説明

ハーモニー音量調整機能を備えるカラオケシステム

【課題】歌唱音量出力を調整するカラオケシステムに関し、特に、ハーモニー対応楽曲の歌唱の場合に、主旋律歌唱の音声より異なる旋律の音声が過大となっても歌唱音声を好適に制御して違和感のない出力状態とする。
【解決手段】マイク特定手段が、第1マイク及び第2マイクの両方から同時に取得したそれぞれの歌唱音声が当該楽曲の主旋律音符データと同じ旋律であるか否かを判定し、一方が同じ旋律で他方が異なる旋律と判定したときに(第2音声入力状態)、異なる旋律の歌唱音声が入力されたマイクを特定し、コンプ/リミッタ制御手段が、特定されたマイクに対応するコンプ/リミッタに、入力歌唱音声に対してデフォルト設定された音量圧縮比「1:5」を行う起点とする閾値を、デフォルト設定された閾値TH1「−15dB」より低い閾値TH2「−20dB」に設定変更する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムの技術分野に属し、ハーモニー歌唱の際に歌唱音量出力を調整するカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケシステムを備える設備では、少なくとも2本のマイクが用意されていることが多く、楽曲自体がハーモニーの対象であったり、他の歌唱者が独自にハーモニーとさせることもある。通常1本のマイクを使用したソロの歌唱の場合に比べて、2本のマイクを使用して複数人となった合唱の場合とでは音量が大きくなって適量とする必要があると共に、特に歌唱がハーモニー状態のときに、当該楽曲の主旋律音符データのもつ旋律を歌唱している音声より、ハーモニー状態とさせる異なる旋律を歌唱している音声の方が大きな音量となることは好ましくなく、適量な音量とさせる音量調整が望まれる。
【0003】
従来、カラオケ装置においては、スピーカより出力される音量が聞き難いほどに大きくなった場合の対処として種々の技術が提案されている。例えば、マイクアンプより入力されるボーカル音声信号と楽曲信号の出力ボリウムの設定バランスに従って当該マイクアンプの出力ゲインを設定してマイクアンプからのボーカル音声信号と楽曲信号との合成制御を行うことが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、2本のマイクより入力された音声信号の音量レベルを比較した結果に基づいて各音声信号の音声を同じ音量で聴取可能な音量レベルにすべくオートゲインコントローラがマイクアンプを調整することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−214266号公報
【特許文献2】特開平10−282992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、1本のマイクより入力される歌唱音声の出力音量に比べて、2本のマイクを使用するハーモニー対応楽曲を歌唱する場合の方が歌唱音声が混合されて音量が大きくなるもので、例えば当該楽曲のもつ旋律と異なる旋律とが同時に歌唱されてハーモニー状態のときに、仮に、それぞれの歌唱音声が設定値を下回っていたとしても聴取者にはソロ歌唱に比べて異常に大きな音に聞こえることが多々ある。
【0007】
ところで、歌唱音声を快適に聴こえるように最終スピーカ出力(スピーカ出力)するための技術として、上記特許文献1,2があるが、何れもマイクアンプのゲインを調整するものであって、全体的に音量を低下させることから、例えばハーモニー状態とさせる異なる旋律を歌唱している音声の方が大きな音量となった場合には対処することができない。例えば、ゲインを抑制した場合、それぞれのマイクを使用している歌唱者の内、ハーモニー状態とさせる異なる旋律を歌唱している歌唱者が比較的大きな音量となったときに、この音量は適度に調整されるが、楽曲の主旋律音符データのもつ旋律を歌唱している歌唱者が小さな音量でしか歌えない場合に、同じ比率でゲインを下げると、小さな音量はより小さくなり、結局ハーモニー状態のバランスの悪さに変わりがないという問題がある。
【0008】
この問題を解決するために、仮に、特許文献2の技術を適用して2本のマイク同士の音量バランスを調整できたとして、比較的小さいとされる音量レベルに合わせた場合に、その音量自体のレベルが既に大きくなり過ぎていると、比較的大きいとされる音量レベルが抑制されても、結局、うるさく聴こえてしまうことになる。しかも、頻繁にゲイン調整が行われると、最終スピーカ出力にて所謂「うねり状態」が生じて聴く者にとって違和感を生じさせてしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、ソロ楽曲の歌唱でもハーモニー対応楽曲の歌唱でも聴取者あるいは歌唱者自信においても心地よく聴こえるようにすべく、最終スピーカ出力にて所謂「うねり状態」を回避させ、また、主旋律ボーカルと異旋律ボーカルとのハーモニーのバランスを壊すことのないように、歌唱音声を好適に制御して違和感のない出力状態とするハーモニー音量調整機能を備えるカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも第1マイク及び第2マイクを備えて、歌唱音声に対して音量圧縮を行うそれぞれ対応のエフェクタを介して、各マイクから入力された歌唱音声をミキシングアンプに出力させるカラオケシステムであって、マイク特定手段及びエフェクタ制御手段を有し、前記マイク特定手段は、演奏楽曲の主旋律音符データを取得すると共に、前記第1マイク及び第2マイクより歌唱音声を取得するもので、両方のマイクより同時に歌唱音声を取得した場合に、それぞれの歌唱音声が当該楽曲の主旋律音符データと同じ旋律であるか否かを判定し、同じ旋律と異なる旋律の歌唱音声が混在したハーモニー状態のときに、異なる旋律の歌唱音声が入力されたマイクを特定し、前記エフェクタ制御手段は、前記マイク特定手段により異なる旋律として特定されたマイクに対応する前記エフェクタに対し、前記入力歌唱音声に対して音量圧縮を行う起点とする音量レベルの閾値及び当該閾値を超えたときの音量圧縮比につき、デフォルト設定された閾値より低い閾値及びデフォルト設定された音量圧縮比より大きい音量圧縮比の少なくとも何れかに設定変更する、構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のマイクから同時に取得したそれぞれの歌唱音声が当該楽曲の主旋律音符データと同じ旋律であるか否かを判定し、同じ旋律と異なる旋律の歌唱音声が混在したハーモニー状態のときに、異なる旋律の歌唱音声が入力されたマイクを特定し、当該マイクに対応するエフェクタに対し、入力歌唱音声に対して音量圧縮を行う起点とする音量レベルの閾値及び当該閾値を超えたときの音量圧縮比につき、デフォルト設定された閾値より低い閾値及びデフォルト設定された音量圧縮比より大きい音量圧縮比の少なくとも何れかに設定変更する構成とすることにより、任意のカラオケ楽曲を歌唱している最中で、ソロ楽曲の歌唱であってもハーモニー対応楽曲の歌唱であっても聴取者あるいは歌唱者自信がうるさく聴こえさせることなく心地よく聴こえるようにすることができ、また、最終スピーカ出力のうねりなどを回避し、特に、異なる旋律側の音量が過大となった歌唱音声を好適に制御する。しかも、ハーモニー対応楽曲の歌唱時、主旋律ボーカルと異旋律ボーカルとのハーモニーのバランスを壊すことなく、違和感のない出力状態とさせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るカラオケシステムのハーモニー歌唱音量調整機能部分のブロック構成図である。
【図2】図1のマイク特定手段の処理説明図である。
【図3】図1のコンプ/リミッタ制御手段の制御説明図である。
【図4】図1のコンプ/リミッタ制御手段の他の制御説明図(1)である。
【図5】図1のコンプ/リミッタ制御手段の他の制御説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。ここでは、カラオケシステムに2本のマイクが使用される場合を示して説明するが、3本以上の場合であっても適用することができるものである。
【0014】
図1に本発明に係るカラオケシステムのハーモニー歌唱音量調整機能部分のブロック構成図を示すと共に、図2に図1のマイク特定手段の処理説明図を示す。図1において、カラオケシステム11は、第1マイク12及び第2マイク13が用意される。第1マイク12からはリミッタとコンプレッサのエフェクタ(以下、「コンプ/リミッタ」と称する)としての第1コンプ/リミッタ(第1エフェクタ)14、第1マイクアンプ15を介してミキシングアンプ16に歌唱音声が入力される。なお、エフェクタ自体は従前の装置(回路)を適用することができる。
【0015】
また、第2マイク13からは上記第1コンプ/リミッタ14と同様の第2コンプ/リミッタ(第2エフェクタ)17、第2マイクアンプ18を介してミキシングアンプ16に歌唱音声が入力される。上記第1及び第2マイクアンプ15,18は、入力される歌唱音声(歌唱音量)を設定されたゲインで増幅する回路であり、適宜ゲイン調整するボリウムを備える。上記ミキシングアンプ16は、第1及び第2マイクアンプ15,18からの増幅された歌唱音声と、図示しない楽曲データベースより抽出された演奏楽曲の主旋律音符データを音楽演奏制御部20を介してデコードされた音楽演奏データとをミキシングし、適宜ボリウムなどのゲイン調整機能で増幅してスピーカシステム19より出力させるものである。
【0016】
上記構成がカラオケシステム11における基本的な構成要素であり、これに加えてマイク特定手段21、エフェクタ制御手段であるコンプ/リミッタ制御手段22及び記憶部23を備える。当該記憶部23には、第1テーブル24、第2テーブル25及び設定値26の記憶領域が形成される。当該設定値26は、上記第1及び第2コンプ/リミッタ14,17のそれぞれに対する閾値(スレッショレベル)及び圧縮比(コンプレッションレシオ)である。
【0017】
上記第1テーブル24は、総てのマイクである、第1マイク12及び第2マイク13に対して、同じ条件にて上記第1及び第2コンプ/リミッタ14,17のそれぞれに対する閾値及び圧縮比をデフォルト設定するためのテーブルである(図3で説明する)。また、上記第2テーブル25は、第1マイク12及び第2マイク13の両方から歌唱音声が同時に取得され、後述のマイク特定手段21による判定の結果により演奏楽曲の主旋律音符データの主旋律と異なる旋律とが混在した第2音声入力状態(ハーモニー状態)のときにおける特定した第1マイク12又は第2マイク13に対応する上記第1又は第2コンプ/リミッタ14,17のそれぞれに対する閾値及び圧縮比をデフォルト設定値から任意に設定変更するためのテーブルである(図3で説明する)。
【0018】
上記マイク特定手段21は、演奏楽曲の主旋律音符データを取得すると共に、第1マイク12及び第2マイク13より歌唱音声を取得するもので、両方のマイクより同時に歌唱音声を取得した場合に、それぞれの歌唱音声が当該楽曲の主旋律音符データと同じ旋律であるか否かを判定し、同じ旋律と異なる旋律の歌唱音声が混在したハーモニー状態のときに、異なる旋律の歌唱音声が入力されたマイクを特定するプログラムである。
【0019】
例えば、図2に示すように、当該演奏楽曲の主旋律音符データの音高データ(主旋律音符音高データ)と第1マイク12又は第2マイク13より入力される歌唱音高データとを同期状態で差分を演算して比較し、当該差分データが一定の範囲内であるか否かで同じ旋律か否かを判定する。ここで、主旋律音符データは、例えばMIDI(登録商標)データの場合に、当該楽曲のメロディをリードする特定の楽器(例えばリードギターなど)の音符データであり、この主旋律音符データにおける各音符データに対する音高データが主旋律音符音高データである。音高とは、いわゆる音の高さ(高低)であり、周波数で示される。なお、カラオケシステムが、ガイドメロディの音符データを保有している場合には、これが当該演奏楽曲の主旋律音符データであり、これを使用して上記判定を行ってもよい。
【0020】
上記コンプ/リミッタ制御手段22は、上記マイク特定手段21における判定の結果により、何れかの歌唱音声が、演奏楽曲の主旋律音符データと同じ旋律と、当該同じ旋律に対して異なる旋律とが混在しているものと判定した場合の第2音声入力状態のときに、特定されたマイクに対応する第1コンプ/リミッタ14又は第2コンプ/リミッタ17に対し、入力歌唱音声に対して音量圧縮を行う起点とする音量レベルの閾値及び当該閾値を超えたときの音量圧縮比につき、デフォルト設定された閾値より低い閾値及びデフォルト設定された音量圧縮比より大きい音量圧縮比の少なくとも何れかに設定変更するプログラムである。
【0021】
上記第1音声入力状態の場合のデフォルト設定される閾値及び圧縮比は、上記第1テーブル24より設定されるもので設定値26に記憶され、上記第2音声入力状態の場合の閾値及び圧縮比は、上記第2テーブル25より設定されるもので設定値26に記憶される(図3で説明する)。すなわち、第1コンプ/リミッタ14及び第2コンプ/リミッタ17のそれぞれには圧縮比と閾値がデフォルト設定され、、第2音声入力状態の場合として、例えば圧縮比はデフォルト設定値と同じとしたときに、任意に設定された閾値に設定変更されるものである。
【0022】
なお、本実施形態では、第1マイク12に対して第1コンプ/リミッタ14を対応させ、また、第2マイク13に対して第2コンプ/リミッタ17を対応させ、それぞれの歌唱音声に対して独立して入力音声を圧縮させているが、本発明はこれに限らず、第1コンプ/リミッタ14と第2コンプ/リミッタ17を統合した1つのコンプ/リミッタで両方の歌唱音声に対応させてもよい。
【0023】
そこで、図3に、図1のコンプ/リミッタ制御手段の制御説明図を示す。図3(A)は、デフォルト設定対象の第1テーブル24の一例であり、固定設定として、リミッタ(圧縮比1:∞)とするときのスレッショルド(閾値)が例えば「−5dB」で設定され、任意に例えばコンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:5」と固定としたときのスレッショルド(閾値)TH1が「−15dB」で選択されて記憶部23の設定値26にデフォルト設定値として記憶される。このデフォルト設定値が第1及び第2コンプ/リミッタ14,17の両方に同じ値でデフォルト設定される。
【0024】
また、図3(B)は、上記第2音声入力状態となった場合における任意設定対象の第2テーブル25の一例であり、固定設定として、リミッタ(圧縮比1:∞)とするときのスレッショルド(閾値)が例えば「−10dB」で設定され、任意に例えばコンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:5」と固定としたときのスレッショルド(閾値)TH2が「−20dB」で選択されて記憶部23の設定値26に記憶される。
【0025】
そこで、図3(C)において、上記マイク特定手段21による判定した結果により、第1音声入力状態の場合、すなわち第1マイク12及び/又は第2マイク13からの歌唱音声が演奏楽曲の主旋律音符データと同じ旋律の場合に、第1コンプ/リミッタ14又は第2コンプ/リミッタ17は、第1及び/又は第2マイク12,13より入力された歌唱音声の音量レベルがスレッショルドTH1「−15dB」(デフォルト設定値)を超えた場合に、歌唱音量を圧縮比「1:3」(デフォルト設定値)に圧縮して対応する第1マイクアンプ15及び/又は第2マイクアンプ18に出力する。また、対応する第1マイク12及び/又は第2マイク13より入力された歌唱音声の音量レベルが第1音声入力状態リミッタ「−5dB」を超えた場合には圧縮比「1:∞」に圧縮して当該各マイクに対応する第1マイクアンプ15及び/又は第2マイクアンプ18に出力する。
【0026】
一方、マイク特定手段21の判定の結果において上記第2音声入力状態の場合、すなわち、例えば第2マイク13(第1マイク12でもよい)からの歌唱音声が演奏楽曲の主旋律音符データと同じ旋律と異なる旋律とが混在したハーモニー状態の場合に、コンプ/リミッタ制御手段22が、当該マイク特定手段21で当該異なる旋律として特定された第2マイク13(第1マイク12)に対応する第2コンプ/リミッタ17(第1コンプ/リミッタ14)に対して、設定値26に基づきコンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:5」で設定されたスレッショルド(閾値)TH2をTH1「−15dB」より低い「−20dB」に設定変更する。
【0027】
そして、第2コンプ/リミッタ17(第1コンプ/リミッタ14)は、第2マイク13(第1マイク12)より入力された歌唱音声の音量レベルがスレッショルドTH2「−20dB]を超えた場合に、歌唱音量を圧縮比「1:5」に圧縮して対応する第2マイクアンプ18(第1マイクアンプ15)に出力する。また、当該第2マイク13(第1マイク12)より入力された歌唱音声の音量レベルが第2音声入力状態リミッタ「−10dB」を超えた場合に圧縮比「1:∞」に圧縮して対応する第2マイクアンプ18(第1マイクアンプ15)に出力するものである。
【0028】
このように、コンプレッションレシオ(圧縮比)を共に同じ設定とし、ハーモニー状態の上記第2音声入力状態の場合に、異なる旋律として特定されたマイクのコンプ/リミッタに対してスレッショルド(閾値)TH2をスレッショルド(閾値)TH1より低く設定変更することから、マイクアンプのゲインを調整することなく、任意のカラオケ楽曲を歌唱している最中に、ハーモニー状態となっても全体的に聴取者に対してうるさく聴こえさせることなく、また、上記異なる旋律の歌唱音声が大きくなっても楽曲の主旋律音符データのもつ旋律を歌唱している音声が霞むことがなくスピーカシステム19から最終スピーカ出力させることができ、これが頻繁に行われても第1又は第2コンプ/リミッタ14,17を制御することからうねりなどを回避することができ、聴取者にとって違和感のない出力状態とすることができるものである。
【0029】
次に、図4及び図5に、図1のコンプ/リミッタ制御手段の他の制御説明図を示す。上述の図3では、第1及び第2音声入力状態に応じてコンプレッションレシオ(圧縮比)を固定してスレッショルド(閾値)を変化させた場合を示したが、図4はコンプレッションレシオを固定としてスレッショルドを変化させた場合であり、図5はコンプレッションレシオとスレッショルドとを共に変化させた場合である。
【0030】
図4において、図4(A)は、デフォルト設定対象の第1テーブル24の一例であり、固定設定として、リミッタ(圧縮比1:∞)とするときのスレッショルド(閾値)が例えば「−5dB」で設定され、例えばスレッショルド(閾値)TH1「−15dB」を固定基準として任意にコンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:2」で選択されて記憶部23の設定値26にデフォルト設定値として記憶される。このデフォルト設定値が第1及び第2コンプ/リミッタ14,17の両方に同じ値でデフォルト設定される。
【0031】
また、図4(B)は、上記第2音声入力状態となった場合における任意設定対象の第2テーブル25の一例であり、固定設定として、リミッタ(圧縮比1:∞)とするときのスレッショルド(閾値)が例えば「−10dB」で設定され、上記同様にスレッショルド(閾値)TH1「−15dB」を固定として任意にコンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:5」で選択されて記憶部23の設定値26に記憶される。
【0032】
すなわち、図4(C)に示すように、上記マイク特定手段21による判定した結果により、第1音声入力状態の場合、例えば第1マイク12(第2マイク13でもよい)より入力された歌唱音声の音量レベルがスレッショルドTH1「−15dB」(デフォルト設定値)を超えた場合に、第1コンプ/リミッタ14(第2コンプ/リミッタ17)は、歌唱音量を圧縮比「1:2」(デフォルト設定値)に圧縮して対応する第1マイクアンプ15(第2マイクアンプ18)に出力する。
【0033】
また、マイク特定手段21の判定の結果において上記第2音声入力状態の場合、コンプ/リミッタ制御手段22が、当該マイク特定手段21で当該異なる旋律として特定された第2マイク13(第1マイク12)に対応する第2コンプ/リミッタ17(第1コンプ/リミッタ14)に対して、設定値26に基づきスレッショルドTH1「−15dB]で設定されたコンプレッションレシオ(圧縮比)を「1:2」(デフォルト設定値)より大きい「1:5」に設定変更する。
【0034】
これによって、第2マイク13(第1マイク12)より入力された歌唱音声の音量レベルがスレッショルドTH1「−15dB]を超えた場合に、第2コンプ/リミッタ17(第1コンプ/リミッタ14)は、圧縮比「1:5」に圧縮してに対応する第2マイクアンプ18(第1マイクアンプ15)に出力されるものである。
【0035】
このように、上記の第1及び第2音声入力状態に応じてコンプレッションレシオ(圧縮比)を固定としてスレッショルドを変化させる場合に止まらず、スレッショルドを固定としてコンプレッションレシオを変化させることも可能であり、上記同様の効果を奏することができるものである。
【0036】
また、図5の場合において、図5(A)は、デフォルト設定対象の第1テーブル24の一例であり、固定設定として、リミッタ(圧縮比1:∞)とするときのスレッショルド(閾値)が例えば「−5dB」で設定され、任意に例えばスレッショルド(閾値)TH1が「−15dB」で、コンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:3」で選択されて記憶部23の設定値26にデフォルト設定として記憶される。このデフォルト設定値が第1及び第2コンプ/リミッタ14,17の両方に同じ値でデフォルト設定される。
【0037】
また、図5(B)は、上記第2音声入力状態となった場合における任意設定対象の第2テーブル25の一例であり、固定設定として、リミッタ(圧縮比1:∞)とするときのスレッショルド(閾値)が例えば「−10dB」で設定され、任意に例えばスレッショルド(閾値)TH2が「−20dB」で、コンプレッションレシオ(圧縮比)が「1:5」で選択されて記憶部23の設定値26に記憶される。
【0038】
すなわち、図5(C)に示すように、上記マイク特定手段21による判定した結果により、第1音声入力状態の場合、例えば第1マイク12(第2マイク13でもよい)より入力された歌唱音声の音量レベルがスレッショルドTH1「−15dB」(デフォルト設定値)を超えた場合に、第1コンプ/リミッタ14(第2コンプ/リミッタ17)は、歌唱音量を圧縮比「1:3」(デフォルト設定値)に圧縮して応する第1マイクアンプ15(第2マイクアンプ18)に出力する。
【0039】
また、マイク特定手段21の判定の結果において上記第2音声入力状態の場合、コンプ/リミッタ制御手段22が、当該マイク特定手段21で当該異なる旋律として特定された第2マイク13(第1マイク12)に対応する第2コンプ/リミッタ17(第1コンプ/リミッタ14)に対して、設定値26に基づきスレッショルド(閾値)TH2をTH1「−15dB」より低い「−20dB」に設定変更すると共に、コンプレッションレシオ(圧縮比)を「1:3」(デフォルト設定値)より大きい「1:5」に設定変更する。
【0040】
これによって、第2マイク13(第1マイク12)より入力された歌唱音声の音量レベルがスレッショルドTH2「−20dB]を超えた場合に、第2コンプ/リミッタ17(第1コンプ/リミッタ14)は、圧縮比「1:5」に圧縮して対応する第2マイクアンプ18(第1マイクアンプ15)に出力されるものである。
【0041】
このように、第1及び第2音声入力状態に応じてスレッショルド(閾値)とコンプレッションレシオ(圧縮比)を共に変化させることも可能であり、上記同様の効果を奏することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のハーモニー歌唱音量調整機能を備えるカラオケシステムは、カラオケの基本的機能を備えるカラオケ機器製造の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
11 カラオケシステム
12 第1マイク
13 第2マイク
14 第1コンプ/リミッタ
17 第2コンプ/リミッタ
21 マイク特定手段
22 コンプ/リミッタ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1マイク及び第2マイクを備えて、歌唱音声に対して音量圧縮を行うそれぞれ対応のエフェクタを介して、各マイクから入力された歌唱音声をミキシングアンプに出力させるカラオケシステムであって、
マイク特定手段及びエフェクタ制御手段を有し、
前記マイク特定手段は、演奏楽曲の主旋律音符データを取得すると共に、前記第1マイク及び第2マイクより歌唱音声を取得するもので、両方のマイクより同時に歌唱音声を取得した場合に、それぞれの歌唱音声が当該楽曲の主旋律音符データと同じ旋律であるか否かを判定し、同じ旋律と異なる旋律の歌唱音声が混在したハーモニー状態のときに、異なる旋律の歌唱音声が入力されたマイクを特定し、
前記エフェクタ制御手段は、前記マイク特定手段により異なる旋律として特定されたマイクに対応する前記エフェクタに対し、前記入力歌唱音声に対して音量圧縮を行う起点とする音量レベルの閾値及び当該閾値を超えたときの音量圧縮比につき、デフォルト設定された閾値より低い閾値及びデフォルト設定された音量圧縮比より大きい音量圧縮比の少なくとも何れかに設定変更する、
ことを特徴とするハーモニー音量調整機能を備えるカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−237595(P2010−237595A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87847(P2009−87847)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】