第1の当接部(204b)と前記第2の当接部(205b)との間に位置すると共に、前記第1の当接部(204b)の当接面積が前記第2の当接部(205b)の当接面積よりも大きいことを特徴とするハンドル固定構造である。
2) カメラ(101)を載置するベース部(10)と、
筐体(50)と前記筐体(50)に固定されたハンドル(60)とを有し、載置された前記カメラ(101)の側面と対向するよう又は対向可能なよう前記筐体(50)と前記ベース部(10)とが連結された側面部(3)と、を有するカメラアダプタ(1)において、
前記ハンドル(60)は、端部側に形成された周溝(60b1)と、前記周溝(60b1)の底部に形成された凹部(60c1)と、を有し、
前記筐体(50)は、前記ハンドル(60)の断面形状を当該カメラアダプタ(1)の使用状態における鉛直線及び水平線で4分割した際の、鉛直線に対し一方側であって、水平線に対し天側となる外面位置で前記ハンドル(60)に当接する第1の当接部(204b)と前記水平線に対し地側となる外面位置で前記ハンドル(60)に当接する第2の当接部(205b)とを有し、
鉛直線に対し他方側の周溝(60b1)に係合する溝係合部(120b)及び前記凹部(60c1)に係合する凸部(120c)を有し前記ハンドル(60)を前記筐体(50)との間に挟持するよう前記筐体(50)に固定されたブラケット(120)を備え、
前記凹係合部(120b)と前記ハンドル(60)の中心とを通る直線が前記第1の当接部(204b)と前記第2の当接部(205b)との間に位置すると共に、前記第1の当接部(204b)の当接面積が前記第2の当接部(205b)の当接面積よりも大きいことを特徴とするカメラアダプタ(1)である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体の成型コスト上昇を抑制でき、長期使用の場合も、ガタが発生し難く強度低下の可能性が少なく、より高い信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のカメラアダプタの実施例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明のカメラアダプタの実施例を示す左側面図である。
【図3】本発明のカメラアダプタの実施例にビデオカメラを装着した状態を説明する斜視図である。
【図4】本発明のカメラアダプタの実施例にビデオカメラを装着した状態を説明する他の斜視図である。
【図5】本発明のカメラアダプタの実施例を説明するための分解図である。
【図6】本発明のカメラアダプタの実施例を説明するための要部斜視図である。
【図7】本発明のカメラアダプタの実施例を説明するための要部分解図である。
【図8】本発明のシャフト固定構造の実施例における主要部材の三面図である。
【図9】本発明のカメラアダプタの実施例を説明するための部分平面図である。
【図10】本発明のシャフト固定構造の実施例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図10を用いて説明する。
以下の説明において、カメラアダプタに装着されたビデオカメラが撮影する被写体側を前方とし、これを基準として上下左右前後の各方向を設定する(各図の矢印を参照)。尚、上下方向はカメラアダプタ使用時の天地方向に相当する。
【0010】
まず、図1及び図2を用いて、実施例のカメラアダプタ50の全体構成について説明する。
【0011】
カメラアダプタ1は、ベース部10,左前腕部20,右前腕部50,左ハンドル部30,右ハンドル部60,左後腕部40,及び右後腕部70を有して構成されている。
左前腕部20及び左後腕部40は、両者を連結する左ハンドル部30と共に左側面部2を構成している。左側面部2はベース部10と一体的に形成されている。
右前腕部50と右後腕部70とは、右ハンドル部60により連結され一体化されている。
すなわち、右前腕部50及び右後腕部70は、両者を連結する右ハンドル60と共に右側面部3として一体化されている。
右側面部3は、ベース部10において、軸線Cの回りに(図1の矢印DR1,DR2方向に)回動可能なよう軸支されている。
右側面部3は、起立状態(図1の状態)迄図1の矢印DR1の方向に回動させると、その先端部が左後腕部40の上方側の端部40tと当接するようになっている。
右側面部3は、その起立状態で左後腕部40に対し取り付けネジ80により固定される。
【0012】
ベース部10,左前腕部20,右前腕部50,左後腕部40,及び右後腕部70は、アルミニウムのダイキャストにより形成されている。これは業務用途で要求される堅牢製などを確保するためである。
左ハンドル部30及び右ハンドル部60は、アルミニウムのパイプ材から形成されており、それぞれにおける手で把持する部分には、シリコンゴムのチューブからなる滑り止め30a,60aが取り付けられている。
以下、左ハンドル部30及び右ハンドル部60を単にハンドル30,60とも称する。
【0013】
次に、図1,図3,及び図4を用いて、カメラアダプタ1への可搬型のビデオカメラ101の取り付けについて説明する。
【0014】
図1の状態から、取り付けネジ80を外し、右側面部3を矢印DR2の方向に回動させ、図3に示す開状態とする。
これにより、ビデオカメラ101をベース部10の上面に上方から載置するための経路空間が得られる。
ベース部10の上面に設けられたカメラ固定部10a(図1参照:詳細は図示せず)にビデオカメラ101を載置し固定する。
ビデオカメラ101に各種ケーブル類を接続した後、右側面部3を矢印DR1の方向に回動させ、その先端部が左後腕部40の上方側の端部40tと当接した起立状態とする。その起立状態で、取り付けネジ80を左後腕部40に設けられた雌ねじ部40a(図3参照)に螺合させ、右側面部3を固定する。
【0015】
ベース部10の下面には、三脚等の他部材に固定するための複数の孔やネジ(図示せず)が設けられている。
従って、ビデオカメラ101にカメラアダプタ1を取り付け、そのカメラアダプタ1を介して他部材に固定することで、ビデオカメラ101を様々な部材に固定することができる。
また、ビデオカメラ101にカメラアダプタ1を取り付けた状態で、ビデオカメラ101の左右の側面がカメラアダプタ1の左側面部2及び右側面部3により部分的に覆われるので、ビデオカメラ101を外部の部材との衝突などから保護することができる。
【0016】
図4は、カメラアダプタ1の使用形態の一例を示す斜視図である。
カメラアダプタ1のベース部10には可搬型ビデオカメラ101が、また、左後腕部40の天面(上面)には、液晶表示素子を用いたビューファインダ102が取り付けられている。
【0017】
次に、右側面部3の組み付けについて詳述する。
図5は、ベース部10の右側半分を上方側から見た図であって、右側面部3を開位置で分解した状態を示した分解図である。
図5では、ベース部10,右前腕部50,右ハンドル部60,及び右後腕部70に加えて、軸線Cの回動軸となる2本のシャフト90,100,及びシャフト90を固定するブラケット110、並びに、右ハンドル部60を固定するための前ブラケット120及び後ブラケット130を示している。
【0018】
図6は、右前腕部50の先端側部位の拡大図である。
図7は、図6において、右前腕部50の後方側の側面に設けられた貫通孔50aに右ハンドル部60が挿通された状態を示している。
【0019】
図6,図7において、右前腕部50は、上述の貫通孔50aと、貫通穴50aに外側(図6の右方側)から挿入された右ハンドル部60の先端部分が収まるように内面から突出するコ字状リブ50bと、コ字状リブ50bのうちの、挿入された右ハンドル部60の先端面と対向する先端リブ50b1に形成された一対の雌ねじ部203a,203bと、を有して形成されている。
コ字状リブ50bにおける互いに対向する対向リブ50b2,50b3は、右ハンドル部60の先端部分の外周面の曲率に対応した曲率の曲面50dで連結されている。
曲面50dは、その最も深い谷線TSを挟んで形成された1対の凸部204a,205aを備えている。
実施例の右腕前部50では、一対の凸部204a,205aと並列してさらに一対の凸部204b,205bが形成されている。
【0020】
図5に戻り、右後腕部70は、その前方側の側面に、右ハンドル部60が挿通可能な貫通孔70aが設けられている。また、貫通孔70aに外側(図5の左方側)から右ハンドル部60が挿入された際に、その先端部分が収まるように内面から突出したコ字状リブ70bと、一対の雌ねじ部203c,203dと、を有して形成されている。
【0021】
右ハンドル部60は、アルミニウムの丸棒又は丸管から形成されおり、両端部の近傍にそれぞれ周溝60b1,60b2が設けられている。
この周溝60b1,60b2は、それぞれ前ブラケット120,後ブラケット130の板厚とほぼ同じか僅かに大きい幅で設けられている。
また、係合穴60c1,60c2が周溝60b1,60b2における周方向の同位置に形成されている。
【0022】
図8は、ブラケット120の三面図である。
ブラケット120は、例えば板厚1.2mmの表面処理鋼板をプレス加工して形成されている。
ブラケット120は、基面120s1と基板120s1に対して直角に折り曲げられた折り曲げ面120s2とからなる概ねL字状を呈し、基面120s1には一対の貫通孔120a1,120a2が形成されている。以降、一対の貫通孔120a1,120a2を合わせて単に貫通孔120aとも称する。
折り曲げ面120s2の先端面120bは、中央部が最も凹となる曲面で形成されている。例えば、先端面120bは一定の曲率Rで形成される。
先端面120bの最も凹となる中央部には、基面120s1から離れる方向に突出する凸部として突起部120cが形成されている。
ブラケット130もブラケット120と同様形状に形成されている。図7には便宜的にブラケット130に対応する符号を付記している。
【0023】
次に、右側面部3の組み立て手順について説明する。
図7において、右ハンドル部60の前方側となる一端を右前腕部50の貫通孔50aに外側(図7の右方側)から通す。これにより右ハンドル部60の一端側がリブ50bの内側に収まる。
次にブラケット120を、その突起部120c及び先端面120bがそれぞれ右ハンドル部60の係合穴60c1及び周溝60b1に係合するように載置し、雄ねじY,Yにより雌ねじ部203a,203bにねじ止めして右ハンドル部60の前方側を右前腕部50に固定する。
図5,図8を参照して右ハンドル部60の他端側の固定について説明する。
まず、右ハンドル部60の後方側となる他端を右後腕部70の貫通孔70aに外側から通す。
次にブラケット130を、その突起部130c及び先端面130bがそれぞれ右ハンドル部60の係合穴60c2及び周溝60b1に係合するように載置し、雄ねじ(図示せず)により雄ねじ部203c,203dにねじ止めして右ハンドル部60の後方側を右後腕部70に固定する。
これにより、右前腕部50と右後腕部70とが右ハンドル部60により連結一体化される。
右ハンドル部60の前方側と後方側とのどちらを先に固定するからは限定されない。
【0024】
図9は、このようにして組み立てた右側面部3をベース部10に取り付けた状態で示している。
右側面部3は、シャフト90,100を介してベース部10に軸支されている。
シャフト90は、右前腕部50のシャフト用孔50cとベース10のシャフト用孔10bに挿通され、雄ねじY1,Y1にてベース部10に締め付け固定されている。
シャフト100は、右後腕部70のシャフト用孔70cに挿通され、雄ねじY2,Y2にてベース部10に締め付け固定されている。
【0025】
図10は、実施例のカメラアダプタ1に搭載されるハンドル固定構造を説明する断面図である。
具体的には、右ハンドル部60が右前腕部50に固定された状態での、右ハンドル部60,前ブラケット120,コ字状リブ50bとの関係を示す断面図である。
断面位置は右ハンドル部60の周溝60b1の位置であり、断面方向は右ハンドル部60の軸線に直交する方向である。
また、図10は、右側面部3の起立状態を示し紙面の上下方向が使用時の天地方向に対応している。
【0026】
図10において、右ハンドル部60は、係合穴60c1が図10の左側に開口する向きとされており、前ブラケット120は、その突起部120cが係合穴60c1に係合するように図の左側から雄ねじY,Yにより右前腕部50に固定されている。
この雄ねじY,Yには図10の矢印DR9方向に締めしろが設定されているので、右ハンドル部60は、右前腕部50に設けられた凸部204a,204b,205a,205bに押圧を伴って当接する。
凸部204a,204b,205a,205bは、図6からも明らかなように、ハンドル部60の周溝60b1を挟んで一方側に204b,205b,他方側に204a,205aの各一対が設けられている。
図10において、凸部204b,205bの突出量は誇張して記載されている。
まだ、凸部204bが右ハンドル部60に接触する角度範囲θ1と、凸部205bが右ハンドル部60に接触する角度範囲θ2と、は、異なるように設定されている。
具体的には、θ1>θ2 である。
【0027】
図10において、係合穴60c1と突起部120cとの係合は、ほぼガタがないように設定されている。
また、前ブラケット120の先端面120bの曲率Rと、右ハンドル部60の周溝60b1の曲率RHとは、RH>Rとなるように設定されている。
従って、右ハンドル部60は、前ブラケット120に対してその突起部120cの根本部分NMのみの1ヶ所で当接していると見なせる。
一方、右ハンドル部60と右前腕部50とは、凸部204bと凸部205bとの2ヶ所で当接している。
従って、右ハンドル部60は、3点支持されているのでガタが生じ難い。
【0028】
周溝60b1とブラケット120の折り曲げ面120s2とは、シャフト(右ハンドル部60)の軸線方向のガタがほとんどないように形成されている。
【0029】
ビデオカメラ101及びカメラアダプタ1は、業務用途の長期信頼性が発揮されるよう堅牢に作られており、質量も民生用と比較して重い。
そのため、ビデオカメラ101を取り付けたカメラアダプタ1を右ハンドル部60及び左ハンドル部30で持ち上げた際(以下、単に可搬時とも称する)には、前ブラケット120及び右前腕部50には図10の矢印T方向の力が加わる。
このカメラアダプタ1には、凸部204bと凸部205bとが、右ハンドル部60の中心C60を通る水平軸線CLHを挟んで上側と下側にそれぞれ設けられている。
【0030】
そして、凸部204bに対応する角度θ1を凸部205bに対応する角度θ2よりも大きく設定して凸部204bと右ハンドル部60とが接触する範囲(面積)を凸部205bと右ハンドル部60とが接触する範囲(面積)より大きくしているので、カメラアダプタ1の可搬時に凸部204bに生じる応力が過大になり難く、凸部204bの塑性変形を効果的に防止している。
可搬時により大きな力が凸部204bに加わって凸部204bが塑性変形すると、右ハンドル部60に大きなガタが生じる虞があるので、塑性変形防止のため可搬時に凸部204b(204a)及び凸部205b(205a)に生じる応力が小さくなるようにすることは有効であり、その場合、長期的に高い信頼性を維持することができる。
【0031】
凸部204bと右ハンドル部60との接触範囲(面積)の拡大は、角度θ1を角度θ2より大きくすることに限らず、凸部204bの奥行き方向(図10の紙面直交方向)の幅を凸部205bの奥行き方向の幅よりも大きくして実現してもよい。もちろん、これらを組み合わせてもよい。
【0032】
左ハンドル部30の左前腕部20及び左後腕部40への取り付け構造は、右ハンドル部60の右前腕部50及び右後腕部70への取り付け構造と同様である。
【0033】
上述したハンドル固定構造によれば、ハンドル60の軸方向のガタが周溝60b1と折り曲げ面120s2との係合でガタなく規制され、ハンドル60の回転方向のガタが係合穴60c1と突起部120cとの係合でガタなく規制され、ハンドル60が3つの支持部NM,204b,205bで3点支持されると共に、使用状態でハンドル60に最も力のかかる支持部204bのハンドル60との接触面積を、それよりも力のかからない支持部205bのハンドル60との接触面積よりも広くしてあるので、支持部204bに生じる応力を低減して塑性変形を防止できる。従って、ハンドル60のガタの発生を長期に防止し、信頼性の高いハンドル固定構造が得られる。
【0034】
また、上述したカメラアダプタ1によれば、上述のハンドル固定構造を備えているので、ハンドル30,60を把持してカメラアダプタ1を可搬しても、支持部204b,204aに生じる応力が低減され塑性変形を防止できる。従って、ハンドル30,60のガタの発生を長期に防止し、信頼性の高いカメラアダプタが得られる。
【0035】
実施例のハンドル固定構造は、上述のものに限らず次のようなものであってよい。以下は右ハンドル部60の右前腕部50への固定構造について記載するが、左ハンドル部30にも適用される。また、右後腕部70や左前腕部20,及び左後腕部40にも相互に適用される。
【0036】
ハンドル60は丸棒又は丸管でよい。ハンドル30は、端部側に形成された周溝60b1と、その底部に形成された係合穴60c1である凹部と、を有する。
右前腕部50は支持部材であって、ハンドル60の断面形状を直径で2分した際の一方側の外面に対し周方向の異なる位置でハンドル60に当接する凸部である第1及び第2の当接部204b,205bを有する。
ブラケット120は、ハンドル60を支持部材50との間に挟持するよう支持部材50に固定されている。
凹係合部120cとハンドル60の中心とを通る直線が第1の当接部(凸部)204bと第2の当接部(凸部)205bとの間に位置すると共に、第1の当接部204bの当接面積が第2の当接部205bの当接面積よりも大きい。
【0037】
実施例のカメラアダプタ1は、上述のものに限らず次のようなものであってよい。カメラアダプタ1は、カメラ101を載置するベース部10と、筐体である右前腕部50とその筐体50に固定されたハンドル60とを有し、載置されたカメラ101の側面と対向するよう又は対向可能なように筐体50とベース部10とが連結された側面部3と、を有する。
カメラアダプタ1は上述のハンドル固定構造を備える。加えて、筐体50の第1及び第2当接部204b,205bは、ハンドル60の断面形状をこのカメラアダプタ1の使用状態における鉛直線及び水平線で4分割した際の、鉛直線に対し一方側であって、水平線に対し天側となる外面位置でハンドル60に当接する第1の当接部204bと水平線に対し地側となる外面位置でハンドル60に当接する第2の当接部205bである。
カメラアダプタ1のブラケット120は、鉛直線に対し他方側の周溝60b1に係合する溝係合部120b及び凹部60c1に係合する凹係合部120cを有する。
凹係合部120bとハンドル60の中心とを通る直線が第1の当接部204bと第2の当接部205bとの間に位置すると共に、第1の当接部204bの当接面積が第2の当接部205bの当接面積よりも大きい。
【0038】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 カメラアダプタ
2 左側面部
3 右側面部
10 ベース部
10a カメラ固定部
10b シャフト用孔
20 左前腕部
30 左ハンドル部
30a 滑り止め
40 左後腕部
40a 雌ねじ部
40t 上方側の端部
50 右前腕部
50a 貫通孔
50b コ字状リブ
50b1 先端リブ
50b2,50b3 対向リブ
50c シャフト用孔
50d 曲面
60 右ハンドル部
60a 滑り止め
60b1,60b2 周溝
60c1,60c2 係合穴
70 右後腕部
70a 貫通孔
70b リブ
70c シャフト用孔
80 取り付けネジ
90,100 シャフト
101 ビデオカメラ
102 ビューファインダ
110 ブラケット
120 前ブラケット
120a,120a1,120a2 貫通孔
120b 先端面
120c 突起部
120s1 基面
120s2 折り曲げ面
130 後ブラケット
203a,203b,203c,203d 雌ねじ部
204a,204b,205a,205b 凸部
NM 根本部分
R,RH 曲率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒又は丸管なるハンドルを支持部材に固定するハンドル固定構造において、
前記ハンドルは、端部側に形成された周溝と、前記周溝の底部に形成された凹部と、を有し、
前記支持部材は、前記ハンドルの断面形状を直径で2分した際の一方側の外面に対し周方向の異なる位置で前記ハンドルに当接する第1及び第2の当接部を有し、
他方側の周溝に係合する溝係合部及び前記凹部に係合する凸部を有し前記ハンドルを前記支持部材との間に挟持するよう前記支持部材に固定されたブラケットを備え、
前記凸部と前記ハンドルの中心とを通る直線が前記第1の当接部と前記第2の当接部との間に位置すると共に、前記第1の当接部の当接面積が前記第2の当接部の当接面積よりも大きいことを特徴とするハンドル固定構造。
【請求項2】
カメラを載置するベース部と、
筐体と前記筐体に固定されたハンドルとを有し、載置された前記カメラの側面と対向するよう又は対向可能なよう前記筐体と前記ベース部とが連結された側面部と、を有するカメラアダプタにおいて、
前記ハンドルは、端部側に形成された周溝と、前記周溝の底部に形成された凹部と、を有し、
前記筐体は、前記ハンドルの断面形状を当該カメラアダプタの使用状態における鉛直線及び水平線で4分割した際の、鉛直線に対し一方側であって、水平線に対し天側となる外面位置で前記ハンドル(60)に当接する第1の当接部と前記水平線に対し地側となる外面位置で前記ハンドル(60)に当接する第2の当接部とを有し、
鉛直線に対し他方側の周溝に係合する溝係合部及び前記凹部に係合する凸部を有し前記ハンドルを前記筐体との間に挟持するよう前記筐体に固定されたブラケットを備え、
前記凸部と前記ハンドルの中心とを通る直線が前記第1の当接部と前記第2の当接部との間に位置すると共に、前記第1の当接部の当接面積が前記第2の当接部の当接面積よりも大きいことを特徴とするカメラアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−13904(P2012−13904A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149622(P2010−149622)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】