説明

バイオサーファクタントを有効成分とするアレルギー反応遅発相抑制剤

【課題】アレルギー反応遅発相を抑制する剤を提供する。また、この剤を添加剤として配合した化粧品、医薬部外品、医薬品、及び飲食品等を提供する。
【解決手段】マンノシルアルジトールリピッド(MAL)を含有するアレルギー反応遅発相抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオサーファクタントを有効成分とするアレルギー反応遅発相抑制剤に関する。また、本発明は、さらにこのアレルギー反応遅発相抑制剤を応用した技術、例えば、これを有効成分として含有する化粧品、医薬部外品、医薬品、飲食品等にも関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性の疾患の発症機構は多種多様であるが、その主な原因として、体内におけるヒスタミン遊離等がよく知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎のようなI型アレルギーは、マスト細胞とIgEの関与がその特徴である。マスト細胞表面受容体上のIgE受容体に結合したIgEに多価の抗原が結合し、その結果抗原とIgEを介して抗原がIgE受容体を架橋する形になり、細胞内顆粒中に貯蔵されているヒスタミンなどが開口放出によって分泌され(脱顆粒)、抗原結合後の数分から数十分の炎症の初期段階、いわゆるI型アレルギーの即発相が惹起される。ヒスタミンにより、鼻では末梢神経がヒスタミン受容体を介して活性化されて、くしゃみ、鼻水がでるほか、血管透過性亢進や鼻粘膜腫脹による鼻閉が、気道においては、平滑筋収縮、粘膜浮腫や分泌亢進がおこり、喘息様症状を引き起こす。皮膚においても末梢神経の刺激や血管透過性亢進によるかゆみや炎症を誘導する。
このような細胞内顆粒に貯えられていたヒスタミンのほかに、マスト細胞からは、やや遅れて、細胞膜成分のリン脂質からアラキドン酸を経て脂質性メディエーターであるロイコトリエンが合成される。また、情報が核に伝わり、新たに転写・翻訳を経てタンパク質の合成が行われ、TNFαやインターロイキンなどの炎症性サイトカインも産生・分泌され、これらは抗原結合後、数時間から十数時間後に現れるI型アレルギーの遅発相を惹起する。
【0004】
このように、I型アレルギーには、抗原暴露後の初期におこるヒスタミンの作用を中心とした即発相(アレルギー反応即発相)と、抗原暴露後数時間遅れて生じるロイコトリエンや炎症性サイトカインの作用を中心とする遅発相(アレルギー反応遅発相)があり、それぞれ関与するメディエーター・細胞などが異なる。
【0005】
上述のように、アレルギー反応即発相ではマスト細胞の脱顆粒により放出される物質のうちヒスタミンは末梢神経への作用や血管透過性亢進による急性炎症を惹起するが、炎症反応開始数時間後から十数時間後にみられるアレルギー反応遅発相では、ロイコトリエンや血小板活性化因子などの脂質性メディエーターやTNF-αやインターロイキンなどの炎症性サイトカインが顆粒球やリンパ球などの炎症性細胞を動員し、炎症反応を促進させる。
【0006】
このようにマスト細胞から遊離されたアレルギー反応遅発相に関与するケミカルメディエーターには、脂質性メディエーターと炎症性サイトカインがある。脂質性メディエーターであるロイコトリエンはヒスタミンと同様、気管支平滑筋収縮作用、血管透過性亢進作用、粘液分泌作用などを有するが、血小板活性化因子と同じように遊走因子として好酸球や好中球などの炎症細胞を反応局所に呼び寄せる。一方、炎症性サイトカインであるTNFαは炎症反応の亢進、及び血管内皮細胞の活性化を促進する。また、別の炎症性サイトカインであるインターロイキン類は各種白血球の分化・増殖を促進する。脂質性メディエーター及び炎症性サイトカインはこのようにしてアレルギー応答をさらに増悪させる。
前記ヒスタミンは、マスト細胞(肥満細胞)内の分泌顆粒内に存在し、マスト細胞が刺激を受け、細胞内Ca濃度上昇やプロテインキナーゼCなどの情報伝達系を介して脱顆粒反応が生じ、マスト細胞から放出され、起炎・アレルギー物質として作用する。また、活性化されたマスト細胞から放出されたヒスタミンは、血管透過性亢進、平滑筋収縮、粘液分泌亢進等をもたらし、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患を生じさせる。このため、ヒスタミンの遊離を抑制することにより上記疾患に対処する試みがなされており、ヒスタミン遊離抑制物質として、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト等の化合物が挙げられる(非特許文献2参照)。
しかし、前記ヒスタミン遊離抑制作用剤に使用する化合物には副作用があり、一般的な皮膚外用剤や飲食物に配合するには安全性の点で懸念される。そこで、安全性の高い天然物質を原料とした脂質性メディエーター又は炎症性サイトカインの遊離抑制剤としては、例えば、ランタナの抽出物(特許文献1参照)、コウサンフウの抽出物(特許文献2参照)、カナリウム属ウーランの抽出物(特許文献3参照)、等が提案されている。
【0007】
「バイオサーファクタント」とは生物によって生み出される界面活性能力や乳化能力を有する物質の総称であり、優れた界面活性や、高い生分解性を示すばかりでなく、様々な生理作用を有していることから合成界面活性剤とは異なる挙動・機能を発現する可能性がある。代表的な糖脂質系バイオサーファクタントの一つにマンノシルエリスリトールリピッド(以下「MEL」ということがある)がある。MELは、Ustilago nuda(ウスチラゴ ヌーダ)とShizonella melanogramma(シゾネラ メラノグラマ)から発見された物質である(非特許文献3及び4参照)。その後、イタコン酸生産の変異株であるCandida属酵母(特許文献4及び非特許文献5参照)、Candida antarctica(キャンデダ アンタークチカ)(現在はPseudozyma antarctica(シュードザイマ アンタークチカ))(非特許文献6及び7参照)、Kurtzmanomyces(クルツマノマイセス)属(非特許文献8参照)等の酵母らによっても生産されることが報告されている。現在では、長時間の連続培養・生産を行うことで100g/L以上の生産が可能となっている。
【0008】
MELには糖骨格のエリスリトールの光学異性体として、以下の一般式(1)に示されるような4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造と1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造(下記一般式(2))が存在する。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
この1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELの1種を合成し、これとの比較によって従来のMELの糖骨格が上記一般式(1)の構造であることが証明されている(非特許文献9)。ごく最近、従来の4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELに対して、その光学異性体である上記一般式(2)の1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELをシュードザイマ・ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)等の微生物を用いて生産することによって、量産できることが判明した(特許文献5)。
【0012】
従来の4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELについては、抗菌性、抗腫瘍性、糖タンパク結合能をはじめ、様々な生理活性を有することが報告されている(非特許文献10)。また、この従来のMELは極めて特異な自己集合特性を示し、分子構造の僅かな違いが自己集合体の形成に多大な影響を与えるばかりでなく、それを活用したベシクル形成について、希薄溶液(6.3×10−2wt%以下)においてのみ報告されている(非特許文献11)。さらに、従来のMELの両連続スポンジ構造を用いた液晶乳化技術(特許文献6)についても報告している。
【0013】
マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)は、抗アレルギー(特許文献7)、さらには養毛・育毛剤(特許文献8)としての有用性や、抗菌作用(特許文献9)や表面張力低下作用(特許文献10)が知られている。
【0014】
上記のMELからなる抗アレルギー剤(特許文献7)では、刺激後数十分以内におこる即発相を誘導するヒスタミンを分泌する脱顆粒の抑制作用が記載されている。しかしながら、アレルギー反応遅発相を惹起する脂質性メディエーターであるロイコトリエンやタンパク質性の炎症性サイトカインであるTNFα等の分泌をMELが抑制することについては知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−179583号公報
【特許文献2】特開2002−53477号公報
【特許文献3】特開2002−53478号公報
【特許文献4】特公昭57−145896号公報
【特許文献5】WO/2008/018448
【特許文献6】特開2007−181789号公報
【特許文献7】特開2005−68015号公報
【特許文献8】特開2003−261424号公報
【特許文献9】特開昭57−145896号公報
【特許文献10】特開昭61−205450号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】小安重夫著、免疫学最新イラストレイテッド(羊土社)、p179−180、 2009年
【非特許文献2】鈴木郁生、医薬品の開発4 合成医薬品II(廣川書店)、p608−609、 1989年
【非特許文献3】アール.エイチ.ハスキンス(R. H. Haskins),ジェイ.エー.トーン(J. A. Thorn),B. Boothroyd,「カナデアン ジャーナル オブ ケミストリー(Can. J. Microbiol.)」,1巻,p749−756(1955).
【非特許文献4】ジー.デム(G. Deml),ティ.アンケ(T. Anke),エフ.オーバーウインカー(F. Oberwinkler),ビー.エム.ジアネッティー(B. M. Giannetti),ダブリュ.ステグリッチ(W. Steglich),「フィトケミストリー(Phytochemistry)」,19巻,p83−87(1980).
【非特許文献5】ティ.ナカハラ(T. Nakahara),エイチ.カワサキ(H. Kawasaki),ティ.スギサワ(T. Sugisawa),ワイ.タカモリ(Y. Takamori),ティ.タブチ(T. Tabuchi),「ジャーナル オブ ファーメンテーション テクノロジー(J. Ferment.Technol.)」,(日本),日本発酵工学会,61巻,p19−23(1983).
【非特許文献6】ディ.キタモト(D. Kitamoto),エス.アキバ(S. Akiba),シー.ヒオキ(C. Hioki),ティ.タブチ(T. Tabuchi)「アグリカリチュラル アンド バイオロジカル ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)」,(日本),日本農芸化学会,54巻.p31−36(1990).
【非特許文献7】エイチ.エス.キム(H.-S. Kim),ビー.ディ.ユーン(B.-D. Yoon),ディ.エイチ.チョン(D.-H. Choung),エイチ.エム.オー(H.-M. Oh),ティ.カツラギ(T. Katsuragi),ワイ.タニ(Y. Tani)「アプライド マイクロバイオロジー アンド バイオテクノロジー(Appl. Microbiol. Biotechnol.)」,(ドイツ),スプリンガー−バーラグ(Springer-Verlag),52巻,p713−721(1999).
【非特許文献8】角川(K. kakukawa),玉井(M. Tamai),今村(K. Imamura),宮本(K. Miyamoto),三好(S. Miyoshi),森永(Y. Morinaga),鈴木(O. Suzuki),宮川(T. Miyakawa)「バイオサイエンス,バイオテクノロジー アンド バイオケミストリー(Biosci. Biotechnol. Biochem.)」,(日本),日本農芸化学会,66巻,p188−191(2002).
【非特許文献9】ディ.クリッチ(D. Crich),エム.エー.モーラ(M. A. Mora),アール.クルツ(R. Cruz)「テトラヘドロン(Tetrahedron)」,(オランダ),エルゼビア(Elsevier),58巻,p35−44(2002).
【非特許文献10】北本 大「オレオサイエンス」,(日本),日本油化学会,3巻,p663−672(2003).
【非特許文献11】ティ.イムラ(T. Imura),エヌ.オオタ(N. Ohta),ケー.イノウエ(K. Inoue),エヌ.ヤギ(N. Yagi),エイチ.ネギシ(H. Negishi),エイチ.ヤナギシタ(H. Yanagishita),ディ.キタモト(D. Kitamoto)「ケミストリー ア ヨーロピアン ジャーナル(Chem. Eur. J)」,(米国),ワイリー(Wiley),12巻,p2434−2440(2006).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記従来技術の課題を解決することを課題とする。より詳細には、本発明は、アレルギー反応遅発相を抑制する剤を提供することを目的とする。また、本発明は、この剤を添加剤として配合した化粧品、医薬部外品、医薬品、及び飲食品等を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意努力した結果、MELおよびトリアシルMELがアレルギー反応遅発相を抑制する作用を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
項1. マンノシルアルジトールリピッド(MAL)を含有するアレルギー反応遅発相抑制剤。
項2. 前記マンノシルアルジトールリピッド(MAL)が、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)、マンノシルマンニトールリピッド(MML)、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)のトリアシル体およびマンノシルマンニトールリピッド(MML)のトリアシル体からなる群より選択される少なくとも1種のMALである、項1記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
項3.前記マンノシルアルジトールリピッド(MAL)が、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)である、項1記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
項4.前記マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)が、下記構造式(3)で表される、項3記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
【化3】

(式中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜20の飽和又は不飽和の直鎖又は分枝を有するアルカノイル基を有し、式中、置換基R、Rは同一でも異なっていてもよい水素またはアセチル基である。)
項5.前記マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)が、下記構造式(8)で表される項3記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
【化8】

(一般式(8)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基である)
項6. 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、又はアトピー性皮膚炎に対して使用される組成物であって、項1〜5のいずれか記載のアレルギー反応遅発相抑制剤を含有することを特徴とする組成物。
項7. 気管支喘息、アレルギー性鼻炎の鼻閉、アトピー性皮膚炎、又は気道炎症に対して使用される組成物であって、項1〜5のいずれか記載のアレルギー反応遅発相抑制剤を含有することを特徴とする組成物。
項8.気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、又はアトピー性皮膚炎の治療方法であって、項1〜5のいずれか記載のアレルギー反応遅発相抑制剤を投与する工程を含む方法。
項9.気管支喘息、アレルギー性鼻炎の鼻閉、アトピー性皮膚炎、又は気道炎症の治療方法であって、項1〜5のいずれか記載のアレルギー反応遅発相抑制剤を投与する工程を含む方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤を投与することにより、アレルギー反応遅発相に起因する諸症状を緩和又は治療することができる。
【0020】
また、本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤は安全性に優れ、かつ安価に製造できる。本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤を利用することで、長期的な治療を安価に提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】マスト細胞を用いた刺激直後のMELのカルシウムイオン濃度上昇抑制作用を検討した結果を示すグラフである。上段はMEL-A、下段はMEL-Bの作用である。
【図2】マスト細胞を用いたMELのTNF-α遊離抑制作用を検討した結果を示すグラフである。
【図3】マスト細胞を用いたMELのロイコトリエンC4遊離抑制作用を検討した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.アレルギー反応遅発相抑制剤
(1)マンノシルアルジトールリピッド(MAL)
本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤は、マンノシルアルジトールリピッド(MAL)を含有するアレルギー反応遅発相抑制剤である。
【0023】
マンノシルアルジトールリピッド(MAL)としては、例えばマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)、マンノシルマンニトールリピッド(MML)、マンノシルソルビトールリピッド(MSL)、マンノシルアラビトールリピッド(MAraL)、マンノシルリビトールリピッド(MRL)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
MALとしては、MELが好ましい。
(MEL)
MELの構造を一般式(3)に示す。一般式(3)中、置換基Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数2〜24、好ましくは2〜20又は4〜24、より好ましくは炭素数4〜18、さらに好ましくは炭素数6〜14の脂肪族アシル基である。MELは、マンノースの4位及び6位のアセチル基の有無に基づいて、MEL−A、MEL−B、MEL−C及びMEL−Dの4種類に分類される。
【0025】
【化3】

【0026】
具体的には、MEL−Aは、一般式(3)中、置換基RおよびRがともにアセチル基である。MEL−Bは、一般式(3)中、置換基Rはアセチル基であり、置換基Rは水素である。MEL−Cは、一般式(3)中、置換基Rが水素であり、置換基Rはアセチル基である。MEL−Dは、一般式(3)中、置換基R及びRがともに水素である。
上記MEL−A〜MEL−Dにおける置換基Rの炭素数は、MEL生産培地に含有させる油脂類であるトリグリセリドを構成する脂肪酸の炭素数、および、使用するMEL生産菌の脂肪酸の資化の程度によって変化する。また、上記、トリグリセリドが不飽和脂肪酸残基を有する場合、MEL生産菌が上記不飽和脂肪酸の二重結合部分まで資化しなければ、置換基Rとして不飽和脂肪酸残基を含ませることも可能である。以上の説明から明らかなように、得られるMELは、通常、置換基Rの脂肪酸残基部分が異なる化合物の混合物の形態である。
【0027】
MELとしては、MEL−A又はMEL−Bが好ましく、MEL−Bがより好ましい。
(トリアシル体)
本発明に用いられるMALは、MELのトリアシル体及びMEL以外のMALのトリアシル体でもよい。MALのトリアシル体は、MALよりもさらに高い疎水性を有する。MALのトリアシル体は、例えば、MEL生産菌の培養液から取得することができる。また、MALのトリアシル体は、酵素を用いてMELを種々の植物油と反応させることによって製造することもできる。
【0028】
MELのトリアシル体、すなわちトリアシルマンノシルエリスリトールリピッド(トリアシルMELと称することがある)は、一般式(4)または一般式(5)中、置換基RおよびRがいずれも脂肪族アシル基であればトリアシルMELとなり、置換基Rは同一でも異なっていてもよい水素またはアセチル基である。トリアシルMELもMELと同様、マンノースの4位及び6位のアセチル基の有無に基づいて、トリアシルMEL−A、トリアシルMEL−B、トリアシルMEL−C及びトリアシルMEL−Dの4種類に分類される。
【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
トリアシルMELは、ジアシルMELとは異なった性質を示す。具体的には、高い疎水性を有することからエモリエント剤として従来のMELと比べても種々のオイル成分と馴染みやすい点で優れている。
(その他のMAL)
MEL以外のMAL(マンノシルアルジトールリピッド)の構造は一般式(6)に示す(式中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい水素またはアセチル基である)。エリスリトール以外の糖アルコール(アルジトール)としては、マンニトール、アラビトール、リビトール、ソルビトールが付加している(n=4:マンニトール、ソルビトール、n=2:アラビトール、リビトール)。一般式(6)に対応させれば、MALはマンノースの2位、3位に炭素数2〜20、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜14の飽和又は不飽和の直鎖又は分枝を有するアルカノイル基を有する(式中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい水素またはアセチル基である)
【0032】
【化6】

【0033】
(式中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜20、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜14の飽和又は不飽和の直鎖又は分枝を有するアルカノイル基を有し、式中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい水素またはアセチル基である。好ましくは、式中、置換基Rのどちらもアセチル基である化合物である。)
MEL−Bとしては、一般式(7)または一般式(8)にて示される構造を有するMEL−Bが好ましい。
【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

【0036】
(一般式(7)及び一般式(8)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基である)
なお、MALは、単独で使用してもよいが、2種以上のMALを併用することもできる。
(MALの製造方法)
MALの製造方法は特に制限されるものはないが、微生物を用いた発酵方法を任意に選択することができる。例えばMEL(MEL−A、MEL−B、MEL−C)は常法に従って、Pseudozyma antarctica(NBRC 1073) 、Pseudozyma sp.等を培養することにより生産することができる。MELを産生することのできる微生物(MAL生産微生物)であれば、いずれの微生物も使用することができる。培養により得られた、その他の成分とともにMELを含有する混合物(MEL混合物)を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、MEL−A、MEL−B及びMEL−Cを単離することが出来る。特に、MEL−Bを産生する菌としては、Pseudozyma antarctica 、及びPseudozyma tsukubaensis等が知られている。MEL−Cを生産する菌としては、Pseudozyma hubeiensis、Pseudozyma graminicola等が知られている。
【0037】
MAL生産微生物を用いて発酵するために使用する発酵培地としては、酵母エキス、ペプトン等のN源、グルコース、グリセロール、フルクトース等のC源、及び硝酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム7水塩等の無機塩類からなる一般的な組成の培地を用いることができるが、これらに限定されない。また、これに油脂類、並びに、流動パラフィン、テトラデカン等の炭化水素等の非水溶性基質の単独或いは2種以上をさらに添加したものも使用できる。さらに無機窒素源を添加したものも使用できる。
【0038】
pHや温度等の発酵条件や培養時間等は任意に設定でき、発酵後の培養液をそのまま本発明のために用いることもできる。また、発酵後の培養液に対して必要に応じて濾過、遠心分離、抽出、精製、滅菌等の任意の操作を適宜加えてから本発明のために用いてもよい。また、希釈、濃縮、乾燥した上で用いてもよい。
【0039】
上記発酵の際に用いる発酵培地に添加する油脂類としては植物油脂が好ましい。植物油脂は特に限定されず、目的に応じて適宜選定することができる。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油などが挙げられ、これらの中でも、大豆油、オリーブ油がMAL(特にMEL)の生産効率(生産量、生産速度、及び収率)を向上させることができる点で特に好ましい。これらは、1種を単独で、または2種以上を併用しても構わない。
【0040】
上記発酵の際に用いる発酵培地に添加する無機窒素源は、目的に応じて適宜選定することができる。例えば、硝酸アンモニウム、尿素、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫安等が挙げられるが、特に制限されない。
【0041】
上のようにして得られたMALの回収、精製方法は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、培養液を遠心分離して油分を回収し、抽出溶媒を用いて抽出濃縮することにより回収することができるが、これに限定されない。
【0042】
MALの回収の際に用いる抽出溶媒としては、水、アルコール類(例えば、メタノール、無水エタノール、エタノールなどの低級アルコール、またはプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコール)、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルなどのエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒を、単独であるいは2種類以上の混液を任意に組み合わせて使用することができ、また、各々の溶媒抽出物が組み合わされたものでも使用することができる。
【0043】
MALの回収の際の抽出方法は特に制限されるものはないが、通常、常温から常圧下での溶媒の沸点の範囲であればよく、抽出後は濾過またはイオン交換樹脂を用い、吸着・脱色・精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすればよい。多くの場合は、そのままの状態で利用できるが、必要であれば、本発明の効果を損なわない範囲でさらに脱臭、脱色などの精製処理を加えてもよい。精製処理の手段としては、一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えばよい。例えば活性炭カラムなどを用いてもよいが、これに限定されない。必要に応じて、シリカゲルカラムを用いて精製することにより、純度の高いMALを得ることもできる。
【0044】
2.アレルギー反応遅発相抑制剤
(1)アレルギー反応遅発相抑制作用
本発明において「アレルギー反応遅発相抑制剤」とは、アレルギー反応遅発相に対する抑制作用を有する添加剤を意味する。本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、又は飲食品の添加剤として用いることができるが、これらに限定されない。
本発明において「アレルギー反応遅発相」とは、マスト細胞とIgEが関与する1型アレルギーの症状のうち、ロイコトリエンが白血球を介して引き起こすアレルギー症状及び炎症性サイトカインが引き起こすアレルギー症状を意味する。アレルギー反応遅発相は、通常、アレルゲンとの接触後数時間から半日くらいたってはじめて現れる症状である。アレルギー反応遅発相は、アレルゲンとの接触後8〜12時間後に症状のピークが現れる場合が多い。なお、これに対して、1型アレルギーの症状のうち、アレルゲンによる刺激後1、2分から数十分でマスト細胞から分泌されるヒスタミンにより直ちに引き起こされる症状のことを「アレルギー反応即発相」という。
【0045】
後述の実施例において実証されている通り、本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤が有効成分として含有するMALは、マスト細胞からのロイコトリエン及び炎症性サイトカインの遊離を抑制する作用を有している。この作用により、本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤はアレルギー反応遅発相抑制作用を発揮すると考えられる。
(2)MAL含有量
本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤におけるMALの含有量は、特に限定されない。あくまでこれを添加してなる最終生成物が、生体に対して適用されたときに本発明の効果を奏するものであればよく、添加物であるアレルギー反応遅発相抑制剤におけるMAL濃度そのものが本発明の効果の面からみて直接的に問題になることはないからである。MALの含有量は、好ましくは0.001%から10%、より好ましくは0.01%から5%、さらに好ましくは0.1%から1%である。
(3)MAL以外の配合成分
本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤は、さらに界面活性剤を配合しても良い。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アミン塩、四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤(カルボン酸型両性界面活性剤、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤)、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤などが挙げられる。
【0046】
アニオン界面活性剤としては、例えば、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンナトリウム、脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸、アシル乳酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルメチルアラニン塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシル-ω-アミノ酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル流酸塩、アルキルエーテル流酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド流酸塩、脂肪酸、モノグリセリド流酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩などが挙げられる。
【0047】
カチオン界面活性剤としては、例えば、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩、アルキルエーテルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ポリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、グリシン型、アミノプロピオン酸型、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、スルホン酸型、硫酸型、リン酸型などが挙げられる。
【0048】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0049】
POE系の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
天然界面活性剤としては、例えば、水酸化レシチン(水酸化大豆リン脂質)などがある。
【0050】
特に、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンナトリウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、水酸化レシチン(水酸化大豆リン脂質)が好ましい。これらの1種または2種以上を使用しても良い。
【0051】
本発明で用いられる界面活性剤の配合量は、組成物中に0.0001〜50%が好ましく、0.005〜45%がより好ましく、0.01〜40%が更に好ましく、0.05〜30%が特に好ましい。界面活性剤は2種以上含有してもよく、その場合は合計した重量を含有量とする。
本発明のMALからなるアレルギー反応遅発相抑制剤は、さらに多価アルコールを配合しても良い。
【0052】
例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール;POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン、1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−へプタンジオール等などが挙げられる。
【0053】
特に、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール及びポリエチレングリコールが好ましい。これらの1種または2種以上を使用し、好ましくは、保湿性と防腐性及び水溶性をバランスよく備えた1,3−ブチレングリコールを用いると良い。
本発明で用いられる多価アルコールは、組成物の防腐性と安定性を得るために、1〜70重量%、好ましくは2.5〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%含有しても良い。
【0054】
3.アレルギー反応遅発相抑制剤を含有する組成物
(1)組成物の用途
本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤を含有する、本発明の組成物(アレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物)は、アレルギー反応遅発相抑制作用により予防効果又は治療効果が認められる症状(アレルギー反応遅発相関連症状)に対して使用されるものであれば好ましい。アレルギー反応遅発相関連症状は、特に限定されない。例えば、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、又はアトピー性皮膚炎等が挙げられる。
【0055】
アレルギー反応遅発相関連症状は、アレルギー反応即発相を抑制するよりもアレルギー反応遅発相を抑止したときのほうが優れた予防効果又は治療効果が認められる症状であれば好ましい。そのような症状としては、例えば、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の鼻閉、アトピー性皮膚炎、及び気道炎症等が挙げられる。
【0056】
アレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物は、上の他にも、化粧品又は飲食品であってもよい。
(2)組成物の形態
アレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物の形態は、特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品、及び飲料等を挙げることができる。
(i)化粧品
化粧品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物中におけるMAL含有量は、好ましくは0.001%から10%、より好ましくは0.01%から5%、さらに好ましくは0.1%から1%であるが、これらに限定されない。
【0057】
化粧品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物は、上記の他に本発明の効果を損なわない範囲で、一般的に使用されている化粧品原料を含有しても良い。例えば、使用目的に応じて美白剤、抗老化剤、保湿剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、及びそれら以外のさまざまな成分をさらに添加させておくことができる。これらの成分は、MALが形成するラメラ構造又は/及びベシクルの内部に包埋されてもよい。以下に、一例を示す。
【0058】
(美白剤)
美白剤が、メラニン生成抑制剤及び/またはチロシナーゼ活性阻害剤であってもよい。
例えば、美白剤として、L−アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、ルシノール、エデト酸及びその誘導体、並びに胎盤抽出物、t-AMCHA、アセロラエキス、エイジツエキス、エラグ酸またはその誘導体、火辣エキス、カミツレエキス,カミツレ花エキス・(尿素)、キウイエキス、グルタチオン、トコトリエノール、フェルラ酸、ラズベリーケトン、ルシノール、ウワウルシエキス、ジパルミチン酸ピリドキシン、イオウ、コウジ酸またはその誘導体、グルコサミンまたはその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸またはその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物またはその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキス等が例示される。
これらの美白剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
(抗老化剤)
抗老化剤が、抗酸化剤であってもよい。
例えば、抗酸化剤としては、αカロチン、βカロチン、γカロチン、リコピン、クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、イソゼアキサンチン、ロドキサンチン、カプサンチン、クロセチン等のカロチノイド;1,4−ジアザシクロオクタン、2,5−ジメチルフラン、2−メチルフラン、2,5−ジフェニルフラン、1,3−ジフェニルイソベンゾフラン、αトコフェロール、βトコフェロール、γトコフェロール、dトコフェロール、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニン、アラニン又はそのアルキルエステル;ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、タンニン酸、エピカテキン、エピカロカテキン、エピカテキンガレート、エピカロカテキンガレート等のタンニン類、ルチン等のフラボノイド、その他没食子酸プロピル、アスタキサンチン、カロチン、トコフエロール、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エリソルビン酸、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、ジビチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、メチルシラノールジオレイルトコフェロール・無水ケイ酸混合物、ニコチン酸ベンジル、感光素401号、アスパラギン酸、アデノシン三リン酸2Na 、アミノ酪酸、ウイキョウエキス、オランダカラシエキス、カフェイン、クロレラエキス、サフランエキス、ショウキョウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、葉酸、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシトール、ウコンエキス、オリザノール、カロチン、カロットエキス、コムギ胚牙エキス、センキュウエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキ根エキス、ドダミエキス、トコフエロール、ニコチン酸トコフエロール、ボタンエキス、エルゴカルシフェロール、ジカプリル酸ピリドキシン、バチルアルコール、ステアリン酸グリチルレチニル、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミン、塩化リゾチーム、アミノカプロン酸、レイシエキス、ヨクイニン、メリロートエキス、ボタンエキス、トウキエキス、トウキ根エキス、センキュウエキス、ゲンノショコエキス、アラントイン、アルニカエキス、アルニカ花エキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オドリコソウエキス、ガマ穂エキス、カミツレエキス、カラミン、カワラヨモギエキス、甘草エキス、グアイアズレン、クチナシエキス、クマザサエキス、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、コンフリーエキス、コンフリー葉エキス、酢酸トコフエロール、サリチル酸メチル、酸化亜鉛、シコンエキス,ムラサキ根エキス、シソエキス、シソ葉エキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、スイカズラエキス、セージエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、トウキンセンカエキス、ピリドキシンHCl、ビワ葉エキス、フユボダイジュエキス、モモ葉・果実エキス、ヤグルマギクエキス、ユキノシタエキス、ヨモギエキス、レタスエキス、ローマカミツレエキス、ワレモコウエキス及びカカロール、ポリアミン等が例示される。
これらの抗老化剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
(保湿剤)
保湿剤としては、親水性保湿剤及び/または親油性保湿剤であればよく、親水性保湿剤として、アミノ酸,ペプチド,蛋白質,高級アルコール及びこれらの誘導体,親油性保湿剤として、リン脂質 ,糖 脂質 ,ステロイド類を用いてもよい。
【0061】
保湿剤として、ピリドンカルボン酸ナトリウム、グリコール、グリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン分解糖還元アルコール、ソルビトール、多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、その他セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸またはそのエステル類、エイコサペンタエン酸またはそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物またはその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ−オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ、ピロリドンカルボン酸、トマトエキス、ツバキ油、大豆リン脂質、ヒアルロン酸、トレオニン、グリコール酸アンモニウム、アルギン酸メチルシラノール、ヨクイニン、トウキエキス、トウキ根エキス、ダイズエキス、アスパラガスエキス、DNA−Na、PCA−Na、RNA-Na、アシタバエキス、アスパラギン酸、アマチヤエキス、アラニン、アルギニン、アルギン酸Na、アルテアエキス、アロエベラエキスー、オイスタエキス、オオムギバクガエキス、カキ葉、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解コンキオリン、加水分解卵殻膜、加水分解卵白、加水分解シルク、加水分解ダイズタンパク、褐藻エキス、カリンエキス、キイチゴエキス、キシリトール、キトサン、キュウリエキス、キュウリ果実エキス、グアバ菓エキス、クインスシードエキス、グリシン、グリセリン、グルコース、グレープフルーツエキス、グレープフルーツ果実エキス、クレマティスエキス、ゴボウエキス、コメ発酵液、コンドロイチン硫酸Na、魚コラ一ゲノ、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、グリセリン、シスチン、システイン、スギナエキス、ゼニアオイエキス、セリン、ソルビトール、ダイズタンパク、トマトエキス、乳酸Na、乳酸桿菌、ダイズ醗酵エキス、尿素仰/ノバラエキス・アーモンド浬、コーン油、ハチミツ、ヒアルロン酸Na、フクノエキス、ベタイン、ヘチマエキス、マルチトール、マルトース、マンニトール、ユリエキス、ラクトフェリン、リシン、リンゴエキス、レンゲソウエキス、ローヤルゼリー、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール1000、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソブチル、ヘキシルデカノール、乳酸ミリスチル、ラノリン脂肪酸、トリカプリルグリセリル、オレイルアルコール、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、還元ラノリン、オクチルドデカノール、アーモンド油、アボカド油、オリーブ油、オレイン酸、オレンジラフイー油、カカオ脂、カロットエキス、ゴマ油、サザンカ油、サフラワー油、ジヒドロコレステロール、スクワラン、ステアリン酸コレステリル、セラミド2、月見草油、ヒマシ油、ヒマワリ油、セフニド3、ヒマワリ種子油ハイブリッドヒマワリ油、フィトスフィンゴシン、ブドウ種子油、ホホバ油、ホホバ種子油、ミネラルオイル、ミンク油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ユーリ油、ユーカリ葉油、ラノリン、リノール酸、ローズヒップ油、ワセリン及びポリグルタミン酸等が例示される。
これらの保湿剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤 としては、安息香酸系紫外線吸収剤 、アントラニル酸系紫外線吸収剤 、サリチル酸系紫外線吸収剤 、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤 、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などを使用しても良い。
例えば紫外線吸収剤 として、紫外線吸収剤が安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルフォン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−tert−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン、2、4、6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1、3、5−トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸エチル、トプチルメトキシジペンゾイルメタン、オキシベンゾン-1、グアイアズレンスルホン酸エチル、酸化亜鉛、シノキサート、アントラニル酸系紫外線吸収剤 としては、例えば、ホモメンチル−N− アセチルアントラニレートなどが例示される。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
(抗菌剤)
抗菌剤が、有機系抗菌剤及び/または無機系抗菌剤であってもよい。
例えば抗菌剤として、オウバク抽出液、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸及びそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体などが例示される。
これらの抗菌剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のバイオサーファクタントからなるアレルギー反応遅発相抑制剤は、水、低級アルコール、油類あるいは高級脂肪酸などに溶解して用いてもよい。
【0064】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0065】
油類としては、例えば、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアンナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、キリ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、馬油、パーム油、パーム核油、牛脂、羊脂、豚脂、ラノリン、鯨ロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、スクワラン等の動植物油及びその硬化油。流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油、トリパルミチン酸グリセリン等の合成トリグリセリンがある。
【0066】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、ウンデシン酸、トール酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などがある。高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、ホホバアルコール、ラノリンアルコール、バチルアルコール、2−デシルテトラテセシノール、コレステロール、フィトステロール、イソステアリルアルコール等がある。合成エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレンイ酸デシル、ジメチルオクタン酸、乳酸セチル、乳酸ミリスチル等がある。シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルシクロポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、シリコーン樹脂等の三次元網目構造のもの等がある。
【0067】
化粧品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物は、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬部外品、医療用品、衛生用品、医薬品に使用される成分や添加剤を併用して配合することができる。そのような成分としては、例えば、ロウ類、鉱物油、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、金属セッケン、ガム質及び水溶性高分子化合物、ビタミン類、アミノ酸、動物あるいは植物、生薬の抽出物やエキス、微生物培養代謝物、α−ヒドロキシ酸、無機顔料、収斂剤、殺菌・消毒薬、頭髪用剤、香料、色素・着色剤、甘味料、及び栄養強化剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
例えば、ロウ類としては、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウなどが挙げられる。
【0069】
例えば、鉱物油としては、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス、ポリエチレン末、スクワレン、スクワラン、プリスタンなどが挙げられる。
【0070】
例えば、脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、
ラノリン脂肪酸などの天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソペンタン酸などの合成脂肪酸が挙げられる。
【0071】
例えば、アルコール類としては、エタノール、イソピロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの天然アルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの合成アルコール、酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、バチルアルコール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖などの多価アルコール類などが挙げられる。
【0072】
例えば、エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0073】
例えば、金属セッケンとしては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛などが挙げられる。
【0074】
例えば、ガム質及び水溶性高分子化合物としては、アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシアルキルキチン、キトサン、ヒドロキシアルキルキチン、低分子キトサン、キトサン塩、硫酸化キチン、リン酸化キチン、アルギン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドまたはその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0075】
例えば、ビタミン類としては、ビタミンA群ではレチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群では、チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群では、アスコルビン酸及びその誘導体、ビタミンD群では、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群では、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群では、フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)などが挙げられる。
【0076】
例えば、アミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどや、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、あるいはピロリドンカルボン酸の如きアミノ酸誘導体などが挙げられる。
【0077】
例えば、動物あるいは植物、生薬の抽出物やエキスとしては、アセンヤク(阿仙薬)、アシタバ、アセロラ、アルテア、アルニカ、アボカド、アマチャ(甘茶)、アロエ、アロエベラ、イラクサ、イチョウ(銀杏葉、銀杏)、ウイキョウ(茴香)、ウコン(鬱金)、ウスバサイシン(細辛)、ウメ(烏梅)、ウラジロガシ、ウワウルシ、ノイバラ(営実)、ヒキオコシ(延命草)、オウギ(黄耆)、コガネバナ(オウゴン)、ヤマザクラ(桜皮)、キハダ(黄柏)、オウレン(黄連)、オタネニンジン(人参)、オトギリソウ(弟切草)、オドリコソウ、オランダガラシ、オレンジ、イトヒメハギ(遠志)、ウツボグサ(夏枯草)、ツルドクダミ(何首烏)、エンジュ(槐花)、ヨモギ(ガイ葉)、ガジュツ(莪朮)、クズ(葛根)、カノコソウ(吉草根)、カミツレ、キカラスウリ(瓜呂根)、カワラヨモギ(茵チン蒿)、カンゾウ(甘草)、フキタンポポ(款冬花、款冬葉)、キイチゴ、キウイ果実、キキョウ(桔梗)、キク(菊花)、キササゲ(梓実)、ミカン属植物果実(枳実)、タチバナ(橘皮)、キュウリ、ウドまたはシシウド(羌活、独活)、アンズ(杏仁)、クコ(地骨皮、枸杞子、枸杞葉)、クララ(苦参)、クスノキ、クマザサ、グレープフルーツ果実、ニッケイ(桂皮)、ケイガイ(ケイガイ)、エビスグサ(決明子)、マルバアサガオまたはアサガオ(ケン牛子)、ベニバナ(紅花)、ゴバイシ(五倍子)、コンフリー、コパイバ、クチナシ(山梔子)、ゲンチアナ、ホオノキ(厚朴)、ヒナタイノコズチ(牛膝)、ゴシュユ(呉茱萸)、ゴボウ、チョウセンゴミシ(五味子)、米、米ぬか、コムギ、ミシマサイコ(柴胡)、サフラン、サボンソウ、サンザシ(山ザ子)、サンショウ(山椒)、サルビア、サンシチニンジン(三七人参)、シイタケ(椎茸)、ジオウ(地黄)、シクンシ(使君子)、ムラサキ(紫根)、シソ(紫蘇葉、紫蘇子)、カキ(柿蒂)、シャクヤク(芍薬)、オオバコ(車前子、車前草)、ショウガ(生姜)、ショウブ(菖蒲)、トウネズミモチ(女貞子)、シモツケソウ、シラカバ、スイカズラ(金銀花、忍冬)、セイヨウキヅタ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウニワトコ、アズキ(赤小豆)、ニワトコ(接骨木)、ゼニアオイ、センキュウ(川キュウ)、センブリ(当薬)、クワ(桑白皮、桑葉)、ナツメ(大棗)、ダイズ、タラノキ、チクセツニンジン(竹節人参)、ハナスゲ(知母)、ワレモコウ(地楡)、ドクダミ(十薬)、フユムシナツクサタケ(冬虫夏草)、トウガラシ、ホオズキ(登呂根)、タチジャコウソウ、リョクチャ(緑茶)、コウチャ(紅茶)、チョウジ(丁子)、ウンシュウミカン(陳皮)、ツバキ、ツボクサ、トウガラシ(番椒)、トウキ(当帰)、トウキンセンカ、ダイダイ(橙皮)、ワレモコウ(地楡)、トウモロコシ(南蛮毛)、トチュウ(杜仲、杜仲葉)、トマト、ナンテン(南天実)、ニンニク(大サン)、オオムギ(麦芽)、ハクセン(白蘚皮)、ジャノヒゲ(麦門冬)、パセリ、バタタ、ハッカ(薄荷)、ハマメリス、バラ、ビワ葉(枇杷葉)、マツホド(茯リョウ)、ブドウまたはその葉、ヘチマ、ボダイジュ、ボタン(牡丹皮)、ホップ、マイカイ(マイ瑰花)、松葉、マロニエ、マンネンロウ、ムクロジ、メリッサ、メリロート、ボケ(木瓜)、モヤシ、モモ(桃仁、桃葉)、ヒオウギ(射干)、ビンロウジュ(檳ロウ子)、メハジキ(益母草)、ヤグルマギク、ユキノシタ(虎耳草)、ヤマモモ(楊梅皮)、ヤシャブシ(矢車)、ハトムギ(ヨクイニン)、モウコヨモギ、ヤマヨモギ、ラベンダー、リンゴ果実、マンネンタケ(霊芝)、レモン果実、レンギョウ(連翹)、レンゲソウ、ゲンノショウコ(老鸛草)、ハシリドコロ(ロート根)、鶏トサカ、牛・人の胎盤抽出物、豚・牛の胃、十二指腸、或いは腸の抽出物若しくはその分解物、水溶性コラーゲン、水溶性コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物、エラスチン、エラスチン加水分解物、水溶性エラスチン誘導体、シルク蛋白、シルク蛋白分解物、牛血球蛋白分解物などが挙げられる。
【0078】
例えば、微生物培養代謝物としては、酵母エキス、亜鉛含有酵母エキス、ゲルマニウム含有酵母エキス、セレン含有酵母エキス、マグネシウム含有酵母エキス、米醗酵エキス、ユーグレナ抽出物、脱脂粉乳の乳酸発酵物などが挙げられる。
【0079】
例えば、α−ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。
【0080】
例えば、無機顔料としては、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミンなどが挙げられる。
【0081】
例えば、収斂剤としては、乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、アラントイン、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、p−フェノールスルホン酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、レソルシン、塩化第二鉄、タンニン酸などが挙げられる。
【0082】
例えば、殺菌・消毒薬としては、アクリノール、イオウ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルロザニリン、クレゾール、グルコン酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、スルファミン、マーキュロクロム、ラクトフェリンまたはその加水分解物などが挙げられる。
【0083】
例えば、頭髪用剤としては、二硫化セレン、臭化アルキルイソキノリニウム液、ジンクピリチオン、ビフェナミン、チアントール、カスタリチンキ、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、塩酸キニーネ、強アンモニア水、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、チオグリコール酸などが挙げられる。
【0084】
例えば、香料としては、ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどの天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンデル精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、バチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、檜精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー精油、和種ハッカ精油などの植物性香料、その他合成香料などが挙げられる。
【0085】
例えば、色素・着色剤としては、赤キャベツ色素、赤米色素、アカネ色素、アナトー色素、イカスミ色素、ウコン色素、エンジュ色素、オキアミ色素、柿色素、カラメル、金、銀、クチナシ色素、コーン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、スピルリナ色素、ソバ全草色素、チェリー色素、海苔色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、マリーゴールド色素、紫イモ色素、紫ヤマイモ色素、ラック色素、ルチンなどが挙げられる。
【0086】
例えば、甘味料としては、砂糖、甘茶、果糖、アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、麦芽糖、蜂蜜、ブドウ糖、ミラクリン、モネリンなどが挙げられる。
【0087】
例えば、栄養強化剤としては、貝殻焼成カルシウム、シアノコラバミン、酵母、小麦胚芽、大豆胚芽、卵黄粉末、ヘミセルロース、ヘム鉄などが挙げられる。
【0088】
その他、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質及びその分解物、動・植物性多糖類及びその分解物、動・植物性糖蛋白質及びその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、角質溶解剤、創傷治療剤、増泡剤、増粘剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、苦味料、調味料、酵素などが挙げられる。
【0089】
化粧品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物の具体的な形態は、例えば内用・外用薬用製剤、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パックなどの基礎化粧料、洗顔料や皮膚洗浄料、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアクリーム、ポマード、ヘアスプレー、整髪料、パーマ剤、ヘアートニック、染毛料、育毛・養毛料などの頭髪化粧料、ファンデーション、白粉、おしろい、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、眉墨、まつ毛などのメークアップ化粧料、美爪料などの仕上げ用化粧料、香水類、浴用剤、その他、歯磨き類、口中清涼剤・含嗽剤、液臭・防臭防止剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュなどが挙げられる。より具体的には、化粧石鹸、シャンプー、洗顔料、リンス、アイクリーム、アイシャドウ、クリーム・乳液、化粧水、香水、おしろい、化粧油、頭髪用化粧品、染毛料、練香水、パウダー、パック、クレンジングクリーム、ひげそり用クリーム、びげそり用ローション、日焼けオイル、日焼け止めオイル、日焼けローション、日焼け止めローション、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、ファンデーション、粉末香水、ほお紅、マスカラ、眉墨、爪クリーム、美爪エナメル、美爪エナメル除去液、洗毛料、浴用化粧品、口紅、リップクリーム、アイライナー、歯磨き、デオドラント剤、オーデコロン、養毛剤及び育毛剤などを挙げることができる。また、本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤は、軟膏剤や湿布剤などに配合して使用することもできる。
本発明のアレルギー反応遅発相抑制剤は、前記のような効果を期待して用いるものであるから、化粧品組成物や化粧品として利用されることは勿論であるが、そのほかにも、医薬部外品組成物 、医療用品組成物、衛生用品組成物、医薬品組成物、機能性食品組成物や、医薬部外品、医療用品、衛生用品、医薬品、食品、及び飲料などの形態で利用することができる。
【0090】
(ii)医薬部外品・医薬品
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物の投与形態は、適用対象患部等に応じて適宜設定される。全身的投与であってもよいし、局所的投与であってもよい。全身的投与としては、経口投与又は非経口投与が挙げられる。さらに非経口投与としては、静脈内注射、皮下注射、及び筋肉内注射等が挙げられる。局所的投与としては、皮膚、粘膜、鼻内、眼内等に対する投与を挙げることができる。
【0091】
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物の剤型は、投与形態等に応じて適宜設定される。例えば、錠剤、顆粒、散剤、坐剤、及びカプセル剤等の固形状;クリーム剤、ゲル剤、及び軟膏剤等の半固形状;並びに液剤、及びローション剤等の液状等が挙げられる。
【0092】
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物の投与量及び投与頻度は、投与形態及び剤型の他、被投与者の状態、アレルギー反応遅発相抑制剤の活性の程度等に応じて適宜設定される。一回あたりの投与量は治療有効量であればよい。例えば、1日当たりの投与量の平均としては、MAL換算で体重あたり0.002〜20mg/kgであれば好ましく、0.02〜5mg/kgであればより好ましく、0.2〜1mg/kgであればさらに好ましい。
なお、MAL換算とは、当該量のMALを含むアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物を意味する。
【0093】
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物は、例えば、1日当たり1回の頻度で若しくは2又は3回程度に分割して投与してもよく、また、2日〜1週間分の投与量を一度にまとめて投与してもよい。
【0094】
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物におけるMALの含有割合は、投与形態、剤型、投与量、及び投与頻度等に応じて決められる。
【0095】
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物中におけるMAL含有量は、好ましくは0.001%から10%、より好ましくは0.01%から5%、さらに好ましくは0.1%から1%であるが、これらに限定されない。
【0096】
医薬部外品又は医薬品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物は、アレルギー反応遅発相抑制剤に加えて必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては例えば、剤型に応じて製剤化のために必要となる製剤成分、保存安定のために必要となる保存安定成分、及びその他の薬効成分等が挙げられる。その他の薬効成分としては、例えば、抗炎症剤及び抗菌剤等が挙げられる。
【0097】
(iii)飲食品
飲食品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物の形態としては、例えば、液体状、ゲル状、固体状、粉末状、又は顆粒状を挙げることができる。
【0098】
飲食品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、当該分野において通常用いられる添加物をさらに配合することができる。
【0099】
添加物としては、飲食品に一般的に使用される、賦形剤、滑沢剤、結合剤、防腐剤、粘稠剤、pH調整剤、甘味料、酸味料、着色料、香料等が挙げられる。
【0100】
食品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物は、当業者に周知の方法により、液状、粉状、顆粒状、ペースト状、粒状、タブレット状いずれの形態にも調製することができる。
【0101】
飲食品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物におけるMALの含有割合は、形態等に応じて決められる。
【0102】
飲食品であるアレルギー反応遅発相抑制剤含有組成物中におけるMAL含有量は、好ましくは0.001%から10%、より好ましくは0.01%から5%、さらに好ましくは0.1%から1%であるが、これらに限定されない。
【0103】
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様及び以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神及び添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
【実施例】
【0104】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
【0105】
実施例1 MEL−Aの製造
種菌培養はPseudozyma antarctica NBRC 10736のコロニーを種培地(20ml/500ml坂口フラスコ)に1 loop植菌して実施した。30℃にて一晩培養した。得られた培養液を種菌とした。種培地組成は4% Glucose、0.3% NaNO3、0.02% MgSO4・7H2O、0.02% KH2PO4、0.1% yeast extractであった。培養は上記種菌75mlを生産培地1.5L(5L-jar)に植菌し、30℃、300rpm(攪拌回転)、0.5L/min(Air)の条件で5L-jarを用いて培養した。生産培地組成は、3% ダイズ油、0.02% MgSO4・7H2O、0.02% KH2PO4、0.1% yeast extractであった。培養液250mlを遠心(6500rpm、30min)し、上清を取り除き、沈殿(菌体)を回収した。沈殿に、50mlの酢酸エチルを加え、十分攪拌後、遠心(8500rpm、30min)し、沈殿と上清に分け、上清をエバポーレーターで濃縮した。シリカゲルを用いて、クロロホルム:アセトン=1:0、クロロホルム:アセトン=9:1、クロロホルム:アセトン1:1、クロロホルム:アセトン=3:7、クロロホルム:アセトン=0:1で溶出しMEL−A画分を得た。
【0106】
実施例2 MEL−Bの製造
0.2mlのPseudozyma tsukubaensisフローズンストックを20mlのYM培地/500ml容坂口フラスコに植菌し、26℃、180rpm、1晩培養させ、種種菌とした。0.2mlの種種菌を再度、20mlのYM種培地/500ml容坂口フラスコに植菌し、26℃、180rpm、1晩培養させ、種菌とした。20mlの種菌を2LのYM培地/5L Jarに植菌し、26℃ 300rpm(1/4VVM、0.5L air /min)で8日間培養した。培養液を7,900rpm 60min 4℃で遠心し、菌体(MEL-Bを含む)と上清に分離した。菌体画分にそれぞれ80mlの酢酸エチルを加え、菌体が十分懸濁するように上下に攪拌した後、7,900rpm 30min 4℃で遠心した。得られた上清に等量の飽和食塩水を加え攪拌し酢酸エチル層を得た。酢酸エチル層に無水硫酸Naを適量加え、30分間精置させた後、エバポレートしMEL-B粗精製品を得た。得られたMEL-B粗精製品をシリカゲルカラムを用いて、ヘキサン:アセトン=5:1、ヘキサン:アセトン=1:1で溶出しMEL−B画分精製品を得た。
【0107】
実施例3 MELのマスト細胞内のカルシウムイオン濃度上昇抑制作用の測定方法
細胞:RBL-2H3細胞(ラット好塩基球由来 株化マスト細胞)
条件:抗DNPIgE抗体を終濃度400ng/mLでRBL-2H3細胞に加え、30 min感作、同時にMEL処理を行った。感作後、洗浄し、Ca測定開始後50秒後に抗DNP抗原(終濃度200ng/mL)で刺激を行った。
細胞内Ca濃度の測定:Ca感受性蛍光色素であるfura-2を用いて、蛍光分光光度計により励起波長340nmと360nmの蛍光強度比より算出した。
結果:(図1)MEL-Aは抗原刺激による細胞内Ca濃度上昇に影響を及ぼさないが、MEL-Bは細胞内Ca濃度上昇を50%程度まで抑制した。
【0108】
実施例4 MELによるのマスト細胞からのTNF−α遊離抑制作用の測定方法
細胞:RBL-2H3細胞(ラット好塩基球由来 株化マスト細胞)
条件:RBL-2H3細胞をMELで8時間処理した後、抗DNPIgE抗体を終濃度400ng/mLでRBL-2H3細胞に加え、15 min感作させた。感作後、洗浄し、抗DNP抗原(終濃度200ng/mL)で刺激を行った。
TNF−αの測定:TNF−αの定量は、刺激によって培養上清に分泌されたTNF−αをELISA法によって定量した。刺激後4時間までに分泌されたTNF−αを定量した。
結果:(図2)MEL-A、Bともに、抗原刺激によるTNF-αの分泌を抑制した。
【0109】
実施例5 MELによるのマスト細胞からのLT-C4遊離抑制作用の測定方法
細胞:RBL-2H3細胞(ラット好塩基球由来 株化マスト細胞)
条件:RBL-2H3細胞をMELで8時間処理した後、抗DNPIgE抗体を終濃度400ng/mLでRBL-2H3細胞に加え、15 min感作させた。感作後、洗浄し、抗DNP抗原(終濃度200ng/mL)で刺激を行った。
LT-C4の測定:LT-C4の定量は、刺激によって培養上清に分泌されたLT-C4をELISA法によって定量した。刺激後20分までに分泌されたLT-C4を定量した。
結果:(図3)MEL-A及びMEL-Bはともに、抗原刺激によるLT-C4の分泌を抑制した。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明により、バイオサーファクタント由来の安全性に優れた抗アレルギー作用が期待でき、抗アレルギー成分を有効成分とした化粧品・医薬部外品(皮膚外用剤、浴用剤、育毛剤等)、飲食品、医薬品を提供することできることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンノシルアルジトールリピッド(MAL)を含有するアレルギー反応遅発相抑制剤。
【請求項2】
前記マンノシルアルジトールリピッド(MAL)が、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)、マンノシルマンニトールリピッド(MML)、MELのトリアシル体およびMMLのトリアシル体からなる群より選択される少なくとも1種のMALである、請求項1記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
【請求項3】
前記マンノシルアルジトールリピッド(MAL)が、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)である、請求項1記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
【請求項4】
前記マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)が、下記構造式(3)で表される、請求項3記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
【化3】

(式中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜20の飽和又は不飽和の直鎖又は分枝を有するアルカノイル基を有し、式中、置換基R、Rは同一でも異なっていてもよい水素またはアセチル基である。)
【請求項5】
前記マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)が、下記構造式(8)で表される請求項3記載のアレルギー反応遅発相抑制剤。
【化8】

(一般式(8)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基である)
【請求項6】
気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、又はアトピー性皮膚炎に対して使用される組成物であって、請求項1〜5のいずれか記載のアレルギー反応遅発相抑制剤を含有することを特徴とする組成物。
【請求項7】
気管支喘息、アレルギー性鼻炎の鼻閉、アトピー性皮膚炎、又は気道炎症に対して使用される組成物であって、請求項1〜5のいずれか記載のアレルギー反応遅発相抑制剤を含有することを特徴とする組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−105607(P2011−105607A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259249(P2009−259249)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(506218664)公立大学法人名古屋市立大学 (48)
【Fターム(参考)】