説明

ハードコンタクトレンズ・ケアのためのコンディショニング溶液

【課題】ハードコンタクトレンズの処理のためのコンタクトレンズケア組成物を開示する。この組成物はハードコンタクトレンズのすすぎ洗い、洗浄、殺菌及び保存のために有用である。
【解決手段】この組成物は、ガラクトマンナン多糖とボレートとを含む特有のゲル化系を含有し、レンズを使用者の眼に再挿入するときに、レンズのコンディショニングを可能にする。これらの組成物を用いる方法をも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコンタクトレンズの処理に有用なコンタクトレンズ・ケア組成物に関する。本発明の組成物は、ガラクトマンナン多糖とボレート架橋用化合物とを含む特有のポリマーゲル化系を含み、ガラクトマンナン多糖とボレート(borate)架橋用化合物とは共に、上昇するpHとイオン強度の存在下で、ムチン様軟質ゲルを形成する。
【背景技術】
【0002】
ハードコンタクトレンズはそれらの剛性に関して名付けられ、一般に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)と、シロキサンアクリレートと、フルオロ−シロキサンアクリレート又はフルオロポリマーとから製造される。ハードコンタクトレンズの最も一般的な種類は、天然涙又は人工涙中に含有される溶解性ガスをレンズに透過させて角膜組織に供給する硬質ガス透過性(“RGP”)レンズである。
【0003】
ハードコンタクトレンズは、それらが着用者によって再使用されうる前に、定期的な洗浄と殺菌とを必要とする。非常に多くの洗浄、すすぎ洗い、殺菌及び保存溶液が今までに用いられている。一般に、これらの溶液は1種類以上の抗微生物剤、塩、緩衝剤、界面活性剤及びコンディショニング剤(conditioning agent)を含有していた。コンディショニング剤はレンズの潤滑を助けるので、ハードコンタクトレンズ・ケア溶液中で有用である。ハードコンタクトレンズを眼中に挿入すると、レンズの比較的疎水性の表面と硬質性とのために、ハードコンタクトレンズは使用者に不快感を惹起する可能性がある。したがって、潤滑状態を与える、洗浄及びコンディショニング溶液はハードコンタクトレンズ・ケアに特に有用である。コンディショニング組成物はしばしば、ハードコンタクトレンズの湿潤、浸漬及び殺菌のために用いられるように設計された多機能溶液である。
【0004】
ハードコンタクトレンズは限定された保水力(water retention capability)を有し、溶液中に入れるか又は眼の中に挿入したときに、充分に濡れない。現在のテクノロジーは、ハードコンタクトレンズの表面に天然又は合成の水溶性ポリマーを施用することがレンズの湿潤性を高めるのみでなく、レンズと眼との間に“クッション(cushion)”層を与えることを教えている。これらのポリマーの吸着性(adsorption)は湿潤性の上昇並びに使用者の快適さ及び耐性と同等と見なされている。しかし、このクッション層中の可動性ポリマーとレンズ表面との間には特異的な相互作用が殆ど無いので、大抵の先行技術の構造では“クッション”層の消失が迅速に生ずる。その結果、着用者は不快感を感じ始め、レンズ表面を再び濡らさなければならない。
【0005】
上記問題を軽減しようと試みて、コンディショニング溶液中に界面活性剤が用いられている。界面活性剤はレンズ表面に吸着されて、レンズが挿入されたときに涙の容易な拡散を可能にして、レンズがより快適に着用されるようにする。典型的な湿潤剤と粘度調節剤は:即ち、例えばカチオンセルロースポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びメチルセルロースのようなセルロース誘導体;例えばポリエチレングリコール、グリセリン及びポリエチレンオキシド(PEO)含有ポリマーのようなポリオール;ポリビニルアルコール;及びポリビニルピロリドンを包含している。このような添加剤は当該技術分野で公知であるような広範囲な濃度で用いることができる。しかし、これらの種類の添加剤はレンズに有意なレベルで吸着しないので、長時間の快適さを与えない。
【0006】
より長時間の快適さレベルを与えるポリマーは典型的に、高い粘度を生じ、それによってポリマーの保持を延長するように高濃度で用いられる必要がある。しかし、これらの高粘度剤の使用は、レンズを最初に眼に入れたときの視覚の曇りを惹起し、さらに使用者へのレンズの粘着感(sticky feeling)を発生させ、レンズの挿入及び取り扱いを困難にする可能性がある。疎水性の大きいポリマーはレンズにより容易に吸着することができ、低濃度で配合されて、良好な潤滑を与えることができる。しかし、疎水性の大きいポリマーの欠点は、ポリマーが付着物の支持体としても作用し、その結果、レンズにフィルムを形成しやすくさせ、脂質を付着させやすくさせることである。
【0007】
種々な洗浄、殺菌及び保存溶液が当該技術分野において述べられている。例えば、第4級アンモニウムポリマー、特にポリクオーターニウム−1(polyquaternium−1)のような抗微生物剤の使用が米国特許第4,407,791号(Stark)と第4,525,346号(Stark)とに述べられている。米国特許第4,758,595号(Ogunbiyi)と第4,836,986号(Ogunbiyi)とは殺菌溶液中のポリマービグアニドの使用を述べている。ハードコンタクトレンズをコンディショニングするための潤滑剤を含有する種々なコンタクトレンズ・ケア溶液も特許文献に開示されている。例えば、米国特許第4,436,730号(Ellis等)はレンズを湿潤、浸漬及び潤滑するための組成物を開示し、米国特許第4,820,352号(Riedhammer等)と第5,310,429号(Chou等)はレンズを洗浄し、潤滑するための組成物を開示する。
【0008】
種々なゲル化組成物が眼科用途に用いるために当該技術分野において開示されている。一般に、これらの種類の系は局所用途の薬剤に用いられており、この局所溶液は眼に滴下したときに部分的又は完全にゲル化して、眼への薬剤の持続放出を可能にする。このような薬剤はポリビニルアルコール、オイケマゲル(euchema gels)、キサンタンガム及びゲランガムの使用を包含している。しかし、コンタクトレンズを処理するための刺激物感受性(stimuli sensitive)ポリマー系は当該技術分野においてまだ開示されていない。
【0009】
現在のゲル化系の使用はコンタクトレンズ・ケア用途に用いるために多くの欠点を有する。米国特許第4,136,173号(Pramoda等)と第4,136,177号(Lin等)とは、キサンタンガムとイナゴマメガム(locust bean gum)とを含有する治療用組成物の使用を開示する、この組成物は液体形で投与され、滴下直後にゲル化する。これらの開示は、pH変化を含む液体からゲルへの変化機構を述べている。例えばカーボマー(carbomer)、キサンタン、ゲラン及び上述したゲルのようなpH感受性ゲルはそれらの酸基のpKa以下(典型的には、約2〜5のpH値)において配合される必要がある。しかし、低pHにおいて配合された組成物は眼にとって刺激的である。米国特許第4,861,760号(Mazuel等)は、ゲランガムを含有し、未ゲル化液体として眼に投与され、滴下直後にイオン強度の変化のためにゲル化する眼科用組成物を開示する。これらの系は架橋小分子の使用を含まないが、その代わり、イオン条件変化中に自己架橋のためにゲル特徴を生じる。
【0010】
しかし、現在のポリマー・ゲル系は多くの欠点を有する。コンタクトレンズ・コンディショニング溶液は典型的に、レンズを同時に殺菌しかつコンディショニングする多機能組成物として配合される。これらの多目的溶液は典型的にポリマーカチオンの抗微生物剤を用いる。アニオンポリマーは例えばポリクオーターニウム−1及びPHMBのようなポリマーカチオン抗微生物剤と静電的に相互作用する。この相互作用は抗微生物剤の殺菌活性を妨害するので、溶液の殺菌効力は弱められる。例えばゲラン、カラジーナン及びキサンタンのようなイオン感受性ゲルは、約100〜1000センチポアズ(“cps”)の比較的高い粘度(高濃度)において用いられるときに、ゲルを形成することができる。しかし、この粘度範囲は一般に、レンズ取り扱いの容易さと視覚の明瞭さとのためにあまりにも高すぎる。
【0011】
ボレートによる多糖の架橋を含むゲルはウェル フラクチャーリング流体(well fracturing fluid)としての使用に関して米国特許第5,082,579号と第5,160,643号とに開示されている。これらの特許は工業的油井掘削のためのボレートと多糖との使用を述べている。
【0012】
コンタクトレンズ・ケア用途への他のゲル化系の使用も多くの欠点を有する。例えば、キサンタンガムのような天然ポリマーは供給源の変動及び/又は加工中の製造制御(manufacturing controls)の制限のためのロット毎の可変性という欠点を有する。これらの可変性は化合物の性質に、例えば可変なゲル化特徴のような、有意な好ましくない変化を生じる。例えばポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド・ブロックコポリマー(“PEO/PPO”)のような熱ゲル化系(thermogelling system)は、ゲルを形成するために水分を失い、その結果、濁ったゲルを生じる。
【0013】
ポリビニルアルコール−ボレート架橋ゲルは、眼科用薬物投与に関して、米国特許第4,255,415号(Sukhbir等)に開示されている。これらの組成物は予備成形ゲルであるので、分配され難い。WIPO公開第WO94/10976号(Goldenberg等)は、液体/ゲル変化を経験する低pH PVA−ボレート投与系を開示する。しかし、これらの系はゲル化効果の限定という欠点を、用いるPVAの分子量に依存してPVAのある一定の濃度においてのみ有する。さらに、架橋サイト(crosslinking cites)はこの系によって限定されないので、塩基を添加したときの強い局部的なゲル化がその製造を限定しているため、この欠点を克服するために、これらの組成物にはポリビニルピロリドンが恐らく含まれていると思われる。本発明の新規なゲル化系は上記限定を有さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それ故、必要であることの全ては、必要な洗浄、殺菌、すすぎ洗い、保存及びコンディショニング効力を与え、レンズを眼に挿入して着用するときに、使用者に取り扱いの容易さと快適さとを与える、ハードコンタクトレンズ用のすすぎ洗い、殺菌、洗浄、保存及びコンディショニング溶液である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はハードコンタクトレンズの処理に有用なコンタクトレンズ・ケア溶液に関する。さらに詳しくは、本発明はハードコンタクトレンズをすすぎ洗いし、殺菌し、洗浄し、保存し、コンディショニングするために有用な組成物に関する。本発明の組成物はガラクトマンナン多糖とボレート供給源とを含む特有のゲル化系を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の組成物は低粘度の透明な溶液であり、レンズの手動処置のための優れた特徴を生じる。レンズをひと度本発明の組成物中に浸漬したならば、ガラクトマンナン多糖がレンズ上に吸着し、眼に挿入すると、眼中に存在する天然ムチンに類似する軟質の透明ゲルが形成される。このゲルは、ボレート架橋を介したポリマーの分子間架橋のために、眼腔(ocular cavity)からのポリマーの排出を減ずる。さらに、本明細書に開示する多糖−ボレートゲルは非架橋ポリマー系に比べてはるかに良好な潤滑効力を有する。
【0017】
本発明のゲル化系は製造プロセスにおける優れた再現性と、生成するゲルの視覚透明性(ocular clarity)を含めた優れたゲル化特性とを生じる。さらに、図3に説明するように、本発明のガラクトマンナン(例えば、グアーガム)は、ガラクトマンナンの種類又は供給源が変化したとしても、優れたゲル化一致性と再現性とを実証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、ハードコンタクトレンズをすすぎ洗いし、殺菌し、洗浄し、コンディショニングするための本発明の組成物の使用方法にも関する。
【0019】
本発明はまた、オートクレーブ処理を含むガラクトマンナンの滅菌方法にも関する。
【0020】
本発明は、1種類以上のガラクトマンナン多糖(単数又は複数種類)と、1種類以上のボレート化合物(単数又は複数種類)とを含むコンタクトレンズ・ケア組成物に関する。本発明はまた、コンタクトレンズをすすぎ洗いし、殺菌し、洗浄し、コンディショニングするためのこれらの組成物の使用方法にも関する。
【0021】
本発明に使用可能であるガラクトマンナンの種類は典型的にグアーガム、イナゴマメガム及びタラガム(tara gum)に由来する。本発明で用いるかぎり、“ガラクトマンナン”なる用語は上記天然ガム又は、主要な構成成分としてマンノース若しくはガラクトース部分若しくは両方の部分を含有する、同様な天然若しくは合成ガムに由来する多糖を意味する。本発明の好ましいガラクトマンナンは(1−4)−β−D−マンノピラノシル単位と、(1−6)結合によって結合したα−D−ガラクトピラノシル単位との線状鎖から構成される。好ましいガラクトマンナンによると、D−ガラクトースのD−マンノースに対する比率は変化するが、一般には、約1:2から1:4までである。約1:2のD−ガラクトース:D−マンノースの比率を有するガラクトマンナン類が最も好ましい。さらに、これらの多糖の他の化学的に修飾された変形も“ガラクトマンナン”の定義に含まれる。例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びカルボキシメチルヒドロキシプロピル置換を本発明のガラクトマンナンにおこなうことができる。例えばアルコキシ及びアルキル(C−C)基を含有する変形のような、ガラクトマンナンの非イオン変形が特に好ましい(例えば、ヒドロキシプロピル置換)。非シスヒドロキシル位置における置換が最も好ましい。本発明のガラクトマンナンの非イオン置換の例はヒドロキシプロピルグアーであり、これは好ましくは約0.6モル比率まで置換される。
【0022】
本発明の組成物に使用可能であるボレート化合物はホウ酸と、例えば、ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)とホウ酸カリウムのような、他の薬剤学的に受容される塩とである。本発明で用いるかぎり、“ボレート”なる用語はボレートの全ての薬剤学的に適した形態を意味する。ボレートは生理的pHにおける良好な緩衝能力と、周知の安全性と、広範囲な薬物及び防腐剤との適合性とのために眼科用製剤に一般的に用いられる賦形剤である。ボレートはまた、固有の細菌発育阻止及び真菌発育阻止性質を有し、改良された防腐系を生じる。ボレートはpH7.0未満で最小緩衝効果を有するので、コンタクトレンズ・ケア溶液のpHは、眼への滴下直後に、網膜の涙によって容易に調節されることができる。
【0023】
本発明の組成物は0.1〜2.0重量/容量(“w/v”)%の量での1種以上のガラクトマンナン(単数又は複数種類)と、0.05〜2%(w/v)の量でのボレートとを含む。好ましくは、これらの組成物は0.1〜1.0%(w/v)のガラクトマンナンと0.1〜1.0%(w/v)のボレート化合物とを含有する。最も好ましくは、組成物は0.2〜0.5%(w/v)のガラクトマンナンと0.2〜0.75%(w/v)のボレート化合物とを含有する。特定の量は望ましい特定のゲル化特性に依存して変化する。一般に、ゲル活性化直後に(即ち、投与後に)組成物の適当な粘度に達するようにボレート又はガラクトマンナン濃度を操作することができる。図1と2に示すように、ボレート濃度又はガラクトマンナン濃度のいずれかを操作すると、一定pHにおける強い又は弱いゲル化を生じる。強力なゲル化組成物が望ましい場合には、ボレート又はガラクトマンナン濃度を高めることができる。例えば部分的ゲル化組成物のような、弱いゲル化組成物が望ましい場合には、ボレート又はガラクトマンナン濃度を減ずることができる。例えば塩、防腐剤、キレート化剤等のような、組成物中の添加成分の性質及び濃度のような、他の要素が本発明の組成物のゲル化特徴に影響を与える可能性がある。一般に、本発明の好ましい未ゲル化コンディショニング溶液、即ち、眼によってまだゲル活性化されていないコンディショニング溶液は約5〜100cpsの粘度を有する。一般に、本発明のゲル化組成物は約10〜1000cpsの粘度を有する。
【0024】
本発明のガラクトマンナンは非常に多くの供給源から得ることができる。このような供給源はグアーガム、イナゴマメ(locust bean)ガム及びタラガムを以下でさらに説明するように包含する。さらに、ガラクトマンナンは古典的な合成方法によっても得ることができ、又は天然生成ガラクトマンナンの化学的修飾によっても得ることができる。
【0025】
グアーガムはCyamopisis tetragonolobus(L.)Taubの磨砕内乳である。水溶性画分(85%)は“グアラン”(分子量220,000)と呼ばれ、(1−4)−β−D−マンノピラノシル単位と、(1−6)結合によって結合したα−D−ガラクトピラノシル単位との線状鎖から構成される。グアラン中のD−ガラクトースのD−マンノースに対する比率は約1:2である。このガムはアジアで数世紀にわたって栽培されており、主として食品及びパーソナルケア製品にその増粘性のために用いられる。これは澱粉の5倍〜8倍の増粘力を有する。例えば、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシプロピルトリモニウム・クロリド(hydroxypropyltrimonium chloride)置換を含有する誘導体のような、その誘導体は10年以上も前から商業的に入手可能である。グアーガムは例えばRhone−Polulenc(Cranbury,New Jersey)、Hercules,Inc.(Wilmington,Delaware)及びTIC Gum Inc.(Belcamp,Maryland)から入手可能である。
【0026】
イナゴマメガム又はキャロブビーンガム(carob bean gum)はキャロブの木(carob tree)、ceratonia siliquaの種子の精製内乳である。この種類のガムのガラクトースのマンノースに対する比率は約1:4である。キャロブの木の栽培は昔からおこなわれ、当該技術分野において周知である。この種類のガムは商業的に入手可能であり、TIC Gum Inc.(Bekamp,Maryland)又はRhone−Polulenc(Cranbury,New Jersey)から得ることができる。
【0027】
タラガムはタラの木の精製種子ガムに由来する。ガラクトースのマンノースに対する比率は約1:3である。タラガムは合衆国では商業的に製造されていないが、合衆国外からの種々な供給源から入手可能である。
【0028】
架橋度を制限して、より軟質ゲルの特性を得るために、例えばヒドロキシプロピル・グアーのような化学的修飾ガラクトマンナンを用いることができる。種々な置換度の修飾ガラクトマンナンがRhone−Poulenc(Cranbury,New Jersey)から商業的に入手可能である。低モル置換(例えば、0.6未満)を有するヒドロキシプロピル・グアーが特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物は他の成分を含有する。このような成分は抗微生物/防腐剤、張度調節剤(tonicity adjusting agent)、緩衝剤及びキレート化剤を包含する。例えばポリエチレングリコール及びグリセロールのような、他のポリマー又はモノマー作用剤をも特定の加工のために加えることができる。本発明の組成物に有用な張度調節剤は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化カルシウムのような塩を包含することができ;非イオン張度調節剤はプロピレングリコールとグリセロールを包含することができ;キレート化剤はEDTAとその塩を包含することができ;pH調節剤は塩酸、Tris、トリエタノールアミン及び水酸化ナトリウムを包含することができる。適当な抗微生物剤/防腐剤は以下でさらに詳しく考察する。例の上記列挙は例証のために挙げたものであり、排他的であることを意図しない。上記目的のために有用な他の作用剤の例は、コンタクトレンズ・ケア製剤において周知であり、本発明によって考慮される。
【0030】
本発明のゲル化系と先行技術ゲル化系との組合せも本発明によって考慮される。このような系は例えばキサンタン、ゲラン、カラジーナン、カルバマーのようなイオナマーと;及び例えばエチルヒドロキシエチルセルロースのようなサーモゲルとの包含を含む。
【0031】
本発明の殺菌用組成物は抗微生物剤を含有する。抗微生物剤は、微生物との化学的又は物理化学的相互作用によってそれらの抗微生物活性を導出するモノマー又はポリマー抗微生物剤であることができる。本明細書で用いるかぎり、“ポリマー抗微生物剤”なる用語は、抗微生物活性を有する任意の窒素含有ポリマー又はコポリマーを意味する。好ましいポリマー抗微生物剤は、ポリマー第4級アンモニウム化合物であるポリクオーターニウム−1と;ポリマービグアニドである、ポリヘキサメチレンビグアニド(“PHMB”)又はポリアミノプロピルビグアニド(“PAPB”)とを包含する。これらの好ましい抗微生物剤は米国特許第4,407,791号及び第4,525,346号(Starkに発行)と、第4,758,595号及び第4,836,986号(Ogunbiyiに発行)とにそれぞれ開示されている。上記刊行物の全内容は本明細書に援用される。本発明の組成物及び方法に適した他の抗微生物剤は、他の第4級アンモニウム化合物、例えばベンザルコニウムハライドと、他のビグアニド、例えばクロルヘキシジンとを包含する。本発明に用いる抗微生物剤は、好ましくは、例えばチメロサールのような水銀含有化合物の不存在下で用いられる。本発明の特に好ましい抗微生物剤は次の構造式のポリマー第4級アンモニウム化合物である:
【0032】

【0033】
式中、
とRは同じものでも、異なるものでもよく、N(CHCHOH)、N(CH又はOHから選択される;Xは薬剤学的に受容されるアニオン、好ましくはクロリドである;n=1〜50の整数。
【0034】
この構造式の最も好ましい化合物は、ポリクオーターニウム−1であり、これはOnamer MTM(Onyx Chemical Corporationの登録商標)又はPolyquad(登録商標)(Alcon Laboratories,Inc.の登録商標)としても知られる。ポリクオーターニウム−1は、上記式においてXがクロリドであり、R、R及びnが上記で定義した通りである上記化合物の混合物である。
【0035】
上記抗微生物剤は本発明の方法に、例えば合衆国食品医薬品局のような政府規制当局の要求に応じてコンタクトレンズ上に検出される生育可能な微生物の数を実質的に除去する又は有意に減ずるために有効な量で用いられる。本明細書のために、この量は“殺菌有効量”又は“抗微生物的有効量”であるとして表される。抗微生物剤の使用量は、本発明の方法が適用されるレンズケア計画(lens care regimen)の種類のような要因に依存して変化する。例えば、レンズケア計画における有効な、毎日のクリーナー(daily cleaner)の使用は、微生物を含めたレンズ上の付着物の量を実質的に減じるので、レンズの殺菌のために必要な抗微生物剤の量を軽減する。一般に、上記抗微生物剤のうちの1種類以上の約0.000001重量%〜約0.05重量%の範囲内の濃度が用いられる。式(I)のポリマー第4級アンモニウム化合物の最も好ましい濃度は、約0.0001重量%〜0.001重量%である。
【0036】
一般に、本発明の組成物は2部式に製剤化される。ガラクトマンナンポリマーを水和させ、滅菌する(パートI)。次に、組成物に含めるべき他の成分を水中に溶解して、滅菌濾過する(パートII)。次に、パートIとIIとを一緒にして、得られた混合物のpHを目標レベル、一般には6.5〜7.2に調節する。
【0037】
本発明の組成物は多目的組成物として、即ち、毎日の洗浄効力をも生じる組成物として製剤化されることもできる。このような多目的組成物は、コンディショニングと殺菌との他に、典型的に界面活性剤(単数又は複数種類)を含有する。これらの組成物に有用な界面活性剤はポロキサミン(poloxamines)、ポロキサマー(poloxamer)、アルキルエトキシレート、アルキルフェニルエトキシレート又は当該技術分野に公知の非イオン、アニオン及び双性イオン界面活性剤を包含する。
【0038】
ガラクトマンナン多糖の滅菌は、オートクレーブ処理によって達成されることができる。ポリマーは極端な条件のオートクレーブ処理では解重合を受けるので、非水性オートクレーブ処理が一般に好ましい。これは例えば低分子量ポリエチレングリコールのような適当な有機液体中にポリマーを分散させることによって達成することができる。次に、得られた懸濁液をオートクレーブ処理して、ポリマーを滅菌することができる。次に、滅菌したポリマーを無菌的に水和させてから、他の成分と混合する。或いは、ポリマー粉末をドライヒート(dry heat)によって滅菌することができる。
【0039】
下記実施例は本発明の新規なガラクトマンナン多糖滅菌方法を説明する:
【0040】
実施例1
この実施例は、本発明の下記多目的コンディショニング溶液の製造方法を説明する:
【表1】

【0041】
予め、配合容器(20リットル ステンレス鋼圧力缶)、0.2ミクロン滅菌フィルター、受器(20リットル カーボイ)、4.5ミクロン ポリッシング・フィルター、0.2ミクロン滅菌フィルター、ベントフィルター及び充填装置をオートクレーブ処理によって滅菌する。
【0042】
オーバーヘッド撹拌機を備えたビーカーにポリエチレングリコール400(200g)の秤量した量を加える。ゆっくり混合しながら、ヒドロキシプロピル(“HP”)グアーガム(100g)の秤量した量を分散させる。完全に均一になるまで混合する。マグネチック撹拌バーを備えた500mlのSchottボトルに、120.0gのHPグアーガム/PEG−400分散系を正確に秤り入れる。オートクレーブ処理による滅菌の準備をする。第2の同じ500mlのSchottボトルに、120.0gの同じ分散系を正確に秤り入れる。オートクレーブ処理サイクル中にダミーとして用いるための準備をする。両方のボトルに、1.3mlの精製水(確認(validation)試験中にボトルに接種するために用いた微生物懸濁液と体積で等しい量)を加える。マグネチック撹拌プレートを用いて両方のボトルを10分間混合する。HPグアーガム/PEG−400分散系を125℃における80分間の確認済み時間−温度サイクルを用いてオートクレーブ処理する。
【0043】
オーバーヘッド撹拌機を備えた容器に、理論バッチ重量(約14kg)の約70%に等しい精製水を加える。中程度の速度で混合しながら、望ましい他の成分:Tetronic 1304、ホウ酸、プロピレングリコール、エデト酸二ナトリウム(disodium edetate)を徐々に加える。少なくとも60分間、又は完全に均一になるまで混合する。温度を検査して、必要に応じて、35℃以下に冷却する。低速度で混合しながら、徐々にポリクオーターニウム−1を加える。少なくとも15分間又は完全に均一になるまで混合する。予め滅菌した、撹拌機付き配合器中に0.2ミクロン滅菌フィルターに通して移す(望ましい配合器は圧力容器であり、望ましい撹拌機は、無菌配合分野で用いられうるオーバーヘッド・ミキサーである)。容器とフィルターのアセンブリを室温のWFIによってすすぎ洗いする。
【0044】
滅菌済みHPグアーガム/PEG−400分散系を予め滅菌した配合器中に無菌的に移す。ボトルの内容を滅菌精製水ですすぎ洗いする。無菌の室温精製水を用いて、配合器の内容物を理論バッチ重量(19.0リットル又は19.06Kg)の正確に95%までにする。HPグアーガム/PEGスラリーを配合器において中程度の速度で少なくとも2時間混合しながら、水和させる。配合器の内容物を4.5ミクロンの予め滅菌したポリッシング・フィルターに通して、予め滅菌済みの撹拌バー付き受器に移す。フィルター・ハウジングとフィルター・カートリッジ中に保持される生成物のために内容物の若干の損失が生ずる。(配合器として圧力容器を用いる場合には、清澄濾過(clarification filtration)のために望ましい圧力は約30psiである。)pHを検査し、必要な場合には、1N NaOH又は1N HClを用いて6.9〜7.1(目標7.0)にpHを調節する。所望のpHに達するためには、1リットルの最終バッチ量につき約3〜4mlの1N NaOHが必要である。無菌精製水を用いて最終バッチ量に充分に達するようにする。低速度で少なくとも30分間混合する。
【0045】
本発明の方法は、本発明の1種類以上の組成物の使用を含む。洗浄が望ましい場合には、汚れたレンズを一般に使用者の手のひらに載せ、数滴の本発明の多目的組成物又は任意に、界面活性剤を含む他の洗浄組成物をレンズに供給して、短時間、一般には5〜20秒間、該溶液を用いてレンズを穏やかに擦る。次に、洗浄済みレンズを本発明のすすぎ洗い、殺菌、洗浄及びコンディショニング溶液のような、すすぎ洗い用組成物によってすすぎ洗いして、本発明のすすぎ洗い、殺菌、及びコンディショニング用組成物の一定量を含有するレンズケアに入れることができる。一般に、レンズを殺菌し、コンディショニングするために、これらのレンズを本発明の組成物中に約4時間から一晩までの期間にわたって貯蔵する。
下記実施例は本発明の好ましい組成物をさらに説明する。
【0046】
実施例2
好ましいコンディショニング、すすぎ洗い及び殺菌溶液を以下に説明する:
成分 濃度%(w/v)
ヒドロキシプロピルグアー 0.5
ホウ酸 0.5
プロピレングリコール 1.4
エデト酸二ナトリウム 0.015
ポリクオーターニウム−1 0.0003
水酸化ナトリウム/塩酸 pH6.8までのQS
精製水 QS
【0047】
上記製剤は、最初にポリマー(ヒドロキシプロピルグアー)を高度に撹拌しながら水の約50%量中に分散させて、ポリマーを水和させることによって製造することができる(パートI)。次に、このポリマー溶液を121℃において約30分間オートクレーブ処理する。次に、残留成分を水の約40%量中に分散させ、溶解して、0.2ミクロンフィルターを用いて無菌容器中に滅菌濾過して入れる(パートII)。次に、パートIとIIの内容物を無菌的に一緒にして、次に、pHを調節する。次に、追加の精製水を用いて、このバッチを所定量にする。
【0048】
実施例3
毎日の洗浄、すすぎ洗い、殺菌及びコンディショニングのために好ましい多目的溶液を以下に説明する:
成分 濃度%(w/v)
ヒドロキシプロピルグアー 0.2
テトロニック 1304 0.25
ホウ酸 1.0
プロピレングリコール 0.9
エデト酸二ナトリウム 0.01
ポリエチレングリコール(400) 0.4
ポリクオーターニウム−1 0.001
水酸化ナトリウム/塩酸 pH6.8までのQS
精製水 QS
【0049】
上記製剤は、最初にパートIとパートIIとの混合物を用意することによって製造される。ヒドロキシプロピルグアーをPEG−400中に分散させ、パートIとしてオートクレーブ処理する。次に、他方の成分を水の約90%量中に溶解し、パートIIとして受器中に滅菌濾過する。次にパートIをパートIに無菌的に加える。次に、pHを無菌的に調節し、バッチを最終重量(量)にする。一緒にした溶液を次に1.0μmポリッシング・フィルターに無菌的に通して、粒状物を全て除去する。得られた組成物は約300mOsm/Kgのオスモル濃度と、約16cpsの粘度とを有する。
【0050】
実施例4
毎日の洗浄、すすぎ洗い、殺菌及びコンディショニングのための好ましい多目的溶液を以下で説明する:
成分 濃度%(w/v)
イナゴマメガム 0.5
ホウ酸 1.0
プロピレングリコール 1.4
テトロニック 1304 0.25
ポリエチレングリコール(400) 1.0
ポリクオーターニウム−1 0.0005
水酸化ナトリウム/塩酸 pH7.0までのQS
精製水 QS
上記組成物は実施例3に述べた方法と同様な方法で製造することができる。
【0051】
本発明の好ましい態様は以下のようなものである。
1. コンタクトレンズを処理するための溶液であって、
前記溶液は、(a)ポリマーゲル化系と(b)水とを含み、
前記ポリマーゲル化系は、ガラクトマンナンとボレート化合物とを含み、溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)であり、ボレート化合物の濃度が0.05−2.0%(w/v)である、前記溶液。
2. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択され、ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、1に記載の溶液。
3. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含み、ボレート化合物がホウ酸を含む、2記載の溶液。
4. 溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、3記載の溶液。
5. 溶液がさらに眼科的に許容できる抗微生物剤の有効量を含む、1−4のいずれか一項に記載の溶液。
6. 抗微生物剤がポリクオーターニウム−1及びポリヘキサメチレンビグアニドから成る群から選択される、5に記載の溶液。
7. 抗微生物剤がポリクオーターニウム−1を含む、5に記載の溶液。
8. ハードコンタクトレンズを処理するための多目的溶液であって、
前記溶液は、(a)レンズを殺菌するために有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤;(b)ポリマーゲル化系;及び(c)水を含み、
前記ポリマーゲル化系は、ガラクトマンナンとボレート化合物とを含み、溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)であり、ボレート化合物の濃度が0.05−2.0%(w/v)である、前記溶液。
9. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択され、ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、8に記載の多目的溶液。
10. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含み、ボレート化合物がホウ酸を含む、9記載の多目的溶液。
11. 溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、10記載の多目的溶液。
12. 抗微生物剤がポリクオーターニウム−1を含む、8−11のいずれか一項に記載の多目的溶液。
13. 溶液がさらに界面活性剤を含む、8−12のいずれか一項に記載の多目的溶液。
14. 1種類以上のガラクトマンナン(単数または複数種類)と、ボレート化合物とを含むコンディショニング組成物であって、約0.1−2.0%(w/v)の濃度のガラクトマンナンと、約0.05−2.0%(w/v)の濃度のボレート化合物を含むコンディショニング組成物中にレンズを浸漬することによって、レンズにコンディショニング組成物を塗布することを含む、コンタクトレンズのコンディショニング方法。
15. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択される、14に記載の方法。
16. ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、14または15に記載の方法。
17. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーであり、ボレート化合物がホウ酸である、15または16記載の方法。
18. 溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、17に記載の方法。
19. ガラクトマンナンがグアーガムであり、ボレート化合物がホウ酸である、15または16記載の方法。
20. 溶液が0.1−1.0%(w/v)の濃度のグアーガムと0.1−1.0%(w/v)の濃度のホウ酸とを含む、19記載の方法。
21. 溶液がさらに眼科的に許容できる抗微生物剤と水とを含む、14−20のいずれか一項に記載の方法。
22. コンタクトレンズを殺菌及びコンディショニングする方法であって、前記方法は、(a)レンズを殺菌するために有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤;(b)ポリマーゲル化系;及び(c)水を含む溶液であって、前記ポリマーゲル化系は、ガラクトマンナンとボレート化合物とを含み、溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)であり、ボレート化合物の濃度が0.05−2.0%(w/v)である溶液に、レンズを殺菌及びコンディショニングするのに十分な時間浸漬することを含む、前記方法。
23. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択され、ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、22に記載の方法。
24. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含み、ボレート化合物がホウ酸を含む、23記載の方法。
25. 溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、24記載の方法。
26. 抗微生物剤がポリクオーターニウム−1を含む、22−25のいずれか一項に記載の方法。
27. 溶液がさらに界面活性剤を含み、浸漬の前にレンズを前記溶液でこすり、前記溶液でレンズを濯ぐ、22−26のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
本発明の好ましい態様はまた以下のようなものである。
1. 下記を含むコンタクトレンズ処理用溶液。
(a)レンズをコンディショニングするのに有効な量のガラクトマンナン;及び
(b)水。
2. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体から成る群から選択される、1に記載の溶液。
3. 溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)である、1または2に記載の溶液。
4. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含む、1−3のいずれか一項に記載の溶液。
5. 溶液がさらにレンズを殺菌するのに有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤を含む、1−4のいずれか一項に記載の溶液。
6. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1及びポリヘキサメチレンビグアニドから成る群から選択される、5に記載の溶液。
7. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1を含む、6に記載の溶液。
8. 下記を含むコンタクトレンズを洗浄し、殺菌し、コンディショニングするための多目的溶液;
(a)レンズを洗浄するのに有効な量の界面活性剤;
(b)レンズを殺菌するのに有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤;
(c)レンズをコンディショニングするのに有効な量のガラクトマンナン;及び
(d)水。
9. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体から成る群から選択される、8に記載の溶液。
10. ガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)である、8または9に記載の溶液。
11. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含む、8−10のいずれか一項に記載の溶液。
12. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1及びポリヘキサメチレンビグアニドから成る群から選択される、8−11のいずれか一項に記載の溶液。
13. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1を含む、12に記載の溶液。
14. (a)レンズをコンディショニングするのに有効な量のガラクトマンナン;及び
(b)水を含む組成物にコンタクトレンズを浸漬することによって、レンズにコンディショニング組成物を塗布することを含む、コンタクトレンズをコンディショニングする方法。
15. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体から成る群から選択される、14に記載の方法。
16. 溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)である、14または15に記載の方法。
17. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含む、14−16のいずれか一項に記載の方法。
18. 溶液がさらにレンズを殺菌するのに有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤を含む、14−17のいずれか一項に記載の方法。
19. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1及びポリヘキサメチレンビグアニドから成る群から選択される、18に記載の方法。
20. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1を含む、19に記載の方法。
21. (a)レンズを洗浄するのに有効な量の界面活性剤;
(b)レンズを殺菌するのに有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤;
(c)レンズをコンディショニングするのに有効な量のガラクトマンナン;及び
(b)水、を含む溶液でコンタクトレンズをこすり、前記溶液でレンズを濯ぎ、レンズを前記溶液に殺菌及びコンディショニングするのに十分な時間、浸漬することを含むコンタクトレンズを洗浄し、殺菌し、コンディショニングする方法。
22. ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体から成る群から選択される、21に記載の方法。
23. 溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)である、21または22に記載の方法。
24. ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含む、21−23のいずれか一項に記載の方法。
25. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1及びポリヘキサメチレンビグアニドから成る群から選択される、21−24のいずれか一項に記載の方法。
26. 抗微生物剤がポリクオーターニウム1を含む、25に記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、ハードコンタクトレンズの処理に有用なコンタクトレンズ・ケア溶液に有用な、さらに詳しくは、本発明はハードコンタクトレンズをすすぎ洗いし、殺菌し、洗浄し、保存し、コンディショニングするために有用な組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ボレートの存在下での種々な濃度のグアーガムのゲル化特性をpHに対して示すグラフである。
【図2】グアーガムの存在下での種々な濃度のボレートのゲル化特性をpHに対して示すグラフである。
【図3】3つの異なる種類/供給源のグアーガムのゲル化特性の均一性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズを処理するための溶液であって、
前記溶液は、(a)ポリマーゲル化系と(b)水とを含み、
前記ポリマーゲル化系は、ガラクトマンナンとボレート化合物とを含み、溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)であり、ボレート化合物の濃度が0.05−2.0%(w/v)である、前記溶液。
【請求項2】
ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択され、ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含み、ボレート化合物がホウ酸を含む、請求項2記載の溶液。
【請求項4】
溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、請求項3記載の溶液。
【請求項5】
溶液がさらに眼科的に許容できる抗微生物剤の有効量を含む、請求項1−4のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項6】
抗微生物剤がポリクオーターニウム−1及びポリヘキサメチレンビグアニドから成る群から選択される、請求項5に記載の溶液。
【請求項7】
抗微生物剤がポリクオーターニウム−1を含む、請求項5に記載の溶液。
【請求項8】
ハードコンタクトレンズを処理するための多目的溶液であって、
前記溶液は、(a)レンズを殺菌するために有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤;(b)ポリマーゲル化系;及び(c)水を含み、
前記ポリマーゲル化系は、ガラクトマンナンとボレート化合物とを含み、溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)であり、ボレート化合物の濃度が0.05−2.0%(w/v)である、前記溶液。
【請求項9】
ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択され、ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の多目的溶液。
【請求項10】
ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含み、ボレート化合物がホウ酸を含む、請求項9記載の多目的溶液。
【請求項11】
溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、請求項10記載の多目的溶液。
【請求項12】
抗微生物剤がポリクオーターニウム−1を含む、請求項8−11のいずれか一項に記載の多目的溶液。
【請求項13】
溶液がさらに界面活性剤を含む、請求項8−12のいずれか一項に記載の多目的溶液。
【請求項14】
1種類以上のガラクトマンナン(単数または複数種類)と、ボレート化合物とを含むコンディショニング組成物であって、約0.1−2.0%(w/v)の濃度のガラクトマンナンと、約0.05−2.0%(w/v)の濃度のボレート化合物を含むコンディショニング組成物中にレンズを浸漬することによって、レンズにコンディショニング組成物を塗布することを含む、コンタクトレンズのコンディショニング方法。
【請求項15】
ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーであり、ボレート化合物がホウ酸である、請求項15または請求項16記載の方法。
【請求項18】
溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ガラクトマンナンがグアーガムであり、ボレート化合物がホウ酸である、請求項15または請求項16記載の方法。
【請求項20】
溶液が0.1−1.0%(w/v)の濃度のグアーガムと0.1−1.0%(w/v)の濃度のホウ酸とを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
溶液がさらに眼科的に許容できる抗微生物剤と水とを含む、請求項14−20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
コンタクトレンズを殺菌及びコンディショニングする方法であって、前記方法は、(a)レンズを殺菌するために有効な量の眼科的に許容できる抗微生物剤;(b)ポリマーゲル化系;及び(c)水を含む溶液であって、前記ポリマーゲル化系は、ガラクトマンナンとボレート化合物とを含み、溶液中のガラクトマンナンの濃度が0.1−2.0%(w/v)であり、ボレート化合物の濃度が0.05−2.0%(w/v)である溶液に、レンズを殺菌及びコンディショニングするのに十分な時間浸漬することを含む、前記方法。
【請求項23】
ガラクトマンナンがグアーガム、イナゴマメガム、タラガム及びこれらの化学的修飾誘導体からなる群から選択され、ボレート化合物がホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ガラクトマンナンがヒドロキシプロピルグアーを含み、ボレート化合物がホウ酸を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
溶液が0.1−1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルグアー及び0.1−1.0%(w/v)のホウ酸を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
抗微生物剤がポリクオーターニウム−1を含む、請求項22−25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
溶液がさらに界面活性剤を含み、浸漬の前にレンズを前記溶液でこすり、前記溶液でレンズを濯ぐ、請求項22−26のいずれか一項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−195990(P2007−195990A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34604(P2007−34604)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【分割の表示】特願2002−144737(P2002−144737)の分割
【原出願日】平成10年7月17日(1998.7.17)
【出願人】(592038834)アルコン ラボラトリーズ インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ALCON LABORATORIES, INCORPORATED
【Fターム(参考)】