バイアル用キャップ
【課題】 凍結乾燥製剤などの薬剤を収納するバイアルをゴム栓で密閉する際に、ゴム栓での密閉をさらに確実にすることができ、しかも、分別などが容易で、改竄防止にも優れるバイアル用キャップを提供する。
【解決手段】 側壁の一部に軸方向に弱化線9a,9bを形成した円筒体3と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋4と、前記円筒体を弱化線に沿って破断するための取外し用把持部7とから構成されるものであって、合成樹脂で一体成形してバイアル用キャップ1とする。
【解決手段】 側壁の一部に軸方向に弱化線9a,9bを形成した円筒体3と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋4と、前記円筒体を弱化線に沿って破断するための取外し用把持部7とから構成されるものであって、合成樹脂で一体成形してバイアル用キャップ1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凍結乾燥製剤などの薬剤を収納するバイアル用キャップ、より具体的にはバイアルをゴム栓で密閉するに際し、ゴム栓での密閉をさらに確実にするために用いられるキャップに関するもので、包装容器技術に属するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、凍結乾燥製剤などの薬剤を収容するバイアルなどの口部の密封は、口部をゴム栓で密閉するとともに、さらにゴム栓の上にアルミキャップを被せて巻き締めることにより行われている。しかしながら、公知のアルミキャップで巻き締め密封したバイアルは、薬剤の使用に際しては、アルミキャップを剥き取るに際し、キャップのアルミで手などを引っ掛けて怪我をする、また、使用後に、アルミを分別して廃棄する際にも格別な取扱いが必要である、などの欠点を有していた。
【0003】
そのため、特開平7−187216号公報(特許文献1)においては、バイアルの口部を密封する際に、アルミキャップによる巻締めを必要としないゴム栓付のバイアル用キャップが提案されている。
【0004】
この特許文献1で開示されたバイアル用キャップは、スカートと天面を有してなるキャップ外枠、スカートと透孔が形成された天面からなるキャップ内枠、フランジと脚を有してなるゴム栓とから構成されているものである。
【0005】
一方、特開2003−72807号公報(特許文献2)や特開2003−165556号公報(特許文献3)においては、注出口を有するキャップに関し、容器とキャップを分別して廃棄できるようにした分別回収用キャップが提案されている。
【0006】
これら分別回収用キャップは、容器の口部外側に打栓される打栓式の注出口と、この注出口を施蓋する蓋体と、これら蓋体と注出口とを揺動自在に連結するヒンジとが一体に設けられているものである。
【特許文献1】特開平 7−187216号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2003−72807号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2003−165556号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、前記特許文献1で提示されている発明、すなわち、バイアルの口部を密封する際に、アルミキャップによる巻き締めを必要としない、ゴム栓付のバイアル用キャップが有する問題点、たとえば、キャップ外枠と内枠内にゴム栓が組み込まれているため、キャップの分別回収に際して、キャップとゴムを分別しなければならず、またその分別が容易でないこと、さらには該キャップによる容器の開閉が容易でないことなどを改良したキャップを提供することを課題とするものである。
【0008】
すなわち、この発明は上記の課題を解決するために、特許文献2や3で採用されている弱化線機能の利用を検討し、構成が簡単で、開封に際して手指を損傷する危険性がなく、しかもワンステップで開封可能なバイアル用キャップを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記円筒体または蓋のいずれか一方には、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有すること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0010】
また、この発明の請求項2に記載の発明は
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体に開口部に向かって垂直に設けられている弱化線に沿って、円筒体に接合した基部を有し、その先端が円筒体に並行に展延し、
円筒体と蓋の結合部には、円筒体の弱化線の一端を起点とし、前記展延方向とは逆方向に所定長さの円弧状の弱化線が設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0011】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部、内周部の上部に、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有するとともに、縮径部が一体的に形成され、前記縮径部の開口部を開閉する蓋がヒンジを介して上部外周部に設けられ、
前記弱化線は、
前記ヒンジの端部から、下部開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0012】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記弱化線は、
前記ヒンジの両端から設けられるいずれか一方が、下部開口部までは設けられていないこと
を特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項3又は4に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記縮径部は、
縮径部の開口部を形成する円周部の一部で、前記ヒンジの設けられた位置と異なる位置に、欠落部を有していること
を特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
その一部がヒンジとして、前記円筒体の弱化線の一端を起点とする所定幅でのみ円筒体と接合し、上面が水平面を形成する扁平なリング体であること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0015】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記蓋は、
前記取外し用把持部を形成するリング体内に位置し、下面が蓋上面に接合し、上面が前記リング体の上面と同一平面を形成する小径の重積用のリング部材が設けられていること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項6に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記取外し用把持部を形成するリング体は、
前記重積用のリング部材と、複数箇所において突起状物で結合していること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記蓋の上部に設けられた筒状体であって、この筒状体の下部を会して筒状体と蓋が結合し、この結合部が、筒状体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて分離可能な薄肉で形成され、
前記筒状体の弱化線が、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0018】
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体の外側面上部に設けられた筒状体で、円筒体との結合部が円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて、分離可能な薄肉または部分的な突起状物で形成され、
円筒体と蓋の結合部に、円筒体の弱化線の一端を起点とする所定長さの円弧状の弱化線が設けられ、
円筒体の弱化線は、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0019】
さらに、この発明の請求項11に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記円筒体と蓋は、
円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジ部を除いて、分離可能な薄肉または突起により結合部を形成し、
前記取外し用把持部は、
前記ヒンジと対称の位置に、蓋の円筒体との結合部から突出し、かつ、蓋周壁に沿って展延していること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【発明の効果】
【0020】
この発明のバイアル用キャップは、合成樹脂で一体成形されたもので、しかも構造が簡明で、アルミなどの金属を用いていないため、開封に際して、手指を切傷するおそれがなく、取外し用把持部を用いてワンステップで開封できる開封容易なもので、しかも、弱化ラインが1本でも簡単に取外しができる形体のものとすることもできる。
【0021】
また、この発明のバイアル用キャップは、蓋とゴム栓の上部表面とが密着していないので、打栓の際に、蓋とゴム栓の間に真空吸着力を生じないので打栓工程でのトラブルが発生せず、また、蓋とゴム栓とがブリードにより経時的に一体化するということもないものである。
【0022】
また、この発明のバイアル用キャップは、キャップ自体がバイアル口部とのシール部あるいはシール構造を形成するものではないが、キャップ打栓による緊迫力によりゴム栓を確実に把握し、容器に密着せしめ、より気密性を確保するもので、内容物の外気への接触を確実に制限し、外気との接触による内容物の変質をより確実に防止できる。
【0023】
また、この発明のバイアル用キャップは、キャップ開放時にバイアルから離脱するもので、内容物の改竄防止機能を有し、製品の安全性を確保し得る形状にすることも可能なもので、また、ゴム栓からも離脱するものであるから、キャップ開放後も、ゴム栓は栓としての機能を維持するものである。
【0024】
また、この発明のバイアル用キャップは、その外径がバイアル径からはみ出すことがなく、また引っ掛かりやすい突起等を有さないものとすることもでき、生産工程で使用されるパ−ツフィーダーの姿勢制御、整列過程におけるキャップ同士の引っ掛かりが生じにくいという形状にすることも可能なものである。
【0025】
また、この発明のバイアル用キャップは、合成樹脂で一体化されたもので、単一素材で形成可能で、開封時にゴム栓などの異物質を伴うことなく、また、破断されることなく一体化を保たせることも容易なものであるため、開封後に、単一素材の一体物として存在させることもでき、分別も廃棄も、極めて容易なものである。
【0026】
さらに、この発明のバイアル用キャップは、取外し用把持部や開封部を大きく、あるいは複雑な形状とする必要がなく、構造が簡単なものを、単一素材で、一体成形で調製できるもので、成形容易が容易で、生産工程を非常に効率的にすることのできるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明にかかるバイアル用キャップを、添付の図面を参照し、実施例に基づいて詳細に説明するが、この発明は例示の実施例にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において自由に改変することができるものである。なお、以下の全ての図面において、同じ機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
【実施例1】
【0028】
この発明にかかるバイアル用キャップにおいて、図1に示すバイアル用キャップ1は、合成樹脂材料で成形されるもので、円筒体3と、この円筒体3の開口部に設けられた蓋4とから構成されたものである。
前記円筒体3は、その内面下部には、バイアル2口部のフランジ部21と係合する環状の突起からなる係合部5が形成されるとともに、前記蓋4自体がゴム栓10を押圧するように、蓋4の下面に、ゴム栓10の上面に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられている。
【0029】
また、前記バイアル用キャップ1を構成する円筒体3の、弱化線9aが形成された部位には、図2(a)で明らかなように、帯状の板状体の基端部を弱化線9aと平行に固定するとともに、その先端部を円筒体3に沿って並行に展延させて、取外し用把持部7を形成している。
なお、前記円筒体3と蓋4の結合部には、円筒体3の弱化線9aの一端を起点とし、取外し用把持部7の展延方向とは逆方向に、所定長さの円弧状の弱化線9bが設けられている。
また、前記取外し用把持部7の先端部は、突起7aを介して、円筒体3に取外し自在に固定されている。
【0030】
かかる構成からなるバイアル用キャップ1を装着した、密封状態のバイアル2を開封するには、図2(a)で示すように、円筒体3に並行に展延している、取外し用把持部7の先端部を、係止用の突起7aに抗して引き起こし、蓋4の上部に形成された弱化線9bに沿って開くように拡げれば、図2(b)で示すように、弱化線9aと弱化線9bがそれぞれ切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ1を、円筒体3と蓋4とを分離することなく一体的に取外すことができる。
【0031】
このバイアル用キャップ1は、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねに際して据わりがよく、取外し用把持部7を大きくすることができるため、バイアル用キャップ1の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得る物で、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例2】
【0032】
図3に示すバイアル用キャップ31も合成樹脂材料で成形されるもので、円筒体3と、この円筒体3の上部開口部の一部に、ヒンジ8を介して一体的に開閉自在に設けられた蓋4とから構成されている。
前記円筒体3は、その内面下部には、バイアル2口部のフランジ部21と係合する環状の突起からなる係合部5が形成されるとともに、上部開口部内面には、環状の突起からなるゴム栓押圧部6が形成されているもので、前記ヒンジ部8の対称位置には、取外し用把持部7が一体形成されている。
【0033】
このバイアル用キャップ31には、図4で明らかなように、前記円筒体3には、壁面を薄肉にして形成された2本の弱化線9a,9bが、ヒンジ8の端部からそれぞれ下部開口部まで設けられている。
なお、図中10は、バイアル2の口部に密嵌されるゴム栓である。
【0034】
図4(a)〜図4(d)は、かかる構成のバイアル用キャップ31を、ゴム栓10付のバイアル2への装着から取外しまでを示すものである。
まず、図4(a)で示される密封状態のバイアル2を開封するには、図4(b)で示すように、取外し用把持部7を用い、ヒンジ8の機能により、蓋4を開放する。
ついで、図4(b)の状態に至れば、蓋4自体が取外し用把持部7としての機能を有するようになるので、この蓋4を把手として、それ自体をバイアル2から引き下げるようにすると、円筒体3に形成された弱化線9a、9bが切り裂かれ、円筒体3と蓋4が切り離され、バイアル2から外される。
【0035】
その際、環状の突起からなるゴム栓押圧部6の上部、すなわち、ゴム栓10より上に突出している突起の一部6aを、図6に示されるバイアル用キャップ41のように、切り欠いておくことによって、蓋4を切り離すときに、指でゴム栓10を押さえることが容易になり、円筒体3が取外されるときに、ゴム栓10が帯同して外れることを防止でき、好ましいものである。
【0036】
このバイアル用キャップ31は、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際の据わりがよく、蓋4が取外し用把持部としての機能を有するため、バイアル用キャップ31の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るものである。
【実施例3】
【0037】
図5および図6は、図3で示された合成樹脂からなるバイアル用キャップ31の他の実施例を示すものである。
この実施例においては、円筒体3の壁面を薄肉にして形成する2本の弱化線9a,9bを、ヒンジ8の両端から下部開口部まで設けるに際し、いずれか一方の弱化線(図5においては9b)を、下部開口部に達しない短いものとしている。
したがって、切り離されたバイアル用キャップ41は、実施例2のように2個の部材に分離することがなく、一度に取外すことができるものである。
また、ゴム栓押圧部6を構成する環状の突起の上部を、図6に示されるように、切り欠いておくことは、実施例2と同様に好ましいことである。
【実施例4】
【0038】
図7および図8のバイアル用キャップ51も、図1と同様に、蓋4自体がゴム栓10を押圧する構造を有するもので、内面下部にバイアル2の口部のフランジ部21と係合する環状の突起からなる係合部5を有する円筒体3と、この円筒体3の上部開口部を閉止し、かつ裏面にゴム栓10に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられた蓋4と、この蓋4の上面に同心円状に一体成形されたリング部材13および取外し用把持部7とから構成されたものである。
【0039】
前記取外し用把持部7は、側面が帯状のリング体からなるもので、その基部が、ヒンジ8として機能するように、円筒体3の弱化線9の一端を起点とする、所定の幅をもって円筒体3に接合するように設けられたもので、その対面側は前記円筒体3の外周面と一致するように設けられている。また、前記蓋4に設けられたリング部材13の頂面と、取外し用把持部7の頂面は、面一となるように形成されている。
【0040】
また、リング体からなる取外し用把持部7と、前記リング部材13は、使用前は、取外し用把持部7に位置の安定性を与えるために、図示されるように、複数箇所において、突起物14で結合していることが好ましい。
【0041】
なお、リング部材13は、バイアル2が積み重ねられた際、特に、内容物が収納されたバイアル2を積み重ねた際に、積み重ねられたバイアル2の安定性を保持するもので、バイアル2の形状、重量などによっては、必ずしも必要なものではないが、常に安定性を確保するためには、設けておくのが好ましいものである。
【0042】
かかるバイアル用キャップ51を装着した、密封状態のバイアル2を開封するには、まず、図8(a)で示すように、蓋4の上部に設けられている取外し用把持部7を引き起こし、さらに、図8(b)で示すように、円筒体3に設けられた弱化線9を切り裂くように引き下げればよく、それにより、弱化線9が切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ51を分離させることなく一体として外すことができる。
【0043】
このバイアル用キャップ51も、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際のすわりが良く、取外し用把持部7を大きくすることができるため、バイアル用キャップ51の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用されうるものである。
また、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例5】
【0044】
図9(a)に示す、合成樹脂製のバイアル用キャップ61は、図1と同様に、蓋4自体が、バイアル2の口部に密嵌されるゴム栓10を押圧するように構成されたものである。
すなわち、このバイアル用キャップ61は、バイアル2の口部と密着可能な内径を有する円筒体3と、この円筒体3の頂部開口部を閉止する蓋4からなるもので、前記円筒体3の一部に、上端部から下端部に達する1本の弱化線9を形成するとともに、前記蓋4の上面に、前記円筒体3の外径よりも径の小さなリング状の取外し用把持部7を設けたものである。
【0045】
前記リング状の取外し用把持部7を蓋4の上面に設けるに際しては、取外し用把持部7の下端部のほぼ全周が直接肉薄に形成され、一箇所のみが、蓋4に比較的強固に固着されているので、取外し用把持部7を切り離すことによって、バイアル2との嵌合部が開放され、一工程で簡単に外すことができる。
【0046】
なお、バイアル2の口部に装着されるゴム栓10は、図9(b)で明らかなように、製造上から上面に複数の突起11が形成されている。この蓋4の底面には、これら突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けることによって、ゴム栓10をバイアル2により密着させることができる。
【0047】
かかるバイアル用キャップ61を実装したバイアル2は、図10(a)に示すように、蓋4の上面に、取外し用把持部7のリフト用の目印4aが示されている。したがって、この目印4a近傍の取外し用把持部7の一部を持ち上げ、蓋4と円筒体3との連結部を切り裂き、図10(b)に示すようにヒンジ8を利用して、取外し用把持部7をバイアル2から引き下げるようにすると、図10(c)で明らかなように、円筒体3に形成された弱化線9が切り裂かれると同時に、円筒体3が切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ1が一体の状態で取外すことができる。
【0048】
このバイアル用キャップ61は、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際のすわりが良く、蓋4上部のリングが取外し用把持部7としての機能を有するため、バイアル用キャップ61の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るもので、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例6】
【0049】
図11に示すバイアル用キャップ71も、図1と同様に蓋4自体がゴム栓10を押圧するもので、蓋4の下面に、ゴム栓10に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられている。
また、円筒体3の外側面上部に、円筒体3の外周を覆ってリング状の取外し用把持部7が設けられている。この取外し用把持部7と円筒体3は、円筒体3の弱化線9の一端を起点とする所定の幅のヒンジ8を除いて、分離可能なように突起物14で点状に連結されている。
【0050】
また、前記円筒体3の弱化線9の他端は、下部開口部に向かって垂直に設けられ、前記ヒンジ8と対称の位置における取外し用把持部7の下部には、その取外しをより容易にするため、図12(b)で明らかなように、舌片7aが、取外し用把持部7の一部として設けられている。
【0051】
かかるバイアル用キャップ71を装着した、図12(a)に示す、密封状態のバイアル2を開封するには、まず、目印4aで示された位置に形成されている舌片7aに指先を掛けながら、これを上方に持ち上げると、円筒体3との連結部が切り裂かれる。
ついで、図12(b)に示すように前記ヒンジ8を利用して、取外し用把持部7を蓋4と平行になるまで開いた後、弱化線9を切り裂くように、円筒体3の周方向に引くと、図12(c)で明らかなように、弱化線9とともに蓋4に設けられた円弧状の弱化線9aが切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ71が一体として外れるものである。
【0052】
なお、このバイアル用キャップ71も、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際の据わりがよく、蓋上部の筒状体が取外し用把持部としての機能を有するため、バイアル用キャップ71の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るもので、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例7】
【0053】
図13に示されるバイアル用キャップ81も、図1と同様に、蓋4自体がゴム栓10を押圧するもので、蓋4の下面に、ゴム栓10に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられている。
また、前記円筒体3と蓋4は、円筒体3の弱化線9の一端を起点とする所定の幅のヒンジ8を除いて分離可能な突起物14によって結合されたもので、ヒンジ8と対称の位置には、蓋4の円筒体3との結合部から突出し、かつ、蓋4の周壁に沿って展延するように取外し用把持部7が設けられている。
【0054】
かかるバイアル用キャップ81を装着した、図14(a)に示す、密封状態のバイアル2を開封するには、まず、取外し用把持部7を持ち上げ、円筒体3と蓋4の結合部を切り裂き、図14(b)に示すようにヒンジ8を利用して、蓋4を完全に開放した後、弱化線9を切り裂くように、蓋4を下方に引っ張るように引き下げると、弱化線9が切り離され、バイアル2からバイアル用キャップ81を一体として外すことができるものである。
【0055】
このバイアル用キャップ81も、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際のすわりが良く、蓋4自体が取外し用把持部7としての機能を有するため、バイアル用キャップ81の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るものである。
また、蓋4などによりゴム栓10を被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明のバイアル用キャップは、凍結乾燥製剤などの薬剤を収納するバイアルにおけるゴム栓での密閉を、さらに確実にするものである。また、改竄防止効果の高いものでありながら、構造が簡単で開封も容易で、単一素材で形成されているため、分別廃棄も容易であるという特長を有しているため、製薬、試薬業界、そして包装材業界において、広く利用される可能性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明のバイアル用キャップの一例を示す要部の部分断面図である。
【図2】図1で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封直後の状態を、(b)は取外し直前の状態をそれぞれ示している。
【図3】他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図4】図3で示されたバイアル用キャップとバイアルの関係を示す斜視図で、(a)は装着状態を、(b)は蓋を開口した状態を、(c)は弱化線に沿って破断する状態を、(d)は取外した状態をそれぞれ示す。
【図5】バイアル用キャップの他の例を示す斜視図である。
【図6】バイアル用キャップの他の例を示す斜視図である。
【図7】さらに他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図8】図7で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封直後の状態を、(b)は取外し直前をそれぞれ示している。
【図9】さらに他のバイアル用キャップの例を示すもので、(a)は部分断面図、(b)はその平面図である。
【図10】図9で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封前の状態を、(b)は破断開始直後の状態を、(c)は取外し直前の状態をそれぞれ示している。
【図11】さらに他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図12】図11で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封前の状態を、(b)は取外し直前の状態を、(c)は取外し直後をそれぞれ示している。
【図13】さらに他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図14】図13で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封前の状態を、(b)は取外し直前の状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0058】
1 バイアル用キャップ
2 バイアル
3 円筒体
4 蓋
5 係合部
6 ゴム栓押圧部
7 取外し用把持部
7a 凸状体
8 ヒンジ
9a,9b 弱化線
10 ゴム栓
11 突起
13 重積用のリング体
14 突起物
【技術分野】
【0001】
この発明は、凍結乾燥製剤などの薬剤を収納するバイアル用キャップ、より具体的にはバイアルをゴム栓で密閉するに際し、ゴム栓での密閉をさらに確実にするために用いられるキャップに関するもので、包装容器技術に属するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、凍結乾燥製剤などの薬剤を収容するバイアルなどの口部の密封は、口部をゴム栓で密閉するとともに、さらにゴム栓の上にアルミキャップを被せて巻き締めることにより行われている。しかしながら、公知のアルミキャップで巻き締め密封したバイアルは、薬剤の使用に際しては、アルミキャップを剥き取るに際し、キャップのアルミで手などを引っ掛けて怪我をする、また、使用後に、アルミを分別して廃棄する際にも格別な取扱いが必要である、などの欠点を有していた。
【0003】
そのため、特開平7−187216号公報(特許文献1)においては、バイアルの口部を密封する際に、アルミキャップによる巻締めを必要としないゴム栓付のバイアル用キャップが提案されている。
【0004】
この特許文献1で開示されたバイアル用キャップは、スカートと天面を有してなるキャップ外枠、スカートと透孔が形成された天面からなるキャップ内枠、フランジと脚を有してなるゴム栓とから構成されているものである。
【0005】
一方、特開2003−72807号公報(特許文献2)や特開2003−165556号公報(特許文献3)においては、注出口を有するキャップに関し、容器とキャップを分別して廃棄できるようにした分別回収用キャップが提案されている。
【0006】
これら分別回収用キャップは、容器の口部外側に打栓される打栓式の注出口と、この注出口を施蓋する蓋体と、これら蓋体と注出口とを揺動自在に連結するヒンジとが一体に設けられているものである。
【特許文献1】特開平 7−187216号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2003−72807号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2003−165556号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、前記特許文献1で提示されている発明、すなわち、バイアルの口部を密封する際に、アルミキャップによる巻き締めを必要としない、ゴム栓付のバイアル用キャップが有する問題点、たとえば、キャップ外枠と内枠内にゴム栓が組み込まれているため、キャップの分別回収に際して、キャップとゴムを分別しなければならず、またその分別が容易でないこと、さらには該キャップによる容器の開閉が容易でないことなどを改良したキャップを提供することを課題とするものである。
【0008】
すなわち、この発明は上記の課題を解決するために、特許文献2や3で採用されている弱化線機能の利用を検討し、構成が簡単で、開封に際して手指を損傷する危険性がなく、しかもワンステップで開封可能なバイアル用キャップを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記円筒体または蓋のいずれか一方には、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有すること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0010】
また、この発明の請求項2に記載の発明は
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体に開口部に向かって垂直に設けられている弱化線に沿って、円筒体に接合した基部を有し、その先端が円筒体に並行に展延し、
円筒体と蓋の結合部には、円筒体の弱化線の一端を起点とし、前記展延方向とは逆方向に所定長さの円弧状の弱化線が設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0011】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部、内周部の上部に、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有するとともに、縮径部が一体的に形成され、前記縮径部の開口部を開閉する蓋がヒンジを介して上部外周部に設けられ、
前記弱化線は、
前記ヒンジの端部から、下部開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0012】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記弱化線は、
前記ヒンジの両端から設けられるいずれか一方が、下部開口部までは設けられていないこと
を特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項3又は4に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記縮径部は、
縮径部の開口部を形成する円周部の一部で、前記ヒンジの設けられた位置と異なる位置に、欠落部を有していること
を特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
その一部がヒンジとして、前記円筒体の弱化線の一端を起点とする所定幅でのみ円筒体と接合し、上面が水平面を形成する扁平なリング体であること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0015】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記蓋は、
前記取外し用把持部を形成するリング体内に位置し、下面が蓋上面に接合し、上面が前記リング体の上面と同一平面を形成する小径の重積用のリング部材が設けられていること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項6に記載のバイアル用キャップにおいて、
前記取外し用把持部を形成するリング体は、
前記重積用のリング部材と、複数箇所において突起状物で結合していること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記蓋の上部に設けられた筒状体であって、この筒状体の下部を会して筒状体と蓋が結合し、この結合部が、筒状体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて分離可能な薄肉で形成され、
前記筒状体の弱化線が、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0018】
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体の外側面上部に設けられた筒状体で、円筒体との結合部が円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて、分離可能な薄肉または部分的な突起状物で形成され、
円筒体と蓋の結合部に、円筒体の弱化線の一端を起点とする所定長さの円弧状の弱化線が設けられ、
円筒体の弱化線は、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【0019】
さらに、この発明の請求項11に記載の発明は、
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記円筒体と蓋は、
円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジ部を除いて、分離可能な薄肉または突起により結合部を形成し、
前記取外し用把持部は、
前記ヒンジと対称の位置に、蓋の円筒体との結合部から突出し、かつ、蓋周壁に沿って展延していること
を特徴とするバイアル用キャップである。
【発明の効果】
【0020】
この発明のバイアル用キャップは、合成樹脂で一体成形されたもので、しかも構造が簡明で、アルミなどの金属を用いていないため、開封に際して、手指を切傷するおそれがなく、取外し用把持部を用いてワンステップで開封できる開封容易なもので、しかも、弱化ラインが1本でも簡単に取外しができる形体のものとすることもできる。
【0021】
また、この発明のバイアル用キャップは、蓋とゴム栓の上部表面とが密着していないので、打栓の際に、蓋とゴム栓の間に真空吸着力を生じないので打栓工程でのトラブルが発生せず、また、蓋とゴム栓とがブリードにより経時的に一体化するということもないものである。
【0022】
また、この発明のバイアル用キャップは、キャップ自体がバイアル口部とのシール部あるいはシール構造を形成するものではないが、キャップ打栓による緊迫力によりゴム栓を確実に把握し、容器に密着せしめ、より気密性を確保するもので、内容物の外気への接触を確実に制限し、外気との接触による内容物の変質をより確実に防止できる。
【0023】
また、この発明のバイアル用キャップは、キャップ開放時にバイアルから離脱するもので、内容物の改竄防止機能を有し、製品の安全性を確保し得る形状にすることも可能なもので、また、ゴム栓からも離脱するものであるから、キャップ開放後も、ゴム栓は栓としての機能を維持するものである。
【0024】
また、この発明のバイアル用キャップは、その外径がバイアル径からはみ出すことがなく、また引っ掛かりやすい突起等を有さないものとすることもでき、生産工程で使用されるパ−ツフィーダーの姿勢制御、整列過程におけるキャップ同士の引っ掛かりが生じにくいという形状にすることも可能なものである。
【0025】
また、この発明のバイアル用キャップは、合成樹脂で一体化されたもので、単一素材で形成可能で、開封時にゴム栓などの異物質を伴うことなく、また、破断されることなく一体化を保たせることも容易なものであるため、開封後に、単一素材の一体物として存在させることもでき、分別も廃棄も、極めて容易なものである。
【0026】
さらに、この発明のバイアル用キャップは、取外し用把持部や開封部を大きく、あるいは複雑な形状とする必要がなく、構造が簡単なものを、単一素材で、一体成形で調製できるもので、成形容易が容易で、生産工程を非常に効率的にすることのできるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明にかかるバイアル用キャップを、添付の図面を参照し、実施例に基づいて詳細に説明するが、この発明は例示の実施例にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において自由に改変することができるものである。なお、以下の全ての図面において、同じ機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
【実施例1】
【0028】
この発明にかかるバイアル用キャップにおいて、図1に示すバイアル用キャップ1は、合成樹脂材料で成形されるもので、円筒体3と、この円筒体3の開口部に設けられた蓋4とから構成されたものである。
前記円筒体3は、その内面下部には、バイアル2口部のフランジ部21と係合する環状の突起からなる係合部5が形成されるとともに、前記蓋4自体がゴム栓10を押圧するように、蓋4の下面に、ゴム栓10の上面に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられている。
【0029】
また、前記バイアル用キャップ1を構成する円筒体3の、弱化線9aが形成された部位には、図2(a)で明らかなように、帯状の板状体の基端部を弱化線9aと平行に固定するとともに、その先端部を円筒体3に沿って並行に展延させて、取外し用把持部7を形成している。
なお、前記円筒体3と蓋4の結合部には、円筒体3の弱化線9aの一端を起点とし、取外し用把持部7の展延方向とは逆方向に、所定長さの円弧状の弱化線9bが設けられている。
また、前記取外し用把持部7の先端部は、突起7aを介して、円筒体3に取外し自在に固定されている。
【0030】
かかる構成からなるバイアル用キャップ1を装着した、密封状態のバイアル2を開封するには、図2(a)で示すように、円筒体3に並行に展延している、取外し用把持部7の先端部を、係止用の突起7aに抗して引き起こし、蓋4の上部に形成された弱化線9bに沿って開くように拡げれば、図2(b)で示すように、弱化線9aと弱化線9bがそれぞれ切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ1を、円筒体3と蓋4とを分離することなく一体的に取外すことができる。
【0031】
このバイアル用キャップ1は、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねに際して据わりがよく、取外し用把持部7を大きくすることができるため、バイアル用キャップ1の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得る物で、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例2】
【0032】
図3に示すバイアル用キャップ31も合成樹脂材料で成形されるもので、円筒体3と、この円筒体3の上部開口部の一部に、ヒンジ8を介して一体的に開閉自在に設けられた蓋4とから構成されている。
前記円筒体3は、その内面下部には、バイアル2口部のフランジ部21と係合する環状の突起からなる係合部5が形成されるとともに、上部開口部内面には、環状の突起からなるゴム栓押圧部6が形成されているもので、前記ヒンジ部8の対称位置には、取外し用把持部7が一体形成されている。
【0033】
このバイアル用キャップ31には、図4で明らかなように、前記円筒体3には、壁面を薄肉にして形成された2本の弱化線9a,9bが、ヒンジ8の端部からそれぞれ下部開口部まで設けられている。
なお、図中10は、バイアル2の口部に密嵌されるゴム栓である。
【0034】
図4(a)〜図4(d)は、かかる構成のバイアル用キャップ31を、ゴム栓10付のバイアル2への装着から取外しまでを示すものである。
まず、図4(a)で示される密封状態のバイアル2を開封するには、図4(b)で示すように、取外し用把持部7を用い、ヒンジ8の機能により、蓋4を開放する。
ついで、図4(b)の状態に至れば、蓋4自体が取外し用把持部7としての機能を有するようになるので、この蓋4を把手として、それ自体をバイアル2から引き下げるようにすると、円筒体3に形成された弱化線9a、9bが切り裂かれ、円筒体3と蓋4が切り離され、バイアル2から外される。
【0035】
その際、環状の突起からなるゴム栓押圧部6の上部、すなわち、ゴム栓10より上に突出している突起の一部6aを、図6に示されるバイアル用キャップ41のように、切り欠いておくことによって、蓋4を切り離すときに、指でゴム栓10を押さえることが容易になり、円筒体3が取外されるときに、ゴム栓10が帯同して外れることを防止でき、好ましいものである。
【0036】
このバイアル用キャップ31は、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際の据わりがよく、蓋4が取外し用把持部としての機能を有するため、バイアル用キャップ31の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るものである。
【実施例3】
【0037】
図5および図6は、図3で示された合成樹脂からなるバイアル用キャップ31の他の実施例を示すものである。
この実施例においては、円筒体3の壁面を薄肉にして形成する2本の弱化線9a,9bを、ヒンジ8の両端から下部開口部まで設けるに際し、いずれか一方の弱化線(図5においては9b)を、下部開口部に達しない短いものとしている。
したがって、切り離されたバイアル用キャップ41は、実施例2のように2個の部材に分離することがなく、一度に取外すことができるものである。
また、ゴム栓押圧部6を構成する環状の突起の上部を、図6に示されるように、切り欠いておくことは、実施例2と同様に好ましいことである。
【実施例4】
【0038】
図7および図8のバイアル用キャップ51も、図1と同様に、蓋4自体がゴム栓10を押圧する構造を有するもので、内面下部にバイアル2の口部のフランジ部21と係合する環状の突起からなる係合部5を有する円筒体3と、この円筒体3の上部開口部を閉止し、かつ裏面にゴム栓10に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられた蓋4と、この蓋4の上面に同心円状に一体成形されたリング部材13および取外し用把持部7とから構成されたものである。
【0039】
前記取外し用把持部7は、側面が帯状のリング体からなるもので、その基部が、ヒンジ8として機能するように、円筒体3の弱化線9の一端を起点とする、所定の幅をもって円筒体3に接合するように設けられたもので、その対面側は前記円筒体3の外周面と一致するように設けられている。また、前記蓋4に設けられたリング部材13の頂面と、取外し用把持部7の頂面は、面一となるように形成されている。
【0040】
また、リング体からなる取外し用把持部7と、前記リング部材13は、使用前は、取外し用把持部7に位置の安定性を与えるために、図示されるように、複数箇所において、突起物14で結合していることが好ましい。
【0041】
なお、リング部材13は、バイアル2が積み重ねられた際、特に、内容物が収納されたバイアル2を積み重ねた際に、積み重ねられたバイアル2の安定性を保持するもので、バイアル2の形状、重量などによっては、必ずしも必要なものではないが、常に安定性を確保するためには、設けておくのが好ましいものである。
【0042】
かかるバイアル用キャップ51を装着した、密封状態のバイアル2を開封するには、まず、図8(a)で示すように、蓋4の上部に設けられている取外し用把持部7を引き起こし、さらに、図8(b)で示すように、円筒体3に設けられた弱化線9を切り裂くように引き下げればよく、それにより、弱化線9が切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ51を分離させることなく一体として外すことができる。
【0043】
このバイアル用キャップ51も、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際のすわりが良く、取外し用把持部7を大きくすることができるため、バイアル用キャップ51の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用されうるものである。
また、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例5】
【0044】
図9(a)に示す、合成樹脂製のバイアル用キャップ61は、図1と同様に、蓋4自体が、バイアル2の口部に密嵌されるゴム栓10を押圧するように構成されたものである。
すなわち、このバイアル用キャップ61は、バイアル2の口部と密着可能な内径を有する円筒体3と、この円筒体3の頂部開口部を閉止する蓋4からなるもので、前記円筒体3の一部に、上端部から下端部に達する1本の弱化線9を形成するとともに、前記蓋4の上面に、前記円筒体3の外径よりも径の小さなリング状の取外し用把持部7を設けたものである。
【0045】
前記リング状の取外し用把持部7を蓋4の上面に設けるに際しては、取外し用把持部7の下端部のほぼ全周が直接肉薄に形成され、一箇所のみが、蓋4に比較的強固に固着されているので、取外し用把持部7を切り離すことによって、バイアル2との嵌合部が開放され、一工程で簡単に外すことができる。
【0046】
なお、バイアル2の口部に装着されるゴム栓10は、図9(b)で明らかなように、製造上から上面に複数の突起11が形成されている。この蓋4の底面には、これら突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けることによって、ゴム栓10をバイアル2により密着させることができる。
【0047】
かかるバイアル用キャップ61を実装したバイアル2は、図10(a)に示すように、蓋4の上面に、取外し用把持部7のリフト用の目印4aが示されている。したがって、この目印4a近傍の取外し用把持部7の一部を持ち上げ、蓋4と円筒体3との連結部を切り裂き、図10(b)に示すようにヒンジ8を利用して、取外し用把持部7をバイアル2から引き下げるようにすると、図10(c)で明らかなように、円筒体3に形成された弱化線9が切り裂かれると同時に、円筒体3が切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ1が一体の状態で取外すことができる。
【0048】
このバイアル用キャップ61は、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際のすわりが良く、蓋4上部のリングが取外し用把持部7としての機能を有するため、バイアル用キャップ61の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るもので、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例6】
【0049】
図11に示すバイアル用キャップ71も、図1と同様に蓋4自体がゴム栓10を押圧するもので、蓋4の下面に、ゴム栓10に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられている。
また、円筒体3の外側面上部に、円筒体3の外周を覆ってリング状の取外し用把持部7が設けられている。この取外し用把持部7と円筒体3は、円筒体3の弱化線9の一端を起点とする所定の幅のヒンジ8を除いて、分離可能なように突起物14で点状に連結されている。
【0050】
また、前記円筒体3の弱化線9の他端は、下部開口部に向かって垂直に設けられ、前記ヒンジ8と対称の位置における取外し用把持部7の下部には、その取外しをより容易にするため、図12(b)で明らかなように、舌片7aが、取外し用把持部7の一部として設けられている。
【0051】
かかるバイアル用キャップ71を装着した、図12(a)に示す、密封状態のバイアル2を開封するには、まず、目印4aで示された位置に形成されている舌片7aに指先を掛けながら、これを上方に持ち上げると、円筒体3との連結部が切り裂かれる。
ついで、図12(b)に示すように前記ヒンジ8を利用して、取外し用把持部7を蓋4と平行になるまで開いた後、弱化線9を切り裂くように、円筒体3の周方向に引くと、図12(c)で明らかなように、弱化線9とともに蓋4に設けられた円弧状の弱化線9aが切り裂かれ、バイアル2からバイアル用キャップ71が一体として外れるものである。
【0052】
なお、このバイアル用キャップ71も、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際の据わりがよく、蓋上部の筒状体が取外し用把持部としての機能を有するため、バイアル用キャップ71の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るもので、蓋4などによりゴム栓10を完全に被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【実施例7】
【0053】
図13に示されるバイアル用キャップ81も、図1と同様に、蓋4自体がゴム栓10を押圧するもので、蓋4の下面に、ゴム栓10に形成されている突起11を避ける形で、突起状のゴム栓押圧部6が対称的に設けられている。
また、前記円筒体3と蓋4は、円筒体3の弱化線9の一端を起点とする所定の幅のヒンジ8を除いて分離可能な突起物14によって結合されたもので、ヒンジ8と対称の位置には、蓋4の円筒体3との結合部から突出し、かつ、蓋4の周壁に沿って展延するように取外し用把持部7が設けられている。
【0054】
かかるバイアル用キャップ81を装着した、図14(a)に示す、密封状態のバイアル2を開封するには、まず、取外し用把持部7を持ち上げ、円筒体3と蓋4の結合部を切り裂き、図14(b)に示すようにヒンジ8を利用して、蓋4を完全に開放した後、弱化線9を切り裂くように、蓋4を下方に引っ張るように引き下げると、弱化線9が切り離され、バイアル2からバイアル用キャップ81を一体として外すことができるものである。
【0055】
このバイアル用キャップ81も、上面に突起等の出っ張りがないため、積み重ねる際のすわりが良く、蓋4自体が取外し用把持部7としての機能を有するため、バイアル用キャップ81の取外しが容易で、小型の瓶から大型の瓶まで適用され得るものである。
また、蓋4などによりゴム栓10を被覆するものであるため、改竄防止効果の高いものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明のバイアル用キャップは、凍結乾燥製剤などの薬剤を収納するバイアルにおけるゴム栓での密閉を、さらに確実にするものである。また、改竄防止効果の高いものでありながら、構造が簡単で開封も容易で、単一素材で形成されているため、分別廃棄も容易であるという特長を有しているため、製薬、試薬業界、そして包装材業界において、広く利用される可能性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明のバイアル用キャップの一例を示す要部の部分断面図である。
【図2】図1で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封直後の状態を、(b)は取外し直前の状態をそれぞれ示している。
【図3】他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図4】図3で示されたバイアル用キャップとバイアルの関係を示す斜視図で、(a)は装着状態を、(b)は蓋を開口した状態を、(c)は弱化線に沿って破断する状態を、(d)は取外した状態をそれぞれ示す。
【図5】バイアル用キャップの他の例を示す斜視図である。
【図6】バイアル用キャップの他の例を示す斜視図である。
【図7】さらに他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図8】図7で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封直後の状態を、(b)は取外し直前をそれぞれ示している。
【図9】さらに他のバイアル用キャップの例を示すもので、(a)は部分断面図、(b)はその平面図である。
【図10】図9で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封前の状態を、(b)は破断開始直後の状態を、(c)は取外し直前の状態をそれぞれ示している。
【図11】さらに他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図12】図11で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封前の状態を、(b)は取外し直前の状態を、(c)は取外し直後をそれぞれ示している。
【図13】さらに他のバイアル用キャップの例を示す部分断面図である。
【図14】図13で示されたバイアル用キャップを装着したバイアルの斜視図であって、(a)は開封前の状態を、(b)は取外し直前の状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0058】
1 バイアル用キャップ
2 バイアル
3 円筒体
4 蓋
5 係合部
6 ゴム栓押圧部
7 取外し用把持部
7a 凸状体
8 ヒンジ
9a,9b 弱化線
10 ゴム栓
11 突起
13 重積用のリング体
14 突起物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記円筒体または蓋のいずれか一方には、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有すること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項2】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体に開口部に向かって垂直に設けられている弱化線に沿って、円筒体に接合した基部を有し、その先端が円筒体に並行に展延し、
円筒体と蓋の結合部には、円筒体の弱化線の一端を起点とし、前記展延方向とは逆方向に所定長さの円弧状の弱化線が設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項3】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部、内周部の上部に、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有するとともに、縮径部が一体的に形成され、前記縮径部の開口部を開閉する蓋がヒンジを介して上部外周部に設けられ、
前記弱化線は、
前記ヒンジの端部から、下部開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項4】
前記弱化線は、
前記ヒンジの両端から設けられるいずれか一方が、下部開口部までは設けられていないこと
を特徴とする請求項3に記載のバイアル用キャップ。
【請求項5】
前記縮径部は、
縮径部の開口部を形成する円周部の一部で、前記ヒンジの設けられた位置と異なる位置に、欠落部を有していること
を特徴とする請求項3又は4に記載のバイアル用キャップ。
【請求項6】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
その一部がヒンジとして、前記円筒体の弱化線の一端を起点とする所定幅でのみ円筒体と接合し、上面が水平面を形成する扁平なリング体であること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項7】
前記蓋は、
前記取外し用把持部を形成するリング体内に位置し、下面が蓋上面に接合し、上面が前記リング体の上面と同一平面を形成する小径の重積用のリング部材が設けられていること
を特徴とする請求項6に記載のバイアル用キャップ。
【請求項8】
前記取外し用把持部を形成するリング体は、
前記重積用のリング部材と、複数箇所において突起状物で結合していること
を特徴とする請求項6に記載のバイアル用キャップ。
【請求項9】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記蓋の上部に設けられた筒状体であって、この筒状体の下部を会して筒状体と蓋が結合し、この結合部が、筒状体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて分離可能な薄肉で形成され、
前記筒状体の弱化線が、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項10】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体の外側面上部に設けられた筒状体で、円筒体との結合部が円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて、分離可能な薄肉または部分的な突起状物で形成され、
円筒体と蓋の結合部に、円筒体の弱化線の一端を起点とする所定長さの円弧状の弱化線が設けられ、
円筒体の弱化線は、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項11】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記円筒体と蓋は、
円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジ部を除いて、分離可能な薄肉または突起により結合部を形成し、
前記取外し用把持部は、
前記ヒンジと対称の位置に、蓋の円筒体との結合部から突出し、かつ、蓋周壁に沿って展延していること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項1】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記円筒体または蓋のいずれか一方には、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有すること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項2】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体に開口部に向かって垂直に設けられている弱化線に沿って、円筒体に接合した基部を有し、その先端が円筒体に並行に展延し、
円筒体と蓋の結合部には、円筒体の弱化線の一端を起点とし、前記展延方向とは逆方向に所定長さの円弧状の弱化線が設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項3】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部、内周部の上部に、バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有するとともに、縮径部が一体的に形成され、前記縮径部の開口部を開閉する蓋がヒンジを介して上部外周部に設けられ、
前記弱化線は、
前記ヒンジの端部から、下部開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項4】
前記弱化線は、
前記ヒンジの両端から設けられるいずれか一方が、下部開口部までは設けられていないこと
を特徴とする請求項3に記載のバイアル用キャップ。
【請求項5】
前記縮径部は、
縮径部の開口部を形成する円周部の一部で、前記ヒンジの設けられた位置と異なる位置に、欠落部を有していること
を特徴とする請求項3又は4に記載のバイアル用キャップ。
【請求項6】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
その一部がヒンジとして、前記円筒体の弱化線の一端を起点とする所定幅でのみ円筒体と接合し、上面が水平面を形成する扁平なリング体であること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項7】
前記蓋は、
前記取外し用把持部を形成するリング体内に位置し、下面が蓋上面に接合し、上面が前記リング体の上面と同一平面を形成する小径の重積用のリング部材が設けられていること
を特徴とする請求項6に記載のバイアル用キャップ。
【請求項8】
前記取外し用把持部を形成するリング体は、
前記重積用のリング部材と、複数箇所において突起状物で結合していること
を特徴とする請求項6に記載のバイアル用キャップ。
【請求項9】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記蓋の上部に設けられた筒状体であって、この筒状体の下部を会して筒状体と蓋が結合し、この結合部が、筒状体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて分離可能な薄肉で形成され、
前記筒状体の弱化線が、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項10】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記取外し用把持部は、
前記円筒体の外側面上部に設けられた筒状体で、円筒体との結合部が円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジを除いて、分離可能な薄肉または部分的な突起状物で形成され、
円筒体と蓋の結合部に、円筒体の弱化線の一端を起点とする所定長さの円弧状の弱化線が設けられ、
円筒体の弱化線は、開口部に向かって垂直に設けられていること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【請求項11】
側壁の一部に軸方向に弱化線を形成した円筒体と、この円筒体の上部開口部を閉止する蓋とからなり、前記円筒体を前記弱化線に沿って破断する取外し用把持部を有し、合成樹脂製の一体成形品であるバイアル用キャップにおいて、
前記円筒体は、
内周部の下部近傍に、バイアル口部のフランジ部と係合する係合部を有し、
前記蓋は、
バイアル口部に密嵌されるゴム栓を押圧するゴム栓押圧部を有し、
前記円筒体と蓋は、
円筒体の弱化線の一端を起点とする所定の幅のヒンジ部を除いて、分離可能な薄肉または突起により結合部を形成し、
前記取外し用把持部は、
前記ヒンジと対称の位置に、蓋の円筒体との結合部から突出し、かつ、蓋周壁に沿って展延していること
を特徴とするバイアル用キャップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−8517(P2007−8517A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190957(P2005−190957)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
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