説明

バイオリアクター

化石エネルギーのコストが高くなると、代替手段を使用する再生可能エネルギーの生産についての商業的魅力がさらに増してくる。再生可能エネルギーには、バイオマス、太陽エネルギー、地熱エネルギー、水力発電、または風力発電のような供給源によって生産されるあらゆるエネルギーが含まれ得る。これらのタイプの代替エネルギー源のうち、光合成独立栄養生物を使用するバイオマスの生産によっては、バイオマスを他の価値の高い産物の生産に利用できるというさらなる利点が提供される。本発明により、光合成独立栄養生物の増殖のためのデバイスと方法が提供される。本発明のデバイスと方法は、バイオリアクターの設計、光合成独立栄養生物の選択、光合成独立栄養生物の増殖、バイオマス産物の抽出、および/またはバイオマス産物の再生可能エネルギー源としての使用に関連する問題に取り組む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本願は、2007年6月22日に出願された米国仮特許出願第60/936,645号および2007年11月19日に出願された同第61/003,575号、および2008年5月12日に出願された同第61/052,562号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/936,645号、同第61/003,575号、および同第61/052,562号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
代替エネルギー源および再生可能エネルギー源についての研究は、近年、重要性が高まってきた。原油価格は過去6年間で5倍を上回るほどに高くなり、多くの地域で大幅な経済的負担が生じている。原油価格の高騰は、油田が縮小し、そしてエネルギー需要が世界中で拡大する限りは、続いていくと予想される。
【0003】
化石エネルギーのコストが高くなると、代替手段を使用する再生可能エネルギーの生産についての商業的魅力がさらに増してくる。再生可能エネルギーには、バイオマス、太陽エネルギー、地熱エネルギー、水力発電、または風力発電のような供給源によって生産されるあらゆるエネルギーが含まれ得る。これらのタイプの代替エネルギー源のうち、光合成独立栄養生物を使用するバイオマスの生産によっては、バイオマスを他の価値の高い産物の生産に利用できるというさらなる利点が提供される。例えば、藻類は、油、DHA、および油かすの生産のために増殖させることができる。油と油かすは燃焼によるエネルギー生成に利用できるが、DHAは、栄養補助食品処方物(nutraceutical formulations)に利用できる利用価値の高い産物である。
【0004】
しかし、エネルギーと他の価値の高い産物の生産のために光合成独立栄養生物を増殖させることについての経済的実現性は、少なくとも3つの異なる分野での限界が原因でなおも阻まれている。これらの分野には、光合成独立栄養生物の増殖、バイオマス産物の抽出、およびバイオマス産物の再生可能エネルギー源としての使用が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能エネルギー産物として使用できるバイオマスおよび/または工業用化学製品のロバスト生産(robust production)に光合成独立栄養生物を利用する方法とデバイスが相当必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方法とデバイスは、光合成独立栄養生物の増殖、光合成独立栄養生物の集菌、および/または光合成独立栄養生物からのバイオマス産物の抽出に利用できる。
【0007】
本発明の1つの実施形態によっては、光合成独立栄養生物を培養するための容器(上記光合成独立栄養生物は、少なくとも1つの光吸収色素を有しており、上記少なくとも1つの光吸収色素は1つ以上のピーク吸収波長を有している);および上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源を含むバイオリアクターが提供される。ここでは、1つ以上の光の波長は、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる。所望される場合には、光源は、光パルスを放射するように構成されるか、または、リアクターの外面上に配置される。光パルスは、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる。状況に応じて、1つ以上の波長には、300nmから800nmの間の波長が含まれる。
【0008】
所望される場合には、バイオリアクターの温度またはpHは、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて制御される。増殖プロフィールは、容量あたりの上記光合成生物の乾燥細胞重量で、または一定の期間の上記バイオリアクター中の上記光合成生物の光学密度で表すことができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには、光合成独立栄養生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子と、上記受光素子に動作可能であるように連結された光伝導チャンネル(light conducting channel)を含む容器が含まれる。ここでは、上記光伝導チャンネルは、上記チャンネル外部表面積の少なくとも約50%から配光する表面積を有している。光伝導チャンネルには、ガラス、プラスチック、ポリマー、または反射素子が含まれ得る。光伝導チャンネルは、実質的にはロッド様または箱様の形状であり得る。状況に応じて、光伝導チャンネルは、上記容器の内側に配置される。所望される場合には、反射素子は光伝導チャンネルの末端に配置される。
【0010】
本発明の他の実施形態においては、バイオリアクターには光合成独立栄養生物を培養するための容器が含まれる。ここでは、上記容器には、その上に取り付けられた可動ユニット(movable unit)(ここでは、上記可動ユニットは、上記容器の長さに沿って水平または垂直に移動するように構成されており、上記移動により、上記可動ユニットの一方の側に上記光合成独立栄養生物が集められる);および上記集められた光合成独立栄養生物を回収するための上記容器の長さに沿って伸びている集菌口(harvest port)が含まれる。可動ユニットには、孔のあいた構成要素またはメッシュが含まれ得る。集められた光合成独立栄養生物は液体の中に懸濁させることができる。バイオリアクターにはさらに、可動ユニット上に取り付けられたクリーニング部材または光伝導チャンネルが含まれ得る。状況に応じて、バイオリアクターにはさらに、上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源が含まれ得、ここでは、1つ以上の光の波長は、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる。
【0011】
本発明の1つの態様においては、バイオリアクターには、光合成独立栄養生物を培養するための容器、上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源、再生可能エネルギー源からの電気エネルギーの生産のためのエネルギー変換装置が含まれる。ここでは、上記エネルギー変換装置は、上記光源に動作可能であるように連結される。エネルギー変換装置は、ソーラーパネル、風力タービン、燃焼装置、蒸気タービン、ダム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択することができる。状況によっては、再生可能エネルギー源は太陽エネルギーである。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態においては、再生可能エネルギー源は、風力エネルギー、水力発電のエネルギー、バイオマスエネルギー、および熱エネルギーからなる群より選択される。電気エネルギーの生産はカーボンニュートラルであり得る。バイオリアクターにはさらに、エネルギー調整装置(energy conditioning device)またはエネルギー貯蔵装置(energy storing device)が含まれ得る。
【0013】
光源は、光パルスを放射するように構成することができる。光パルスは、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる。容器は、金属、ガラス、半導体、ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される材質から作られ得る。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには、日中に光合成独立栄養生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子と、上記太陽光の非存在下で上記光合成独立栄養生物の増殖を維持するための、上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源を含む容器が含まれる。受光素子には、以下の1つ以上が含まれ得る:光ファイバーケーブル、光採取皿(light collecting dish)、ウインドウ、パラボラトラフ集光器、または非画像化光学デバイス(non−imaging optical device)。非画像化光学デバイスは複合放物面集光器(CPC)であり得る。
【0015】
非画像化光学デバイスの集光率は、およそ0.5から6の間、およそ1.3から5の間、またはおよそ2であり得る。
【0016】
本発明の他の態様においては、バイオリアクターには、光合成独立栄養生物を培養するための容器(上記容器には、上記容器からまたは上記容器が原因である光損失を実質的に防ぐための反射素子が含まれる)、および上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源が含まれる。反射素子は、上記容器の内側に固定することができ、また外側に固定することもできる。
【0017】
本発明により、少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された1つ以上の光源を含む光源のアレイが提供される。ここでは、上記光源のアレイからの光の放射は、光合成独立栄養生物に含まれる光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に一致するように調整できるように構成される。1つ以上の光源を、上記光吸収色素の全てのピーク吸収波長を放射するように調節できるように構成することができる。状況に応じて、1つ以上の光源は、300nmから800nmの間の1つ以上の光の波長を放射するように構成される。光源のアレイには、上記光源から放射された光子を伝送するための光伝導チャンネルが含まれ得る。
【0018】
所望される場合には、光源は、光伝導チャンネルの内側に取り付けることができる。あるいは、光源は、光伝導チャンネルの外側に取り付けることもできる。光源は、光パルスを放射するように構成することができる。
【0019】
本発明により、バイオマスエネルギーと電気エネルギーの生産のための製造プラントが提供される。製造プラントには、バイオマスの生産のためのバイオリアクター(上記バイオマスには光合成独立栄養生物と容器が含まれる)、および上記バイオリアクターに動作可能であるように連結された動力装置が含まれる。ここでは、上記動力装置はバイオマスを電力と二酸化炭素に変換する。ここでは、上記二酸化炭素は、上記バイオマスの生産のために上記バイオリアクターに供給される。バイオリアクターには、上記容器に到達する1つ以上の波長を放射するように構成された光源が含まれ得る。ここでは、1つ以上の光の波長は、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる。
【0020】
本明細書中に記載されるどのバイオリアクターにおいても、バイオリアクターにはまた、バッフル、混合器;気体供給部、ガススパージャー、圧力調整弁、コンデンサー、加熱器、冷却ジャケット、のぞき窓、および配光器からなる群より選択される構成部材が含まれ得る。ガススパージャーには、バイオリアクターに気体を送るように構成された直径がおよそ0.01cm未満、およそ0.05cm未満、およそ0.1cm未満、およそ0.25cm未満、およそ0.5cm未満、またはおよそ1cm未満である1つ以上の穴が含まれ得る。バイオリアクターには、金属、ガラス、半導体、ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される材質の容器が含まれ得る。バイオリアクター中で増殖させられる光合成独立栄養生物は、藻類、細菌、ユーグレナ、珪藻類、および植物プランクトンからなる群より選択することができる。所望される場合には、藻類は、botryococcus braunii、クロレラ属、またはドナリエラ属である。光源は、発光ダイオード、レーザー、白熱電球、ガス放電バルブ(gas discharge bulb)からなる群より選択することができる。状況によっては、光源は太陽光であり得る。光源によって放射される1つ以上の波長は、上記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応し得る。
【0021】
本発明の他の態様によっては、光合成独立栄養生物を増殖させる方法、光合成独立栄養生物を集菌する方法、および/または光合成独立栄養生物からバイオマス産物を抽出する方法が提供される。
【0022】
本発明の1つの実施形態によっては、上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための光子を放射する光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクター中に含まれる培地の中で、光合成独立栄養生物を培養する工程を含む、バイオマスの生産方法が提供される。ここでは、光源は、光源に対して供給されるエネルギー1kJあたり、約50ミリグラム以上、約5ミリグラム以上、約0.5ミリグラム以上、約0.05ミリグラム以上、または約0.005ミリグラム以上の上記バイオマスのバイオマス生産効率を生じるように構成される。状況に応じて、光合成独立栄養生物は、光子吸収能力が対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較して増大するように遺伝子操作される。光合成独立栄養生物は、対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較して高いバイオマス生産能力を有するように遺伝子操作され得る。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマスの生産方法には、培地1リットルあたりのバイオマスが約0.3グラム、約1グラム、約3グラム、約5グラム、約10グラム、約15グラム、約30グラム、約50グラム、約75グラム、約125グラム、約175グラム、または約200グラムを超える条件下で、光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクター中に含まれる培地の中で光合成独立栄養生物を培養する工程が含まれる。状況に応じて、培地1リットルあたり、約0.3グラム、約1グラム、約3グラム、約5グラム、約10グラム、約15グラム、約30グラム、約50グラム、約75グラム、約125グラム、約175グラム、または約200グラムを超えるバイオマスが、約50時間未満、約40時間未満、約30時間未満、約20時間未満、約15時間未満、または約10時間未満で生産される。
【0024】
本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には、上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程(ここでは、バイオリアクターには、上記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれ、ここでは、少なくとも1つ以上の光の波長は、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる)、および上記バイオリアクターを、光合成独立栄養生物の増殖をサポートする少なくとも1つ以上の光の波長を提供するように操作する工程が含まれる。所望される場合には、1つ以上の波長は、上記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応する。
【0025】
本発明により、以下の工程を含む光合成独立栄養生物の培養方法が提供される:a)上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、上記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれる;b)上記光栄養生物の増殖プロフィールを決定する工程;およびc)工程b)の結果に基づいて少なくとも1つ以上の光の波長を調整する工程。所望される場合には、少なくとも1つ以上の波長は、増殖速度を最大にするように調整される。状況に応じて、少なくとも1つ以上の波長は、光源に対して供給されるエネルギーに関して光合成独立栄養生物の増殖を最大にするように調整され得る。本発明のいくつかの実施形態においては、この方法には、光パルスを放射するように光源を調整する工程がさらに含まれ得る。
【0026】
本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には、以下の工程が含まれる:a)上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、上記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれる;b)上記光栄養生物によるバイオマスの生産を測定する工程;およびc)工程b)の結果に基づいて少なくとも1つ以上の光の波長を調整する工程。少なくとも1つ以上の波長は、バイオマスの生産を最大にするように調整することができる。所望される場合には、この方法にはさらに、光パルスを放射するように光源を制御する工程が含まれ得る。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターから光合成独立栄養生物を集菌するための方法には、バイオリアクターの中に取り付けられた可動ユニットを作動させる工程(ここでは、上記作動には、上記バイオリアクターの長さに沿って水平または垂直に可動ユニットを移動させることが含まれる)、可動ユニットの一方の側に上記光合成独立栄養生物を集める工程、および集められた光合成独立栄養生物の溶液を回収するための上記バイオリアクターの上記長さから伸びる集菌口を通じて、可動ユニットの一方の側にある上記光合成独立栄養生物を集菌する工程が含まれる。可動ユニットには、孔のあいた構成要素またはメッシュが含まれ得る。集められた光合成独立栄養生物は、増殖培地の中に懸濁させることができる。状況に応じて、この方法にはさらに、バイオリアクターから集められた光合成独立栄養生物の溶液を貯蔵タンクに移す工程、および増殖培地から光合成独立栄養生物を分離してさらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液を形成させる工程が含まれ得る。本発明の他の実施形態においては、この方法にはさらに、水圧ラムプレス(hydraulic ram press)にさらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液を充填する工程;油を抽出するように水圧ラムプレスを操作する工程;および油を回収する工程が含まれる。光合成独立栄養生物を集菌するための方法にはさらに、光合成独立栄養生物から分離された増殖培地を回収する工程、およびこの増殖培地をバイオリアクターに戻す工程が含まれ得る。状況によっては、光合成独立栄養生物は藻類である。
【0028】
本発明により、以下の工程を含む光合成独立栄養生物の培養方法が提供される:再生可能エネルギー源から電気エネルギーを生産する工程;上記電気エネルギーを光源に電力を供給するために利用する工程(ここでは、上記光源は、上記バイオリアクター中での上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための、バイオリアクターに到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射する)。所望される場合には、エネルギー変換装置は、ソーラーパネル、風力タービン、燃焼装置、蒸気タービン、およびダムからなる群より選択される。状況に応じて、再生可能エネルギー源は太陽エネルギーである。再生可能エネルギー源は、風力エネルギー、水力発電のエネルギー、バイオマスエネルギー、および熱エネルギーからなる群より選択することができる。生産される電気エネルギーはカーボンニュートラルであり得る。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には、上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程(ここでは、バイオリアクターには、日中に上記光合成生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器が含まれる);および人工光源を使用して上記太陽光の非存在下で増殖を維持する工程が含まれる。
【0030】
本発明の他の実施形態においては、1つの方法には、上記光合成独立栄養生物の増殖のための光を放射する光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を培養する工程が含まれる。ここでは、バイオリアクターには、上記容器からまたは上記容器を通じた光損失を実質的に防ぐための反射素子を含む容器が含まれる。
【0031】
本発明によっては、製造プラントを使用してエネルギーを生産するための方法が提供される。この方法には、バイオマスを生産するためにバイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を増殖させる工程;上記バイオマスから電力と二酸化炭素を生産するために動力装置を使用する工程;および上記バイオマスの生産のための上記バイオリアクターに上記電力と二酸化炭素を供給する工程が含まれる。
【0032】
参考文献からの引用
本明細書中で言及される全ての刊行物と特許出願は、個々のそれぞれの刊行物または特許出願が具体的かつ個別に引用により本明細書中に組み入れられることが示されているかのように、同じ程度に引用により本明細書中に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、光合成独立栄養生物の増殖のための例示的な容器の説明である。
【図2】図2は、光吸収色素の例と、様々な光の波長での対応する相対吸収率を示しているグラフである。
【図3】図3は、太陽エネルギーおよび/または風力エネルギーによって動力が供給されるバイオリアクターの1つの実施形態の説明である。
【図4】図4は、太陽エネルギーとバイオマスの燃焼によって動力が供給される例示的なバイオリアクターの説明である。
【図5】図5は、再生可能エネルギーとバイオマスの燃焼によって動力が供給されるバイオリアクターの1つの実施形態を示している図である。
【図6】図6は、太陽光によって動力が供給される例示的なバイオリアクターを示す。このバイオリアクターはスキッド(skid)上に取り付けられる。
【図7】図7は、バイオマス産物の生産のためのエネルギーの流れを示している図である。
【図8】図8は、白色発光ダイオードによって放射される光のスペクトルを示しているプロットである。
【図9】図9は、例示的な発光ダイオードについての仕様書である。
【図10】図10は、例示的な発光ダイオードについての仕様書である。
【図11】図11は、例示的な非画像化光学デバイスの図である。
【図12】図12は、例示的な配光エレメント(light distributing element)の図である。
【図13】図13は、配光エレメントの1つの実施形態の図である。
【図14】図14は、コンピューターに接続された例示的な配光エレメントの図である。
【図15】図15は、光学的に透明な材質の1つ以上のプレートを含む例示的な配光エレメントの図である。
【図16】図16は、光源のアレイを含む配光エレメントの1つの実施形態の断面図である。
【図17】図17は、両面光源のアレイを含む例示的な配光エレメントの断面図である。
【図18】図18は、外部光源を持つ例示的なバイオリアクターの図である。
【図19】図19は、複数の容器と複数の外部光源を持つバイオリアクターの1つの実施形態の図である。
【図20】図20は、外部光源を持つ例示的なバイオリアクターの図である。
【図21】図21は、外部光源とともに使用されるように構成されたバイオリアクターの1つの実施形態の図である。
【図22】図22は、コンピューターによって制御される光伝導チャンネルを持つ例示的なバイオリアクターの図である。
【図23】図23は、反射壁を有している容器を持つ例示的なバイオリアクターの図である。
【図24】図24は、可動ユニットのフレームの1つの実施形態の図である。
【図25】図25は、クリーニング部材の1つの実施形態の図である。
【図26】図26は、例示的な光伝導チャンネルと、光伝導チャンネルを取り囲むように配置されたクリーニング部材の図である。
【図27】図27は、例示的なガススパージャーの図である。
【図28】図28は、光合成独立栄養生物の増殖の間に制御することができる例示的な要因を示している図である。
【図29】図29は、バイオリアクター上のモニターと制御点を示している例示的な図である。
【図30】図30は、光伝導チャンネルと光合成独立栄養生物を増殖させるための他の構成要素を支えるためのフレームを含む光伝導チャンネルの構成の1つの実施形態の図である。
【図31】図31は、フレームを持たない光伝導チャンネルの例示的な構成の図である。
【図32】図32は、バイオリアクターの処理サイクルの工程を示している例示的な図である。
【図33】図33は、バイオリアクターのサブアレイ(subarray)の1つの実施形態の図である。
【図34】図34は、コンピューターによって制御されるバイオリアクターのアレイの1つの実施形態の図である。
【図35】図35は、光合成独立栄養生物の増殖プロフィールの例示的なプロットである。
【図36】図36は、光合成独立栄養生物についての2種類の増殖プロフィールの例示的なプロットである。
【図37】図37は、バイオリアクター中で生産されたバイオマスを燃焼させることによりエネルギーを生産するための製造プラントの1つの実施形態の説明である。
【図38】図38は、増殖培地で満たされる準備ができた状態である例示的なバイオリアクターを示している図である。
【図39】図39は、中央の高さの位置(mid−level position)にバイオマス回収装置の可動ユニットを持つ例示的なバイオリアクターを示している図である。
【図40】図40は、光合成独立栄養生物の増殖のために用意された位置にバイオマス回収装置の可動ユニットを持つ例示的なバイオリアクターを示している図である。
【図41】図41は、増殖培地中に光合成独立栄養生物が接種されている例示的なバイオリアクターを示している図である。
【図42】図42は、バイオマス回収装置の可動ユニットの移動による光合成独立栄養生物の集菌を示している例示的な図である。
【図43】図43は、可動ユニットの一方の側に光合成独立栄養生物が集められているバイオリアクターを示している例示的な図である。
【図44】図44は、集菌口からの集められた光合成独立栄養生物の溶液の回収を示している例示的な図である。
【図45】図45は、バイオマス抽出装置を使用するバイオマス産物の抽出を示している例示的な図である。
【図46】図46は、分離タンク中での水性バイオマス産物と非水性バイオマス産物の分離を示している例示的な図である。
【図47】図47は、バイオマス回収装置を持つバイオリアクターの1つの実施形態を示している図である。
【図48】図48は、バイオマス回収装置、光源のアレイからの配光のために使用することができる容器、および反射体を持つバイオリアクターの1つの実施形態の説明である。
【図49】図49は、複数の光伝導チャンネルと1つのバイオマス回収装置を持つ例示的なバイオリアクターの説明である。
【図50】図50は、バイオマス回収装置と、光源のアレイからの配光のために使用することができる1つの容器を持つ例示的なバイオリアクターの説明である。
【図51】図51は、バイオマスの生産のためのバイオリアクターのアレイの1つの実施形態を示している図である。
【図52】図52は、バイオマスの生産のための回収タンクを持つアレイバイオリアクターの1つの実施形態を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明により、再生可能エネルギー源として使用することができるバイオマスおよび/または工業用化学製品を生産するために光合成独立栄養生物を使用するための、デバイスと方法が提供される。本発明のデバイスには、バイオマス抽出デバイスおよびバイオマス燃焼プラント、ならびにバイオリアクターおよび1つ以上の光合成独立栄養生物を増殖させ、集菌するための構成要素がその中に含まれるが、これらに限定されない。中でも、バイオリアクターの構成要素には以下が含まれ得るが、これらに限定されない:(1)エネルギーを回収し、バイオリアクター、光の生産、伝達、および配光のためのデバイスに対して光の形態でエネルギーを伝達するためのデバイス、(2)増殖条件をモニターし、制御するためのデバイス、および(3)バイオリアクターから1つ以上の光合成独立栄養生物を集菌するためのデバイス。本発明によってはまた以下も提供されるが、これらに限定されない:(1)バイオリアクターに対して光または他の資源を送るための方法、(2)1つ以上の光合成独立栄養生物の効率的な増殖のための増殖パラメーターの制御方法、(3)1つ以上の光合成独立栄養生物を集菌するための方法、(4)バイオマスの抽出のための方法、および(5)バイオマスから再生可能エネルギーを生産するための方法。
【0035】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示されており、記載されているが、そのような実施形態が単に例として提供されることは当業者に明らかであろう。本発明のデバイスおよび/または方法は個別に使用することができ、また、光合成独立栄養生物を使用するバイオマスの効率的な高生産のための当業者に公知の様式で、他のデバイス、方法、および/またはシステムと組み合わせることもできる。
【0036】
本発明のデバイス
バイオリアクターには、1つ以上の光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための1つ以上の構成要素が含まれ得る。これらの構成要素には、増殖培地を含ませるための装置、太陽光を集めるためのデバイス、バイオリアクターに電力を供給するための熱エネルギー、水力発電のエネルギー、または風力エネルギー、光の生産、伝送、および配光のためのデバイス、増殖条件をモニタリングし、制御するためのデバイス、ならびに、バイオリアクターから1つ以上の光合成独立栄養生物を集菌するためのデバイスが含まれ得る。
【0037】
本発明の1つの態様においては、バイオリアクターには、光合成独立栄養生物を培養するための容器(上記光合成独立栄養生物は少なくとも1つの光吸収色素を有しており、少なくとも1つの光吸収色素は1つ以上のピーク吸収波長を有している);および、上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源が含まれる。ここでは、1つ以上の光の波長は、上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには、光合成独立栄養生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器;および上記受光素子に対して動作可能であるように連結された光伝導チャンネルが含まれる。ここでは、上記光伝導チャンネルは、上記チャンネルの表面積の少なくとも約50%から光を伝送する表面積を有している。
【0039】
本発明の別の実施形態においては、バイオリアクターには光合成独立栄養生物を培養するための容器が含まれる。ここでは、上記容器には、その上に取り付けられた可動ユニットが含まれる。ここでは、上記可動ユニットは、上記容器の長さ方向に沿って水平または垂直に平行に移動するように構成されている。ここでは、上記移動により、上記可動ユニットの一方の側に上記光合成独立栄養生物が集められる;そして上記集められた光合成独立栄養生物を回収するための集菌口が、上記容器の上記長さから伸びている。
【0040】
本発明により、光合成独立栄養生物を培養するための容器、上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源、および再生可能エネルギー源からの電気エネルギーの生産のためのエネルギー変換装置を含むバイオリアクターが提供される。ここでは、上記エネルギー変換装置は、上記光源に対して動作可能であるように連結される。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには、日中に光合成独立栄養生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器;および上記太陽光の非存在下で、上記光合成独立栄養生物の増殖を維持するための、上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源が含まれる。
【0042】
本発明の他の実施形態においては、バイオリアクターには、光合成独立栄養生物を培養するための容器(上記容器には、上記容器からまたは上記容器が原因である光損失を実質的に防ぐための反射素子が含まれる);および上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための上記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源が含まれる。
【0043】
本発明の別の態様においては、光源のアレイには、少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された1つ以上の光源が含まれる。ここでは、上記光源のアレイからの光の放射は、光合成独立栄養生物の中に含まれる光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に一致するように調整できるように構成される。
【0044】
本発明により、バイオマスと電気エネルギーの生産のための製造プラントが提供される。これには、バイオマスの生産のためのバイオリアクター(上記バイオマスには光合成独立栄養生物と容器が含まれる)と、上記バイオリアクターに動作可能であるように連結された動力装置(ここでは、上記動力装置は、上記バイオマスを電力と二酸化炭素に変換し、上記二酸化炭素は、上記バイオマスの生産のために上記バイオリアクターに供給される)が含まれる。
【0045】
容器
バイオリアクターには、増殖培地を実質的に水漏れなく閉じ込めることを可能にする、任意のタイプの容器が含まれ得る。容器は、光合成独立栄養生物を培養するために使用することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、容器は、搬送容器、貯蔵用の空気袋(storage bladder)、またはプール(pool)のような既存の容器であり得る。あるいは、容器は、ガラス、コンクリート、ポリマー、金属、半導体、またはそれらの任意の組み合わせのような材質から加工され得る。使用できる金属としては、鋼鉄、アルミニウム、鉄、銅、青銅、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。容器の形態は、実質的な箱様、円柱様、球形または任意の他の形状であり得る。容器の壁は、弾力性があるか、または柔軟性がないか、あるいはそれらの任意の組み合わせであり得る。容器は、周囲の条件に対して正圧または負圧を維持できるようなものであり得る。容器の一例が図1に示される。図1は、水および栄養素の投入口(114)、排水管(116)、および集菌口(112)を持つタンクまたは容れ物(vessel)(110)を示す。排水管は、光合成独立栄養生物の培養液の除去、死滅した光合成独立栄養生物の除去、またはタンクまたは容れ物の底に蓄積する任意の他の物質および液体の除去のために使用することができる。タンクまたは容れ物は、1つ以上の集菌口を有し得る。1つ以上の集菌口は、タンクまたは容れ物からの物質および液体の除去のために使用できる。タンクは、タンクの高さに沿って、上部、中央部、および下部の位置を有し得る。本発明のいくつかの実施形態においては、集菌口は、タンクの上部、タンクの中部、またはタンクの下部に近いタンクの側面から伸びる。1つ以上の集菌口は、タンクから液体または物質を除去するために使用することができる。
【0046】
容器の内壁は、反射性物質でコーティングすることができ、また反射性物質から構築することもできる。反射性物質は、容器の壁を光が透過することまたは容器の壁への光エネルギーの吸収が原因である光の損失を小さくすることができる。容器の壁による、および/または容器の壁が原因である光損失の量を少なくすることにより、バイオリアクターの中で増殖させられる1つ以上の光合成生物が使用できる光の量を増加させることができる。反射性物質の一例としては、アルミニウムシート、ポリマー、銀、または酸化アルミニウムを挙げることができる。反射性物質として使用できる商品としては、Alcoa社によるEverbrite(登録商標)またはDupont社によるMylar(登録商標)が挙げられる。反射性物質は、1種類以上の光合成独立栄養生物の増殖をサポートするために使用される1つ以上の光の波長に対して高い反射性を有するように選択することができる。反射性物質は、入射光の98%まで、またはそれ以上を反射することができる。反射性物質は、さらなる配光の機能のためのオプションとして、平滑化される、ザラザラに加工される(textured)、または成形される場合がある。
【0047】
本発明の他の実施形態においては、容器の壁は光学的に透明であり、壁の外表面は反射性物質でコーティングされる。壁は、容器の内壁上に入射する光が壁を通り抜けて反射性物質に伝送され、その後、ここで光が容器の内側へと反射して戻されるようなものであり得る。
【0048】
バイオリアクターの大きさは、光合成独立栄養生物の経済的採算性のある増殖に適している任意の大きさであり得る。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターは、およそ20フィートの幅×40フィートの長さ×20フィートの深さであり得る。本発明の他の実施形態においては、バイオリアクターは1立方フィートの容積である。バイオリアクターの寸法は、バイオリアクターの構成要素がバイオマスを効率的に生産できるように選択することができる。
【0049】
生物
任意のタイプの光合成独立栄養生物を、本明細書中に記載されるデバイスおよび/または方法を使用して増殖させることができる。本発明のいくつかの実施形態においては、1種類、2種類、3種類、またはそれ以上の光合成独立栄養生物を、同時に、連続して、またはそれらの任意の組み合わせでバイオリアクターの中で増殖させることができる。本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物は、光化学合成生物(photochemotrophic organism)または従属栄養生物を、同時に、連続して、またはそれらの任意の組み合わせで増殖させることができる。光合成独立栄養生物と同時に、または連続して増殖させることができる従属栄養生物としては、ティラピア、コイ科の魚、またはシーバスのような魚類、カニを挙げることができる。
【0050】
光合成独立栄養生物は、水生の光合成独立栄養生物および陸生の光合成独立栄養生物に分類することができる。増殖させることができる陸生の光合成独立栄養生物の例としては、ススキ(miscanthus)、スイッチグラス(switchgrass)、パイン(pine)、トウモロコシ(corn)、および大豆が挙げられる。水生の光合成独立栄養生物の例としては以下が挙げられる:chiarella vulgaris、haematococcus、stichochoccus、bacillariophyta(黄金藻類)、cyanophyceae(藍藻類)、chlorophytes(緑藻類)、クロレラ、botryococcus braunii、シアノバクテリア、prymnesiophytes、coccolithophorads、neochloris oleoabundans、scenedesmus dimorphus、atelopus dimorphus、euglena gracilis、ドナリエラ、dunaliella salina、dunaliella tertiolecta、珪藻、bacillariophyta、chlorophyceae、phaeodactylum tricornutum、stigmatophytes、dictyochophytes、およびpelagophytes。
【0051】
光合成生物または光合成独立栄養生物は、ロバスト性、増殖の改善、またはバイオマス生産の改善に基づいて選択することができる。増殖の改善は、時間の基準で、または供給される栄養素(例えば、光または二酸化炭素)の基準で測定することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、光合成生物は、光合成生物に属する1つ以上の光吸収色素に基づいて選択することができる。光吸収色素としては、以下を挙げることができる:カロテノイド、カロチン、α−カロチン、β−カロチン、フィコビリン、フィコシアニン、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、フコキサンチン、キサントフィル、ルテオール、フコキサントール、ヴィオラキサントール(violaxanthol)、クロロフィルA、クロロフィルB、クロロフィルc1、クロロフィルc2、またはクロロフィルd。光吸収色素は、1つ以上の波長を優先的に吸収することができる。図2に示されるように、クロロフィルAは、およそ430nmから670nmの間の光を優先的に吸収し、そしてクロロフィルBは、およそ470nmから650nmの光を優先的に吸収する。同様に、カロテノイド、フィコエリトリン、およびフィコシアニンによって優先的に吸収される波長が示される。
【0052】
光合成生物には、1つ以上の光吸収色素が含まれ得る。例えば、全ての植物、藻類およびシアノバクテリアには、クロロフィルAが含まれ、シアノバクテリアにはフィコビリンが含まれ、緑藻類にはクロロフィルBが含まれ、赤藻類にはフィコエリトリンが含まれ、茶藻類および珪藻類にはフコキサンチンが含まれる。これらの光吸収色素は、光合成生物において光合成を駆動するために使用され得る。
【0053】
光合成独立栄養生物は、ロバスト性、増殖の改善、またはバイオマス生産の改善のために改変することができる。増殖の改善は、増殖プロフィールに基づいて決定することができる。増殖プロフィールは、容積あたりの光合成独立栄養生物の乾燥細胞重量、または一定期間の上記光合成独立栄養生物の光学密度の測定によってあらわすことができる。
【0054】
増殖の改善は、対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較することができる。増殖の改善またはバイオマス生産は、時間を基準として、または供給される栄養素(例えば、光、二酸化炭素、もしくは増殖培地)を基準として測定することができる。光合成独立栄養生物は、無作為な突然変異誘発、合理的な突然変異誘発、指向進化、またはそれらの任意の組み合わせを行うことによって改変することができる。指向進化には、生物の変異体のライブラリーを作製すること、および所望される特性について変異体をスクリーニングすることが含まれ得る。本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物は、代謝工学を使用して改変され得る。
【0055】
本発明において使用される光合成独立栄養生物(例えば、藻類)は、本発明のバイオリアクターの中での増殖のために使用される特異的環境および操作条件に予め適応させ、そして予め馴化させることができる。バイオマスまたはバイオマス産物の生産のためにバイオリアクターの中で利用される藻類の生産性と長期にわたる信頼性は、その中でバイオリアクターが利用されるであろう条件と地域に本来存在するか、またはそのような条件と地域に別の方法で十分に適している藻類株および種を利用することによって高めることができる。
【0056】
当該分野で公知であるように(例えば、Morita,M.,Y.Watanabe,and H.Saiki,「Instruction of Microalgal Biomass Production for Practically Higher Photosynthetic Performance Using a Photobioreactor.」Trans IchemE.第79巻,Part C,2001年9月)、特定の条件設定に曝されており、その条件設定下で増殖することができる藻類培養物は、類似する条件下での長期にわたる増殖および生産性にさらに適応させることができる。本発明では、特定の期待される操作条件の設定のもとでそれらの長期にわたる生存性と生産性を高めるために、再現可能な方法で、そして予想通りに予め馴化させられ、そして予め適応させられたか、あるいはそのようにすることができる光合成独立栄養生物を利用することができる。光合成独立栄養生物は、他の望ましくない藻類株が混入しているそのような藻類種がバイオリアクターに接種され、時間とともにバイオリアクターの中の藻類培養物において優性となることを防ぐために、予め馴化させ、予め適応させることができる。
【0057】
藻類の所望される株を、細心の注意を払って滅菌されていない、外部環境から密閉される条件で維持されるバイオリアクターの中で維持することは困難であり得る。この理由は、そのようなバイオリアクターの中で利用される藻類の株が、使用される条件に十分に適応できないかまたはそのような条件について最適化されない可能性があり、そして他の空気中の固有の藻類の株は局所的な環境により適切に馴化し、結果として、これらがバイオリアクターに混入する能力を有する場合には、これらが優性となる傾向があり、最終的には所望される藻類種にとってかわるであろうからである。このような現象は、予め馴化させられ、予め適応させられた光合成独立栄養生物を使用することによって、軽減するおよび/または排除することができる。藻類の株の使用によっては、実際のバイオリアクターシステムの中での藻類培養物の生産性を高め、寿命を長くし、それにより資本コストと運転コストを下げることができるだけではなく、それぞれ、操作の前および間にバイオリアクターシステムを滅菌し、環境的に単離する必要性が排除されることによって運転コストも下げることができる。
【0058】
典型的には、市販されている藻類培養物は、通常の研究室条件下で増殖させられるように適応させられている。したがって、そのような市販されている藻類培養物は、藻類がバイオマスの生産のために曝されると予想される露出光、気体の供給、温度などの1つ以上の条件下で増殖させられるには十分には適していない場合がある。例えば、ほとんどの市販されている藻類培養物は、1秒あたり1平方メートルあたり150マイクロアインシュタイン(150μEm−2−1)のような比較的低い光レベルでの増殖のために馴化される。そのような培養物のバイオリアクター中での日光への暴露によっては、2,500μEm−2−1またはそれ以上の光度に生物を曝す可能性があり、そして実質的な光阻害を引き起こす可能性があり、これによって、そのような培養物を適切に生存および/または増殖できなくさせてしまい、したがって、バイオリアクターに侵入する可能性がある有害な天然の種とうまく競合できなくしてしまう可能性がある。したがって、本発明の1つの態様は、本発明のバイオリアクターの中で経験すると予想される光度および期間に予め馴化させられ、予め適応させられた光合成独立栄養生物を利用することである。
【0059】
加えて、バイオリアクターは、特定の実施形態においては、比較的高頻度の光調節サイクルまたは間欠型の光(intermittent light)に対して藻類を供するように構成され得、操作され得る。そのような高頻度の光調節または間欠型の光は藻類の増殖に有効であり得るが、適応していない、馴化されていない藻類の株は、そのような条件下での増殖に十分に適応できず、そして理想的に適していない可能性がある。したがって、特定の実施形態においては、藻類の株は、本明細書中に記載される高頻度の光調節または間欠的な光の送達の条件下での増殖のために予め適応させ、予め馴化させることができる。同様に、特定の実施形態において本発明のバイオリアクターによって除去され得る典型的な燃焼排ガスの中に見られる多くの成分は、燃焼排ガスの中で見られ得る濃度で、適応させられていない藻類の株に対して致死的な毒性がある場合があり、および/または適応させられていない藻類の株の増殖を実質的に阻害する場合もある。例えば、燃焼排ガス中のCO、NO、SO、および重金属(例えば、Hg)の濃度は、多くの適応していない藻類の株にとって毒性または有害であり得る。本発明により、そのような毒性または有害な気体への暴露に対して予め馴化させられた、予め適応させられた光合成独立栄養生物の利用が提供される。
【0060】
エネルギーの供給
本発明のバイオリアクターでは、様々な目的のためにエネルギーを利用することができる。これらの目的としては、加熱または冷却を可能にする光の供給、気体の圧縮、または電力の供給が挙げられる。本発明のバイオリアクターは、従来の供給源から、または再生可能エネルギー源から得られた電力を使用して動力が供給され得る。再生可能エネルギー源(例えば、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマスエネルギー、熱エネルギー、または水力発電のエネルギー)の使用には、再生可能エネルギー源の電力への変換ためのエネルギー変換装置が必要であり得る。水力発電のエネルギーには、流体力を使用して生産することができる任意のエネルギーが含まれ得る。例えば、水力発電のエネルギーは、潮位変化、波、水路(water passageways)、または水位の変化を利用できる。再生可能エネルギー源を使用する際に実行され得る他のデバイスとしては、エネルギー貯蔵装置、インバーター、またはエネルギー調整装置を挙げることができる。
【0061】
再生可能エネルギー源を電力に変換することができるデバイス(本明細書中では、エネルギー変換装置ともよばれる)としては、ソーラーパネル、太陽熱デバイス(solar thermal device)、風力タービン、燃焼装置、蒸気タービン、ダム、水車、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。当業者に公知であるエネルギー変換のための他のデバイスは、エネルギー変換装置であり得る。電気エネルギーを生産するためのデバイスはカーボンニュートラルであり得、これは、再生可能エネルギー源からの電気エネルギーの生産の際にそれ以上の炭素が生じないことを意味している。炭素生産の計算には、再生可能エネルギー源の増殖と生産が含まれ得る。
【0062】
特に、ソーラーパネルが、太陽エネルギーから電気エネルギーを生産するためには有用であり得る。ソーラーパネルには、太陽エネルギーの電気エネルギーへの変換のための1つ以上のタイプのpn接合点が含まれ得る。pn接合点のタイプの例としては、シリコン、GaAs、AlGaAs、銅インジウムジセレニド(cupric indium diselenide)、CdTe、および当業者に公知の他の半導体材料が挙げられる。太陽電池には、1つ以上の光波長の範囲の回収のための1つ以上のタイプのpn接合点が含まれ得る。ソーラーパネルは、当業者に公知のペイントオンソーラーパネル(paint on solar panel)であり得る。本明細書中に記載される太陽電池または任意の太陽光デバイスは、太陽光源を追尾するためのデバイスの上に取り付けることができる。本明細書中に記載される集光器(light concentrator)または任意のタイプの集光器は、太陽エネルギーを利用する任意のデバイスと組み合わせて使用することができる。
【0063】
あるいは、太陽エネルギーは、太陽熱電子システム(solar thermionic system)を使用して電気エネルギーに変換することができる。太陽熱電子システムは太陽エネルギーを集め、太陽エネルギーを熱へと変換することができる。熱は、電力を発生させるためのタービン(例えば、蒸気タービン)に動力を供給するために使用することができる。太陽熱電子デバイス(solar thermionic devices)は、米国特許第6,302,100号および同第3,467,840号に記載されている。これらはいずれも、引用により本明細書中に組み入れられる。
【0064】
燃焼装置には、化学エネルギーに由来するバイオマスまたは任意の材料を燃焼産物(例えば、熱、二酸化炭素、および水)に変換させるためのチャンバーが含まれ得る。熱は、液体を気体へと(例えば、水を水蒸気へと)変換させるために使用することができ、そして、電力を発生させるためのタービンに動力を供給するために使用することができる。二酸化炭素と水は、本明細書中に記載されるバイオリアクターの中での光合成独立栄養生物の増殖のための栄養素として使用することができる。燃焼装置において使用されるバイオマスは、本明細書中に記載されるバイオリアクターの中で増殖させられた光合成独立栄養生物の増殖によって生産されたバイオマスであり得る。
【0065】
風力タービンは、風力エネルギーを電気エネルギーへと変換するために使用することができる。風力タービンは、垂直軸風力タービンまたは水平軸風力タービンであり得る。風力タービンは当業者に公知の任意の風力タービンであり得る。
【0066】
エネルギー貯蔵装置(これには、バッテリーが含まれ得る)は、過剰のエネルギーを貯蔵するために使用することができる。これにより、バイオリアクターが、再生可能エネルギー源の非存在下、または再生可能エネルギー源から発生した動力の量が変化する条件下で動力を供給することが可能となり得る。バッテリーは、リチウムイオンバッテリー、鉛を基材とするバッテリー、または当業者に公知である任意の他のタイプの再充電可能なバッテリーであり得る。これは、例えば、太陽エネルギーが利用できない夜に太陽光型(solar powered)バイオリアクターを作動させるため、または利用できる風力エネルギーの量が変化する場合に風力型バイオリアクターを作動させるために有用であり得る。
【0067】
インバーターは、交流電源機構を直流電源機構へと、およびその逆へと変換させるために使用することができる。これにより、直流電源機構が搭載される必要がある場合に、エネルギー変換装置が交流電源機構を生じる際の、またはその逆の場合に直面する問題を軽減することができる。
【0068】
エネルギー調整装置は、エネルギー変換装置から、および/またはバッテリーからの電力供給を正常化させるために使用することができる。エネルギー調整装置は、バイオリアクターの中の電気設備に不適切な電力量が供給されないように、バイオリアクターに電力に供給される電力供給を安定化させることができる。
【0069】
電気エネルギー供給システムの1つの実施形態が図3に示される。電気エネルギー供給システムには、ソーラーパネル(378)、風力タービン(375)、エネルギー調整装置(380)、バッテリー(381)、およびインバーター(382)が含まれ得る。ソーラーパネルは、太陽から放射され(372)、ソーラーパネル(378)上に衝突する(373)光子を通じて、太陽(371)によって生産された太陽エネルギーを受け取ることができる。ソーラーパネルは、太陽エネルギーを電気エネルギーへと変換させることができ、これは、第1の電気的接続(379)を介してエネルギー調整装置へと伝送される。風力タービンは、風力エネルギー(374)を電気エネルギーへと変換させることができる。風力タービンは、塔の上に、または他の展開用設備(deployment hardware)(376)によって支えられ得る。風力タービンによって生産された電気エネルギーは、第2の電気的接続(377)を通じてエネルギー調整装置へと伝送され得る。エネルギー調整装置は、バッテリーにエネルギーを伝送する前に、風力タービンおよびソーラーパネルからの電気エネルギーを正常化させることができる。バッテリーは、要求に応じてエネルギーを供給するためにエネルギーを貯蔵することができる。エネルギーはインバーターを使用して交流電流へと変換させることができる。インバーターからの電流は、鉛蓄電池負極(383)と鉛蓄電池正極(385)を使用して負荷のために供給され得る。鉛蓄電池負極は地面(384)に繋がれ得る。
【0070】
電気エネルギー供給システムの別の実施形態が図4に示される。バイオリアクター(303)には、光起電性パネル、光合成独立栄養生物を増殖させるための容器、および光のアレイが含まれる。バイオリアクターには、太陽(301)からの太陽光線(302)によって動力が供給される。光合成独立栄養生物は、増殖培地を形成させるためのプレ混合バット(pre−mixing vat)(304)の中で、水および他の栄養素と混合され得る。水(322)が、供給源からプレ混合バットの中に、制御されたパイプライン(323)を通じて供給される。光合成独立栄養生物と増殖培地は、投入用パイプライン(319)を通じてバイオリアクターに供給される。バイオリアクターの中にある増殖培地によって吸収されなかった反応性の気体(例えば、酸素)と任意の供給原料である気体(feedstock gas)は、特異的な発明によっては、出口パイプ(318)を通じて排出される。出口パイプには、モニタリング部材(monitoring element)が含まれ得る。モニタリング部材は、酸素、二酸化炭素、窒素酸化物、および硫黄酸化物のような、バイオリアクターの中に存在している気体をモニタリングするために使用することができる。
【0071】
バイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物と増殖培地は、出口パイプライン(313)を通じてバイオリアクターから、第2の保持バット(305)の中に出され得る。逆流パイプライン(return pipeline)(316)を使用して、第2の保持バットからプレ混合バットへと材料を移動させることができる。
【0072】
第2の保持バットの中の、バイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物と増殖培地は、乾燥のために、パイプライン(314)を通じて蒸発器(306)へと運ばれる。蒸発器の中の液体は蒸発させることができるか、またはサイフォンで除去することができる。蒸発させられた液体はコンデンサー(307)の中に集められ、その後、プレ混合バットに送られる。固体であるバイオマスと他のバイオマス産物は、燃焼による熱の生産のために、燃焼装置(308)に供給され得る。
【0073】
Rankineまたは他の熱力学サイクルを利用する熱機関(321)(例えば、蒸気エンジン、または当該分野で公知の他の熱機関)は、電気エネルギーの生産のために熱を利用することができる。燃焼および電力生成プロセスによって使用されなかった熱(311)は、当該分野で公知の手段によって蒸発器(306)へと運ばれて、液体培地の蒸発の動因となる。電力(310)は、熱機関(321)によって生産され、バイオリアクターおよび本明細書中に記載される他の構成要素または構成部材に電力を供給するために使用され得る。余剰電力は貯蔵され得るか、または別の場所に運ばれ得る。燃焼装置の中でのバイオマスの燃焼によって、COと他の燃焼排ガス(312)が生じ、これらは熱機関へと送られ、次いで、光合成独立栄養生物の増殖のためにバイオリアクターへと送られ得る。
【0074】
光源
光の供給は、光合成独立栄養生物の増殖を維持するための構成要素である。本発明の光の送達システムには、人工の光または自然光を使用するデバイスが含まれ得る。人工の光には、任意の電動光源によって生産された光が含まれ得る。自然光には、太陽光、環境において自然界で見られる任意のタイプの光、または人工の光ではない任意のタイプの光が含まれ得る。人工の光と自然光の両方を利用することにより、広範囲の条件下で様々な環境下で機能し得る強固なバイオリアクターが可能となり得る。光源は、光合成独立栄養生物の増殖のために構成することができる。光源は、1つ以上の波長を放射するように、光パルスを放射するように、光を間欠的に放射するように、または光合成独立栄養生物の増殖に基づく光度を放射するように、または光合成独立栄養生物によるバイオマス産物の生産のために、構成することができる。
【0075】
電動光源には、発光ダイオード、ガス放電バルブ、レーザー、白熱電球、高圧ナトリウムバルブ、またはハロゲン化金属バルブが含まれ得る。ガス放電バルブの一例は、蛍光電球であり得る。光源は、1つの範囲の光の波長を放射するように、1つの範囲の光度を放射するとうに、および/または電力を有効な範囲の光に変換するように構成する、あるいは選択することができる。「Light−emitting Diodes」,第2版,E.Fred Schubertで議論されているように、様々な光源が、様々な発光効率を有し得る。例えば、光源は以下の効率を有し得る:タングステンフィラメント−15から20lm/ワット、石英ハロゲン−20から25lm/ワット、蛍光−50から80lm/ワット、水銀蒸気−50から60lm/ワット、金属ハロゲン化物−80から125lm/ワット、高圧ナトリウム−100から140lm/ワット、有機LED−1,300から130,000lm/ワット、およびIII−V LED−13,000,000から130,000,000lm/ワット。このように、いくつかの光源は、電力を光へと変換することに関して他のものよりも有効であり得る。
【0076】
光子のエネルギーは、その周波数とプランク定数の関数である。この関係はE=hν=h*c/λによってもたらされる。ここでは、プランク定数h=6.626×10−34ジュール−秒であり、νは、光子の周波数であり、光の速度c=3×10m/sであり、そしてλは光の波長である。
【0077】
光源は、エネルギーを光子へと変換することにおいて、電力のジュールの形態でのエネルギー入力によって割り算された光子の形態でのエネルギー出力に基づく割合(%)としてあらわされる効率を有し得る。この効率は、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または99%以上であり得る。
【0078】
光源は、所望される範囲の光の波長または光のスペクトルを生じることができる。波長の範囲は、0.5nm、1nm、3nm、5nm、10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、またはそれ以上にまたがり得る。
【0079】
光源は、持続型または間欠型の光の放射を有するように構成することができる。光の間欠型の放射については、光の放射は規則的であっても、また不規則であってもよい。規則的な光の放射については、周波数は、0.05Hzから2000Hz、5Hzから1000Hz、または10Hzから500Hzであり得る。光は、全時間のうちの1〜95%、5〜90%、または10〜80%で放射され得る。経時的な光度は、光度の波形によって記載され得る。光度の波形は、三角形、鋸歯状、四角形、正弦曲線、または任意の他の所望される形状であり得る。
【0080】
他のタイプの光源に加えて、発光ダイオードは、電力を光へと効率よく変換させることができ、特定の波形の光を生じることができる光源の一例である。発光ダイオードはまた、コストが低い、長持ちする、および丈夫であるというような他の利点も提供し得る。発光ダイオードは、生じる波長の範囲に基づいて選択することができ、その結果、生じる波長の範囲は、光合成独立栄養生物の増殖に必要な波長により一致する。光合成独立栄養生物は、1つ以上のピーク吸収波長を有し得る。光源によって放射される1つ以上の波長は、光合成独立栄養生物少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応し得る。
【0081】
発光ダイオードは、ワット数の要件、光出力の範囲、優勢な放射波長、光度、作動温度、または大きさに関して特定することができる。例えば、発光ダイオードの仕様が図9および図10に示される。図9および図10に示される発光ダイオードの光出力の範囲は、波長に対してμW/分をプロットした図10のグラフに示される。このグラフは、発光ダイオードが2つのピークの光放射波長を有し得ることを示している。2つのピークの光の放射波長は、およそ445nmと655nmであり得る。発光ダイオードは、波長の1つの範囲(例えば、およそ425nmから500nmと、およそ610nmから690nm)にまたがる光の1つの範囲を放射することができる。発光ダイオードは、任意の発光ダイオードの供給元から購入することができる。
【0082】
本発明の別の実施形態においては、2つのピークの光の放射波長を有している発光ダイオードを、光合成独立栄養生物の増殖のためのバイオリアクターに光を供給するために使用することができる。2つのピークの光の放射波長は、およそ445nmと655nmであり得る。光合成独立栄養生物は、クロロフィルAを含む生物であり得、ここでは、クロロフィルAは、およそ460nmと670nmであるピークの光吸収波長を有する。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態においては、太陽光を、バイオリアクターに光を提供するための単一の光源として使用することができ、また、太陽光を、人工の光源と組み合わせて使用することもできる。受光素子は、太陽光を集め、そしてバイオリアクターに対して太陽光を向けるために使用することができる。受光素子には、ガラス、ポリマー、または金属が含まれ得る。受光素子には、1つの領域に向かう光を集め、より小さい領域に光を集めることができる任意の集光器が含まれ得る。本発明のいくつかの実施形態においては、受光素子には、以下の1つ以上が含まれる:光ファイバーケーブル、光採取皿、ウインドウ、パラボラトラフ集光器、または非画像化光学デバイス。例えば、非画像化光学デバイスは、複合放物面集光器であり得る。図11に示されるように、複合放物面集光器は、受け入れ角(acceptance angle)、放物線の軸、放物線、レシーバー開口部、そして複合放物面集光器の軸を有し得る。複合放物面集光器は、広い受け入れ角を有し得る。受け入れ角は、10度20度、30度、40度、50度、60度、70度、80度、90度、100度、120度、130度、150度、または170度より大きい角度であり得る。受け入れ角は、10度未満、20度未満、30度未満、40度未満、50度未満、60度未満、70度未満、80度未満、90度未満、100度未満、120度未満、140度未満、160度未満、または180度未満であり得る。複合放物面集光器はまたも集光率を有し得る。集光率は以下の式によって決定することができる。
【0084】
集光率=1/[sin(受け入れ角/2)]
複合放物面集光器の集光率は、およそ0.5から6の間、およそ1.3から5の間、またはおよそ2であり得る。複合放物面集光器は、太陽の動きを持続的に、1時間ごとに、毎日、毎週、または毎月追跡するように調整することができる。
【0085】
光の伝送と配光
光合成独立栄養生物の増殖に伴う1つの共通の問題点は、光合成独立栄養生物の最適な増殖のための光の伝送と配光である。多量の光合成独立栄養生物の増殖は、光源の物理的な閉鎖によって光の伝送と配光を妨げる可能性があり、それにより、光合成独立栄養生物の中で光合成が起こることが妨げられる。この問題は、バイオリアクター内部での光の送達を改善することによって回避することができる。光の送達の改善は、増殖培地の中に光を放射することができる表面を増大させることによってもたらされ得る。バイオリアクターへ、およびバイオリアクターの内部への光の送達には、光伝送路(light transmitter)と配光器が含まれ得る。光伝送路と配光器は、バイオリアクターの内側または外側に配置された光源から光を伝送し、より大きな領域全体に光を配光させるために使用することができる。光伝送路および配光器は光伝導チャンネルであり得る。
【0086】
光伝導チャンネルは、広い範囲の光の波長が光伝導チャンネルの内部へと伝送され得るか、または光伝導チャンネルによる吸収が原因である光の実質的な損失を伴わずに光伝導チャンネルから配光され得るようなものであり得る。光伝導チャンネルは、光伝導チャンネルの一部がバイオリアクターの内部に配光できるように構成され得る。配光できる光伝導チャンネルの部分は、チャンネルの外表面積のうちの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、または80%であり得る。光伝導チャンネルは、配光に使用される外表面積から実質的に均一な光度が放射されるように構成され得る。図12に示されるように、光伝導チャンネルは、均一な配光を容易にするために凸面(12)を利用することができる。
【0087】
光伝導チャンネルには、1種類以上の材質が含まれ得る。1種類以上の材質には、ガラス、プラスチック、ポリマー、または反射素子が含まれ得る。本発明のいくつかの実施形態においては、光ファイバーケーブルは、光を伝送するために使用することができる。使用することができる特定のタイプのガラスは、例えば、Pyrex(登録商標)であり得る。本発明の他の実施形態においては、光伝導チャンネルは、ガラスプレートであり得る。光伝導チャンネルは、これが、バイオリアクターが増殖培地で満たされた際の、静水圧または任意の他の力に耐えることができるように構築され得る。例えば、光伝導チャンネルは、高強度の材質を使用して構築することができる。光伝導チャンネルは中身が詰まったものであっても、また、中空であってもよい。中空光伝導チャンネルは、空気もしくは液体で満たすことができ、または真空を維持することができる。図12および図15に示されるように、光伝導チャンネルの形状は、実質的には、ロッド様または箱様であり得る。図12に示されるように、反射素子は、配光を高めるために、光伝導チャンネル(30)の末端に、または光伝導チャンネルの中の任意の他の位置に配置され得る。反射素子は、鏡であっても、または先に記載された任意の反射性物質であってもよい。図12および図15に示されるように、光源および/または光源のアレイは、光伝導チャンネルの外側に配置することができ、また内側にも配置することもできる。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターの容器は光伝導チャンネルであり得、そして反射性物質は、バイオリアクターの中に光を含めるために、光伝導チャンネルの外側に配置され得る。
【0088】
光伝送路および配光器の例が、図12、図13、図14、図15、図16、図17、および図48に示される。
【0089】
図12に示されるように、配光エレメント(1)には、光のアレイ(3)と光伝導チャンネル(1)が含まれ得る。光のアレイには、複数の光源に対して2つのリードを電気的に接続する配線用ハーネス(4)に対して繋がれた2つのリード(5、6)によって送達される電流によってエネルギーが供給される複数の光源(9、10、11)が含まれ得る。複数の光源(9、10、11)は同じ材質のものであっても、また異なる材質のものであってもよく、同じであるかまたは異なる1つ以上の波長を放射することができる。複数の光源と配線用ハーネスは、取り付けフランジ(8)によってサポートされ得る。取り付けフランジは光伝導チャンネルに対して機械的に接続され得る。
【0090】
図12に示される光伝導チャンネルには凸面(12)が含まれる。これは、当業者に公知の方法を使用する光学材料の研削、鋳造、または成型によって形成され、その結果、発光ダイオードのアレイ構成部材(9、10、11)によって放射される光子を光伝導チャンネル全体に向けることができる。光子は、凸面の敷居(convex threshold)に衝突すると、内側に反射され得る(18)か、光伝導チャンネルを出る光子として放射される(15、16、17)か、または、光伝導チャンネルによって吸収されるかのいずれかであり得る。
【0091】
内側に反射された(18)光子は光伝導チャンネルの表面(20)に再び衝突することができ、これは、反射され得る(24)か、吸収され得るか、または放射され得る(21、22、24)。吸収も放射もされなかった光子(24)は、再び光伝導チャンネルの表面(25)に衝突することができ(25)、そして反射され得る(36)か、吸収され得るか、または放射され得る(26、27、28)。吸収も放射もされなかったこれらの光子(36)は、これらが底面(30)に衝突するまで続く。底面は反射性物質で内側をコーティングすることができる。反射性物質は、Alcoa社によるEverbrite(登録商標)またはDupont社によるMylar(登録商標)のような材質であり得る。あるいは、反射性物質は、当業者に公知の任意の方法を使用して、蒸着を使用して溶着させることができる。
【0092】
底面で反射された光子は、光伝導チャンネル(32)に衝突することができ、これは反射されるか、吸収されるか、または放射されるかのいずれかであり得る(33、34、35)。
【0093】
光伝導チャンネルは、気体、液体、または固体で満たすことができる。あるいは、光伝導チャンネルの内部は真空とすることができる。
【0094】
図13は、図12に示される配光エレメントの相互的視点が示される。配光エレメントには、光のアレイ(41)と光伝導チャンネル(71)が含まれ得る。光のアレイには、複数の発光源(light emitting sources)(49、50、51)、複数の発光源に対してリード線を繋ぐための配線用ハーネス(48)、光のアレイを支えるための取り付けフランジ(45)、および複数の発光源に対して電流を供給するための2つのリード線(46、47)が含まれ得る。光伝導チャンネルには、複数の発光源によって放射された光子を受け取り、これらの光子を光伝導チャンネル全体に向けるための凸面(52)が含まれ得る。光子は、光伝導チャンネル上に衝突することができ(55、59、65、70)、そして反射されるか、吸収されるか、または放射されるかのいずれかであり得る(56、57、58、60、61、62、63、64、65)。光伝導チャンネルは、反射性物質がコーティングされた底面(68)を持つことができる。反射性物質は、底面に衝突する光子を反射させることができる。
【0095】
図12および図13に示される配光エレメントは、光合成独立栄養生物の増殖のために、バイオリアクターの中に光を伝送し、配光するために使用され得る。バイオリアクターには、1つ以上のこれらの配光エレメントが含まれ得、その結果、バイオリアクター全体への配光は実質的に均一となる。配光エレメントの配置は規則的であっても、不規則であってもよい。
【0096】
図14は、配光エレメントの別の実施形態の断面図を示す。この配光エレメントには、1つ以上の波長で1つ以上の光子(83、84、85)を放射する複数の光源(78、79、80)が含まれ得る。複数の光源は、電気的接続(75、76、77)を通じてコンピューター(73)によって制御され得る。1つ以上の光子は凸面(81)に衝突することができ、凸面(81)は、光子を光伝導チャンネル(99)全体に向けることができる。光子は、光伝導チャンネル(86)の内部をくまなく移動することができ、光伝導チャンネルの内表面に衝突する(89、97)。光伝導チャンネルの内表面に衝突すると、光子は反射され得る(98、100)か、吸収され得るか、または放射され得る(92、93、94、95、101、102、103、107、108、110)。光伝導チャンネルから放射された光子は、光伝導チャンネルの壁(87)を含む光学的に透明な材質を通り抜けて移動する。光の移動の角度および光の放射の角度は、スネルの法則によって予想することができる。
【0097】
図15は、バイオリアクターにおいて利用することができる配光エレメントの別の実施形態を示す。配光エレメントには、光学的に透明材質の1つ以上のプレートが含まれ得る。光学的に透明な材質はポリマーまたはガラスであり得る。光学的に透明な材質は、中身が詰まったもの、または中空のものであり得る。中空の材質は、液体、気体で満たすことができ、または真空にすることもできる。光学的に透明な材質の1つ以上のプレートは、プレートの1つ以上の外縁上に配置された1つ以上の光源を有し得る。1つの実施形態においては、1つ以上の光学的に透明なプレートは、実質的に長方形の箱型のバイオリアクターの中に配置される。1つ以上の光源が、1つ以上の光学的に透明なプレートの上端に沿って配置される。光学的に透明なプレートと平行であるバイオリアクターの1つ以上の壁は、反射性物質でコーティングされる。1つ以上の光源によって放射された光子は光学的に透明なプレートに向けられ、その結果、光子は光学的に透明なプレートを通り抜けて移動し、光学的に透明なプレートによる、周辺環境への光子の放射によってバイオリアクター全体に分布させられる。
【0098】
図16は、バイオリアクターに光を送達するために使用することができる配光エレメントの1つの実施形態の断面図を示す。配光には、1つ以上の光源を持つ光源のアレイ(161)が含まれ得る。光源(162、164、166)は同じであっても、異なっていてもよい。本発明のいくつかの実施形態においては、光源は発光ダイオードである。光源は1つ以上の光の波長(163、166、167)を放射することができる。1つ以上の光の波長は、光吸収色素の1つ以上の吸収波長に対応し得る。
【0099】
光源のアレイは、当業者に公知の任意の手段によって、スタンド(173)上に取り付けることができ、別のものにぶら下げることも、また別のものに付着させることもできる。光のアレイには、1つ以上の導線(169、168)によって動力が供給され得る。導線は、1つ以上の端子(171、172)とコネクター端子(170)に繋ぐことができる。光のアレイはコンピューターによって制御することができ、バイオリアクターとは物理的および電気的に独立し得る。
【0100】
図17は、光源のアレイの両側から光を送達するために使用することができる光源のアレイを持つ配光エレメントの1つの実施形態を示す。配光エレメントが最小限の空間しか占有しないように、配光エレメントを組み立てることができる。配光エレメントには、光源のアレイの第1の側面上に配置された1つ以上の光源の第1のセット(183、185、187)と、光源のアレイの第2の側面上に配置された1つ以上の光源の第2のセット(182、189、191、193)の、光源の両面のアレイ(181)が含まれ得る。第1の側面と第2の側面は光源のアレイの反対側であり得る。1つ以上の光源は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の光の波長を放射することができる(184、186、188、190、192、194)。動力は、アレイ(195)に対する電力バスの接続によって光源のアレイに対して供給され得る。動力は、端子(199および200)とコネクタ端子(198)に接続された電気的接続(196、197)を介して供給され得る。
【0101】
図48は、光伝導チャンネルである容器を含むバイオリアクターの1つの実施形態を示す。この容器は、光学的に透明な材質から構築され得、その結果、容器に到達する光はバイオリアクター全体に配光される。光学的に透明な材質には、アクリル系またはガラスが含まれ得る。図48に示されるように、容器は反射性物質でコーティングすることができ、また反射性物質で覆うこともできる。反射性物質は、バイオリアクターの外装の内表面上で入射光線を反射して、バイオリアクターの内部に戻すことができる。反射性物質はまた、バイオリアクターの底部と上端にも配置することができ、その結果、バイオリアクターの上部または底部に入射するリアクターの内装上にある光は、バイオリアクターの内側に戻るように反射させられる。図48に示されるように、1つ以上の光源を容器の縁に配置することができ、その結果、1つ以上の光源から放射された光は容器の壁に侵入して、バイオリアクター全体に配光される。1つ以上の光源はLEDアレイであり得る。LEDアレイは、制御装置(例えば、コンピューター)に対する電気的接続を介して制御することができる。
【0102】
図48に示されるバイオリアクターにはまた、ウォームドライブシャフト(worm drive shaft)上に取り付けられたエレベーター式クリーナー(elevator cleaner)も含まれる。エレベーター式クリーナーは、ウォームドライブシャフトの回転によってウォームドライブシャフトに実質的に平行に、バイオリアクターの長さに沿って移動させることができる。エレベーター式クリーナーには、容器の内壁の清掃のための1つ以上のクリーニング部材が含まれ得る。クリーニング部材は、ブラシ様のものであり得る。ウォームドライブシャフトは、ブラケット上に取り付けることができる。図48に示されるバイオリアクターの他の特徴には、気体(例えば、二酸化炭素)の供給のための気体投入口、過剰な気体(例えば、酸素および/または二酸化炭素)を放出するための排気口、水および栄養素の投入口、ガススパージャー、死滅したか損傷を受けた光合成独立栄養生物を回収するための回収用容積(collection volume)、および排水管が含まれる。バイオリアクターの底に沈んだ死滅したかまたは損傷を受けた光合成独立栄養生物は、排水管を通じて運び出すことができる。
【0103】
図38に示されるように、1つ以上の光伝導チャンネル(2)がバイオリアクターの中に配置され得る。光伝導チャンネルは、バイオリアクター容器の内部の全容積のうちの5%まで、10%まで、20%まで、40%まで、50%まで、または60%までを占有し得る。1つ以上の光伝導チャンネルの配置は、所望される配光のレベルおよび/またはパターンに基づいて調整することができる。
【0104】
1つ以上の光源の組み合わせを光源のアレイとして使用することができ、これにより、発光アレイによって放射される広範囲の波長の生産と、発光アレイによって放射される1つ以上の光の波長全体の制御が可能となる。1つ以上の光源によって生じる光の範囲は、300nmから800nmまでであり得る。本発明のいくつかの実施形態においては、300nmから800nmの間の特定の範囲の光は生じないか、または、300nmから800nmの間の範囲の光が、他の範囲よりも有意に少ない量で生じる。他の範囲の光よりも有意に少ない量で生じ得る光の範囲は、約530nmから610nmの間であり得る。光源のアレイによって放射される1つ以上の光の波長は、光合成有効波長である1つ以上の波長に対応するように選択することができる。光合成有効波長は光合成有効放射とも言われ、1つ以上の光吸収色素によって吸収され得る光の波長に対応し得る。光吸収色素は、光合成独立栄養生物において見られる任意の光吸収色素であり得る。光合成有効波長は図2に示される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態においては、光源のアレイには、発光源から放射される光子を伝送するための、本明細書中に記載される光伝導チャンネルが含まれ得る。光源は、光伝導チャンネルの内側に取り付けることができ、また外側に取り付けることもできる。光源は、光パルスを放射するように構成することができる。
【0106】
本発明のデバイスには、光の生産、伝送、および配光のためのデバイスを含む構成が含まれる。光の生産、伝送、および配光のためのデバイスは、先に記載されたデバイスである。この構成は、バイオリアクターとは独立して使用することができ、光合成独立栄養生物の増殖のために使用することができ、また、本明細書中に記載されるバイオリアクターの交換用部品として使用することもできる。本発明のいくつかの実施形態においては、この構成は、池に、または光合成独立栄養生物の増殖のために使用することができる他の水域に浸すことができる。
【0107】
バイオマス回収装置
本発明のバイオリアクターには、バイオリアクターの内部で増殖させられた光合成独立栄養生物を集菌するためのバイオマス回収装置を持つ容器が含まれ得る。バイオマス回収装置には、容器の内側に取り付けることができ、そして容器の長さに沿って水平または垂直に移動するように構成された可動ユニットが含まれ得る。可動ユニットは、バイオリアクターの上部からバイオリアクターの下部に、またはバイオリアクターの下部からバイオリアクターの上部に移動させられるように構成することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには2つ以上の可動ユニットが含まれ得、その結果、可動ユニットは、光合成独立栄養生物を集めるために互いの方向に移動させることができる。
【0108】
可動ユニットは、ウォームドライブスクリュー(worm drive screw)に機械的に取り付けることができ、また、容器の長さに沿った可動ユニットの移動を可能にするためにケーブルで接続する(cabling)こともできる。可動ユニットは、容器の容積のうちのわずか約3%から50%、5%から40%、または10%から30%が可動ユニットの一方の側にあるように、移動されるように構成され得る。
【0109】
可動ユニットには、可動ユニットが移動する際に増殖培地が可動ユニットを通り抜けられるように、孔のあいた構成要素またはメッシュが含まれ得る。孔のあいた構成要素またはメッシュは、可動ユニットが大きさに基づいて移動させられる際に、光合成独立栄養生物を選択的に捕捉するように構成することができる。
【0110】
可動ユニットにはフレームが含まれ得る。図24に示されるように、フレームは、バイオリアクターの中に配置された1つ以上の光伝導チャンネルを取り囲むように構築され得る。フレームには、1つ以上のワイヤーが含まれ得る。本発明の他の実施形態においては、可動ユニットには、ワイヤーブラシまたはワイヤーメッシュと、フレームによって支えられたサブフレームを含むクリーニング部材が含まれ得る。クリーニング部材は、バイオリアクターの内側に配置され、光の伝送と配光に使用される1つ以上の光伝導チャンネルを清掃するために使用され得る。図25に示されるように、クリーニング部材には、サブフレームによって支えられたワイヤーメッシュまたはワイヤーブラシが含まれ得る。
【0111】
図26に示されるように、クリーニング部材は、光伝導チャンネルを清掃するために光伝導チャンネルを囲むように配置され得る。クリーニング部材は、動かすことができるフレームによって支えられ得る。本発明のいくつかの実施形態においては、光伝導チャンネルは、光伝導チャンネルによって分配される1つ以上の光の波長を生産するための、LEDアレイによって供給される光であり得る。図26に示されるように、LEDアレイは、電気的接続を通じて動力が供給され、制御され得る。本発明の他の実施形態においては、光伝導チャンネルは、ガススパージャーに対して機械的に接続され得る。ガススパージャーには、気体を噴出させ、マイクロバブルを形成する1つ以上の管が含まれ得る。吸気により、ガススパージャーに気体を供給することができる。
【0112】
あるいは、クリーニング部材が光伝導チャンネルの内側に配置され得る。光伝導チャンネルの内側に配置されるクリーニング部材の一例が図50に示される。ここでは、クリーニング部材は、ブラシエッジとしてエレベーター式集菌装置(elevator harvester)上に示される。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには、容器の長さから伸びる集菌口が含まれ得る。集菌口は、集められた光合成独立栄養生物を回収するために使用され得る。集められた光合成独立栄養生物は液体の中に懸濁させることができる。
【0114】
気体供給部
本発明により、バイオリアクターに気体を送達するためのスパージャーを含むバイオリアクターが提供される。
【0115】
ガススパージャーは、ポリマー、プラスチック、金属、またはガラスのような材質から作られ得る。本発明のいくつかの実施形態においては、ガススパージャーは、射出成型されるか、またはロトモールドされる(rotomolded)。本発明の他の実施形態においては、ガススパージャーはステンレス鋼から製造される。
【0116】
バイオリアクターに供給される気体には、二酸化炭素、窒素、酸素、空気、またはヘリウムが含まれ得る。一般的には、二酸化炭素が光合成独立栄養生物の増殖のための炭素源として使用される。二酸化炭素は、工業的な供給業者、産業による燃焼排ガス、燃焼発生源、または大気から得ることができる。本発明のいくつかの実施形態においては、二酸化炭素は、醗酵を行う生物から得られる。あるいは、二酸化炭素は、バイオマス(例えば、農業用肥料)の消化または醗酵によって生じるメタンの燃焼によって得ることができる。二酸化炭素のバイオリアクターへの導入は、本明細書中に記載されるガススパージャーを使用して行うことができる。
【0117】
図27に示されるように、ガススパージャー(141)は1つ以上の孔(142)を有し得る。孔は、およそ0.01cm未満、0.05cm未満、0.1cm未満、0.25cm未満、0.5cm未満、または1cm未満の直径であり得る。気体、空気、CO2、または他の供給される気体は、制御弁(148)に接続されたコンジット(147)を通じてスパージャーに供給され得る。供給原料である気体(単数または複数)は、吸気口(149)で供給され、制御弁(148)を開閉させることによって制御される。バイオリアクターに増殖培地が含まれる場合は、1つ以上の孔が、バイオリアクターに気体が送られる際の小さい気泡またはマイクロバブルの形成を可能にし得る。気泡の大きさを小さくすることにより、気体−液体界面の表面積を大きくすることができ、したがって、増殖培地への気体の吸収を増加させることができる。ガススパージャーの中での気体の圧力は、連続する極めて小さいマイクロバブルの放出を生じ得る。これらのマイクロバブルは、加圧されたスパージャー(141)から発散され、小さい孔(142)を通り抜け、そして微視的乱流のコーン(143)を生じ、これは孔から増殖培地全体に移動する。これらのマイクロバブル(144)は、増殖培地(145)の中で光合成独立栄養生物に対して作用して、タンブリング(tumbling)または混合(146、150)を誘導し、これにより、光合成独立栄養生物の光および他の栄養素に対する暴露を改善する。
【0118】
図26に示されるように、ガススパージャーは、光伝導チャンネルの近く、または光伝導チャンネルの真下に配置され得る。ガススパージャーの光伝導チャンネルの近くへの配置によっては、光独立栄養性の光源に向かって移動する傾向が原因で、光合成独立栄養生物に対する気体の送達を改善することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、ガススパージャーは、ガススパージャーによる気泡がバイオリアクターの内側での増殖培地の混合と乱流を増大させるように配置され得る。
【0119】
バイオリアクターに供給された使用されなかった気体、または光合成独立栄養生物によって生産された気体は、1つ以上の排出口を通じてバイオリアクターから外に出され得る。圧力調整弁または任意の他の制御弁が、バイオリアクターの内側の圧力、およびバイオリアクターからの気体の排出速度を制御することができる。バイオリアクターを出る気体(例えば、使用されなかった二酸化炭素、光合成独立栄養生物によって生産された酸素、または任意の他の気体)は回収することができ、他のプロセスにおいて使用することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、コンプレッサーが、バイオリアクターの中に存在する気体の回収のために使用され得る。
【0120】
栄養素の供給
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクターには、バイオリアクターに液体の栄養素を送るためのデバイスが含まれる。液体の栄養素には、水、ならびに、リン、マグネシウム、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、ケイ素、塩類、および/または微量元素を含む水が含まれ得る。微量元素には、モリブデン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、マグネシウム、鉛、カドミウム、硫黄、カルシウム、またはニッケルが含まれ得る。液体の栄養素を送達するためのデバイスには、バイオリアクター上に配置された1つ以上の投入口(port)が含まれ得る。この口(port)は、バイオリアクターの上部、側部、または底部に配置され得る。これらの口(port)は、当業者に公知の任意の手段を使用して液体材料を輸送するために使用され得るホース、管、またはパイプに接続され得る。ホース、管、またはパイプは、液体の流動を駆動するための流体力を提供するために、ポンプと直列に接続(connected inline)され得る。
【0121】
藻類もしくは他の光合成独立栄養生物の増殖の維持に必要であるか、または藻類もしくは他の光合成独立栄養生物の増殖の維持での使用に適している増殖培地の組成、栄養素などは、当該分野で周知である。当業者によって理解されるであろうように、多種多様な増殖培地を、本発明の様々な実施形態についての様々な形態において利用できる可能性がある。適切である可能性がある増殖培地の成分および栄養素は、例えば、Rogers,L.J.and Gallon J.R.「Biochemistry of the Algae and Cyanobacteria」,Clarendon Press Oxford,1988;Burlew,John S.「Algal Culture:From Laboratory to Pilot Plant.」Carnegie Institution of Washington Publication 600.Washington,D.C.,1961(本明細書中では以後、「Burlew 1961」);およびRound,F.E.The Biology of the Algae.St Martin’s Press,New York,1965において詳細に議論されている。これらはそれぞれ、引用により本明細書中に組み入れられる。
【0122】
制御装置
バイオリアクターには、温度を制御するためのデバイスが含まれ得る。温度を制御するためのデバイスは、加熱用デバイスまたは冷却用デバイスであり得る。加熱用デバイスには、熱交換器または電気抵抗器が含まれ得る。熱交換器は、任意の液体または気体(例えば、水、グリセロール、油、または蒸気)を使用することができる。気体または液体は、太陽エネルギーまたは燃焼によって発生した熱エネルギーを使用して加熱され得る。熱交換器または電気抵抗器は、冷却ジャケットの中のバイオリアクターを囲むように配置され得るか、または、バイオリアクターの内部に配置され得る。冷却用デバイスには、バイオリアクターの外側または内側に配置された熱交換器またはペルティエ回路(Peltier circuit)が含まれ得る。熱交換器は、冷却水とともに供給され得るか、または1つ以上の冷却剤を含むコンプレッサーに接続され得る。あるいは、バイオリアクターの冷却または加熱は、バイオリアクターの外側に水を散水することによって容易に行われ得る。
【0123】
本明細書中に記載されるバイオリアクターは、光合成独立栄養生物の増殖のために使用され得る。光合成独立栄養生物の増殖は、1つ以上の増殖条件をモニターし、制御することによって容易に行われ得る。モニターすることができ、制御することができる増殖条件は、pH、光条件、気体条件、温度、圧力、容積、バイオマス、およびバイオマス産物の濃度からなる群より選択することができる。増殖条件は、当業者に公知の任意のデバイスを使用してモニターすることができ、制御することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、増殖条件は、リアルタイムでモニターされ、制御される。増殖条件は、使用者が介入することなくモニターされ、制御され得る。図28は、光合成独立栄養生物の増殖の間にモニターされ、制御され得るいくつかの増殖条件の模式図である。
【0124】
図29に示されるように、本明細書中に記載されるバイオリアクターには、バイオリアクターをモニタリングし、制御するための1つ以上の構成部材が含まれ得る。これらの構成部材には、温度センサー、光のアレイ、酸素センサー、光センサー、フロートスイッチ、ガススパージャー、pHセンサー、排水弁、バイオマス回収装置コントロール、熱交換器、出力弁(output valve)、入力弁(input valve)、および入力ポンプ(input pump)が含まれ得る。バイオリアクターは、バイオリアクター中で増殖する光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて制御することができる。バイオリアクターをモニタリングし、制御するための構成部材には、バイオリアクターからデータを収集するための、バイオリアクターの制御点と相互作用しているコンピューターが含まれ得る。コンピューターはバイオリアクターの遠隔制御を可能にすることができる。コンピューターは、バイオリアクターをモニタリングするかまたは制御するための1つ以上の構成部材に電気的に接続され得る。バイオリアクターをモニタリングするかまたは制御するための1つ以上の構成部材とコンピューターとの間での電気的接続は、RS232ケーブル、Ethernet(登録商標)ケーブル、シリアルケーブル、パラレルケーブル、または光ファイバーケーブルであり得る。本発明の他の実施形態においては、コンピューターは、バイオリアクターをモニタリングし、制御するための構成部材に対してワイヤーなしで接続される。バイオリアクターをモニタリングし、制御するためのコンピューターシステムの例としては、Supervisory Control and Data Acquisition(SCADA)システムを挙げることができる。
【0125】
バイオリアクターをモニタリングするための構成部材には、pH、光条件、気体条件、温度、圧力、容積、バイオマス、またはバイオマス産物からなる群より選択される条件をモニタリングするための測定用構成部材が含まれ得る。測定用構成部材は当業者に公知の任意のデバイスであり得る。特に、バイオマスを測定するための測定用構成部材には、光源と光センサーが含まれ得る。バイオマス産物を測定するための測定用構成部材には、質量スペクトル計、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。バイオリアクターをモニタリングするための測定用構成部材により、バイオリアクター条件のインラインおよび/またはリアルタイムでの測定が可能となる。バイオリアクターをモニタリングするための構成部材は、バイオリアクター中で増殖させられる光合成独立栄養生物の増殖プロフィールを決定するために使用することができる。
【0126】
バイオリアクターを制御するための構成部材には、気体の供給、加熱もしくは冷却、圧力、光の供給、または栄養素の供給からなる群より選択されるバイオリアクターのパラメーターを制御するための制御装置構成部材が含まれ得る。気体の供給、加熱もしくは冷却、圧力、光の供給、または栄養素の供給を制御するための制御装置構成部材は、当業者に公知の任意のデバイスであり得る。光の供給は、放射された光の1つ以上の波長、放射された光の光度、および間欠型の光発光のパターンによって特性決定され得る。光の放射を制御するための制御装置構成部材により、放射された光の1つ以上の波長、放射された光の光度、および間欠型の光発光のパターンを制御することが可能となり得る。
【0127】
制御装置構成部材には、バイオリアクターのパラメーターの制御を実行するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアが含まれ得る。例えば、制御装置構成部材には、コンピューターとバイオリアクターを制御するための制御装置構成部材との間での電気的シグナルの通信を可能にする電子機器が含まれ得る。通信は、パルス幅変調方式、電圧信号、または任意の他のタイプの電気的、光学的、もしくはワイヤレス通信を使用して確立され得る。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態においては、デバイスは、光源からの光の放射を制御するために実行され得る。これらのデバイスには、抵抗器、トランジスタ、キャパシタ(capacitors)、誘導子(inductors)、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。これらの構成部材は、制御可能な光度の放射、または間欠型の光パターンの放射を可能にし得る。
【0129】
さらなるバイオリアクターの構成部材
本発明のバイオリアクターには、バッフル、圧力調整弁、コンデンサー、のぞき窓、または当業者に公知のバイオリアクターの中に含まれる任意の他の構成部材が含まれ得る。バッフルは、バイオリアクターの内壁に沿って配置され得るか、またはタンクを満たしているバッフル水(buffle water)に対して配置され得る。
【0130】
バイオマスの抽出
本発明の1つの態様によっては、1つ以上の光合成独立栄養生物からバイオマスを処理するために使用されるデバイスが提供される。バイオマスを処理するために使用されるデバイスには、バイオマスからバイオマス産物を抽出するためのデバイスが含まれ得る。バイオマスは1つ以上の光合成独立栄養生物であり得る。
【0131】
貯蔵タンクは、バイオリアクターの中で増殖させられ、液体の中に懸濁された1つ以上の光合成独立栄養生物を含むバイオマスを貯蔵するために使用され得る。貯蔵タンクは、引力を使用した液体からの光合成独立栄養生物の分離を可能にし得る。光合成独立栄養生物から分離された液体は再生され得る。再生された液体は、水および/または他の増殖栄養素であり得、光合成独立栄養生物の増殖のためにバイオリアクターに戻され得る。貯蔵タンクは、約1ft〜100,000ft、100ft〜60,000ft、1,000ft〜40,000ft、または3,000ft〜10,000ftまでの内部容量を有し得る。貯蔵タンクは、鋼鉄、アルミニウム、ガラス、またはポリマー材料からなり得る。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマスからバイオマス産物を抽出するために使用されるデバイスは、バイオマスを圧縮することができ、バイオマス産物がバイオマスから機械的に抽出されることを可能にする任意のデバイスである。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマス産物を抽出するために使用されるデバイスは、油圧プレス、スクリュー、メタルクラッシャー(metal crusher)、または遠心分離機である。バイオマスからのバイオマス産物の抽出のためのデバイスは、カカオ豆またはオリーブから油を抽出するために使用されるデバイスと類似し得る。
【0133】
あるいは、バイオマスからバイオマス産物を抽出するために使用されるデバイスは、バイオマスからバイオマス産物を回収するために化学的抽出方法を利用することができる任意のデバイスである。バイオマス産物を抽出するためのデバイスは、オリーブからオリーブ油を化学的に抽出および/または精製するために使用されるデバイスと類似するデバイスであり得る。バイオマス産物を抽出するために使用されるデバイスは、バイオマスからバイオマス産物を抽出するためにヘキサン溶媒または超臨界流体(例えば、液化CO)を利用する装置であり得る。化学的抽出のためのデバイスは、高い運転圧の要件と爆発の危険性の要件に耐えるように、鋼鉄またはアルミニウムから製造され得る。加熱および冷却のための構成部材(例えば、熱交換器)は、温度制御のために実行され得る。
【0134】
バイオマスからバイオマス産物を抽出するために使用されるデバイスには、上記に記載された機械的方法と化学的方法の組み合わせが含まれ得る。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマス産物の抽出には、バイオマス産物の機械的抽出のためのデバイスと、その後ろに、バイオマス産物の化学的抽出のためのデバイスが含まれる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態においては、製造プラントが、バイオマスと電気エネルギーの生産のために使用され得る。このシステムには、光合成独立栄養生物を増殖させるためのバイオリアクターと、光合成独立栄養生物によって生産されたバイオマスまたはバイオマス産物を電力と二酸化炭素に変換するための、バイオリアクターに動作可能であるように連結された動力装置が含まれ得る。二酸化炭素は、光合成独立栄養生物によるバイオマスの生産のためにバイオリアクターに供給され得る。バイオリアクターには、バイオリアクターに到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源が含まれ得、ここでは、光の放射は、光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整可能である。
【0136】
本発明の1つの実施形態が図5に示される。図5は、バイオリアクター(344)、再生可能電力エネルギー発生機(343)、バイオマス抽出装置(353)、燃焼装置(364)、およびタービン(361)を含む、電力と直鎖の植物性油を生産するためのシステムを含む、エネルギーと物質移動のフローチャートを示す。バイオリアクター(344)は、再生可能電力エネルギー発生機(343)(例えば、ソーラーパネルまたは風力タービン)からエネルギーを受け取る。太陽(341)はソーラーパネルに対して太陽エネルギー(342)を提供することができる。
【0137】
バイオリアクター(344)は、有機物(364)の燃焼によるCO、燃焼排ガス、NO、SO、または他の気体(345)を受け取る。増殖培地(水と栄養素を含む)と、水溶液中の光合成独立栄養生物がプレ混合バット(347)の中に貯蔵される。制御されている入力弁はコンピューターによって制御され得、取水管(348)を通じてバイオリアクターに水、栄養素、および光合成独立栄養生物を送るために使用される。プレ混合バットには、パイプ(350)を通じて給水源(349)から水が供給され得る。バイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物と増殖培地は、第2のバット(352)にパイプ(346)を通じて送られ得る。増殖培地中の光合成独立栄養生物はバイオマス抽出装置(353)に送られる。バイオマス抽出装置は、食品の調理の業界で使用されているハードプレス(hard press)であり得る。光合成独立栄養生物と増殖培地には高圧がかけられ得、その結果、直鎖の植物性油(355)と油かすが生産され得る。直鎖の植物性油(355)は、当業者に公知の任意の手段(354)を使用して回収され、バイオディーゼル原料として、または他の用途に使用され得る。油かすと油以外の全ての物質は、過剰の水を回収するために、パイプ、コンベヤーベルト、それらの任意の組み合わせ、または任意の他の輸送手段(356)を通じて、蒸発器(362)に送られ得る。液体形態および気体形態の水は、濃縮のためにパイプ(357)を通じてコンデンサー(358)に送られ、その後、パイプ(359)を通じてプレ混合バットに送られる。油かすは蒸発器の中で乾燥させられ得、その後、当業者に公知の任意の手段(363)を使用して取り出される。乾燥した油かすは燃焼装置(364)に送られて、燃やされ得る。酸素が空気から取り込まれ、油かすとともに燃やされる。熱は電力生成のためにタービン(361)に送られ得る。廃熱、またはタービンからの排熱(rejected heat)は蒸発器に向けられる。
【0138】
本発明の方法
本発明の方法により、バイオリアクターの中での光合成独立栄養生物の増殖によるバイオマスまたはバイオマス産物の生産が可能となり得る。この方法には、バイオリアクターおよび他の電気部品に動力を供給するために再生可能エネルギー源を利用すること、光を供給すること、バイオリアクターの条件のモニタリングおよび制御のために複数のシステムを利用すること、ならびにバイオマス回収装置を利用することが含まれる。光合成独立栄養生物は、本明細書中に記載される任意の光合成独立栄養生物であり得る。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマスを生産するための方法には、光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための光子を放射する光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクター中に含まれる培地の中で光合成独立栄養生物を培養する工程が含まれる。ここでは、光源は、光源に対して供給されるエネルギー1kJあたり、約100ミリグラム以上、約10ミリグラム以上、約1ミリグラム以上、約0.1ミリグラム以上、または約0.01ミリグラム以上の上記バイオマスのバイオマス生産効率が得られるように構成される。
【0140】
本発明の他の実施形態においては、バイオマスの生産方法には、培地1リットルあたり約0.3グラムより多い、約1グラムより多い、約3グラムより多い、約5グラムより多い、約10グラムより多い、約15グラムより多い、約30グラムより多い、約50グラムより多い、約75グラムより多い、約125グラムより多い、約175グラムより多い、または約200グラムより多いバイオマスが生産される条件下で、光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクター中に含まれる培地の中で光合成独立栄養生物を培養する工程が含まれる。
【0141】
本発明の方法によっては、以下の工程を含む光合成独立栄養生物の培養方法が提供される:(a)上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、上記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれ、ここでは、少なくとも1つ以上の光の波長は上記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整可能である、工程;および(b)上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートする少なくとも1つ以上の光の波長が提供されるように上記バイオリアクターを操作する工程。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には以下の工程が含まれる:(a)上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、上記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれる、工程;(b)上記光栄養生物の増殖プロフィールを決定する工程;および(c)工程(b)の結果に基づいて少なくとも1つ以上の光の波長を調整する工程。
【0143】
本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には以下の工程が含まれる:(a)上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、上記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれる、工程;(b)上記光栄養生物によるバイオマスの生産を測定する工程;および(c)工程(b)の結果に基づいて少なくとも1つ以上の光の波長を調整する工程。
【0144】
本発明の方法によっては、以下の工程を含むバイオリアクターから光合成独立栄養生物を集菌するための方法が提供される:(a)バイオリアクターの中に取り付けられた可動ユニットを作動させる工程であって、ここでは、上記作動には、上記バイオリアクターの長さに沿って水平または垂直に可動ユニットを移動させることが含まれる、工程;(b)可動ユニットの一方の側に上記光合成独立栄養生物を集める工程;および(c)集められた光合成独立栄養生物の上記溶液を回収するための、上記バイオリアクターの上記長さから伸びる集菌口を通じて可動ユニットの一方の側にある上記光合成独立栄養生物を集菌する工程。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には以下の工程が含まれる:(a)再生可能エネルギー源から電気エネルギーを生産させる工程;および(b)上記電気エネルギーを光源に電力を供給するために利用する工程であって、ここでは、上記光源は、上記バイオリアクター中での上記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための、バイオリアクターに到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射する、工程。
【0146】
本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物の培養方法には以下の工程が含まれる:(a)上記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、日中に上記光合成生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器が含まれる、工程;および(b)人工光源を使用して上記太陽光の非存在下で増殖を維持する工程。
【0147】
本発明の方法によっては、上記光合成独立栄養生物の増殖のための光を放射する光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を培養する工程を含む方法が提供される。ここでは、バイオリアクターには、上記容器からまたは上記容器を通じた光損失を実質的に防ぐための反射素子を含む容器が含まれる。
【0148】
本発明の1つの態様においては、製造プラントを使用してエネルギーを生産するための方法には以下の工程が含まれる:(a)バイオマスの生産のために光合成独立栄養生物を使用する工程;(b)上記バイオマスから電力と二酸化炭素を生産するために動力装置を使用する工程;および(c)上記バイオマスの生産のための上記バイオリアクターに上記電力と二酸化炭素を供給する工程。
【0149】
電気エネルギーの供給方法
光合成独立栄養生物は、再生可能エネルギー源によって動力が供給されるバイオリアクターの中で増殖させることができる。再生可能エネルギー源は、光合成独立栄養生物の増殖をサポートするためのバイオリアクターに到達することができる1つ以上の波長を生じさせるために、バイオリアクターの中の光源に電力を供給するために使用され得る。再生可能エネルギー源はまた、空気と二酸化炭素を圧縮するために、またはポンプ、弁、センサー、およびバイオマス抽出デバイスに動力を供給するためにも使用され得る。再生可能エネルギー源は、ソーラーパネル、風力タービン、燃焼装置、蒸気タービン、およびダムからなる群より選択されるエネルギー変換装置によって生産されるエネルギーであり得る。エネルギー変換装置は、風力エネルギー、水力発電のエネルギー、バイオマスエネルギー、および熱エネルギーからなる群より選択される再生可能エネルギー源を電気エネルギーに変換することができる。電気エネルギーを生産するプロセスはカーボンニュートラルであり得、これは、再生可能エネルギー源からの電気エネルギーの生産の際にそれ以上の炭素が生じないことを意味している。炭素生成の計算には、再生可能エネルギー源の増殖と生産が含まれ得る。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態においては、電気エネルギーは、エネルギー変換装置の組み合わせを使用するバイオリアクターに供給される。エネルギー変換装置の組み合わせは、様々な環境条件でより一定した電気エネルギーの生産を提供するために使用され得る。例えば、風力タービンはソーラーパネルと組み合わせることができ、その結果、太陽光の存在下ではソーラーパネルによって生産された電力を使用することができ、そして太陽光の非存在下では風力タービンによって生産された電力を使用することができる。
【0151】
1つ以上のエネルギー変換装置および/または1つ以上の再生可能エネルギー源によって生産された電力は、バイオリアクターまたは任意の他の電動デバイスに電力を供給するために使用され得る。余剰電力はエネルギー貯蔵装置(例えば、バッテリー)によって蓄えられ得る。バッテリーは、本明細書中に記載される任意のタイプのバッテリーであり得る。バッテリーは、当業者に公知の任意の再充電可能なバッテリーであり得る。
【0152】
1つ以上のエネルギー変換装置または1つ以上の再生可能エネルギー源を使用して生産される電気エネルギーは、エネルギー貯蔵デバイスによって蓄えられる前に、またはバイオリアクターもしくは任意の他の電動デバイスに供給される前に調整され(conditioned)得る。エネルギー調整装置は、1つ以上のエネルギー変換装置から、および/またはエネルギー貯蔵デバイスからの電力を正常化させるために使用することができる。電力を正常化させるためのエネルギー調整装置の使用により、誤った量の電圧および/または電流が電動デバイスに送達されることを防ぐことによって、電動デバイスの障害を防ぐことができる。
【0153】
光を供給するための方法
光合成独立栄養生物の増殖のためにバイオリアクターに光を供給するための方法には、太陽光を利用すること、人工の光源もしくは電動光源を利用すること、またはそれらの組み合わせを利用することが含まれ得る。太陽光である光源は、低コストの光源のための人工の光源および/または太陽光の非存在下での光の供給と組み合わせられ得る。太陽光である光源は、バイオリアクターへの光の送達の前の光源の濃縮とともに、またはそれを伴わずに利用され得る。太陽光である光源は、受光素子を使用して濃縮され得る。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態においては、光合成独立栄養生物を増殖させるための光を供給するための方法には、バイオリアクターの内表面上に反射性のコーティングを持つバイオリアクターを使用することが含まれ得る。反射性の表面は、バイオリアクターの材質が原因であるか、またはバイオリアクターの材質による光損失の量を減少させることができる。
【0155】
バイオリアクターに送達される光は制御することができる。光源の制御には、光源によって放射されるか、またはバイオリアクターに送達される1つ以上の波長を制御すること、光源によって放射されるかまたはバイオリアクターに送達される光度を制御すること、間欠型の光の放射またはバイオリアクターへの光の送達を制御すること、あるいは、光の空間への分配を制御することが含まれ得る。
【0156】
光源によって放射されるか、またはバイオリアクターに送達される1つ以上の波長は、光合成独立栄養生物が利用できる光の波長であり得る。本発明のいくつかの実施形態においては、1つ以上の波長は、1つ以上の光合成独立栄養生物に属している1つ以上の光吸収色素に一致するように調節される。1つ以上の光の波長は、1つ以上の光源を含む光源のアレイを利用することによって調節できる。1つ以上の光源は、光の波長の1つの範囲を放射することができる。
【0157】
1つ以上の波長は、1つ以上のバイオマス産物の生産のために調節することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、1つ以上の波長の第1のセットをバイオマスの生産のために送達することができ、そして1つ以上の波長の第2のセットを、バイオマス産物の生産のために送達することができる。例えば、バイオマスの生産には、310nm〜520nmの間の波長のセットを利用することができ、バイオマス産物の生産には、600nm〜700nmの間の波長のセットを利用することができる。
【0158】
光源によって放射されるか、またはバイオリアクターに送達される光の量は制御することができる。光の量は、50μEm−2−1から10,000μEm−2−1の間、100μEm−2−1から7,500μEm−2−1の間、または150μEm−2−1から5,000μEm−2−1の間であり得る。
【0159】
間欠型の光の放射またはバイオリアクターへの光の送達は制御することができる。間欠型の光の放射のサイクルは、光調節サイクルとも呼ぶことができる。間欠型の光の放射は、規則的であっても、また不規則であってもよい。バイオリアクターへの光の送達は、光源からの光の放射に依存し得る。規則的な間欠型の光の放射については、周波数は、0.05Hzから2000Hzまで、5Hzから1000Hzまで、または10Hzから500Hzまでであり得る。光は、全時間のうちの1%〜95%、5%〜90%、または10%〜80%放射され得る。経時的な光度は、光度波形によって記載することができる。光度波形は、三角形、鋸歯状、四角形、正弦曲線、または任意の他の所望される形状であり得る。
【0160】
配光は、バイオリアクターの内部に光を伝送し、配光するために使用される1つ以上の光伝導チャンネルの配置を変化させることによって制御することができる。光伝導チャンネルは、接近するように配置することも、またさらに離して配置することもでき、あるいは、均一なパターンで配置することも、また不均一なパターンで配置することもできる。
【0161】
増殖条件を最適化するための方法
バイオリアクターの中での光合成独立栄養生物の増殖は、多数の増殖のパラメーターについて最適化することができる。これらの増殖のパラメーターには、光合成独立栄養生物の増殖速度、生産される全バイオマスまたはバイオマス産物、生産されるバイオマスまたはバイオマス産物のコスト、あるいは、それらの任意の組み合わせが含まれ得る。最適化されるパラメーターは、バイオマスの生産と利用の経済性に応じて様々であり得る。最適条件は、バイオリアクター中の増殖条件をモニタリングすること、およびバイオリアクターを制御することによって決定することができる。
【0162】
モニターすることができる増殖条件は、pH、光条件、気体条件、温度、圧力、容積、バイオマス、およびバイオマス産物の濃度からなる群より選択することができる。増殖条件は、当業者に公知の任意の方法を使用してモニターすることができる。本発明のいくつかの実施形態においては、増殖条件はリアルタイムでモニターすることができる。増殖条件は、使用者が介入することなくモニターすることができる。
【0163】
バイオリアクターのパラメーターは、増殖のパラメーターを最適化するように制御することができ、また、バイオリアクターのパラメーターは、増殖条件を維持するかまたは達成するように制御することができる。バイオリアクターの中で増殖させられる光合成独立栄養生物の増殖の最適化には、1つ以上の増殖のパラメーターを同定すること、1つ以上の増殖のパラメーターを評価するためのアルゴリズムを決定すること、バイオリアクターの中の1つ以上の増殖条件をモニタリングすること、1つ以上の増殖のパラメーターが改善され得るかどうかを決定すること、および1つ以上の増殖のパラメーターが最適化されるようにバイオリアクターのパラメーターを変化させることが含まれ得る。増殖のパラメーターには、本明細書中に記載される任意の増殖のパラメーター、あるいは、例えば、光源に対して供給される時間に対するか、またはエネルギーに対する、バイオマスもしくはバイオマス産物の生産の速度、バイオマスもしくはバイオマス産物の生産コスト、あるいは、生産されるバイオマスもしくはバイオマス産物の量が含まれ得る。
【0164】
制御することができるバイオリアクターのパラメーターは、気体の供給、加熱または冷却、圧力、光の供給、あるいは栄養素の供給からなる群より選択することができる。バイオリアクターのパラメーターの制御は、本明細書中に記載される1つ以上の増殖のパラメーターに対して影響を及ぼし得る。
【0165】
気体の供給の増加によっては、光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための増殖培地への気体の吸収を増加させることができる。例えば、二酸化炭素の供給量の増加によっては、光合成独立栄養生物が利用できる二酸化炭素の量を増加させることができる。二酸化炭素の利用能力の増大によっては、光合成独立栄養生物による炭素固定の速度が増大し得る。
【0166】
バイオリアクターに供給される気体の量は、本明細書中に記載される任意の増殖のパラメーターに基づいて最適化することができる。例えば、バイオリアクターの中で増殖させられる光合成独立栄養生物の増殖速度の増大を生じるバイオリアクターへの気体の供給の増加は、増殖速度をさらに増大させるように気体の供給を増加させることができることを示唆し得る。逆に、増殖速度の低下を生じる気体の供給の増加は、気体の供給を、増殖速度を増大させるように減少させることができることを示唆し得る。
【0167】
いくつかの実施形態においては、固体である炭酸塩、水溶液である炭酸、または気体である二酸化炭素の形態での二酸化炭素の供給を変化させることにより、増殖培地のpHに影響を与えることができる。これらの二酸化炭素の形態を選択することによって、バイオリアクターのpH条件を制御することができる。
【0168】
温度は、光合成独立栄養生物の増殖に影響を及ぼし得る。本発明のいくつかの実施形態においては、温度は、光合成独立栄養生物の増殖速度または本明細書中に記載される任意の他の増殖条件を変化させるために上昇させることができ、また低下させることもできる。特定の状況では、温度の上昇により、光合成独立栄養生物の増殖速度を増大させることができ、また、低下させることもできる。他の状況では、温度の変化により、生産されるバイオマス産物のプロフィールを変化させることができる。例えば、温度の低下によっては、より高度な、またはより低い程度のポリ不飽和を有する脂肪酸の形成が導かれ得る。
【0169】
光源は、光合成独立栄養生物の効率的な増殖のために制御することができる。光源の制御には、光源によって放射されるかもしくはバイオリアクターに送達される1つ以上の波長を制御すること、または光源によって放射されるかもしくはバイオリアクターに送達される光度を制御すること、および間欠型の光の放射もしくはバイオリアクターへの光の送達を制御することが含まれ得る。
【0170】
光合成独立栄養生物の増殖のために使用される容器を含む本発明のバイオリアクターは、光合成独立栄養生物の増殖をサポートする少なくとも1つ以上の光の波長を提供するように容器に到達する1つ以上の光の波長を調整することによって操作することができる。容器に到達する1つ以上の光の波長は、光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応し得る。
【0171】
1つ以上の波長は、本明細書中に記載される増殖のパラメーターに基づいて最適化するか、または選択することができる。1つ以上の波長は、バイオマスもしくは1つ以上のバイオマス産物の生産または生産速度について調節することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、1つ以上の波長の第1のセットをバイオマスの生産のために送達することができ、そして1つ以上の波長の第2のセットを、バイオマス産物の生産のために送達することができる。例えば、バイオマスの生産には、400nm〜500nmの間の波長のセットを利用することができ、バイオマス産物の生産には、500nm〜700nmの間の波長のセットを利用することができる。
【0172】
光源によって放射されるか、またはバイオリアクターに送達される光の量を制御することができる。光の量は、50μEm−2−1から10,000μEm−2−1の間、100μEm−2−1から7,500μEm−2−1の間、または150μEm−2−1から5,000μEm−2−1の間であり得る。送達される光の量は、光合成独立栄養生物に送達される光の量が、光合成独立栄養生物が利用できる光の量であるように調整することができる。
【0173】
間欠型の光の放射またはバイオリアクターへの光の送達は、光合成独立栄養生物の最適な増殖のために制御することができる。間欠型の光の放射は、規則的であっても、不規則であってもよい。規則的な間欠型の光の放射については、周波数は、0.05Hzから2000Hzまで、5Hzから1000Hzまで、または10Hzから500Hzまでであり得る。光は、全時間のうちの1%〜95%、5%〜90%、または10%〜80%放射され得る。経時的な光度は、光度波形によって記載することができる。光度波形は、三角形、鋸歯状、四角形、正弦曲線、または任意の他の所望される形状であり得る。
【0174】
光の供給はまた、バイオリアクターの内部に光を伝送し、分配させるために使用される1つ以上の光伝導チャンネルの配置を変化させることによっても制御することができる。光伝導チャンネルは、接近するように配置することも、またさらに離して配置することもでき、あるいは、均一なパターンで配置することも、また不均一なパターンで配置することもできる。光伝導チャンネルの配置によっては、光合成独立栄養生物の培養物中での配光が改善されることにより、増殖させられる光合成生物の濃度を高めることが可能となり得る。例えば、光伝導チャンネルが互いにより近い位置となるようにバイオリアクターの中に光伝導チャンネルを配置することにより、バイオリアクターの中で増殖させることができる光合成生物の濃度を高めることができる。
【0175】
1つ以上の光源とともにバイオリアクターに導入される光合成独立栄養生物の増殖プロフィールは経時的にモニターされ得、光源は経時的に調整され得る。増殖プロフィールには、バイオリアクター中の光合成独立栄養生物の濃度の経時的な測定が含まれ得る。1つ以上の光源が、光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整され得る。調整には、1つ以上の光の波長を変化させること、放射される光度を変化させること、間欠型の光の放射のパターンを変化させること、および/または1つ以上の光源の配置を変化させることが含まれる。調整は、増殖速度を最大にするように行われ得る。
【0176】
別の例においては、1つ以上の光源とともにバイオリアクターに導入された光合成独立栄養生物によって生産されるバイオマス産物の量が経時的にモニターされ得、そして光源が経時的に調整され得る。バイオマス産物は、本明細書中に記載される任意のバイオマス産物であり得る。1つ以上の光源が、光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整され得る。調整には、1つ以上の光の波長を変化させること、放射される光度を変化させること、間欠型の光の放射のパターンを変化させること、および/または1つ以上の光源の配置を変化させることが含まれる。調整は、バイオマス産物またはバイオマスの生産速度を最大にするように行われ得る。
【0177】
バイオリアクターのパラメーターの制御は、コンピューターまたは本明細書中に記載される他の電子的手法を使用して行われ得る。コンピューター上でバイオリアクターのパラメーターの設定を変更することにより、バイオリアクターのパラメーターを変化させることができる、バイオリアクター上のデバイスに送られる電子的シグナルが生じ得る。例えば、コンピューターに対して、バイオリアクターの容積あたり5倍容量の気体とする気体の供給の増加を送信する(submit)ことにより、バイオリアクターの容積あたり5倍容量の気体となるように気体の供給速度を増大させる、実際の気体の供給速度の弁による制御が生じ得る。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態においては、光合成独立栄養生物を増殖させるための増殖条件の最適化により、特別な量の、増殖時間に対して生産されるバイオマスおよびバイオマス産物、光合成独立栄養生物の増殖のために使用される増殖培地の容積、および/またはバイオリアクターもしくはバイオリアクター光源に対して供給されるエネルギーが可能となる。増殖条件の最適化には、光の送達、栄養素の送達、および本明細書中に記載される増殖条件を最適化することが含まれる。
【0179】
本明細書中に記載される最適化された増殖条件とともに本発明のバイオリアクターを使用することにより、バイオリアクターの内部に送達される光エネルギー1kJあたり、100ミリグラム以上、10ミリグラム以上、1ミリグラム以上、0.1ミリグラム以上、または0.01ミリグラム以上のバイオマスのバイオマス生産効率を得ることができる。
【0180】
本明細書中に記載される最適化された増殖条件とともに本発明のバイオリアクターを使用することにより、光源に対して供給されるエネルギー1kJあたり、50ミリグラム以上、5ミリグラム以上、0.5ミリグラム以上、0.05ミリグラム以上、または0.005ミリグラム以上のバイオマスのバイオマス生産効率を得ることができる。バイオマスを生産するために使用される光合成独立栄養生物は、光子吸収能力が対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較して増強されるように遺伝子操作することができる。光合成独立栄養生物は、対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較して高いバイオマス生産能力を有するように遺伝子操作することができる。生産能力は、時間、全生産量、または光源に対して供給されるエネルギーに基づいて評価することができる。遺伝子操作により、光の狭帯域(例えば、5nm、10nm、もしくは15nm、またはそれ未満)を光合成独立栄養生物を増殖させるために使用することが可能となり得る。
【0181】
本発明の他の実施形態においては、光合成独立栄養生物は、培地1リットルあたり約0.3グラムより多い、約1グラムより多い、約3グラムより多い、約5グラムより多い、約10グラムより多い、約15グラムより多い、約30グラムより多い、約50グラムより多い、約75グラムより多い、約125グラムより多い、約175グラムより多い、または約200グラムより多いバイオマスの濃度まで増殖させることができる。このバイオマスの濃度は、50時間未満、40時間未満、30時間未満、20時間未満、15時間未満、または10時間未満で増殖させられ得る。増殖させることができる培地1リットルあたりのバイオマスの濃度は、ランベルト・ベールの法則、光合成独立栄養生物のモル吸光係数、および増殖に必要な光度を使用することにより決定され得る。増殖していない光合成独立栄養生物の層が光源の近くに形成され得ること、およびこの増殖していない光合成独立栄養生物の層をとおって伝送される光が増殖に必要な強度でなければならないというさらなる仮定がなされ得る。
【0182】
バイオマスの回収のための方法
本発明には、バイオマス回収装置を使用することを含む、バイオリアクターからバイオマスを回収するための方法が含まれる。バイオマスは光合成独立栄養生物であり得る。バイオマス回収装置はフレームに固定することができ、また、バイオリアクターに固定することもできる。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマス回収装置は、バイオリアクターの容器に固定される。この方法には、光合成独立栄養生物を増殖させるために使用される増殖培地から光合成独立栄養生物を分離するために、バイオマス回収装置を利用することが含まれ得る。バイオマス回収装置には、光合成独立栄養生物を優先的に捕捉する可動ユニットが含まれ得る。可動ユニットは活性化され得、それにより、光合成独立栄養生物の形態のバイオマスが可動ユニットの一方の側に集められて、集められた光合成独立栄養生物の溶液が形成されるように、可動ユニットを容器の長さに沿って移動させることが可能となる。可動ユニットは、光合成独立栄養生物の選択的捕捉のための孔のあいた構成要素またはメッシュ材料から構築され得る。バイオリアクターにはまた、バイオリアクターから集められた光合成独立栄養生物の溶液を回収するための集菌口も含まれ得る。集菌口は、容器の長さから伸び得る。バイオマスの回収は、3時間未満、2時間未満、1時間未満、0.5時間未満、0.25時間未満、または0.1時間未満で行われ得る。
【0183】
可動ユニットの作動は、コンピューターによって離れた位置で行われ得るか、または、バイオマス回収装置上での制御を使用して行われ得る。可動ユニットの移動により、光合成独立栄養生物は可動ユニットの一方の側に集められ得る。可動ユニットは、バイオリアクターの長さの98%未満、95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、または30%未満の長さに移動させられ得る。可動ユニットの移動はウォームドライブまたはケーブルによって駆動され得る。ウォームドライブまたはケーブルは、当業者に公知の任意の方法を使用して実施され得る。
【0184】
可動ユニットは、光合成独立栄養生物が、可動ユニットの移動前のもとの濃度の約1倍から15倍、1.2倍から10倍、または1.5倍から5倍に濃縮され得、集められた光合成独立栄養生物の溶液が形成されるように構成され得る。光合成独立栄養生物は、増殖培地中に懸濁させられた光合成独立栄養生物がなおも増殖培地中に懸濁されており、集められた光合成独立栄養生物の溶液をバイオリアクターからポンプでくみ出すことによって回収され得る程度に濃縮させられ得る。
【0185】
集められた光合成独立栄養生物の溶液は、状況に応じて、貯蔵タンクに充填される。貯蔵タンクは、引力によって増殖培地から光合成独立栄養生物を分離し、さらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液を形成させるために使用され得る。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態においては、さらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液または集められた光合成独立栄養生物の溶液は、バイオマス産物の回収のために処理され得る。バイオマス産物は、本明細書中に記載される任意のバイオマス産物であり得る。バイオマス産物は、液体のバイオマス産物(例えば、油または直鎖の植物性油)であり得、そしてバイオマスは藻類であり得る。
【0187】
水圧ラムプレスは、バイオマス産物の回収のために使用され得る。水圧ラムプレスには、透水性材料に対してバイオマスを押し付ける圧力駆動性のプレートが含まれ得る。透水性材料には、固体のバイオマスを保持しつつ、増殖培地と他の液体成分を抜き取ることを可能にする複数の孔が含まれ得る。孔は、バイオマスのうちの95%を上回る、90%を上回る、85%を上回る、80%を上回る、または75%を上回る大きさを保持することができ、一方、60%を上回る、70%を上回る、80%を上回る、または90%を上回る増殖培地と液体成分を取り除く大きさであり得る。増殖培地と液体のバイオマス産物は貯蔵タンクの中に回収され得る。液体のバイオマス産物が増殖培地と非混合性である場合は、液体のバイオマス産物は、増殖培地もしくは液体のバイオマス産物を捨てるかまたは吸引することにより、増殖培地から容易に分離され得る。水を含む増殖培地は、バイオリアクターに戻すことができる。貯蔵タンク中に分離された増殖培地は、バイオリアクターに戻すことができる。
【0188】
本発明のいくつかの実施形態においては、バイオリアクター中に存在している気体にはバイオマス産物が含まれ得る。バイオリアクターに供給された使用されなかった気体、または光合成独立栄養生物によって生産された気体は、1つ以上の排出口を通じてバイオリアクターから出され得る。圧力調整弁または任意の他の制御弁はバイオリアクターの内圧、およびバイオリアクターからの気体の排出速度を制御することができる。リアクターの中に存在している気体は圧縮され得るか、またはすぐに使用され得る。
【0189】
バイオマスを使用するための方法
様々なバイオマス産物が、本明細書中に記載されるバイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物に由来するバイオマスから抽出され得る。例えば、バイオマス産物は、油かす、油、植物性油、植物性油、オメガ3−脂肪酸、トリアシルグリセロール、ドコサヘキサエン酸、アミノ酸、低分子、抗酸化物質、有機色素、イソプレノイド、カロテノイド、ビタミン、ホルモン、炭水化物、タンパク質、気体からなる群より選択され得る。これらのバイオマス産物は、多数の用途において利用され得る。以下の実施形態は例示だけのために含まれ、範囲を限定するようには意図されない。
【0190】
油かすは、可燃性のバイオマス材料の供給源として利用することができる。油かすは、燃焼させられて二酸化炭素と水が形成され得、そして形成された気体は光合成独立栄養生物の増殖のためのバイオリアクターの中で使用され得る。
【0191】
油(例えば、植物性油)は、バイオディーゼル、可燃性のバイオマス材料として、または調理の用途において使用され得る。植物性油は、当業者に公知の任意の方法を使用して処理することができ、また、それ以上の処理を行わずに使用することもできる。
【0192】
アミノ酸は、栄養補助食品の用途において、またはバイオレメディエーションの用途に利用することができる。生産されるアミノ酸には、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、セリン、バリン、およびチロシンが含まれ得る。アミノ酸は親水性でも、また疎水性でもあり得る。
【0193】
アミノ酸または低分子は、キレート剤として利用され得る。キレート剤は、浮遊している金属、重金属、および/または放射性同位体のバイオレメディエーションのために使用することができる。アミノ酸キレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)であり得る。低分子キレート剤には、α−リポ酸(ALA)および/またはアミノフェノキシエタン四酢酸(BAPTA)が含まれ得る。
【0194】
ビタミンまたはホルモンのようなバイオマス産物は、栄養補助食品の用途に利用することができる。ビタミンには、アスコルビン酸およびビタミンEが含まれ得る。ビタミンEはまた、トコフェロールおよび/またはトクトリエノールとも呼ばれ得る。ホルモンにはメラトニンが含まれ得る。
【0195】
有機色素には、クロロフィル、カロチン、およびケルセチンが含まれ得る。有機色素は、標識試薬としての着色材料の色素として使用され得る。
【0196】
バイオマスから抽出された炭水化物には、グルコース、セルロース、またはデンプンが含まれ得る。炭水化物は、他の生物の増殖のためのエネルギー源として、栄養補助食品として、調理の用途において、または炭水化物を利用する任意の他のタイプの用途に使用することができる。
【0197】
バイオマスから抽出され得るタンパク質には、リブロース二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼ(RuBisCO)および/またはアセチル−Coaカルボキシラーゼ(ACCase)が含まれ得る。ACCaseは、マロニル−CoAのアセチル−CoAカルボキシラーゼへの変換に関与し、脂肪酸生産の増加を助け得る。
【0198】
バイオリアクター中に存在する気体(例えば、使用されなかった二酸化炭素、光合成独立栄養生物によって生産された酸素、または任意の他の気体)は回収することができ、他のプロセスで使用することができる。オプションとして、バイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物から発生した酸素は捕捉することができ、閉鎖された陸生環境、地球外環境、または水生環境のような酸素量が限られている環境で使用することができる。バイオリアクターの中で増殖させられた光合成独立栄養生物から発生した酸素を回収し、そして気体を使用することにより、他の環境供給源からの混入物質の導入の機会を少なくすることができる。
【0199】
本発明の方法にはまた、栄養素または肥料のように、生物の増殖のために燃焼性のバイオマスを利用することが含まれる。例えば、二酸化炭素、窒素酸化物、および硫黄酸化物のような燃焼排ガスは、光合成独立栄養生物の増殖のためにバイオリアクターに送達され得る。あるいは、固体の形態である燃焼性のバイオマスが、植物または他の生物の増殖のための肥料として使用され得る。
【0200】
本発明の方法により、製造プラントを使用するエネルギー生産が提供される。これには、バイオマスもしくはバイオマス産物の生産のためにバイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を増殖させること、バイオマスもしくはバイオマス産物から電力を生産するために動力装置を使用すること、およびバイオマスまたはバイオマス産物の生産のために電力と二酸化炭素をバイオリアクターに供給することが含まれる。
【0201】
本発明の他の実施形態においては、バイオマスの分解(digestion)または醗酵によって生じたメタンガスは、二酸化炭素を生産するために燃焼させられ得る。二酸化炭素は、光合成独立栄養生物の増殖のために本発明のバイオリアクターに対して供給され得る。分解されたかまたは醗酵させられたバイオマスは、農業用肥料として使用することができる。
【実施例】
【0202】
(実施例1)
光起電性パネルによって動力が供給されるバイオリアクター
図6は、スキッド(281)上に配置されたバイオリアクターシステムを示す。このバイオリアクターシステムには、バイオリアクター(294)と、日照時間の間に直接使用される電力を生産し、制御装置を持つ蓄電池群(battery bank)(283)を充電する太陽光光起電性パネルアレイ(282)が含まれ得る。電力は、バイオリアクターシステムとその中の全ての構成要素に電力を供給するために使用され得る。バイオリアクターには、バイオリアクターの1つ以上の容器の中で増殖している光合成独立栄養生物に対して光を供給するための発光源が含まれ得る。1つ以上の容器、発光源、全ての電気的相互接続、およびバイオリアクターシステムを制御するためのコンピューター制御プログラムが搭載されたコンピューターが、1つの囲いの中に格納され得る。酸素排出口(Oxygen vents)(293)が、吸収されなかった気体および酸素をバイオリアクターから排出するために使用され得る。
【0203】
増殖培地と培養される独立栄養生物の種を含む培養液タンク(286)が、スキッド上に取り付けられ得る。吸気弁(291)と出力パイプおよびポンプ(287)が、培養液タンクと1つ以上の容器との間で材料を運搬するために使用され得る。供給原料である気体(単数または複数)が、出力弁、バイオリアクター(294)に向かって伸びているコンジット(285)、および外部供給源から気体(単数または複数)を受け取るための入力弁(290)を有している圧力容器(pressure vessel)(284)の中に含まれ得る。
(実施例2)
エネルギーとバイオマス産物を生産するために太陽エネルギーを使用するためのエネルギーサイクル
図7は、再生可能エネルギーを生産するためのエネルギーサイクルを示す。自然界は、地球(265)の中に化石燃料を隔離することを選択した。石炭(266)、油(267)、および天然ガス(268)は、広く世界中で化学燃料に使用されており、これらは大気(264)中の二酸化炭素(253)と他の温室効果ガスの濃度を上昇させる。大気圏外の炭素(例えば、石炭、油、および天然ガス)は、バイオマス(258)のような再生可能エネルギー源で置き換えることができる。バイオマス(258)は、バイオリアクターの中の最適化された光合成プロセスを利用するプロセス(257)を使用して生産され得る。光合成プロセスでは、栄養素(255)、水(254)、および光(252)が利用され得る。光合成独立栄養生物は、最適化された光合成プロセス(258)を使用して増殖させることができ、油(259)、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、色素、および他の有機化合物(260)、ならびに油かす(261)に処理することができる。油かすは動物原料(animal feedstock)に使用することができ、また、代替燃料として石炭火力発電所の中で燃焼させることもできる。この油かす燃料(261)は燃焼させることができ、そしてバイオリアクターの気体原料として使用することができる。光合成独立栄養生物は、直鎖の植物性油と油かすを生産するために増殖させられた藻類であり得る。
【0204】
太陽は、光合成に直接または間接的に使用される光(252)を生じ得る。太陽からの光は、光起電性パネルを通じて電力に変換することができ、その後、人工の光源に動力を供給するために使用することができる。この電力は直接または間接的に使用される。いくつかの状況下では、光起電性パネルによって生産された電力は、弁、ポンプ、センサー、ディスプレイ、および光合成のための人工の光源を動かす必要に応じて動力を提供する蓄電池群を充電するために使用される。本発明は、汚染削減とカーボンニュートラルであるバイオ燃料を提供する地球的規模での解決策である。
(実施例3)
白色発光ダイオードによって放射される光のスペクトル
図8は、白色発光ダイオードのスペクトル分布を示す。垂直軸(111)は、光子の数または相対的な発光強度である。水平軸(112)は波長を示す。位置113は300nmを示し、これは光合成有効放射の下限値である。位置114は約800nmを示す。白色発光ダイオードのスペクトル(117)は、113と114の間にある位置115と116の間で落下する。
【0205】
太陽は、およそ5,774ケルビンの温度を有する。白色発光ダイオードは、6,000度ケルビン(degree Kelvin)に近い黒体放射体である分配スペクトル(distributed spectrum)を有する。白色発光ダイオードは、太陽の天然の黒体放射輝度に一致し得る。
(実施例4)
バイオリアクターの例
図18は、最小時間での最大増殖のための所定の光合成独立栄養生物の培養の制御および最適化の手段を持つバイオリアクター(31)を示す。増殖サイクルは、シリアルポート(61)と、バイオリアクター(31)に対して適切な開口部(例えば、RS232コネクター(59))を介してつながれている適切なケーブル(60)を介してバイオリアクターとインターフェースで接続されている、コンピューター(63)と本明細書中に記載されるコンピュータープログラム(64)によって制御することができる。バイオリアクターは、バイオリアクター(31)の内部で光合成を駆動するために提供される光の制御が可能であるように構成される。
【0206】
水媒体は、経路カラム(pathway column)(33)を通じてバイオリアクター(31)に入れることができる。水、栄養素、および光合成独立栄養生物からなる媒体は予め混合しておくことができる。入力弁(34)は、水、栄養素、および光合成独立栄養生物の入力を制御する。出力弁(37)は、出口カラム(exit column)(36)からの媒体の排出の調節を提供する。入力弁(34)と出力弁(37)は、コンピューターおよびコンピュータープログラムによって制御される。全ての構成要素に送られる動力は、太陽光光起電性パネルによって生産される。
【0207】
発光ダイオードアレイ(40)および(39)は、それぞれ、透明な側壁(41)および(32)を通り抜けてバイオリアクター(31)を照らす。発光ダイオードアレイには、1つ以上の発光ダイオード(42、43、44、45、46、47)が含まれ得る。発光ダイオードは、300nmから700nmまでの波長のそれらの範囲について選択された1つ以上の波長の光子を放射する。類似する材質の発光ダイオードのグループが、アレイ(39)および(40)の中にワイヤーで結ばれ、バイオリアクターの中の光合成独立栄養生物の生産サイクルを制御するコンピューターソフトウェア(64)のコマンドで操作される個々の文字列配列(string array)を提供する。
【0208】
センサーエレメント(56)は、起動されると、バイオリアクター(31)容器が媒体で満たされるように指示する、上部のフロートスイッチである。
【0209】
CO入力弁(50)もまた、コンピュータープログラムによって制御され、バイオリアクター(31)内に含まれる媒体の中に投入された気体の拡散を調節する。ガススパージャー(48)は、バイオリアクター(31)の底の長さに伸び、スパージャーの長さと幅に沿って多くの小さい孔があけられている。これらの小さい孔は、投入された気体で加圧されると小さい気泡を生じる。
【0210】
投入される気体は、空気、燃焼排ガス、CO、および光合成独立栄養生物によって消費されるCOガスの他の供給源であり得る。ガススパージャー(48)の穿孔によって生じたマイクロバブルまたは小さい気泡は、光合成独立栄養生物を混合し、光合成独立栄養生物の発光ダイオードアレイ(39)および(40)によって放射される光に対する暴露を改善し、それによって光合成を刺激する微視的乱流のコーン(cone)を生じる。
【0211】
センサーエレメントはまた、電気的接続によってコンピューター(63)に接続された温度センサーおよびpHセンサーでもあり得る。センサー(58)は、下部のフロートスイッチである。センサー(58)がスイッチオフされると、コンピュータープログラムはシグナルを生じ、出口ポート(exit port)(37)が閉鎖される。この構成では、生産サイクルの最後にバイオリアクター中の媒体の一部が、次の生産サイクルに播種するためにバイオリアクター(31)の中に残される。
【0212】
本明細書中で開示されるバイオリアクター(31)は、当業者に公知の任意の手法を使用して構築することができ、そしてコンピューターまたは当業者に公知の任意の他の手法を使用して制御することができる。バイオリアクターは、光合成独立栄養生物の生活環の主たる要因を制御することにより、最先端技術を上回る高い有用性を提供する。これらの要因には、媒体、光の送達、温度、pH、および気体の供給が含まれる。これらの要因は全て、光合成活性の最適化により光合成独立栄養生物の生産を最大にするために制御される。
【0213】
ソフトウェアは、削除可能なソフトウェア媒体(62)に記録することができ、1つ以上の光合成独立栄養生物の増殖のためにカスタマイズすることができる。バイオリアクターは、任意の光合成独立栄養生物の生産を最適化するために調節することができるユニバーサルプラットフォーム(universal platform)である。バイオリアクターは、産業的規模での光合成独立栄養生物バイオマスの現実的な生産のための、新規の有意な機能を提示する。
(実施例5)
複数の容器と複数の外部光源を持つバイオリアクター
図19は、バイオリアクター容器のアレイを持つバイオリアクターの別の実施形態を示す。バイオリアクター容器のアレイには、複数の容器(239)と複数の外部光源(235)が含まれる。エンクロージャー(enclosure)(231)は複数の容器と外部光源を格納することができ、そして光合成独立栄養生物の増殖のための増殖培地を保持している容器の熱条件を制御することができる。気体は、吸気口(238)を通じて容器に供給することができ、そして水および栄養素の取り込み口(236)を通じて増殖培地で満たすことができる。増殖培地とバイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物は、出口ポート(237)を通じて回収することができる。
【0214】
本明細書中に記載される場合は、センサーと制御弁は、RS232シリアルポート(243)に対して相互接続される。太陽エネルギーを使用して生産された発光ダイオードのための動力は、電源プラグ(244)を通じて供給される。動力はコンピュータープログラムによって調節することができ、制御することができる。
【0215】
容器(239)の平衡温度は、エンクロージャー(231)の上部と底部に配置された排出口(232)を開閉させることによって調節することができる。当業者に公知である、冷風または温風を導入することによる能動的な温度制御手法を、温度制御のための一般的な手法として採用することができる。温度制御の手法には、外部光源(235)によって生産された熱を組み込むことができる。
(実施例6)
光源のアレイを持つバイオリアクター
図20は、光合成独立栄養生物を増殖させるための光のアレイと容器を含むバイオリアクターの図を示す。容器(2)には、当業者に公知である任意の材質(例えば、高密度ポリエチレン、プラスチック、またはガラス)が含まれる。これらの材質は、光合成独立栄養生物の培養に適するように強く、そして化学的には中性である。バイオリアクターには、バイオリアクターに増殖培地を導入するために不可欠な液体および他の栄養素の送達のための投入カラム(input column)(3)と、光合成独立栄養生物および増殖培地の除去のための排出カラム(output column)(5)が含まれる。投入カラムの弁(4)および排出カラム(6)は、投入カラムと排出カラムを通る液体の流れを制御する。弁は、弁とコンピューターとの間での電気的接続を介してコンピューターによって制御される。バイオリアクターにはさらに、光学的に透明な側面の部材(side elements)(7、8)が含まれ、これらは、ガラス、プレキシガラス、または少なくとも300nmから700nmの範囲にある光を透過させるための当該分野で公知である他の適切な材質からなる。この範囲の光子の伝送により、バイオリアクターに対する、光源のアレイ(9、13)上の1つ以上の光源(10、11、12、14、15、16)によって1つ以上の波長が伝送されることが可能となる。1つ以上の波長は、光合成独立栄養生物の増殖を最大にするように選択される。
【0216】
光源のアレイは、培養される選択された光合成独立栄養生物に照射される制御可能な波長のスペクトルを提供する。1つ以上の光源は互いに同じであるか、または異なる。1つ以上の光源は、コンピューターによって制御され、そして一定の範囲の波長および光度を放射することができる。
【0217】
バイオリアクターへの気体の供給は、投入口(19)に対して供給され、連結パイプまたは管(18)を通じて送られ、その後、ガススパージャー(17)を通ってバイオリアクターに入る。ガススパージャーには、0.5cm未満の直径を有している複数の小さい孔が含まれ、これは、マイクロバブルでの増殖培地への気体の分配を可能にする。小さい孔は、圧力がかかると、バイオリアクター(2)チャンバーを通り抜けて上昇するマイクロバブルを生じ、その中に含まれる投入された気体(単数または複数)を媒体(27)の中に拡散させる。マイクロバブルは、乱流のコーンおよび微視的乱流を媒体(27)の中で生じさせて、媒体を効率よく混合し、1つ以上の波長の光に対するバイクリアクターの中で増殖させられる光合成独立栄養生物の暴露を増大させることにおいてさらなる有用性をもたらす。
【0218】
バイオリアクターには、光学的センサーと排気口(26)を持つアウトガスカラム(25)が含まれる。バイオリアクターを出る気体には、酸素と、投入口(19)からの吸収されなかった気体(単数または複数)が含まれる。これらの気体は排出されるか、または酸素の抽出のような他の目的のために回される。
【0219】
バイオリアクターには、バイオリアクターの内部の液体の容量を決定するための上部フロートスイッチ(20)と下部フロートスイッチ(23)、バイオリアクターの電気的ハードウェアとの接続のための電気的接続部(24)(例えば、RS232コネクターまたはイーサネット(登録商標)コネクター)、温度、pH、光条件、および圧力を測定するためのセンサーアレイ(21)が含まれる。センサーアレイは、バイオリアクターの壁に取り付けることができる。上部フロートスイッチ(20)は、高容量を決定するために使用することができ、下部フロートスイッチ(23)は低容量を決定するために使用することができる。
(実施例7)
外部光源とともに使用されるバイオリアクターの構造の一つの例
図21は、当該分野で公知の材質(例えば、高密度ポリエチレン、または他のプラスチックのような他の材質)で組み立てられたバイオリアクター(202)を示す。バイオリアクターの深さよりも大きい幅のために、バイオリアクターは、インターナルスロットで型打ち(molded)されるか、または透明な外側壁(218)をガイドするかもしくは固定するための他の公知の手段で型打ちされる。反対側の透明な外側壁は示していない。
【0220】
透明な外側壁(218)は、ガラス、プレキシガラス、または他の公知の材質から作られ得る。バイオリアクターには吸気カラム(203)を取り付け、増殖培地と初期濃度の光合成独立栄養生物を含む水媒体の流れを調節するための制御弁(204)に繋ぐことができる。バイオリアクター(202)の下部領域には出口カラム(215)が取り付けられており、これは培地が通り抜けて排出される経路を提供する。培地の排出は、出口カラム(215)につながれた制御弁(216)によって調節される。
【0221】
排出される培地は、光合成独立栄養生物の初期濃度と比較して、水溶液の単位容積あたりの光合成独立栄養生物の高い濃度を有するであろう。図21は、バイオリアクターへの気体の供給のための吸気口(214)につながれた吸気コンジット(212)を示す。制御弁(213)を、ガススパージャー(211)への気体の流れを調節するために、吸気コンジット(212)につなぐことができる。
【0222】
バイオリアクター(202)には、上端に排気口(219)が取り付けられている。この排気口(219)は、受動的でも、能動的でもあり得る。排気口は、光合成の副生成物である過剰量の酸素、および光合成独立栄養生物によって使用されなかった気体の放出のために使用することができる。排気口(219)もまた圧力調整弁として作用し、これにより、内圧を制御することが可能となる。
【0223】
バイオリアクターは、本明細書中に記載されるコンピューターおよびコンピューター制御プログラムによって制御することができる。上部フロートスイッチ(206)、温度プローブ(207)、pHセンサー、光検出器(208)、下部フロートスイッチ、および弁制御(204、213、216)を含むバイオリアクターの構成部材は、コンピューターによるバイオリアクターの増殖条件のモニタリングと制御のために、適切なシリアルポートRS232コネクター(211)に接続される。
【0224】
バイオリアクター(202)は、全ての所望される数的指標(例えば、温度、pH、および時間の関数としてのバイオマス生産)についての状態を提供する状態フィードバック機器であり得る。これにより、発光ダイオードアレイによって生じる所望される波長の選択が可能となり得る。バイオリアクターは電力に変換された太陽エネルギーによって動力が供給され得る。電力は、要求に応じた動力の供給のための再充電可能なバッテリーの中に貯えることができる。
【0225】
バイオリアクター(202)は、発光ダイオードアレイから離して組み立てることができる。これにより、バイオリアクターのアセンブリにおける安全性を高めることができる。発光ダイオードアレイを支えるためのラッキングガイドウェイ(racking guideways)(220)をバイオリアクター(202)の上に取り付けることができる。発光ダイオードアレイは、このラッキングガイドウェイの内側および外側をスライドさせることができる。
(実施例8)
コンピューターによって制御される光伝導チャンネルを持つバイオリアクター
図22は、光合成独立栄養生物の増殖を最大にするための公知の波長、期間、および光度の光の生産、制御、ならびに配光のための電気光学装置を持つバイオリアクターの断面図を示す。
【0226】
このバイオリアクターはコンピューターシステムによって制御することができる。コンピューターシステムには、ソフトウェアと、弁(198、213、208)、センサー(216、223)、およびバイオリアクターの光源(228)に対して接続(200)されているハードウェアが含まれる。コンピューターハードウェアとソフトウェア(204)はまた、バイオリアクターの他の増殖条件をモニターし、そして制御することもできる。このシステムには、ポジティブリード線とネガティブリード線(positive and negative leads)(201、202)を通じて電気エネルギーによって動力が供給され得る。リード線の1つは地面(203)に繋ぐことができる。
【0227】
発光ダイオードアレイ(228)によって生産された光は、光伝導チャンネル(230)の底に向けることができる。光伝導チャンネル(230)を通り抜けて移動して光伝導チャンネルの縁に達する光(220)は、吸収されるか、反射されるか、または伝送される。光はバイオリアクター(222)の内部に伝送され、それによって光合成独立栄養生物の増殖を刺激することができる。バイオリアクターは、バイオリアクターの内部に光を含ませるための反射性の表面(219)を内部に有する。
【0228】
コンピューターシステム(204)は、バイオリアクターの全ての機能性のエレメント(例えば、弁(198、208、213)およびリアルタイムセンサー(例えば、フロートスイッチ(223、216))を制御する。
【0229】
入力弁(198)は、バイオリアクターに増殖培地と光合成独立栄養生物を満たすために開かれる。液体のレベルが上部液体レベル(223)に配置された上部フロートスイッチを上回ると、上部フロートスイッチはスイッチオンとなり、入力弁(198)が閉じられる。入力弁(198)の閉鎖は、光(220)を生じるように発光ダイオードアレイ(228)を作動させるためにソフトウェアを誘発する。光は、本明細書中に記載される任意の方法を使用して送達することができる。
【0230】
燃焼排ガス、CO2、NOX、SOX、および他の気体は、気体投入口(212)に対する圧力下でバイオリアクターに導入され、ガス栓(213)によって制御され、そしてガススパージャー(214)を通じて増殖培地の中に分散させられる。光合成によって、バイオリアクターの中で増殖する光合成独立栄養生物が酸素を生産する。過剰な酸素と他の吸収されなかった気体は、排気口(197)を通じて放出される。
【0231】
十分な時間の後、発光ダイオードアレイ(228)がオフにされ、光合成独立栄養生物は完全な暗闇に曝される。この工程は、光が間欠的なパルスとしてバイオリアクターに送達される場合には省略することができる。増殖が終わると、光合成独立栄養生物の集菌のために出力弁(208)が開かれ、引力を使用してバイオリアクターが空にされる。液体のレベルは下部液体レベルに(232)に下がり、下部フロートスイッチはスイッチオフされ、出力弁(208)の閉鎖が生じる。
(実施例9)
反射壁と内部光伝導チャンネルを有している容器を持つバイオリアクター
図23は、バイオリアクター(265)の別の実施形態を示す。コンピューターシステム(261)は、鉛蓄電池正極(262)を通した電圧として送達される再生可能電力を制御するように関与し、そして地面(264)につながった鉛蓄電池負極(263)は、液体、気体、固体の物質移動のボリューム管理、ならびに独立栄養生物の培養のための照射のために、本発明の正確な、制御された連続する電気負荷において動力を供給するために使用される。
【0232】
図23に示すように、バイオリアクター容器(265)には、コンピューターシステム(261)から伸びているリード線(267)によって制御され、動力が供給される、光伝導チャンネルと光源(266)が含まれる。光源は、光合成生物(珪藻、独立栄養生物、光独立栄養生物、化学独立栄養生物、従属栄養生物、または任意の光合成種もしくは種のグループを含む)の増殖を刺激するために、バイオリアクター容器(265)の内側に光を送達する。上部フロートスイッチ(269)と下位レベルのフロートスイッチ(291)は、送信信号と電源線(270)を介して、コンピューターシステムに対して、バイオリアクター(265)の中のそれらの状態、ひいては液体のレベルを示す。
【0233】
バイオリアクター容器(265)は、水および栄養素の取り込み弁(271)を有しており、それにより、水、栄養素、および光合成独立栄養生物をバイオリアクター容器(265)に入れることが可能となる。出力パイプ(277)は出力弁(278)で終わり、これもまたコンピューター制御される。燃焼排ガス、CO、空気、または他の気体(単数または複数)は加圧されて、気体取り込み弁(276)を通って容器(265)に入る。ガス栓(276)を開くとスパージャー(274)に圧力がかかり、気体(292)の泡がバイオリアクター(265)全体を上昇して、バイオリアクター(293)の中の増殖している光合成独立栄養生物と相互作用する。
【0234】
バイオリアクター(265)の内表面は、バイオリアクター(265)の内壁に衝突した光子をバイオリアクターの内側に反射して戻す反射性物質(268)でコーティングされる。
【0235】
本明細書中に記載されるバイオリアクターは、図33に示すように、バイオリアクターのサブアレイに配置することができる。バイオリアクターは、バイオリアクターの入力と出力が流れるようにつながれる(fluidly connected)ように接続することができる。バイオリアクターのサブアレイの中での増殖により、光合成独立栄養生物の効率的な増殖が可能となり得る。
【0236】
バイオリアクターのサブアレイは、図34に示すように、バイオリアクターのアレイが形成されるように配置することができる。サブアレイの中でのバイオリアクターの配置と同様に、サブアレイの入力と出力も流れるようにつなげることができる。
(実施例10)
光伝導チャンネルと気体散布装置の構成の例
図30は、パッケージすることができ、任意のタイプの容器とともに使用することができるか、または光合成独立栄養生物の増殖のための任意の水域(例えば、池、湖、溜め池(reservoir))に浸すことができる、光伝導チャンネルの構成の一例を示す。この構成には、光学的システム、電気的システム、制御システム、気体散布システム、およびバイオマス回収装置を支えるために使用することができる外側フレームが含まれ得る。光学的システムには、1つ以上の光伝導チャンネルと1つ以上の光源が含まれ得る。1つ以上の光源は1つ以上の光伝導チャンネルに光を向けるように配置されたLEDライトであり得る。電気的システムには、バイオリアクターに動力を供給するための電源装置と電気配線が含まれ得る。制御システムは、本明細書中に記載されるSCADAシステム、またはバイオリアクターの増殖条件をモニタリングし、制御するための任意の他の制御システムであり得る。制御システムにはまた、本明細書中に記載される任意のモニタリングデバイスと制御デバイスも含まれ得る。気体散布システムには、気体投入口(例えば、二酸化炭素の供給口)と、光伝導チャンネルの基部に配置される1つ以上のラジアルチューブ(radial tube)が含まれ得る。気体はラジアルチューブから散布することができ、光伝導チャンネルの外表面に近い増殖培地の内側を上に向かって移動する。バイオマス回収装置には、光伝導チャンネルのこの構成を利用してバイオリアクターの中で増殖させられた光合成独立栄養生物を集めるため、そして光伝導チャンネルを清掃するために使用することができるエレベーター(elevator)または可動ユニットが含まれ得る。エレベーターまたは可動ユニットは、外側フレームによって支えられた1つ以上のウォームドライブによって動かすことができる。
【0237】
図31は、外側フレームを持たない図30に示した構成を示す。
(実施例11)
バイオリアクターでの処理を制御するための工程
図32は、バイオリアクターを制御するための工程の順序を示す。制御は、Fortran、C+++、または任意の他の公知のプログラミング言語で記載され得るソフトウェアプログラムを利用して、コンピューター(258)によって実行され得る。
【0238】
バイオリアクター上の出力弁が開かれ、これは図32にVo openと示され、そして光合成独立栄養生物を含むかまたは含まない増殖培地がバイオリアクターから出て空の状態となる。増殖培地が空になれば、液体のレベルは下部フロートスイッチのレベルを下回るまで下がり、下部フロートスイッチがスイッチオフされ(236)、出力弁が閉じるように誘導される(237)。この動作により入力弁が開かれるように誘導され(238)、リアクターの中の水のレベルが上部フロートスイッチを上回るまで開いた状態にされ、そして上部フロートスイッチがスイッチオンされるように誘導される(239)。
【0239】
これにより、入力弁は閉じるように(240)、そして吸気弁は開くように(241)誘導される。気体(例えば、二酸化炭素)は、バイオリアクターの中の増殖培地全体に泡立てられる。吸気弁は、コンピューターの設定によって制御される(242)。同時に、発光ダイオードアレイまたは他の光源が起動され(243)、コンピューターソフトウェアの設定によって制御される(244)。光の供給は本明細書中に記載されるように制御することができる。
【0240】
タイマーを設定し(245)、そしてコンピューター(246)によってモニターすることができる。増殖条件がモニターされ(247)、そしてコンピューターに情報が伝えられる(248)。
【0241】
所望される時間(246)または所望される増殖条件に達した後、発光ダイオードアレイの動力はオフにされる(250)。暗期についてタイマーが設定され(251)、コンピューターによってモニターされる(252)。この時点で、気体の投入を二酸化炭素から空気に変えることができる。一定の時間の後、制限時間に到達させることができ(253)、気体の供給をオフにすることができる(254)。出力弁を、光合成独立栄養生物を含む増殖培地の除去のために開くことができる。下部フロートスイッチをスイッチオフにすると、このサイクルを繰り返すことができる。
(実施例12)
光合成独立栄養生物の増殖サイクル
図35は、所定の光合成独立栄養生物の典型的な増殖プロフィールのプロットである。このプロットは、水平軸の時間(132)とともに水1ミリリットル当たりのグラム数として定義された光合成独立栄養生物のバイオマス濃度の垂直軸で、独立栄養生物の増殖速度を示している。
【0242】
データ点134、135、136、138、および139は経時的にとり、プロットした。これらは増殖プロフィールを示している。光合成独立栄養生物の増殖速度は点135で最大であり、増殖の合計は点139で最大である。増殖プロフィールの屈曲は点137で起こる。
【0243】
光合成独立栄養生物が増殖させられる点は、さらなる増殖の原価基準に依存する。いくつかの場合には、点135、137、または139でバイオマスを回収することが最適である。いくつかの場合には、生産サイクルのための時間が考慮される。
(実施例13)
光合成独立栄養生物を増殖させるための2種類の増殖プロフィール
図36は、2つの異なる光度レベルでの光合成独立栄養生物の増殖に対応する2種類の増殖プロフィールのプロットを示す。垂直軸(131)は、水溶液1mLあたりのグラム数で光合成独立栄養生物の濃度を示し、そして水平軸(132)は時間である。2種類の増殖プロフィールを示す(133、134)。ここでは、増殖プロフィール134は、増殖プロフィール133よりも大きい光度で増殖させられた光合成独立栄養生物に対応する。一時、増殖プロフィール134は、データ点137および136によって見られるように、133よりも高い光合成独立栄養生物の濃度を示す。
(実施例14)
電力とバイオマスの生産のための製造プラントの例
図37は、燃焼装置とともに並列された4つのバイオリアクター(22〜25)を使用して電力を生産するためのシステムの一例を示す。このシステムには以下が含まれる:4つのバイオリアクター(22〜25)、バイオマス抽出装置(33)、燃焼装置(39)、および蒸気タービン(40)が含まれる。このシステムの構成部材を以下に列挙する:吸水口(26)、水と栄養素の制御ポンプおよび弁(27)、4つのバイオリアクターへの水の分配のためのパイプ(29)、バイオリアクター中で増殖させられ、増殖培地中に懸濁された光合成独立栄養生物を送るためのパイプ(30)、バイオリアクターの中で増殖させられた光合成独立栄養生物を蓄えるためのスラリータンク(31)、スラリーの水圧ラムプレスへの輸送を制御するためのパイプと弁(32)、光合成独立栄養生物から液体(例えば、直鎖の植物性油)を抽出するための水圧ラムプレス(33)、非混合性の液体(例えば、油と水)を分離させるための分離タンク(34)、直鎖の植物性油または他のバイオマス産物を分離タンクから除去するためのポンプ(35)、水撃ポンプから油かすを取り出すための転送手段(36)、油かすから混入している液体を蒸発させるための乾燥器(37)、乾燥させた油かすを保存するための燃料ホッパー(fuel hopper)(38)、乾燥させた油かすおよび他のバイオマスを燃焼させるための燃焼装置(39)、燃焼装置によって発生させられた熱から電力を生産するための蒸気タービン(40)、電力生産プロセスの間に生じた蒸気を回収するために使用することができるコンデンサー(41)、熱が必要な他のプロセス(例えば、バイオリアクター)へと蒸気タービンによって使用されなかった熱を向けるための熱交換器、油かすと他のバイオマスの燃焼の際に発生した二酸化炭素と他の燃焼排ガスを回収するためのコンプレッサー(43)、油かすと他のバイオマスの燃焼によって発生した二酸化炭素と他の燃焼排ガスを貯蔵するための貯蔵タンク(44)、燃焼装置とバイオリアクターに空気を送るための吸気口(59)、バイオリアクターに送られる気体を調製するための空気調製デバイス(45)(例えば、エアーフィルターおよび空気を取り込む構造)、バイオリアクターに供給される二酸化炭素と空気の割合を制御するための制御弁(46)、バイオリアクターの内部の気圧を制御するための圧力調整弁(47)、気体を送るための4つのバイオリアクターのそれぞれの中にある散布用連結管(sparging manifold)(48)、蒸気タービンによって生産された電力を送るための導電体(49)、電力を正常化させるための変圧器(50)、燃焼装置から灰を取り除くための手段(51)、水と栄養素を保持するための予備混合タンク(54)、予備混合タンクに灰を移動させるための手段(52)、水の除去と予備混合タンクへの送達のための分離タンク(34)上にある開口部(53)、バイオリアクターに光を送るための光源のアレイ(56)、光源のアレイに動力を供給するための電気的接続(57)、ならびに、電気的接続に電力を送るためのハードウェア(58)。
【0244】
本発明のいくつかの実施形態においては、蒸気タービンは400kWで連続出力とみなすことができ、燃焼装置は1トン/時間を燃焼させることができる。発生したか、または過剰量の熱は、他のプロセスに使用するために、バイオリアクター全体に送ることができる。例えば、コンデンサーによる熱は蒸発器に使用することができる。バイオマス産物は、本明細書中に記載される任意の目的に使用することができる。
(実施例15)
光合成独立栄養生物の増殖と集菌、およびバイオマス産物の抽出
図38から図46は、バイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を増殖させ、光合成独立栄養生物を集菌し、そして光合成独立栄養生物からバイオマス産物を抽出するための順序を示す。
【0245】
図38は、以下を含むバイオリアクター容器(1)を示す:光伝導チャンネル(2)、ガススパージャー(3)、吸気口(4)、水と栄養素の取り込み口(5)、集菌口(6)、貯蔵タンク(7)、バイオマス抽出装置(8)、分離タンク(9)、リサイクルジャンクション(recycle junction)(13)、水の取り込み口(14)、およびバイオマス回収装置の可動ユニット(16)。光伝導チャンネルは、1つ以上の光源からのバイオリアクターへの光の配光および信号送信のために使用することができる。バイオマス抽出装置は、液体産物と固体のバイオマス(12)の分離のためにバイオマスに圧力を加える水撃ポンプであり得る。2種類の非混合性の液体を含む可能性がある液体産物は、分離タンクの中でさらに分離することができる。2種類の非混合性の液体は、水性の液体と非水性の液体であり得る。非水性の液体には、油または直鎖の植物性油が含まれ得る。水性の液体は分離タンク(11)の中の下位にある画分であり得、そして非水性の液体は分離タンク(10)の中の上位にある画分であり得る。水性の液体と非水性の液体の位置は、2種類の液体の相対密度に依存し得る。
【0246】
図39は、図38に示した位置よりも低い位置にあるバイオリアクターの可動ユニット(16)を示す。
【0247】
図40は、最も低い位置にあるバイオリアクターの可動ユニット(16)を示す。図38に示した位置から図39に示した位置の、そこから図40に示した位置に可動ユニットを下げる際に、水と栄養素は水と栄養素の取り込み口(5)を通じて供給され、増殖培地が形成され得る。
【0248】
図41は、光合成独立栄養生物(17)を増殖培地に接種できることを示す。水と栄養素の供給を遮断することができ、そして気体(例えば、二酸化炭素)を吸気口(4)を通じて供給することができる。光のアレイは、光伝導チャンネル(2)に対して光を供給するように作動させることができる。
【0249】
所望される量の光合成独立栄養生物の増殖の後、光合成独立栄養生物を集菌することができる。図42は、集菌プロセスのスナップ写真を示す。バイオリアクターに供給される気体は空気だけを供給するように切り替えることができ、可動ユニット(16)を、可動ユニットの上側に光合成独立栄養生物が集められるように上昇させることができる。可動ユニットの移動によってはまた、可動ユニットに取り付けられているクリーニング部材を使用して光伝導チャンネルを清掃することもできる。
【0250】
図43に示すように可動ユニットが最も高い位置に到達すると、光合成独立栄養生物は可動ユニットの上側に集められて、集められた光合成独立栄養生物の溶液が形成される。光合成独立栄養生物の一部は、その後の光合成独立栄養生物の増殖の回に播種するためにバイオリアクターの中に残すことができる。
【0251】
増殖培地の中に懸濁させた集められた光合成独立栄養生物は、図44に示すように、集菌口(6)から集菌することができる。集められた光合成独立栄養生物は、光合成独立栄養生物を落ち着かせるために貯蔵タンク(7)に移すことができる。貯蔵タンクは、増殖培地からの光合成独立栄養生物の引力による分離のために使用することができ、さらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液が形成させられる。回収された増殖培地は、バイオリアクターに戻して再利用することができる。
【0252】
図45に示すように、さらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液はバイオマス抽出装置(17)に移すことができる。当業者に公知の任意の抽出手法によって、光合成独立栄養生物を、液体のバイオマス産物と固体のバイオマス産物に分離させることができる。同時に、可動ユニット(16)を下げることができる。
【0253】
図46に示すように、液体のバイオマス産物は、水性のバイオマス産物と非水性の液体バイオマス産物の分離のために分離タンクに移すことができる。水性のバイオマス産物は、先の工程で光合成独立栄養生物から分離されなかった増殖培地の中に稀釈することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、バイオマス産物の抽出後に回収された増殖培地がバイオリアクターに戻される。
(実施例16)
光伝導チャンネルと気体散布装置の構成の例
図47は、以下を持つバイオリアクター(1)を含むシステムの一例を示す:バイオマス回収装置(18)と、貯蔵タンク(8)、バイオマス抽出装置(9)、および分離タンク(1)を含むバイオマス処理システム。このシステムのさらなる構成部材には、水と栄養素の取り込み口(2)、LEDアレイと光伝導チャンネル(3)、COと空気の散布型の取り込み口(sparging intake)(4)、内部容量(5)、排出弁(export valve)(6)、排出パイプ、ポンプ(13)、輸送パイプ(14)、および電源装置(15)が含まれる。
【0254】
バイオリアクターは、およそ20フィート×20フィート×40フィートの寸法であり得る。バイオリアクターの全容量は、およそ12,800立方フィートであり得る。水と栄養素の取り込み口は、バイオリアクターに増殖培地を供給するために使用することができる。LEDアレイと光伝導チャンネルは、バイオリアクターの中の増殖している光合成独立栄養生物への光の送達と光合成の刺激のために使用することができる。およそ20時間で、光合成独立栄養生物は、少なくとも2倍の濃度を有し得る。光合成独立栄養生物は、本明細書中に記載するように、バイオマス回収装置を使用して集菌することができる。バイオマス回収装置は、最高でバイオリアクターの20%に相当する容量にまで、バイオマス回収装置の一方の側に光合成独立栄養生物のうちの少なくとも50%を集めることができ、集められた光合成独立栄養生物の溶液を形成させることができる。排出弁は、集められた光合成独立栄養生物の溶液の貯蔵タンクへの送達を可能にすることができ、バイオマス抽出装置は、光合成独立栄養生物から液体のバイオマス産物(例えば、油、油かす、および他のバイオマス産物)を抽出するために使用することができる。液体のバイオマス産物と増殖培地は、水性のバイオマス産物および増殖培地(10)と、非水性のバイオマス産物(11)の分離のために、バイオマス抽出装置から分離タンクへと送ることができる。ポンプ(13)を、分離タンクによって分離された増殖培地をバイオリアクターに戻すために使用することができる。油かすは、発電機を使用して燃焼させて電気エネルギーを生じさせることができる。
【0255】
エネルギー必要量は以下のとおりであり得る:増殖の間の栄養素/気体の供給のためのLEDアレイおよび構成部材への動力の供給−10kW×20h=200kWh、増殖の間の他の構成部材への動力の供給−40kW×20h=800kWh、集菌の間に空気だけを供給するための動力の供給−10kW×4h=40kWh、バイオマスの抽出のための動力の供給−40kW×2h=80kWh、分離タンクからの油の抽出−5kW×2h=10kWh、消費された増殖培地を置き換えるためのバイオリアクターの容積の20%のポンプによる排水−5kW×4h=20kWh。全エネルギーコストは1サイクルあたり1,150kWhであり得る。1kWhあたり10セントで、これは1サイクルあたりおよそ$115に相当する。
【0256】
バイオマス産物の推定生産量は、686ガロンの油と12,500ポンドの油かすである。
(実施例17)
複数の光学素子を持つバイオリアクター
図49は、複数の光学素子とエレベーター式集菌装置/クリーナーを持つバイオリアクターの一例を示す。光学素子は、1つ以上の光源から放射された配光を可能にする光伝導チャンネルである。1つ以上の光源は、光伝導チャンネルの末端に配置することができる。光源のアレイは、光伝導チャンネルの上端と下端に配置することができる。エレベーター式集菌装置/クリーナーは、バイオリアクター中で増殖させられた光合成独立栄養生物を集めるため、および光学素子を清掃するために使用することができる、本明細書中に記載されるバイオマス回収装置であり得る。エレベーター式集菌装置/クリーナーは、ウォームドライブに機械的に接続することができ、その結果、ウォームドライブは、エレベーター式集菌装置/クリーナーを移動させることができる。図49に示すように、バイオリアクターのさらなる構成部材には以下が含まれ得る:バイオリアクターから余剰気体を放出させるための空気と酸素の排出口、光学素子を支えるための骨組みの外側の(exo−skeleton)フレーム、バイオリアクターから材料を回収するための出口弁、気体(例えば、二酸化炭素、および空気)をバイオリアクターに供給するための散布型の出口管(sparging outlet pipe)、バイオリアクターから物質を取り出すための排水弁、バイオリアクターに気体を供給するための二酸化炭素と空気の散布型の吸気弁、実質的に防水性である容器壁、ならびに、水と栄養素を供給するための吸気弁。
(実施例18)
光伝導チャンネルとしての容器を持つバイオリアクター
図50、図51、および図52は、光伝導チャンネルである容器を持つバイオリアクターのさらなる実施形態を示す。容器は、光学的に透明な材質(例えば、ガラス、アクリル、または当業者に公知の任意の他のポリマー)から作られる。容器は、バイオリアクターの中に光を保持するための反射体によってコーディングされるか、または周囲を囲まれる。反射体はまた、バイオリアクターの中に光を保持するためにバイオリアクターの底部側にも配置することができる。バイオリアクターには、容器の上端に配置されるLEDアレイが含まれ得、その結果、LEDアレイによって放射された光は容器の壁に向けられる。容器の壁に向けられた光は、光がバイオリアクターの内部空間に分配されるまで、バイオリアクターの壁を下向きに伝送され得る。これは、バイオリアクターの壁へのLEDアレイからの光の入射角によって決定される。LEDアレイによって放射された光は、反射体に入射し得、その後、バイオリアクターの内部空間に向けられ得る。
【0257】
図50に示すように、バイオリアクターには、エレベーター式クリーナーが含まれ得る。エレベーター式クリーナーには、本明細書中に記載される1つ以上のクリーニング部材が含まれ得る。エレベーター式クリーナーは、バイオリアクターの高さに沿ってエレベーター式クリーナーを動かすためのウォームドライブシャフトに機械的に接続することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、ウォームドライブシャフトは光学的に透明であり、これは光伝導チャンネルであり得る。LEDアレイはまた、ウォームドライブシャフトの上端に配置することもでき、その結果、LEDアレイによって放射された光はウォームドライブシャフトの内部に向けられる。
【0258】
バイオリアクターのさらなる構成部材を図50に示す。これらのさらなる構成部材には、以下が含まれる:ウォームドライブシャフトを支えるためのブラケット、水と栄養素を供給するための水と栄養素の投入口、バイオリアクターから気体を放出させるための排気口、1つ以上のLEDアレイに動力を供給し制御するための電気的接続、ウォームドライブシャフトに動力を供給し制御するための電気的接続、バイオリアクターから内容物を取り出すためのバイオリアクターの底部にある排水管、およびバイオリアクターに気体を(例えば、二酸化炭素および空気)を供給するための気体投入口。
【0259】
図51は、9個のバイオリアクターを持つバイオリアクターのアレイの図を示す。バイオリアクターは、図50に示したバイオリアクターと類似し得る。個々のバイオリアクターは、およそ4インチの直径と12フィートの高さの円筒形の容器を有する。円筒形の容器の全容積は、およそ1立方フィートである。含めることができる液体の量はおよそ62ポンドである。1つのバイオリアクターは、配光のための12平方フィートの表面積と、12平方インチの設置面積を有する。1平方フィートには9個のそのようなバイオリアクターが含まれ得る。これらのバイオリアクターは電気的接続を共有することができ、入力と出力を流れるようにつなげることができる。全容量は、およそ9立方フィートであり得、これには約560ポンドの全質量が含まれる。バイオリアクターのアレイの出力は、1リットルあたり0.3グラムから30グラムのバイオマスの範囲、または1立方フィートあたり0.019ポンドから1.9ポンドのバイオマスの範囲であり得る。推定されるバイオマスの生産は、1リットルあたり3グラムから30グラムの範囲、またはバイオマス1立方フィートあたり0.19ポンドから1.9ポンドの範囲である。期待されるバイオマスの生産性は、少なくとも、1日あたり1立方フィートあたり1ポンドのバイオマスである。したがって、バイオリアクターのアレイについての期待される生産性は、1日あたり9ポンドである。仮想の100平方フィートのペース(pace)について、バイオマスの生産性は、1日あたりおよそ900ポンドのバイオマスであり得る。1エーカーの空間にこれをさらに拡大すると、生産性は、1日あたりおよそ392,000ポンドのバイオマスであり得る。
【0260】
図52は、バイオリアクターからバイオマスを採取する回収タンクを持つバイオリアクターのアレイを示す。バイオリアクターのアレイには、12立方フィートの全作業容量を持つ12個のバイオリアクターが含まれ得る。バイオリアクターは、およそ144平方フィートの配光のための全表面積を有する。バイオリアクターのアレイの想定される設置面積は、およそ1.3平方フィートであり得る。
【0261】
バイオリアクターは、バイオリアクターへのおよびバイオリアクターからの物質の効率的な送達および取りだしのために流れるようにつながれる、入力と出力を有し得る。流れるようにつながれた入力は水、栄養素、および二酸化炭素の投入口であり得る。流れるようにつながれた出力は、酸素と、バイオリアクターの中で増殖させられた損傷を受けたかまたは死滅した光合成独立栄養生物を含む増殖培地のための排出口であり得る。増殖培地の排出口はバイオリアクターの底部側に配置することができ、その結果、損傷を受けたかまたは死滅した光合成独立栄養生物を含む増殖培地は、バイオリアクターから回収タンクへと移される。回収タンクは、増殖培地からの損傷を受けたかまたは死滅した光合成独立栄養生物の引力による分離に使用することができる。損傷を受けたかまたは死滅した光合成独立栄養生物は、回収タンクの底に落ち着かせることができ、バイオマススラリーポートを通じて回収タンクから出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むバイオリアクター:
a)光合成独立栄養生物を培養するための容器であって、前記光合成独立栄養生物は少なくとも1つの光吸収色素を有しており、前記少なくとも1つの光吸収色素は1つ以上のピーク吸収波長を有している、容器;および
b)前記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源であって、ここで、前記1つ以上の光の波長は、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる、光源。
【請求項2】
前記1つ以上の波長が前記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応する、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項3】
前記光源が、光パルスを放射するように構成されるか、またはリアクターの外面上に配置される、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項4】
前記光パルスが、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整される、請求項3に記載のバイオリアクター。
【請求項5】
バッフル、混合器;気体供給部、ガススパージャー、圧力調整弁、コンデンサー、加熱器、冷却ジャケット、のぞき窓、および配光器からなる群より選択される構成部材がさらに含まれている、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項6】
前記ガススパージャーに、バイオリアクターに気体を送るように構成された、およそ0.01cm未満、0.05cm未満、0.1cm未満、0.25cm未満、0.5cm未満、または1cm未満の直径の1つ以上の孔が含まれている、請求項5に記載のバイオリアクター。
【請求項7】
前記容器が、金属、ガラス、半導体、ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択された材質から作られている、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項8】
前記光合成独立栄養生物が、藻類、細菌、ユーグレナ、珪藻類、および植物プランクトンからなる群より選択される、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項9】
前記藻類が、botryococcus braunii、クロレラ、またはドナリエラである、請求項8に記載のバイオリアクター。
【請求項10】
前記光源が、発光ダイオード、レーザー、白熱電球、およびガス放電バルブからなる群より選択される、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項11】
前記1つ以上の波長に、300nmから800nmの間の波長が含まれる、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項12】
前記増殖プロフィールが、容積あたりの前記光合成独立栄養生物の乾燥細胞重量で、または一定期間の前記バイオリアクターの中の前記光合成生物の光学密度で示される、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項13】
前記バイオリアクターの温度またはpHが、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて制御される、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項14】
以下を含むバイオリアクター:
a)光合成独立栄養生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器;および
b)前記受光素子に動作可能であるように連結された光伝導チャンネルであって、ここで、前記光伝導チャンネルは、前記チャンネルの外表面積の少なくとも約50%から配光する表面積を有している、光伝導チャンネル。
【請求項15】
前記光伝導チャンネルに、ガラス、プラスチック、ポリマー、または反射素子が含まれる、請求項14に記載のバイオリアクター。
【請求項16】
前記光伝導チャンネルが、実質的にロッド様または箱様の形状である、請求項14に記載のバイオリアクター。
【請求項17】
前記光伝導チャンネルが前記容器の内側に配置されている、請求項14に記載のバイオリアクター。
【請求項18】
前記反射素子が光伝導チャンネルの末端に配置されている、請求項15に記載のバイオリアクター。
【請求項19】
以下を含むバイオリアクター:
a)光合成独立栄養生物を培養するための容器であって、ここで、前記容器には、その中に取り付けられた可動ユニットが含まれ、前記可動ユニットは、前記容器の長さに沿って水平方向または垂直方向に移動させられるように適応させられており、前記移動により、前記光合成独立栄養生物が前記可動ユニットの一方の側に集められる、容器;および
b)前記集められた光合成独立栄養生物を回収するための、前記容器の前記長さから伸びている集菌口。
【請求項20】
前記可動ユニットに孔のあいた構成要素またはメッシュが含まれている、請求項19に記載のバイオリアクター。
【請求項21】
前記集められた光合成独立栄養生物が液体の中に懸濁させられる、請求項19に記載のバイオリアクター。
【請求項22】
前記可動ユニットの上に取り付けられた光伝導チャンネルまたはクリーニング部材がさらに含まれている、請求項19に記載のバイオリアクター。
【請求項23】
前記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源がさらに含まれており、前記1つ以上の光の波長は、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる、請求項19に記載のバイオリアクター。
【請求項24】
以下を含むバイオリアクター:
a)光合成独立栄養生物を培養するための容器;
b)前記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための前記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源;および
c)再生可能エネルギー源からの電気エネルギーの生産のためのエネルギー変換装置
であって、ここで、前記エネルギー変換装置は前記光源に対して動作可能であるように連結されている、バイオリアクター。
【請求項25】
前記エネルギー変換装置が、ソーラーパネル、風力タービン、燃焼装置、蒸気タービン、ダム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項26】
前記再生可能エネルギー源が、太陽エネルギーである、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項27】
前記再生可能エネルギー源が、風力エネルギー、水力発電のエネルギー、バイオマスエネルギー、および熱エネルギーからなる群より選択される、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項28】
前記電気エネルギーの生産がカーボンニュートラルである、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項29】
エネルギー調整装置またはエネルギー貯蔵装置がさらに含まれている、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項30】
前記1つ以上の波長が、前記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応する、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項31】
前記光源が光パルスを放射するように構成されている、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項32】
前記光パルスが、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整される、請求項30に記載のバイオリアクター。
【請求項33】
前記容器が、金属、ガラス、半導体、ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる材質から作られている、請求項24に記載のバイオリアクター。
【請求項34】
以下を含むバイオリアクター:
a)日中に光合成独立栄養生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器;および
b)前記太陽光の非存在下で前記光合成独立栄養生物の増殖を維持するための、前記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源。
【請求項35】
前記受光素子に以下の1つ以上が含まれている、請求項34に記載のバイオリアクター:光ファイバーケーブル、光採取皿、ウインドウ、パラボラトラフ集光器、または非画像化光学デバイス。
【請求項36】
前記非画像化光学デバイスが複合放物面集光器(CPC)である、請求項35に記載のバイオリアクター。
【請求項37】
前記非画像化光学デバイスの集光率が、およそ0.5から6の間、およそ1.3から5の間、またはおよそ2である、請求項36に記載のバイオリアクター。
【請求項38】
前記1つ以上の波長が前記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応する、請求項34に記載のバイオリアクター。
【請求項39】
以下を含むバイオリアクター:
a)光合成独立栄養生物を培養するための容器であって、前記容器には、前記容器からの、または前記容器が原因である光損失を実質的に防ぐための反射素子が含まれている、容器;および
b)前記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための前記容器に到達する1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源。
【請求項40】
前記反射素子が、前記容器の内側または外側に固定されている、請求項39に記載のバイオリアクター。
【請求項41】
前記1つ以上の波長が、前記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応する、請求項39に記載のバイオリアクター。
【請求項42】
少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された1つ以上の光源が含まれている光源のアレイであって、ここで、前記光源のアレイからの光の放射は、光合成独立栄養生物に含まれる光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に一致するように調整できるように構成されている、光源のアレイ。
【請求項43】
前記1つ以上の光源が、前記光吸収色素の全てのピーク吸収波長を放射するように調整できるように構成されている、請求項42に記載の光源のアレイ。
【請求項44】
前記1つ以上の光源が、300nmと800nmの間の1つ以上の光の波長を放射するように構成されている、請求項42に記載の光源のアレイ。
【請求項45】
前記光源のアレイに、前記光源から放射された光子を伝送するための光伝導チャンネルが含まれている、請求項42に記載の光源のアレイ。
【請求項46】
前記光源が光伝導チャンネルの内側に取り付けられている、請求項45に記載の光源のアレイ。
【請求項47】
前記光源が光伝導チャンネルの外側に取り付けられている、請求項45に記載の光源のアレイ。
【請求項48】
前記光源が光パルスを放射するように構成されている、請求項42に記載の光源のアレイ。
【請求項49】
以下を含む、バイオマスと電気エネルギーの生産のための製造プラント:
a)バイオマスの生産のためのバイオリアクターであって、前記バイオマスには光合成独立栄養生物と容器が含まれている、バイオリアクター;および
b)前記バイオリアクターに対して動作可能であるように連結された動力装置であって、ここで、前記動力装置は前記バイオマスを電力と二酸化炭素に変換し、前記二酸化炭素は、前記バイオマスの生産のために前記バイオリアクターに供給される、動力装置。
【請求項50】
前記バイオリアクターに、前記容器に到達する1つ以上の波長を放射するように構成された光源が含まれており、ここでは、前記1つ以上の光の波長は、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整することができる、請求項49に記載の製造プラント。
【請求項51】
以下の工程を含むバイオマスの生産方法:
前記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための光子を放射する光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクター中に含まれる培地の中で光合成独立栄養生物を培養する工程であって、ここで、前記光源は、前記光源に対して供給されるエネルギー1kJあたり約50ミリグラム以上、約5ミリグラム以上、約0.5ミリグラム以上、約0.05ミリグラム以上、または約0.005ミリグラム以上のバイオマスのバイオマス生産効率が得られるように構成される、工程。
【請求項52】
前記光合成独立栄養生物が、対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較して光子吸収能力が増強されるように遺伝子操作される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記光合成独立栄養生物が、対応する野生型の光合成独立栄養生物と比較して高いバイオマス生産能力を有するように遺伝子操作される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
以下の工程を含むバイオマスの生産方法:
培地1リットルあたり約0.3グラムより多い、約1グラムより多い、約3グラムより多い、約5グラムより多い、約10グラムより多い、約15グラムより多い、約30グラムより多い、約50グラムより多い、約75グラムより多い、約125グラムより多い、約175グラムより多い、または約200グラムより多いバイオマスとなるような条件下で、光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクター中に含まれる培地の中で光合成独立栄養生物を培養する工程。
【請求項55】
培地1リットルあたり約0.3グラムより多い、約1グラムより多い、約3グラムより多い、約5グラムより多い、約10グラムより多い、約15グラムより多い、約30グラムより多い、約50グラムより多い、約75グラムより多い、約125グラムより多い、約175グラムより多い、または約200グラムより多いバイオマスが、約50時間未満、約40時間未満、約30時間未満、約20時間未満、約15時間未満、または約10時間未満で生産される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
以下の工程を含む光合成独立栄養生物の培養方法:
a)前記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここで、前記バイオリアクターには、前記容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれており、前記少なくとも1つ以上の光の波長は、前記光合成独立栄養生物の増殖プロフィールに基づいて調整できる、工程;および
b)光合成独立栄養生物の増殖をサポートする少なくとも1つ以上の光の波長を提供するように前記バイオリアクターを操作する工程。
【請求項57】
前記1つ以上の波長が前記光合成独立栄養生物の少なくとも1つの光吸収色素の1つ以上のピーク吸収波長に対応する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
以下の工程を含む光合成独立栄養生物の培養方法:
a)前記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここでは、バイオリアクターには、容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれている、工程;
b)前記光栄養生物の増殖プロフィールを決定する工程;および
c)工程b)の結果に基づいて少なくとも1つ以上の光の波長を調整する工程。
【請求項59】
前記少なくとも1つ以上の波長が、増殖速度を最大にするように調整される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つ以上の波長が、前記光源に対して供給されるエネルギーに関して光合成独立栄養生物の増殖を最大にするように調整される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
光パルスを放射するように光源を調整する工程をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
以下の工程を含む光合成独立栄養生物の培養方法:
a)前記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここで、バイオリアクターには、容器に到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射するように構成された光源に対して動作可能であるように連結された容器が含まれている、工程;
b)前記光栄養生物によるバイオマスの生産を測定する工程;および
c)工程b)の結果に基づいて少なくとも1つ以上の光の波長を調整する工程。
【請求項63】
前記少なくとも1つ以上の波長がバイオマスの生産を最大にするように調整される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
光パルスを放射するように光源を制御する工程をさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
以下の工程を含む、バイオリアクターから光合成独立栄養生物を回収するための方法:
バイオリアクターの中に取り付けられた可動ユニットを作動させる工程であって、ここで、前記作動には、前記バイオリアクターの長さに沿って水平または垂直に可動ユニットを移動させることが含まれる、工程;
前記光合成独立栄養生物を、前記可動ユニットの一方の側に集める工程;および
前記可動ユニットの一方の側にある光合成独立栄養生物を、集められた光合成独立栄養生物の溶液の回収のための前記バイオリアクターの前記長さから伸びている集菌口を通じて集菌する工程。
【請求項66】
前記可動ユニットに孔のあいた構成要素またはメッシュが含まれている、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記集められた光合成独立栄養生物が増殖培地中に懸濁させられる、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
バイオリアクターから集められた光合成独立栄養生物の溶液を貯蔵タンクへ移す工程、および光合成独立栄養生物を増殖培地から分離して、さらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液を形成させる工程をさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
以下の工程をさらに含む、請求項68に記載の方法:
水圧ラムプレスにさらなる集められた光合成独立栄養生物の溶液を載せる工程;
油を抽出するように水圧ラムプレスを操作する工程;および
油を回収する工程。
【請求項70】
光合成独立栄養生物から分離された増殖培地を回収する工程と、前記増殖培地をバイオリアクターに戻す工程をさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記光合成独立栄養生物が藻類である、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
以下の工程を含む、光合成独立栄養生物の培養方法:
a)再生可能エネルギー源から電気エネルギーを生産する工程;
b)前記電気エネルギーを光源に電力を供給するために利用する工程であって、ここで、前記光源は、バイオリアクター中の前記光合成独立栄養生物の増殖をサポートするための前記バイオリアクターに到達する少なくとも1つ以上の光の波長を放射する、工程。
【請求項73】
エネルギー変換装置が、ソーラーパネル、風力タービン、燃焼装置、蒸気タービンおよびダムからなる群より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記再生可能エネルギー源が太陽エネルギーである、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記再生可能エネルギー源が、風力エネルギー、水力発電のエネルギー、バイオマスエネルギー、および熱エネルギーからなる群より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記電気エネルギーの生産がカーボンニュートラルである、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
以下の工程を含む、光合成独立栄養生物の培養方法:
a)前記光合成独立栄養生物をバイオリアクターに導入する工程であって、ここで、前記バイオリアクターには、日中に前記光合成生物を培養するための太陽光を受けるように構成された受光素子を含む容器が含まれている、工程;および
b)人工光源を使用して前記太陽光の非存在下で増殖を維持する工程。
【請求項78】
以下の工程を含む、方法:
前記光合成独立栄養生物の増殖のための光を放射する光源に対して動作可能であるように連結されたバイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を培養する工程であって、ここで、前記バイオリアクターには、前記容器からまたは前記容器を通じた光損失を実質的に防ぐための反射素子を含む容器が含まれている、工程。
【請求項79】
以下の工程を含む、製造プラントを使用してエネルギーを生産するための方法:
a)バイオマスの生産のためにバイオリアクターの中で光合成独立栄養生物を増殖させる工程;
b)前記バイオマスから電力と二酸化炭素を生産するために動力装置を使用する工程;および
c)前記バイオマスの生産のための前記バイオリアクターに前記電力と二酸化炭素を供給する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2010−530757(P2010−530757A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513366(P2010−513366)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/067273
【国際公開番号】WO2009/002772
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509350099)アルゲダイン コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】