説明

バイオセンサー

本発明は、生体データ(biomedical data)を測定するバイオセンサーを開示している。このバイオセンサーは、その内部に生体試料が注入され、生体試料と反応して、生体試料の生体データを測定するための測定レイヤを含む。また、測定レイヤの下面下に位置し、生体試料の反応データを測定するための測定領域として露出された下部開放ウィンドウを備え、下部開放ウィンドウの周辺領域から上向き突出した下部突出部を備えた下部カバーを含む。また、測定レイヤの上面上に位置し、生体試料が注入されるように露出された上部開放ウィンドウを備え、上部開放ウィンドウから下部突出部に対応する領域を越えて離れた位置から下向き突出した上部突出部を備えた上部カバーを含む。ここで、測定レイヤを挟んで、上部カバーと下部カバーとを互いに圧着することによって、測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、上部突出部によって毛細管空間が形成される。これにより、バイオセンサーによる測定に必要な生体試料の量を最小化し、かつ赤血球容積による測定偏差を最小化させることができる効果が導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料、特に、血液の生体データを測定するためのバイオセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
血液のような生体試料内に存在する分析物質を定量分析または定性分析することは、化学的にも臨床学的にも重要である。多様な成人病の要因となるコレステロールを測定するか、糖尿病患者のために血液内の血糖を測定することなどが、その代表的な例である。コレステロール、血糖のような生体データを測定するための技術として、測定ストリップに、例えば、血液のような生体試料を落とし、反応領域での酵素反応の結果として表われる色変化あるいは電気化学的変化を検出することなどが広く知られている。
【0003】
このために、生体試料に含まれた分析物質を測定するための測定ストリップ、すなわち、バイオセンサーに関する技術が提案されている。例えば、血液内の血糖を測定しようとする場合、バイオセンサーは、採取された血液から電気化学的な方法で血糖量を測定することができる。しかし、血液を含んだ生体試料の採取は、採取される人に苦痛を与える行為であるので、その苦痛を減らすために、測定に必要な生体試料の量を最小化することが要求される。
【0004】
ところで、この際、一般的な光学センサーで血液量の不足は、分析結果値に大きな影響を及ぼすために、測定ストリップの測定レイヤに一定量以上の血液をローディングさせることが重要である。血球容積は、人によって20〜60%以上まで差があり、これにより、同じ量の血液を注入したとしても、最終反応レイヤに到逹する血球分離された血清量には差が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景から導出されたものであって、測定に必要な生体試料の量を最小化すると同時に、最終反応レイヤに到逹する血清量の偏差を最小化することができるバイオセンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題は、以下のような特徴を有する生体データを測定するためのバイオセンサーによって解決されうる。このバイオセンサーは、その内部に生体試料が注入され、前記生体試料と反応して、前記生体試料の生体データを測定するための測定レイヤを含む。また、前記測定レイヤの下面下に位置し、前記生体試料の反応データを測定するための測定領域として露出された下部開放ウィンドウ(opening window)を備え、前記下部開放ウィンドウの周辺領域から上向き突出した下部突出部を備えた下部カバーを含む。また、前記測定レイヤの上面上に位置し、前記生体試料が注入されるように露出された上部開放ウィンドウを備え、前記上部開放ウィンドウから前記下部突出部に対応する領域を越えて離れた位置から下向き突出した上部突出部を備えた上部カバーを含む。ここで、前記測定レイヤを挟んで、前記上部カバーと前記下部カバーとを互いに圧着することによって、前記測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、前記上部突出部によって毛細管空間(capillary gap)が形成される。このような特徴によって、前記課題が解決される原理は、以下で詳細に説明される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測定に必要な生体試料の量を最小化することができるバイオセンサーが提供される。
【0008】
また、反応領域に到達する血清量の偏差を最小化して、赤血球容積による測定偏差を最小化することによって、反応結果をより正確に表わすことができるバイオセンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例によるバイオセンサーの構成図である。
【図2】本発明の一実施例によるバイオセンサーの測定レイヤを具体的に示す例示図である。
【図3】本発明の一実施例によるバイオセンサーの測定レイヤを具体的に示す例示図である。
【図4】本発明の一実施例による結合状態のバイオセンサーの構成図である。
【図5】バイオセンサーで注入された生体試料サンプルの流れを示す例示図である。
【図6】経時的な生体試料サンプルの注入状態を示す例示図である。
【図7】経時的な生体試料サンプルの注入状態を示す例示図である。
【図8】経時的な生体試料サンプルの注入状態を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述した、そして、追加的な本発明の態様は、添付された図面を参照して説明される望ましい実施例を通じてより明確になる。以下、本発明を、このような実施例を通じて、当業者が容易に理解し、再現できるように詳しく説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施例によるバイオセンサーの構成図である。
【0012】
示したように、本発明の一実施例によるバイオセンサーは、測定レイヤ20、上部カバー10、及び下部基板30を含む。
【0013】
測定レイヤ20は、生体試料との反応データを測定のためのものであって、生体試料と反応して、色の変化あるいは電気化学的変化を起こす。
【0014】
上部カバー10は、開放ウィンドウ12を含む。本実施例において、上部カバー10は、開放ウィンドウ12の外郭から一定距離離れて下部基板方向に突出して、下部基板30との間に備えられる測定レイヤを下向き方向に圧着する上部突出部15を含む。さらに具体的に説明すれば、上部カバー10は、前記測定レイヤの上面上に位置し、前記生体試料が注入されるように露出された上部開放ウィンドウ12を備え、前記上部開放ウィンドウ12から下部突出部35(以下で説明される)に対応する領域を越えて離れた位置から下向き突出した上部突出部15を備えている。
【0015】
下部基板30は、上部カバーの開放ウィンドウ12のフレームに対応して開放ウィンドウ12と上部突出部15との間に突出する下部突出部35を含む。本実施例において、下部突出部35は、上部カバー10と下部基板30との結合時に、その間の測定レイヤ20の上部が、上部カバー10の開放ウィンドウ12に上向き突出し、測定レイヤの下部は、平らに圧着するためのものである。下部突出部35のサイズ及び長さは、上部カバー10の開放ウィンドウ12によって決定されることが望ましい。下部突出部35の突出程度を一定にすることによって、測定レイヤの下部は平らに圧着されうる。補充すると、下部基板30は、前記測定レイヤの下面下に位置し、前記生体試料の反応データを測定するための測定領域として露出された下部開放ウィンドウを備え、前記下部開放ウィンドウの周辺領域から上向き突出した下部突出部35を備えている。
【0016】
一実施例において、上部カバー10の上部突出部15と下部基板30の下部突出部35は、その突出程度が異なる。例えば、上部突出部15は、4mm、下部突出部35は、3mm突出する。しかし、これに限定されるものではない。
【0017】
本実施例において、上部カバー10の上部突出部15と下部基板30の下部突出部35が、互いに交差によって測定レイヤの上部は、上部カバー10の開放ウィンドウ12に凸状に上向き突出し、測定レイヤの下部は、平らになる。なによりも、前記測定レイヤ20を挟んで、前記上部カバー10と前記下部カバー30とを互いに圧着することによって、前記測定レイヤ20の上面と上部カバー10の下面と、前記上部突出部150によって毛細管空間が形成される。このような毛細管空間の存在によって、開放ウィンドウ12に注入された血液は、図6及び図7に示したように、まず測定レイヤ20の両端部に多量の血液が迅速に流れる。
【0018】
図2及び図3は、本発明の一実施例によるバイオセンサーの測定レイヤを具体的に示す例示図である。
【0019】
図2に示したように、本発明の一実施例による測定レイヤは、拡散レイヤ22、分離レイヤ24、及び反応レイヤ26が積層された形態で具現される。
【0020】
具体的に、拡散レイヤ22は、図3に示したように、分離レイヤ24の上部の第1拡散レイヤ22aと分離レイヤ24の下部の第2拡散レイヤ22bとを含みうる。すなわち、拡散レイヤ22が、少なくとも一つのレイヤとして具現されて、他のレイヤの間に備えられうる。
【0021】
第1拡散レイヤ22aは、注入される血液あるいは血清のような生体試料を迅速かつ均一に拡散させる。本実施例において、第1拡散レイヤ22aは、例えば、ポリエステル(polyester)や木綿(cotton)のような織造物質(woven material)あるいはファブリック(fabric)、ガーゼ(gauze)、モノフィラメント(Monofilament)のような不織布物質(non−woven fabric)であり得る。
【0022】
分離レイヤ24は、第1拡散レイヤ22aの下端に備えられ、第1拡散レイヤ22aで拡散される生体試料、すなわち、血液から赤血球(erythrocytes)などの血球を分離する。一実施例において、血液は、血球と血清とに分離される。血球は、赤血球・白血球のような固体成分になっており、血清は、黄色液体で構成されている。血球は、抗原(凝集原)として、血清は、抗体(凝集素)として作用する。垂直型フロー(vertical flow)方式のバイオセンサーは、先に注入される血液から血球を分離する。そして、反応領域(または、測定領域)で血清との反応結果を観察することによって、分析物質の分析結果を確認することができる。
【0023】
本実施例において、分離レイヤ24は、実験的に全体赤血球の約80〜90%をフィルタリングすることができる。一実施例において、分離レイヤ24は、ガラス纎維を含むパッド形態で具現可能である。しかし、これに限定されず、分離レイヤ24は、ポリエステル(Polyester)、ニトロセルロース(Nitrocellulose)、ポリスルホン酸塩(Poly−sulfonate)材のパッドとして具現されることもある。
【0024】
第2拡散レイヤ22bは、分離レイヤ24で血球の一部が分離された生体試料の拡散が迅速かつ均一になされるようにして、その下端に備えられる反応レイヤ26への吸収を迅速かつ均一にする。本実施例において、第2拡散レイヤ22bは、第1拡散レイヤ22aと同じ構成あるいは異なる構成で具現可能である。
【0025】
一実施例において、追加的に、第2拡散レイヤ22bと反応レイヤ26との間に微細分離レイヤをさらに含みうる。この微細分離レイヤは、第1拡散レイヤ22bの下部に備えられ、本実施例において、具体的に、ガラス微細繊維(glass microfiber)、セルロース繊維(cellulise fiber)、合成ステープル繊維(synthetic staple fiber)を含む。この際、ガラス微細纎維は、直径0.3〜0.7μm、密度約0.1g/cm以下のガラス纎維で具現される。追加微細分離レイヤは、分離レイヤ24でまだフィルタリングされなかった残りの血球を分離することができる。
【0026】
反応レイヤ26は、第2拡散レイヤ22bあるいは追加分離レイヤの下部に備えられる。本実施例において、反応レイヤ26は、乾性化学剤(dry chemicals)と反応物質(reactant)とを含んで、コレステロールなどと反応して色変化を起こす。
【0027】
本実施例において、測定レイヤの構成は、これに限定されず、多様な変形例を含みうる。例えば、生体試料サンプルの吸収率あるいはレイヤの間の相互伝達速度をより向上させるために、レイヤの間に付加的なレイヤをさらに含むことが可能である。具体的に、拡散レイヤをレイヤの間に挿入して、拡散がより迅速になされるようにする。
【0028】
図4は、本発明の一実施例による結合状態のバイオセンサー構成図であり、図5は、バイオセンサーで注入された生体試料サンプルの流れを示す例示図である。
【0029】
図4に示したように、一つ以上のレイヤが積層された測定レイヤが、互いに交差ように形成された上部突設部15と下部突設部35とによって圧着されるために、測定レイヤの上端部は、上向き突出しており、下端部は、平らになる。このように、測定レイヤの上端部は、凸状であり、下端部は、平らに圧着されることによって、上端部では、血液のような生体試料サンプルの吸収に有利であり、下端部では、注入された生体試料サンプルの均一性を確保することができる構造を提供することができる。このような効果は、測定レイヤの凸状の形態でだけではなく、前記測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、前記上部突出部によって形成された毛細管空間によってより著しくなる。
【0030】
まず、このような構造で上部カバーの開放ウィンドウを通じて最小血液が注入される場合、測定レイヤの凸状の形態及び前述した毛細管空間によって、上部開放ウィンドウの先端側(または、上部開放ウィンドウの最外郭領域)に相対的に多量の血液がローディングされる。そして、徐々に垂直型フローが進行して反応レイヤ内に均一に水平流れにローディングされる。反応レイヤの反応領域(または、測定領域)内で水平フローが終了すれば、余分の試料サンプルがこれ以上反応領域内に付加されず、余分の試料サンプルが外部側に流れる。
【0031】
また、図5に示したように、上部開放ウィンドウの先端領域(または、上部開放ウィンドウの最外郭領域)では、測定レイヤの下端部に吸収される試料サンプルの流れFlと外に抜け出る試料サンプルの流れF2とが同時に存在する。また、測定レイヤの上部が凸状の形態であるために、垂直型フローがさらに大きく発生する。測定レイヤの反応領域(または、測定領域)に生体試料フローが進行してあらゆる表面に吸収される時点では、これ以上測定レイヤの下端部への試料サンプルの流れFlが発生せず、外に抜け出る流れF2のみ存在する。すなわち、反応領域内に注入される試料の量は、赤血球容積と無関係に一定量のみローディングされうる。
【0032】
一実施例において、バイオセンサーの反応レイヤ全体ではない開放ウィンドウに対応する、例えば、半径3mm程度の測定領域にのみサンプルがローディングされても測定が可能である。本発明によるバイオセンサーの場合には、生体試料サンプルを10μl〜4μl程度の少量のみ注入しても、反応レイヤの測定領域内で反応変化を表わすのに十分な量の試料サンプルが注入されうる。
【0033】
ところで、前述したように、血液に含まれる血球容積は、人によって20〜60%以上まで大きな差がある。すなわち、同じ量の血液を注入しても、最終反応レイヤに到逹する血球分離された血清量には、差が発生する。したがって、本発明の一実施例によるバイオセンサーに注入される生体試料サンプルの容量は、血液内の血清比率が低い人を基準に定められることが望ましい。血清比率が高い人の場合には、反応レイヤに吸収され、残ったほどオーバーフローさせることができるために、血清の比率が低い人を基準に定めることによって、反応領域内に十分に試料サンプルが注入されうる。
【0034】
図4から分かるように、多数のレイヤが積層された測定レイヤ20は、上向き突出部15と下向き突設部35とが互いに交差する部分で圧着されるために、開放ウィンドウ12に注入される血液の水平流れを最小化させることができる。なによりも、前記測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、前記上部突出部によって形成された毛細管空間によって、血液が収容される領域の側端部(上部血液印加開放ウィンドウの最外郭領域)での血液流れが加重されて迅速になる。
【0035】
この際、上部突出部15と下部突出部35とが互いに交差する地点(A)で注入された生体試料の流れは、反応レイヤ26に到逹する前までは、垂直下向き方向に流れ、反応レイヤに到逹した後には、反応レイヤ26内では下部開放ウィンドウの中心領域に向けて水平に移動する。
【0036】
すなわち、垂直型フローによって反応レイヤ26に到逹した血球分離された血清は、反応レイヤ26の内部では水平流れに移動し、特に、上部突設部と下部突設部とが交差する部分(A)で圧着された状態であるために、血清が外部に抜け出る流れより反応領域(または、測定領域)の内部側への水平流れがさらに容易になる。
【0037】
言わば、上部突出部と下部突出部との交差する結合によって、上部開放ウィンドウの中央部分(B)で測定レイヤ20の上端部は上に凸状の形態になる。また、前記測定レイヤを挟んで、前記上部カバーと前記下部カバーとを互いに圧着することによって、前記測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、前記上部突出部によって毛細管空間が形成される。また、測定レイヤ20の下端部、すなわち、反応レイヤ26は、平らに圧着される。このような構成によって、反応レイヤ26内で水平流れに吸収された血清の均一性を確保することができる。
【0038】
図6ないし図8は、経時的な生体試料サンプルの注入状態を示す例示図である。
【0039】
まず、バイオセンサーで反応を観察するために、開放ウィンドウ12に血液のような生体試料を落とす。時間が或る程度経ていない試料注入初期には、図6に示したように上部開放ウィンドウの先端領域(上部開放ウィンドウの最外郭領域)5−1では、垂直流れが強く表われる。その理由は、前述したような毛細管空間が形成されて毛細管現象がこの部分で存在するためである。また、測定レイヤが、上部カバーの上部突出部と下部基板の下部突出部とによって中央部が上向き凸状の構造で圧縮されるために、開放ウィンドウの先端で垂直方向の流速をさらに迅速にする効果がある。一方、両先端の垂直流れが強いものに比べて相対的に測定領域の中央部5−2では、少量の垂直流れが発生する。
【0040】
初期に開放ウィンドウ12の先端領域6−1側に吸収された生体試料サンプルは、水平方向にはほとんど進行することができない。そうして或る程度時間が経てば、図7に示したように、開放ウィンドウの先端領域から垂直流れに沿って反応レイヤ26まで到逹した以後には、次第に反応レイヤ26の中央方向と、外部方向に広がるように水平移動を行う。この際、構造上、反応領域の外部方向への流れよりは、反応領域の中央方向への進行がさらに強くなされる。
【0041】
この際、開放ウィンドウの中央領域6−2の試料の垂直流れは、持続的に弱く起こる。したがって、中央領域の試料も垂直流れによって測定レイヤの最下端の反応レイヤまで到逹する。しかし、上部血液印加開放ウィンドウの最外郭領域で先に垂直流れで血液が反応レイヤに到逹し、引き続き、この血液が水平流れで反応レイヤ内で移動する。したがって、反応レイヤに濡らされる生体試料のほとんどは、反応レイヤで水平流れで移動したものである。
【0042】
一方、上部突設部と下部突設部とがずれた隙間の間の領域6−3の測定レイヤには、最も多量の試料が到達する。したがって、測定レイヤの最下端に位置する反応レイヤで水平流れが最も先に起こる。そして、試料の一部は、測定領域の外部方向6−4に流れる。
【0043】
時間がさらに経過すれば、図8に示したように、主に両先端の領域から反応領域の中央側に進行する試料の流れによって、強くはないが、垂直流れによって最下端の反応レイヤに到逹する試料によって、反応レイヤが飽和状態になり、反応レイヤ内から反応領域の中央側への水平流れが止められる。
【0044】
反応レイヤから反応領域の中央部側への流れるが止められれば、反応レイヤの外部への水平流れが増加し、次第に余分の試料は測定領域の外部7−1に抜け出る。これにより、測定領域の反応レイヤに蓄積7−2される試料の量は、一定に保持されうる。同時に、反応レイヤ全体ではない、測定領域の一実施例においては、直径3mm内にのみ生体試料がローディングされても測定が可能である。したがって、約10μl〜4μl程度の少量の血液のような生体試料のみでも、反応測定が可能なバイオセンサーを提供することができる。
【0045】
以上、本発明について望ましい実施例を中心に説明した。当業者ならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれたものと解析しなければならない。
【0046】
一方、本発明は、次のような技術的構成を含んでいることを、本発明の詳細な説明及び図面を参考にすることによって、容易に把握することができる。すなわち、血液を収容して血液内の分析物を分析するバイオセンサーは、血液を収容する血液収容レイヤと、収容された血液内の分析物と反応する反応レイヤと、前記血液収容レイヤ上に位置し、血液を印加する血液印加開放ウィンドウを含む上部基板と、前記反応レイヤ下に位置し、分析物との反応を測定するための測定開放ウィンドを含む下部基板とを含み、前記血液は、前記血液収容レイヤでは、主に垂直流れ(vεrtical flow)で移動し、前記血液は、前記反応レイヤでは、実質的に側方流れ(lateral flow)で移動する。
【0047】
具体的に、血液の前記血液収容レイヤでの垂直流れは、前記血液収容開放ウィンドウの最外郭領域に対応する領域で先に多発し(図6及び図7参照)、前記血液収容開放ウィンドウの最外郭領域に対応する領域で垂直に前記反応レイヤに到達した血液は、前記反応レイヤでは、前記測定開放ウィンドウの中心領域に向けて水平に流れる(図7及び図8参照)。
【0048】
また、当業者であれば、前記下部開放ウィンドウとー前記上部開放ウィンドウは、大きさと位置とを互いに正確に対応させる構成も可能である。また、前記下部突出部と前記上部突設部は、互いにギャップなしに正確に噛み合うように交差させる構成も可能である。また、前記下部突出部と前記上部突出部は、互いにギャップ(gap)を有しながら、交差させる構成も可能である。例えば、図6ないし図8では、下部突設部と上部突設部とがギャップを有して交差しているように構成されており、下部開放ウィンドウと前記開放ウィンドウの位置と大きさは、互いに正確には対応していない。
【0049】
最後に、本発明の構成及び効果を要約すれば、測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、上部突設部によって毛細管空間が形成され、下部突出部が、測定レイヤを上向きに圧着させて測定レイヤの上面が上向きに曲がるようになり、下部突出部は、測定レイヤの下面を平らに圧着させる。このような構成によって、図6ないし図8から分かるように、血液印加上部開放ウィンドウの最外郭領域で血液が集中的に垂直に流れ、引き続き、測定レイヤの最下端領域である反応レイヤに到逹した後には、この反応領域の中央部分に向けて水平に流れる。これにより、ほとんどの血液が垂直に流れて反応レイヤに到逹する既存のバイオセンサーに比べて、測定に必要な生体試料の量を最小化し、反応領域に到逹する血清量の偏差を最小化して、赤血球容積による測定偏差を最小化することによって、反応結果をより正確に表わすことができるバイオセンサーが提供される。
【0050】
参考までに、本明細書では、“測定領域”と“反応領域”とを混用して記載したが、データ測定の次元では、測定領域と、試料反応の次元では、反応領域と記載しており、実質的に、この両領域は、同じ領域を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体データを測定するためのバイオセンサーであって、
その内部に生体試料が注入され、前記生体試料と反応して、前記生体試料の生体データを測定するための測定レイヤと、
前記測定レイヤの下面下に位置し、前記生体試料の反応データを測定するための測定領域として露出された下部開放ウィンドウを備え、前記下部開放ウィンドウの周辺領域から上向き突出した下部突出部を備えた下部カバーと、
前記測定レイヤの上面上に位置し、前記生体試料が注入されるように露出された上部開放ウィンドウを備え、前記上部開放ウィンドウから前記下部突出部に対応する領域を越えて離れた位置から下向き突出した上部突出部を備えた上部カバーと、を含み、
前記測定レイヤを挟んで、前記上部カバーと前記下部カバーとを互いに圧着することによって、前記測定レイヤの上面と上部カバーの下面と、前記上部突出部によって毛細管空間が形成されたバイオセンサー。
【請求項2】
前記下部突出部は、前記測定レイヤの下面を平らに圧着させる請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項3】
前記測定レイヤは、前記生体試料との反応を通じて変色される請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項4】
前記生体試料は、血液であり、
前記測定レイヤは、
注入される血液を拡散させる拡散レイヤと、
前記拡散された血液から血清のみを分離する分離レイヤと、
前記分離された血清との反応に応じて、色変化を起こす発色試薬が塗布された反応レイヤと、を含む請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項5】
前記拡散レイヤは、
前記分離レイヤの上部に位置する第1拡散レイヤと、
前記分離レイヤと前記反応レイヤとの間に位置した第2拡散レイヤと、を含む請求項4に記載のバイオセンサー。
【請求項6】
前記分離レイヤは、ガラス纎維、ポリエステル、ニトロセルロース、ポリスルホン酸塩のうち少なくとも一つを含む請求項4に記載のバイオセンサー。
【請求項7】
前記測定レイヤを挟んで、前記上部カバーと前記下部カバーとを互いに圧着することによって、前記下部突出部が、前記測定レイヤを上向きに圧着させて、前記測定レイヤの上面が上向きに曲がった請求項1ないし請求項6のうち何れか一項に記載のバイオセンサー。
【請求項8】
前記下部開放ウィンドウと前記上部開放ウィンドウは、大きさと位置とが互いに正確に対応する請求項1ないし請求項6のうち何れか一項に記載のバイオセンサー。
【請求項9】
前記下部突出部と前記上部突出部は、互いにギャップなしに正確に噛み合うように交差している請求項1ないし請求項6のうち何れか一項に記載のバイオセンサー。
【請求項10】
前記下部突出部と前記上部突出部は、互いにギャップを有しながら交差している請求項1ないし請求項6のうち何れか一項に記載のバイオセンサー。
【請求項11】
血液を収容して血液内の分析物を分析するバイオセンサーであって、
血液を収容する血液収容レイヤと、
収容された血液内の分析物と反応する反応レイヤと、
前記血液収容レイヤ上に位置し、血液を印加する血液印加開放ウィンドウを含む上部基板と、
前記反応レイヤ下に位置し、分析物との反応を測定するための測定開放ウィンドウを含む下部基板と、を含み、
前記血液は、前記血液収容レイヤでは、垂直流れに移動し、
前記血液は、前記反応レイヤでは、側方流れに移動するバイオセンサー。
【請求項12】
前記血液収容レイヤは、
血液を拡散させる拡散レイヤと、
血液から赤血球を分離する分離レイヤと、を含む請求項11に記載のバイオセンサー。
【請求項13】
前記反応レイヤは、分析物と反応する場合に発色する発色試薬を含む請求項11または12に記載のバイオセンサー。
【請求項14】
血液の前記血液収容レイヤでの垂直流れは、前記血液収容開放ウィンドウの最外郭領域に対応する領域で先に多発し、前記血液収容開放ウィンドウの最外郭領域に対応する領域で垂直に前記反応レイヤに到達した血液は、前記反応レイヤでは、前記測定開放ウィンドウの中心領域に向けて水平に流れる請求項11に記載のバイオセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−529036(P2012−529036A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513850(P2012−513850)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002126
【国際公開番号】WO2010/140763
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(509328113)インフォピア カンパニー,リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】INFOPIA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】891,Hogye−dong,Dongan−gu,Anyang−si,Gyeonggi−do,431−080 Republic of Korea
【Fターム(参考)】