説明

バグフィルタ集じん装置

【課題】集じん機能と脱臭機能を兼ね備え且つ脱臭装置として使用する場合には、確実な脱臭が可能であり、脱臭用活性炭の搬入及び使用済み脱臭用活性炭の廃棄が簡便に行われるとともに、脱臭時に脱臭用活性炭が大気放散されることのないバグフィルタ集じん装置を提供。
【解決手段】局所集じんライン11−2と脱臭ライン11−1を並列に配置し、各々に切り替え弁19−1,19−2が設けられ、バグフィルタのダストホッパ部4に脱臭用活性炭粉を受入れ・貯留することができ、ダストホッパ下部のダスト排出装置7にて活性炭を脱臭ライン側に切り出すラインとダストまたは使用済み活性炭を系外に切り出すラインが設けられているバグフィルタ集じん装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集じん機能と脱臭機能を備えたバグフィルタ集じん装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理施設等においては、炉室やごみピットなどから発生する粉じんや臭気は、ごみ処理炉の排ガス処理設備を利用したり、局所集じん装置や脱臭装置を利用したりして集じん処理及び脱臭処理されている。
【0003】
廃棄物処理施設等において、局所集じん装置は粉じんが発生する箇所で粉じんが飛散するのを防止するため集じんする装置である。集じん装置の形式はバグフィルタが主流である。なお、バグフィルタで捕集した粉じんは、場外搬出もしくは場内にて適正処理される。図7に示すように、集じん器1のろ布2で捕集した粉じんは、ダスト排出装置7で排出して搬送コンベヤを経て一旦ごみピットに返送し、最終的には焼却あるいは溶融処理される。一方、ろ過された清浄な空気は局所集じん吸引ファン21−1にて大気放散される。なお、局所集じん装置の運転は粉じんが発生する時のみ、すなわち施設が稼働している時のみでよい。
【0004】
また、廃棄物処理施設において、悪臭が発生するごみピットステージや汚泥ピットステージでは悪臭の飛散・漏洩対策のため常時その部屋を負圧にしておく必要がある。負圧にする方法としては、図8に示すように、ごみ処理施設が稼働している場合には、ごみピットなどの悪臭のある部屋は燃焼空気ファン17により負圧とされ、悪臭のある空気はごみ処理施設内の高温部(燃焼室などの800℃以上の箇所)に導入されて熱分解される。ごみ処理施設が休止している場合は、脱臭塔吸引ファン21−2により負圧とされ、悪臭のある空気は脱臭塔(活性炭吸着式が主流)18にて処理される。活性炭は消耗品であるため定期的な交換が必要となる。活性炭の交換作業はフレコンバックなどで受け入れ人力で詰め替える。また、使用済活性炭の処理はバキュームカーで回収し産廃処理される。
【0005】
脱臭処理として、例えば、特許文献1には、休炉中においても、操炉中に使用する排ガス処理装置を活用して、ゴミピットからの脱臭処理を行えるように、焼却炉で発生した排ガスを処理する活性炭又は活性コークスを充填した排ガス処理装置(脱硝装置)の上流側煙道とごみピットとを連通する連通路を設けるとともに、連通路からのガスの流入と煙道からの排ガスの流入を選択的に許容するダンパ機構を設け、このダンパ機構により、操炉中は煙道を開放し、休炉中は連通路を開放してゴミピットで発生するガスを排ガス処理装置によって脱臭処理することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ごみ焼却設備において、焼却炉の稼働が停止すると、ファンを作動させてごみピット内の空気を吸引し、フィルタ、ダクトを介して脱臭器に送って脱臭した後、ダクトを介して外気に放出し、また、ファンにより焼却室内の換気をすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−130726号公報
【特許文献2】特開昭59−161610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の集じん装置と脱臭装置は、各装置の機能が異なることから各々独立して設置しなければならないために、また、従来の活性炭を利用した脱臭装置は活性炭が固定式のため、破過(劣化)に対し余裕を持った活性炭量を必要としていたため、設備費及び維持費が高くついていた。
【0009】
また、従来の脱臭装置では、脱臭塔で粉化した活性炭が集じんされることなく、ファンを通じて大気放散される可能性があった。
【0010】
そこで、本発明は、集じん機能と脱臭機能を兼ね備え且つ脱臭装置として使用する場合には、確実な脱臭が可能であり、脱臭用活性炭の搬入及び使用済み脱臭用活性炭の廃棄が簡便に行われるとともに、脱臭時に脱臭用活性炭が大気放散されることのないバグフィルタ集じん装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、局所集じんラインと脱臭ラインを並列に配置し、各々に切り替え弁が設けられ、バグフィルタのダストホッパ部に脱臭用活性炭粉を受入れ・貯留することができ、ダストホッパ下部のダスト排出装置にて活性炭を脱臭ライン側に切り出すラインとダストまたは使用済み活性炭を系外に切り出すラインが設けられていることを特徴とするバグフィルタ集じん装置である。
【0012】
本発明は、局所集じん装置として使用するバグフィルタ集じん器を脱臭塔として利用するものであり、ろ布全体に脱臭用活性炭を付着させることにより悪臭のある空気がろ布を通過する際脱臭されるものである。機器構成はダクト類、集じん器および吸引ファンであり、ダクト類以外は局所集じん装置と兼用する。集じん器のダスト堆積空間部であるダストホッパに脱臭用活性炭が一時貯留され、前記ホッパ下のダスト排出装置により脱臭用活性炭が脱臭専用ダクトに切り出され、吸引ファンにより脱臭用活性炭が集じん器へと導入され、ろ布全体に付着させた後、切り替えダンパにより悪臭のある空気を吸引ファンにて集じん器へと導入し、ろ布に付着した脱臭用活性炭にて脱臭するものである。ろ布上の破過した脱臭用活性炭は、集じん器既存のダスト払い落し装置にて定期的に前記ホッパへと払い落しされ、常に活性のある脱臭用活性炭をろ布上に付着させる。
【0013】
前記ダスト排出装置は、バグフィルタ集じん装置の排気口の下流に設けられた臭気濃度計で検出した臭気濃度のフィードバックにて切り出し量を制御してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、バグフィルタ集じん装置が脱臭機能を兼ね備えることにより、集じん装置と脱臭装置を別々に設置する必要がないので、設備費及び維持費のコストダウンを図ることが可能となる。
【0015】
本発明は、ダスト排出装置でフレッシュな脱臭用活性炭(以下「活性炭」という。)を切り出してろ布に付着させているので、脱臭性能を一定に維持することができる。
【0016】
本発明は、集じん装置出口の臭気濃度計で検出した臭気濃度をダスト排出装置にフィードバックすることにより活性炭の切り出し量の制御を行うことができるので、高度な脱臭制御が可能となる。
【0017】
また、本発明は、活性炭粉がバグフィルタのろ布に捕集されるため、活性炭粉の大気放散を防止することが可能となる。
【0018】
また、基本的に、集じん装置の既存機器類(排出装置、ファン、ダクト類)を利用することができるので、コストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の集じん装置の説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の集じん装置の活性炭受け入れの説明図である。
【図3】本発明の集じん装置の活性炭プレコートの説明図である。
【図4】本発明の集じん装置の脱臭フローの説明図である。
【図5】本発明の集じん装置の使用済活性炭排出フローの説明図である。
【図6】本発明の集じん装置の臭気濃度による切り出し装置のフィードバック制御についての説明図である。
【図7】従来のごみピット内空気の集じんの一例を示す図である。
【図8】従来のごみピット内空気の脱臭の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例を図面により説明する。
【実施例1】
【0021】
図1及び図2において、集じん器1は複数のろ布2が納められたバグチャンバ3と逆洗により払い落されたダストを溜めるダストホッパ4が連設されている。ダストホッパ4には、活性炭が貯留されるとともに、貯留された活性炭が切り出された後にろ布に付着し、逆洗により払い落とされたダスト及び使用済み活性炭が貯留される。
【0022】
ろ布2の上部には、圧縮空気を噴射するノズル5を備えたブローチューブ6が配置され、圧縮空気のブローによりろ布表面の付着物(ダスト、活性炭)を逆洗により払い落とすことが可能となっている。活性炭のダストホッパ4への受け入れは、ジェットパック車13で行う。
【0023】
ダストホッパ4の底部には、活性炭を切り出したり、ろ布から払い落とされたダストを排出したりするために、スクリューコンベヤ等のダスト排出装置7が配置され、ダスト排出装置7にはダスト排出口8−1と活性炭切出し口8−2が設置され、ダスト排出装置を正逆運転することで局所集じん時はダスト排出口8−1を介しごみピットライン10へと排出され、脱臭時は活性炭切出し口8−2を介し脱臭ライン11へと切り出される。
【0024】
ダストホッパ4には、ホッパ内にダストが詰まるのを防止するためにホッパ4に振動を与えるバイブレータ12が設けられている。
【0025】
脱臭ライン11−1は集じん器1の吸引口14に接続されている。吸引口14には局所集じんライン11−2も接続されている。集じん器1の排気口15はファン16に接続されている。
【0026】
また、脱臭ライン11−1と局所集じんライン11−2を切り替えるため、各々のラインに切り替え弁があり(19−1,19−2)、脱臭ライン11−1には脱臭用活性炭を空送するための大気導入弁19−3がある。
【0027】
次に、本発明の集じん装置の操作方法について図2〜図5により説明する。
【0028】
(1)活性炭の受け入れ
図2において、ジェットパック車13から活性炭をダストホッパ4内に受け入れる。受け入れの際、ジェットパック車13の排気は、必ずろ布を通過するため、粉じんが大気放散されることはない。
活性炭は、100μm以下の粉状のものを使用するため従来の粒状のものに比べて物性値(比表面積、細孔容積など)が向上することで吸着性能の向上が期待できる。なお、活性炭の受け入れ量は、悪臭のある空気が高温部で熱分解できない休止期間中(ごみ処理施設が全炉稼働しない期間)の脱臭に必要な量とする。例えば、日量200トンの処理施設の場合、脱臭装置の運転期間(活性炭の寿命)は、施設が停止する2週間分であればよく、約1.7トン/4.3mとなる。
【0029】
(2)活性炭プレコート
図3において
a)ライン切り替えを行う。脱臭ライン切り替え弁19−1を閉、局所集じん切り替え弁19−2を閉、大気導入弁19−3を開にする。
b)ファン16を運転し、大気導入弁19−3→脱臭ライン11−1→集じん器1→排気口15→ファン16→大気放散の流れをつくる。
c)活性炭ロータリバルブ9−2を運転した後、ダスト排出装置7を運転し活性炭を脱臭ライン11−1に切り出す。
d)切り出された活性炭は、脱臭ライン11−1の気流に乗り集じん器1へ導入され、ろ布2に付着する。このとき払い落し装置(5,6)は作動させず極力前記ろ布2の活性炭付着層(厚み)を最大にする。
e)ろ布2への活性炭付着量の把握は、差圧計20が0.3〜0.7kPaでプレコート完了と見なすことができる。
【0030】
(3)脱臭フロー
図4において、
a)前記活性炭プレコートの状態から脱臭ライン11−1に切り替えを行い悪臭のある空気の脱臭を開始する。
b)脱臭ライン切り替え弁19−1を開、大気導入弁19−3を閉にすることでごみピットなどからの悪臭のある空気の脱臭が開始される。このとき、局所集じん切り替え弁19−2は閉のままとする。
c)脱臭はろ布2に付着した活性炭を通過する際に行われ、脱臭された空気はファン16により大気放散される。尚、脱臭は脱臭ライン11−1の気流搬送中においても悪臭のある空気は活性炭により脱臭が期待できる。
d)ダスト払い落し装置5,6は、作動させず極力ろ布2への活性炭付着層(厚み)を最大にする。活性炭が全量ろ布2に付着したとしても圧損は1.21kPa程度以下であり、吸引ファン16の風圧能力に影響はない。
e)ろ布2から自然落下した活性炭、もしくはろ布2に付着しなかった活性炭は、ダストホッパ4に堆積し、再度ダスト排出装置7にて切り出され、気流搬送後再びろ布2に付着する。
f)活性炭ロータリバルブ9−1で活性炭を切り出す方法として下記がある。
・2週聞分の活性炭を2週間かけて切り出す。この場合連続切り出しおよび間欠切り出しどちらでもよい。この方法の場合常にフレッシュな活性炭の供給ができる。
・図6に示すように、集じん器1の排気ラインに臭気検出器を設置し活性炭ロータリバルブ9−2にフィードバックし活性炭の切り出し制御(XIC)を行うことで、より確実な脱臭効果が期待できる。具体的には、臭気検知器が上限値を超えると活性炭の切り出し量を増量し、下限値を下回ると減量するといった制御を行うものである。
【0031】
(4)使用済活性炭処分フロー
図5において、
a)ファン16、ダスト排出装置7および活姓炭ロータリバルブ9−2を停止する。
b)ダストロータリバルブ9−1およびダスト排出装置7を運転し、ごみピットライン10に切り替える。
c)ダスト払い落し装置5,6を作動させ、ろ布2に付着した使用済み活性炭を強制的にろ布2から払い落す。
d)ろ布2からの使用済み活性炭およびダストホッパ4に堆積していた使用済み活性炭は、ごみピットライン10を経てごみピットに排出される。
e)ごみピットの使用済み活性炭は、炉(焼却または溶融またはその他炉)で適正処分される。
【符号の説明】
【0032】
1:集じん器 2:ろ布
3:バグチャンバ 4:ダストホッパ
5:ノズル 6:ブローチューブ
7:ダスト排出装置 8−1:ダスト排出口
8−2:活性炭切出し口 9−1:ダストロータリバルブ
9−2:活性炭ロータリバルブ 10:ごみピットライン
11−1:脱臭ライン 11−2:局所集じんライン
12:バイブレータ 13:ジェットパック車
14:吸引口 15:排気口
16:ファン 17:燃焼空気ファン
18:脱臭塔 19−1:局所集じん切替弁
19−2:脱臭ライン切替弁 19−3:空気導入弁
20:差圧計 21−1:局所集じん吸引ファン
21−2:脱臭塔吸引ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所集じんラインと脱臭ラインを並列に配置し、各々に切り替え弁が設けられ、バグフィルタのダストホッパ部に脱臭用活性炭粉を受入れ・貯留することができ、ダストホッパ下部のダスト排出装置にて活性炭を脱臭ライン側に切り出すラインとダストまたは使用済み活性炭を系外に切り出すラインが設けられていることを特徴とするバグフィルタ集じん装置。
【請求項2】
前記ダスト排出装置は、バグフィルタ式集じん装置の排気口の下流に設けられた臭気濃度計で検出した臭気濃度のフィードバックにより切り出し量が制御されことを特徴とする請求項1に記載のバグフィルタ集じん装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−167635(P2011−167635A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33810(P2010−33810)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】