説明

バイオフィードバック駆動型プロトコルを備えた熱処理システムおよび装置

本発明は、ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する熱処理装置を提供する。該装置は、身体部位から熱処理に関するデータを取得することに適化された測定手段と、取得したデータに基づいて身体部位の熱処理を適化する手段と、を備える。また、ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する方法が提供される。該方法は、身体部位から熱処理に関するデータを取得するステップと、取得したデータに基づいて身体部位の熱処理を適化するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置、および、ヒト(human)または動物(animal)の身体部位(body part)の熱処理(thermal treatment)のためのフィードバック駆動型プロトコル(feedback-driven protocol)を生成する方法に関する。特に、身体部位の熱処理で得たデータが解析される。そして、得たデータに基づき、健康上の有益な効果が最適化されるように身体部位の処置を適化する。
【0002】
本発明は、ヒトの体の熱処理に関する技術分野に属する。
【0003】
より具体的には、本発明は、バイオフィードバック(biofeedback)を利用して特定の熱処置プロトコルを選択(select)および/もしくは適化(adapt)しながら身体を冷却(cooling)ならびに/または加熱(heating)する装置を用いた、ヒトまたは動物の身体の熱処理に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0004】
熱処理は、身体を冷却および/または加熱して、以下に限定されないが、例えば、痛みを和らげたり(pain reduction)、腫脹(膨潤、swelling)を高速に低減したり、可動性(mobility)を増大させたり、といった健康上の有益な効果を得る。
【0005】
実際に用いられている熱処理は、ある特定の期間に身体とのエネルギー量(高温または低温)の交換を行い、かつ、処理周期(treatment cycles)に関する特定の処置シークエンスに従う必要がある。交換される最適なエネルギー量は、コントロールすることが難しくかつ患者毎疾患毎に変化する多くの要因(ファクタ、factors)に左右される。
【0006】
したがって、従来技術における課題を克服し、患者の熱処理を最適化する装置およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、患者の熱処理を最適化する熱処理装置およびシステムの提供である。
【0008】
本発明の別の目的は、患者に最適な処置プロトコルを自動的に決定する熱処理装置およびシステムの提供である。
【0009】
本発明の他の目的および有利点は、以下の記載において開示され明白となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する熱処理装置および方法に関し、好適な実施形態のさらに具体的な特徴については、従属請求項に示される。
【0011】
ある実施形態においては、本発明は、継続中の(on-going)熱処理の結果として生じる患者のパラメータを測定し、これらパラメータを処理装置へフィードバックして継続中の熱処理をコントロールする手段を備える。当該バイオフィードバック駆動型プロトコル適化システムは、ある特定の患者に、より良い、最適ともいえる処置をもたらすことができる。
【0012】
本発明により、ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する熱処理装置が提供される。当該装置は、身体部位から熱処理に関するデータを取得することに適化された測定手段と、取得したデータに基づいて身体部位の熱処理を適化する手段と、を備える。
【0013】
特定の実施形態においては、測定手段は、取得したデータに基づいて、身体部位の熱処理の間に交換された熱エネルギー量を求めることに適化されている。
【0014】
特定の実施形態においては、熱処理を適化する手段は、熱処理の、温度、および/もしくは、圧力、および/もしくは、継続時間(duration)、および/もしくは、周期(cycle)の間隔/頻度(duration/frequency)、ならびに/または、熱処理の各周期の処置の内容(treatment content)を変更することに適化されている。
【0015】
特定の実施形態においては、装置は、さらに、取得したデータを蓄積し、かつ、熱処理適化の記録を作成する(document)ことに適化された蓄積手段(storage means)を備える。
【0016】
例えば、熱処理の記録作成(documentation)は、プロトコルを生成し、とりわけ、該プロトコルをプロセッサ・ユニット上に保管/蓄積する(safe/store)ことにより、実現されてよい。プロセッサ・ユニットは、熱処理装置の一部であってよい。プロトコルは、データ、および/または、コマンド(commands)、および/または、コマンド列(sequences of commands)を含んでよく、かつ、処理装置の動作を制御することに適化されてよい。
【0017】
特定の実施形態においては、測定手段は、身体部位に関する特定のパラメータを求めることに適化された少なくとも1つのセンサを備えてよい。
【0018】
特定の実施形態においては、特定のパラメータは、身体部位の寸法(dimensions)、皮膚の伝導度(skin conductivity)、皮膚の色、皮膚の温度、皮膚の質感(テクスチャ、texture)、心拍数、血圧、血中飽和度(blood saturation)のうちの少なくとも1つである。
【0019】
特定の実施形態においては、熱処理装置の測定手段のセンサによって求められるパラメータは、身体部位の寸法、および/または、例えば、処理にかかる、流速(flow rate)、温度、圧力といった熱処理に関連するパラメータ、である。この場合、例えば、熱交換装置のような別の装置が、皮膚の伝導度、皮膚の色、皮膚の温度、皮膚の質感(テクスチャ)、心拍数、血圧、血中飽和度、といった身体部位に関連するパラメータを求めることに適化された少なくとも1つのセンサを備えてよい。
【0020】
本発明により、ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成するシステムが提供される。当該システムは、上述の熱処理装置と、該熱処理装置と接続され、身体部位を加熱および/または冷却することに適化された熱交換装置と、を備える。
【0021】
特定の実施形態においては、システムは、さらに、身体部位に関する特定のパラメータを求めるのに適化されたセンサ手段を備える。
【0022】
上述のように、センサは、皮膚の伝導度、皮膚の色、皮膚の温度、皮膚の質感(テクスチャ)、心拍数、血圧、血中飽和度、といった身体部位関連パラメータを求めるのに適化されてよい。
【0023】
また、システムは、例えば、薬物ポンプ(drug pump)により患者へ供給される特定の医薬品(pharmaceutical)のような薬物(medication)を、制御された状態で供給するための手段を備えてもよく、その場合、システムは、−適切なセンサを介して−患者の薬物への応答、つまり、身体部位関連パラメータの変化を求める。システムは、患者の応答に基づいて特定の診断を供してもよいし、かつ/または、制御された方法で熱処理を変更してもよく、そうすることで、閉ループ(フィードバック)制御による患者の処置の最適化を行ってもよい。
【0024】
例えば、別の治療に併用して、熱処理装置(thermal treatment device)による処置を組み合わせることで、好ましい相乗的な治療効果を得ることができる。別の治療とは、例えば、抗生物質(antibiotics)、抗炎症薬(anti-inflammatory dugs)、化学療法薬(chemotherapy drugs)による治療であり、また、これらに限定されない。ある実施形態においては、熱処理装置は、例えば、通例抗生物質に耐性を有するバクテリア(例えば、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus))に感染した身体の範囲(例えば、腕(arm))に対し低温処理(cryo-treatment)を施すために用いてよい。そのような低温処理の適用により、バクテリアの分裂、および/または、組織内での蔓延が低減され、患部において抗生物質が効果的に作用する時間を長くすることができる。この結果、好ましい治療成績が得られ、その場合、切断術(amputation)は、他の実行可能な選択肢(viable option)に過ぎなくなる。
【0025】
また、ここに開示された発明は、他の治療と組み合わせた低温処理に関する患者の進展をモニタし、それに応じて、例えば、医薬および最適な投与率(dose rate)の選択、といった処置プロトコルを更新(アップデート、update)して薬剤の効率(pharmaceutical efficacy)を最大化するように動作可能である。
【0026】
温度分布データは、IR(赤外)カメラで得て、医師に提示されてよく、かつ/または、熱処理のフィードバック制御に用いられてもよい。さらには、様々な身体部位関連パラメータの決定に基づいて熱処理を制御する場合には、熱処理の間の経過時間を考慮してもよい。
【0027】
本発明では、処置プロトコルを適化するために生体フィードバック(バイオフィードバック、biofeedback)の使用について論じている。バイオフィードバックの読み出し(biofeedback reading)の獲得に関する最適手段、好ましくは、非侵襲性の手段(non-invasive)を開示することが有利である。例えば、熱パッド(thermal pad)もしくはペルチエ熱交換素子(Peltier thermal exchange element)と、皮膚と、の間の熱交換の量を、当該熱パッドもしくはペルチエ熱交換素子と皮膚との間の温度感受性表面(temperature sensitive surface)を用いて求めることができる。あるいは、熱パッドの流体に対するパワー出力またはペルチエ熱交換素子自体のパワー出力を測定することで、身体との熱交換を間接的に求めることができる。あるいは、(このましくは、ピラ(Pira)の米国特許第6017337号に開示の方法で(manned)構成されるような)ペルチエ熱交換素子と皮膚との間の熱交換の量は、ペルチエ素子の低温側(cold side)と高温側(hot side)との間の温度差ならびに高温側のヒートシンクを冷却する液体の流速(rate of flow)を測定することで間接的に求めることができる。あるいは、患者からのバイオフィードバック(例えば、温度)の直接的な測定は、ドレナージ・カテーテル(drainage catheter)からの読み出し(reading)を得るセンサ手段を用いることで可能である。ドレナージ・カテーテルは、例えば、膝再建術(knee reconstructive surgery)に続けて身体に挿入されている。ここには、様々な、バイオフィードバックの読み出し(示度数、reading)を得るために好適な手段が開示されているが、そういった読み出しを得るための、他の手段を排除しない。
【0028】
特定の実施形態においては、熱交換装置は、水力装置(hydraulic device)、および/または、ペルチエ熱交換素子である。
【0029】
ペルチエ効果は、熱電冷却(thermoelectric cooling)を用いて2種の相異なる材料の接合部間に熱流束(heat flux)生成する。ペルチエ・クーラー(Peltier cooler)、ヒーター(heater)、または、熱電ヒートポンプ(thermoelectric heat pump)は、電気エネルギを消費しながら、装置の一方から他方へ温度傾度に逆らって(低温から高温へ)熱を移送する固体能動熱ポンプ(solid-state active heat-pump)である。
【0030】
本発明により、ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する方法が供される。当該方法は、身体部位から熱処理に関するデータを取得するステップと、取得したデータに基づいて身体部位の熱処理を適化するステップと、を有する。
【0031】
特定の実施形態においては、熱処理を適化するステップは、熱処理の間に交換された熱エネルギー量を監視(モニタ、monitor)するステップを含む。
【0032】
特定の実施形態においては、データを取得するステップは、身体部位に関する特定のパラメータを求めるステップを含む。
【0033】
特定の実施形態においては、該方法は、さらに、プロトコルを生成する(generating)ことにより、および/または、既知のプロトコル(known protocol)を選択する(selecting)ことにより、熱処理の適化の記録を作成する(documenting)ステップを有する。
【0034】
既知のプロトコルは、以前に(つまり、身体部位に対する今回の熱処理の周期(サイクル)よりも前に)、例えば、異なる患者、かつ/もしくは、身体部位の熱処理の間に、ならびに/または、同一の患者、かつ/もしくは、身体部位の、異なる日/時(time/date)における、熱処理の間に、生成されたプロトコルでよい。また、既知のプロトコルは、患者の疾患に特に適化されたコンピュータ・シミュレーションにより生成されたプロトコルでよい。
【0035】
例えば、(新しい(新規の、new))プロトコルは、既知のプロトコルのいずれもが、患者の実際の必要性(ニーズ、needs)に「そぐわない(フィット("fits")しない)」と判断された場合に生成される。プロトコルは、(例えば、先の周期(サイクル、cycle)で使用された)既知のプロトコルに基づいて生成され、そして、今回の周期で取得されたデータに従って適化される。
【0036】
特定の実施形態においては、熱処理を適化するステップは、取得したデータおよび以前に取得したデータに基づいて熱処理を適化する反復過程(イタレーション・プロセス、iteration process)である。
【0037】
以前に取得したデータとは、身体部位に対する今回の熱処理の周期(サイクル)よりも前に取得されたデータを意味する。そうすることにより、次の処理の周期は、さらに、改善され(improved)、なおかつ、実際のニーズに適化される。これにより、患者の回復がさらによくなる(enhanced)。
【0038】
本発明により、コンピュータ・プログラム製品が供される。当該コンピュータ・プログラム製品は、上述の方法の各ステップを実施し制御するための、コンピュータが実行可能な命令群を含んだ1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な媒体を有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】熱交換装置と共に使用する熱処理装置の概略図
【図2】別の熱交換装置と共に使用する熱処理装置の概略図
【図3】本発明の動作による腫脹の低減を示す図
【図4】本発明の動作による痛みの低減を示す図
【図5】患者の病院滞在(reside at the hospital)日数、または、患者の無活動(inactivity of the patient)日数、の減少を示す図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の様々な実施形態について説明する。当然のことだが、図形は寸法どおりに描画されておらず、構造または機能が類似する要素は、全図にわたって類似する参照数字で示される。当然のことだが、図面は本発明の特定の実施形態の説明を容易にすることのみを目的とする。また、本発明の特定の実施形態に沿って記載された態様は、必ずしも、その実施形態に限定されるものではなく、本発明の別の実施形態においても実施可能である。
【0041】
図1において、熱処理装置(1)は、熱さまたは冷たさ(heat or cold)を交換可能な熱交換装置(3)を用いたヒトの身体部位(2)に対する熱的処置(thermo-treatment)を制御する。熱処理装置および熱交換装置は、水力学的導管(ハイドローリック・コンジット、hydraulic conduit)、および、電線用導管(エレクトリック・コンジット、electric conduit)(ペルチエ素子の場合)の両方、または、その他の手段で接続されてよい。熱交換の効果は、少なくとも1つのセンサを有し場合により信号処理および信号取得のためのサブシステム(signal condition and signal acquisition subsystem)を兼ね備える測定手段(5)を通して測定され監視される。測定手段は、熱交換装置の一部分とすることができ、また、別々であってもよい。部分的に、測定手段を該装置に組み込むことも可能である。測定手段は、身体部位との熱交換の効果を測定することに適化され、かつ/または、熱エネルギー交換そのものの様子を測定することに適化される。
【0042】
図2において、実施形態を概略的に示す。ここでは、熱交換装置(3)は、ペルチエ熱交換素子(Peltier thermal exchange element)を含む。
【0043】
熱処理の効果とは、患者に対する健康上の効果(health benefit)を指す。この効果は、腫脹(膨潤、swelling)の低減、痛みの緩和、迅速な回復、病院滞在日数がより少ないこと、その他の様々な現れ(manifestation)、として明らかになる。
【0044】
図3は、熱処理の結果、腫脹が経時的に減少した例を示す図である。グラフ(1)の最左の点において、身体部位の腫脹を生じさせる事象が発生する。或る程度の時間が経過した後、熱処理が施されない場合、最大腫脹が生じる。これは、グラフ(1)の最高点として示される。その後、腫脹は、ゆっくりと減少し、最終的には完全に姿を消す。最適な熱処理が施された場合には、当該事象に対し、身体部位は異なる反応を示す。グラフ(2)においては、熱処理が施され、最大点がより低くなり、腫脹の低減が見られる。グラフ(3)においては、熱処理が準最適な方法で(in a suboptimal way)、施される。ここでの最大腫脹は、処理を施さなかった例よりも低いが、最適な処理を施した例よりは高い。腫脹の減少も、熱処理を施さなかった例よりは速いが、最適な処理を施した例よりも遅い。
【0045】
図4は、痛みの低減に関する健康効果について同様の原理を示した図である。これは、単独で現れることもあれば、図3に示した効果と組み合わせて現れることもありうる。
【0046】
図5は、患者の病院滞在日数または無活動日数の減少として、同様の原理を示した図である。棒(1)は、熱処理を施さなかった例を表し、棒(2)は、最適な熱処理が施された例を示し、棒(3)は、準最適な熱処理が施された例を示す。
【0047】
本発明は、例えば、継続中の処理(on-going treatment)に対する患者の反応に関連した測定データ、または、身体部位との熱交換に関連した測定データ、を収集し(gathering)、収集したデータを利用して特定の患者について最適処置プロトコルに適化または選択して、熱処理装置(1)が最適処理に到達または近づくことを可能にする。
【0048】
患者の反応に関連した測定データは、処理に対する身体的な(物理的な)反応(physical reactions)もしくは心理的な関係性(psychological relations)のいずれかを用いて、直接的に、または、間接的に、測定可能である。測定の例には、身体部位の寸法(dimensions)(例えば、肢の周囲(limb circumference))、皮膚の伝導度(skin conductivity)、皮膚の色、皮膚の温度、皮膚の質感(テクスチャ、texture)、心拍数、血圧、血中飽和度(blood saturation)、その他の熱処理の結果現れ得る効果、が含まれる。
【0049】
測定データは、熱交換器が交換したエネルギー量を監視(モニタリング)することにより、直接的、または、間接的に、測定可能である。
【0050】
測定データは、熱処理装置へ、中継(リレー)/伝送(relayed/transmitted)されてよい。熱処理装置は、測定データを考慮して継続中の処置プロトコルを最適化する。当該最適化は、(a)熱交換を行う温度、(b)熱交換を行う圧力、(c)熱サイクル(thermal cycles)の継続時間(duration)、(d)処理全体(total treatment)の持続時間(duration)、(e)処理周期(treatment cycle)内の様々な点における温度差および圧力差、の最適化を伴う。最適化の効果は、患者に対する有益な効果として現れる。ここでの有益な効果は、腫脹の低減(swelling reduction)、痛みの緩和(pain reduction)、病院内日数の減少(fewer days in hospital)、無活動時間の減少(decreased inactivity time)、患者の健康の向上(better patient well-being)、その他の熱処理を通じて得られる有益な効果、のいずれか1つまたは組み合わせとして、測定される。
【0051】
最適化過程は、測定データと、医学研究を通じて収集された統計量とを、組み合わせる。処理の間、定期的に(at regular instances in time)、実際の処置パラメータ(actual treatment parameters)による結果として現れた処理の効果を、既知のデータと、相関させる(関係づける)。それから、処置パラメータを、よりよい効果が期待される方向に適化させる。好ましくは、この適化の後で、新しい測定データを集め、さらなる処理が必要なくなるまで、上述の過程を繰り返す(これにより、熱処理最適化のための反復過程(イタレーション・プロセス、iteration process)が与えられる)。
【0052】
上記のように、本発明を例示して詳細に説明したが、その例示や説明は、例証もしくは典型例であり非制限的に解釈すべきである。よって、本発明は、記載の実施形態に限定されない。上記したひとつの実施形態との関連で述べた特徴は、そのような特徴が明記されない別の実施形態の特徴としても有効である。特許請求の範囲に記載の発明を実施する当業者であれば、明細書および請求項を検討することで、記載の実施形態に対する変形態様を理解し実施することができる。請求項においては、「有する(comprising)」なる語は、その他の要素または工程(ステップ、step)を排除しない。不定冠詞「ある("a" or "an")」は、複数を排除するものではない。特定の手段(measures)が異なる従属クレームに記載されていることは、それら手段を組み合わせて都合よく使用することができないことを意味するものではない。
【符号の説明】
【0053】
1:熱処理装置
2:ヒトの身体部位
3:熱交換装置
5:測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する熱処理装置であって、
前記身体部位から熱処理に関するデータを取得する測定手段と、
前記取得したデータに基づいて前記身体部位の前記熱処理を適化する手段と、
を有する熱処理装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記取得したデータに基づいて、前記身体部位の前記熱処理の間に交換された熱エネルギー量を求める、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記熱処理を適化する手段は、前記熱処理の、温度、および/もしくは、圧力、および/もしくは、継続時間、および/もしくは、周期(cycle)の間隔/頻度、ならびに/または、前記熱処理の各周期の処置の内容を変更する、請求項1または2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
さらに、前記取得したデータを蓄積し、前記熱処理の前記適化の記録を作成する蓄積手段を有する、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記測定手段は、前記身体部位に関する特定のパラメータを求める、少なくとも1つのセンサを備える、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記特定のパラメータは、前記身体部位の寸法、皮膚の伝導度、皮膚の色、皮膚の温度、皮膚の質感、心拍数、血圧、血中飽和度のうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の熱処理装置。
【請求項7】
ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成するシステムであって、
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の熱処理装置と、
前記熱処理装置と接続され前記身体部位を加熱および/または冷却する熱交換装置と、
を有するシステム。
【請求項8】
さらに、前記身体部位に関する特定のパラメータを求めるセンサ手段を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
さらに、薬物を、制御された状態で供給するための手段を有し、
前記システムは、好ましくは、前記身体部位の前記薬物への応答を求める、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記熱交換装置は、水力装置、および/または、ペルチエ熱交換素子である、請求項7乃至9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
ヒトまたは動物の身体部位の熱処理のためのフィードバック駆動型プロトコルを生成する方法であって、
前記身体部位から熱処理に関するデータを取得するステップと、
前記取得したデータに基づいて、前記身体部位の前記熱処理を適化するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
前記熱処理を適化するステップは、前記熱処理の間に交換された熱エネルギー量を監視するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記データを取得するステップは、前記身体部位に関する特定のパラメータを求めるステップを含む、請求項10乃至12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
さらに、プロトコルを生成することにより、および/または、既知のプロトコルを選択することにより、前記熱処理の前記適化の記録を作成するステップを有する、
請求項10乃至13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記熱処理を適化するステップは、前記取得したデータおよび以前に取得したデータに基づいて、前記熱処理を適化するイタレーション・プロセスである、請求項11乃至14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記身体部位の治療に対する応答を考慮することにより、フィードバック駆動型プロトコルを更新するステップを有する、請求項11乃至14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
請求項10乃至14のいずれか1つに記載の方法のステップを実行するための、コンピュータが実行可能な命令群を含んだ1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な媒体を有する、コンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−531292(P2012−531292A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518912(P2012−518912)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059379
【国際公開番号】WO2011/000919
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(512003928)ヴェーゲナー・インターナショナル・アクチェンゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】WAEGENER INTERNATIONAL AG
【Fターム(参考)】