説明

ハードコート材用樹脂組成物および積層体

【課題】硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、塗膜剥がれが生じにくく、硬化後の反りが小さい硬化物を与えることができるハードコート材用樹脂組成物および積層体を提供すること。
【解決手段】下記式(1):
【化1】


[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有することを特徴とするハードコート材用樹脂組成物、ならびに、該樹脂組成物を含む材料を硬化させて得られる層が形成されてなる積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート材用樹脂組成物および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等のディスプレイ表面に貼着されて使用されるプラスチックフィルムやCD、DVD、ブルーレイディスク等の光ディスク表面の傷つき防止のために、耐擦傷性を付与する目的でこれら透明プラスチック基材表面にハードコート層が形成される場合がある。
【0003】
ハードコート層を形成する方法として、例えば、透明プラスチック基材表面に多官能アクリレート系の紫外線硬化型透明樹脂を2〜10μm程度コーティングする方法が挙げられる。しかしながら、多官能アクリレートモノマーを主成分とする硬化性樹脂の場合、プラスチック基材表面の耐引っかき性や耐擦傷性は改善されるものの硬化時の体積収縮が大きくなるので、ハードコート層と基材の剥離やハードコート層のひび割れが発生する場合がある。またフィルム基材にコーティングした場合、同じく硬化収縮によりフィルムがカールする場合やハードコート層を形成したフィルムを折り曲げたりするとハードコート層の剥離やひび割れが発生する場合があった。またハードコート層付きプラスチックフィルムを裁断する場合、エッジ部でひび割れする等の問題点があった。
【0004】
またハードコート層付きフィルム表面の硬度を向上される方法として、ハードコート層の厚みを10μmよりも厚くする方法が挙げられる。しかし、硬化時の体積収縮によりハードコート層と基材の剥離やハードコート層のひび割れ程度がより大きくなる場合がある。またフィルムのカール量もより大きくなる等の問題点があった。
【0005】
そこでハードコート層の高硬度化を実現するとともに、前述のハードコート層の割れやカール等の問題点を改善する為に種々の検討がなされている。プラスチック基材にハードコート層を形成する方法として、例えば、以下のようなものが挙げられる。特許文献1には、側鎖にエチレン性不飽和基を含む架橋性ポリマーを含有する硬化性樹脂組成物を用いる方法が開示されている。特許文献2には、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸の重合体を含有した光硬化性樹脂組成物が開示されている。特許文献3には、プレポリマー分子の両末端に(メタ)アクリロイル基を有し、かつプレポリマー主鎖のユニット中に(メタ)アクリロイル基を側鎖として有する化合物を用いた放射線硬化型塗工剤が開示されている。また特許文献4には、プラスチック基材フィルムとハードコート層との間に緩衝層を設けたハードコートフィルムが開示されている。特許文献5には、プラスチック基材上に硬化型エポキシアクリレートを含む第1ハードコートおよび硬化型ウレタンアクリレートを含む第2層ハードコート層が積層されたハードコートフィルムが開示されている。
【0006】
上記のように基材フィルム上に多層に材料を形成する場合には生産工程数が多くなったり、得られた重合体が固体状の場合ではハードコート材用樹脂組成物を調整する際に材料粘度を下げる為に有機溶剤の使用量が多くなるなど生産工程に負荷が生じたりするなど問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−322430号公報
【特許文献2】特許第2959050号公報
【特許文献3】特許第3158527号公報
【特許文献4】特開平11−300873号公報
【特許文献5】特開2006−58574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、上記のような異種重合性単量体を包含するアルケニルエーテル類から、ポリアルケニルエーテル類を短時間で生産性よく製造する方法を見出し、すでに特許出願している(特開2006−241189号)。
【0009】
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、塗膜剥がれが生じにくく、硬化後の反りが小さい硬化物を与えることができるハードコート材用樹脂組成物およびハードコート層付き積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、種々検討の結果、上記のような異種重合性単量体をカチオン重合法に基づいて重合または共重合すれば、(メタ)アクリロリル基ペンダント型重合体または共重合体が得られ、このような(メタ)アクリロイル基ペンダント型重合体または共重合体を用いれば、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、塗膜剥がれが生じにくく、硬化後の反りが小さいハードコート層付き積層体が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記式(1):
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有することを特徴とするハードコート材用樹脂組成物。
【0014】
また、本発明は、ハードコート材用樹脂組成物を含む材料を硬化させて得られる層が形成されてなる積層体を提供するものでもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハードコート材用樹脂組成物に含有される(メタ)アクリロイル基ペンダント型重合体を用いると硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、また、ビニル系重合体を用いているので、ビニル系単量体を用いた場合と比較すると塗膜剥がれが生じにくく、硬化後の反りが小さい積層体を与えることができる。
【0016】
さらには、後に記載する式(2)で示される異種重合性単量体をカチオン重合あるいはリビングカチオン重合して得られる上記式(1)で示されるビニル系重合体は、粘性液体として得られる場合があるので樹脂組成物の粘度調整に使用される有機溶剤や(メタ)アクリレート系単量体の使用量を低減できるという特徴も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
≪ハードコート材用樹脂組成物≫
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、下記式(1):
【0018】
【化2】

【0019】
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有することを特徴とするハードコート材用樹脂組成物。
【0020】
<ビニル系重合体>
本発明のハードコート材用樹脂組成物において、上記式(1)で示されるビニル系重合体の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは30〜100質量%である。ビニル系重合体の配合量が10質量%未満であると、架橋密度が低下するので硬化速度の低下や硬化物の塗膜強度が不充分になることがある。
【0021】
上記式(1)で示されるビニル系重合体は、低分子量成分が増加するとハードコート層の強度が低下することがある。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000〜200,000、さらに好ましくは10,000〜100,000の範囲内である。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)が3,000未満であると、硬化速度の低下や硬化物の強度低下を生じることがある。また200,000を超えると基材との濡れ性が低下することや、また、ハードコート材樹脂組成部を調整する際に混合時間が長くなる等の作業性が低下する場合がある。ここで、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、THFを移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー株式会社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー株式会社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
【0022】
上記式(1)で示されるビニル系重合体は、固体状の単量体含有量が多い重合体の場合を除き、液状粘性体として得ることができる。液状粘性体であれば、有機溶剤や(メタ)アクリレート系単量体との溶解性が良いので、ハードコート用樹脂組成物を調整する際に作業効率の向上化が図れる。粘度が低いと作業性が良く、また、積層体を作成する際に、基材との濡れ性は向上するが、ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)が小さい場合があり、ハードコート層の強度が低下することがある。好ましい本発明のビニル系重合体の粘度は、好ましくは0.1〜2000Pa・s、より好ましくは1〜1000Pa・s、さらに好ましくは2〜500Pa・sである。ここで、粘度は、温度25℃の条件下で、RB80型粘度計(型式「RB80L」:東機産業(株)製)を用いて算出した値である。
【0023】
上記式(1)において、Rで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基、1,4−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,4−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基などが挙げられる。Rで表される置換基は、上記式(1)中にm個存在するが、同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
上記式(1)において、mは正の整数、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜5の整数であり、nは正の整数、好ましくは50〜400の整数、より好ましくは100〜300の整数、さらに好ましくは150〜250の整数である。
【0025】
<ビニル系重合体の調製>
上記式(1)で示されるビニル系重合体は、下記式(2):
【0026】
【化3】

【0027】
[式中、R、Rおよびmは上記式(1)と同意義である]
で示される異種重合性単量体を、従来から知られているカチオン重合により調整することが可能であり、又、特開2006−241189号明細書に記載された方法でリビングカチオン重合することにより、容易に調製することもできる。このとき、上記式(2)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。後者の場合、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
【0028】
上記式(2)で示される異種重合性単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸、4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エトキシ)エチル;などが挙げられる。これらの異種重合性単量体のうち、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
【0029】
上記式(2)で示される異種重合性単量体は、従来公知の方法を用いて、製造することができる。例えば、上記式(2)において、Rがエチレン基、mが1である場合、(メタ)アクリル酸の金属塩と、2−ハロゲノエチルビニルエーテルとを縮合させるか、(メタ)アクリル酸メチルと、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとをエステル交換させるか、あるいは、(メタ)アクリル酸ハライドと、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとを縮合させることにより、製造することができる。また、上記式(2)において、Rがエチレン基、mが2である場合、(メタ)アクリル酸の金属塩と、2−(2−ハロゲノエトキシ)エチルビニルエーテルとを縮合させるか、(メタ)アクリル酸メチルと、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテルとをエステル交換させるか、あるいは、(メタ)アクリル酸ハライドと、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテルとを縮合させることにより、製造することができる。
【0030】
上記式(1)で示されるビニル系重合体がカチオン重合可能な単量体に由来する構造単位を有する共重合体である場合、かかる共重合体は、上記式(2)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とを、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合することにより、容易に調製することができる。このとき、上記式(2)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
【0031】
カチオン重合可能な単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;スチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;イソプロペニルスチレン、ケイ皮酸2−ビニロキシエチル、ソルビン酸2−ビニロキシエチルなどのジビニル化合物やトリビニル化合物;2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−5−メチルフランのフラン誘導体;などが挙げられる。これらのカチオン重合可能な単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのカチオン重合可能な単量体のうち、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物や2,3−ジヒドロフランが好適である。
【0032】
上記式(2)で示される異種重合性単量体は、ラジカル重合性またはアニオン重合性の(メタ)アクリロイル基と、カチオン重合性のビニルエーテル基とを同時に有するので、重合方法を選択することにより、(メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基をペンダント基として有する重合体が得られる。本発明では、上記式(2)で示される異種重合性単量体のビニルエーテル基を、単独で、あるいは、カチオン重合可能な単量体と共に、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合させることにより、(メタ)アクリルロイル基をペンダント基として有する上記式(1)で示されるビニル系重合体が得られる。
【0033】
上記式(2)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とをカチオン重合あるいはリビングカチオン重合する場合、単量体のモル比(カチオン重合可能な単量体/上記式(2)で示される異種重合性単量体)は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、さらに好ましくは0.8〜2の範囲内である。
【0034】
<ビニル系重合体以外の成分>
本発明の硬化性樹脂組成物は、好ましくは、前記ビニル系重合体に加えて、重合性単量体および/または重合開始剤を含む。重合性単量体を含む場合には、組成物を硬化させて得られる硬化物の物性を調節することができるという効果を奏する。また、重合開始剤を含む場合には、組成物を熱や紫外線で硬化させることができるという効果を奏する。
【0035】
重合性単量体としては、上記式(1)で示されるビニル系重合体と共硬化可能なものである限り、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系単量体;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルなどのアリルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸系誘導体;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテルなどのアリルエーテル系単量体;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル系単量体;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどのフマル酸エステル系単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソランなどの1,3−ジオキソラン系単量体;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルピロリドン;などが挙げられる。これらの重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性単量体のうち、(メタ)アクリル系エステル化合物が好適である。
【0036】
重合性単量体の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%である。重合性単量体の配合量が50質量%を超えると、硬化収縮が大きくなり、内部歪や硬化物の反りが大きくなることがある。
【0037】
重合開始剤としては、上記式(1)で示されるビニル系重合体がラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を有するので、例えば、加熱により重合開始ラジカルを発生する熱重合開始剤;紫外線の照射により重合開始ラジカルを発生する光重合開始剤;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などをさらに添加することも好ましい。
【0038】
熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、アセチルアセテートペルオキシド、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、m−トルオイルベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシソブチレート、t−ブチルペルオキシマレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルペルオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどの有機過酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5、6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]などのアゾ系開始剤;などが挙げられる。これらの熱重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの熱重合開始剤のうち、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシドなどの金属石鹸および/またはアミン化合物などの触媒作用により効率的にラジカルを発生させることができる化合物や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好適である。
【0039】
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類;などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光重合開始剤のうち、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルホスフィンオキシド類が好適であり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンが特に好適である。
【0040】
重合開始剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%である。重合開始剤の配合量が0.05質量%未満であると、組成物が充分に硬化しないことがある。逆に、重合開始剤の配合量が20質量%を超えると、硬化物の物性がさらに向上することはなく、むしろ悪影響を及ぼす上、経済性を損なうことがある。
【0041】
重合開始剤として、熱重合開始剤を用いる場合には、熱重合開始剤の分解温度を低下させるために、熱重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる熱重合促進剤を用いることができる。熱重合促進剤としては、例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウムなどの金属石鹸、1級、2級、3級のアミン化合物、4級アンモニウム塩、チオ尿素化合物、ケトン化合物などが挙げられる。これらの熱重合促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの熱重合促進剤のうち、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、トリエタールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2−ヒドロキシエチル)p−トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルが好適である。
【0042】
熱重合促進剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%以上、さらに好ましくは0.05〜5質量%の範囲内である。熱重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0043】
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合には、光励起により生じた励起状態から光重合開始剤に励起エネルギーを移し、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる光増感剤を用いることができる。光増感剤としては、例えば、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。これらの光増感剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0044】
光増感剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%の範囲内である。光増感剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0045】
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる光重合促進剤を用いることができる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−n−ブトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらの光重合促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光重合促進剤のうち、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好適である。
【0046】
光重合促進剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%の範囲内である。光重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0047】
熱重合開始剤、光重合開始剤、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などを組み合わせて配合する場合、その配合量の合計量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量の範囲内である。重合開始剤などの組合せ配合量の合計量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0048】
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、好ましくは、該組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒を含有するか、あるいは、該組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒を含有しない。該組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒を含有する場合、後述する金属酸化物や添加剤などを溶解したり、分散したりしやすくできることが可能になる。
【0049】
組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族または脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、二塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;などを使用することができる。なお、組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒は、組成物の製造時に使用した溶媒と同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
該組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒を含有する場合、溶媒の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0〜50質量%である。溶媒の配合量が80質量%を超えると、組成物中から溶媒を留去させたい場合に時間を要したり、硬化物に残存したりすることがある。
【0051】
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、好ましくは、前記ビニル系重合体に加えて、金属酸化物からなる微粒子を含有してもよい。金属酸化物からなる微粒子を含有する場合には、硬化後の塗膜の硬度が向上し、より傷つきにくく、低反射性のコーティングが得られるという効果を奏する。
【0052】
微粒子を構成する金属酸化物は、より好ましくは、Si、Ti、Zr、Zn、Sn、In、LaおよびYよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む。微粒子を構成する金属酸化物は、これらの元素を含む単独の酸化物であってもよいし、これらの元素を含む複合酸化物であってもよい。微粒子を構成する金属酸化物の具体例としては、例えば、SiO、SiO、TiO、ZrO、ZnO、SnO、In、La、Y、SiO−Al、SiO−Zr、SiO−Ti、Al−ZrO、TiO−ZrOなどが挙げられる。これらの金属酸化物からなる微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの金属酸化物からなる微粒子のうち、SiO、TiO、ZrO、ZnOが好適である。
【0053】
金属酸化物からなる微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜300nm、より好ましくは1〜50nmである。微粒子の平均粒子径が300nmを超えると、硬化物の透明性が損なわれることがある。なお、微粒子の平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することにより求められる体積平均粒子径を意味する。
【0054】
金属酸化物からなる微粒子の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0〜50質量%である。微粒子の配合量が80質量%を超えると、硬化物が脆くなることがある。
【0055】
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、さらに必要に応じて、添加物として、無機充填剤、非反応性樹脂及び又は反応性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂など)、着色顔料、可塑剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤(例えば具体的には、酸化タングステン系化合物、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化ニオブ、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化タンタル、及び酸化セシウム、硫化亜鉛、更には、PrB6、LaB6、CeB6、NdB6、CaB6等六ホウ化物等の無機系近赤外線吸収色素)、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、撥水剤、撥油剤、揺変化剤、揺変助剤などを添加することができる。これらの添加物の存在は、特に本発明の効果に影響を及ぼすものではない。これらの添加物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0056】
添加物の配合量は、添加物の種類や使用目的、組成物の用途や使用方法などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、無機充填剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の範囲内である。非反応性樹脂、着色顔料、可塑剤または援変化剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%の範囲内である。重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤または援変助剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%の範囲内である。
【0057】
≪ハードコート材用樹脂組成物の製造および積層体≫
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、上記式(1)で示されるビニル系重合体と、必要に応じて、重合性単量体および/または重合開始剤と、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤など、組成物の製造時に使用した溶媒以外の溶媒、金属酸化物からなる微粒子、各種の添加物などとを配合し、混合・攪拌することにより得ることができる。
【0058】
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、重合開始剤を配合しない場合には、電子線を照射することにより、熱重合開始剤を配合した場合には、加熱により、また、光重合開始剤を配合した場合には、紫外線を照射することにより、硬化させることができる。
【0059】
例えば、加熱による硬化の場合、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などを用いればよい。加熱温度は、基材の種類などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、さらに好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
【0060】
例えば、紫外線による硬化の場合、波長150〜450nmの範囲内の光を含む光源を用いればよい。このような光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、キセノンフラッシュ灯、カーボンアーク灯などが挙げられる。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などによる熱の併用も可能である。照射積算光量は、好ましくは0.1〜10J/cm、より好ましくは0.15〜8J/cm、さらに好ましくは0.2〜5J/cmの範囲内である。
【0061】
例えば、電子線による硬化の場合、加速電圧が好ましくは10〜500kV、より好ましくは20〜300kV、さらに好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、さらに好ましくは4〜200kGyの範囲内である。電子線と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などによる熱の併用も可能である。
【0062】
本発明のハードコート材用樹脂組成物を基材に塗布する場合、使用目的に応じて、刷毛塗りなどの手塗りや、ロールコート、グラビアコート、グラビアオフセットコート、カーテンフローコート、リバースコート、スクリーン印刷、スプレー塗装、浸漬法などの従来公知の方法で基材に塗布される。塗布量としては、好ましくは0.2〜100g/m、より好ましくは0.5〜70g/mの範囲内である。また、塗布厚みとしては、好ましくは1〜500μm、より好ましくは2〜200μmの範囲内である。
【0063】
上記積層体に使用される基材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルアミド(PEI)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ラクトン環構造含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物やラクトン環構造を有する単量体とMMAとの共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物、などの樹脂成形物およびフィルム;ポリエチレンコート紙、ポリエチレンテレフタレートコート紙などのコート紙、非コート紙などの紙類;木材;などが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ラクトン環含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物やラクトン環含有単量体とMMAとの共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物が好ましく、より好ましくは透明性、耐熱性、光学特性、硬度上昇の面からラクトン環構造含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物やラクトン環構造を有する単量体とMMAとの共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物である。なお、フィルム厚みとしては、好ましくは30〜300μmの範囲内である。
【0064】
上記のラクトン環含有重合体とは、下記一般式(3)で表されるラクトン環構造を有する熱可塑性樹脂のことを示す。
【0065】
【化4】

【0066】
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
ラクトン環含有重合体構造中の一般式(3)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%であり、水酸基含有単位を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
【0067】
ラクトン環含有重合体構造中の一般式(3)で表されるラクトン環構造以外に使用する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられ、これらは1種のみで用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0068】
上記積層体には、目的に応じて、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、ひずみ緩和層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリアー性等の種々の機能性コーティング層を各々積層塗工したりしてもよい。なお、本ハードコート層と各層の積層順序は特に限定されるものではなく、積層方法も特に限定されない。
【0069】
本発明のハードコート用樹脂組成物は、陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ等のディスプレイ(例えばディスプレイ表層のハードコート層、反射防止層、防眩層、電磁波遮蔽層、近赤外線吸収層等、又はディスプレイ内部の拡散フィルム)、家電製品等のタッチパネル、さらには自動車部品用、ショーウインドウ、窓ガラス等の保護フィルム、またCD、DVD、ブルーレイディスク等の光学ディスク保護層などの用途分野に好適に使用される。
【0070】
≪硬化物≫
本発明の硬化物は、ハードコート材用樹脂組成物または該組成物を含む材料を硬化させて得られる。ここで、「硬化物」とは、流動性の無い物質を意味する。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
まず、ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)の測定について説明する。
【0073】
<数平均分子量および分子量分布>
ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求めた。測定条件は、以下の通りであった。
移動相:THF、温度:40℃、流速:0.3mL/min;
カラム:TSK−gel SuperHM−H 2本
TSK−gel SuperH2000 1本(いずれも東ソー株式会社製);
計測機器:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)。
【0074】
次に、ビニル系重合体の粘度の測定について説明する。
<粘度>
粘度は、RB80型粘度計(型式「RB80L」:東機産業(株)製)を用いて測定した。なお、測定温度は25℃であった。
【0075】
次に、実施例で用いるビニル系重合体の製造例1〜7について説明する。
【0076】
≪製造例1≫
重合反応は、充分に乾燥した三方コック付きガラス容器を用いて、乾燥した窒素雰囲気下で行った。まず、室温で、このガラス容器に、充分に乾燥および精製したトルエン159mLおよび酢酸エチル25mL、1−イソブトキシエチルアセテート0.2モル/Lのトルエン溶液5mLを加えた。さらに、エチルアルミニウムジクロリド0.1モル/Lのトルエン溶液25mLを加えて混合した後、30分間放置して反応開始種を生成させた。次いで、系内を0℃に冷却した後、0℃に予冷したアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)0.2モルを加え、さらに、0℃に予冷した四塩化スズ0.05モル/Lのトルエン溶液25mLを加えて反応を開始した。14分間重合を行った後、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を終えた混合液中にクロロホルムを加え、水洗により重合開始剤の残渣を除去した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させて、ビニル系重合体を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、98%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は14,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。さらに、得られたビニル系重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルム、測定機器:Varian社製の400MHz H−NMR UNITYplus400)を行ったところ、アクリロイル基が残存し、選択的にビニルエーテル基が重合しており、側鎖にラジカル重合可能な二重結合を有するアクリロイル基ペンダント型重合体であることが確認された。
【0077】
≪製造例2≫
重合反応は、充分に乾燥した三方コック付きガラス容器を用いて、乾燥した窒素雰囲気下で行った。まず、室温で、このガラス容器に、充分に乾燥および精製したトルエン58.9mLおよび酢酸エチル24.5mL、1−イソブトキシエチルアセテート0.2モル/Lのトルエン溶液1.0mLを加えた。さらに、エチルアルミニウムジクロリド0.1モル/Lのトルエン溶液5.0mLを加えて混合した後、30分間放置して反応開始種を生成させた。次いで、系内を0℃に冷却した後、0℃に予冷したアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)0.2モルを加え、さらに、0℃に予冷した四塩化スズ0.1モル/Lのトルエン溶液5.0mLを加えて反応を開始した。35分間重合を行った後、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を終えた混合液中にクロロホルムを加え、水洗により重合開始剤の残渣を除去した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させて、ビニル系重合体を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.7%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は24,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.26であった。
【0078】
≪製造例3≫
重合反応は、充分に乾燥した三方コック付きガラス容器を用いて、乾燥した窒素雰囲気下で行った。まず、室温で、このガラス容器に、充分に乾燥および精製したトルエン29.4mLおよび酢酸エチル5mL、1−イソブトキシエチルアセテート0.04モル/Lのトルエン溶液5mLを加えた。さらに、エチルアルミニウムジクロリド0.1モル/Lのトルエン溶液5mLを加えて混合した後、30分間放置して反応開始種を生成させた。次いで、系内を0℃に冷却した後、0℃に予冷したアクリル酸2−ビニロキシエチル(VEA)0.04モルを加え、さらに、0℃に予冷した四塩化スズ0.05モル/Lのトルエン溶液5mLを加えて反応を開始した。1時間重合を行った後、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を終えた混合液中にクロロホルムを加え、水洗により重合開始剤の残渣を除去した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させて、ビニル系重合体を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、93%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。さらに、得られたビニル系重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルム、測定機器:Varian社製の400MHz H−NMR UNITYplus400)を行ったところ、アクリロイル基が残存し、選択的にビニルエーテル基が重合しており、側鎖にラジカル重合可能な二重結合を有するアクリロイル基ペンダント型重合体であることが確認された。
【0079】
≪製造例4≫
まず反応容器に、トルエン(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)297mLおよびアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)0.2モルを加えた後、反応容器を水浴に浸漬して重合系内を10℃に冷却した。次いで、三フッ化ホウ素・エーテル錯体0.05モル/Lのトルエン溶液15mLを加えて反応を開始した。重合反応を10分間行った後、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を終えた混合液中にクロロホルムを加え、水洗により重合開始剤の残渣を除去した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させて、ビニル系重合体を得た。得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は10,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.27であった。
【0080】
≪製造例5≫
重合反応は、充分に乾燥した三方コック付きガラス容器を用いて、乾燥した窒素雰囲気下で行った。まず、室温で、このガラス容器に、充分に乾燥および精製したトルエン117.6mLおよび酢酸エチル20mL、1−イソブトキシエチルアセテート0.04モル/Lのトルエン溶液20mLを加えた。さらに、エチルアルミニウムジクロリド0.1モル/Lのトルエン溶液20mLを加えて混合した後、30分間放置して反応開始種を生成させた。次いで、系内を0℃に冷却した後、0℃に予冷したアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)0.032モルとイソブチルビニルエーテル(IBVE)0.128モルとの混合物を加え、さらに、0℃に予冷した四塩化スズ0.05モル/Lのトルエン溶液20mLを加えて反応を開始した。10分間重合を行った後、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を終えた混合液中にクロロホルムを加え、水洗により重合開始剤の残渣を除去した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させて、ビニル系重合体を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、100%であることが判明した。また、得られたビニル系共重合体の数平均分子量(Mn)は19,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.18であった。さらに、得られたビニル系共重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルム、測定機器:Varian社製の400MHz H−NMR UNITYplus400)を行ったところ、アクリロイル基が残存し、選択的にビニルエーテル基が重合しており、側鎖にラジカル重合可能な二重結合を有するアクリロイル基ペンダント型重合体であることが確認された。
【0081】
≪製造例6≫
まず、室温で、反応容器に、トルエン(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)59mLおよびアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)0.18モルとN−ビニルカルバゾール0.08モルを加えた後、反応容器を水浴に浸漬して重合系内を10℃に冷却した。次いで、三フッ化ホウ素・エーテル錯体1.0モル/Lのトルエン溶液3mLを加えて反応を開始した。重合反応を10分間行った後、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を終えた混合液中にクロロホルムを加え、水洗により重合開始剤の残渣を除去した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させて、ビニル系共重合体を得た。得られたビニル系共重合体の数平均分子量(Mn)は3,300、分子量分布(Mw/Mn)は2.46であった。
【0082】
次に、比較例で用いるアクリル系重合体の製造例7について説明する。
【0083】
≪製造例7≫
反応容器に、シクロヘキサノン(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)37.5gおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)12.5gおよび2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.125g(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン工業株式会社製)を加えた後、反応容器内を85℃に昇温した。昇温後3.5時間重合を行った後、さらに100℃で4.5時間重合を行った。反応容器にさらに2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.026gおよびジラウリン酸ジブチル錫0.13gを加え溶解させた。次に、反応容器内温を70℃に冷却した後に、アクリル酸2−イソシアナトエチル(商品名「カレンズAOI」、昭和電工株式会社製)13.55gおよびシクロヘキサノン15.00gを混合したものを反応溶液に30分かけて滴下させた。滴下終了後さらに2.5時間反応を行い、側鎖にラジカル重合可能な二重結合を有するアクリロイル基ペンダント型アクリル系重合体溶液を得た。この重合体溶液の一部をナスフラスコに取りエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させると微黄色の固体が得られた。得られたアクリル系重合体の数平均分子量(Mn)は20,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.50であった。
【0084】
次に、実施例で用いる金属酸化物微粒子分散液の製造例8について説明する。
【0085】
≪製造例8≫
シリカゾル(商品名「オルガノシリカゾルMEK−ST」、日産化学工業株式会社製;固形分30%、シリカ粒子径10〜15nm)100質量部、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(商品名「KBM−5103」、信越化学工業株式会社製)7質量部、0.002N塩酸水溶液2質量部を混合・攪拌して、シリカ分散液を調製した。
【0086】
次に、実施例で用いるラクトン環含有重合体を含む熱可塑性樹脂の製造例9について説明する。
【0087】
≪製造例9≫
反応容器に、9000gのメタクリル酸メチル(MMA)、1000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、1000gの4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブルケトン、MIBK)、5gのn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温した。還流したところで、開始剤として5.0gのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(商品名「カヤカルボンBIC−75」、化薬アクゾ(株)製)を添加すると同時に、10.0gのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと230gのMIBKからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜120℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
【0088】
得られた重合溶液に、30gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(商品名「Phoslex A−18」、堺化学製)を加え、還流下(約90℃〜120℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押し出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂換算量で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押し出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、透明なペレット(1A)を得た。
【0089】
得られたペレット(1A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.35質量%の質量減量を検知した。また、ペレットの質量平均分子量(Mw)は156,000であり、メルトフローレートは3.9g/10分、ガラス転移温度は123℃であった。
【0090】
次に、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られるハードコート層の鉛筆硬度および耐スクラッチ性、カール量、折り曲げ性の評価方法について説明する。
【0091】
<鉛筆硬度>
鉛筆硬度は、鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を用いて、JIS−K5600−5−4に準拠して測定した。なお、荷重は1,000gであった。
【0092】
<耐スクラッチ性>
樹脂層の表面に対して、荷重条件200g/cmの下、スチールウール0000番を10回往復させた後、傷つき度合いを目視により観察し、以下の基準で評価した。
A:変化なし(傷が認められない);
B:数本の傷が認められる;
C:十数本の傷が認められる;
D:数十本の傷が認められる;
E:無数の傷が認められる。
【0093】
<カール量>
ハードコート層付きフィルムあるいは板の積層体を寸法15cm×25cmに切断し、温度25℃の条件下で、積層体を水平台にコート層面を上部に置いた後、四隅の水平台からの浮き高さの平均値を測定した。
【0094】
<折り曲げ性>
ハードコート層付きフィルムの積層体を寸法3cm×5cmに切断し、温度25℃の条件下で、ハードコート層側を外側にして(基材側を心棒に接触する)折り曲げ試験を行い、ハードコート層の屈曲部にクラック、剥がれなどの異常が生じた心棒の直径を評価し、下記の評価基準で評価した。心棒の直径が小さいほどハードコート層の折り曲げ性は優れていることを意味する。
○:良好(心棒の直径が5mm以下)
△:やや良好(心棒の直径が6mm以上、10mm以下)
×:劣る(心棒の直径が11mm以上)
次に、基材上にハードコート樹脂層を形成した積層体に関する実施例1〜14および比較例1〜5について説明する。
【0095】
≪実施例1≫
製造例1で得られたビニル系重合体100質量部、トルエン100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0096】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0097】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0098】
≪実施例2≫
製造例1で得られたビニル系重合体100質量部、製造例8で得られたシリカ分散液300質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0099】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してシリカ分散液に含まれる溶剤を蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0100】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0101】
≪実施例3≫
製造例1で得られたビニル系重合体90質量部、5−エチル−2−(ヒドロキシ−1,1−ジメチルエステル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンのジアクリル酸エステル(商品名「カヤラッドR−604」、日本化薬株式会社製)10質量部、トルエン100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0102】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0103】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りは見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0104】
≪実施例4≫
製造例1で得られたビニル系重合体90質量部、ウレタンアクリレート樹脂(商品名「NKオリゴU−6LPA」、新中村化学工業株式会社製)10質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0105】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0106】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りは小さく2mmであった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0107】
≪実施例5≫
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、実施例1で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、電子線照射機(商品名「EBC300−60」、株式会社NHVコーポレーション製)を用いて、加速電圧150kV、照射線量40kGyで3パスさせて電子線硬化させた。
【0108】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
≪実施例6≫
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に実施例1で調整した塗工液を塗布し、ガラス板でカバーし、塗工液を押し広げて、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、60℃に温度調節した加熱炉内に15時間静置して、加熱硬化させた。
【0109】
ハードコート層の厚さを測定したところ、11μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0110】
≪実施例7≫
製造例2で得られたビニル系重合体100質量部、トルエン100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0111】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0112】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0113】
≪実施例8≫
製造例3で得られたビニル系重合体100質量部、トルエン100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0114】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0115】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0116】
≪実施例9≫
製造例4で得られたビニル系重合体100質量部、トルエン100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0117】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0118】
ハードコート層の厚さを測定したところ、12μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0119】
≪実施例10≫
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#28を用いて、実施例9で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0120】
ハードコート層の厚さを測定したところ、20μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りは30mm発生していた。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ3Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0121】
≪実施例11≫
厚さ125μmのアクリル(PMMA:商品名「テクノロイ」、住友化学工業(株)製)フィルム上に、バーコーター#14を用いて、実施例9で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPMMAフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0122】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PMMAフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PMMA基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0123】
≪実施例12≫
製造例9で得られたラクトン環含有重合体を含む熱可塑性樹脂のペレット1Aを用いて作成した厚さ100μmのフィルム上に、バーコーター#14を用いて、実施例9で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0124】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/熱可塑性樹脂フィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。熱可塑性樹脂基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ3Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0125】
≪実施例13≫
光ディスク用ハードコート材としての評価として、厚さ1mmのポリカーボネート(PC)板上に、塗工機を用いて、実施例9で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0126】
ハードコート層の厚さを測定したところ、100μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法10cm×25cm)には、反りは見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ3Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0127】
≪実施例14≫
製造例5で得られたビニル系共重合体100質量部、2−ブタノン(MEK)100質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0128】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、実施例1で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、電子線照射機(商品名「EBC300−60」、株式会社NHVコーポレーション製)を用いて、加速電圧150kV、照射線量120kGyで電子線硬化させた。
【0129】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0130】
≪実施例15≫
製造例6で得られたビニル系共重合体100質量部、トルエン100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0131】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#28を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0132】
ハードコート層の厚さを測定したところ、20μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、高さ2mmの小さな反りが見られた。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0133】
≪実施例16≫
まず、製造例9で得られたラクトン環含有重合体を含む樹脂溶液100質量部、2−ブタノン300質量部に溶解させた。この樹脂溶解材料を両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、コーターを用いて塗布した。その後、80℃で5分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、PET基材上にさらにラクトン環含有重合体を含む熱可塑性樹脂を20μm形成させた。この2層基材上に、バーコーター#14を用いて、実施例9で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0134】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/2層基材フィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りは見られなかった。2層基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ3Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0135】
≪比較例1≫
製造例1で得られたアクリル系重合体溶液100質量部(有機溶剤含有量67質量%)、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。本アクリル系重合体は固体であるので、塗工に適切な粘度に調整する為、このハードコート材用樹脂組成物中に含まれる溶剤含有量は実施例1や実施例7と比較すると多くなった。実施例1と同じ有機溶剤量とするとバーコーターを用いて塗布すると筋ムラが発生した。
【0136】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0137】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、反りが見られなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験を行ったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0138】
≪比較例2≫
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「ライトアクリレートDPE−6A」、共栄社化学株式会社製)100質量部、イソプロパノール100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0139】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0140】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、高さ42mmの非常に大きい反りが見られた。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験を行ったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0141】
≪比較例3≫
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#28を用いて、比較例2で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0142】
ハードコート層の厚さを測定したところ、20μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)は、カール量が非常に大きく筒状になっていたため反り量が測定できなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ3Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0143】
≪比較例4≫
ウレタンアクリレート樹脂(商品名「NKオリゴU−15HA」、新中村化学株式会社製)100質量部、2−ブタノン(MEK)100質量部、光重合開始剤2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
【0144】
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0145】
ハードコート層の厚さを測定したところ、10μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)には、高さ28mmの反りが見られた。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験を行ったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0146】
≪比較例5≫
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#28を用いて、比較例4で調整した塗工液を塗布した。その後、80℃で2分間加熱乾燥してトルエンを蒸発させ、ハードコート材用樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布したハードコート材用樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量250mJ/cmで紫外線硬化させた。
【0147】
ハードコート層の厚さを測定したところ、20μmであった。硬化後のハードコート層/PETフィルムの積層体(寸法15cm×25cm)は、カール量が非常に大きく筒状になっていたため反り量が測定できなかった。PET基材上のハードコート層の鉛筆硬度試験をおこなったところ2Hであり、耐スクラッチ性の評価はAであった。結果を表1に示す。
【0148】
【表1】

【0149】
なお、表1中に記載した略号は以下の通りである。
VEEA :アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
VEA :アクリル酸2−ビニロキシエチル
IBVE :イソブチルビニルエーテル
NVCz :N−ビニルカルバゾール
HEMA :メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AOI :アクリル酸2−イソシアナトエチル(昭和電工(株)製)
DPHA :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製)
U−15HA:ウレタンアクリレート(新中村化学(株)製)
R−604 :5−エチル−2−(ヒドロキシ−1,1−ジメチルエステル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンのジアクリル酸エステル(日本化薬(株)製)
U−6LPA:ウレタンアクリレート(新中村化学(株)製)
表1から明らかなように、上記式(1)で示されるビニル系重合体を含むハードコート材用樹脂組成物をフィルム上に塗布して、熱、紫外線または電子線硬化させて得られた実施例1〜15の積層体(ハードコート層/フィルム)及び板上に塗布した場合の積層体(ハードコート層/板)は、硬化後の反りが見られない或いは非常に少なく、ハードコート層の鉛筆硬度や耐スクラッチ性に優れている。
【0150】
これに対し、上記式(1)で示されるビニル系重合体以外の重合体を含むハードコート材用樹脂組成物をフィルム上に塗布して紫外線硬化させて得られた比較例1の積層体(ハードコート層層/フィルム)は、実施例1〜15の積層体と同様、鉛筆硬度や耐スクラッチ性が得られている。しかし、重合体が固体である樹脂組成物を調整する際の希釈溶剤使用量が多くなってしまった。また、上記式(1)で示されるビニル系重合体に代えて、多官能性アクリレート系モノマーを含むハードコート材用樹脂組成物をフィルム上に塗布して紫外線硬化させて得られた比較例2〜5の積層体(ハードコート層/フィルム)は、実施例1〜15の積層体と同様に、鉛筆硬度や耐スクラッチ性に優れているが、大きな反りが発生した。また鉛筆硬度を2Hから3Hに上げるためにハードコート層厚みを20μmに厚く塗布した場合は、ハードコート層付きフィルム(積層体)が筒状になりカール量が測定できない程になった。
【0151】
かくして、上記式(1)で示されるビニル系重合体を含むハードコート材用樹脂組成物は、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、塗膜剥がれが生じにくく、硬化後の反りが小さい硬化物を与えることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明のハードコート材用樹脂組成物は、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、さらに塗膜剥がれが生じにくく、硬化後の反りが小さい硬化物を与えることができる。それゆえ、本発明は、基材にコーティングを施し、熱、紫外線、電子線等で硬化させることによりハードコート層が得られため極めて有用であるといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有することを特徴とするハードコート材用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載のハードコート材用樹脂組成物を含む材料を硬化させて得られる層が形成されてなる積層体。

【公開番号】特開2008−163328(P2008−163328A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317454(P2007−317454)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】