説明

バイオマス燃料化システム及びその制御方法

【課題】自然エネルギーを利用した発電機の規模を拡大することなく、前記発電機により発電した電力を有効に利用してバイオマス資源からバイオガスを生成できるシステムの提供。
【解決手段】バイオマス資源を破砕する破砕機と、破砕したバイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、可溶化槽で得られる可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、可溶化槽の可溶化液をメタン発酵槽に移送するポンプと、メタン発酵槽で得られる消化液を排出するポンプと、破砕するバイオマス資源量、各槽内の液量等を計測する各計測装置と、自然エネルギーの発電機により発電した電力が蓄電池に所定量以上蓄積されると、各計測装置から受信した、破砕するバイオマス資源量及び各槽内の液量の情報に基づいて、破砕機及び各ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択し、所定量の電力を供給する電力供給装置と、を備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーを利用して発電する発電機の規模を拡大することなく、自然エネルギーを利用して発電した電力を有効に利用してバイオマス資源からバイオガスを生成することができるバイオマス燃料化システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみ、畜糞等のバイオマス資源をメタン発酵することによりバイオガスを生成する技術が開発されているが(例えば、特許文献1〜4参照)、近年においては、環境への負荷が小さい自然エネルギーを利用して、バイオマス資源からバイオガスを生成できる技術の開発が試みられている。
【0003】
しかしながら、自然エネルギーは天候や地形などの自然条件に左右されることから発電量が不安定であり、安定した電力を供給するためには、自然エネルギーを利用して発電する太陽光発電機や風力発電機などの発電機の規模を拡大しなければならないという問題がある。
【特許文献1】特開平10−235317号公報
【特許文献2】特開2002−326071号公報
【特許文献3】特開2003−245631号公報
【特許文献4】特開2004−148217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、自然エネルギーを利用して発電する発電機の規模を拡大することなく、自然エネルギーを利用して発電した電力を有効に利用してバイオマス資源からバイオガスを生成することができるシステム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るバイオマス燃料化システムは、バイオマス資源を破砕する破砕機と、破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、を備え、前記電力供給装置は、前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積されたことを検知すると、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、及び前記第3の計測装置から受信した、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、及び前記メタン発酵槽内の液量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択し、選択した当該機器に所定量の電力を供給する手段を備える。
【0006】
本発明に係るバイオマス燃料化システムにおいて、前記第2の計測装置は、前記破砕機の運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、前記電力供給装置は、前記第2の計測装置から通知を受けると、前記破砕機への電力供給を中止する手段を備え、前記第3の計測装置は、前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、前記電力供給装置は、前記第3の計測装置から通知を受けると、前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する手段を備えることとしてもよい。
【0007】
また、本発明に係るバイオマス燃料化システムは、バイオマス資源を破砕する破砕機と、破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、破砕した前記バイオマス資源を貯蔵する貯蔵槽と、破砕した前記バイオマス資源を前記貯蔵槽から前記可溶化槽に移送するバイオマス移送ポンプと、前記貯蔵槽内の貯蔵物の量を計測する第4の計測装置と、を備え、前記電力供給装置は、前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積されたことを検知すると、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、前記第3の計測装置、及び第4の計測装置から受信した、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、前記メタン発酵槽内の液量、及び前記貯蔵槽内の貯蔵物量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、前記排出ポンプ、及び前記バイオマス移送ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択し、選択した当該機器に所定量の電力を供給する手段を備える。
【0008】
本発明に係るバイオマス燃料化システムにおいて、前記第2の計測装置は、前記バイオマス移送ポンプの運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、前記電力供給装置は、前記第2の計測装置から通知を受けると、前記バイオマス移送ポンプへの電力供給を中止する手段を備え、前記第3の計測装置は、前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、前記電力供給装置は、前記第3の計測装置から通知を受けると、前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する手段を備え、前記第4の計測装置は、前記破砕機の運転中に前記貯蔵槽内の貯蔵物量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、前記電力供給装置は、前記第4の計測装置から通知を受けると、前記破砕機への電力供給を中止する手段を備えることとしてもよい。
【0009】
本発明に係るバイオマス燃料化システムは、前記メタン発酵槽内を攪拌する攪拌装置と、前記攪拌装置の運転停止からの経過時間を計測するタイマーと、をさらに備え、前記電力供給装置は、前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しており、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たないと判断した場合に、前記攪拌装置に前記電力を優先して供給する手段をさらに備えることとしてもよい。さらに、本発明に係るバイオマス燃料化システムは、前記メタン発酵槽内を保温するヒーターを備え、前記電力供給装置は、前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しておらず、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たないと判断した場合に、前記ヒーターに前記電力を供給する手段をさらに備えることとしてもよい。
【0010】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの制御方法は、バイオマス資源を破砕する破砕機と、破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、を備えるバイオマス燃料化システムの制御方法であって、前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積された際に、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、及び前記第3の計測装置によって計測された、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、及び前記メタン発酵槽内の液量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択する工程と、選択した前記機器に前記電力供給装置が所定量の電力を供給する工程と、を含む。
【0011】
また、本発明に係るバイオマス燃料化システムの制御方法は、前記破砕機の運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、前記第2の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記破砕機への電力供給を中止する工程と、前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、前記第3の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する工程と、をさらに含むこととしてもよい。
【0012】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの制御方法は、バイオマス資源を破砕する破砕機と、破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、破砕した前記バイオマス資源を貯蔵する貯蔵槽と、破砕した前記バイオマス資源を前記貯蔵槽から前記可溶化槽に移送するバイオマス移送ポンプと、前記貯蔵槽内の貯蔵物の量を計測する第4の計測装置と、を備えるバイオマス燃料化システムの制御方法であって、前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積された際に、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、前記第3の計測装置、及び第4の計測装置によって計測された、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、前記メタン発酵槽内の液量、及び前記貯蔵槽内の貯蔵物量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、前記排出ポンプ、及び前記バイオマス移送ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択する工程と、選択した前記機器に前記電力供給装置が所定量の電力を供給する工程と、を含む。
【0013】
また、本発明に係るバイオマス燃料化システムの制御方法は、前記バイオマス移送ポンプの運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、前記第2の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記バイオマス移送ポンプへの電力供給を中止する工程と、前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、前記第3の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する工程と、前記破砕機の運転中に前記貯蔵槽内の貯蔵物量が所定量に達すると、前記第4の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記破砕機への電力供給を中止する工程と、をさらに含むこととしてもよい。
【0014】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの制御方法において、前記バイオマス燃料化システムに、前記メタン発酵槽内を攪拌する攪拌装置と、前記攪拌装置の運転停止からの経過時間を計測するタイマーと、をさらに備えさせ、前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しており、かつ、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たない場合には、前記電力供給装置は前記攪拌装置に前記電力を優先して供給する工程をさらに含ませることとしてもよい。さらに、前記バイオマス燃料化システムに、前記メタン発酵槽内を保温するヒーターを備えさせ、前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しておらず、かつ、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たない場合には、前記電力供給装置は前記ヒーターに前記電力を供給する工程を本発明に係るバイオマス燃料化システムの制御方法にさらに含ませることとしてもよい。
【0015】
なお、上述の自然エネルギー発電機は、例えば、太陽光発電機、風力発電機などである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自然エネルギーを利用して発電する発電機の規模を拡大することなく、自然エネルギーを利用して発電した電力を有効に利用してバイオマス資源からバイオガスを生成することができるシステム及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、好ましい実施の形態につき、添付図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
==本発明に係るバイオマス燃料化システムの全体構成==
図1は、本発明の一実施形態として説明するバイオマス燃料化システムの概略構成図を示す。図1に示すように、本発明に係るバイオマス燃料化システム100は、自然エネルギー発電機10、蓄電池20、電力供給装置30、受入槽40、破砕機42、中継ホッパ50、ポンプ52,62,72,73、可溶化槽60、メタン発酵槽70、バイオガスタンク80、消化液槽90などを備える。
【0019】
自然エネルギー発電機10は、太陽光や風力などの自然エネルギーを利用して発電する装置である。自然エネルギー発電機10としては、自然エネルギーによって発電するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、太陽光発電機、風力発電機、水力発電機などを挙げることができる。
【0020】
蓄電池20は、自然エネルギー発電機10により発電された電力を蓄える電池である。受入槽40は、家庭や食品工場などの施設から回収された生ごみ、畜産場から回収された畜糞等のバイオマス資源を受け入れる槽である。破砕機42は、回収されたバイオマス資源を破砕する装置である。中継ホッパ(貯蔵槽)50は、破砕機42によって破砕したバイオマス資源を貯蔵する槽である。
【0021】
可溶化槽60は、破砕機42によって破砕したバイオマス資源を生物学的に可溶化する槽である。可溶化槽60では、バイオマス資源を水と混合することによりバイオマス資源中の有機物(例えば、脂質、多糖類、タンパク質など)が加水分解され、加水分解されることにより得られた加水分解物が酸生成菌によって酸発酵される。可溶化槽60内の、破砕機42によって破砕されたバイオマス資源、その加水分解物を酸発酵する酸生成菌などを含む混合液は、工場や発電所などの施設からでる排熱によって保温できるように構成されている。
【0022】
メタン発酵槽70は、可溶化槽60においてバイオマス資源が可溶化することにより得られた可溶化液(主に有機酸類を含む。)をメタン発酵する槽である。メタン発酵槽70では、可溶化液がメタン発酵菌によってメタン発酵される。メタン発酵槽70内の、可溶化液及びメタン発酵菌などを含む混合液は、上記排熱やヒーター74によって保温できるように構成されている。
【0023】
バイオガスタンク80は、メタン発酵槽70において可溶化液をメタン発酵することにより得られるメタンガスを含むバイオガスを貯える容器である。消化液槽90は、メタン発酵槽70において可溶化液をメタン発酵することにより得られる残渣(消化液)を貯える槽である。
【0024】
ポンプ52は、中継ホッパ50に貯蔵された破砕バイオマス資源を可溶化槽60に移送する装置である。ポンプ62は、上述の可溶化液を可溶化槽60からメタン発酵槽70に移送する装置である。ポンプ72は、メタン発酵槽70で得られた消化液を排出する装置である。本実施の形態においては、排出された消化液は消化液槽90に移送される。ポンプ73は、メタン発酵槽70内の混合液を循環させて攪拌する装置である。なお、本実施の形態においては、攪拌装置としてポンプ73を設けることとしているが、ポンプ73の代わりに混合液を攪拌する攪拌機を設けることとしてもよい。
【0025】
電力供給装置30は、電力供給線2〜7を介して蓄電池20に蓄積された電力を破砕機42、ポンプ52,62,72,73、ヒーター74などに供給し、これらの機器を運転させる装置である。
【0026】
上述の受入槽40、中継ホッパ50、可溶化槽60、メタン発酵槽70などの各槽には、各槽内の処理物のレベル(量)を計測するセンサー41,51,61,71が設けられている。
【0027】
センサー41は、破砕機42で破砕する、受入槽40内のバイオマス資源のレベル(量)を計測する装置である。センサー51は、破砕機42によって破砕処理され、中継ホッパ50内に貯蔵された貯蔵物のレベル(量)を計測する装置である。センサー61は、可溶化槽60内の混合液のレベル(液量)を計測する装置である。センサー71は、メタン発酵槽70内の混合液のレベル(液量)を計測する装置である。
【0028】
これらのセンサー41,51,61,71は、通信線1を介してそれぞれ電力供給装置30と通信可能に接続されており、計測した槽40,50,60,70内の処理物のレベル(量)の情報を電力供給装置30に通知する。これにより、電力供給装置30は、各槽40,50,60,70内の処理物のレベル(量)を把握することができる。なお、この通知は、槽40,50,60,70内の処理物のレベル(量)が変更した際に行うこととしてもよいが、電力供給装置30からの要求があった際に行うこととしてもよい。
【0029】
図2に示すように、電力供給装置30は、各センサー41,51,61,71から通知された処理物のレベル情報により、槽40,50,60,70内における処理物のレベルが設定されたLV以上であると判断した場合には、当該槽内の処理物を処理する補機42,52,62,72の緊急起動が必要である(EM)と判断する。なお、上述のLVは、例えば、設定されたLVmax(処理物の受入が可能なレベル)から、所定量の電力供給により補機42,52,62を1〜数回運転させた場合に槽内に供給される処理物の量(余裕量)、あるいは、1日当たりに受入槽40が受け入れるバイオマス資源の平均量又はそれに数倍した量(余裕量)を差し引いたレベルである。
【0030】
また、電力供給装置30は、各センサー41,51,61,71から通知された処理物のレベル情報により、槽40,50,60,70内における処理物のレベルが設定されたLV以上であると判断した場合には、当該槽内の処理物を処理する補機42,52,62,72の起動が可能である(PE)と判断する。なお、上述のLVは、例えば、槽40,50,60,70内に処理物が供給されていない状態(初期レベル;LVmin)に、所定量の電力供給により補機42,52,62,72を運転させた場合に1回で払い出される処理物の量(レベル)を加えた量(レベル)である。また、可溶化槽60及びメタン発酵槽70については、各槽60,70内に培養液及び菌を注入した状態を初期レベルとしている。
【0031】
さらに、電力供給装置30は、各センサー41,51,61,71から通知された処理物のレベル情報により、槽40,50,60,70内における処理物のレベルが設定された範囲内(LVmin以上LV未満)であると判断した場合には、当該槽内の処理物を処理する補機42,52,62,72への電力供給は不要と判断する。
【0032】
なお、補機42,52,62の運転中に各槽50,60,70の処理物のレベル、あるいは、回収したバイオマス資源を受入槽40に供給している際に受入槽40の処理物のレベルが、設定されたLVmaxより超えたことを各センサー41,51,61,71が検知した場合には、各センサー41,51,61,71はその旨を電力供給装置30に通知する。これを受信した電力供給装置30は、補機42,52,62への電力供給を中止したり、受入槽40にバイオマス資源を受け入れることができないように制御したり、あるいは、受入槽40にバイオマス資源を受け入れることができない旨の警報を、受入槽40やセンサー41などに設けた警報器に通知したりして、処理物の受入を停止する(ST)。これにより、槽50,60,70内への処理物の過剰な移送が防止されることとなる。
【0033】
また、電力供給装置30は、蓄電池20に所定量以上の電力が蓄積されたことを検知すると、各センサー41,51,61,71から受信した各槽40,50,60,70内の処理物の量の情報に基づいて、電力を供給する機器42,52,62,72,73,74を決定し、決定した機器42,52,62,72,73,74に所定量の電力を供給し、運転させる。なお、前記検知は、例えば、蓄電池20から所定量以上の電力が蓄積された旨の通知を受信することにより行うこととしてもよい。前記通知は、例えば、蓄電池20が電力の蓄積量を測定することにより所定量以上の電力が蓄積されていると判断した場合に行うこととしてもよい。前記測定は、定期的に行うこととしてもよいが、所定量以上の電力が蓄積されたかどうかの問い合わせがあったときに行うこととしてもよい。
【0034】
次に、電力供給装置30が電力供給先を決定する処理について説明する。図3に、電力供給装置30が電力供給先を決定する処理の一例を示す。
【0035】
電力供給装置30は、蓄電池20に所定量の電力が蓄えられたことを検知すると、緊急起動が必要な補機42,52,62,72があるかどうかを判断し(S301)、緊急起動が必要な補機42,52,62,72があると判断した場合(S301;Yes)には、運転が最も必要な補機42,52,62,72を選択する(S302)。この選択(S302)は、例えば、所定量の電力で補機42,52,62,72を1回運転させた場合に槽50,60,70,90に移送される処理物の量を槽50,60,70,90が受け入れることができるかどうかを判断したり、余裕量の空き具合(余裕量の空き容量/余裕量)が最も少ない補機42,52,62,72を調査したりすることにより行うこととしてもよいし、下流の補機42,52,62,72から優先的に、すなわち、ポンプ72、ポンプ62、ポンプ52、破砕機42の順に行うこととしてもよい。なお、消化液槽90がポンプ72によって移送される処理物の量を受け入れることができるかどうかの判断は、上述のようなセンサー41,51,61,71と同様のセンサーを消化液槽90に設けて、センサーと電力供給装置30とを通信線により通信可能に接続し、センサーが計測した槽90内の処理物のレベル(量)の情報を電力供給装置30に通知することにより、電力供給装置30が行うように設定してもよい。
【0036】
電力供給装置30は、上述のようにして選択した補機42,52,62,72に対して蓄電池20に蓄えられた所定量の電力を供給し、選択した補機42,52,62,72を起動させる(S303)。
【0037】
一方、電力供給装置30が、緊急起動が必要な補機42,52,62,72がないと判断した場合(S301;No)には、電力供給装置30が備えるタイマーにより測定したポンプ73の運転停止時間を確認し、その時間が使用者などによりあらかじめ設定された攪拌インターバルを経過しているかどうかを判断する(S304)。
【0038】
その結果、ポンプ73の運転停止時間が攪拌インターバルを経過していると判断した場合(S304;Yes)には、電力供給装置30は、ポンプ73に対して蓄電池20に蓄えられた所定量の電力を供給し、ポンプ73を起動させる(S305)。これに対して、ポンプ73の運転停止時間が攪拌インターバルを未だ経過していないと判断した場合(S304;No)には、電力供給装置30は、起動が可能な補機42,52,62,72があるかどうかを判断する(S306)。
【0039】
起動可能な補機42,52,62,72があると判断した場合(S306;Yes)には、優先的に運転させるのが好ましい補機42,52,62,72を選択する(S307)。この選択(S307)は、例えば、電力供給装置30から所定量の電力が補機42,52,62,72に1回供給されることにより補機42,52,62,72が1回に払い出す処理物の量に対して、補機42,52,62,72によって処理が可能な量の割合が大きいものを調査したり、所定量の電力で補機42,52,62,72を1回運転させた場合に槽50,60,70,90に移送される処理物の量を槽50,60,70,90が受け入れることができるかどうかを判断したりすることによって行ってもよい。また、可溶化槽60やメタン発酵槽70に処理物が最後に供給された時から経過した時間(発酵時間)を考慮してポンプ62,72の運転が好ましいかどうかを判断することにより行ってもよい。この判断によって補機42,52,62,72を選択することにより、バイオマスの可溶化及びメタン発酵を十分に行うことができるので、バイオガス(特にメタンガス)の回収率を高めることができるようになる。
【0040】
電力供給装置30は、上述のようにして選択した補機42,52,62,72に対して蓄電池20に蓄えられた所定量の電力を供給し、選択した補機42,52,62,72を起動させる(S308)。
【0041】
一方、起動可能な補機42,52,62,72がないと判断した場合(S306;No)には、電力供給装置30は、ヒーター74に対して蓄電池20に蓄えられた所定量の電力を供給し、メタン発酵槽70内の混合液を加温して一定の温度に保たせる(S309)。
【0042】
以上のように、本発明に係るバイオマス燃料化システム100では、所定量の電力が蓄電池20に蓄積されたら、選択した機器42,52,62,72,73,74に所定量の電力を供給して運転させることとしていることから、安定した電力を常に供給する必要がなく、自然エネルギーを利用して発電する発電機の規模を拡大する必要もない。また、本発明に係るバイオマス燃料化システム100においては、自然条件に左右されることなく、インフラが整備されていない場所でも、バイオマス資源からバイオガスを自動で生成することができる。さらに、本発明に係るバイオマス燃料化システム100は、各機器42,52,62,72が一定量の処理物を処理できる所定量の電力を蓄積可能な蓄電池20を備えればよいので、蓄電池20の容量を小さくすることができ、システムの縮小化を図ることができるようになる。また、本発明に係るバイオマス燃料化システム100は、自然エネルギーにより発電した電力を利用しているため、環境の負荷が小さく、低コストでバイオマス資源からバイオガスを生成することができるようになる。
【0043】
また、本発明に係るバイオマス燃料化システム100によれば、蓄電池20に蓄えられた電力を、運転が必要な補機42,52,62,72に優先的に供給できるので、限られた電力の有効利用を図ることができる。さらに、本発明に係るバイオマス燃料化システム100によれば、バイオマス資源からバイオガスを生成するだけではなく、堆肥肥料や液肥などの肥料として有用な消化液も回収できるようになる。
【0044】
また、上述のように、本発明に係るバイオマス燃料化システム100に破砕機42を備えることにより、可溶化処理及びメタン発酵処理する前にバイオマス資源を破砕することができるので、各処理の効率を高めることができるようになる。
【0045】
さらに、本発明に係るバイオマス燃料化システム100にポンプ73とタイマーとを設けて、タイマーにより計測した、ポンプ73の運転停止から経過した時間が、攪拌インターバルを経過しており、各補機42,52,62,72によって処理される各槽40,50,60,70内の処理物が所定量(例えば、LV以上)に満たないと電力供給装置30が判断した場合に、ポンプ73に電力を供給して運転させることにより、メタン発酵槽70内の混合液をほぼ定期的に攪拌することができるようになり、メタン発酵をより効率的に行うことが可能となる。
【0046】
また、上述のように、本発明に係るバイオマス燃料化システム100にメタン発酵槽70内の混合液を保温するヒーター74を備え、タイマーにより計測した、ポンプ73の運転停止から経過した時間が、攪拌インターバルを経過しておらず、各補機42,52,62,72によって処理される各槽40,50,60,70内の処理物が所定量(例えば、LV以上)に満たないと電力供給装置30が判断した場合に、ヒーター74に電力を供給することにより、蓄電池20に蓄えられた電力を有効に利用してメタン発酵槽70内の混合液を保温することができるようになる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、補機42,52,62,72が所定量の処理物を処理できる電力を最低限蓄えることができる容量の蓄電池20を1つ備えることとしているが、蓄電池を複数備えることとしてもよい。このように複数の蓄電池を備える場合には、一部の蓄電池を充電用に、残りの蓄電池を電力供給用に、交互に切り替えて利用してもよいし、一部の蓄電池を補機42,52,62,72以外のポンプ73やヒーター74などの機器専用として利用してもよい。なお、ポンプ73やヒーター74は、自然エネルギー発電機10により発電した電力を直接利用できるようにしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態においては、破砕機42で破砕したバイオマス資源を一旦中継ホッパ50により貯蔵することとしているが、破砕機42によって破砕したバイオマス資源を直接可溶化槽60に供給することとしてもよい。これにより、システムのさらなる縮小化を図ることができる。
【0049】
さらに、本実施の形態においては、回収したバイオマス資源を受入槽40に一旦搬入することとしているが、回収したバイオマス資源を直接破砕機42に搬入することとしてもよい。これにより、システムの縮小化を図ることができるようになる。なお、本発明に係るバイオマス燃料化システム100に受入槽40を設置しない場合には、破砕機42にセンサー41を設けることとしてもよい。
【0050】
また、可溶化槽60に、メタン発酵槽70と同様に可溶化槽内の混合液を攪拌するポンプや保温するヒーターなどを備え、ポンプ73やヒーター74と同様に制御することとしてもよい。これにより、可溶化槽60内での可溶化処理を効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態として説明するバイオマス燃料化システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態において、各槽内の処理物の量の情報に基づいて、電力供給装置が判断する槽内の状態を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態において、電力供給装置が電力の供給先を決定する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 通信線
2〜7 電力供給線
10 自然エネルギー発電機
20 蓄電池
30 電力供給装置
40 受入槽
41,51,61,71 センサー
42 破砕機
50 中継ホッパ
52,62,72,73 ポンプ
60 可溶化槽
70 メタン発酵槽
74 ヒーター
80 バイオガスタンク
90 消化液槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス資源を破砕する破砕機と、
破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、
前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、
前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、
前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、
前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、
前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、
前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、
前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、
前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、
前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、
を備え、
前記電力供給装置は、前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積されたことを検知すると、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、及び前記第3の計測装置から受信した、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、及び前記メタン発酵槽内の液量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択し、選択した当該機器に所定量の電力を供給する手段を備えることを特徴とするバイオマス燃料化システム。
【請求項2】
バイオマス資源を破砕する破砕機と、
破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、
前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、
前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、
前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、
前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、
前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、
前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、
前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、
前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、
前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、
破砕した前記バイオマス資源を貯蔵する貯蔵槽と、
破砕した前記バイオマス資源を前記貯蔵槽から前記可溶化槽に移送するバイオマス移送ポンプと、
前記貯蔵槽内の貯蔵物の量を計測する第4の計測装置と、
を備え、
前記電力供給装置は、前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積されたことを検知すると、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、前記第3の計測装置、及び第4の計測装置から受信した、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、前記メタン発酵槽内の液量、及び前記貯蔵槽内の貯蔵物量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、前記排出ポンプ、及び前記バイオマス移送ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択し、選択した当該機器に所定量の電力を供給する手段を備えることを特徴とするバイオマス燃料化システム。
【請求項3】
前記第2の計測装置は、前記破砕機の運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、
前記電力供給装置は、前記第2の計測装置から通知を受けると、前記破砕機への電力供給を中止する手段を備え、
前記第3の計測装置は、前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、
前記電力供給装置は、前記第3の計測装置から通知を受けると、前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス燃料化システム。
【請求項4】
前記第2の計測装置は、前記バイオマス移送ポンプの運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、
前記電力供給装置は、前記第2の計測装置から通知を受けると、前記バイオマス移送ポンプへの電力供給を中止する手段を備え、
前記第3の計測装置は、前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、
前記電力供給装置は、前記第3の計測装置から通知を受けると、前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する手段を備え、
前記第4の計測装置は、前記破砕機の運転中に前記貯蔵槽内の貯蔵物量が所定量に達すると、その旨を前記電力供給装置に通知する手段を備え、
前記電力供給装置は、前記第4の計測装置から通知を受けると、前記破砕機への電力供給を中止する手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス燃料化システム。
【請求項5】
前記メタン発酵槽内を攪拌する攪拌装置と、
前記攪拌装置の運転停止からの経過時間を計測するタイマーと、
をさらに備え、
前記電力供給装置は、前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しており、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たないと判断した場合に、前記攪拌装置に前記電力を優先して供給する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバイオマス燃料化システム。
【請求項6】
前記メタン発酵槽内を保温するヒーターをさらに備え、
前記電力供給装置は、前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しておらず、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たないと判断した場合に、前記ヒーターに前記電力を供給する手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のバイオマス燃料化システム。
【請求項7】
前記自然エネルギー発電機が太陽光発電機であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマス燃料化システム。
【請求項8】
前記自然エネルギー発電機が風力発電機であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマス燃料化システム。
【請求項9】
バイオマス資源を破砕する破砕機と、
破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、
前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、
前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、
前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、
前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、
前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、
前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、
前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、
前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、
前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、
を備えるバイオマス燃料化システムの制御方法であって、
前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積された際に、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、及び前記第3の計測装置によって計測された、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、及び前記メタン発酵槽内の液量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択する工程と、
選択した前記機器に前記電力供給装置が所定量の電力を供給する工程と、
を含むことを特徴とするバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項10】
バイオマス資源を破砕する破砕機と、
破砕した前記バイオマス資源を生物学的に可溶化する可溶化槽と、
前記バイオマス資源を可溶化することにより得られた可溶化液をメタン発酵するメタン発酵槽と、
前記可溶化液を前記可溶化槽から前記メタン発酵槽に移送する可溶化液移送ポンプと、
前記メタン発酵槽において前記可溶化液をメタン発酵することにより得られる消化液を排出する排出ポンプと、
前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプを運転するための電力を、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機と、
前記自然エネルギー発電機により発電した前記電力を蓄える蓄電池と、
前記蓄電池に蓄えられた前記電力を、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、及び前記排出ポンプに供給する電力供給装置と、
前記破砕機で破砕する前記バイオマス資源の量を計測する第1の計測装置と、
前記可溶化槽内の液量を計測する第2の計測装置と、
前記メタン発酵槽内の液量を計測する第3の計測装置と、
破砕した前記バイオマス資源を貯蔵する貯蔵槽と、
破砕した前記バイオマス資源を前記貯蔵槽から前記可溶化槽に移送するバイオマス移送ポンプと、
前記貯蔵槽内の貯蔵物の量を計測する第4の計測装置と、
を備えるバイオマス燃料化システムの制御方法であって、
前記蓄電池に所定量以上の電力が蓄積された際に、前記第1の計測装置、前記第2の計測装置、前記第3の計測装置、及び第4の計測装置によって計測された、破砕する前記バイオマス資源の量、前記可溶化槽内の液量、前記メタン発酵槽内の液量、及び前記貯蔵槽内の貯蔵物量の情報に基づいて、前記破砕機、前記可溶化液移送ポンプ、前記排出ポンプ、及び前記バイオマス移送ポンプのうち運転が最も必要な機器を選択する工程と、
選択した前記機器に前記電力供給装置が所定量の電力を供給する工程と、
を含むことを特徴とするバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項11】
前記破砕機の運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、前記第2の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記破砕機への電力供給を中止する工程と、
前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、前記第3の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項12】
前記バイオマス移送ポンプの運転中に前記可溶化槽内の液量が所定量に達すると、前記第2の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記バイオマス移送ポンプへの電力供給を中止する工程と、
前記可溶化液移送ポンプの運転中に前記メタン発酵槽内の液量が所定量に達すると、前記第3の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記可溶化液移送ポンプへの電力供給を中止する工程と、
前記破砕機の運転中に前記貯蔵槽内の貯蔵物量が所定量に達すると、前記第4の計測装置はその旨を前記電力供給装置に通知し、通知を受けた前記電力供給装置は前記破砕機への電力供給を中止する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項13】
前記バイオマス燃料化システムは、
前記メタン発酵槽内を攪拌する攪拌装置と、
前記攪拌装置の運転停止からの経過時間を計測するタイマーと、
をさらに備え、
前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しており、かつ、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たない場合には、前記電力供給装置は前記攪拌装置に前記電力を優先して供給する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項14】
前記バイオマス燃料化システムは、前記メタン発酵槽内を保温するヒーターをさらに備え、
前記タイマーにより計測した前記経過時間が所定時間を経過しておらず、かつ、選択した前記機器によって処理される処理物が所定量に満たない場合には、前記電力供給装置は前記ヒーターに前記電力を供給する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項15】
前記自然エネルギー発電機が太陽光発電機であることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のバイオマス燃料化システムの制御方法。
【請求項16】
前記自然エネルギー発電機が風力発電機であることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のバイオマス燃料化システムの制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−313427(P2007−313427A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145777(P2006−145777)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】